JP3982615B2 - 符号化動画像データの方式変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、符号化動画像データの方式変換装置に関し、特に、ある方式で符号化されている動画像データから、それとは異なる符号化方式の符号化動画像データへ変換する場合において、変換に伴う視覚的な劣化を最小限に抑え、高速かつ少ない処理コストで符号化方式変換を行うことのできる符号化動画像データの方式変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
符号化動画像データの方式変換は、例えば、ある方式で符号化された動画像データを、それとは異なる符号化方式の復号再生装置などで復号再生する場合やより帯域の狭いネットワークで伝送する場合などに有効であり、動画像素材の相互利用性を高めることができる。
【0003】
従来の符号化動画像データの方式変換方式は、画素データ領域での変換方式と符号化データ領域での変換方式に大別することができる。図6は、画素データ領域での変換方式を示し、例えばITU-R BT.601相当の解像度を持つMPEG-2動画像データをSIF相当の解像度を持つMPEG-1動画像データへ変換する場合、MPEG-2復号部61において通常のMPEG-2の復号を行い、縮小変換部62において画素データ領域で解像度を水平および垂直方向にそれぞれ1/2に変換し、これにより変換された画素データをMPEG-1再符号化部63において再符号化する。なお、周知のように、MPEG-2復号部61は、可変長復号部611、逆量子化部612、逆DCT部613、フレームメモリ614および加算部615を備え、MPEG-1再符号化部63は、DCT部631、量子化部632、逆量子化部633、逆DCT部634、フレームメモリ635、動き推定部636、動き補償部637、可変長符号化部638および加算部639、640を備える。
【0004】
図6は、再符号化時に用いる動きベクトル情報MV′を動き推定部636により新たに探索するものであるが、元のMPEG-2動画像データから動きベクトル情報を抽出し、解像度の変換率に応じて複数の動きベクトル情報を統合するなどして変換し、これを再符号化時の動きベクトル情報として用いることにより、再符号化時の動き探索処理を省略し、処理を軽減することも提案されている。
【0005】
例えばB.Shenらによる“Adaptive Motion-Vector Resampling for Compressed Video Downscaling”(IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology、Vol.9、No.6(1999))にAMVR(Adaptive Motion-Vector Resampling)法として、マクロブロックのアクティビティを用いた重み付けによって新たな動きベクトル情報を算出する動きベクトル情報の変換手法が提案されており、M.R.Hashemiらによる“Compressed Domain Motion Vector Resampling for Downscaling of MPEG Video”(IEEE International Conference on Image Processing 1999、28AP2.8(1999))にはMAC(Maximum Average Correlation)法として、元の符号化動画像データに含まれる動きベクトル情報のうちのいずれかを採用する動きベクトル情報の変換手法が提案されている。それぞれ求められた動きベクトルは、画像解像度の縮小率に従って適切に変換される。
【0006】
図7は、符号化データ領域での変換方式を示し、例えばITU-R BT.601相当の解像度を持つMPEG-2動画像データをSIF相当の解像度を持つMPEG-1動画像データへ変換する場合、MPEG-2動画像データを可変長復号部71および逆量子化部72により変換係数まで復号する。この変換係数に対して逆動き補償部73で逆動き補償し、縮小変換部75で縮小変換した後、動き推定部76、量子化部77および可変長符号化部78で処理することにより、画素データとなる変換係数を符号化データ領域で変換してMPEG-1動画像データを得ている。ここで動きベクトル変換部74での処理は前記と同様である。
【0007】
