図1は、本発明に係るゲーム装置の一実施形態を示す外観構成図である。本ゲーム装置は、所定の立体構造、例えば略直方体形状の筐体1を備え、前面側の略中央に遊技者であるプレーヤが所定形状の選手カードを載置する載置面20(図2参照)を有するカード載置部2が形成され、その上部にゲーム画像の表示を行うCRT表示器、液晶表示器等のモニタ3が立設され、モニタ3の左右には音声出力や効果音の演出を行うスピーカ41,42が配設されている。また、左右のスピーカ41,42の一方、ここでは右側のスピーカ41の上部には個人カードの挿入口5が設けられ、左側のスピーカ42の上部には後述する選手カードの発行口6が設けられている。個人カード挿入口5、選手カード発行口6の上部には電飾効果を演出する発光部71,72がそれぞれ配設されている。なお、載置部2の所定位置には、ゲームの開始条件としてのコインの投入をガイドするコイン投入口8が形成されている。
図2は、カード載置部2の構成を示す斜視図の一例である。カード載置部2は、上面側が所定形状、ここでは四角形の形状をなし、水平かつ平面状とされている。本ゲーム装置は、本実施形態では、野球ゲームを想定しており、従ってカード載置部2には野球場のフィールドを模擬した絵が描画されている。なお、選手カード9は、図3(a)に示すように、所定形状を有するものが採用可能であり、本実施形態では、長方形をしたものを採用している。カード載置部2には、左右方向に所定間隔でカードを載置するための載置面20が複数、本実施形態では10枚のカードが載置可能なように準備されている。載置面20は選手カード9の幅寸法に対応して形成されており、左右側には、選手カード9を載置位置から一の方向、例えば前後方向にスライドを容易に案内するための補助材としてのガイド部材、例えば選手カード9の幅寸法だけ離間してスライド方向(ここでは前後方向)に伸びた一対の突条体21が形成されている。突条体21の前後方向の寸法は選手カード9のスライド幅に対応して設定されている。
図3は、選手カードの構成及び載置面との関係を説明するための図で,(a)は選手カードの構成と載置面との関係を示す斜視図、(b)は選手カードの裏面の表記内容を示す図である。図3(a)においては、説明の便宜上、選手カード9を載置面20から浮かして表現している。図3(a)に示すように、載置面20は、中央部201と前後方向のスライド部202とから構成されている。中央部201は選手カード9と同一寸法を有し、スライド部202は中央部201に対して前後方向に所要寸法を有する。例えば選手カードの長手方向の長さの略半分の寸法としてもよい。スライド部202は、後述するように選手カード9を、矢印で示す範囲内において、中央部201に対してずらして(スライドして)載置することで、選手カード9に対応するモニタ3に表示されるキャラクタの、後述する行動の態様に変化を与えるものである。選手カード9は、表面に選手キャラクタイメージが、裏面には、視認可能にされた選手の顔写真のイメージと名前等の選手情報、及び視認不可にされた選手識別データが印刷されている。
図3(b)に示すように、選手カード9の裏面に印刷されたマークは、載置面20上での選手カード9の載置位置を検出する位置検出用マーク91と、選手カード9に対応した選手キャラクタの識別用のデータであるキャラクタデータ(以降ではパラメータという)を表すキャラクタマーク92を含む。選手識別データとしては、識別番号を利用可能である。ここでは説明の便宜上、選手カード9を6列×10行のマス目に分割し、その周囲を位置検出用マーク91として用い、その内側の4列×8行のマス目をキャラクタマーク92としているが、実際には、必要なデータが格納可能な行列数を用いたマス目に区分けされている。
位置検出用マーク91は4辺の内の隣接する2辺の全マス目に、残りの2辺における行列方向の交互のマス目に、所定の材料が塗布等されている。このように、連続する部分と、交互する部分とを設けることで、前後逆向きの誤載置を検知して正しい向きでの位置検出を確実にしている。
キャラクタマーク92は、外周より1マス目分内側の各マス目を各1ビットとして前記所定の材料を塗布等することで選手識別データを形成している。全てのゲーム装置内には、全選手に対して、選手識別データに対応して選手のキャラクタデータ(パラメータ)が所要のメモリ部に予め格納され、ゲームの際には、選手カード9の読み取りによって特定された選手識別データの選手パラメータが予め格納されたメモリ部から読み出されて利用される。
塗布のための材料は、視認可能な材料でもよいが、本実施形態では、後述する赤外光を検知する手段を利用することから、視認不可の、例えば赤外光に反応する材料を用いている。一例として、選手カード9は赤外光を吸収する材料で形成され、あるいは裏面を吸収材料でコーティングし、これに対してマークが表記されている。また、カード載置部2の少なくとも載置面20は赤外光に対して透過性を有するものが採用されている。キャラクタマーク92は、キャラクタを特定する識別情報とその能力(スキルを含む)を示している。
能力としては、例えば打者用の場合、共通項目としての、「弾道」、「ミート」、「パワー」、「走力」、「肩力」、「守備力」、「エラー回避値」、「メインポジション」等の野手パラメータが含まれ、さらにキャラクタ個々に応じて特殊能力項目としての、「威圧感」、「左ミート補正」、「左パワー補正」、「チャンス補正」、「スイングタイミング」、「アベレッジヒッター」、「パワーヒッター」、「チャンスメーカー」、「サヨナラ男」、「逆境」、「流し打ち」、「広角打法」、「内野安打」、「バンド」、「満塁男」、「代打男」、「三振男」、「初球打ち」、「固め打ち」、「連打」、「4番打者」、「アベックアーチ」、「粘り男」、「守備職人」、「盗塁」、「体当たり」、「走塁」、「ホームスライディング」、「送球」、「ブロック」、「ムードメーカー」、「タイムリーエラー」、「初回先頭打者本塁打男」、「捕手リードレベル」、「レーザービーム(返球の素早さ)」等の野手パラメータが含まれる。
