JP3982692B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば移動電話ハンドセット等の無線端末に用いられるアンテナ装置、及び、このような装置を組み込んだ無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動電話ハンドセット等の無線端末は、通常、ノーマルモードヘリカルアンテナ若しくはメアンダラインアンテナ等の外部アンテナ又は板状逆Fアンテナ(PIFA)等の内部アンテナを組み込んでいる。
【0003】
このようなアンテナは、移動電話ハンドセットに対しては大きいが、波長に対しては小さく、従って、小さいアンテナの根本的な限界のために、狭帯域であり比較的損失が大きい。しかし、セル方式無線通信システムは、一般的に10%以上という部分的な帯域幅を有する。例えばPIFAからこのような帯域幅を達成するには、パッチアンテナの帯域幅とその体積との間には直接の関係があるため、相当な体積を必要とするが、現在の小さいハンドセットへの傾向から、このような体積は容易に利用することができるものではない。それゆえに、上記の制限のため、現代の無線端末の小さいアンテナから効果的な広帯域放射を達成することは可能であると考えられていない。
【0004】
無線端末用の既知のアンテナ装置についての他の問題は、それらが一般的に不均衡であるということであり、従って、強く端末のケースに結合されているということである。その結果、かなりの量の放射線が、アンテナよりもむしろ端末自身から放射することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、無線端末用の改良されたアンテナ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様によると、接地導体に対して駆動するようにされたアンテナ素子を有するアンテナ装置であって、前記アンテナ素子は当該アンテナ装置の動作周波数における波長と比較して小さく、前記アンテナ素子の大きさは、整合回路を介して駆動されるときに、当該アンテナ装置の帯域幅が前記アンテナ素子及び前記接地導体によって決定されるように構成される、アンテナ装置が提供される。
【0007】
アンテナ素子と接地導体との組合せのインピーダンスがトランシーバに適度によくマッチしているときは、帯域幅は、整合回路ではなくアンテナ及び接地導体によって決定される。不整合があまりに大きな場合、帯域幅は整合回路によって決定され、加えて、整合回路の損失は効率的な動作にとって大きすぎるものとなる。
【0008】
本発明により作製されるアンテナ装置においては、大部分の放射電力は、接地導体(一般的に移動電話ハンドセットケース又はプリント回路基板接地導体)から来る。アンテナ素子の外形の適切な選択は、アンテナ素子が電気的に非常に小さいままで、必要インピーダンスが提供されることを可能にする。
【0009】
このようなアンテナ装置は特にデュアルバンド動作に適しており、単純なデュアルバンド整合回路を介して駆動される。一つの実施例は、GSM及びDCS1800システムで使用される周波数での使用に適している。
【0010】
本発明の1つの実施例において、アンテナ素子は、高さより著しく幅の広い三角形導体を有する。このような素子は、特に、アンテナ素子の幅は特に重要でない一方で、コンパクトなハンドセットの設計を可能にするために高さが一般に最小にされなければならない移動電話ハンドセットの用途に適している。この実施例の一つの例において、アンテナと該アンテナに関連する給電ピンとを合わせた高さはたった11mmであり、1800MHz(この周波数では11mmは波長の約0.07倍である)で、70%の効率を提供する。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様により作製されるアンテナ装置を含む無線通信装置が提供される。
【0012】
本発明は、従来技術に存在しない、アンテナ及び無線ハンドセットは非対称に給電されたアンテナを対で形成するものであると考えることができるという認識と、アンテナのための適切な外形の選択は適当なインピーダンス整合が達成されることを可能にするという他の認識とに基づく。
【0013】
ここで、本発明の実施例が、添付の図面を参照して例示により説明される。図面において、対応する機能を示すのに同じ参照番号が用いられた。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、長さLのモノポールアンテナ104が取り付けられる長方形の接地導体102を有する従来の無線端末100の簡略化された実施例の平面図である。接地導体102は、一般的に、EMC(電磁環境適合性)目的のために無線端末100の本体に設けられるプリント回路基板(PCB)接地面又は金属被覆を有する。