例えばN.Merhavらによる“Fast Algorithms for DCT-Domain Image Down-Sampling and for Inverse Motion Compensation”(IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology、Vol.7、No.3(1997))に、符号化データ領域での逆動き補償や動き推定などを符号化変換係数の行列演算として行い、縮小変換においては符号化データ領域で直接サイズ変換を行うことが提案されており、これは符号化データ領域での符号化方式変換に適用することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術のうち、まず画素データ領域での符号化方式変換は、ある符号化方式で符号化された動画像データを一旦画素領域まで復号し、これを再度異なる符号化方式で符号化するというものであり、符号化に際して新たな動きベクトル情報を求めるための評価指標として元の動画像データにおけるマクロブロックのアクティビティなどの計算を必要としていた。また、前記MAC法などのように元の符号化動画像データに含まれる動きベクトル情報のうちのいずれかを採用するものでは、アクティビティの計算だけでなく、より複雑な計算が必要となるという問題がある。
【0009】
これに対して符号化データ領域での符号化方式変換は、ある符号化方式で符号化された動画像データを符号化データ領域で異なる符号化方式へ変換することにより、新たな符号化方式で符号化された動画像データを生成するというものであり、画素データ領域への復号や再符号化などの処理が不要であるが、MPEGなどで頻繁に利用される半画素単位の動き補償を用いている場合には、逆動き補償、動き推定での変換係数の処理や縮小変換を行うための行列演算が非常に複雑になり、場合によっては画素データ領域での符号化変換方式で必要となる復号・再符号化処理よりも多くの処理が必要になるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、前記した従来技術の問題点を解決し、画素データ領域での符号化変換方式を基本とし、ある方式で符号化された動画像データの方式変換において、アクティビティの計算などを必要とせず、変換後の動画像データにおいて視覚的な劣化を最小限に抑えつつ、高速かつ効率的に異なる符号化方式の動画像データへと変換することのできる方式変換装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、
入力された符号化動画像データから少なくとも量子化パラメータおよび動きベクトル情報を抽出する抽出手段と、前記入力された符号化動画像データを画素データへ復号する復号手段と、画素データ領域で画像サイズを縮小する縮小手段と、前記入力された符号化動画像データのマクロブロックの動きベクトル情報において、変換対象のマクロブロックの動きベクトル情報を、該変換対象のマクロブロックに対する前記量子化パラメータを重み付けの指標として用いて重み付け平均し、画像サイズの縮小に応じた縮小画像用の動きベクトル情報を算出する第1の動きベクトル情報演算手段と、前記入力された符号化動画像データのマクロブロックの動きベクトル情報において、変換対象のマクロブロックの動きベクトル情報の単純平均から、画像サイズの縮小に応じた縮小画像用の動きベクトル情報を算出する第2の動きベクトル情報演算手段と、前記入力された符号化動画像データのマクロブロックの動きベクトル情報において、変換対象のマクロブロックの動きベクトル情報の分布を計算する動きベクトル情報分布計算手段と、前記動きベクトル情報分布計算手段により算出された分布が予め定められた閾値以上か否かを判定し、閾値以上と判定された場合には、前記第1の動きベクトル情報演算手段により算出された動きベクトル情報を用いて前記画素データを新たな符号化方式の符号化動画像データへ符号化し、閾値未満と判定された場合には、前記第2の動きベクトル情報演算手段により算出された動きベクトル情報を用いて前記画素データを前記新たな符号化方式の符号化動画像データへ符号化する符号化手段とを具備した点に第1の特徴がある。
【0014】
また、本発明は、前記第1の動きベクトル情報演算手段により算出された縮小画像用の動きベクトル情報をオフセットとして、さらに周囲数画素の動き推定を適用することにより実際の縮小画像用の動きベクトル情報を求める手段を具備した点に第2の特徴がある。
【0015】
また、本発明は、前記入力された符号化動画像データのマクロブロックの符号化モードにおいて、変換対象のマクロブロックのうちの半数以上のマクロブロックが同一の予測方向による符号化モードを持つ場合、該予測方向による符号化モードを変換後のマクロブロックの符号化モードと決定し、それ以外の場合には再決定処理により決定される符号化モードを変換後のマクロブロックの符号化モードと決定する符号化モード決定手段を具備し、前記符号化モード決定手段により決定された符号化モードを前記新たな符号化方式への再符号化時に用いる点に第3の特徴がある。
