JP3986772B2 - 薄膜トランジスタの作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、珪素を主成分とする半導体材料に関する。特に本発明は、薄膜状の珪素半導体材料の特性向上を目的とし、本発明による半導体材料を利用することによって特性の改善された薄膜半導体装置(薄膜トランジスター等)を作製することが可能となる。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜電界効果トランジスター等の薄膜半導体装置を作製するにあたっては、非結晶質の半導体材料(いわゆるアモルファス半導体)あるいは多結晶質の半導体材料を利用していた。本明細書でアモルファスという言葉は、純粋に原子レベルでの無秩序さだけを意味するのではなく、数nm程度の近距離秩序が存在しているような物質をも含めて使用される。具体的には電子移動度にして10cm2 /V・s以下の珪素材料もしくはその物質のキャリヤ移動度が、その半導体物質の本質的なキャリヤ移動度の1%以下の材料を意味している。
【0003】
さて、アモルファス半導体(アモルファスシリコンやアモルファスゲルマニウム等)を利用する場合には、その作製は400度C以下の比較的低温でおこなえるため、高温プロセスが採用できない液晶電気光学装置等において有望な方法として注目されている。
【0004】
しかしながら、純粋なアモルファス半導体はそのキャリヤ移動度(電子移動度やホール移動度)が著しく小さいため、これをそのまま、例えば薄膜トランジスター(TFT)のチャネル形成領域として用いることは稀で、通常はこれらアモルファス半導体材料にレーザー光やキセノンランプ光等の強光を照射して、溶融再結晶させ、結晶質の半導体材料に変成せしめて、そのキャリヤ移動度を向上させて用いていた。(以下の文章ではこの方法を「レーザーアニール」と呼ぶことにするが、必ずしもレーザーを用いなければならないわけではない。レーザー光照射と同様に強力なフラッシュランプを照射する場合も含まれるものとする。)
【0005】
しかしながら、レーザーアニール法によって従来得られていた半導体材料のキャリヤ移動度は単結晶半導体材料で得られるものより、一般には小さかった。例えば、珪素被膜の場合には、報告されているもので最も大きな電子移動度は200cm2 /V・sであり、これは単結晶珪素の電子移動度、1350cm2 /V・sの7分の1でしかない。また、レーザーアニール法によって得られる半導体材料の特性(主として移動度)は再現性に乏しく、かつ、同じ被膜内における移動度のばらつきが大きく、多数の素子を同一平面内に形成する場合には、得られる半導体素子の特性のばらつきが大きいため製品の歩留りが著しく低下した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のレーザーアニール法では、移動度が単結晶半導体材料に比べて極めて小さく、かつ、その再現性が悪いため、実用に供することができなかった薄膜状の半導体材料の特性を改善することを目的とする。すなわち、移動度の高い薄膜状半導体材料を提供するとともに、再現性よく高い移動度を得る半導体材料の作製方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
さて、ラマン分光法は、物質の結晶性を評価する上で有効な方法であり、レーザーアニール法によって作製された半導体被膜の結晶性を定量化する目的でも使用される。本発明人らは、レーザーアニール法の研究において、得られる半導体被膜のラマン・ピークの中心値、ラマン・ピークの幅、およびラマン・ピークの高さ等に着目することによって、これらの数値が得られる半導体薄膜と極めて密接な関係を有することを見出した。
【0008】
例えば、単結晶珪素では、521cm-1にラマン・ピークが存在するが、レーザーアニール処理された珪素被膜のラマン・ピークは、それよりも短波数(長波長)側に移動する傾向が観察された。そして、このときのラマン・ピークの中心値と得られた半導体薄膜のキャリヤ移動度には強い相関関係があることが発見された。
【0009】
図1はこの関係を示す1例であるが、アモルファスシリコン被膜をレーザーアニール処理して得られた被膜のラマン・ピークの中心値(横軸)と被膜の電子移動度(縦軸)の関係を示す。電子移動度は、珪素被膜によってTFTを作製し、そのCV(容量−電圧)特性を測定することによって得られた値を示してある。図から明らかなように、ラマン・ピークの中心値が515cm-1を境として、電子移動度の挙動に大きな違いが見られる。すなわち、515cm-1以下では電子移動度のラマン・ピーク依存性は小さいが、515cm-1以上ではピークの中心値の増加に伴って、急速に電子移動度が増加する。
【0010】
この現象は明らかに、2つの相が存在することを示している。本発明者らの研究によると、515cm-1以下では、レーザーアニールによっても、被膜が溶融することなく、固相のまま原子の秩序化が進行したものであり、515cm-1以上では、レーザーアニールによって被膜が溶融し、液相状態を経て固化したものであると推定されている。
【0011】
ラマン・ピークの中心値は、単結晶珪素のラマン・ピーク値521cm-1を越えることはなく、得られた電子移動度の最大値は約200cm2 /V・sであった。しかし、このような高い電子移動度を有する珪素被膜を再現性よく得ることは難しく、同じ条件でレーザーアニールをおこなったつもりであっても、微妙に結晶の状態が異なるらしく、移動度が100cm2 /V・sに満たない場合が大多数であった。そして、このように低い電子移動度を示すものはラマン・ピークの中心値は、521cm-1よりかなり小さく、515cm-1以下がほとんでどあった。
【0012】
再現性よく、高い移動度が得られないという事実は、例えば、同じ条件で200個のアモルファスシリコン膜のレーザーアニールをおこなった際に、200cm2 /V・s以上のものは3個、100cm2 /V・s以上200cm2 /V・s未満のものが11個、10cm2 /V・s以上100cm2 /V・s未満のものが61個、10cm2 /V・s未満のものが125個という結果から裏付けられている。
【0013】
その理由としては、レーザーの出力がパルスごとでかなりバラつくためと、レーザーアニールの最適条件が極めて狭い範囲であるためと考えられる。例えば、レーザーの出力が小さすぎるとアモルファスシリコンは溶融せず、また、レーザーの出力が大きすぎると、再結晶化がうまく起こらず、アモルファス化してしまうことが観察される。
【0014】
さらに、それらの理由に付け加えて、本発明人らは膜中の酸素、窒素、炭素等の異元素の存在が、再現性の低下をもたらしているのではないかと考えた。図1に示される実験に用いられた被膜にはレーザーアニール後の測定から、2×1021cm-3もの、酸素原子が含まれていた。これは、アモルファスシリコン成膜時に何らかの経路で侵入したものと考えられる。窒素、炭素は痕跡程度しか観測されなかった。そこで、アモルファスシリコン膜作製の際の原料ガスやチャンバー、排気系統等を充分清浄に保ちつつ、意図的に雰囲気に微量の酸素を添加して、膜中に存在する酸素原子の量をコントロールし、得られた被膜をレーザーアニールして、そのラマン・ピークの中心値と電子移動度の関係を調べた。
【0015】
