JP3988982B2 - SiCN薄膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に窒化炭化ケイ素薄膜(SiCN薄膜)を形成する方法に関し、この方法は、基板上に薄膜を形成する産業分野、例えば、発光ダイオード(LED)、磁気ディスク、半導体レーザ等の分野や、耐摩擦摩耗性の硬質薄膜が必要とされる産業分野で利用できる。
【0002】
【従来の発明】
従来のSiCN薄膜形成方法を実施するための成膜装置の概略の構成を図1に示す。この成膜装置は、成膜チャンバー(以下、チャンバーと称す。)1に真空排気システム及びガス導入系が設けられたものである。チャンバー1内には、SiCN薄膜を形成するための基板2が基板ホルダー3上に固定して取り付けられており、この基板ホルダーの背面には基板を加熱するための加熱ヒータ4が取り付けられている。基板ホルダー3は、図中には示されていないが、チャンバー1内にブラケット等で固定されている。基板としては、SiやSiCからなる基板が用いられている。チャンバー1には、このチャンバーを排気するための高真空ポンプ5が仕切バルブ6を介して取り付けられ、さらに、チャンバー1と仕切バルブ6との間にコンダクタンスバルブ7が取り付けられている。
【0003】
また、チャンバー1には、Si、C及びNのそれぞれの原料のガス導入系8、9及び10が、それぞれ、ガス導入チューブを介して接続されている。すなわち、ガス導入系8としては、仕切バルブ8−1、ガス流量調整器(マスフローコントローラ)8−2、仕切バルブ8−3、ガス圧力調整器(レギュレータ)8−4及びガスボンベ8−5が、また、ガス導入系9としては、仕切バルブ9−1、ガス流量調整器9−2、仕切バルブ9−3、ガス圧力調整器9−4及びガスボンベ9−5が、この順序で、それぞれ、ガス配管で接続されている。ガスボンベ8−5にはシランガス(SiH)が充填されており、ガスボンベ9−5にはプロパンガス(C)が充填されている。さらに、ガス導入系10としては、仕切バルブ10−1、ガス流量調整器10−2、仕切バルブ10−3、ガス圧力調整器10−4及びガスボンベ10−5が、この順序で、それぞれ、ガス配管で接続されている。ガスボンベ10−5には窒素ガスが充填されている。
【0004】
図1に示す装置を用いて、以下のようにして、熱CVDプロセスにより基板上にSiCN膜を形成する。
まず、仕切バルブ6とコンダクタンスバルブ7を開にし、真空ポンプ5を駆動させてチャンバー1内の真空排気を行う。チャンバー1内が10−3Torr以下に到達した時点で、それぞれのガス導入系8、9において、仕切バルブ8−1及び8−3、並びに9−1及び9−3を開にし、ガス流量調整器8−2、9−2を調整して、ガス圧力調整器8−4、9−4の2次圧力を約1気圧(絶対圧力)に設定し、2つのガスボンベ8−5、9−5から、それぞれ、シランガス、プロパンガスの所定量をチャンバー1内に導入する。一方、ガス導入系10においても、仕切バルブ10−1及び10−3を開にし、ガス流量調整器10−2を調整して、ガス圧力調整器10−4の2次圧力を約1気圧(絶対圧力)に設定し、ガスボンベ10−5から、窒素ガスの所定量をチャンバー1内に導入する。この3種類のガスを、基板ホルダー3に固定した基板2の上に導入する。この3種類のガスは基板ホルダー3上の基板表面に降り注ぎ、堆積していく。コンダクタンスバルブ7の開放度を調節し、成膜中の圧力を20〜30Torrに設定する。このようにして、基板2の表面上にSiとCとNとHとが積層する。
【0005】
次いで、加熱ヒータ4を用いて基板ホルダー3を800℃〜900℃程度まで加熱し、基板2を高温の状態にすると、膜中に含有しているHが抜けていき、膜中に純度の高いSiCNが残る。処理された基板を真空中で室温に近い温度まで暫く冷却した後、図中には示されていないが、ベントバルブを開放し、チャンバー1内を大気圧に戻して、基板取り出し窓よりSiCN膜が形成された基板を取り出す。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