【0015】
無線端末102(例えば移動電話ハンドセット)のアンテナ104及び接地導体は、非対称放射する構造を対で形成する。このように、両者ともこれら端末で見られるインピーダンスに寄与する。典型的なハンドセットは、GSM(移動通信用グロ―バルシステム)において使用される周波数では半波の長さに近く、DCS1800において使用される周波数では全波の長さに近い。これらの周波数で、この構造のハンドセット側は、高インピーダンス、特に高抵抗を示す。その大きさのために、この構造のハンドセット側も、低いQ(典型的には1又は2のオーダー)を有する。
【0016】
典型的なアンテナ104は、(明らかに、GSMの場合により小さいが)GSM及びDCSの両方において波長より非常に小さい。従って、この構造のアンテナ側は、低抵抗及び大きな容量性リアクタンスを示す(これはGSMの場合特にそうである)。小さいアンテナが、長さが半波又は全波に近いハンドセットと共同で用いられるときに、抵抗への寄与を決定するのはハンドセットである。このため大部分の放射電力は(低Qの)ハンドセットから放射し、このことが、小さいアンテナを有する移動電話が予想外に高い帯域幅を達成することができる理由を説明する。アンテナがリアクタンスに最も大きく寄与する。アンテナは抵抗の絶対値も決定するが、ピークの周波数位置は決定しない。これは、ハンドセットの半波(又はその倍数)共振によって決定される。
【0017】
これらの事象は図2において示され、この図は、800〜3000MHzの周波数fにおける100x40x1mmの接地導体102(ハンドセットケース又はPCB接地面を表す)の上部の中心に取り付けられる幅1mmのモノポールアンテナ104における抵抗(R)及びリアクタンス(X)の曲線を示す。11〜21mmまで変動する種々の長さLのアンテナ104に対して曲線が示される。
【0018】
抵抗ピークが約1.2及び2.4GHzで発生することが図2から分かる。これらのピークは、それぞれ、長さ約80〜160mmの範囲のハンドセットにおけるGSM900及びDCS1800バンドに近い、ハンドセットの半波及び全波共振周波数に対応する。アンテナ104の長さLを変化させることによって、抵抗及びリアクタンスの数値の両方が変化することができる(両方とも、アンテナ長と共に増加する)。しかし、アンテナ104がハンドセット102と比較して短い限り、長さLは抵抗又はリアクタンスの曲線の形状に影響を及ぼさない。アンテナ104の外形は、主にリアクタンスXに影響を与える。抵抗Rは、アンテナ外形の弱い関数に過ぎないが、前述のとおり、アンテナの長さの強い関数である。
【0019】
本発明は、その駆動回路のインピーダンス(典型的には50Ω)にマッチングしていない小さいアンテナを有する無線端末を提供することによって、アンテナ動作に対するこの洞察を利用する。アンテナの外形及び高さは、適度に低いリアクタンスを提供するのにちょうど十分であるように構成される。アンテナはまた、ハンドセット抵抗が50Ω(又は比較的容易に50Ωとマッチングさせることができる水準の抵抗)に接近するのに十分に大きい。
【0020】
図3は、本発明の第1の実施例の平面図である。本実施例は、図1と同様に、100x40x1mmの接地導体102を有し、該接地導体には三角アンテナ304が取り付けられる。アンテナ304は、接地導体102の上部から2mmの場所に取り付けられ、長さ2mmの給電ピン306を介して給電される、高さ9mm、幅30mmの三角形の導電素子である。ここで、アンテナ304は、適当な抵抗を与えるのにちょうど十分な長さであり、リアクタンスを適度にマッチングすることができるレベルに低減するのにちょうど十分な幅である。
【0021】
図4は、800〜3000MHzの周波数fにおける、図3のアンテナ構成に対する抵抗(R)及びリアクタンス(X)の曲線を示す。電気抵抗ピークの周波数が図2の周波数から変化していないことは明らかに見て取れる。即ち、これら周波数は接地導体102に依存している。しかし、アンテナ304の幅及び裾広がりの性質から、抵抗及びリアクタンスは可能なマッチングを行うのに十分高い。アンテナ304の長さを半分にする影響は幅の30倍の増加により補償されるため、図2に示すように、この抵抗は長さ17mmのモノポールアンテナ104の抵抗と類似している。増加された幅はモノポールアンテナ104と比較してアンテナ304のリアクタンスを大いに低減し、マッチングを実現することを著しく容易にする。
【0022】