ただし、本明細書ではこれらの異種元素の濃度とは、被膜の中心部分の濃度をいう。なぜならば、被膜の基板より、あるいは被膜の表面近傍は、これらの異種元素の濃度が極めて高いのであるが、これらの領域に存在する異種元素は、本発明で問題とするキャリヤ移動度には大した影響を与えないものと考えたからである。被膜中で、もっともこれら異種元素の濃度の小さい部分は、通常の被膜では膜の中央部分であり、また、膜の中央部分は電界効果型トランジスター等の半導体装置において重要な役割を果たすものと考えられるからである。以上のような理由から、本発明で、単に異種元素の濃度という場合には、被膜の中央部の濃度をさすものと定義する。
【0016】
これを図2に示す。図2より明らかなように、膜中の酸素濃度を減らすことによって、著しく電子移動度を向上させることはできた。この傾向は膜中に炭素や窒素が含まれる場合においても同様であった。その理由としては、本発明人らは、膜中の酸素原子が多い場合には、レーザーアニールによって被膜が溶融・再結晶化する際に、酸素原子の少ない部分が結晶核となって結晶成長するのであるが、膜中に含まれる酸素原子はその結晶の成長とともに周辺へ追いやられ、粒界に析出して、よって、被膜全体を通して見た場合、粒界に生じるバリヤのために移動度が小さくなるという説と、レーザーアニールによって酸素原子あるいは酸素原子の濃度の大きな領域(一般に融点が純粋な珪素より大きいと考えられる)が結晶核となって結晶成長するのであるが、酸素原子の数が多い場合には結晶核の発生が多く、よって1つあたりの結晶の大きさが小さくなって、移動度が小さく、また、結晶性が損なわれるという説を提案している。
【0017】
いずれにしても、被膜中の酸素濃度を小さくすることによって、レーザーアニールによって極めて大きな電子移動度を得ることができた。例えば、酸素濃度を1×1019cm-3とすることによって、1000cm2 /V・sという大きな電子移動度が得られた。酸素濃度以外にも、窒素の濃度や炭素の濃度を小さくすることによっても同様な効果を得ることができた。さらに、ホール移動度についても同様な傾向が得られた。
【0018】
さらに、酸素濃度が大きい場合でも小さい場合でも、ラマン・ピークの位置と電子移動度の曲線は図1の場合と同様に折れ曲がった様子を示した。本発明人らは、図2の点線より右側の領域は、レーザーアニールによって、被膜が一度溶融した後に再結晶したものと推定し、この領域を溶融−再結晶領域と名付けた。この溶融−再結晶領域において大きな移動度が得られた。
【0019】
しかしながら、このような高い移動度を再現性よく得るということは特に改善されなかった。例えば、膜中の酸素原子の量が1×1019cm-3以下のアモルファスシリコン膜を100個作製して、1000cm2 /V・sが得られたのと同じ条件でレーザーアニールしたつもりでも、電子移動度が100cm2 /V・sを越えたのは9例しかなかった。レーザーアニール後の被膜を観察したところ、レーザー出力が大きすぎて、結晶化がうまくできず、再アモルファス化している場合が多く観察された。
【0020】
図2において、点線より右側の領域を、溶融ー再結晶領域として示したが、実際に、この領域のデータが得られることは上記のように極めて確率が低く、むしろ、失敗する確率が大きいため望ましくないことが明らかになった。一方、本発明人らは、溶融ー再結晶領域の左側に存在する領域において、酸素、窒素、炭素の濃度を低減せしめることによって、高い移動度が得られることを見出した。このことは図2に示されているが、例えば、酸素濃度を1×1019cm-3以下にすることによって最大で100cm2 /V・sもの電子移動度を得ることができた。さらに付け加えるならば、この程度の移動度を得ることは難しくなく、例えば、同じ条件で100個のアモルファスシリコン膜をレーザーアニールした場合、72個の膜が80cm2 /V・s以上であった。
【0021】
本発明人らは、この領域ではアモルファスシリコン膜が溶融せず、固相状態、もしくは固相と液相の中間状態で何らかの格子の秩序化が起こり、ある程度の長い周期性が得られたものと考えている。本発明人らはこの領域を、固相秩序化領域と名付けた。本発明人らは、この固相秩序化領域において、酸素、窒素、炭素等の元素の濃度が低いと高い移動度が得られるという事実の理由は明らかにしていないが、以下のように推定している。
【0022】
すなわち、この固相秩序化領域では溶融過程が存在しないものの、レーザー光の光エネルギーもしくは熱エネルギーを吸収した原子が移動して、最もエネルギーの低い状態、すなわち結晶状態に移行しようとする。しかしながら、溶融過程を経ないので、完全な結晶化には到らず、ところどころで数nm〜数10nmの秩序化した領域が存在し、それらの領域間は、通常のアモルファス状態になっているものと考えられる。この状態は通常の溶融状態を経過した多結晶状態とは大きく異なる。すなわち、溶融状態を経過して再結晶化する過程においては、液相の中に結晶核が発生し、それが周囲に成長して大きくなるため、結晶と結晶のぶつかり合う部分が生じ、その部分が粒界となる。そして、粒界は、格子の欠陥や不純物が析出し、またイオン化して分極したりするため、多くの場合、キャリヤに対する障壁が発生する。
【0023】
一方、固相秩序化した場合には、結晶と結晶のぶつかることはなく、不純物が特に粒界に析出することもない。したがって、固相秩序化の場合には、結晶のような秩序化領域間の障壁は極めて低いものと考えられる。そして、固相秩序化した半導体においては、半導体特性を劣化させる異種元素の存在が、主としてその電気特性を左右することとなる。
【0024】
図2から明らかなように、例えば酸素濃度が1×1019cm-3以下の場合には、電子移動度が100cm2 /V・s程度であるが、そのときのラマン・ピークの中心値は、単結晶珪素のもの(521cm-1)からは掛け離れており、結晶性が単結晶に近づいたわけではないことは明白である。そのことは、後に示す他のデータからも裏付けられる。
【0025】
本発明人らは、さらに、同様な傾向がラマン・ピークの半値幅(以下FWHMという)においても見られることを発見した。この様子を図3に示す。図3の横軸は、レーザーアニールした被膜のラマン・ピークの半値幅を単結晶珪素の半値幅でわったものであり、ここではラマン・ピークの半値幅比(以下FWHM RATIO)とよぶ。FWHM RATIOが小さく、1に近いものほど単結晶珪素に近い構造を有していると考えられる。そして、図から明らかなように、溶融ー再結晶化領域(図の点線より左側)と固相秩序化領域(図の点線より右側)が存在し、固相秩序化領域においては、先のラマン・ピークの中心値の場合と同様に膜中の酸素濃度が小さいものほど電子移動度が大きく、同様な傾向は酸素の濃度以外にも、窒素や炭素の濃度に関しても見られた。図3より明らかなように酸素濃度2×1021cm-3の場合では、FWHM RATIOが2より大きい領域が本発明の固相秩序化領域に相当し、酸素濃度1×1019cm-3の場合では、FWHM RATIOが3より大きい領域が本発明の固相秩序化領域に相当ている。すなわち、これらの濃度の小さいものほど大きな電子移動度が得られた。さらに、ホール移動度についても同様な傾向が見られた。
【0026】