従来のシランガスとプロパンガスと窒素ガスとを用いた単純な熱CVDプロセスによるSiCN成膜方法では、成膜温度を非常に高温(800℃以上)にする必要があり、低温プロセスでのSiCN成膜には対応できないという問題があった。
本発明の課題は、従来技術のもつ上記問題点を解決することにあり、低温プロセスで、簡単にかつ再現性良くSiCN薄膜を形成する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のSiCN薄膜の形成方法は、成膜チャンバー内に設置された基板上にSiCN薄膜を形成する方法であって、ヘキサメチルジシラン [( CH ) ( Si ) ]を気化せしめて得た材料ガスを、1以上の加熱手段により所定の温度に保持しながら該基板上に吹き付け、一方、質量分離機構を有しないイオンビーム照射装置により、窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種、又は窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種と、Ar、He、Ne、Kr、Xe及び水素ガスから選ばれた少なくとも1種との混合ガスから発生させたイオンビームを該材料ガスの吹き付けと同時に該基板上に照射し300℃以下、好ましくは室温〜300℃、さらに好ましくは室温〜100℃でSiCN薄膜を形成することからなる。300℃を超えると有機物等のような耐熱性に劣る材料を使用することができない。本発明の方法によれば、室温のような低温でも、所望のSiCN薄膜を形成することができる。
【0008】
この場合、前記イオンビームを、イオンビーム照射装置に設けられたマイクロ波発生装置により、窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種、又は窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種と、Ar、He、Ne、Kr、Xe及び水素ガスから選ばれた少なくとも1種との混合ガスにマイクロ波を照射し発生させたプラズマ中のイオンから形成して、該イオンビームを照射してSiCN薄膜を形成することが好ましい。また、前記イオンビームを、300eV以下で基板上に照射せしめることが好ましい。
本発明のSiCN薄膜の形成方法は、成膜チャンバーに、真空排気系と、材料ガス導入系と、質量分離機構を有しないイオンビーム照射装置とを備え、材料ガス導入系が、ヘキサメチルジシラン [( CH ) ( Si ) ] を充填するボトルと、ボトルを所定の温度に保持する第1の加熱手段としての恒温槽と、気化されたヘキサメチルジシラン [( CH ) ( Si ) ] を輸送するガス配管と、ガス配管の周囲に設けられた第2の加熱手段としてのベークオーブンと、ガス配管の下流側に設けられた材料ガス導入パイプ部分と、この材料導入パイプ部分の温度を調整するヒータ線とからなり、イオンビーム照射装置が、マイクロ波発生装置と、イオン源と、プラズマ生成用ガス導入系とからなるSiCN薄膜形成装置を用いて、該成膜チャンバー内に設置された基板上にSiCN薄膜を形成する方法であって、ヘキサメチルジシラン [( CH ) ( Si ) ] を気化せしめて得た材料ガスを、該各加熱手段により所定の温度に保持しながら輸送して該基板上に吹き付け、一方、マイクロ波発生装置により、プラズマ生成用ガス導入系から導入された窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種、又は窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種と、Ar、He、Ne、Kr、Xe及び水素ガスから選ばれた少なくとも1種との混合ガスにマイクロ波を照射し、発生せしめたプラズマ中のイオンを用いたイオンビームを該材料ガスの吹き付けと同時に300eV以下で該基板上に照射し、300℃以下でSiCN薄膜を形成することを特徴とする。このようにして得られたSiCN薄膜が、Si−C結合、Si−N結合、C=N結合及びC≡N結合を有することが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態として、成膜チャンバーに真空排気系、ガス導入系、質量分離機構を有しないイオンビーム照射装置が設けられたSiCN薄膜形成装置を用いて、該チャンバー内に設置された基板上にSiCN薄膜を形成する方法について説明する。図2に、本発明のSiCN薄膜の形成方法を実施するための成膜装置の一構成例を模式的に示す。