アンテナ304は、デュアルバンド整合回路を介して給電されてもよい。GSM及びDCS1800アプリケーションのための適切な回路の例は、図5に示される。ここで、使用される部品は、以下の値を有する:C1は1pF、L1は14nH、C2は3pF、そして、L2は7nHである。使用中に、整合回路は接続P1及びP2にわたる50Ω電源から給電される。P3は給電点306に接続しており、P4は接地面102に接続している。
【0023】
図5に示されるこのようなデュアルバンド整合回路を介して給電される、図3に示されるアンテナ304及び接地面102の組合せのシミュレーションが実行された。反射減衰量S11に対する結果を図6に示し、スミスチャートを図7に示す。いずれの場合においても800〜3000MHzにおける周波数fについてである。2つの共振は、80MHzの6dBの帯域幅については930MHz、175MHZの6dBの帯域幅については1805MHz、に中心合わせされる。
【0024】
デュアルバンド動作が容易に達成されることが分かる。このシミュレーションにおいて使用されるインダクタ及びキャパシタは、安価な小型化されたSMD部品について適当である50のQ係数を有するとみなされた。得られる効率は、GSMについては約55%で、DCSについては70%である。これは、従来のアンテナと同じオーダーである。この効率は、より高いQ係数を有する部品を使用して改善させることができる。図4から、ハンドセット寸法がGSM及びDCSでの動作については最適でないことも明らかである。ハンドセット寸法が最適化される場合、より小さいアンテナ又はより広帯域のマッチングを実現することができる。
【0025】
図7のスミスチャートを観察することにより、この構成も共振(ゼロリアクタンス)が各バンドに対して二回達成されるという役立つ特性を有していることが示される。いずれの場合においても、より高い周波数共鳴は、より高い抵抗を有する。受信バンドは通常周波数デュプレクスシステムにおいてより高い周波数であるため、これは便利である。一般に、受信器は高インピーダンス装置であり伝送器は低インピーダンス装置であるので、伝送器とアンテナ304との間の低インピーダンス経路及びアンテナ304と受信器との間の高インピーダンス経路を維持することによって効率を向上することができる。従来は、必要に応じて50Ωシステムインピーダンスがマッチングにおいて用いられる。このマッチングは、損失が大きく、伝送器及び受信器で見られる帯域幅を低減する可能性がある。
【0026】
図3の図示した実施例に対応する試験体が、上で提示されるシミュレーション結果の実際的なアプリケーションを検査するために作製された。試験体は、上で識別されたものと値が同様の「既製品の」部品を使用して、図5に示される形状の整合回路を介して駆動された。この実施例の反射減衰量S11の測定は、800〜2000MHzの周波数fについて図8に示される。同じ周波数範囲におけるこの実施例のインピーダンスを示すスミスチャートが図9に示される。
【0027】
実験結果は、デュアルバンド動作がシミュレーションによって予測される態様で得られることができることを確認する。シミュレーションと測定値との間の共振周波数の差は、実験整合回路の標準部品値の使用及びシミュレーションにおいて考慮されなかった回路寄生の存在の組合せによって生じる。これらの因子のいずれも実用的なアンテナ装置の実施に対する障壁にはならない。
【0028】
図10は、本発明の第2の実施例の平面図である。本実施例は、図1と同様に、100x40x1mmの接地導体102を有し、該接地導体にはT字形アンテナ404が取り付けられる。アンテナ404の高さ及び幅は、図3の三角アンテナ304と類似しており、従って、類似した利点を提供すると共に低減された量の導体を使用する。
【0029】
図11は、本発明の第3の実施例の平面図である。本実施例は、1つの角が切り欠かれた100x40x1mm接地導体502を有する。長方形のアンテナ504は切り欠き部分に取り付けられ、給電ピン406を介して給電される。
【0030】
当業者にとっては種々の他の実施例も明らかである。例えば、従来用いられるよりも非常に短い長さを有するヘリカル又はメアンダライン素子が、上記したアンテナ304,404,504の代わりに設けられることも可能である。
【0031】
本開示を読むことにより、他の変形例が、当業者にとって明らかになるであろう。このような変形例は、アンテナ装置及びその構成要素の、既知の、設計、製造及び使用に関する他の特徴と関連していてよく、これらの特徴は、ここで説明された特徴に代わって、又は追加して、使用することができる。
【0032】