また、投手用の場合、共通項目としての、「球速」、「スライダー変化」、「カーブ変化」、「フォーク変化」、「シンカー変化」、「シュート変化」(これらを変化球レベルという)、「コントロール」、「ストレート球威」、「投球体格」、「先発調整力」、「疲労回復力」等の投手パラメータが含まれ、さらにキャラクタ個々に応じて特殊能力項目としての、「威圧感」、「左打者補正」、「ピンチ」、「打たれ強さ」、「ランナー」、「立ち上がり」、「尻上がり」、「寸前」、「リリース」、「勝負運」、「牽制」、「打球反応」、「短気」、「四球」、「危険失投率」、「クイック」、「接戦」、「責任感」、「力配分」、「球速安定」、「ポーカーフェイス」等の投手パラメータが含まれる。これらの野手パラメータ及び投手パラメータは、ここでは全ての選手キャラクタに対して設定される。また、これらの各パラメータはその能力乃至は傾向(プラス方向、マイナス方向)の有無が、所要段階のレベル、例えば2段階(有、無)とか3段階(高、中、低)で、さらにはそれ以上の段階で規定されている。
図4は、ゲーム装置の側面断面図であり、図5はその正面図である。図4において、モニタ3の管面上には透明な薄層条の感圧素子であるタッチパネル10が積ねて配置されている。このタッチパネル10は指等で押圧された位置を縦横位置を示す電圧レベルで出力するものである。すなわち、タッチパネル10は長方形状をした薄層体で、縦横にそれぞれ所定ピッチで線状の透明材からなる感圧素材を配列したものを透明カバーで被覆する等により構成されたもので、モニタ3の管面上に貼付されている。このタッチパネル10は公知の物が採用可能であり、モニタ3の画面に表示される選択などを促すボタンのアドレスと押圧位置とからいずれのボタンが指示されたかが検出し得るようにしている。
また、筐体1の内部であって載置面20の下方には撮像部11が配設されている。撮像部11は、載置面20に置かれた選手カード9の載置位置の検出用及び選手カード9の裏面の情報の読取用として機能し、撮像動作を制御すると共に撮像画像の処理を行う撮像画像処理部111の収納筐体と、その上部に取り付けられた撮像手段(CCDカメラ等のデジタル撮像器)としてのイメージセンサ112と、赤外光を発生する光源113とで構成されている。イメージセンサ112は載置面20に置かれた選手カード9の裏面のマーク91,92を撮像するべく、全ての載置面20が視界に含まれるように画角が設定されている。なお、図では見えていないが、本実施形態ではイメージセンサ112は左右方向(図4では紙面奥行き方向)に所定台数並設、例えば2台配置され、各イメージセンサ112が右半分の5つの載置面20、左半分の5つの載置面20を含む視野として設定されている。
光源113は、光源支持部材113aに指示されてカード載置部2の前後方向斜め下方位置に設けられ、この斜め下方方向から載置面20に向けて所定波長域の、ここでは赤外線(遠赤外線含む)の光を発光し、この赤外光を載置面20に照射、すなわち載置面2に配置される選手カード9の裏面に照射するもので、全ての載置面20を均等に照射するべく、左右方向に亘り、所要の間隔を置いて乃至は略連続的に配列されている。また、より均等照射を図るために、載置面20の前側と後側とに配置されていると共に、撮像の障害とならないようにイメージセンサ112の画角外に取付けられている。イメージセンサ112は、多数の光電変換素子が例えばマトリクス状に配列されているもので、光源113からの赤外線が載置面20上の選手カード9の裏面で反射した、マーク91,92を表す赤外光の光像を各光電変換素子で周期的に受光、すなわち受光量に応じたレベルの電気信号に変換するもので、図略の光電変換素子の前面にはこの赤外光のみを好ましくは透過させる図略のフィルタが配置されている。撮像画像処理部111は、周期的に撮像された撮像画像を内部の図略のメモリへ転送する(取り込む)処理を行うと共に、該メモリに展開された撮像画像から前記位置検出用マーク91をメモリのアドレスとして抽出し、その形状を、例えばパターン認識技術等を利用するなどして特定することで、選手カード9の載置面20上のカード載置位置を算出する。また、撮像画像処理部111は、撮像画像中の前記位置検出用マーク91の検出画素アドレスの情報を利用して前記キャラクタマーク92の選手識別データを、例えば行列方向の各マス目のビット情報として読み取る。
筐体1内部には、本ゲーム装置の各部に所要レベルの電源供給を行うための電源部12、ゲーム処理を統括的に実行させるための制御基板類が内装された制御基板部13が配置されている。
図6は、制御基板部に内蔵される制御部と各部とのハードウェアを示すブロック図である。なお、図において、制御部300と各部との間のインターフェースや制御指示を受けて各部を駆動させる駆動信号を生成する部分は常套手段のものとして必要に応じて省略している。
通信部130は他のゲーム装置AGMとの間でデータの送受信を行うものであると共に、図略のセンターモニタCMにゲーム信号情報等のデータを必要に応じて送信するためのものである。本ゲーム装置は、店舗(遊技場)に所要台数設置されていることを想定しており、センターモニタCMは、内部にセンターモニタ用の画像表示処理部を含むコンピュータを備えており、それぞれのゲーム装置の稼働信号を受信してその使用状況や、ゲーム実行中のゲームの状況の信号を受信してそれらを選択的に、あるいはゲームの状況が、例えば得点差が大きいとか、逆に同点とか、あるいは最終回でピンチ、チャンス等の特別な状況にあるようなゲーム画像を店舗内に放映して、プレイ意欲の喚起を促進させるものである。なお、本ゲーム装置は、複数の店舗に設置されている態様では、異なる店舗間で通信部130を介して対戦可能とされる。
タッチパネル10及び撮像部11は操作部10Aを構成する。また、ゲーム開始条件としてのコイン投入口8の内部には、投入コインの真贋及び必要な枚数の計測を行うコインセンサ81が設けられている。投入されたコインは筐体内部の図略の金庫(ボックス)に収納される。個人カード受付部51は個人カード挿入口5の内部に設けられ、挿入されたカードからプレーヤが会員であるか否かとか、ゲーム履歴などの情報を読み取って管理用として利用すると共に、ゲーム終了後に、履歴を更新して個人カード挿入口5から返却するものである。選手カード発行部60は、内部の図略のカード収納部に多数枚の選手カード9が積層状態で収容されており、ゲーム終了毎に、このカード収納部から所定枚数、ここでは1枚の選手カード9をピックアップ部で選手カード発行口6まで搬出し、プレーヤに提供(贈呈)するものである。これにより、プレーヤが選手カードを収集する仕組みを形成し、かつプレイ喚起を図っている。なお、ゲーム結果に応じて発行枚数を可変式としてもよい。