本成膜装置は、ステンレススチール等の金属製の成膜チャンバー(以下、チャンバーと称す。)に、真空排気系、ガス導入系、並びにマイクロ波発生装置及びイオン源を有するイオンビーム照射装置を設けて構成されている。なお、イオン源としては、無電極イオン源であるマイクロ波イオン源であれば良い。
【0010】
チャンバー11内には、基板ステージ12が設けられ、この基板ステージ上に基板13が取り付けられる。基板としては、Si(100)からなる基板が用いられる。基板ステージ12には、碍子14を介して、基板サポート15が取り付けられている。基板ステージ12にはまた、チャンバー11の壁面を貫通して取り付けられた電流導入端子16を介して、バイアス電源17がケーブルで接続され、この電流導入端子はバイアス電源のマイナス出力端子にケーブルで接続されている。バイアス電源17のプラス端子側はアースに接地されている。このように、バイアス電源17からの直流電圧が基板ステージ12に印加できるように構成して、以下述べるマイクロ波発生装置により出力されたマイクロ波で生じたプラズマに作用し、プラズマ中のイオンを基板上に照射できるようになっている。また、チャンバー11には、電離真空計等の真空計18が取り付けられ、チャンバー内の真空度を測定し、モニターできるようになっており、また、ベントバルブ19が取り付けられ、チャンバー内を排気できるようになっている。
【0011】
チャンバー11に接続された高真空排気システム20は、仕切バルブ20−1、高真空排気ポンプ(例えば、拡散ポンプ)20−2、仕切バルブ20−3、油回転ポンプ(以下、ロータリポンプと称す。)20−4からなり、これらがこの順次で金属製真空配管で接続されている。仕切バルブ20−3とロータリポンプ20−4との間にはピラニ真空計のような真空計20−5が取り付けられ、チャンバー11内の圧力を測定し、モニターできるようになっている。
【0012】
チャンバー11の壁面を貫通して取り付けられた材料ガス導入系21は、チャンバー11内に設けられた材料ガス導入パイプ部分21−1の先端開口部が基板13の表面上に向けられ、基板に材料ガスが十分に供給されるように構成されている。チャンバー内に設けられている材料ガス導入パイプ部分には、ヒータ線のような加熱手段21−2が巻回されており、材料ガス温度を適宜に調整できるようになっている。材料ガス導入系21のチャンバー11の外側には、仕切バルブ21−3、マスフローコントローラ(ガス流量調整器)21−4、仕切バルブ21−5、ヘキサメチルジシラン(沸点:113℃)のような材料21−6が充填されたボトル21−7がこの順序で配設され、それぞれがガス配管により接続されている。材料の充填されたボトル21−7は、恒温槽21−8内に置かれて加熱できるようになっている。チャンバー11の外壁面から仕切バルブ21−5とボトル21−7との接続部分までは、ガス配管を含めてベークオーブンのような加熱手段21−9で覆って所定の温度を保持できるように構成されている。ボトル21−7にはフローメータ21−10が設けられ、このフローメータは後述するイオン源のプラズマ生成用ガス導入系に接続されている。
【0013】
プラズマ生成用ガスを励起するためのマイクロ波発生装置22は、マイクロ波を導入するためのアンテナ管22−1、直流電圧をカットするためのDCカットユニット(以下、DCカットと呼称。)22−2、スリースタブチューナ(以下、単にチューナと呼称。)22−3、入射/反射検出器(以下、PrPfユニットと呼称。)22−4、アイソレータ22−5、マイクロ波発振器22−6からなり、これらがこの順序で直接に又は導波管を介して、直線的又は屈曲して接続されている。これらの22−1〜22−6の要素は電気的な接触を持って組み立てられ、マイクロ波電源に接続されている。
