JP3986876B2 - 排気ガス浄化用触媒コンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関等の機関から排出される排気ガスを浄化するための触媒を搭載する排気ガス浄化用触媒コンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、排気ガス浄化用触媒コンバータは、排気ガスが流入するガス入口と、排気ガスが流出するガス出口と、ガス入口及びガス出口を繋ぐガス流路と、ガス流路に配置され排気ガス浄化用の触媒を収容する触媒収容室とを備えている。ガス入口から流入した排気ガスは、触媒収容室の触媒を通過して触媒で浄化され、ガス出口から流出される。触媒ではこれの活性化温度領域を越えると排気ガス浄化能が良好であるが、活性化温度領域未満では排気ガス浄化能は必ずしも充分ではない。
【0003】
ところで、車両等の運転では、駆動している内燃機関を停止させた後において、再起動させることが多い。この場合、触媒の温度が活性化温度領域よりも冷えていることが多いため、内燃機関の再起動直後において、触媒は活性化温度領域未満となっていることが多く、触媒の排気ガス浄化能は必ずしも充分ではない。しかし近年、環境保護の強化等から、内燃機関の再起動直後においても、触媒の排気ガス浄化能を更に向上させることが強く要請されている。
【0004】
そこで、特開平11−153024号公報に係る明細書の段落番号0005によれば、SAE Tecnical Paper #961134,#950409,#941998等に、上記した事情を考慮した触媒コンバータが開示されていると記載されている。この触媒コンバータは、触媒を内装した内筒と、内筒の外周側を覆う蓄熱部材と、蓄熱部材を覆う中間筒と、内筒及び中間筒を覆う外筒と、内筒及び中間筒と外筒との間に形成され蓄熱部材の外周側に位置する真空空間部と、真空空間部に配置された水素吸蔵合金とを備えている。この触媒コンバータによれば、内燃機関の運転時には、排気ガスの温度により水素吸蔵合金から水素を真空空間部に積極的に放出させ、真空空間部を非真空状態に維持する。この場合、触媒の熱を真空空間部内の水素を介して外筒に積極的に伝達させ、触媒の過剰な昇温を抑制する。また内燃機関の停止後には、降温に伴い真空空間部内の水素を水素吸蔵合金に吸蔵させ、真空空間部の真空度を高める。このように真空空間部の真空度が高くなると、真空空間部の断熱性及び遮熱性が高くなるため、触媒及び蓄熱部材からの熱の放散を真空空間部で遮断し、以て触媒の温度を保温し、次回の内燃機関の再起動まで活性化温度領域にできるだけ維持することをねらっている。
【0005】
また特開平11−117731号公報には、排気ガスが流入するガス入口と、排気ガスが流出するガス出口と、ガス入口及びガス出口を繋ぐガス流路と、ガス流路に配置され排気ガス浄化用触媒を収容する触媒収容室とを具備する排気ガス浄化用触媒コンバータが開示されている。ガス入口と触媒収容室との間には、金属製ネットにより無機質断熱材が設けられている。この公報によれば、無機質断熱材により、排気ガスの熱がコンバータの外壁に直接伝達されることが抑制され、コンバータの熱変形が抑制される旨が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した水素吸蔵合金を用いた触媒装置によれば、水素吸蔵合金から発生した水素が内筒、中間筒、外筒の金属材料に侵入し、水素脆性を引き起こすおそれがある。また、水素吸蔵合金は触媒の外周囲に設けられており、触媒の上流に設けられていないため、内燃機関停止後に触媒の上流の空気や排気ガスを積極的に暖めることができなかった。このため内燃機関停止後に再起動させたとき、触媒に供給される前の暖められた空気や排気ガスを触媒に供給することができず、内燃機関の再起動時に触媒を積極的に暖めるには充分ではなかった。よって、内燃機関の再起動時に、触媒を活性化温度領域とするまで時間を要していた。
【0007】
他方、特開平11−117731号公報に係る技術によれば、無機質断熱材により、排気ガスの熱がコンバータの外壁に直接伝達されることが抑制されるものの、内燃機関停止後に触媒の上流の空気や排気ガスを積極的に暖めることができなかった。このため内燃機関停止後に再起動させたとき、触媒に供給される前の暖められた空気や排気ガスを触媒に供給することができず、内燃機関の再起動時に触媒を積極的に暖めることはできなかった。よって、内燃機関の再起動時に、触媒を活性化温度領域とするまで時間を要していた。
【0008】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、水素脆性の不具合を回避しつつ、内燃機関の停止時に、触媒の上流側の空気や排気ガスを暖めることができ、内燃機関を停止させた後においても触媒を活性化温度領域にできるだけ維持し、また、触媒が活性化温度領域未満に降温するときであっても、内燃機関を再起動させたとき、触媒の上流側の暖められた空気や排気ガスを触媒に積極的に供給でき、触媒を短時間に活性化温度領域に復帰させることができる排気ガス浄化用触媒コンバータを提供することを課題とするにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒コンバータは、排気ガスが流入するガス入口と、排気ガスが流出するガス出口と、前記ガス入口及び前記ガス出口を繋ぐガス流路と、前記ガス流路に配置され排気ガス浄化用の触媒を収容する触媒収容室とを具備する排気ガス浄化用触媒コンバータにおいて、昇温に伴い潜熱として蓄熱すると共に潜熱として蓄積していた熱を降温に伴い放出する蓄熱部材が設けられ、前記蓄熱部材は前記ガス入口と前記触媒収容室との間に配置されており、