ROM3001は、本ゲームを稼働するためのゲームプログラム、モニタ3に表示される全ての画像データ、ゲーム空間内で3次元画像を生成するための描画処理プログラムを格納すると共に、ゲームの進行乃至はゲーム結果を決定するために必要なパラメータ類や判定のための要素となる種々のデータをテーブル形式で格納している。特に、本実施形態では野球ゲームを想定している関係上、現実の野球のルールに沿うように守備側、攻撃側の処理を実行する制御プログラムが作成され、格納されていると共に、本ゲームにキャラクタとして登場予定の全ての選手の野手パラメータ及び投手パラメータが選手識別データに対応付けられて格納されている。
RAM3002は処理途中のデータを一時的に保管するもので、ROM3001から読み出された各種データ、撮像部11で得られた各選手カード9の能力等の各種ラメータがゲーム中保管され、必要に応じて読み出されてゲームへの反映を可能にしている。
ビデオRAM31は、モニタ3の表示画素に対応するメモリ容量を少なくとも有するもので、表示画像の形成用として用いられる。また、描画処理部3021は、制御部300からの描画命令を受けてビデオRAM31への表示画像の展開を担うハードウェア回路部である。
図7は、制御部の機能を説明するブロック図である。制御部300は、ゲームプログラム及び操作部10Aへの入力操作に基づいて、本ゲームの進行を統括的に制御するゲーム進行処理部301、モニタ3へのゲーム画像の表示を制御する画像表示制御部302、操作部10Aからの入力操作情報を受け付ける受付部303、モニタ3に表示される対決項目、すなわち対決の種類乃至は個数を設定し、更にはそれらの各対決項目の成功確率を算出する対決項目設定部304、受付部303で受け付けた内容に基づいて投球データ、あるいはバッティングデータを作成する行動設定部305、他のゲーム装置AGMとの間で投球データ、あるいはバッティングデータの交換、及びセンターモニタCMに必要なデータの送受信を通信部130を介して行わせる通信処理部306、行動設定部305及び他のゲーム装置AGMから受信したデータに基づいて対決結果を決定する決定部307、確率処理に利用される擬似乱数を発生する乱数発生部308、ゲームの対決結果に影響を与えるゲーム状況を判断するための状況判断部309、決定部307での決定内容、操作部10Aからの入力操作内容、及び自己キャラクタが投手の場合には投手パラメータを、打者の場合には野手パラメータを用いて、あるいは入力操作無しで、それぞれ実行される1つのシーケンスを制御する単位シーケンス実行部310、選手カード9の発行を行わせるための選手カード発行処理部313、及び本ゲーム装置を用いて内部のコンピュータと対決する、いわゆるCPU対戦を実行するべく、相手側の処理を代行する相手側作戦設定部314を備える。
画像表示制御部302は、ゲーム進行に従った所要の画像をモニタ3に表示させるもので、ビデオRAM31等を備える。
本実施形態では、ゲーム装置を操作する遊技者であるプレーヤから行動の指示を与えられる自己キャラクタ、相手プレーヤ(他のゲーム装置又は内部のCPUプレーヤ)から指示を与えられる相手キャラクタが、投手と打者の関係になって対決する1打席分の行動(以下、1つのシーケンスという)を実行させ、このシーケンスを野球ルールに従って3アウトカウント分、9イニング分の合計27回(連続して)実行させることで、最終的な得点の多少で優劣、すなわちゲーム結果を競う野球ゲームを想定している。但し、本実施形態では、ゲーム上で実行するのは、打者1人に対して1球の対決でゲームが進行するようにしている。
自己キャラクタ、相手キャラクタ、必要に応じて他の選手キャラクタ及び野球場を模擬した背景画等は3次元描画が可能なように、それを構成する所要数のポリゴンで構成されており、描画処理部3021(図6)は画像表示制御部302からの描画指示に基づいて、3次元空間上での位置から擬似3次元空間上での位置への変換のための計算、光源計算処理等を行なうと共に、上記計算結果に基づいてビデオRAM31に対して描画すべき画像データの書き込み処理、例えば、ポリゴンで指定されるビデオRAM31のエリアに対するテクスチャデータの書き込み(貼り付け)処理を行う。
ここで、画像表示制御部302の動作と描画処理部3021の動作の関係を説明する。画像表示制御部302は、ROM3001に記録されているオペレーティングシステム(OS)に基づいて、ROM3001から画像データ及び制御プログラムデータ、ゲームプログラムデータを読み出す。読み出された画像データ及び制御プログラムデータ等の一部若しくは全部は、RAM3002上に保持される。以降、画像表示制御部302は、RAM3002上に記憶されている制御プログラムのうちの描画処理部分、各種データ(表示物体のポリゴンやテクスチャ等その他の文字画像を含む画像データ、音声データ)、並びに検出部からの検出信号等に基づいて画像表示処理を進行する。すなわち、画像表示制御部302は、ゲーム進行に基づいて、適宜、描画や音声出力のためのタスクとしてのコマンドを生成する。描画処理部3021は、上記コマンドに基づいて、視点位置の計算、視点位置に対する3次元空間上(勿論、2次元空間上においても同様である)におけるキャラクタの位置等の計算、光源計算等、音声データの生成、加工処理を行う。続いて、上記計算結果に基づいて、ビデオRAM31に描画すべき画像データの書き込み処理等を行なう。ビデオRAM31に書き込まれた画像データは、(インターフェースを介してD/Aコンバータに供給されてアナログ映像信号にされた後に)モニタ3に供給され、その管面上に画像として表示される。同様に、音声データや効果音データも、ROM3001からRAM3002を介して出力され(インターフェースを介してD/Aコンバータに供給されてアナログ音声信号に変換された後に、アンプを介して)スピーカ41,42から音声として出力される。