【0014】
チューナ22−3は、マイクロ波をチャンバー11内に導入する際に、プラズマが発生する前と発生した直後とではマイクロ波に対する負荷が違い、それに伴ってマイクロ波の反射の度合いが違ってくることから、負荷の違いによる反射の度合いを変えるために用いるものであり、電界(E)、磁界(B)を変化させ、反射を軽減する機能を有する。スリースタブチューナの場合には、例えば、3本の金属棒22−3aを導波管内に差し込むことによって反射の度合いを調節する。
入射/反射検出器22−4は、上記のようにマイクロ波が反射される際の電力と負荷に入力される際の電力とを検出し、モニターして、マイクロ波電力を所定の値に調整するためのものである。
【0015】
また、アイソレータ22−5は、マイクロ波発振器22−6より出力されたマイクロ波のうち反射されたマイクロ波が発振器に戻ってくると、これが発振器中のマグネトロン(管球)に照射されてマグネトロンの寿命を縮めてしまうので、そのために、反射されたマイクロ波のパワーを吸収するためのものである。
なお、チューナ22−3の下流側には、例えば、キャビティ部が接続されていてもよく、このキャビティ部の下面には複数個のスリットが設けられ、マイクロ波はこれらのスリットから漏れ出し、チャンバー11内に導入され得る。
【0016】
チャンバー11に設けられたイオン源23には、マイクロ波発生装置22及びプラズマ生成用ガス導入系24が接続されている。マイクロ波発生装置22からのマイクロ波及びプラズマ用ガス導入系24からのガスがイオン源23内に導入されるとプラズマが発生し、チャンバー11内にプラズマが導入できるように構成されている。このガス導入系24は、仕切バルブ24−1、マスフローコントローラ(ガス流量調整器)24−2、仕切バルブ24−3、レギュレータ(ガス圧力調整器)24−4、プラズマ生成用ガスが充填されたガスボンベ24−5からなり、この順序でチャンバー11に金属製ガス配管で接続されている。
【0017】
また、上記成膜装置では、原料ガスを解離(励起)するためにプラズマ(イオン)を照射する手段を用いたが、電子ビーム発生装置で電子を照射して励起する手段を用いても良い。
なお、上記薄膜形成装置を用いる場合、照射するイオンとしては、上記したように、窒素ガスやアンモニアの単独若しくは混合ガス、又はこの単独ガス若しくは混合ガスと、希ガスであるAr、He、Ne、Kr、Xeや水素ガスとの混合ガスから得られたイオンを用いることでき、また、材料物質としては、例えば、ヘキサメチルジシラン、テトラエチルシラン[Si(C)]等の、少なくとも炭素、ケイ素、水素を含み、液体である有機ケイ素を用いることができる。
【0018】
【実施例】
図2に示す成膜装置を用いて、低温プロセスにより、基板上にSiCN薄膜を以下のようにして形成した。
【0019】
まず、高真空排気システム20を稼働させてチャンバー11内及びイオン源23内を10−5Torr以下に到達せしめ、その時点で材料ガス導入系21を稼働させた。まず、プラズマ生成用ガス(窒素ガス)のガスボンベ24−5の元バルブを開放し、ガス圧力調整器24−4の2次側圧力を1気圧(絶対圧力)に設定し、フローメータ21−10のガス流量調整つまみを調整し、ガス流量を約100sccmに設定して窒素ガスを流した。この状態で窒素ガスをボトル21−7内のヘキサメチルジシラン(約200ml)21−6の液体中に導入し、バブリングさせて、ヘキサメチルジシランガスを材料ガス導入系21のガス導入パイプ21−1を介してチャンバー11内に輸送した。すなわち、恒温槽21−8に電力を投入し、ヘキサメチルジシラン収容のボトル21−7を室温より少し高めになるように加熱し、材料ガスが発生したら仕切バルブ21−3及び仕切バルブ21−5を開にし、ガス流量調整器21−4を調整し、ガス導入パイプ21−1内を通過させて基板13の表面に気化されたガスを吹き付けた。この時、ヒータ線21−2とベークオーブン21−9とを所定の温度に設定し、気化したヘキサメチルジシランガスがチャンバー11内のガス導入パイプ21−1を含めて配管内部で冷却されて凝結しないようにした。この状態でガス導入パイプ21−1の先端開口部からヘキサメチルジシランガスを基板13の表面に吹き付けた。