さらに、本発明人らは、ラマン・ピークのうち、膜中のアモルファス成分に起因するピークの強度に関しても、電子移動度と密接な相関が有ることが明らかになった。図4は、レーザーアニールした被膜のラマン・ピークのうち、アモルファス成分に起因するラマン・ピーク(480cm-1付近のピーク)の強度Iaを単結晶珪素のラマン・ピークIc(521cm-1付近のピーク)で割ったものであり、以下、ラマン・ピークの強度比(INTENSITY RATIO)と呼ぶ。ラマン・ピークの強度比に関しても、固相秩序化領域(図の点線より右側)において膜中に含まれる酸素の量が少ないほど電子移動度が大きくなった。同様な傾向は酸素の濃度以外にも、窒素や炭素の濃度に関しても見られた。図4より明らかなように酸素濃度2×1021cm-3の場合では、ラマン・ピークの強度比が略0.2以上の領域が本発明の固相秩序化領域に相当し、酸素濃度1×1019cm-3の場合では、ラマン・ピークの強度比が0.4以上の領域が本発明の固相秩序化領域に相当ている。すなわち、これらの濃度の小さいものほど大きな電子移動度が得られた。さらに、ホール移動度についても同様な傾向が見られた。この場合にも図2、図3の場合と同様に図4の点線より左側は溶融−再結晶領域であると考えている。
【0027】
さて、以上のように、キャリヤ移動度を向上させるためには、膜中の酸素、窒素、炭素の量を減らせば良いことが明らかになった。特に、本発明人らはこれらの元素の量がそれぞれ、5×1019cm-3以下、望ましくは1×1019cm-3以下とすることによって、さらに失敗する確率の大きい溶融過程を経ずして、より歩留りの大きい固相秩序化過程によって、最高で80%もの確率で、例えば、異種元素の濃度を5×1019cm-3以下とすることによって、珪素膜で電子移動度として50cm2 /V・s以上、1×1019cm-3以下とすることによって、100cm2 /V・sもの値が得られることを見出した。また、同様な方法によって、ホール移動度として、30〜80cm2 /V・sの値を安定に得ることができた。
【0028】
以上のように、膜中の異種元素の濃度を低減せしめることによって、固相秩序化過程を経た特殊な状態(本発明人らは、これをセミアモルファス状態と命名する)のキャリヤ移動度を向上せしめることが可能となることがわかった。セミアモルファス状態を実現するためには、膜が溶融状態とならないことが必要条件である。したがって、長い時間では、レーザーが照射されている部分の温度が、その半導体の融点以下、すなわち、珪素の場合には大気圧下で1400度C、ゲルマニウムの場合には大気圧下で1000度C以下であることが必要である。しかしながら、例えば、エキシマーレーザーで実現されているような10ナノ秒という極めて短い時間においては、瞬間的には2000度Cを越えるような温度が分光学的には観測されても、被膜の溶融は観測されないということも起こることがあり、この温度の定義は実際にはあまり意味を持たない。
【0029】
高い移動度をえるためには、異種元素の濃度を低減せしめることが有効であることは上記の通りであるが、例えば、これらの元素の濃度を1×1016cm-3以下にすることは、極めて真空度の高い環境において、きわめてこれらの元素の濃度が小さい(1×1016cm-3以下)アモルファス半導体の被膜にレーザーアニールをおこなっても、容易には達成できない。これは、雰囲気中に微量含まれる酸素ガス、窒素ガス、水分、二酸化炭素等がレーザーアニールの際に膜中に取り込まれるため、あるいは、膜の表面に吸着されていたこれらのガスがレーザーアニールの際に膜中に取り込まれたからであると推測される。
【0030】
そして、これらの困難を避けるためには特別な作製方法が必要である。1つの方法は、酸素、窒素、炭素の濃度が極めて小さい、例えば、1015cm-3以下のアモルファス半導体膜の表面を覆って、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素等の保護膜を形成し、その後、真空雰囲気中(10-4torr以下)でレーザーアニールをおこなうことによって、極めて酸素、窒素、炭素の濃度の小さく、高い移動度の半導体被膜を形成することができる。例えば、炭素、窒素、酸素の濃度がいずれも1×1015cm-3以下で、電子移動度が300cm2 /V・sの珪素被膜が得られた。
【0031】
アモルファス半導体膜の表面を覆って、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素等の保護膜を形成するに際しては、1つの真空装置を有するチャンバーで、例えばCVD法やスパッタ法によってアモルファス半導体被膜を形成した後に、同じチャンバー内で雰囲気を変えずに、あるいは一度、極めて高真空の状態にした後、成膜に適した雰囲気にすることによって、連続的に成膜する方法が適している。しかしながら、より製品の歩留り、再現性、信頼性を向上させるためには、それぞれの被膜の形成に専用のチャンバーを用意し、製品は極めて高真空に保たれた状態のまま、各チャンバーを移動する方式を採用することが望ましい。これらの成膜の方法の選択は設備投資の規模によってなされる。いずれの方法を採用するにしても、重要なことは下地のアモルファス半導体膜に含まれる酸素、窒素、炭素は十分に少ないこと、およびアモルファス半導体とその上の保護膜の界面にはガスが吸着されていないこと、である。例えば、極めて純粋なアモルファス半導体膜を形成しても、一度、その膜を大気にさらしたのち、その上に窒化珪素被膜を形成した場合には、その被膜をレーザーアニールして得られる被膜のキャリヤ移動度は、一般に小さなものであり、また、移動度の大きなものが得られる確率は極めて小さい。これは、アモルファス半導体膜の表面にガスが吸着され、これが後のレーザーアニールの際に被膜中に拡散するためであると考えられる。
【0032】
また、このときの保護膜の材料としてはレーザー光を透過する条件を満たせば、酸化珪素、窒化珪素や炭化珪素であってもよく、また、これらの混在した、化学式 SiNx y z (0≦x≦4/3、0≦y≦2、0≦z≦1、0≦3x+2y+4z≦4)で表される材料を含む材料であってもかまわない。また、その厚さは5〜1000nmが適していた。
【0033】
さて、本発明はアモルファス半導体被膜中の酸素、窒素、炭素の濃度を低減することおよびレーザーアニールの際に存在する酸素、窒素、炭素の濃度を低減することにより、高いキャリヤ移動度を有する半導体被膜を得ることを明らかにしたのであるが、このとき得られる電子移動度もしくはホール移動度は、測定のために形成された電界効果トランジスターのチャネル形成領域の平均値であり、チャネル形成領域の微細な各部分における移動度は求めることはできない。しかしながら、本発明の図1〜図4およびそれらに関連する記述から明らかなように、キャリヤ移動度はラマン・ピークの位置、ラマン・ピークの半値幅、ラマン・ピーク中のアモルファス成分の強度およびラマン・ピークの強度等のパラメータから、一義的に決定できることが明らかになった。したがって、直接には移動度が測定できない微小な領域の移動度も、ラマン分光によるこれらの情報から、おおよその移動度を推定することができる。
【0034】