前記ガス出口と前記触媒収容室との間に配置され昇温に伴い潜熱として蓄熱すると共に潜熱として蓄積していた熱を降温に伴い放出する第2蓄熱部材が設けられており、前記第2蓄熱部材の凝固開始温度は前記蓄熱部材の凝固開始温度よりも高いことを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒コンバータによれば、昇温に伴い潜熱として蓄熱すると共に潜熱として蓄積していた熱を降温に伴い放出する蓄熱部材が設けられている。蓄熱部材はガス入口と触媒収容室との間に配置されている。このため内燃機関等の機関の駆動時には、高温の排気ガスの熱は蓄熱部材に潜熱として蓄熱される。内燃機関等の機関の停止時には触媒は降温する。但し、ガス入口と触媒収容室との間に設けられていた蓄熱部材は、内燃機関等の機関の停止時において、潜熱として蓄積(蓄熱)していた熱を降温に伴い外部に放出するため、ガス入口と触媒との間における空気や排気ガスが暖められる。このため触媒は活性化温度領域にできるだけ長い時間維持される。
【0011】
また、内燃機関等の機関を再起動させたとき、ガス入口と触媒との間において暖められた空気や排気ガスは、内燃機関等の機関から排出される排気ガスにより、触媒に直ちに供給される。このため内燃機関等の機関の再起動時に触媒を短時間のうちに昇温させることができる。
更に本発明によれば、触媒の上流側の排気ガスの温度よりも触媒の下流側の排気ガスの温度が高いときに対処できるように、下流側の第2蓄熱部材の凝固開始温度は上流側の蓄熱部材の凝固開始温度よりも高くされている。これにより下流側の第2蓄熱部材の蓄熱性を確保することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒コンバータは、排気ガスが流入するガス入口と、排気ガスが流出するガス出口と、ガス入口及びガス出口を繋ぐガス流路と、ガス流路に配置され排気ガス浄化用の触媒を収容する触媒収容室とを備えている。ガス入口と触媒収容室との間に蓄熱部材が設けられている。蓄熱部材は、触媒の外周側にも設けることもでき、あるいは、触媒収容室とガス出口との間にも設けることができる。
【0013】
蓄熱部材は、昇温に伴い潜熱として蓄熱すると共に潜熱として蓄積していた熱を降温に伴い放出する。上記した蓄熱部材としては金属系とすることができ、マグネシウム、アルミニウム、スズ、アンチモン、亜鉛、リチウムのうちの少なくとも1種を主要成分とする形態を採用することができる。具体的には、マグネシウム、マグネシウム−亜鉛系合金、マグネシウム−亜鉛−アルミニウム系合金、マグネシウム−アルミニウム系合金、スズ、スズ−亜鉛系合金、マグネシウム−スズ系合金、アルミニウム、アルミニウム−スズ系合金、アンチモン、アンチモン−スズ系合金、アルミニウム−マグネシウム系合金、リチウム−マグネシウム系合金、リチウム−アルミニウム系合金から選ばれた少なくとも1種の金属で形成されている形態を採用することができる。これらの金属は、触媒をこれの活性化温度領域に保持するのに貢献できる。
【0014】
蓄熱部材を構成する金属の凝固開始温度または凝固温度は、潜熱を発現し易い温度領域であり、触媒の活性化領域に適応させることができる。即ち、蓄熱部材を構成する金属は潜熱を発揮できる温度領域が触媒の保温に適するように選択することができる。複数の金属を共存させた合金で蓄熱部材を形成すれば、蓄熱部材を構成する金属の凝固開始温度を調整できるため、触媒の保温に適するように合金組成を選択することができる。
【0015】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒コンバータによれば、コンバータは、ガス流路においてガス入口から触媒収容室に向かうにつれて流路面積が増加する傾斜壁を有しており、蓄熱部材が傾斜壁に装備されている形態を採用することができる。この場合、蓄熱部材も傾斜するため、コンバータの軸長寸法を抑えつつ、蓄熱部材の装入量を確保することができ、蓄熱部材による蓄熱量を増加させることができる。更に排気ガスの流れに対して触媒が抵抗となるため、また、ガス入口から触媒収容室に向かうにつれて流路面積が増加するため、触媒の上流において排気ガスの速度が低下し、排気ガスと蓄熱部材との関与度合(接触頻度)を高めることができ、排気ガスの熱を蓄熱部材に蓄熱させるのに貢献できる。
【0016】
ここで、傾斜壁としては、ガス入口から触媒収容室に向かうにつれて円錐状または角錐状、あるいは、疑似円錐状または疑似角錐状に拡開している形態を採用することができる。傾斜壁は、密閉室を形成する内側傾斜壁及び外側傾斜壁で形成されており、蓄熱部材が密閉室に密閉状態に封入されている形態を採用することができる。この場合、蓄熱部材が密閉室に密閉状態に封入されているため、蓄熱部材の漏れ、蓄熱部材の劣化が抑制される。
【0017】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒コンバータによれば、ガス出口と触媒収容室との間に配置され排気ガスの温度を昇温に伴い潜熱として蓄熱すると共に潜熱として蓄積していた熱を降温に伴い放出する第2蓄熱部材が設けられている形態を採用する。この場合、触媒の下流側においても蓄熱性を確保することができる。第2蓄熱部材としては、上記した蓄熱部材と共通の材質で形成することができ、場合によっては、上記した蓄熱部材と別の材質で形成することもできる。また、排気ガスの温度は、触媒の上流と下流とで異なることがあるため、蓄熱部材の凝固開始温度(凝固終了温度)と第2蓄熱部材の凝固開始温度(凝固終了温度)とを異ならせる。即ち、排気ガスの温度について、触媒の下流の排気ガスの温度が触媒の上流の排気ガスの温度よりも高温となる場合に対処できるように、下流側の第2蓄熱部材の凝固開始温度は上流側の蓄熱部材の凝固開始温度よりも高く設定されている。
