JP3992618B2 - ガス放電分光用システムおよび方法 - Google Patents

ガス放電分光用システムおよび方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3992618B2
JP3992618B2 JP2002546193A JP2002546193A JP3992618B2 JP 3992618 B2 JP3992618 B2 JP 3992618B2 JP 2002546193 A JP2002546193 A JP 2002546193A JP 2002546193 A JP2002546193 A JP 2002546193A JP 3992618 B2 JP3992618 B2 JP 3992618B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
plasma
gas discharge
electrodes
array
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2002546193A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004514903A (ja
Inventor
ジェームス、マクローリン
ポール、マグアイヤー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
UUTech Ltd
Original Assignee
UUTech Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by UUTech Ltd filed Critical UUTech Ltd
Publication of JP2004514903A publication Critical patent/JP2004514903A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3992618B2 publication Critical patent/JP3992618B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/0004Gaseous mixtures, e.g. polluted air
    • G01N33/0009General constructional details of gas analysers, e.g. portable test equipment
    • G01N33/0027General constructional details of gas analysers, e.g. portable test equipment concerning the detector
    • G01N33/0036General constructional details of gas analysers, e.g. portable test equipment concerning the detector specially adapted to detect a particular component
    • G01N33/0047Organic compounds
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/66Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light electrically excited, e.g. electroluminescence
    • G01N21/68Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light electrically excited, e.g. electroluminescence using high frequency electric fields