【0018】
また、本発明は、前記動きベクトル情報分布計算手段が、変換対象となる隣接した複数のマクロブロックの動きベクトル情報の平均値と各動きベクトル情報との差分の総和により動きベクトル情報の分布を計算する点に第4の特徴がある。
【0019】
さらに、本発明は、前記抽出手段により抽出された量子化パラメータを、新たな符号化方式への再符号化時におけるマクロブロックの量子化パラメータ決定のための初期値として用いる点に第5の特徴がある。
【0020】
第1ないし第5の特徴によれば、ある符号化方式で符号化された動画像データを、視覚的な劣化を最小限に抑え、高速かつ少ない処理コストで、それとは異なる符号化方式で符号化された動画像データへ変換することができる。
【0021】
また、第1および第2の特徴によれば、変換前の動画像データにおける動きベクトル情報から、視覚的な劣化を最小限に抑え、高速かつ少ない処理コストで変換後の動画像データにおける動きベクトル情報を求めることができる。
【0022】
また、第3の特徴によれば、変換前のマクロブロックの符号化モードから簡易かつ高精度に変換後のマクロブロックの符号化モードを決定することができる。
【0023】
また、第1および第4の特徴によれば、変換前の動きベクトル情報の分布を用い、該分布が予め定められた閾値以上か否かに応じて最適なベクトル変換方法を適応的に選択して適用することができ、動きベクトル情報の変換処理を低減させることができる。
【0024】
さらに、第5の特徴によれば、元の画像におけるアクティビティを効果的に利用することができ、量子化制御での計算処理を低減させることができるため、より高速な符号化変換方式を実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。以下では、汎用動画像符号化の国際標準であるMPEG-2によって圧縮されたITU-R BT.601相当の空間解像度を持つ動画像データを、同じく国際標準であるMPEG-1によって圧縮されたSIF相当の空間解像度を持つ動画像データへ変換する例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の方式により圧縮された動画像データや、これらとは異なる空間解像度の動画像データに対しても、同様な処理で符号化方式変換を行うことができる。
【0026】
まず、本発明の一実施形態を、図1のブロック図を参照して説明する。同図において、MPEG-2符号化データは、MPEG-2復号部11において通常の復号処理、すなわち、ビデオ信号多重化復号手段としての可変長復号部111、逆量子化部112、逆DCT部113および加算部115を経て画素領域のデータへ復号される。同時に可変長復号部111により動きベクトル情報MVが抽出される。この動きベクトル情報MVは、MPEG-2での復号処理のためにフレームメモリ114に渡されると共に、MPEG-1の再符号化での利用のために動きベクトル変換部12に渡される。
【0027】
画素データ領域まで復号されたMPEG-2動画像データは、フレームメモリ114に格納されると共に、縮小変換部13に渡されて画素データ領域で縮小される。縮小変換部13における処理は、この例では水平および垂直方向にそれぞれ1/2の縮小変換であり、例えば隣接4画素の平均化やフィルタリングにより実現できる。
【0028】
図2は、本発明の動きベクトル変換部12での処理を従来の処理と共に示すフローチャートである。従来の動きベクトル変換処理では、図2(b)に示すように、DCT係数情報COEFを用いてアクティビティ計算を行って(S21)動きベクトル情報重み付けの指標となるマクロブロックの空間的なアクティビティ情報ACTを求め、このアクティビティ情報ACTと動きベクトル情報MVとを用いて縮小動きベクトル計算を行って(S22)縮小動きベクトルMV′を求めている。前出の文献“Adaptive Motion-Vector Resampling for Compressed Video Downscaling”には、縮小動きベクトル計算(S22)を下記の式(1)で行うことが記載されている。
【0029】
ここで、MVi は、変換の対象となるi番目のマクロブロックが持つ動きベクトル情報、Ai は、i番目のマクロブロックのアクティビティ情報ACTである。
【0030】