【0018】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒コンバータによれば、ガス出口と触媒との間には放熱促進部が設けられている形態を採用することができる。この場合、ガス出口と触媒との間における放熱を促進させることができ、触媒の過熱が抑制される。
【0019】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒コンバータによれば、コンバータは、真空状態または減圧状態の真空断熱室と、真空断熱室に封入され大気圧下での沸点が550〜1150℃の気化可能物質とを有する形態を採用することができる。気化可能物質の大気圧下での沸点としては、600〜900℃、殊に650〜750℃とすることもできるが、これらに限定されるものではない。なお本明細書では、温度確認の容易さを考慮し、沸点の温度とは大気圧下での沸点の温度を意味する。同様に凝固開始温度は大気圧下での凝固開始温度を意味する。気化可能物質としては金属系を採用することができ、具体的には亜鉛、亜鉛合金、カドミウム、カドミウム合金、セレン、セレン合金、マグネシウム、マグネシウム合金から選ばれた少なくとも1種で形成されている形態を採用することができる。気化可能物質は沸点よりも低い温度領域でも蒸発することができる。なお文献(株式会社 東京化学同人,化学辞典,第1版第1刷 1994年10月1日発行,第4頁(亜鉛)、,第766頁(セレン),第1388頁(マグネシウム),第279頁(カドミウム))によれば、大気圧下において、亜鉛の沸点は907℃とされ、セレンの沸点は684.6℃とされ、マグネシウムの沸点は1105℃とされ、カドミウムの沸点は765℃とされている。複数の元素を共存させた合金で気化可能物質を形成することで、沸点を調整することもできる。
【0020】
内燃機関等の機関の駆動時には、真空断熱室が高温となるため、真空断熱室の気化可能物質の気化が進行しており、真空断熱室の伝熱性及び放熱性が向上し、触媒や蓄熱部材の過剰熱を真空断熱室を介して放出させることができ、触媒や蓄熱部材の過熱を抑えることができる。
【0021】
内燃機関等の機関の停止時には、気化可能物質が降温するため、真空断熱室において気化していた気化可能物質の液化または固化が進行し、真空断熱室の真空度または減圧度が高くなる。この場合、真空断熱室の断熱性及び遮熱性が向上するため、触媒や蓄熱部材の降温が抑制される。更に内燃機関等の機関の停止時には、真空断熱室において気化していた気化可能物質の液化または固化が進行し、潜熱が外部に放出されるため、触媒や蓄熱部材の降温が一層抑制される。
【0022】
真空断熱室としては蓄熱部材に隣設されている形態を採用することができる。このように真空断熱室が蓄熱部材に隣設されていると、真空断熱室が伝熱性及び放熱性を発揮するときには、蓄熱部材の熱が真空断熱室に良好に伝達されるため、蓄熱部材の過熱を抑えることができる。また真空断熱室が断熱性及び遮熱性を発揮するときには、蓄熱部材の降温を抑えることができる。
【0023】
【実施例】
以下、第1参考例を図1を参照して具体的に説明する。
【0024】
本参考例に係る排気ガス浄化用触媒コンバータ1は、車両に搭載されている内燃機関から排出される排気ガスを浄化するためのものであり、排気ガスが流入するガス入口10と、排気ガスが流出するガス出口12と、ガス入口10及びガス出口12を繋ぐガス流路13と、ガス流路13の中間部に配置された触媒収容室14とを備えている。触媒収容室14は軸長方向に沿って直筒状に延設された延設筒部16で形成されている。触媒収容室14には、排気ガス浄化用の触媒2が収容されている。触媒2は、入口端面20及び出口端面21をもつハニカム担体に触媒物質(白金、ロジウム、パラジウムの少なくとも1種)を担持させて形成されている。なおハニカム担体は、金属担体でも良いし、セラミックス担体でも良く、上流から下流に向かうガス通路を有すれば良い。触媒2の外壁面と延設筒部16との間に、断熱材15が触媒2の外壁面を包囲するように介在している。ガス入口10の口径をD1とし、触媒2の入口端面20の口径をD2とし、ガス出口12の口径をD3とすると、ガス入口10の口径D1、ガス出口12の口径D3は、触媒2の入口端面20の口径D2よりも小さく設定されている(D1<D2,D3<D2)。なおコンバータ1の上流部及び下流部には、これを排気系に取り付けるための取付孔17を有する取付フランジ部18がそれぞれ設けられている。
【0025】
コンバータ1は、ステンレス鋼等に代表される耐熱性を有する金属で形成されている。コンバータ1は、触媒2の上流側のガス流路13においてガス入口10から触媒収容室14に向かうにつれて流路面積が増加する上流側の傾斜壁3を有している。上流側の傾斜壁3は、ガス入口10から触媒収容室14に向かうにつれて円錐状または疑似円錐状に拡開しており、触媒2の中心線Pの周りを1周するように形成されている。上流側の傾斜壁3は、円錐形状または疑似円錐形状の密閉室33を形成するように内側傾斜壁30及び外側傾斜壁31で形成されている。内側傾斜壁30は、ガス入口10から触媒収容室14に向かうにつれて径が増大する形状をなしており、中心線Pの周りを1周するように形成されている。外側傾斜壁31は、内側傾斜壁30の外側に同軸的に配置され、ガス入口10から触媒収容室14に向かうにつれて径が増大する形状をなしており、中心線Pの周りを1周するように形成されている。密閉室33は外側傾斜壁31と内側傾斜壁30とで形成されている。
【0026】