描画命令としては、ポリゴンを用いて立体的な画像を描画するための描画命令、通常の2次元画像を描画するための描画命令がある。ここで、ポリゴンは、多角形の2次元画像であり、本実施形態においては、三角形若しくは四角形が用いられる。ポリゴンを用いて立体的な画像を描画するための描画命令は、ROM3001から読み出されたポリゴン頂点アドレスデータ、ポリゴンに貼り付けるテクスチャデータの記憶位置を示すテクスチャアドレスデータ、テクスチャデータの色を示すカラーパレットデータの記憶位置を示すカラーパレットアドレスデータ並びにテクスチャの輝度を示す輝度データとからなる。1つのキャラクタ(またはオブジェクト)は多数のポリゴンで構成される。画像表示制御部302は、各ポリゴンの3次元空間上の座標データをRAM3002に記憶する。そして、モニタ3の画面上でキャラクタ等を動かす場合、次のような処理が行われる。
画像表示制御部302は、RAM3002内に一時保持している各ポリゴンの頂点の3次元座標データと、各ポリゴンの移動量データ及び回転量データとに基づいて、順次、各ポリゴンの移動後及び回転後の3次元座標データを求める。このようにして求められた各ポリゴンの3次元座標データの内、水平及び垂直方向の座標データが、RAM3002の表示エリア上のアドレスデータ、すなわちポリゴン頂点アドレスデータとして、描画処理部3021に供給される。描画処理部3021は、3個若しくは4個のポリゴン頂点アドレスデータによって示される三角形若しくは四角形の表示エリア上に、予め割り当てられているテクスチャアドレスデータが示すテクスチャデータを書き込む。これによって、モニタ3の表示面上には、多数のポリゴンにテクスチャデータの貼り付けられたキャラクタ(またはオブジェクト)が表示される。
受付部303は、操作部10Aから、すなわちタッチパネル10からのプレーヤによる押圧情報、撮像部11からのプレーヤ操作による選手カードの載置位置情報、及び選手カード9の裏面の選手識別データに対応するROM3001内の選手キャラクタの能力を示す投手パラメータや野手パラメータの情報を受け付けるものである。
ROM3001内には、対決項目として、投手側には「直球で押せ」、「コースを突け」、「変化球でかわせ」、「緩急をつけろ」等が、打者側には、投手側に対応する項目として「直球に絞れ」、「コースを見極めろ」、「変化球を狙え」、「緩急に合わせろ」等が格納されている。対決項目は、これらに限らず、所要数が準備されてもよい。投手側の「直球で押せ」と打者側の「直球に絞れ」とが、投手側の「コースを突け」と打者側の「コースを見極めろ」とが、投手側の「変化球でかわせ」と打者側の「変化球を狙え」とが、そして、投手側の「緩急をつけろ」と打者側の「緩急に合わせろ」とが一致する対決内容(作戦の一致)となる。また、各対決項目には成功確率が対応付けて記憶されている。例えば「直球で押せ」は90%、「コースを突け」は80%等である。投球のコースは、ゲーム空間内の仮想のホームベース上が予め複数の領域に区分けされており、例えばマトリクス状に区切られて、それぞれのマス目に対応してコースが設定されている。球速は、後述する投手パラメータに対応して所定の値及び緩急のための値が設定されている。同様に、打撃の場合にも、後述する野手パラメータに対応して所定のスイング速度、スイング位置が設定されている。
また、ROM3001内には、采配項目として、守備側に対して、「盗塁警戒」、「エンドラン警戒」、「バントシフト」、「ゲッツーシフト」、「長打シフト」の5つが格納されており、攻撃側に対して、「バンド」、「送りバント」、「ヒット&ラン」、「盗塁(重盗)」、「二盗」、「三盗」、「スクイズ」の7つの采配項目が格納されている。なお、その他の采配項目を採用し、また追加する態様としてもよい。
画像表示制御部302は、図12で「選手を呼ぶ」ボタンが押下された場合に、自己キャラクタが投手であれば、図13に示す作戦指示の画面を表示し、打者であれば、図14に示す作戦指示の画面に移行させる。図13には、「直球で押せ」、「コースを突け」、「変化球でかわせ」の3つの対決項目を表すボタンが表示されている。図14には、「直球に絞れ」、「コースを見極めろ」、「変化球を狙え」の3つの対決項目を表すボタンが表示されている。なお、図14の対決項目の表示のための指示は、図13でいずれかの対決項目がプレーヤによって選択されたことを条件に、その送信が行われて実行されるようにしている。これは、図15と図16との関係においても場合にも同様である。
また、図13,図14に示すように、各対決項目には対応する成功確率が併記表示されている。より詳細には、自己キャラクタが投手の場合を示す図13では、対決項目の右側に、対応する成功確率が表示され、左側に該対決項目に一致する打者側の対決項目に対応する成功確率が表示されている。例えば「直球で押せ」では、投手側の成功確率である制球率として84%が、打者側の成功確率であるミート率として89%が表示されている。自己キャラクタが打者の場合を示す図14では、対決項目の右側に、対応する成功確率が表示され、左側に該対決項目に一致する投手側の対決項目に対応する成功確率が表示されている。これによりプレーヤはそれぞれの成功確率を参考にしながら作戦を立てる、すなわち対決項目を選択することができる。
また、画像表示制御部302は、図12で「サインを送る」ボタンが押下された場合に、自己キャラクタが守備側であれば、図15に示す采配指示の画面を表示し、攻撃側であれば、図16に示す采配指示の画面に移行させる。図15には、守備側として、「盗塁警戒」、「エンドラン警戒」、「バントシフト」、「ゲッツーシフト」、「長打シフト」の5つの采配項目を表すボタンが表示されている。図16には、攻撃側として、「バント」、「送りバント」、「ヒット&ラン」、「盗塁(重盗)」、「二盗」、「三盗」、「スクイズ」の7つの采配項目を表すボタンが表示されている。なお、ゲーム進行制御部301は、対決項目と采配項目の双方を選択可能な態様とすることも可能であるが、本実施形態では、対決項目の選択と采配項目の選択とはいずれか一方しか受け付受けできないようにしている。
