JP3988781B2 - 間仕切壁構造およびそれに用いるランナー - Google Patents

Description

本発明は、例えばビル等に設置される間仕切壁構造、およびそれに用いるランナーに関するものである。

従来の間仕切壁においては、要求される性能は遮熱性や遮炎性等であり、このような性能を備えた種々の耐火間仕切壁構造が提供されている。

しかしながら、このような従来の間仕切壁構造においては、地震時における変形あるいは火災時における熱変形等に対する変形追従性については要求されていないのが実状であった。このため、地震時あるいは火災時等には柱梁等の架構側、あるいは壁側が変形し、その結果、柱および梁と壁との間に隙間が生じる等して所要の耐火性能を保持することができないことがあった。火災時、あるいは地震後に火災が発生した場合、隙間が生じると、この隙間から煙が流れ込むため、被害を抑えるためには遮煙性の確保が重要である。

本発明はこのような点を考慮してなされたもので、地震時あるいは火災時における架構側と壁側との間での変形に追従し、耐火性能を維持することのできる間仕切壁構造、およびそれに用いて好適なランナーを提供することを目的としている。

請求項１記載の発明は、耐火性を有した間仕切壁を構成する壁体と、該壁体を囲む柱、梁、スラブ等の架構部材との間に、前記壁体と前記架構部材との相対変形に追従して、前記壁体と前記架構部材との間を塞ぐ変形吸収部材が配設されている間仕切壁構造であって、前記変形吸収部材として、耐火性を有しかつ壁体の面内方向に弾性変形可能なランナーが設けられていることを特徴とする。

請求項２記載の発明は、請求項１記載の発明の間仕切壁構造であって、前記ランナーには壁体の面内方向の弾性変形を許容しつつ面外方向の変形を拘束するスペーサが装着されていることを特徴とする。

請求項３記載の発明は、請求項１または２記載の発明の間仕切壁構造におけるランナーであって、チャンネル状の断面形状をなし、両側部には外側に「く」の字状に折り曲げられたバネ部が形成されていることを特徴とする。

請求項１に係る発明の間仕切壁構造によれば、耐火性を有しかつ壁体の面内方向に弾性変形可能なランナーを変形吸収部材として壁体と架構部材との間に配設したことによって、双方が相対変形したときにもそれらの間の隙間が常にランナーにより塞がれ、耐火性を維持することができる。

請求項２に係る発明の間仕切壁構造によれば、スペーサによってランナーの面内方向の弾性変形が許容されつつ面外方向の変形が拘束されるので、壁体の面外方向の変形を支障なく拘束することができる。

請求項３に係る発明のランナーによれば、チャンネル状の断面形状をなしてその両側部には外側に「く」の字状に折り曲げられたバネ部が形成されているので、その高さ方向すなわち壁体の面内方向に支障なく弾性変形が可能であり、上記の間仕切壁構造に適用するものとして好適である。

以下、本発明に係る間仕切壁構造およびそれに用いるランナーの実施の形態を、図１ないし図５を参照して説明する。図１において、符号１は梁（架構部材）、２は断面視矩形の柱（架構部材）、３はスラブ（架構部材）、３１は間仕切壁、３０は間仕切壁３１と梁１および柱２との間を塞ぐように配設された変形吸収部材としてのランナーである。梁１および柱２は鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造のものであり、鉄骨造の場合にはその表面に例えばモルタル等が吹き付けられて耐火被覆が形成されている。

本実施の形態における変形吸収部材としてのランナー３０を図２（ａ）に示す。これは、従来一般の軽量間仕切壁用の下地材として多用されている軽量鉄骨製のランナーと同様の素材からなるチャンネル状の断面のものであるが、その両壁部には外側に「く」の字状に折り曲げられたバネ部３０ａが形成されており、それらバネ部３０ａの弾性変形によりランナー３０全体がその高さ方向に伸縮できるものとされている。