外側傾斜壁31は、密閉室33の上部に開口する装入窓34と、装入窓34を閉鎖する閉鎖壁35とを有する。密閉室33に金属系の蓄熱部材4が密閉状態に封入されている。蓄熱部材4が密閉室33に密閉状態に封入されているため、蓄熱部材4の漏れや劣化が抑制される。なお製造工程においては、大気雰囲気、減圧雰囲気または真空雰囲気において、液状または固体状の蓄熱部材4を装入窓34から密閉室33に装入し、閉鎖壁35を溶接等の接合手段で接合して装入窓34を閉鎖する。なお、蓄熱部材4を装入した密閉室33を閉鎖壁35で閉鎖する前に不活性ガス(例えばアルゴンガス、窒素ガス)を密閉室33の空間に導入することもできる。この場合、蓄熱部材4の劣化を抑えることができる。
【0027】
このように蓄熱部材4は傾斜壁3の内部の密閉室33に封入されている。故に、蓄熱部材4もガス入口10から触媒収容室14に向かうにつれて拡開するように傾斜しているため、コンバータ1の軸長寸法を抑えつつ、蓄熱部材4の装入量を増加させることができる。なお、密閉室33の空間体積を100%としたとき、蓄熱部材4は、常温において一般的には100%のうち60〜99%程度、80〜98%程度の体積を占めるように装入されている。
【0028】
蓄熱部材4を構成する金属は、昇温して固体状態から液体状態となるとき、潜熱を蓄積する。また蓄熱部材4を構成する金属は、降温して液体状態から固体状態となるとき、潜熱を放出する。蓄熱部材4を構成する金属が潜熱を発現できる温度は、触媒2を活性化温度領域または活性化温度領域付近の温度領域に設定されている。蓄熱部材4を構成する金属は、具体的にはスズ−亜鉛系合金で形成されている。この合金は重量比でスズ50〜90%、亜鉛50〜10%含む。但し蓄熱部材4を構成する金属は、上記合金、上記組成に限定されるものではない。このように複数の金属元素を共存させた合金で蓄熱部材4を形成すれば、凝固開始温度を調整できるため、触媒2の保温に適するように合金組成を選択することができる。
【0029】
コンバータ1は、触媒2の下流側のガス流路13においてガス出口12から触媒収容室14に向かうにつれて流路面積が増加する下流側の第2傾斜壁5を有する。下流側の第2傾斜壁5は、ガス出口12から触媒収容室14に向かうにつれて拡開している。下流側の第2傾斜壁5の表出面5xは、放熱性を高めるべく外気に露出しており、従ってガス出口12と触媒2との間に位置する放熱促進部として機能することができる。この場合、触媒2の出口端面21とガス出口12との間における放熱を促進させることができ、触媒2の過熱が抑制される。なお本参考例によれば、図1に示すように、下流側の第2傾斜壁5においては、放熱性を高めるべく蓄熱部材は設けられておらず、更に後述する真空断熱室も設けられていない。
【0030】
コンバータ1は、触媒2の上流側において、真空状態または減圧状態の真空断熱室6と、真空断熱室6に封入された気化可能物質としての気化可能金属62とを有する。真空断熱室6の容積を100%とすると、常温で100%のうち気化可能金属62は10〜40%程度を占める。但し気化可能金属62の割合はこれに限定されるものではない。後述する説明から理解できるように、真空断熱室6は、使用環境温度が低いときには断熱性及び遮熱性を発揮し、保温性を高めるものの、使用環境温度が高くなると、断熱性及び遮熱性が次第に低下すると共に、伝熱性及び放熱性を次第に発揮するようになる。
【0031】
真空断熱室6は、蓄熱部材4の外周側に設けられているため、断熱性及び遮熱性を発揮するときには、蓄熱部材4の熱が外気へ放出されることを抑えることができる。真空断熱室6は、上流側の傾斜壁3の外側傾斜壁31の外周側に外壁61を同軸的に固定することにより、外壁61と外側傾斜壁31とで形成されている。従ってコンバータ1の上流側において外側傾斜壁31、内側傾斜壁30、外壁61の三重壁構造とされており、この意味においても、使用環境温度が低いときには、触媒2の上流における断熱性及び遮熱性が高められている。
【0032】
外壁61は触媒2の中心線Pを1周するように設けられているため、真空断熱室6も中心線Pを1周するように形成されている。真空断熱室6は、ガス流路13において触媒2の上流側に配置されており、即ち、ガス入口10と触媒収容室14との間に配置されている。上記した気化可能金属62としては、亜鉛または亜鉛合金(例えば亜鉛−スズ合金)、あるいは、セレンまたはセレン合金が採用されている。この気化可能金属62の沸点は大気圧下で670〜1150℃の範囲内である。気化可能金属62は、自身の沸点以下の温度領域においても気化可能である。
【0033】
真空断熱室6の上部に、注入口64xを有する注入部64が設けられている。製造時には、液状または固体状の気化可能金属62を注入部64の注入口64xから真空断熱室6に注入した後に、その真空断熱室6を真空状態または減圧状態に保持した状態で注入部64を潰し、溶接等の接合手段により注入部64を閉鎖することにより注入部64の注入口64xを閉鎖し、気化可能金属62を真空断熱室6に封入する。
【0034】
内燃機関の駆動時に、内燃機関の排気ポートから高温の排気ガスがコンバータ1のガス入口10に矢印X方向に流入し、更に触媒2に流入する。排気ガスに含まれている窒素酸化物等の環境悪化物質は触媒2の触媒物質により浄化される。浄化された排気ガスはガス出口12から排出される。内燃機関から排出された排気ガスは高温であるため、触媒2は加熱される。触媒2の温度がこれの活性化温度領域を越えたとき、触媒2の排気ガス浄化能は充分に発揮される。
【0035】