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガス放電分光法における改良に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
この数年間に、「人工鼻装置」とも呼ばれる人工嗅覚装置に対する関心が高まっている。これらの装置の目的は、気体試料に或る形式の標識(ラベル)を付けることである。これを行うための装置が数多く市販されており、これらには多種多様なセンサが使用されている。電子鼻センサは、導電性センサ、圧電センサ、MOSFETセンサ、光学センサ、といった相異なるいくつかのカテゴリに分類される。
【0003】
電子鼻装置で使用されている導電性センサには、金属酸化物および高分子の2つの種類がある。これらは何れも、揮発性有機化合物(VOC:volatile organic compound)に曝されると抵抗値が変化する。この2種類の中では金属酸化物半導体がより多く電子鼻機器に使用されており、広く市販されている。典型的なものとしては、パラジウムや白金などの貴金属触媒をドープ(不純物として添加)したSn、Zn、Ti、W、Irの酸化物が挙げられる。VOCが相互作用を起こすためのドープされたこの半導体材料は、抵抗性の加熱要素上の2つの金属接点の間に蒸着される。これは200〜400℃で動作する。このような高温では、熱の散逸が検知チャンバの機械設計における主要な考慮対象となる。微細機械加工を用いて活性材料の下のセンサ基板を薄くすることが良く行われており、これによって電力消費と熱散逸に関する要件とが緩和される。ドープされた半導体材料上をVOCが通過する際に、VOCの濃度に比例して2つの金属接点間の抵抗が変化する。
【0004】
典型的には、活性な金属酸化物センサ材料は、一酸化炭素やアンモニアなどの特定の臭気物質に対して応答性が高まるように設計されている。動作温度を変更すれば選択性を向上できる。センサ感度は5〜500ppmの範囲である。このセンサは水蒸気に対しても応答する。より詳しくは、分析中の気体試料とセンサを初期化するための既知の基準気体との間の湿度差に対して応答する。
【0005】
金属酸化物センサの短所は、応答の基準レベルが数時間ないし数日の期間中に容易に変化することである。これを打消すために、通常、信号処理アルゴリズムが用いられている。このセンサの別の短所は、臭気物質中に存在するイオウ化合物によって損傷を受けやすいことである。これによって問題が発生する。しかし、この種類のセンサは低価格であり広く市販されているので、この種類の気体センサが最も広く用いられている。
【0006】
高分子センサも電子鼻導電性センサとして使用できる。この場合の活性材料はポリピロール族、チオフェン族、インドール族、フラン族などの導電性高分子である。これらの材料が各種の化学物質に曝されるとそれらが高分子骨格に結合し、材料の導電性に変化が起る。この結合はイオン性または共有性であっても良い。その相互作用が、高分子鎖に沿った電子伝達、つまり導電性、に影響を与える。或る高分子に対する所与の化合物の親和力と、その高分子の導電性に対する影響とは、高分子骨格に付随する対イオンと官能基とによって強く影響される。
【0007】
高分子をセンサ素子として利用するためには、微細機械加工を用いて10〜20μmの間隔で離れた2つの電極を形成する。次いで、これらの電極の間に周期変化する電圧を加えて電気的重合により電極間に導電性高分子を形成させる。例えば、ポリピロールの層は−0.7Vと+1.4Vとの間で周期変化させれば形成できる。電圧掃引速度を変化させながら一連の高分子前駆体を加えれば多様な活性材料が形成できる。応答時間は高分子の厚さに反比例する。応答時間を速めるためには、接触電極間にミクロンサイズの導電性高分子の架橋を形成する。
【0008】
導電性高分子センサは室温で動作し加熱を必要としないので、金属酸化物センサより取扱いが容易である。電子回路インターフェースは単純であり携帯型の機器に適している。このセンサは0.1ppmの感度で臭気を検出できるが、通常は10〜100ppmである。このセンサの主な短所は、活性材料を電気的に重合させることが困難であると共に時間がかかり、また、製造ロット毎のばらつきが大きいことである。このセンサの応答性も時間と共に変化し、また、通常、水蒸気に対しては金属酸化物センサより大きな感度を有するので、湿度に対して敏感である。この敏感さによって、臭気を有する揮発性有機化合物に対する応答が隠されてしまうことがある。更に、この高分子物体の内部にまで侵入する臭気物質があり、その場合には、そのVOCが高分子物体から除去されるのが遅くなってセンサ回復時間が長くなる。これによって、臭気物質試料を連続処理する際のサイクル時間が延びる。この点も短所である。
【0009】
現時点で利用可能な新たな電子センサのもう1つのグループは圧電センサのグループである。この圧電センサにも、水晶結晶微量天秤(QCM:quartz and crystal microbalance)素子および弾性表面波(SAW:surface acoustic wave)素子という2つの種類がある。これらのセンサは、温度、質量変化、圧力、力、加速度を測定できるが、電子鼻装置においては質量変化を検出する素子として用いられている。
【0010】
QCMセンサは、リード線に接続された金属電極が両側にそれぞれ設けてあって、直径が数mmである共振円板を備えている。この素子が共振信号で励振されると、典型的には10〜30MHzの範囲の特性周波数で共振する。円板には製造時に高分子がコーティングされ、これが活性な検知材料として機能する。動作時には気体試料がこの高分子の表面に吸収(absorbe)され、円板高分子素子の質量が増加して共振周波数が低下する。この低下は高分子に吸収された臭気物質の質量に反比例する。
【0011】
QCM素子に関しては多くのことが知られている。軍においては何年にも渡ってこれらに関する実験を行っており、微量の爆発物やその他の危険な化合物を検出するためにこれらを用いて、1pgの分解能で質量変化を測定している。例えば、標準温度圧力で1リットルの試料体積中の1pgのメタンは、メタン濃度として1.4ppbとなる。また、QCM素子は広いダイナミックレンジに渡って著しく直線性が良い。水に対する応答性は用いている吸収材料に依存し、これに対する温度変化からの影響は無視可能なようにできる。
【0012】
高分子コーティングを調整すればQCMセンサを特定用途に対応する特別仕様のものにできる。コーティングとして利用可能なものは多数ある。水晶結晶体のサイズと質量とを高分子コーティングの厚さと共に減らせば、共振構造体の応答性および回復時間を最小化できる。製造ロット毎のばらつきは問題とならない。これは、この素子では規格化された周波数変化を測定するからであり、差分測定においてはコモンモードノイズが除去されるからである。
【0013】
SAWセンサはいくつかの重要な点でQCMセンサと異なっている。第1に、レイリー波がこの素子の、体積中を、ではなく、表面上を、進行している。SAWセンサはずっと高い周波数で動作し、したがって、より大きな周波数変化が得られる。典型的なSAW素子は数100MHz領域で動作する。しかし、SAW素子で測定可能な質量変化はQCM素子での値と同程度である。周波数変化が大きいにもかかわらず、体積に対する表面積の比が大きいので、通常、信号雑音比が悪くなるからである。したがって、実際には、SAW素子の感度がQCM素子の感度より劣る場合もある。
【0014】
QCMセンサの場合と同様に、SAWセンサの高分子コーティングとして利用可能なものは多数ある。その他の種類のセンサの場合と同様に、差分測定によってモード効果が除去できる。例えば、同一基板上に設けた隣接する2つのSAW素子を差分測定対として動作させれば温度変化や電源ノイズ(からの影響)を除去できる。
【0015】