本実施の形態は、図２（ｂ）に示すように、間仕切壁３１を上記のランナー３０を介して柱２（鋼管柱あるいはコンクリート造の柱）に対して取り付けるもので、上記のランナー３０を若干圧縮させた状態で間仕切壁３１をその両側から保持せしめることにより、間仕切壁３１の側縁と柱２との間にクリアランスを確保し、そこにそのクリアランスを隠すための化粧用の目隠し材３２を取り付けてある。本例では間仕切壁３１としては石膏ボードや珪酸カルシウム板等の不燃ボード３１ａを二重貼りとし、それを中空部を確保してランナー３０の両側にそれぞれ取り付けている。符号３３はランナー３０の高さ方向の弾性変形を拘束することなく横方向の変形のみを拘束するべくランナー３０の内側に装着されたスペーサである。

この構造によれば、地震時や、火災時の熱変形により柱２と間仕切壁３１とが相対変形した際には、ランナー３０がバネ部３０ａの弾性変形により伸縮してその変形を吸収し、したがって間仕切壁３１が損壊したり、間仕切壁３１と柱２との間に隙間が生じてしまうようなことを確実に防止でき、その結果、耐火性能、遮熱性能、遮炎性能、遮煙性能が損なわれることがない。

なお、上記のような相対変形時には目隠し材３２が破損することは想定されるが、目隠し材３２は単なる化粧材であるので、それが破損してもランナー３０が間仕切壁３１を保持している限りはそれらの間に隙間が生じることはなく、上記の防災性能は維持される。勿論、意匠的な問題がなければ目隠し材３２は省略して差し支えない。

図３は上記実施の形態の変形例を示すもので、間仕切壁３１を不燃ボード３１ａを主体としてその外側に化粧用の仕上ボード３１ｂを貼り付けたものを採用し、仕上ボード３１ｂを柱２の表面に隙間無く当接せしめて上記の目隠し材３２を省略したものである。この場合も柱２と不燃ボード３１ａとの相対変形はランナー３０により吸収されてそれらの間に隙間が生じてしまうことが回避される。勿論、化粧ボート３１ｂが破損しても防災性能上は支障がない。

図４および図５は、それぞれ図２（ｂ）および図３に示したものの立断面を示す。図４に示すものでは上記のランナー３０により間仕切壁３１の上縁部を梁１（鉄骨梁あるいはコンクリート造の梁）に対して保持し、梁１との間のクリアランスは目隠し材３２により隠されている。図５に示すものでは間仕切壁３１を不燃ボード３１ａと仕上ボード３１ｂにより構成して梁１との間の目隠し材３２を省略しており、いずれも上記と同様の効果が得られる。いずれの場合も、間仕切壁３１の下縁部は通常のランナー３５によりスラブ３に対して単に固定している。

なお、本実施の形態において採用するランナーとしては、間仕切壁を保持し得るとともに弾性変形により相対変形を吸収できるものであれば良く、その限りにおいて全体の形状やバネ部の形状等は任意である。

以上で本発明の実施の形態を説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものとしても良いのは言うまでもない。

本発明に係る間仕切壁構造の実施の形態を示す立面図である。 同、ランナーの形状と間仕切壁構造の詳細を示す部分平面である。 同、同間仕切壁構造の他の形態の詳細を示す部分平面図である。 同、間仕切壁構造の詳細を示す部分立面図である。 同、間仕切壁構造の他の形態の詳細を示す部分立面図である。

符号の説明

１ 梁（架構部材）
２ 柱（架構部材）
３ スラブ（架構部材）
３０ ランナー
３０ａ バネ部
３１ 間仕切壁
３２ 目隠し材
３３ スペーサ

Claims (3)

1. 耐火性を有した間仕切壁を構成する壁体と、該壁体を囲む柱、梁、スラブ等の架構部材との間に、前記壁体と前記架構部材との相対変形に追従して、前記壁体と前記架構部材との間を塞ぐ変形吸収部材が配設されている間仕切壁構造であって、
   前記変形吸収部材として、耐火性を有しかつ壁体の面内方向に弾性変形可能なランナーが設けられていることを特徴とする間仕切壁構造。
2. 請求項１記載の間仕切壁構造であって、
   前記ランナーには壁体の面内方向の弾性変形を許容しつつ面外方向の変形を拘束するスペーサが装着されていることを特徴とする間仕切壁構造。
3. 請求項１または２記載の間仕切壁構造におけるランナーであって、
   チャンネル状の断面形状をなし、両側部には外側に「く」の字状に折り曲げられたバネ部が形成されていることを特徴とするランナー。

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