内燃機関の駆動時に、前述したように高温の排気ガスがガス流路13、触媒2に流れるため、排気ガスの熱により蓄熱部材4が加熱され、蓄熱部材4に潜熱として蓄熱される。即ち、密閉室33内の蓄熱部材4は固体状態から液体状態となることで、潜熱を蓄積する。更に排気ガスの熱は真空断熱室6にも伝達されるため、真空断熱室6が高温となり、真空断熱室6における固体状態の気化可能金属62の液化、更には気化が進行し、気化可能金属62は相変化することで潜熱を蓄積する。このとき、気化可能金属62の蒸発粒子が真空断熱室6において飛翔し、密閉室33を形成する外壁61及び外側傾斜壁31に衝突する頻度が飛躍的に高くなり、真空断熱室6の断熱性及び遮熱性が低下し、真空断熱室6の伝熱性及び放熱性が高くなる。従って、蓄熱部材4や触媒2の過熱となる温度領域においては、伝熱性及び放熱性が向上した真空断熱室6を介して、蓄熱部材4や触媒2の熱を外部に放出させることができ、蓄熱部材4や触媒2の過熱が抑えられる。
【0036】
内燃機関の駆動時に、高温の排気ガスが矢印X方向にガス流路13及び触媒2に流れるとき、触媒2が排気ガスの流れに対して抵抗体として機能し、排気ガスの流速が触媒2の入口端面20の上流で低下するため、触媒2の入口端面20の上流に設けられている蓄熱部材4に排気ガスが関与する度合(接触する頻度)が高まり、蓄熱部材4の蓄熱性を高めることができる。更に上流側の傾斜壁3は流路面積が増加するように拡開して傾斜しているため、この意味においても排気ガスの流速が触媒2の入口端面20の上流で低下し、蓄熱部材4に排気ガスが関与する度合(接触する頻度)が高まり、蓄熱部材4の蓄熱性を高めることができる。
【0037】
本参考例によれば、真空断熱室6は蓄熱部材4に隣設して配置されている。殊に真空断熱室6は蓄熱部材4の外周側に隣設して配置されている。このように真空断熱室6が蓄熱部材4に隣設されていると、内燃機関の駆動時において蓄熱部材4の温度が高温領域となり過熱状態となったとき、伝熱性及び放熱性が向上した真空断熱室6を介して、蓄熱部材4の過剰の熱を外部に放出させることができるため、蓄熱部材4の過熱の抑制を図ることができ、蓄熱部材4の耐久性の向上を図ることができる。
【0038】
ところで駆動していた内燃機関が停止すると、高温の排気ガスが触媒2に流れないため、触媒2が次第に降温する。同様に蓄熱部材4も降温するが、蓄熱部材4の降温と共に、蓄熱部材4は液体状態から固体状態となるため、蓄熱部材4は、潜熱として蓄積していた熱を降温と共に外部に放出する。この結果、蓄熱部材4と触媒2の入口端面20との間の上流空間MAの空気や排気ガスが暖められる。
【0039】
また内燃機関の停止時には、真空断熱室6も降温するため、真空断熱室6において気化していた気化可能金属62が降温して液体状態になったり、固体状態になったりする。この結果、気化可能金属62は、潜熱として蓄積していた熱を外部に放出するため、蓄熱部材4の高温状態をできるだけ長い時間にわたり維持することができ、ひいては蓄熱部材4と触媒2の入口端面20との間の上流空間MAの空気や排気ガスを長い時間にわたり暖めることができる。また前述したように真空断熱室6において気化していた気化可能金属62が液体状態になったり、固体状態になったりすると、真空断熱室6の真空度または減圧度が高くなり、真空断熱室6の断熱性及び遮熱性が向上するため、蓄熱部材4の外気への放熱が一層抑えられる。故に、蓄熱部材4の高温状態を長い時間にわたり維持することができる。この意味においても、蓄熱部材4と触媒2の入口端面20との間の上流空間MAの空気や排気ガスを長い時間にわたり暖めることができる。
【0040】
以上説明したように本参考例によれば、昇温に伴い潜熱として蓄熱すると共に潜熱として蓄積していた熱を降温に伴い放出する蓄熱部材4が設けられている。この蓄熱部材4は、排気ガスの流れ方向においてガス入口10と触媒収容室14の触媒2との間に配置されている。そして内燃機関の停止時には触媒2は降温すると共に蓄熱部材4も降温する。しかしガス入口10と触媒収容室14との間に設けられていた蓄熱部材4は、内燃機関の停止時において、潜熱として蓄積していた熱を外部に放出するため、触媒2をできるだけ活性化温度領域に維持することができる。
【0041】
また内燃機関の停止時において、蓄熱部材4は、蓄熱部材4と触媒2の入口端面20との間の上流空間MAにおける空気や排気ガスを積極的に暖めることができる。このため内燃機関を再起動させたとき、蓄熱部材4と触媒2の入口端面20との間の上流空間MAにおいて暖められた空気や排気ガスは、内燃機関から排出される排気ガスにより、触媒2に直ちに供給される。そのため内燃機関の停止に伴い、触媒2が活性化温度領域未満に降温したときであっても、触媒2を短時間のうちに昇温させることができる。故に、内燃機関を再起動させたとき、触媒2を活性化温度領域に短時間に復帰させることができ、再起動時における排気ガス浄化能を向上させることができる。
【0042】
更に本参考例によれば、従来技術とは異なり、水素吸蔵合金による水素を利用していないため、水素脆性の問題を回避することができ、水素脆性に起因するコンバータ1の劣化を考慮しなくて済むので、コンバータ1を構成する金属の選択の自由度を拡大することができる。
【0043】
また本参考例によれば、蓄熱部材4は傾斜壁3と共にガス入口10から触媒収容室14に向かうにつれて拡開するように傾斜して配置されているため、コンバータ1の軸長寸法を抑えつつ蓄熱部材4の装入量を増加させることができ、ひいては、昇温時における蓄熱部材4による蓄熱量を増加させることができると共に、降温時における蓄熱部材4の蓄熱に基づく放熱量を増加させることができる。そのため、内燃機関の停止後において、蓄熱部材4は、ガス入口10と触媒2の入口端面20との間の上流空間MAの空気や排気ガスを積極的に暖めることができる。故に、内燃機関を再起動させたとき、触媒2を活性化温度領域に短時間に復帰させることができ、再起動時における排気ガス浄化能を向上させることができる。
【0044】