本発明や請求項において、要素の前に付した「1つの(a又はan)」という単語は、その要素が複数あることを排除するものではない。 更に、「有する(comprising)」という単語は、記載された以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、直方導体に取り付けられるアンテナの平面図である。
【図2】 図2は、図1のアンテナの種々の長さLにおけるシミュレーションした抵抗R及びリアクタンスXのグラフである。
【図3】 図3は、直方導体に取り付けられる三角形のアンテナ素子の平面図である。
【図4】 図4は、図3のアンテナのシミュレーションした抵抗R及びリアクタンスXのグラフである。
【図5】 図5は、図3のアンテナ用のデュアルバンド整合回路の回路図である。
【図6】 図6は、図5の整合回路を介して駆動される図3のアンテナについての、周波数f(単位:MHz)に対するシミュレーションした反射減衰量S11(単位:dB)のグラフである。
【図7】 図7は、800〜3000MHzの周波数範囲における、図5の整合回路を介して駆動される図3のアンテナのシミュレーションしたインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図8】 図8は、図5の整合回路を介して駆動される図3のアンテナについての、周波数f(単位:MHz)に対する測定された反射減衰量S11(単位:dB)のグラフである。
【図9】 図9は、800〜2000MHzの周波数範囲における、図5の整合回路を介して駆動される図3のアンテナの測定したインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図10】 図10は、直方導体に取り付けられるT字状のアンテナ素子の平面図である。
【図11】 図11は、切り欠きを有する直方導体に取り付けられる長方形のアンテナ素子の平面図である。
Claims (9)
- 実質的に平面状の接地導体と、
単一のアンテナ素子と、
前記アンテナ素子と前記接地導体とに動作可能に結合した整合回路とを有するデュアルバンドアンテナ装置であって、
前記整合回路は前記単一のアンテナ素子とともに2つの実質的に異なる動作周波数において抵抗ピークとなるように構成され、
前記アンテナ素子は非共振であり、前記アンテナの動作周波数の波長よりも大幅に小さく、前記接地導体と実質的に同一平面にあり、
前記アンテナ素子は、前記アンテナ素子を結合する端子を構成する第1の端と、前記第1の端から離れた第2の端とを含み、
前記第2の端の幅が前記第1の端と前記第2の端の間の距離よりも大きく、所望の帯域幅を得つつ前記整合回路と一致するレベルまで前記アンテナ素子のリアクタンスを低減するように選択される形状である装置。 - 前記整合回路は、
それぞれ外部RF回路と接地に接続された第1と第2の給電点と、
それぞれ前記アンテナ素子の端子と接地に接続された第3と第4の給電点と、
前記第1と第2の給電点の間に結合された第1のキャパシタと、
前記第1と第3の給電点の間に直列に、第1のインダクタ、及び第2のインダクタと第2のキャパシタとの並列構成とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。 - 前記アンテナ装置のインピーダンスが50オームソースによって駆動されるのに適していることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
- 前記アンテナ素子が、高さより著しく広い幅を有する三角形の導体を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の装置。
- 前記アンテナ素子が、高さより著しく広い幅を有するT字形の導体を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の装置。
- 前記アンテナ素子が、波長より実質的に小さい電気的長さを有するヘリカル素子を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の装置。
- 前記2つの異なる動作周波数は第1の周波数と第2の周波数を含み、前記第1の周波数が前記第2の周波数のほぼ2倍であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか一項に記載の装置。
- 前記第1の周波数がDCS1800システムに適しており、前記第2の周波数がGSMシステムに適していることを特徴とする請求項7に記載の装置。
- 請求項1乃至8の何れか1項に記載のアンテナ装置を含む無線通信装置。
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