QCMセンサとSAWセンサの短所は、活性膜の経時変化に伴って共振周波数が移動するので周波数検出器が必要なことである。
【0016】
MOSFET(metal−oxide−silicon field effect transistor:金属酸化物-シリコン・電界効果トランジスタ)も臭気物質検知素子として利用されている。これは、触媒金属に接触したVOCがその金属中に反応を引き起せるという原理に基づいて動作する。その反応の生成物はMOSFETのゲートを通って拡散し、素子の電気的性質を変化させ得る。金属触媒の種類と厚さとを変化させたり、これを動作させる温度を変化させたりすれば、素子の感度と選択性とを最適化できる。
【0017】
MOSFETセンサの長所は、IC製造工程で製作できるので製造ロット毎のばらつきが最小化できることである。短所は、水素などの触媒反応生成物がチャンネル領域の電荷に影響を与えるためには触媒金属層を貫通しなければならないことである。したがって、気体がICチップ上のゲート構造体と相互作用できるように、(IC)パッケージに窓を設ける必要がある。したがって、チップへの電気的接続に対しては気密封止を維持することが重要である。導電性センサの場合と同様に、MOSFETセンサでも基準レベルの変動が起こる。前の場合と同様に、この点も短所である。
【0018】
光ファイバセンサも電子鼻センサとして利用されている。このセンサでは、端部または側面に化学活性材料をコーティングしたガラスファイバを使用する。単一周波数(または狭い周波数帯域)の光源を用いて活性材料に対して呼びかけを行い、活性材料は、検出測定すべきVOCが存在することを色の変化で応答する。この活性材料には、有機高分子の基質に対して固定された化学的に活性な蛍光染料が含まれている。VOCがこれと相互作用すると蛍光染料の極性が変化して、蛍光の発光スペクトルがシフトするという応答が起こる。外部光源からの光パルスによってセンサに呼びかけが行われると、蛍光染料はこれと異なる周波数で発光して応答する。光源強度はセンサ応答よりずっと強いので、応答光検出器を光源の発光から確実に防護するという注意が必要である。
【0019】
光ファイバセンサの短所は、計測制御システムが複雑であり、そのために製造コストが増加することである。更に、このセンサでは、検知工程で蛍光染料が徐々に消耗する光漂白が起こるので寿命が短いことである。
【0020】
既存の電子鼻センサには数多くの問題点が存在している。本発明の目的は、気体を識別する新たなガス放電分光用システムおよび方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの態様によると、気体を識別する方法であって、識別すべき気体を用いてプラズマを形成することと、このプラズマから放出された光を検知することと、検知された光を用いて気体を識別することを備えた方法が提供される。
【0022】
それぞれの気体は固有の光学スペクトルを有しており、これを指紋のように用いて識別ができる。つまり、プラズマを生成してその発光を検出すれば、気体を識別する効果的な方法が実現できる。この方法の長所は、多種多様な気体に対して利用でき、また、プラズマ電極の事前の表面処理が不要なことである。
【0023】
この方法が、既知の気体を用いてプラズマを形成することと、この既知の気体のプラズマから放出された光を検知することと、この既知の気体に関するスペクトルを記憶することと、を更に備えていても良い。この方法では、既知の気体のスペクトルのライブラリが構築できる。
【0024】
本発明の別の態様では、気体を識別するシステムであって、識別すべき気体を用いてプラズマを形成する手段と、このプラズマから放出された光を検出する検出器と、検出された光を用いて気体を識別する処理装置と、を備えたシステムが提供される。
【0025】
このシステムが、既知の気体に関するスペクトルを記憶するメモリを更に備えていても良く、このスペクトルは処理装置によって気体を識別するために使用される。
【0026】
プラズマを形成する前記手段が電極を備えていても良い。前記電極どうしが実質的に40〜200μm、好ましくは50〜100μm、の範囲の量だけ離されていても良い。前記電極どうしがスペーサによって離間されていても良い。前記電極が誘導性結合によって励起されても良い。
【0027】
前記電極は対向する第1および第2の基体を備えた分光計のセルの一部分として配置されていても良く、第1の基体は電極の第1のアレイを備えており、第2の基体は電極の第2のアレイを備えており、これらの電極は全体として、個別にアドレス指定可能な要素のセンサアレイを構成している。ある意味では、電極の第1のアレイと第2のアレイとの間の重なりの各々が個別励起用の一連の「画素」を形成しており、これが分光計センサ要素として使用される。
【0028】
各アレイ上の前記電極が直線状であっても良い。前記電極アレイが前記基体の内部セル表面上に配置されていても良い。前記基体の少なくとも一方が、関係する分光計波長に対して透明な材料で形成されていても良い。前記基体の少なくとも一方の全体、または実質的な部分がガラスで形成されていても良い。この長所は、通常はこのガラス基体の1以上の縁に沿って配置されている適切な、通常は末端の、分光計検出器までセンサ信号を導くための導光路として前記基体が機能できることである。前記基体の少なくとも一方の全体、または実質的な部分、がシリコンで形成されていても良い。
【0029】
電極が如何なる適切な導電性材料で形成されていても良い。電極が透明であっても良い。適切な材料としては、酸化スズや二酸化チタンが挙げられる。その他の材料としては、炭素、ダイヤモンド状炭素、ナノチューブ、輪切りタマネギ状またはその他の形状のフラーレン、電界放出性の高い何らかのコーティング、が挙げられる。これは、点灯電位(破壊電圧)が低くなるという長所がある。また、これらの材料で、酸化スズや二酸化チタンの電極をコーティングしても良い。
【0030】
複数のセンサ要素を使用する場合には、試料となる気体プラズマから受取った信号と同時比較するための既知の較正信号を供給できる「較正」要素として参照するために1以上のセンサ要素を用いることができる。これによって、各分光計への入力条件が常に若干変化する(実際、「純粋な」較正試料を用いても、非常に僅かな条件変化があれば異なるスペクトルが得られる)という既知の問題点が解消できる。複数のセンサ要素を使用すれば、また、統計学的な解析を用いて平均検出試料を決定できるのであり、この平均を用いれば、1つのセンサ要素だけで検出したものと比較して、気体試料の関係部分をより良く決定できる。更に、複数のセンサ要素を使用すれば、水素のような単体元素やアセトンのような分子ないし化合物といった個別の気体種類が参照できる。複数のセンサ要素を使用すれば、安定に使用でき、また、誤差や寿命の自己試験が可能となる。したがって、センサ要素の何れか1つが誤動作した場合やそれが完全に故障した場合でも、多数の検出信号には影響を与えない。また、既存の要素が故障した場合には新たなセンサ要素を用いて直ちに使用できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施する様々なシステムおよび方法を、例示(それ以上のものではない)によって、以下の添付図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1にはエドワーズ社製の真空システム8を示してある。これは、上部絶縁駆動電極12と下部接地電極14とを有する平行平板電極を備えた真空チャンバ10を備えている。上部(駆動)電極12は直径4.5cmであり、接地電極14は直径21cmである。電極12および14の間の距離は2cmである。この真空システムには、0〜550Wで変更可能な電源を備えると共に反射による電力損失を抑えるための自動インピーダンス整合を行う自動モードを備えたプラズマ・サーム社製13.56MHz高周波発生器16が接続されている。気体を真空チャンバ10に導入し、発生器14を用いてプラズマ18を発生させる。このプラズマが、チャンバ10内の気体に固有な光学スペクトルを有する光を放出する。