図5は、固相秩序化過程を経て形成された、セミアモルファスシリコンで、電子移動度が101cm2 /V・sのもの、および溶融過程を経て形成された電子移動度が201cm2 /V・sのもののチャネル形成領域を有する電界効果トランジスターの、チャネル形成領域の各部におけるラマン・ピークの半値幅(FWHM)を示したものである。図において、横軸はチャネル形成領域の位置を表す。Lはチャネル形成領域の長さであって、100μmである。Xはチャネル形成領域の座標を表し、X/L=0とは、チャネル形成領域のソース領域との界面、X/L=1とは、チャネル形成領域のドレイン領域との界面、X/L=0.5とは、チャネル形成領域の中央を表している。図5から明らかなように電子移動度が101cm2 /V・sのものはFWHMが10cm-1より大きいがその変動(場所によるバラツキ程度)は小さく、電子移動度が201cm2 /V・sのものはFWHMが10cm-1より小さいがその変動(場所によるバラツキ程度)は大きい。FWHMが小さいほど被膜の結晶性が単結晶のものに近く、それゆえ電子移動度が大きいことは図3およびそれに関連する説明で述べたとおりであり、このデータ事態はそれと矛盾するものではない。しかしながら、FWHMの場所による変動(場所依存性)が小さいということは、被膜の結晶性が場所によらずほぼ同じものであることを物語っている。なお、この被膜の酸素濃度は約1×1019cm-3であった。
【0035】
一方、電子移動度が201cm2 /V・sのものは、酸素濃度が同じく1×1019cm-3であった。図から明らかなように、全般的にFWHMは低下しているが、FWHMの場所依存性が大きかった。そして、場所によっては、電子移動度が単結晶もFWHM(4.5cm-1)と同等あるいはそれより小さなFWHMの値を示しその部分の電子移動度が単結晶並に大きいということを示唆するが、このことは、同一被膜中に単結晶珪素と同等な結晶性を有する部分が局在してあることを意味している。しかしながら、デバイスとして量産する場合には、いかに移動度が大きいといってもこのように場所によって特性が大きく異なる材料を用いることは望ましくない。特にデバイスの大きさが小さくなるにしたがって、それまで平均化されていたため問題とならなかった不均一性が目立つようになり、デバイスの歩留りを著しく低下させてしまう原因となる。
【0036】
これに対し、電子移動度が101cm2 /V・sのもの(セミアモルファス)は、図から明らかなように、全般的にFWHMの場所依存性は小さい。このことはデバイスを量産する上で歩留りの向上につながり、材料として適していることをしめしている
【0037】
高いキャリヤ移動度を得るためには、上記のように、膜中の異種元素の濃度を低減せしめるとともに、レーザーアニールの条件を最適化しなければならない。このレーザーアニールの条件は、レーザーの発振条件(連続発振もしくはパルス発振、繰り返し周波数、強度、波長、被膜等)によって異なり、一概には言えない。レーザーとしてはエキシマーレーザーの如き紫外線レーザー、YAGレーザーの如き可視、赤外レーザーが使用でき、レーザーアニールする被膜の厚さ等によって選択することが必要である。すなわち、一般に珪素あるいはゲルマニウム材料においては、紫外線に対する吸収長が短いため、レーザー光は深部までは入らず、レーザーアニールは表面の比較的浅い領域でのみ起こる。これに対し、可視光、赤外線に対しては吸収長が長く、光が比較的内部まで侵入し、よって、レーザーアニールは深い部分でも起こる。
【0038】
付加的な事項であるが、半導体被膜をレーザーアニールした後に、水素雰囲気中で200〜600度Cで10分〜6時間のアニール処理を施すことは高いキャリヤ移動度を再現性よく得るために有効であった。これは、レーザーアニールによって特定の領域において固相秩序化が起こると同時に、残されたアモルファス領域には不対結合手(タングリング・ボンド)が残されたままになっているため、あるいはレーザーアニールによって新たに生じ、これがキャリヤに対する障壁として機能するためであると考えられる。半導体中に酸素、窒素、炭素等が多く含まれる場合にはこれらが、ダングリング・ボンドを埋めるのであるが、本発明のように酸素、窒素、炭素等の濃度が著しく小さい場合には、ダングリング・ボンドを埋めることができず、よって、レーザーアニール後に水素雰囲気中でアニールすることが必要となる。
【0039】
【実施例】
〔実施例1〕
プレーナ構造のTFTを作製し、その電気特性を評価した。作製方法を図6に示す。まず、通常のRFスパッタ法によって、厚さ約100nmのアモルファスシリコン被膜を形成した。基板は石英601、基板温度150度C、雰囲気は実質的に100%アルゴンで圧力は0.5パスカル(pa)であった。アルゴンには水素その他のガスを意図的に添加しなかった。アルゴンの濃度は99.99%以上であった。投入電力は200Wで、RF周波数は13.56MHzであった。その後、このアモルファスシリコン膜を100μm×500μmの長方形にエッチングし、アモルファスシリコン膜602を得た。
【0040】
この被膜の酸素、窒素および炭素の濃度はいずれも1019cm-3以下であることを、2次イオン質量分析法(SIMS)によって確認した。
【0041】
ついで、この膜を10-5torrの圧力の真空容器中に置き、真空容器に設けられた石英窓を通してエキシマーレーザー光(KrFレーザー、波長248nm、パルス幅10ナノ秒、照射エネルギー200mJ、照射パルス数50ショット)を照射して、レーザーアニールをおこなった。
【0042】
さらに、これに酸素雰囲気中でのスパッタ法によって厚さ約100nmのゲイト絶縁膜603を形成した。このときの基板温度は150度C、RF(13.56MHz)投入電力は400Wであった。雰囲気は実質的に酸素で、意図的には他のガスは加えなかった。酸素の濃度は99.9%以上であった。圧力は0.5paであった。
【0043】
その後、アルミニウム膜(厚さ200nm)を公知の真空蒸着法によって形成し、不必要な部分を公知のドライエッチング法によって除去し、ゲイト電極604を形成した。ゲイト電極の幅は100μmであった。このとき、ドライエッチングに用いられたフォトレジスト605はゲイト電極の上に残されていた。
【0044】
ついで、イオン打ち込み法によって、ゲイト電極の部分以外にホウソイオンを1014cm-2注入した。ゲイト電極の下には、その上のゲイト電極とフォトレジストがマスクとなってホウソイオンは注入されない。この工程によって、珪素被膜中に不純物領域、すなわち、ソース領域606とドレイン領域607が形成された。このようすを図6(B)に示す。
【0045】
さらに、基板全体を真空容器中に置き、10-5torrの圧力でエキシマーレーザー光(KrFレーザー、波長248nm、パルス幅10ナノ秒、照射エネルギー100mJ、照射パルス数50ショット)を照射して、レーザーアニールをおこなった。この工程によって、イオン打ち込みされてアモルファス化した不純物領域がセミアモルファス化された。
【0046】
ついで、水素雰囲気中での熱アニールをおこなった。真空排気できるチャンバー内に基板を置き、いったん10-6torrまでターボ分子ポンプによって排気し、この状態を30分保ったのち、99.99%以上の純度の水素ガスを100torrまでチャンバー内に導入し、基板を300度Cで60分アニールした。ここで、一度真空排気したのは、被膜に吸着されたガス・水分等を除去するためである。これらが残存した状態で熱アニールをおこなうと、高い移動度を再現性よく得られないことが経験的にわかっていた。
【0047】
最後に、ソース領域およびドレイン領域の上に存在する酸化珪素膜(厚さ100nm)に穴を開け、アルミニウム電極608、609をこれらの領域に形成した。以上の工程によって電界効果型トランジスターが形成された。