【0020】
次に、窒素ガスボンベ24−5のバルブを開けて圧力調整器24−4の2次圧力を約1気圧(絶対圧力)に設定し、さらに、仕切バルブ24−1及び24−3を開け、マスフローコントローラ24−2のガス流量を3〜5sccmに設定し、イオン源23内に所定量の窒素ガスを供給した。
イオン源23内に窒素ガスが投入された状態で、マイクロ波電源を入れ、マイクロ波発振器22−6よりマイクロ波を約150W出力し(周波数:2.45GHz)、チューナ22−3で入射/反射検出器22−4を観察しながらマイクロ波のパワーを調整した。次いで、DCカット22−2、アンテナ管22−1を介してイオン源23内にマイクロ波を導入し、前記したように導入された窒素ガスを電離し、窒素プラズマを発生させた。シリコン基板13とイオン源23の出口との間は約50mm(d)離れている。
【0021】
この状態で、バイアス電源17より直流電圧を基板ステージ12に−50V出力し、基板13に印加して、イオン源23からの窒素イオンを基板13上に照射した。この時、ガス導入パイプ21−1から基板13上に吹き付けられたヘキサメチルジシランガスと窒素イオンとが混合して基板に付着した。
基板13に所定のエネルギーを持った窒素イオンを投入すると、ヘキサメチルジシランガスが解離、電離して、様々な分子状イオンとなった。このように色々な分子となったものが基板13に印加した電圧(約50V)に相当するエネルギーをもって基板13上に照射された。この状態で、イオン源23からのプラズマの輻射により低温(30℃)で、SiCN薄膜が基板13上に形成された。
【0022】
上記したようにして得られたSiCN薄膜の赤外透過スペクトルを図3示す。この図から明らかなように、波数795cm−1(Si−C)、950cm−1(Si−N)、1580cm−1(C=N)、2150cm−1(C≡N)に特有のスペクトルが現れており、SiCNが成長していることが確認された。
また、図4に上記SiCN薄膜のAFM像を示す。この図から明らかなように、得られた薄膜は、ピンホールが無く、平坦性に優れている膜(粗さRMS:0.2nm以下)であることが判る。
【0023】
上記実施例では、有機ケイ素であるヘキサメチルジシランを解離(励起)するための方法としてイオン源を利用して得た窒素イオンを照射したが、窒素雰囲気中で電子ビーム発生装置を用いて電子を照射し、励起しても同じ効果が得られた。
また、照射するイオンとして上記実施例では窒素イオンを用いたが、その他に、照射するイオンとして、アンモニアガスや、窒素ガス又はアンモニアガスと希ガスHe、Ne、Kr、Xeや水素ガスとの混合ガスから得られたイオンを用いても同様な結果が得られる。
材料ガス物質として上記実施例ではヘキサメチルジシランを用いたが他の液体有機ケイ素、例えば、テトラエチルシラン等を用いても同様なSiCN薄膜が得られる。
【0024】
【本発明の効果】
本発明によれば、へキサメチルジシランのような液体有機ケイ素のガスをSi等からなる基板に吹き付け、一方、イオン源を用いて少なくとも窒素ガス等のプラズマイオンを発生させて、所定のエネルギーを持ったイオンを有機ケイ素ガスと同時に基板表面に対して照射すると、室温のような低い成膜温度でSiCN薄膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の熱CVD法を実施するために用いるSiCN成膜装置の概略の構成図。
【図2】 本発明によりSiCN薄膜を形成するために用いる成膜装置の概略の構成図。
【図3】 本発明の方法に従って得たSiCN薄膜に対する赤外透過スペクトルを示す図。