内燃機関等の機関を再起動させたとき、触媒2を活性化温度領域に短時間に復帰させるためには、蓄熱部材4と触媒2の入口端面20との間の上流空間MAの容積が大きい方が好ましい。この点本参考例によれば、蓄熱部材4はガス入口10から触媒収容室14にかけて拡開するように傾斜して配置されているため、蓄熱部材4と触媒2の入口端面20との間の上流空間MAの容積を確保することができる。この結果、上流空間MAに存在する空気や排気ガスを暖める体積総量を大きくすることができる。よって、内燃機関等の機関を再起動させたとき、触媒2を活性化温度領域に短時間に復帰させるのに一層貢献することができる。
【0045】
(第2参考例)
本発明の第2参考例を図2に示す。本参考例は前記した第1参考例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。以下、第1参考例と相違する部分を中心として説明する。真空断熱室6は延設筒部16の外周側にも延設されており、触媒2の外周面2mを包囲している。よって真空断熱室6が断熱性及び遮熱性を発揮するときには、触媒2の保温性が一層確保される。真空断熱室6が伝熱性及び放熱性を発揮するときには、触媒2の過熱が一層抑制される。本参考例によれば、図2に示すように、真空断熱室6は、その底部に気化可能金属62を貯留する貯留室6wを有する。このため触媒2の外周面2m及び蓄熱部材4の回りは、真空断熱室6の真空空間6xで包囲されており、触媒2及び蓄熱部材4の断熱性及び遮熱性が高められている。
【0046】
(第1実施例)
本発明の第1実施例を図3に示す。本実施例は前記した第1参考例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。以下、第1参考例と相違する部分を中心として説明する。コンバータ1は、触媒2の下流側のガス流路13においてガス出口12から触媒収容室14に向かうにつれて流路面積が増加する下流側の第2傾斜壁5Bを有する。下流側の第2傾斜壁5Bは、ガス出口12から触媒収容室14に向かうにつれて拡開しており、触媒2の中心線Pの周りを1周するように形成されている。下流側の第2傾斜壁5Bは、円錐形状の密閉室53Bを形成するように第2内側傾斜壁50B及び第2外側傾斜壁51Bで形成されている。第2内側傾斜壁50Bは、ガス出口12から触媒収容室14に向かうにつれて径が増大する形状をなしており、中心線Pの周りを1周するように形成されている。第2外側傾斜壁51Bは、第2内側傾斜壁50Bの外側に同軸的に配置され、ガス出口12から触媒収容室14に向かうにつれて径が増大する形状をなしており、中心線Pの周りを1周するように形成されている。第2密閉室53Bは第2外側傾斜壁51Bと第2内側傾斜壁50Bとで形成されている。
【0047】
第2密閉室53Bに第2蓄熱部材4Bが密閉状態に封入されている。故に、第2傾斜壁5Bと共に第2蓄熱部材4Bも傾斜するため、コンバータ1の軸長寸法を抑えつつ、第2蓄熱部材4Bの装入量を確保することができる。なお本実施例によれば、下流側の第2蓄熱部材4Bの凝固開始温度は、上流側の蓄熱部材4の凝固開始温度と異なる温度とする。触媒2の上流側の排気ガスの温度よりも触媒2の下流側の排気ガスの温度が高いときに対処するように、下流側の第2蓄熱部材4Bの凝固開始温度は上流側の蓄熱部材4の凝固開始温度よりも高く設定されている。これにより下流側の第2蓄熱部材4Bの蓄熱性を確保することができる。
【0048】
コンバータ1は、下流側の第2傾斜壁5Bの外周側においても、真空状態または減圧状態の第2真空断熱室6Bと、第2真空断熱室6Bに封入された金属系の第2気化可能金属62Bとを有する。第2真空断熱室6Bは、下流側の傾斜壁5Bの第2外側傾斜壁51Bの外周側に第2外壁61Bを同軸的に固定することにより、第2外壁61Bと第2外側傾斜壁51Bとで形成されている。従ってコンバータ1の下流側においても第2外側傾斜壁51B、第2内側傾斜壁50B、第2外壁61Bの三重壁構造とされており、この意味においても、触媒2の下流における断熱性及び遮熱性が高められている。上記した第2気化可能金属62Bとしては、亜鉛または亜鉛合金(例えば亜鉛−スズ合金)、あるいは、セレンまたはセレン合金が採用されている。第2気化可能金属62Bの沸点は大気圧下で670〜1150℃の範囲内である。なお第2気化可能金属62Bの沸点は気化可能金属62の沸点と同一でも良いし、高温でも低温でも良い。
【0049】
本実施例によれば、図3に示すように、触媒2の上流側に蓄熱部材4が設けられている他に、触媒2の下流側にも第2蓄熱部材4Bが設けられているため、内燃機関の駆動時には、高温の排気ガスの熱は蓄熱部材4の他に第2蓄熱部材4Bにも潜熱として蓄熱される。このため内燃機関の停止時において、蓄熱部材4及び第2蓄熱部材4Bは、潜熱として蓄積していた熱を降温に伴い外部に放出するため、蓄熱部材4と触媒2との間の上流空間MAにおける空気や排気ガスが暖められると共に、触媒2と第2蓄熱部材4Bとの間の下流空間MBにおける空気や排気ガスが暖められる。この結果、内燃機関の停止時において、触媒2に対する保温性が向上し、触媒2を活性化温度領域に長い時間維持することができる。また、内燃機関の停止に伴い、触媒2が活性化温度領域未満となったとしても、内燃機関を再起動させたとき、触媒2を活性化温度領域に短時間に復帰させることができ、内燃機関の再起動直後における排気ガス浄化能を向上させることができる。
【0050】
また本実施例によれば、蓄熱部材4ばかりか第2蓄熱部材4Bも傾斜して配置されているため、コンバータ1の軸長寸法を抑えつつ、蓄熱部材4による蓄熱量、第2蓄熱部材4Bによる蓄熱量を増加させることができる。故に、内燃機関を停止させたとしても、触媒2を活性化温度領域に長い時間維持することができる。故に、内燃機関を再起動させたとき、触媒2を活性化温度領域に短時間に復帰させることができ、排気ガス浄化能を向上させることができる。
