JP3988569B2 - 筆文字入力装置 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は静電容量方式のデジタイザに於いて、デジタイザの盤面と信号入力ペンとの距離を測定し、X,Y,Z座標に変換する。この3次元データから信号入力ペンのペン先にかかる加重を測定し筆圧データに変換し、筆文字入力を可能にするシステムである。
【0002】
【従来の技術】
従来デジタイザでの筆圧測定方法は、信号入力ペンの内部にバネを内蔵させ、ペン先にかかる圧力に応じて上記バネが圧縮されていた。この原理に基づきバネの縮んだ距離を筆圧とし、筆圧に応じて線幅を決め筆文字を表しているのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って上記従来技術の方式では、上記信号入力ペン内部に内蔵したバネの加重特性のバラツキが、そのまま筆圧に表れてしまう。筆圧精度を高めるには、バネの加重特性のバラツキを押さえるか、個々のバネのバラツキ特性を測定しプログラムで補正する。いづれにしても上記した方法では、コストや工数がかかり現実的ではない。そこで本発明は、筆圧精度の高いデジタイザを提供することで忠実性の高い筆文字を再現することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、如上の課題に鑑みなされたもので、演算装置を設けた制御部に接続されたデジタイザと、前記制御部に接続され、先端に筆の穂先を取り付けた信号入力ペンとを備え、前記制御部より矩形波を発生させて前記デジタイザに設けられている透明電極を駆動し、前記信号入力ペンと前記透明電極との間に発生する静電容量結合量を検出する筆文字入力装置において、前記信号入力ペンのペン先が、前記デジタイザ盤面に接触した状態で発生する静電容量結合量を信号としてとらえ、この信号から前記制御部が演算処理を行い二次元座標データを求めて前記信号入力ペンの筆跡データとし、また、前記信号入力ペンのペン先が、前記デジタイザ盤面から浮上した状態で発生する静電容量結合量を信号としてとらえ、この信号から前記制御部が演算処理を行い三次元座標データを求めて前記信号入力ペンのペン先にかかる筆圧データに変換し、前記筆跡データと前記筆圧データとに基づいて筆文字データを作成する筆文字入力装置を提案するものである。
【0005】
【発明の実施と形態】
本発明のデジタイザは、静電容量結合方式を利用した座標入力装置で、コンデンサの性質である交流信号は通すが、直流信号は通さない性質を利用して、デジタイザ盤面を介して信号入力ペンで検出した受信信号から座標データに変換する方式を採用している。
筆文字を忠実に再現させる為に、筆跡と筆圧両方の正確なデータが必要である。上記データを得る為に、筆跡は従来のデジタイザでXY座標の2次元データに正確に変換出来る。
次に筆圧は、信号入力ペンのペン先に筆の穂先を搭載し、穂先の沈み込みを測定し、沈み込んだ距離に応じて筆圧に変換する。
【0006】
【作用】
筆跡をXY軸の二次元座標データから筆圧をZ軸の三次元座標データにて構成でき、信号入力ペンのペン先に筆の穂先を付けたことで筆文字が忠実に再現する。
【0007】
【実施例】
このデジタイザの構造と動作原理を説明する。まず制御基板1より矩形波を発生させデジタイザに設けられている透明電極2を駆動する。信号入力ペン3のペン先4を、デジタイザ盤面5に接触させるとガラス6が誘電体として働く。
透明電極2と上記信号入力ペン3のペン先4の間で容量結合が発生し、信号入力ペン3で信号を検出し、その信号を増幅回路7で増幅する。制御基板1は、CPUが受信信号レベルから演算処理を施し、二次元の座標データを確立する。
【0008】
次に、信号入力ペンのペン先4がデジタイザ盤面5から浮上した状態を示す図2の状態についても、上記した実施例と同様に透明電極2と信号入力ペンのペン先4の間で容量結合が発生し、信号入力ペン3で信号が検出できる。しかしこの状態の時は、デジタイザ盤面5と信号入力ペン3のペン先4の接触状態よりも受信信号レベルが小さくなる。受信信号レベルの大きさに応じて、浮上距離を制御基板1に設けられているCPUにより計算し、三次元座標データとして確立する。
【0009】