【0048】
この電界効果型トランジスターのCV特性を測定した結果、チャネル形成領域の電子移動度は98cm2 /V・sであった。さらに、しきい値電圧(スレシュホールド電圧)は4.8Vであった。また、この電界効果型トランジスターのチャネル形成領域中の酸素、窒素、炭素の濃度をSIMSによって測定した結果、いずれも1×1019cm-3以下であった。
【0049】
〔実施例2〕プレーナ構造のTFTを作製し、その電気特性を評価した。まず、通常のRFスパッタ法によって、3×1017cm-3の濃度のリンを含む厚さ約100nmのアモルファスシリコン被膜を形成した。この膜厚では、後のレーザーアニールに使用されるKrFレーザー光(248nm)によって、膜全体がアニールされる。基板は石英、基板温度150度C、雰囲気は実質的に100%アルゴンで圧力は0.5パスカル(pa)であった。アルゴンには水素その他のガスを意図的に添加しなかった。アルゴンの濃度は99.99%以上であった。投入電力は200Wで、RF周波数は13.56MHzであった。その後、このアモルファスシリコン膜を100μm×500μmの長方形にエッチングした。
【0050】
この被膜の酸素、窒素および炭素の濃度はいずれも1019cm-3以下であることを、2次イオン質量分析法(SIMS)によって確認した。
【0051】
さらに、これに酸素雰囲気中でのスパッタ法によって厚さ約100nmのゲイト絶縁膜を形成した。このときの基板温度は150度C、RF(13.56MHz)投入電力は400Wであった。雰囲気は実質的に酸素で、意図的には他のガスは加えなかった。酸素の濃度は99.9%以上であった。圧力は0.5paであった。
【0052】
その後、アルミニウム膜(厚さ200nm)を公知の真空蒸着法によって形成し、不必要な部分を公知のドライエッチング法によって除去し、ゲイト電極を形成した。ゲイト電極の幅は100μmであった。このとき、ドライエッチングに用いられたフォトレジストはゲイト電極の上に残されていた。
【0053】
ついで、イオン打ち込み法によって、ゲイト電極の部分以外にホウソイオンを1014cm-2注入した。ゲイト電極の下には、その上のゲイト電極とフォトレジストがマスクとなってホウソイオンは注入されない。この工程によって、珪素被膜中に不純物領域、すなわち、ソース領域とドレイン領域が形成された。
【0054】
さらに、基板全体を真空容器に置き、10-5torrの圧力でエキシマーレーザー光(KrFレーザー、波長248nm、パルス幅10ナノ秒、照射エネルギー100mJ、照射パルス数50ショット)を、基板の裏面から照射して、レーザーアニールをおこなった。この工程によって、アモルファス・シリコン膜がセミアモルファス化された。この方法は実施例1の場合と異なり、ソース領域あるいはドレイン領域とチャネル形成領域のセミアモルファス化が同時におこなわれる。そのため、実施例1の方法では、ソース領域あるいはドレイン領域とチャネル形成領域の界面に多くの欠陥が生じたのに対し、欠陥が少なく、結晶性が連続的な界面が得られた。
【0055】
ついで、水素雰囲気中での熱アニールをおこなった。真空排気できるチャンバー内に基板を置き、いったん10-6torrまでターボ分子ポンプによって排気し、さらに100度Cに加熱した。この状態を30分保ったのち、99.99%以上の純度の水素ガスを100torrまでチャンバー内に導入し、基板を300度Cで60分アニールした。ここで、一度真空排気したのは、被膜に吸着されたガス・水分等を除去するためである。これらが残存した状態で熱アニールをおこなうと、高い移動度を再現性よく得られないことが経験的にわかっていた。
【0056】
最後に、ソース領域およびドレイン領域の上に存在する酸化珪素膜(厚さ100nm)に穴を開け、アルミニウム電極をこれらの領域に形成した。以上の工程によって電界効果型トランジスターが形成された。
【0057】
この電界効果型トランジスターのCV特性を測定した結果、チャネル形成領域の電子移動度は112cm2 /V・sであった。さらに、しきい値電圧(スレシュホールド電圧)は3.9Vであった。しきい値電圧が実施例1に比べて改善された(低下した)のは、裏面からレーザーアニールをおこなうことにより、不純物領域もチャネル形成領域も同時に均一に結晶化したためであると考えられる。また、ゲイト電圧をON/OFFしたときのドレイン電流の比率は5×106 であった。
【0058】
この電界効果型トランジスターのチャネル形成領域中の酸素、窒素、炭素の濃度をSIMSによって測定した結果、いずれも1×1019cm-3以下であった。また、チャネル形成領域をラマン分光法によって測定したところ、ラマン・ピークの中心値は515cm-1、ラマン・ピークの半値幅は13cm-1であり、一度溶融したのち再結晶化した珪素の存在は特に観察されず、セミアモルファス状態であることが確認された。
【0059】
〔実施例3〕プレーナ構造のTFTを作製し、その電気特性を評価した。まず、2つのチャンバーを有する成膜装置を用いて、厚さ約100nmのアモルファスシリコン被膜とその上の厚さ10nmの窒化珪素被膜とを厚さ10nmの窒化珪素被膜でコーティングされた石英基板上に連続的に形成した。アモルファスシリコン膜は通常のスパッタ法によって、また、窒化珪素膜はグロー放電プラズマCVD法によって作製した。
【0060】
まず、第1の予備室に基板をセットし、予備室を200度Cに加熱するとともに、真空排気し、予備室の圧力が10-6torr以下の状態で1時間保持した。ついで、成膜時以外は常に10-4torr以下に保持され、外気が入らないように管理された第1のチャンバーを10-6torrまで排気し、予備室から基板を移動させて第1のチャンバーに基板をセットし、基板およびターゲットを200度Cに保持したまま、真空排気し、チャンバーの圧力が10-6torr以下の状態で1時間保持した。そして、チャンバー内にアルゴンガスを導入し、RFプラズマを発生させて、スパッタ成膜をおこなった。スパッタのターゲットは99.9999%以上の純度の珪素ターゲットを使用し、かつ、1ppmのリンを含んでいる。成膜時の基板温度は150度C、雰囲気は実質的に100%アルゴンで圧力は5×10-2torrであった。アルゴンには水素その他のガスを意図的に添加しなかった。アルゴンの濃度は99.9999%以上であった。投入電力は200Wで、RF周波数は13.56MHzであった。
【0061】
成膜終了後、RF放電を停止し、第1のチャンバーを10-6torrまで排気した。ついで、常に10-5torr以下に保持され、第1のチャンバーと第2のチャンバーの間に設けられている第2の予備室を10-6torrまで真空排気し、第1のチャンバーから第2の予備室に基板を移送した。さらに、成膜時以外は常に10-4torr以下に保持され、外気が入らないように管理された第2のチャンバーを10-6torrまで排気し、第2の予備室から基板を移動させて第2のチャンバーに基板をセットし、基板およびターゲットを200度Cに保持したまま、真空排気し、チャンバーの圧力が10-6torr以下の状態で1時間保持した。
【0062】
そして、第2のチャンバーに水素で希釈された純度99.9999%以上のアンモニアガスおよびジシランガス(Si2 6 )を3:2の割合で導入し、全体の圧力を10-1torrとした。そして、チャンバーにRF電流を導入し、プラズマを発生させ窒化珪素の成膜をおこなった。投入電力(13.56MHz)は200Wであった。