【0033】
プラズマ18から発生した光が通過するためのガラス窓20が、真空チャンバ10の壁体を貫通して形成されている。この窓20は、320nm未満の発光および950nmを越える発光を除去するように構成されている。ガラス窓20には、真空チャンバで発生した光をオリエル社製マルチスペック77400分光計24に導くための光ファイバケーブル22が光学的に接続されている。この分光計は、波長分散を発生させるための12001/mmの回折格子を備えている。水冷式インスタスペックCCDアレイ26を用いて入射波長強度を1024画素に渡って検出する。CCDアレイ26にはコンピュータ28が接続されており、検出光のスペクトル30がオリエル社製インスタスペックIVソフトウエアによってこのコンピュータ上に表示される。このスペクトル30はアスキー形式で保存される。この分光計ではΔλ=150nmの波長範囲をCCD上で同時に検出できる。
【0034】
スペクトルの信号処理については、スペクトルのアスキーファイルをナショナル・インスツルメンツ社製ラボビュー・プログラムに読込み、図2に示したようにこのスペクトルを領域に分割することによって行われる。この分割を行うとスペクトル上にグリッドが形成される。最終結果としては、内部でピークが計数できるようなセルが生成される。特徴は、「特徴Xとはセル内のピーク数Xである」というように表現できる。また、ノイズピークを含む下部セルを無視するためのしきい値32が設定できる。単一のスペクトルに対するアルゴリズムは以下のように要約できる。(1)各セルのピーク数を0に初期化する。(2)ピークを検出する。(3)各ピークに対し、そのアレイ位置を決定すると共に、そのセル内に存在すると判定されたピークの数に1を加える。最後に、各セル/特徴に対する入力端が人工ニューラルネットワーク(ANN:artificial neural network)に存在しており、各値を入力できるように構成されている。なお、セルの大きさを変更することによりグリッドの解像度を柔軟に変更できることに留意されたい。この解像度は、縦列のみから成るグリッドと横列のみから成るグリッドとの範囲の間で、用途ごとの必要性に応じて調節できる。特定の用途では、極端なグリッドの構成が非常に有用な場合がある。
【0035】
ANNはいくつもの理論に基づいて構成でき、したがって、ネットワークの種類はいくつも存在する。ネットワークの各種類の中でも、特定のパラメータを変更することにより様々な改変型を実現できる。種類や構造(アーキテクチャ)に拘らず、どんな人工NNでもPCやワークステーション上で模擬できる。特別仕様のプログラムを作成したり、その他のシミュレーションソフトウエアを用いたりできる。どの場合でも、入力値を与えたり出力を観察したりするためのインターフェースをシミュレーション(ソフトウエア)に設けることが必要である。図1の例では、シミュレーションソフトウエアとして、ニューラルウエア・インク社が開発したニューラルワークス・プロフェッショナルII/プラスを選択した。これは、シグモイド活性化関数を用いた学習デルタ規則を備えたバックプロパゲーションネットワークである。変数「Momentum(モーメンタム)」の値としては0.05、変数「LCoef Ratio(L係数比)」の値としては0.1を用いた。NNのその他の値にはデフォルト値を用いた。
【0036】
NNの基本要素はパーセプトロンである。各パーセプトロンは、図3に示したような、N個の入力X1〜XNと1つの出力yとを有するノードである。各入力に対して調節可能な加重(W1,…,WN)を乗じ、次いで総和をとる。得られた和sは、しきい値関数または活性化関数Tと呼ばれる関数の引数となる。特徴ベクトルx=(x1,…,xN)をパーセプトロンに入力できる。次いで、活性化関数Tが和sに作用する。Tは、或る値より大きなsに対して値1を有し、その或る値より小さなsに対して値0を有する簡単な階段関数であっても良い。より複雑な活性化関数を用いても良い。パーセプトロンによって得られる作用は、特徴空間を2つの半空間に直線的に分割することである。しかし(いずれにしろ)、活性化関数が特徴空間の分割を決定する。
【0037】
パーセプトロンの能力を向上させるためにはパーセプトロンを層状に配置することができる。層内のパーセプトロンの数をMとすれば、空間を2M個の半空間、または2M 個までの凸領域(最小ではM+1個の凸領域)、に分割できる。ANNの能力を更に向上させるためには、第1層のM個の出力が第2層の入力となり、以下、同様に構成される多層パーセプトロンが考えられる。この場合には、別の層の入力として用いられる出力を出す層を隠れ層と呼ぶ。多層NNは特徴空間を非直線的に分割できる。
【0038】
活性化関数がユニタリ階段関数である場合には、特徴ベクトルをネットワークに入力すると所属クラスを表わすベクトルが返される。より複雑な活性化関数の場合には、出力ベクトルはクラス末端の空間に写像され、距離を判定して所属クラスを決定することが必要となる。理論的には、多数の層で実行できる如何なる種類の解析も、単一の隠れ層で行うことが可能である。しかし、多層の隠れ層を用いれば、単一層の場合に比べてパーセプトロンの数を減らせる。ここまでは、フィードフォワードNNと呼ぶことができる一般的な形式のNNを説明してきた。利用可能なパラメータを変化させることにより、数多くの用途に適したいくつもの相異なるNNを得ることができる。この利用可能なパラメータとしては、パーセプトロンの数、層、加重の値、各層に対する活性化関数の形、がある。更に、機能的結合網と呼ばれるアルゴリズムでは、追加の大きさ、すなわち追加の機能、の単一層ネットワークを構成して、非直線的に分離可能なクラスを区別できる。
【0039】
最初に、NNを訓練しなければならない(監督付き、または監督なしで)。パターンの組が利用できる場合には、所望のクラスが出力として得られるように加重を調節できる。この作業を行うためにはいくつかのアルゴリズムが利用可能であり、広い範囲で選択できる。クラスタ化の場合にも、加重を自動的に調節できる多数のアルゴリズムが存在する。
【0040】
連想写像を行う方法はANNだけではない。ファジー論理による方法を用いた場合にも、興味ある結果が得られる。ファジー論理でもパターン認識問題に対する決定理論的な解が得られる。ここではファジー論理を説明しないが、パターン認識においてそのような選択も存在することを知っておくことは重要である。ファジー論理に関する詳しい解説は、J.C.ベツデック氏による「ファジー目標関数アルゴリズムによるパターン認識」と題する記事(プレンタム社、1981年)を参照されたい。
【0041】
図1のシステムを用いる場合には、チャンバ10を10-7mbarの基礎圧力まで真空引きを行う。加圧容器や加熱U字管を用いて、または、揮発性化合物を容器から直接に拡散させることにより、ニードルバルブ(図示せず)を用いて気体をチャンバ10に供給する。プラズマ・サーム社製発生器16を用いてプラズマ18を生成する。その際の高周波電力は10Wに設定する。プラズマ生成中には、高真空バッフルバルブを用いて10-3mbarの一定圧力に維持する。プラズマ18から放出された光はガラス窓20を通過し、分光計24で検出される。得られたスペクトル30はコンピュータスクリーン上に表示され、上述のANN手法を用いて解析される。プラズマチャンバに導入された気体が既知の気体である状況において、既知のスペクトルまたは解析データをこの気体の詳細と共に記憶させることにより、システムにこの気体を認識するよう学習させる。このようにして、この装置の学習ないし較正を行う。プラズマチャンバに導入された気体が未知の気体である状況において、生成されたプラズマ18から得られたスペクトルまたはデータを、記憶してある値と比較し、気体を識別するようシステムを適応させる。