対決項目設定部304は、「選手を呼ぶ」ボタンが押下されたときに実行されるもので、対決項目のうちから、図13,図14に示すように、モニタ3上で、タッチパネル10を介してプレーヤが選択可能な対決項目を設定するものである。すなわち、モニタ3に表示される対戦項目の個数及び種類は、投手キャラクタ及び打者キャラクタに対応する各投手パラメータ、野手パラメータの中で下記特殊パラメータに基づいて設定される。例えば、予め、「直球に絞れ」、「コースを見極めろ」、「変化球を狙え」等の複数の項目を用意しておき、対決する投手の投手パラメータと打者の野手パラメータとの内容から、所定のルールに従って演算され、選択される。
対決項目設定部304は、パラメータのレベルとして、打者の能力が高く、かつ投手の能力が低い場合には、対決項目を減少して打者側が有利となるようにし、反対に、打者の能力が低く、かつ投手の能力が高い場合には、対決項目を増加させて、投手側が有利となるようにしている。例えば、投手の場合には、「左打者補正」、「ピンチ」、「ランナー」、「寸前」、「立ち上がり」、「尻上がり」、「接戦」、「責任感」の投手(特殊能力)パラメータを、打者の場合には、「左ミート補正」、「チャンス補正」、「サヨナラ男」、「逆境」、「満塁男」、「代打男」、「固め打ち」、「連打」、「4番打者」、「初回先頭打者本塁打男」、「アベックアーチ」、「チャンスメーカ」の野手(特殊能力)パラメータを、対決項目の数、種類を決定する要素として用いられる。もちろん、上記パラメータ以外の要素(パラメータ)を採用し、また追加してもよい。
行動設定部305は、操作部10Aからの入力操作情報及び選手のパラメータの一部から作戦結果を決定するために必要な情報、すなわち相手側のゲーム装置へ送信するためのデータを作成するものである。画像表示制御部302は、各シーケンス毎に、図12に示すように、ゲーム画面内に作戦の選択をプレーヤに促すためのガイド画像、ここでは「選手を呼ぶ」と「サインを送る」の文字を含むボタンを表示する。行動設定部305は、この段階でプレーヤによってボタンが押されると、タッチパネル10を介して、それらの対決の入力のための画面に移行させる。
ここで、操作部10Aから入力される情報のうち、撮像部11からのカード載置位置情報は、選手キャラクタの行動が、如何なる態様で行われるかを仮想的に設定するべく、行動態様について複数のレベルが設定された属性の当該レベルの決定に反映される。
この属性のレベルは、投手であれば投球を全力乃至はセーブして行う時の(投球パワー)レベルであり、打者であればバットを振るパワーの(スイングパワー)レベルである。すなわち、属性のレベルとして、投手の場合、選手カード9が載置面の中央位置より前側であれば、より全力投球にして球速をより増す一方、被ミート率をより低くし、かつスタミナの消耗量をより大きくし、後側であれば、球速をよりセーブする(下げる)一方、被ミート率をより高くし、かつスタミナの消耗量をより小さくする。スタミナの消耗量は、予め管理されており、攻撃側でベンチにいる状況を想定し、その間に増加するようにしている、なお、投手の場合は投球パワーの大小によって予め設定された量ずつ減少する。
打者の場合、選手カード9が載置面の中央位置より前側であれば、パワーをより上げてバットをより強振させる一方、ミート率の値をより下げ、後側であれば、パワーをよりセーブしてバットの強振をよりなくさせる一方、ミート率の値をより上げる。打者の場合のパワーの増減は、打球の飛距離とスピードの高低に反映し、打球の弾道、すなわち打球の垂直角度の高低に反映し、かつヒット率に反映するようにしている。
また、行動設定部305は、図12で「サインを送る」ボタンが選択されて、守備側であれば図15に移行し、攻撃側であれば図16に移行した場合の采配決定処理を行うものである。すなわち、行動設定部305は、プレーヤが守備側の場合、プレーヤが図15に示すいずれかのボタンを選択し、あるいはプレーヤが攻撃側の場合、プレーヤが図16に示すいずれかのボタンを選択するので、この選択内容を受付部303から受け付けて、その選択内容を采配選択結果として確定する。なお、この采配選択結果は、後述する単位シーケンス実行部310によって、実際の野球を模擬して(すなわち、野球ルールの制御プログラムに従って)、野手の守備位置の変更処理、走者の走塁処理に反映される。
行動設定部305は、送信用のデータとして、本実施形態では、投手データとしては、「リリースタイミング」、「球種」、「選択した対決項目」、「選択した采配項目」、「投球コース」、「属性レベル(全力〜セーブ)」を、打者データとしては、「スイングタイミング」、「選択した対決項目」、「選択した采配項目」、「打球方向」、「属性レベル(強振〜ミート)」を生成する。投手データの、「リリースタイミング」は投手パラメータ中の「リリース」(ベストなリリースタイミング)に対するずれ量が乱数発生部308を利用して、又はランダムな処理により設定され、「球種」は投手パラメータ中の各種の変化球のうちから、采配情報及び属性レベルを考慮して設定され、「投球コース」は投手と打者の両パラメータに基づいて設定される。打者データの、「スイングタイミング」は野手パラメータ中の「スイングタイミング」(ベストなスイングタイミング)に対するずれ量が乱数発生部308を利用して、又はランダムな処理により設定される。
通信処理部306は、操作部10Aからの選択内容に基づいて行動設定部305で生成した作戦情報を含む所定の情報を、互いに他方のゲーム装置に送信するものである。このように、各ゲーム装置は互いに相手側となるゲーム装置からのデータを受け取ることで、互いに同一の情報を持つことができる。