【0063】
成膜終了後、RF放電を停止し、第2のチャンバーを10-6torrまで排気した。ついで、第2のチャンバーの片側に設けられ、石英の窓を有する第3の予備室を10-6torrまで真空排気し、第2のチャンバーから第3の予備室に基板を移送した。そして、第3の予備室の窓を通してエキシマーレーザー光(KrFレーザー、波長248nm、パルス幅10ナノ秒、照射エネルギー100mJ、照射パルス数50ショット)を照射し、レーザーアニールをおこなった。こうして、アモルファスシリコン膜のセミアモルファス化をおこなった。
【0064】
このように、成膜状態から実質的に真空状態を破ることなく、連続的にレーザーアニールをおこなう方法は、この実施例に示されているように、アモルファス半導体膜上に保護膜が形成されている場合であっても、また、実施例1および2のように保護膜が形成されていない場合であっても極めて有効であった。その理由としては、被膜上に、ホコリ等の結晶成長の核となる材料が付着したり傷が付いたりする場合には、勿論のことであるが、水分やガスの吸着があるだけで、レーザーアニールによって、被膜が容易に多結晶化してしまうからである。また、真空状態から大気圧状態に移行する際に、被膜が非均一な応力を受けることがあり、その際に生じる、小さな膜表面の変化、突起等が容易に多結晶化の核となってしまうためであると考えている。
【0065】
また、このように成膜とレーザーアニールを連続的におこなう場合には、本実施例のように成膜室と予備室とを設け、予備室に窓を設けて、レーザーアニールをおこなう方法と、成膜室に窓を設け、成膜室で成膜終了後にレーザーアニールをおこなう方法とが考えられるが、後者は成膜によって窓が曇ってしまうため、常に窓に付着する被膜をエッチングしなければならないのに対し、前者ではその必要がない。したがって、量産性とメンテナンス性を考慮すれば、前者の方法が優れているといえる。
【0066】
さて、第3の予備室においてレーザーアニールを終了したのち、第3の予備室に乾燥窒素ガスを導入し、大気圧とし、基板を取り出した。そして、窒化珪素膜を公知のドライエッチング法によって除去したのち、珪素膜を100μm×500μmの長方形にエッチングした。
【0067】
この被膜の酸素、窒素および炭素の濃度はいずれも1016cm-3以下であることは、同じ工程で作製された別の被膜を2次イオン質量分析法(SIMS)によって分析することによって確認した。
【0068】
さらに、これに酸素雰囲気中でのスパッタ法によって厚さ約100nmのゲイト絶縁膜を形成した。このときの基板温度は150度C、RF(13.56MHz)投入電力は400Wであった。スパッタのターゲットは99.9999%以上の純度の酸化珪素であった。雰囲気は実質的に酸素で、意図的には他のガスは加えなかった。酸素の濃度は99.999%以上であった。圧力は5×10-2torrであった。
【0069】
その後、アルミニウム膜(厚さ200nm)を公知の真空蒸着法によって形成し、不必要な部分を公知のドライエッチング法によって除去し、ゲイト電極を形成した。ゲイト電極の幅は100μmであった。このとき、ドライエッチングに用いられたフォトレジストはゲイト電極の上に残されていた。
【0070】
ついで、イオン打ち込み法によって、ゲイト電極の部分以外にホウソイオンを1014cm-2注入した。ゲイト電極の下には、その上のゲイト電極とフォトレジストがマスクとなってホウソイオンは注入されない。この工程によって、珪素被膜中に不純物領域、すなわち、ソース領域とドレイン領域が形成された。
【0071】
さらに、基板全体を真空容器に置き、10-5torrの圧力でエキシマーレーザー光(KrFレーザー、波長248nm、パルス幅10ナノ秒、照射エネルギー50mJ、照射パルス数50ショット)を、基板の裏面から照射して、レーザーアニールをおこなった。この工程によって、イオン打ち込み工程によってアモルファス化した不純物領域のアモルファス・シリコン膜がセミアモルファス化された。
【0072】
この方法は2段階のレーザーアニールをおこなうという点では実施例1と同じであるが、2回目のレーザーアニールを基板の裏面からおこなうということによって、不純物領域とチャネル形成領域の連続的な接続を目的とする。しかしながら、実施例2の方法と異なり、わざわざ、チャネル形成領域作製のために1回目のレーザーアニールをおこなう理由は、紫外線レーザーによって、レーザーアニールをおこなうと、レーザー照射面のアニールは起こるが、深い部分ではおこらない、あるいは移動度の高い状態が得られない可能性が大きく、製品の歩留りを下げてしまうことがあるからである。そこで、製品の歩留りを向上せしめるために、本実施例では最初にアモルファスシリコン膜の表面からレーザーを照射し、後に基板の裏面からもレーザーを照射して、チャネル形成領域と不純物領域の連続的な接合を得るという方法を採用した。
【0073】
ついで、水素雰囲気中での熱アニールをおこなった。真空排気できるチャンバー内に基板を置き、いったん10-6torrまでターボ分子ポンプによって排気し、さらに100度Cに加熱した。この状態を30分保ったのち、99.99%以上の純度の水素ガスを100torrまでチャンバー内に導入し、基板を300度Cで60分アニールした。ここで、一度真空排気したのは、被膜に吸着されたガス・水分等を除去するためである。これらが残存した状態で熱アニールをおこなうと、高い移動度を再現性よく得られないことが経験的にわかっていた。
最後に、ソース領域およびドレイン領域の上に存在する酸化珪素膜(厚さ100nm)に穴を開け、アルミニウム電極をこれらの領域に形成した。以上の工程によって電界効果型トランジスターが形成された。
【0074】
この電界効果型トランジスターを100個作製して、それらのCV特性を測定した結果、チャネル形成領域の電子移動度は平均で275cm2 /V・sであった。さらに、しきい値電圧(スレシュホールド電圧)の平均は4.2Vであった。ドレイン電流の比率の平均は8×106 であった。電子移動度の基準値を100cm2 /V・s、スレシュホールド電圧の基準値を5.0V、ドレイン電流比の基準値を1×106 として、100個の電界効果トランジスターの合格・不合格を調べたところ、81個が合格した。
【0075】
また、これらの電界効果型トランジスターのチャネル形成領域中の酸素、窒素、炭素の濃度をSIMSによって測定した結果、合格した電界効果型トランジスターでは、いずれも1×1016cm-3以下であった。
【0076】
〔実施例4〕プレーナ構造のTFTを作製し、その電気特性を評価した。まず、2つのチャンバーを有する成膜装置を用いて、厚さ約100nmのアモルファスシリコン被膜とその上の厚さ10nmの窒化珪素被膜とを厚さ10nmの窒化珪素被膜でコーティングされた石英基板上に連続的に形成した。アモルファスシリコン膜は通常のスパッタ法によって、また、窒化珪素膜はグロー放電プラズマCVD法によって作製した。
【0077】