図3に示す信号入力ペン3のペン先に、筆の穂先8を付けた状態で受信信号レベルがどう変化したかを確かめた。デジタイザ盤面5に筆の穂先8が丁度接触した状態を基準とし、信号入力ペン3とデジタイザ盤面5までの距離をZ1とし、その時の受信信号レベルも併せて基準値として定義する。穂先8がデジタイザ盤面5に接触しないZ0の時は筆圧が無く字を書いていない状態と見なす。穂先8に圧力が加わったZ2やZ3の状態は、デジタイザ盤面5と穂先8に応じて受信信号レベルも変化する。本実施例で説明している信号入力ペン3の先端部分に取り付けられている筆の穂先の材質は人工物、自然物のどちらでも良い。
この原理により三次元座標データが確定でき、筆圧に応じた筆文字入力が可能となる。
【0010】
図4に示したデジタイザ9の盤面構造は、ガラス板の裏面に透明な導電性の透明電極を蒸着する。その4つ角に制御基板1に設けられているCPUからの信号を入力するための電極端子があり、左から時計回りにABCDと決める。そして各々がCPUのポートABCDに接続される。
【0011】
図5に示したデジタイザ9の座標検出方法は、制御基板1に設けられたCPUのポートAの端子を電極Aに接続し、電極CをGNDに接続する。上記CPUからポートAに20KHz程度の矩形波で駆動する。そうすると端子Aから端子Cに向かい電流が流れ、透明電極の抵抗は均一に蒸着されているため端子Cから端子Aに向かい比例して信号レベルが大きくなる。
【0012】
信号入力ペン3で、デジタイザ9の盤面5を当接すると静電容量結合方式により信号を検出でき、制御基板1に設けられているCPUに内蔵されたADCにより受信信号の大きさを測定する。この測定値はAとCの分圧抵抗に等しいため、信号入力ペン3によりデジタイザ9の盤面5を当接した場所が、A点とC点の比として求められる。同様にしてB点とD点から/C点とA点から/D点とB点から比が求められ、信号入力ペン3によりデジタイザ9の盤面5を当接した正確なXY軸の2次元データ座標が確立できる。
【0013】
続いて、図6に示した信号入力ペン3が、デジタイザ9の盤面5から浮上した状態の信号検出方法は、接触時と同様の手順で行うが受信信号を駆動信号で割る。信号の大きさばかりではなく信号の比で測定する。これも同様に4回計測し、浮上した信号入力ペンの2次元座標が確立できる。それに付け加えて浮上時の受信信号の大きさを接触時の受信信号の大きさで割ることで、予め浮上距離により信号の減衰率を登録しておいたデータから浮上距離も計算できる。
【0014】
この原理を応用し、図7に示すように信号入力ペン3に筆の穂先8を付けた信号入力ペン3でデジタイザ9の盤面上5で文字を書くと、筆圧に応じて信号入力ペン3の先端部分に取り付けた筆の穂先8が沈み込み、正確な3次元座標データが検出でき、筆の筆圧に応じた筆文字が再現できる。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば筆圧測定方法に本物の筆を使うことで、筆のタッチを損なうことなく、一人一人の個性ある筆文字を忠実に再現できる。
併せて、筆圧測定方法にバラツキの多いバネを使わないですむため選別コストや補正工数もいらず、コストダウンも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 デジタイザの構造と動作原理
【図2】 ペン先が浮上した時の受信信号
【図3】 信号入力ペンの先に筆の穂先を付けた状態
【図4】 デジタイザの盤面構造
【図5】 デジタイザの信号検出方式
【図6】 信号入力ペンが盤面から浮上した状態の信号検出
【図7】 筆圧に変換するメカニズム
【符号の説明】
1 制御基板
2 透明電極
3 信号入力ペン
4 ペン先
5 デジタイザ盤面
6 ガラス
7 増幅回路
8 穂先
9 デジタイザ
Claims (1)
- 演算装置を設けた制御部に接続されたデジタイザと、前記制御部に接続され、先端に筆の穂先を取り付けた信号入力ペンとを備え、前記制御部より矩形波を発生させて前記デジタイザに設けられている透明電極を駆動し、前記信号入力ペンと前記透明電極との間に発生する静電容量結合量を検出する筆文字入力装置において、前記信号入力ペンのペン先が、前記デジタイザ盤面に接触した状態で発生する静電容量結合量を信号としてとらえ、この信号から前記制御部が演算処理を行い二次元座標データを求めて前記信号入力ペンの筆跡データとし、また、前記信号入力ペンのペン先が、前記デジタイザ盤面から浮上した状態で発生する静電容量結合量を信号としてとらえ、この信号から前記制御部が演算処理を行い三次元座標データを求めて前記信号入力ペンのペン先にかかる筆圧データに変換し、前記筆跡データと前記筆圧データとに基づいて筆文字データを作成することを特徴とする筆文字入力装置。
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