【0042】
図1のシステムを用いて数多くの種類の気体を検出または識別できる。様々な気体や気体混合物に対して試験を行った。
【0043】
空気/窒素の認識
この場合には、スペクトルの解析において、特徴抽出のためのグリッド解像度を100画素(X)*規格化強度(Y)0.2と設定した。ニューラルネットワークは、25個のパーセプトロン(または、処理要素(PE:processing element))を有する隠れ層1と、10個のPEを有する隠れ層2と、55個の入力端とで構成した。トレーニングすなわち学習の段階は、最初の空気の10個のスペクトルと、最初の窒素の10個のスペクトルとから成るデータを用いて行い、それぞれ、空気および窒素のスペクトルを認識することをシステムに学習させた。
【0044】
図4には、5つの空気試料と5つの窒素試料とに対する試験で得られた結果を示してある。各試料において、400nm、550nm、700nm、850nmをそれぞれの中心波長とする4つの連続するスペクトルを解析対象とした。スペクトルは1024×4=4096強度レベル(この内のいくつかは重複)で与えられた。出力1または0は、それぞれ、問題の気体が存在するか否かに対するプログラムの相対的確実性(判断)を示している。認識が正確に行われたことが分かる。このシステムでは55個の入力だけで気体を区別できたことに留意されたい。
【0045】
隠れ層のPEの数を減らして上述のものと同じ手順で試験を行った。特に、両方の隠れ層に関してPEを用いなくても同じ結果が得られ、特徴抽出処理の有効性が実証された。したがって、空気と窒素とを正確に検出する目的には図1の構成が有効であることが分かる。
【0046】
空気/アセトン/食酢の認識
別の例として、図1の構成を用いて、アセトンのスペクトルを1つと、空気のスペクトルを1つと、食酢のスペクトルを1つとを検出した。この手順をそれぞれ15回ずつ繰返し、合計45個のスペクトルを得た。空気スペクトルは上述のようにして得た。アセトンと食酢に関しては、蒸発させなければならず、そのために、アセトン用のもの1つと食酢用のもの1つの合計2つのU字管(図示せず)を用いた。U字管からニードルバルブまでをゴム管で接続し、アセトンまたは食酢を加熱によって蒸発させ、スペクトルを記録した。何れの2つの試料についても、(試料)取得の間にはチャンバ圧力を10-6mbar未満にまで下げた。
【0047】
図5から分かるように、アセトンおよび食酢は認識できたが、空気は2度に渡って食酢と混同された(空気の第2試料および第3試料)。しかし、15個の試料のうち13個までが正しく認識できたので、これらの結果は期待の持てるものである。広い範囲からトレーニング試料の組を採用すれば判定の正確さが向上すると期待できる。
【0048】
隠れ層の効果
両方の隠れ層におけるPEを0に減らすと共に入力端を同じ数に保つことにより、隠れ層のPEを減らすことによる効果を調べた。この場合には、学習過程は隠れ層を用いた場合と同様にうまく行ったが、試験段階での結果には若干の差異が認められた。隠れ層を0に減らした場合のこの過程の結果を図6に示した。
【0049】
図6からは、アセトンと食酢とがまだ認識できることが分かる。しかし、空気の最初の3つの試料について図5の結果と比較すれば差異が認められる。第1のものでは、認識はできたが、値が減少している(実際の出力の第1の欄)。第2および第3のものでも、第1のものと同様に、値が変化しており、分類の程度が悪化している。差異が最も小さいものでも、この状況が認められる。より大きなトレーニング用の組を用いればこの差異はより大きくなるだろう。したがって、隠れ層(198個の入力、100〜50個のPE)を有するネットワークの方がより良好な結果が得られる。
【0050】
過負荷の効果
特徴の数が過多であることによってシステムが過負荷となる危険性について説明する。この状況は、トレーニング試料の数に比べて特徴の数が多すぎる場合に発生する。この実験ではたった30個の試料を用いてトレーニングを行ったので過負荷の危険性がある。グリッドの解像度を非常に高くしたような構成ではセル/入力の数が過多になる。この状況が起こった場合には、ANNは、何らかの単一試料の特異的な特徴は検出できるかも知れない。その場合には、その試料を何らかの所望のクラスの組に完全に分類できるであろう。
【0051】
図7には、誤った指導によるトレーニングで得られた分類(結果)を示してある。この場合には、(実際の)試料に対応しない目標出力を与えることによりNNをトレーニングした。例えば、最初の3つの空気試料の場合では3つの相異なる可能な出力(001、010、100)を用いてトレーニングした。分類は適切に行えなかった。例えば、第1の空気試料は非常に混乱した値(0;0;1ではなく0.2;0.4;0)に分類された。その他の行でも同様に混乱した結果が得られている。これは、過負荷の可能性を除けば、このクラスの組では分類が簡単には行えないことを意味している。
【0052】
コーヒー豆の認識
図1の装置を用いて2種類のコーヒー豆を区別することを試みた。この場合には、特徴抽出のためのグリッド解像度を100*0.05と設定した。ニューラルネットワークは、100個のPEを有する隠れ層1と、50個のPEを有する隠れ層2とで構成した。入力端は198個であった。
【0053】
この実験では、試料Aおよび試料Bという相異なる2つのブレンドのコーヒー豆を用いた。各試料は相異なる2つの販売元から購入したものである。食酢およびアセトンの場合と同じ方法で蒸発させ(試料)取得を行い、気体を発生させた。全部で16個の試料について分類して、トレーニングを首尾よく終えた。
【0054】
図8に試料識別の結果を示してある。この図からは、認識がうまく行っていないことが分かる。セルの数と隠れ層のPEの数は充分であるように見える。満足のいく結果が得られなかった理由は、コーヒーを蒸発させることの困難さに起因する(試料)取得手順の失敗によると推測された。この仮説を検証するために、U字管による蒸発システムを取外し、管をコーヒー容器に直接に差込むことにより豆からの臭気を取得した。この修正した(試料)収集手法を用いた場合には、相異なる2つのブレンドの30個の試料の分類が問題なく行えた。試験結果を図9に示した。この図から、10個の試料のうちの9個が正しく認識されていることが分かる。
【0055】
図10には気体認識に利用できる別のシステムを示してある。このシステム全体は、プラズマディスプレイ34、気体流量制御システム、駆動電子回路、スペクトル取得システム、という4つの主要なサブシステムに分割できる。
【0056】
図11にはプラズマディスプレイ34の様々な部品を示してある。これはフォトリソグラフィ処理で製造される。プラズマディスプレイ34は、酸化スズの帯40がパターン形成されている2つのガラス板36および38を備えており、これらの帯40がプラズマ電極を形成している。ガラス板36および38は、酸化スズの帯40どうしが内側で向き合うように配置されている。板36および38の上にはそれぞれ4つの電極帯40が設けてある。帯と帯との間の交点が画素を画定している。したがって、図11のディスプレイには16個の画素がある。それぞれの電極の1つずつに電圧を印加できるので、所望の画素を「点灯」させることができる。スペーサ42が2つのガラス板36および38を離間させている。スペーサ42は、真空接着剤またはその他の適切な材料を各面にいくらか塗ったテフロン(登録商標)またはソフトシリコンゴムのフィルムであっても良い。ガラス板の内面どうしの間隔は、実質的に40〜200μm、好ましくは50〜100μm、の範囲である。気体入口44および気体出口46として、上側ガラス板に2つの孔44および46が穿孔されている。または、ガラス板をSiで置換え、酸化スズ電極はドープしたシリコンで置換えても良い。この場合には、プラズマディスプレイをMEMS型の装置として製造できる。