まず、第1の予備室に基板をセットし、予備室を200度Cに加熱するとともに、真空排気し、予備室の圧力が10-6torr以下の状態で1時間保持した。ついで、成膜時以外は常に10-4torr以下に保持され、外気が入らないように管理された第1のチャンバーを10-6torrまで排気し、予備室から基板を移動させて第1のチャンバーに基板をセットし、基板およびターゲットを200度Cに保持したまま、真空排気し、チャンバーの圧力が10-6torr以下の状態で1時間保持した。そして、チャンバー内にアルゴンガスを導入し、RFプラズマを発生させて、スパッタ成膜をおこなった。スパッタのターゲットは99.9999%以上の純度の珪素ターゲットを使用し、かつ、1ppmのリンを含んでいる。成膜時の基板温度は150度C、雰囲気は実質的に100%アルゴンで圧力は5×10-2torrであった。アルゴンには水素その他のガスを意図的に添加しなかった。アルゴンの濃度は99.9999%以上であった。投入電力は200Wで、RF周波数は13.56MHzであった。
【0078】
成膜終了後、RF放電を停止し、第1のチャンバーを10-6torrまで排気した。ついで、常に10-5torr以下に保持され、第1のチャンバーと第2のチャンバーの間に設けられている第2の予備室を10-6torrまで真空排気し、第1のチャンバーから第2の予備室に基板を移送した。さらに、成膜時以外は常に10-4torr以下に保持され、外気が入らないように管理された第2のチャンバーを10-6torrまで排気し、第2の予備室から基板を移動させて第2のチャンバーに基板をセットし、基板およびターゲットを200度Cに保持したまま、真空排気し、チャンバーの圧力が10-6torr以下の状態で1時間保持した。
【0079】
そして、第2のチャンバーに水素で希釈された純度99.9999%以上のアンモニアガスおよびジシランガス(Si2 6 )を3:2の割合で導入し、全体の圧力を10-1torrとした。そして、チャンバーにRF電流を導入し、プラズマを発生させ窒化珪素の成膜をおこなった。投入電力(13.56MHz)は200Wであった。
【0080】
成膜終了後、RF放電を停止し、第2のチャンバーを10-6torrまで排気した。ついで、第2のチャンバーの片側に設けられ、石英の窓を有する第3の予備室を10-6torrまで真空排気し、第2のチャンバーから第3の予備室に基板を移送した。そして、第3の予備室に純度99.9999%以上のアルゴンガスを導入し、内部の圧力を5気圧とした。そして、第3の予備室の窓を通してエキシマーレーザー光(KrFレーザー、波長248nm、パルス幅10ナノ秒、照射エネルギー100mJ、照射パルス数50ショット)を照射し、レーザーアニールをおこなった。こうして、アモルファスシリコン膜のセミアモルファス化をおこなった。
【0081】
このように、成膜状態から外気に触れることなく、連続的にレーザーアニールをおこなう方法は、この実施例に示されているように、アモルファス半導体膜上に保護膜が形成されている場合であっても、また、実施例1および2のように保護膜が形成されていない場合であっても極めて有効であった。その理由としては、被膜上に、ホコリ等の結晶成長の核となる材料が付着したり傷が付いたりすることがないというためであると考えられる。さらに、本実施例の場合のように、加圧した雰囲気でのレーザーアニールは、レーザー照射によって、被膜内にミクロな気泡行が発生することを抑制し、したがって、これらの気泡が核となって被膜が多結晶化することを防止する効果がある。
【0082】
また、このように成膜とレーザーアニールを連続的におこなう場合には、本実施例のように成膜室と予備室とを設け、予備室に窓を設けて、レーザーアニールをおこなう方法と、成膜室に窓を設け、成膜室で成膜終了後にレーザーアニールをおこなう方法とが考えられるが、後者は成膜によって窓が曇ってしまうため、常に窓に付着する被膜をエッチングしなければならないのに対し、前者ではその必要がない。したがって、量産性とメンテナンス性を考慮すれば、前者の方法が優れているといえる。
【0083】
さて、第3の予備室においてレーザーアニールを終了したのち、第3の予備室に乾燥窒素ガスを導入し、大気圧とし、基板を取り出した。そして、窒化珪素膜を公知のドライエッチング法によって除去したのち、珪素膜を10μm×1μmの長方形にエッチングした。
【0084】
この被膜の酸素、窒素および炭素の濃度はいずれも1016cm-3以下であることは、同じ工程で作製された別の被膜を2次イオン質量分析法(SIMS)によって分析することによって確認した。
【0085】
さらに、これに酸素雰囲気中でのスパッタ法によって厚さ約100nmのゲイト絶縁膜を形成した。このときの基板温度は150度C、RF(13.56MHz)投入電力は400Wであった。スパッタのターゲットは99.9999%以上の純度の酸化珪素であった。雰囲気は実質的に酸素で、意図的には他のガスは加えなかった。酸素の濃度は99.999%以上であった。圧力は5×10-2torrであった。
【0086】
その後、アルミニウム膜(厚さ200nm)を公知の真空蒸着法によって形成し、不必要な部分を公知のドライエッチング法によって除去し、ゲイト電極を形成した。ゲイト電極の幅(チャネル長)は0.5μm、チャネル幅は1μmであった。このとき、ドライエッチングに用いられたフォトレジストはゲイト電極の上に残されていた。
【0087】
ついで、イオン打ち込み法によって、ゲイト電極の部分以外にホウソイオンを1014cm-2注入した。ゲイト電極の下には、その上のゲイト電極とフォトレジストがマスクとなってホウソイオンは注入されない。この工程によって、珪素被膜中に不純物領域、すなわち、ソース領域とドレイン領域が形成された。
さらに、基板全体を真空容器に置き、10-5torrの圧力でエキシマーレーザー光(KrFレーザー、波長248nm、パルス幅10ナノ秒、照射エネルギー50mJ、照射パルス数50ショット)を、基板の裏面から照射して、レーザーアニールをおこなった。この工程によって、イオン打ち込み工程によってアモルファス化した不純物領域のアモルファス・シリコン膜がセミアモルファス化された。
【0088】
この方法は2段階のレーザーアニールをおこなうという点では実施例1と同じであるが、2回目のレーザーアニールを基板の裏面からおこなうということによって、不純物領域とチャネル形成領域の連続的な接続を目的とする。しかしながら、実施例2の方法と異なり、わざわざ、チャネル形成領域作製のために1回目のレーザーアニールをおこなう理由は、紫外線レーザーによって、レーザーアニールをおこなうと、レーザー照射面のアニールは起こるが、深い部分ではおこらない、あるいは移動度の高い状態が得られない可能性が大きく、製品の歩留りを下げてしまうことがあるからである。そこで、製品の歩留りを向上せしめるために、本実施例では最初にアモルファスシリコン膜の表面からレーザーを照射し、後に基板の裏面からもレーザーを照射して、チャネル形成領域と不純物領域の連続的な接合を得るという方法を採用した。
【0089】
ついで、水素雰囲気中での熱アニールをおこなった。真空排気できるチャンバー内に基板を置き、いったん10-6torrまでターボ分子ポンプによって排気し、さらに100度Cに加熱した。この状態を30分保ったのち、99.99%以上の純度の水素ガスを100torrまでチャンバー内に導入し、基板を300度Cで60分アニールした。ここで、一度真空排気したのは、被膜に吸着されたガス・水分等を除去するためである。これらが残存した状態で熱アニールをおこなうと、高い移動度を再現性よく得られないことが経験的にわかっていた。