決定部307は、図13、図14に示す対決項目に対してプレーヤが選択した対決項目、対決項目の成功確率、撮像部11から(受付部303を介して得られた)の選手カード9の載置面20上の載置位置情報や当該選手のROM3001内のパラメータ情報、通信処理部306で受信した相手側からのデータから、選択された対決項目の態様である属性のレベルも加味して、対決の結果を決定するものである。また、決定部307は、それぞれのプレーヤが選択した対決項目の成功確率を、投手側、打者側についてそれぞれ、後述する乱数発生部308で発生する擬似乱数を用いて決定する、確率処理を施すことで、ヒットかアウト(空振り三振)かを決定する。すなわち、対決項目が一致した場合には、作戦が的中して有利となった側、すなわち打者側のデータを用いてヒット、アウトを決定し、不一致の場合には作戦を外して有利となった側、すなわち投手側のデータを用いてヒット、アウトを決定する。この時、スタミナ消耗量も反映される。あるいは、スタミナ量が所定の閾値以下となったと、図略の判定部によって判定された時は、選手交代の指示が出されるように設定するものとしてもよい。
さらに、決定部307は、対決項目、采配項目のいずれの選択も行われなかった場合には、互いに相手側のゲーム装置に送信される、対決項目及び采配項目の選択無しの状態の投手データ、打者データに基づいて、後述するヒッティング判定(図9)処理を行い、ヒットかアウトかを決定する。
乱数発生部308は、上記したように、予め所定のルールに従った擬似乱数を発生するもので、確率で結果が規定されている内容、ここでは対決項目に対する成功確率に対して擬似乱数を利用して確率処理を実行させるためのものである。例えば、対決項目が一致して打者が有利になった場合には、更にその成功確率が90%の場合、1〜100までカウント可能なカウンタを駆動させ、所定のルールで決定した時間で停止させた時の数値が1〜90であれば成功(ヒット)と判定し、91〜100であれば失敗(空振り三振)と判断するようにしている。従って、成功確率が例えば90%、つまり50%を越えているからといって、直ちに成功するとの結果に直結しないようにして、期待感、意外性が加味されてゲーム性を高めている。乱数発生部308は、次のゲームの開始までに、またはゲーム開始時に、あるいは各シーケンスの開始時点で、ゲーム進行処理部301によって初期化されるようにしている。これにより、2台のゲーム装置間でゲームの対決を行うに当たっては、通信処理部306で互いのデータを交換する結果、同一の条件のもとで、すなわち同一のデータを利用して確率処理をすることとなるので、双方の乱数発生部308は常に一致した擬似乱数を発生し、従って対決結果を両ゲーム装置間で、常に一致させることができる。このことは、後述する単位シーケンス実行部310で、擬似乱数を用いて確率処理の演算を行う場合にも同様であり、通信処理部306でデータの交換をすることなしに、両ゲーム装置間で、常に処理内容を一致させることができる。これによって、両ゲーム装置のモニタ3に同一のゲーム進行画像を表示させることができる。
ゲーム状況判断部309は、シーケンスの実行数、すなわち野球であればイニング数とアウトカウント数や、直前までの各シーケンスの実行結果からゲームの状況(得点、ピンチ、チャンス等)を判断するもので、この結果が、予め設定された特別な状況(例えば最終回など)、注目するべく状況(満塁など)にある場合には、決定部307で決定される対決結果、すなわちヒット、アウトを決定する処理にも反映されるようにしている。これにより、ゲームをより興趣に富んだものとすることができる。
なお、画像表示制御部302は、投手側の表示画像と打者側との表示画像を同一のもの(仮想カメラの視点及び視線方向が一致)としてもよいが、本実施形態では、同一の事象を、それぞれに好ましい異なる視点位置から描画するようにし、それぞれのプレーヤに対するゲーム進行の視認性の向上を図っている。
単位シーケンス実行部310は、投手による投球からバッティング゛、さらにはバッティング゛結果に応じた一連の動作までの投手キャラクタ、野手キャラクタ、打者キャラクタ、走者キャラクタの動き、及びボールを模擬したボールキャラクタの動きを逐次算出し、その逐次の算出結果を逐一画像表示制御部302に導くものである。
単位シーケンス実行部310は前処理部311と後続処理部312とからなる。前処理部311は、決定部305での決定内容及びその際に用いたパラメータを用いて、モニタ3に表示された投手キャラクタによるボールキャラクタの投球動作前に処理結果を得るもので、プレーヤが投手側であるときは、投球コース、球速(投手パラメータ中の「球速」や「リリース」データなどを使用)、球種、投球されたボールの軌道、ホームベース上での通過位置の各データを演算し、プレーヤが打者側であるときは、バットスイング軌道、バットに当たるか否かの結果、及びバットに当たるとの結果を得たときの、バットに当たった瞬間の「打球速度」、「打球角度」及び「打球速度減衰率」のパラメータを演算する。各演算のうち、投球されたボールキャラクタ、バットスイングの軌道計算については、一般的な力学や空気抵抗を加味したものとしてもよいし、実際の運動に近い形のシミュレーション演算を利用してゲーム処理に要求される速度での処理で求めるものでもよい。
後続処理部312は、投球動作後に行わせる行動に対する処理であって、モニタ3上で、ボールキャラクタや走者キャラクタの動きから野手キャラクタに自然な守備動作を行わせ、ボールキャラクタや野手キャラクタの動きから走者キャラクタに自然な走塁動作を行わせ(以上は野球ルールに即した制御プログラムによる)、及びバットキャラクタとの当たり時のデータを元にボールキャラクタを移動させるための演算を実行する。更に、後続処理部312は、ボールキャラクタのホームベース上の通過位置とバットキャラクタのスイング位置とのずれ量や、両者のタイミングのずれ量に従って前処理部311で得た「打球速度」、「打球角度」及び「打球速度減衰率」の各パラメータを用いて、打撃後の打球速度、打球角度の算出を行う。この場合、「打球速度」、「打球角度」に対して乱数発生部308等を用いて打球の軌道にばらつきを与えることで、よりリアルさを醸し出すことができる。