【0057】
プラズマディスプレイの気体出口には、気体流量制御システムの一部分であるポンプを接続する。気体流量制御システムはプラズマディスプレイ34からポンプに至る配管系を備えており、この配管系48上には圧力計50およびバルブ52が設けてある。圧力計50は、MKS社から購入した626型バラトロン電気容量マノメータ(「バラトロン」は商標)である。このマノメータの測定全範囲は1000mmHgであり、読出し精度は0.25%である。バルブ52は、ポンプ54への流出量を制御して所望の圧力を維持するために必要である。ポンプ54はロータリーポンプと拡散ポンプとを直列に接続したものである。ディスプレイ34の気体入口44は、相異なる2つの気体の質量(流量)と濃度とを調節する2つのマスフローコントローラ56および58に接続されている。マルチチャンネルの気体流量圧力コントローラ60が2つのマスフローコントローラ56および58を制御し、バラトロン・マノメータ50から圧力を読出す。この装置には、様々な機能と共に、流量設定点と導入すべき気体の濃度とが設けてあり、自動的に維持される。
【0058】
プラズマディスプレイ34を駆動してプラズマを発生させるための駆動回路62が設けてある。この装置では直流0〜700Vの範囲の電圧を供給できる。この駆動回路を信号発生器に接続すれば、−300〜300Vの範囲で振動する交流信号を供給できる。この回路は8つの電極帯の全てを個別に制御でき、電流制限用の可変抵抗(0〜10M)に直列に接続している。HM2000はPCインターフェースとラボビュー・プログラムとを備えており、これらによって、印可電圧と、ディスプレイ電極における電圧と、電流とが計測できる。印可電圧はHM2000の前面パネルまたはPCの何れかから制御できる。暫定的にDAQカード64が用いられており、これには出力端がないので印可電圧は手動で制御する必要がある。
【0059】
プラズマが発生している際には光が放出され、この光は光ファイバを通して分光計66に導かれる。この分光計は、オーシャン・オプティックス社製のPC1000型PCプラグイン分光計66である。これはPCの標準ISAバススロットに装着できる小型分光計66である。そのスペクトル範囲は350〜850nmであり、ブレーズ波長は500nmである。分光計66と共にソフトウエアOOIBaseが備えてある。OOIBaseはデータを取得し、バックグランド関数引去りや積分などの基本操作を行う。平滑化などのその他の機能も備えている。分光計66は自己較正されているはずだが、線シフトがいくらか起こり得る。したがって、ヘリウム・ネオンレーザで追加の較正を行ってある。
【0060】
図10のシステムを使用する際には、認識すべき気体をガス入口からプラズマディスプレイに導入する。このようにして導入された気体はガラス板36および38およびスペーサ42の間を流れる。次いで、電極40に電圧を印加してプラズマ18を発生させる。プラズマが発生すれば固有のスペクトルを有する光が放出される。ガラス板は実効的には導波路として機能し、そこから分光計66に延びている光ファイバまで放出光を導く。図1の構成と同様に、分光計66は受取った光を分析して気体の識別を助けるように構成されている。
【0061】
アセトンの認識
アセトンをガラス製のU字形ジャーに入れ、その開口を2つのマスフローコントローラ56および58の一方の入口に取付けた。他方のマスフローコントローラはアルゴンのボトルに接続した。空気と混合したアセトンを20sccmで流し、アルゴンを0.8sccmで流し、20.8Torr程度の圧力に保った。アルゴンは放電を容易にするために必要であった。電極40間に610Vの電圧を印加した。得られた発光からスペクトルを取得した。マスフローコントローラの入口をアセトンのジャーの開口部に単に置いただけの状態で別のスペクトルの組を取得した。この場合には、入口管から周囲の空気も同時に試料採取された。空気によるプラズマ発光から第3のスペクトルの組を取得した。比較に先立ち、各スペクトルをエネルギー(含有)量に応じて規格化した。
【0062】
最も明瞭な差異は383.69nm近辺に認められる。空気中の元素によるいくつかのその他のピークがアセトン関連のピークを覆い隠している(基質効果)。しかし、アセトン臭気の検出は依然として可能である。
【0063】
密閉ジャーでの試料採取と開放ジャーでの試料採取との間の差異からは、定量する能力があることが示唆されている。これらの結果は、このような簡単な手法を用いることにより体内流体(例えば、呼気)中のアセトンの過剰産生を引起こす病気の診断ができることを示している。スペクトル範囲やスペクトル分解能を変更したり計量化学的(chemometric)手法を用いたりすれば、性能を著しく向上させることができる。
【0064】
図1および図10の構成における気体認識の能力には、数多くの役に立つ用途がある。例えば、医療では、喘息患者の呼気は健常者のものと異なることが知られている。したがって、或る人の吐息における気体の差異を検出すればその人が喘息患者かどうかを識別できる。
【0065】
喘息の診断
喘息被験者および健常被験者に息を風船に詰めてもらった。このようにして、マスフローコントローラを通して呼気をマイクロチャンバに移した。流量は、アルゴンに対して0.8sccm、呼気試料に対して20sccmであった。まず、重症の喘息患者、中程度の喘息患者、健常被験者、のそれぞれからの呼気のセットを取得した。発光スペクトルを図12に示した。スペクトルには明瞭な差異が現れており、この装置が診断装置として有望であることを示している。
【0066】
プラズマ発光および人工ニューラルネットワークに基づいて、気体を検出し認識するシステムを開発した。このシステムでは、アセトンと食酢の差や、コーヒー豆のブランド間の差、などの類似の化学組成を区別できる。このシステムの正確さは、ニューラルネットワークに提示するトレーニング試料の数と、ネットワークの構成(PEの隠れ層)と、特徴抽出に用いるグリッドの解像度とに依存する。しかし、比較的少数のトレーニング試料とニューラルネットワークの比較的わずかな操作とを用いているにも拘らず、この識別方法の正確さは良好である。このシステムが安定して動作することも長所である。
【0067】
開示した構成に対して本発明から乖離することなしに変更可能なことは当業者には明らかである。したがって、個別の実施例に対する上述の説明は例示のためだけに行ったのであり、制限を加えるものではない。特に、上述の装置および方法に対して著しい変更を加えずに僅かな改変を為し得ることは当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1のプラズマ発光分光器のブロック図
【図2】 分析の過程を示す図
【図3】 図1の分光器を用いて収集したスペクトルの解析に用いられるパーセプトロンの模式図
【図4】 5つの空気試料および窒素試料に対する識別結果を示す表
【図5】 5つの空気試料、アセトン試料、および食酢試料に対して、分析基準の第1の組を用いて得られた識別結果を示す表
【図6】 5つの空気試料、アセトン試料、および食酢試料に対して、分析基準の第2の組を用いて得られた識別結果を示す表
【図7】 10の空気試料、アセトン試料、および食酢試料に対して、分析基準の第3の組を用いて得られた識別結果を示す表
【図8】 第1の方法を用いて収集した2つの未知試料AおよびBに対する識別結果を示す表
【図9】 別の方法を用いて収集した試料AおよびBに対する識別結果を示す表
【図10】 別のプラズマ発光分光器のブロック図
【図11】 図10の分光器に用いられているセンサの構成部分の分解図
【図12】 図10のシステムを用いて分析した試料の様々なスペクトルを示す図