最後に、ソース領域およびドレイン領域の上に存在する酸化珪素膜(厚さ100nm)に穴を開け、アルミニウム電極をこれらの領域に形成した。以上の工程によって電界効果型トランジスターが形成された。
【0090】
この電界効果型トランジスターを100個作製して、それらのCV特性を測定した結果、チャネル形成領域の電子移動度は平均で259cm2 /V・sであった。さらに、しきい値電圧(スレシュホールド電圧)の平均は4.2Vであった。ドレイン電流の比率の平均は8×106 であった。電子移動度の基準値を100cm2 /V・s、スレシュホールド電圧の基準値を5.0V、ドレイン電流比の基準値を1×106 として、100個の電界効果トランジスターの合格・不合格を調べたところ、71個が合格した。この例は、本発明が、デバイスの微細化に極めて有効であるということを示している。
【0091】
また、これらの電界効果型トランジスターのチャネル形成領域中の酸素、窒素、炭素の濃度をSIMSによって測定した結果、合格した電界効果型トランジスターでは、いずれも1×1016cm-3以下であった。
【0092】
【発明の効果】
本発明によって、再現性よく、移動度の大きな膜状半導体が得られることが明らかになった。本発明では、主として石英等の絶縁性基板状に形成した半導体被膜のレーザーアニールについて説明したが、基板の材料としては、モノリシックIC等で用いられるような単結晶珪素基板等の単結晶半導体であってもよい。しかし、レーザーアニールが起こる程度の比較的薄いアモルファス膜を単結晶もしくは多結晶の基板上にじかに形成した場合には、レーザー照射によって、これらの基板を核として結晶が成長し、多結晶化してしまうため望ましくない。しかしながら、十分厚いアモルファス膜を単結晶もしくは多結晶基板上に形成した場合には、レーザーアニールはアモルファス膜の深部にまでは到達しないため、良好なセミアモルファス状態が得られる。もちろん、単結晶もしくは多結晶基板上に酸化珪素、窒化珪素等のアモルファス材料が形成されている場合には何ら問題はない。
【0093】
また、実施例では珪素被膜に関して述べたが、ゲルマニウム被膜であっても、また、シリコンーゲルマニウム合金被膜であっても、その他の真性半導体材料あるいは化合物半導体材料であっても、本発明を適用することができる。最初に述べたように、本明細書では、アモルファス被膜の移動度改善方法としてレーザーアニールという方法を用いると記述したが、この表現には例えばフラッシュランプアニールのようにレーザーは使用されない方法も含むのである。すなわち、本発明は強力な光学的エネルギーを利用して半導体材料の結晶性を改善する方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザーアニールされた珪素被膜のラマン・ピークの中心値(RAMAN SHIFT、横軸)と電子移動度(縦軸)の関係を示す。被膜中の酸素の濃度は2×1021cm-3である。
【図2】様々な酸素濃度のレーザーアニールされた珪素被膜のラマン・ピークの中心値(RAMAN SHIFT、横軸)と電子移動度(縦軸)の関係を示す。
【図3】様々な酸素濃度のレーザーアニールされた珪素被膜のラマン・ピークの半値幅の単結晶珪素のラマン・ピークの半値幅に対する比率(FWHM RATIO、横軸)と電子移動度(縦軸)の関係を示す。
【図4】様々な酸素濃度のレーザーアニールされた珪素被膜のラマン・ピークのアモルファス成分の強度(480cm-1のピーク)の単結晶珪素成分の強度(521cm-1のピーク)に対する比率(Ia/Ic、横軸)と電子移動度(縦軸)の関係を示す。
【図5】2つの電界効果トランジスターのチャネル形成領域におけるラマン・ピークのFWHMの場所依存性を示す。縦軸:FWHM、横軸:X/L(L:チャネル長)
【図6】電界効果型トランジスターの作製方法の例を示す。
【符号の説明】
601・・・基板
602・・・半導体被膜
603・・・絶縁体被膜
604・・・ゲイト電極
605・・・フォトレジスト
606・・・ソース領域
607・・・ドレイン領域
608・・・ソース電極
609・・・ドレイン電極

Claims (7)

  1. 第1のチャンバーで、シリコンをターゲットとして用いたスパッタ法により、炭素、窒素および酸素の濃度がいずれも5×1019cm−3以下のアモルファスシリコン膜を形成し、
    前記アモルファスシリコン膜の表面を大気にさらさずに、前記第1のチャンバーから第2のチャンバーに移動して、前記アモルファスシリコン膜上に保護膜を形成し、
    前記第2のチャンバーから、前記第2のチャンバーに連結して設けられた予備室に移動して、前記保護膜を介して、前記アモルファスシリコン膜にパルス発振のレーザー光を照射して、前記アモルファスシリコン膜を固相のまま結晶成長させ、
    前記シリコン膜のアモルファス成分に起因する第1のラマン・ピークを、単結晶珪素の成分に起因する第2のラマン・ピークで割った値は、0.4以上であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  2. 第1のチャンバーで、シリコンをターゲットとして用いたスパッタ法により、炭素、窒素および酸素の濃度がいずれも5×1019cm−3以下のアモルファスシリコン膜を形成し、
    前記アモルファスシリコン膜の表面を大気にさらさずに、前記第1のチャンバーから第2のチャンバーに移動して、前記アモルファスシリコン膜上に保護膜を形成し、
    前記第2のチャンバーから、前記第2のチャンバーに連結して設けられた予備室に移動して、前記保護膜を介して、前記アモルファスシリコン膜にパルス発振のレーザー光を照射して、前記アモルファスシリコン膜を固相のまま結晶成長させ、
    ダングリングボンドが水素により埋められた前記シリコン膜を形成し、
    前記シリコン膜のアモルファス成分に起因する第1のラマン・ピークを、単結晶珪素の成分に起因する第2のラマン・ピークで割った値は、0.4以上であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  3. 請求項1または請求項において、
    前記レーザー光は、エキシマレーザーを用いたレーザー光であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  4. 請求項1または請求項において、
    前記レーザー光は、YAGレーザーを用いたレーザー光であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  5. 請求項1または請求項において、
    前記レーザー光は、紫外レーザーを用いたレーザー光であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  6. 請求項1または請求項において、
    前記レーザー光は、可視レーザーを用いたレーザー光であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  7. 請求項1または請求項において、
    前記レーザー光は、赤外レーザーを用いたレーザー光であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
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