【0051】
(第3参考例)
本発明の第3参考例を図4に示す。本参考例は前記した第1参考例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。以下、第1参考例と相違する部分を中心として説明する。触媒2の外周面2mを包囲するように真空断熱室6Cがリング形状に同軸的に設けられている。真空断熱室6Cは外壁61Cにより形成されている。真空断熱室6Cには気化可能金属62Cが封入されている。気化可能金属62Cとして、亜鉛または亜鉛合金(例えば亜鉛−スズ合金)、あるいは、セレンまたはセレン合金が採用されている。気化可能金属62Cの沸点は大気圧下で670〜1150℃の範囲内である。
【0052】
内燃機関の駆動時には、排気ガスの熱は真空断熱室6Cにも伝達されるため、真空断熱室6Cが高温となり、真空断熱室6Cにおける気化可能金属62Cの気化が進行する。このため気化可能金属62Cの蒸発粒子が、密閉室33を形成する壁に衝突する頻度が飛躍的に高くなり、真空断熱室6Cの断熱性及び遮熱性が低下し、真空断熱室6Cの伝熱性及び放熱性が次第に向上する。従って、伝熱性及び放熱性が向上した真空断熱室6Cを介して触媒2の熱を外部に放出させることができ、触媒2の過熱が抑えられ、触媒2の耐久性の向上を図ることができる。
【0053】
内燃機関の停止時に、触媒2は降温すると共に蓄熱部材4も降温する。しかしガス入口10と触媒収容室14との間に設けられていた蓄熱部材4は、内燃機関の停止時において、潜熱として蓄積していた熱を外部に放出するため、蓄熱部材4と触媒2との間の上流空間MAにおける空気や排気ガスが暖められる。このため内燃機関を再起動させたとき、空間MAにおいて暖められた空気や排気ガスは、内燃機関から排出される排気ガスにより、触媒2に直ちに供給される。このため降温していた触媒2を短時間のうちに昇温させることができる。故に、内燃機関の停止後に再起動させたとき、触媒2を活性化温度領域に短時間に復帰させることができ、触媒2の排気ガス浄化能を向上させることができる。
【0054】
上記したように内燃機関の停止時に触媒2が次第に降温する。真空断熱室6Cも降温するため、真空断熱室6Cにおいて気化していた気化可能金属62Cの液化または固化が進行し、気化可能金属62Cが蓄積していた熱を外部に放出し、触媒2を暖める。更に真空断熱室6Cにおいて気化していた気化可能金属62Cの液化または固化が進行するため、真空断熱室6Cの真空度または減圧度が高くなり、真空断熱室6Cの断熱性及び遮熱性が向上する。このため真空断熱室6Cの断熱効果により触媒2の降温が抑制される。即ち、内燃機関の停止後に再起動させたとき、触媒2を活性化温度領域に短時間に復帰させることができ、排気ガス浄化能を向上させることができる。
【0055】
(第2実施例)
本発明の第2実施例を図5に示す。本実施例は前記した第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。以下、第1実施例と相違する部分を中心として説明する。本実施例によれば、亜鉛等の気化可能金属が封入されている真空断熱室は設けられていない。本実施例に係るコンバータ1は、触媒2の下流側のガス流路13においてガス出口12から触媒収容室14に向かうにつれて流路面積が増加する下流側の第2傾斜壁5Dを有している。下流側の第2傾斜壁5Dは、ガス出口12から触媒収容室14に向かうにつれて拡開しており、触媒2の中心線Pの周りを1周するように形成されている。下流側の第2傾斜壁5Dは、第2密閉室53Dを形成するように第2内側傾斜壁50D及び第2外側傾斜壁51Dで形成されている。第2内側傾斜壁50Dは、ガス出口12から触媒収容室14に向かうにつれて径が増大する形状をなしており、中心線Pの周りを1周するように形成されている。第2外側傾斜壁51Dは、第2内側傾斜壁50Dの外側に同軸的に配置され、ガス出口12から触媒収容室14に向かうにつれて径が増大する形状をなしており、中心線Pの周りを1周するように形成されている。第2密閉室53Dは第2外側傾斜壁51Dと第2内側傾斜壁50Dとで形成されている。
【0056】
第2蓄熱部材4Dは下流側の第2傾斜壁5Dの内部の第2密閉室53Dに封入されている。故に、第2蓄熱部材4Dも傾斜するため、コンバータ1の軸長寸法を抑えつつ、第2蓄熱部材4Dの装入量を増加させることができる。
【0057】
本実施例によれば図5に示すように、触媒2の上流側に蓄熱部材4が設けられていると共に、触媒2の下流側にも第2蓄熱部材4Dが設けられている。このため内燃機関の駆動時に、高温の排気ガスの熱は蓄熱部材4の他に第2蓄熱部材4Dにも潜熱として蓄熱される。このため内燃機関の停止時において、蓄熱部材4及び第2蓄熱部材4Dは、潜熱として蓄積していた熱を外部に放出する。故に蓄熱部材4と触媒2の入口端面20との間の上流空間MAにおける空気や排気ガスが暖められると共に、触媒2の出口端面21と第2蓄熱部材4Dとの間の下流空間MBにおける空気や排気ガスも暖められる。この結果、内燃機関の停止時において触媒2に対する保温性が向上し、触媒2を活性化温度領域にできるだけ長い時間維持することができる。また、内燃機関を再起動させたとき、触媒2を活性化温度領域に短時間に復帰させることができ、排気ガス浄化能を向上させることができる。
【0058】
また本実施例によれば、蓄熱部材4と共に第2蓄熱部材4Dは傾斜して配置されているため、コンバータ1の軸長寸法を抑えつつ、蓄熱部材4による蓄熱量、第2蓄熱部材4Dによる蓄熱量を増加させることができる。
【0059】