後続処理部312は、上記の演算を所定の周期で繰り返し実行し、その結果を画像表示制御部302に導くことで、モニタ3上でボールキャラクタ、投手キャラクタ、打者キャラクタ、野手キャラクタ及び走者キャラクタの動きを動画的に表示して、よりリアルなシーケンス処理を実現している。
選手カード発行処理部313は、ゲーム終了を受けて、筐体1内部の選手カード収納部から所定の枚数、ここでは1枚だけ選手カードを選手カード発行口6に発行させる指示を行うものである。これにより、プレーヤはゲームを行う毎に、選手カードの枚数、種類を収集できる。
相手側作戦設定部314は、ROM3001内に、コンピュータで制御される、1チームを構成するに充分な数の選手キャラクタの画像及びそれらの各パラメータ(投手パラメータ、野手パラメータ)を備えた野球チームが予め準備されており、当該ゲーム装置1台のみで、プレーヤとの間でのCPU対戦を実現するためのもので、対決項目、采配項目の選択処理、属性のレベル、対決結果、シーケンスの実行処理を担うものである。この相手側作戦設定部314は、基本的には、相手プレーヤが存在することを仮想したように、対決項目設定部304、行動設定部305、通信処理部306、決定部307、乱数発生部308、ゲーム状況判断部309、単位シーケンス実行部310を自己装置内で同等に機能させ、かつ1つのモニタ上に画像表示させる処理を行うためのものである。
図8は、本ゲームの全体の流れを示すフローチャートである。まず、コインが投入されたか否かがコインセンサ81で検出されると(ステップS1)、撮像部11が起動し、載置面20に選手カード9が所要枚数(野球ゲームでは9枚)が置かれたことを検知し、各選手カード9の選手識別データの読み取りを行う(ステップS3)。続いて、ゲームが開始されて、対戦相手のデータの交換を行い、次いで1人の打者キャラクタとの対決を行う1つのシーケンスの実行処理に移行する(ステップS5)。このシーケンスが終了する毎に、ゲーム終了か否かが判断され(ステップS7)、残りアウトカウントや残りイニングがあるときは、次の打者キャラクタとの対決を行うためのシーケンスが設定されてステップS3に戻る。ステップS7でゲーム終了であれば、ゲーム終了処理(ステップS11)、例えばモニタ3上に優劣(勝敗)の提示等が行われた後、新たな選手カード9を1枚だけ発行する指示を発して、本フローを終了する。
図9は、図8のステップS5に示すシーケンス実行処理に含まれる、打席フローの手順を示すフローチャートである。まず、プレーヤが投手側である場合について説明する。なお、プレーヤが打者側の場合も基本的には同一であるので、投手の場合と異なる手順の部分についてのみ説明する。
先ず、直前のシーケンスで実行された投球、打撃処理(ワーク)に関するデータ及び乱数発生部308の初期化が行われ(ステップS21)、次いで作戦設定表示処理と選択入力、すなわち対決項目の設定、設定された作戦項目のモニタ3へのボタン表示からボタン押下まで、あるいは采配項目のモニタ3へのボタン表示からボタン選択までの、いずれか一方の処理入力が行われると共に、プレーヤによる選択結果をそれぞれ受け付ける(ステップS23)。この受付処理には、選手カード9の載置面20上での位置データも含まれる。
図10は、この作戦設定表示処理に含まれる、対決項目設定の手順を示すフローチャートである。シーケンスが開始され、図12で「選手を呼ぶ」が選択されると、本フローに入り、この選択した旨の情報が相手のゲーム装置に通信されて、対応するように対決項目の表示が行われる。プレーヤが投手側であれば、前述した所定の投手パラメータを用いて、逆に打者側であれば、前述した所定の野手パラメータを用いて、投手キャラクタ及び打者キャラクタについての、各対決項目、及び当該対決項目に対する成功確率(サクセスレート)をそれぞれ算出する(ステップS51)。これらの対決項目、及び当該対決項目に対する成功確率(サクセスレート)のそれぞれの算出は、お互いのゲーム装置内で打者側データ及び投手側データが同様に生成される。この結果を受けて、所定のルールに従って対決項目の数、種類を決定して、モニタ3に表示し(ステップS53、図13,図14参照)、プレーヤの入力をガイドして待つ。そして、複数の対決項目からいずれのボタンが押下されたかを、対決項目の選択として受け取って(ステップS55)、本フローを終了する。なお、例えば待ち時間内に少なくとも一方のボタンの押下がない場合には、制御部300側で任意乃至は無作為に選択する処理を行う。
図9に戻って、次に、相手のゲーム装置に送信するためのデータである投球データが生成される(ステップS25)。この投球データの相手側のゲーム装置への送信が行われる(ステップS27)と共に、相手側のゲーム装置から送信される打撃データの受信が行われる(ステップS29)。この送受信動作は、打撃フローの開始時点から所定の時間経過時に行うよう設定しておくことで、両ゲーム装置で同時的に互いに送受信できる。なお、互いに受信を割り込み処理可能な状態としておいて、データ作成後、直ちに互いに他方のゲーム装置にデータ送信する態様としてもよい。このように、お互いのデータ交換処理を行うことで、各ゲーム装置は、同一の投球データ及びバッティングデータ(打撃データ)を有することになる。しかも、両方で同じデータを持つことで両者の画像表示に遅れが生じることがなくなり、両者で違和感のない、またプレーヤにとって通信による優劣のないゲーム環境を提供することができる。
次いで、受信したバッティングデータをRAM3002のワークエリアに保管し(ステップS31)、投球データ及びバッティングデータ等を用いて決定部307によるヒッティング判定が行われる(ステップS33)。このヒッティング判定では、対決モードの選択の有無を受けて、対決項目が選択された対決モードと、対決項目が選択されない通常モード(采配項目のみ選択される場合を含む)とで、以下のように分岐して処理が行われる。
図11は、このヒッティング判定処理のフローチャートである。図11においては、先ず、対決モードにおいて、対決項目の一致、不一致の判定が行われ(ステップS61)、一致のときはステップS63に進み、不一致のときはステップS69に進む。