Claims (12)

  1. 気体を識別するシステムであって、このシステムは、識別すべき気体を用いてプラズマを形成する手段と、このプラズマから放出された光を検知するセンサと、検知された光に関する情報を用いて気体を識別すべく構成された処理装置と、を備えており、
    プラズマを形成する前記手段は、セルの一部分として配置された電極と、両者間に領域を形成する互いに対向する第1および第2の基体を備えた前記セルとを備えており、前記第1の基体は前記領域に隣接する電極の第1のアレイを備えており、前記第2の基体は前記領域に隣接する電極の第2のアレイを備えており、これらの電極は全体として、個別にアドレス指定可能な要素のアレイを構成するとともに、前記領域中にプラズマを形成するために個別に動作できるように形成されていることを特徴とするガス放電分光用システム。
  2. 前記基体の少なくとも一方が、前記プラズマから放出された光に対する導波路として機能できることを特徴とする請求項1に記載のガス放電分光用システム。
  3. 各アレイ上の前記電極が直線状であることを特徴とする請求項1または2に記載のガス放電分光用システム。
  4. 前記電極アレイが前記基体の内部セル表面上に配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のガス放電分光用システム。
  5. 前記基体の少なくとも一方が、関係する分光計波長に対して透明な材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のガス放電分光用システム。
  6. 前記基体の少なくとも一方の全体、または実質的な部分、がガラスで形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のガス放電分光用システム。
  7. 前記電極どうしが実質的に40〜200μm、好ましくは50〜100μm、の範囲の量だけ離間されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のガス放電分光用システム。
  8. 前記電極どうしがスペーサによって離間されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のガス放電分光用システム。
  9. 前記電極が誘導性結合によって励起されることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のガス放電分光用システム。
  10. 既知の気体に関するスペクトルまたはデータを記憶するメモリを備えているシステムであって、このスペクトルまたはデータが処理装置によって気体を識別するために使用されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のガス放電分光用システム。
  11. 気体を識別する方法であって、識別すべき気体を用いてプラズマを形成することと、このプラズマから放出された光を検知することと、検知された光を用いて気体を識別することを備えており、
    プラズマを形成する前記ステップは、セルの一部分として電極を配置し、前記セルは両者間に領域を形成する互いに対向する第1および第2の基体を備えており、前記第1の基体は前記領域に隣接する電極の第1のアレイを備えており、前記第2の基体は前記領域に隣接する電極の第2のアレイを備えており、前記電極全体として、個別にアドレス指定可能な要素のアレイを構成するとともに、個別に動作して前記領域中にプラズマを形成することを特徴とするガス放電分光方法。
  12. 既知の気体を用いてプラズマを形成することと、この既知の気体のプラズマから放出された光を検知することと、この既知の気体に関するスペクトルを記憶することとを更に備えていることを特徴とする請求項11に記載のガス放電分光方法。
JP2002546193A 2000-11-30 2001-11-29 ガス放電分光用システムおよび方法 Expired - Lifetime JP3992618B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GBGB0029218.5A GB0029218D0 (en) 2000-11-30 2000-11-30 Improvements relating to gas discharge spectroscopy
PCT/GB2001/005290 WO2002044698A1 (en) 2000-11-30 2001-11-29 System and method for gas discharge spectroscopy