なお本実施例によれば、下流側の第2蓄熱部材4Dの凝固開始温度は、上流側の蓄熱部材4の凝固開始温度と異なる温度とする。触媒2の上流側の排気ガスの温度よりも触媒2の下流側の排気ガスの温度が高いときには、下流側の第2蓄熱部材4Dの凝固開始温度を上流側の蓄熱部材4の凝固開始温度よりも高くする。これにより下流側の第2蓄熱部材4Dの蓄熱性を確保することができる。
【0060】
(その他)
上記した第1実施例ではハニカム式の触媒2に適用されているが、これに限らず、ペレット式の触媒、他の方式の触媒にも適用できるものである。蓄熱部材4を構成する金属は、具体的にはスズ−亜鉛系合金で形成されているが、これに限らず、マグネシウム系、スズ系でもよいものである。その他、本発明は上記した且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)排気ガスが流入するガス入口と、排気ガスが流出するガス出口と、前記ガス入口及び前記ガス出口を繋ぐガス流路と、前記ガス流路に配置された触媒収容室とを有する触媒コンバータと、触媒コンバータの触媒収容室に配置された排気ガス浄化用触媒とを有する排気ガス浄化用触媒装置において、排気ガスの温度を潜熱として蓄熱すると共に潜熱として蓄積していた熱を降温に伴い放出する蓄熱部材が設けられ、前記蓄熱部材は前記ガス入口と前記触媒収容室との間に配置されていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒装置。
【0061】
【発明の効果】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒コンバータによれば、内燃機関等の機関の停止後に再起動させたとき、ガス入口と触媒収容室との間に設けられていた蓄熱部材は、潜熱として蓄積していた熱を外部に放出するため、蓄熱部材と触媒との間における空気や排気ガスを効果的に暖めることができる。このため内燃機関等の機関の停止後においても、触媒を活性化温度領域にできるだけ維持することができる。
【0062】
また、内燃機関等の機関の停止に伴い、触媒が活性化温度領域未満に降温するときであっても、内燃機関等の機関を再起動させたとき、蓄熱部材と触媒との間において暖められた空気や排気ガスを、触媒に直ちに供給することができ、従って、再起動直後において触媒を活性化温度領域に短時間に復帰させることができ、再起動直後における触媒の排気ガス浄化能を向上させることができる。
【0063】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒コンバータによれば、水素吸蔵合金を用いないため、水素脆性の不具合を回避することができ、コンバータの設計等の自由度を拡大することができる。
【0064】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒コンバータによれば、蓄熱部材が傾斜して配置されている場合には、コンバータの軸長寸法を抑えつつ、蓄熱部材の装入量を増加させることができ、ひいては蓄熱部材による蓄熱量を増加させることができる。故に、内燃機関等の機関の停止後においても、触媒を活性化温度領域にできるだけ維持することができる。また内燃機関等の機関の停止後においても、蓄熱部材と触媒との間の空気や排気ガスを効果的に暖めることができるため、内燃機関等の機関を再起動させたとき、触媒を活性化温度領域に短時間に復帰させることができ、再起動時における触媒の排気ガス浄化能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1参考例に係る排気ガス浄化用触媒コンバータの断面図である。
【図2】第2参考例に係る排気ガス浄化用触媒コンバータの断面図である。
【図3】第1実施例に係る排気ガス浄化用触媒コンバータの断面図である。
【図4】第3参考例に係る排気ガス浄化用触媒コンバータの断面図である。
【図5】第2実施例に係る排気ガス浄化用触媒コンバータの断面図である。
【符号の説明】
図中、1はコンバータ、10はガス入口、12はガス出口、13はガス流路、2は触媒、3は傾斜壁、4は蓄熱部材、4Bは第2蓄熱部材、5は第2傾斜壁、6は真空断熱室、62は気化可能金属(気化可能物質)を示す。
Claims (3)
- 排気ガスが流入するガス入口と、排気ガスが流出するガス出口と、前記ガス入口及び前記ガス出口を繋ぐガス流路と、前記ガス流路に配置され排気ガス浄化用の触媒を収容する触媒収容室とを具備する排気ガス浄化用触媒コンバータにおいて、
昇温に伴い潜熱として蓄熱すると共に潜熱として蓄積していた熱を降温に伴ない放出する蓄熱部材が設けられ、前記蓄熱部材は前記ガス入口と前記触媒収容室との間に配置されており、
前記ガス出口と前記触媒収容室との間に配置され昇温に伴い潜熱として蓄熱すると共に潜熱として蓄積していた熱を降温に伴い放出する第2蓄熱部材が設けられており、前記第2蓄熱部材の凝固開始温度は前記蓄熱部材の凝固開始温度よりも高いことを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータ。 - 請求項1において、前記コンバータは、前記ガス流路において前記ガス入口から前記触媒収容室に向かうにつれて流路面積が増加する傾斜壁を有しており、前記蓄熱部材が前記傾斜壁に装備されていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータ。
- 請求項2において、前記傾斜壁は、密閉室を形成する内側傾斜壁及び外側傾斜壁で形成されており、前記蓄熱部材が前記密閉室に密閉状態に封入されていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータ。
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