ステップS63では、選択された対決項目に対する打者の成功確率(サクセスレート、すなわちミート率)がチェックされ、その成功確率が、乱数発生部308からの擬似乱数を用いての確率処理で成功か失敗か、すなわちサクセスレート判定が実行され(ステップS65)、成功と判定されると、「ジャストミート」、すなわち「安打」と決定され(ステップS67)、逆に失敗と判定されると、「空振り三振」と決定される(ステップS73)。一方、ステップS69では、選択された対決項目に対する投手の成功確率(サクセスレート)がチェックされ、その成功確率が、乱数発生部308からの擬似乱数を用いての確率処理で成功か失敗か、すなわちサクセスレート判定が実行され(ステップS71)、成功と判定されると、「空振り三振」と決定され(ステップS73)、逆に失敗と判定されると、「ジャストミート」、すなわち「安打」と決定される(ステップS67)。
次に、通常モードの場合には、ヒッティング判定は、互いに交換された投手データ、打者データから投手側、打者側のサクセスレートを算出し、サクセスレートの優位な側の確率に対して、乱数発生部308からの擬似乱数を用いてヒットかアウトかの、いずれかが決定される。
図9に戻って、ステップS35で、投球データを用いて投球軌道計算が実行され、次いで、この投球軌道計算で得たホームベース上の通過位置である「バッティングポイント」のワークエリアへのセット(保管)が行われる(ステップS37)。続いて、投球軌道計算で得られた結果に従って、モニタ3上で投球動作及び投球処理である「投球」の画像の表示が行われ(ステップS39)、続いて計算で得られた打撃結果となるスイングタイミング、打球方向、打球速度に従って、モニタ3上で打撃動作及び打球処理である「バッティング」の画像の表示が行われる(ステップS41)。次いで、打撃結果を受けて、野手キャラクタの移動、走者キャラクタの移動、ボールキャラクタの移動が逐次計算され、モニタ3上に画像として表示される(ステップS43)。
なお、プレーヤが打者側の場合には、ステップ#21からステップ#43の処理が、ステップS21からステップS43の各処理と同時的に実行される。なお、ステップ#27では、打撃データの送信が行われ、ステップ#29では投球データの受信が行われる。
なお、本発明は、以下の態様を採用することができる。
(1)選手カード9は、長方形に限らず、正方形、円形等、種々の形状のものが採用可能であり、適用されるゲームの種類に適した形状を採用してもよい。
(2)選手カードの載置面での載置位置の変更は、カード載置部2に対する前後方向の他、左右方向や斜め方向でもよく、あるいはこれらを合わせた態様としてもよい。このようにすれば、カード載置部の形状やゲーム種類に応じて適宜な載置位置変化を与えることができる。あるいは載置面20の前後側に感圧センサを設け、選手カード9を介していずれのセンサが押圧を感知したかで、属性のレベルを変更する態様としてもよい。
(3)本実施形態では、1つのシーケンスを投手の投球の1球で処理する簡易型としたが、野球ルールに従って処理するゲームとしてもよい。
(4)本実施形態では、複数のシーケンスを連続させてゲームを構成したが、これに限定されず、ゲームの種類によっては、1つのシーケンスでゲームが構成される態様としてもよい。
(5)本実施形態では、対決項目の数、種類をいずれも可変としたが、数を固定としてもよく、また種類を固定としてもよく、さらに両者を固定としてもよい。
(6)本実施形態では、選手カードの裏面情報の検出用として撮像部11を採用したが、これに限定されず、裏面情報がバーコードで表記されている場合にはバーコードリーダでもよく、その他種々の検知手段が採用可能である。
(7)本実施形態では、選手カードを動かす方式としたが、これに限定されず、選手カードを固定し、他の部材を、例えば選手カードを載置する部材を載置部2に対して移動式(スライダ機能付き)とし、この移動量を検出するようにしてもよい。
(8)ガイド部材としては、一対の突条体21の他、載置及びスライド範囲に亘る部分をカード載置部2の上面に対して凹状としても、同様にガイドの補助機能を奏する。
(9)マーク91,92は赤外光を吸収する材料で表記された態様としてもよく、この場合、選手カード9を赤外光反射材で作成し、又は裏面に赤外光反射材でコーティングすればよく、かつ載置面20を赤外光を半透過可能な材料としておけばよい。これによっても、材料が塗布されたマス目及び、材料が塗布されたマス目と塗布されていないマス目とを識別することが可能となる。
(10)1台のゲーム装置で1人のプレーヤが内蔵のコンピュータと対戦するCPU対戦では、相手側作戦設定部314によって、あたかも他のプレーヤと対戦しているかのような制御及び画像表示が行われるが、例えばステップS33、ステップ#33でのヒッティング判定処理においては、選手カード9の載置位置情報は存在せず、また、プレーヤ側の操作情報が全て認識し得ている等の事情により、CPU対戦特有の判定処理も含まれるため、このステップS33、ステップ#33の処理に移行する際に、2台のゲーム装置による対戦であるかCPU対戦であるかで、処理を分岐してそれぞれ特有の手順を実行して、次ステップに進むようにしてもよい。
(11)選手カードにはキャラクタデータ(パラメータ)を格納する、アンテナとICチップとからなるタグを内蔵する態様でもよい。この場合、筐体1の載置面の近傍にアンテナを備えたデータ読取器を備えれば、キャラクタデータを電波を介して読み取ることができる。これによれば、裏面のキャラクタデータのためのマーク92を表記しなくても済む。
(12)本発明は、野球ゲームのようにプレーヤが2人の場合に限定されず、複数人がそれぞれのゲーム装置を用いて行うことも可能である。また、野球ゲームの他、各プレーヤが互いに関連し合う、例えば対抗する関係にある作戦を立て、それらが同時的に実行されるタイプの種々のゲームに適用可能である。例えば、アメリカンフットボール、相撲等に適用可能である。また、一般的なじゃんけんゲームのようなゲームにも適用でき、このようなゲームに対しても、互いの手の内を、作戦とか対決という用語を用いて表現することができる。