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004514903A JP2004514903A (ja) 2004-05-20
JP3992618B2 true JP3992618B2 (ja) 2007-10-17

Family

ID=9904177

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002546193A Expired - Lifetime JP3992618B2 (ja) 2000-11-30 2001-11-29 ガス放電分光用システムおよび方法

Country Status (9)

Country Link
US (1) US7361514B2 (ja)
EP (1) EP1337836B1 (ja)
JP (1) JP3992618B2 (ja)
KR (1) KR20030051891A (ja)
AT (1) ATE356989T1 (ja)
AU (1) AU2002220850A1 (ja)
DE (1) DE60127292T2 (ja)
GB (1) GB0029218D0 (ja)
WO (1) WO2002044698A1 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7511246B2 (en) * 2002-12-12 2009-03-31 Perkinelmer Las Inc. Induction device for generating a plasma
US7342479B2 (en) * 2003-04-28 2008-03-11 Eikos, Inc. Sensor device utilizing carbon nanotubes
FR2866956B1 (fr) * 2004-02-26 2006-05-19 Cit Alcatel Detection d'especes gazeuses minoritaires par spectroscopie d'emission optique
FR2866954B1 (fr) 2004-02-26 2006-07-14 Cit Alcatel Detection d'especes gazeuses par spectroscopie d'emission optique a traitement de spectre
US7401497B2 (en) * 2005-10-31 2008-07-22 Honeywell International Inc. Microdischarge detector method and apparatus
US7417730B2 (en) * 2006-03-31 2008-08-26 Los Alamos National Security, Llc Apparatus and method for monitoring breath acetone and diabetic diagnostics
EP2183575A1 (en) * 2007-08-08 2010-05-12 Elan Vital (UK) LTD Flowing fluid analyser systems
DE102007059652A1 (de) 2007-12-10 2009-06-18 Eads Deutschland Gmbh Gassensor mit einer verbesserten Selektivität
CN101349671B (zh) * 2008-09-04 2011-08-31 上海交通大学 场效应管与分子电离融合的气体传感器
CN101408514B (zh) * 2008-09-04 2010-08-18 上海交通大学 基于气体放电光谱分析的气体传感器及其检测气体的方法
CN101349665B (zh) * 2008-09-04 2011-06-08 上海交通大学 吸附与电离互补增强的气体传感器
CA2796815C (en) * 2010-05-05 2019-06-25 Perkinelmer Health Sciences, Inc. Inductive devices and low flow plasmas using them
TWI385030B (zh) * 2010-12-22 2013-02-11 Univ Nat Chiao Tung 具有氣泡之微流體系統及其氣體放電方法與氣體反應方法
US9080982B1 (en) * 2011-04-14 2015-07-14 William J. Asprey Spectrographic applications of trichel pulses
US9719932B1 (en) 2013-11-04 2017-08-01 Kla-Tencor Corporation Confined illumination for small spot size metrology
BR112017007964A2 (pt) * 2014-10-22 2018-01-23 Koninklijke Philips Nv aparelho para torrar café, aparelho para coar café, e método para torrar grãos de café em um compartimento de um aparelho para torrar café
RU2597943C1 (ru) * 2015-07-15 2016-09-20 Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Институт автоматики и электрометрии Сибирского отделения Российской академии наук (ИАиЭ СО РАН) Способ мониторинга малых примесей ацетона в выдыхаемом воздухе пациента и устройство для его реализации
CN113049500B (zh) * 2021-03-19 2022-12-06 杭州海康威视数字技术股份有限公司 水质检测模型训练和水质检测方法、电子设备及存储介质

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3798501A (en) * 1972-01-14 1974-03-19 Owens Illinois Inc Electronic conditioning of gas discharge display/memory device
US5085499A (en) * 1988-09-02 1992-02-04 Battelle Memorial Institute Fiber optics spectrochemical emission sensors
GB9825722D0 (en) * 1998-11-24 1999-01-20 Imperial College Plasma chip

Also Published As

Publication number Publication date
DE60127292D1 (de) 2007-04-26
JP2004514903A (ja) 2004-05-20
US7361514B2 (en) 2008-04-22
ATE356989T1 (de) 2007-04-15
WO2002044698A1 (en) 2002-06-06
EP1337836B1 (en) 2007-03-14
GB0029218D0 (en) 2001-01-17
US20040106213A1 (en) 2004-06-03
DE60127292T2 (de) 2008-01-03
KR20030051891A (ko) 2003-06-25
AU2002220850A1 (en) 2002-06-11
EP1337836A1 (en) 2003-08-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3992618B2 (ja) ガス放電分光用システムおよび方法
US11092580B2 (en) Diagnostic apparatus
US6996478B2 (en) Multiple sensing system and device
TWI414274B (zh) 氣體分析的系統和方法
US20150355084A1 (en) Optimizing analysis and identification of particulate matter
CN106841325A (zh) 一种基于半导体气敏传感器阵列检测呼出气体装置
Hidayat et al. Hybrid learning method based on feature clustering and scoring for enhanced COVID-19 breath analysis by an electronic nose
Müller et al. A MEMS toolkit for metal-oxide-based gas sensing systems
US10866204B2 (en) Method and apparatus for vapor signature with heat differential
Amrani et al. Multi-frequency measurements of organic conducting polymers for sensing of gases and vapours
Illahi et al. Electronic Nose Technology and Application: A Review
Aksoy et al. Classification of VOC vapors using machine learning algorithms
CN108169290A (zh) 半导体传感器及沙林气体或者沙林模拟剂气体的定量检测方法
Szczurek et al. Gas sensor array with broad applicability
Borecki et al. Miniature gas sensors heads and gas sensing devices for environmental working conditions—A review
Fraden Chemical sensors
KR102456291B1 (ko) 가변광조사를 이용한 광활성 가스센서의 가스종 식별방법
CN112986332B (zh) 一种基于动态温度调制的VOCs检测方法及系统
Chuanzhi et al. A novel toxic gases detection system based on saw resonator array and probabilistic neural network
CN112986332A (zh) 一种基于动态温度调制的VOCs检测方法及系统
Omatu et al. Smell classification of wines by the learning vector quantization method
Hawari et al. Sensory system for detection of Harumanis mango fruit maturity
CN115372548A (zh) 一种非侵入式植物挥发物检测系统和方法
Nicolas et al. Development of a mobile compound composition tester. Phase I: feasability study at laboratory level. Final Report
KR20020038981A (ko) 휘발성 유기화합물을 검지할 수 있는 전도성고분자 어레이및 그 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A529 Written submission of copy of amendment under article 34 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A529

Effective date: 20030729

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031014

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061017

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20070116

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20070116

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20070123

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070612

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070724

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3992618

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110803

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110803

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120803

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120803

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130803

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term