【図4】 実施例の方法の従って得たSiCN薄膜に対するAFM像を示す顕微鏡写真。
【符号の説明】
1 成膜チャンバー 2 基板
3 基板ホルダー 5 真空ポンプ
8、9、10 ガス導入系 11 成膜チャンバー
12 基板ステージ 13 基板
17 バイアス電源 20 真空排気系
21 材料ガス導入系 22 マイクロ波発生装置
23 イオン源 24 プラズマ生成用ガス導入系

Claims (5)

  1. 成膜チャンバー内に設置された基板上にSiCN薄膜を形成する方法であって、ヘキサメチルジシラン [( CH ) ( Si ) ]を気化せしめて得た材料ガスを、1以上の加熱手段により所定の温度に保持しながら輸送して該基板上に吹き付け、一方、質量分離機構を有しないイオンビーム照射装置により、窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種、又は窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種と、Ar、He、Ne、Kr、Xe及び水素ガスから選ばれた少なくとも1種との混合ガスから発生させたイオンビームを該材料ガスの吹き付けと同時に該基板上に照射し、300℃以下でSiCN薄膜を形成することを特徴とするSiCN薄膜の形成方法。
  2. 前記イオンビームを、イオンビーム照射装置に設けられたマイクロ波発生装置により、窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種、又は窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種と、Ar、He、Ne、Kr、Xe及び水素ガスから選ばれた少なくとも1種との混合ガスにマイクロ波を照射し発生させたプラズマ中のイオンから形成して、該イオンビームを照射してSiCN薄膜を形成することを特徴とする請求項1記載のSiCN薄膜の形成方法。
  3. 前記イオンビームを、300eV以下で基板上に照射せしめることを特徴とする請求項1又は2に記載のSiCN薄膜の形成方法。
  4. 成膜チャンバーに、真空排気系と、材料ガス導入系と、質量分離機構を有しないイオンビーム照射装置とを備え、材料ガス導入系が、ヘキサメチルジシラン [( CH ) ( Si ) ] を充填するボトルと、ボトルを所定の温度に保持する第1の加熱手段としての恒温槽と、気化されたヘキサメチルジシラン [( CH ) ( Si ) ] を輸送するガス配管と、ガス配管の周囲に設けられた第2の加熱手段としてのベークオーブンと、ガス配管の下流側に設けられた材料ガス導入パイプ部分と、この材料導入パイプ部分の温度を調整するヒータ線とからなり、イオンビーム照射装置が、マイクロ波発生装置と、イオン源と、プラズマ生成用ガス導入系とからなるSiCN薄膜形成装置を用いて、該成膜チャンバー内に設置された基板上にSiCN薄膜を形成する方法であって、ヘキサメチルジシラン [( CH ) ( Si ) ] を気化せしめて得た材料ガスを、該各加熱手段により所定の温度に保持しながら輸送して該基板上に吹き付け、一方、マイクロ波発生装置により、プラズマ生成用ガス導入系から導入された窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種、又は窒素ガス及びアンモニアガスの少なくとも1種と、Ar、He、Ne、Kr、Xe及び水素ガスから選ばれた少なくとも1種との混合ガスにマイクロ波を照射し、発生せしめたプラズマ中のイオンを用いたイオンビームを該材料ガスの吹き付けと同時に300eV以下で該基板上に照射し、300℃以下でSiCN薄膜を形成することを特徴とするSiCN薄膜の形成方法。
  5. 得られたSiCN薄膜が、Si−C結合、Si−N結合、C=N結合及びC≡N結合を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のSiCN薄膜の形成方法。
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