このように、従来の動きベクトル情報の変換では、動きベクトル情報MVの他に、変換の対象となる動きベクトル情報に重み付けを行うためにアクティビティ計算をしてアクティビティ情報ACTを求める必要があった。なお、アクティビティ情報ACTは、例えばDCT係数情報COEFにおいて、マクロブロックにおける非零係数の個数やマクロブロック内のDCT係数COEFの絶対値の総和などとして定義されるものである。
【0031】
これに対して本発明の動きベクトル変換処理では、図2(a)に示すように、MPEG-2動画像データの可変長復号において動きベクトル情報MVと量子化パラメータ情報QPを抽出し、この量子化パラメータ情報QPを変換の対象となる動きベクトル情報の重み付けの指標として用いて縮小動きベクトル計算を行う(S23)。
【0032】
例えばMPEG-2でよく用いられる符号化モデルTM5などのレート制御では、主に量子化パラメータ情報を制御することによって符号化ビット量を平滑しており、このとき、量子化パラメータ情報を求めるのにマクロブロックの空間的なアクティビティが用いられることから、本発明は、元の符号化動画像データに含まれる量子化パラメータ情報QPは、マクロブロックの空間的な特性を表すことができるということに着目し、変換する動きベクトル情報の重み付け指標として元の符号化動画像データに含まれる量子化パラメータ情報QPを用いるものである。
【0033】
本発明における縮小動きベクトル計算(S23)は、動きベクトル情報の水平成分、垂直成分の双方に下記の式(2)を適用すればよい。
【0034】
ここで、MVi は、変換の対象となるi番目のマクロブロックが持つ動きベクトル情報、QPi は、i番目のマクロブロックの量子化パラメータ情報である。
【0035】
図1に戻って、縮小変換部13によって縮小変換された画像データは、MPEG-1再符号化部14においてMPEG-1動画像データへ変換される。MPEG-1再符号化部14は、DCT部141、量子化部142、逆量子化部143、逆DCT部144、フレームメモリ145、動き補償部146、可変長符号化部147および加算部148、149を備え、動き補償の点で図6のMPEG-1再符号化処理と異なっている。
【0036】
すなわち、上述のように動きベクトル変換部12において変換した動きベクトル情報MV′を動き補償部146で用いることによって、変換後の画素データによるMPEG-1再符号化時の動きベクトル情報を求める処理、すなわち動き推定処理を不要にしている。動き推定処理は、MPEGの符号化処理において大きい比率を占める処理であり、本発明は、MPEG-2からMPEG-1へのトランス符号化において動き推定処理を省略することにより高速なトランス符号化を実現している。
【0037】
ここで量子化部142および逆量子化部143における初期値は、例えばDCT係数の分布に応じた値が設定される。なお、動きベクトル変換部12により求められた動きベクトル情報MV′に対し、その動きベクトル情報のオフセットから周囲数画素程度の動き探索処理を付加的な処理として適用することによって、僅かな処理の増加で、MPEG-1再符号化における動きベクトル情報の精度をさらに高めることができる。
【0038】
次に、MPEG-1再符号化部の動き補償の際に、符号化の対象となるマクロブロックをどの符号化モードで符号化するかを決定する符号化モード決定について説明する。符号化モードの決定は、通常行われているように、動きベクトル変換部12により求められた動きベクトル情報MV′から得られる動き予測残差を用いて新規に行うこともできるが、MPEG-2動画像データから抽出した、変換対象の隣接4マクロブロックの符号化モードを記憶し、それらの符号化モードを解析することにより行うことができる。
【0039】
図3のフローチャートを参照して、それぞれが符号化モードMBT1 、MBT2 、MBT3 、MBT4および動きベクトル情報MV1 、MV2 、MV3 、MY4を持つ隣接4マクロブロックについてのMPEG-1再符号化における符号化モードMBT′の決定および動きベクトル情報MV′の算出の手順の例について説明する。
【0040】
図3の手順は、入力された符号化動画像データがI(イントラ)ピクチャである場合には全てのマクロブロックの符号化モードをイントラモードにして符号化すると共に動きベクトル情報を零とし、Iピクチャでない場合、すなわちPピクチャまたはBピクチャである場合には隣接4マクロブロックの符号化モードのうち少なくとも2つのマクロブロックが同じ符号化モードを持てば該当する新たなマクロブロックの符号化モードをその符号化モードにして符号化すると共に前記式(2)により動きベクトル情報を求めるものである。
【0041】
以下、図3のフローチャートに従って順に説明する。まず、入力された符号化動画像データがIピクチャか否かを判断し(S31)、Iピクチャであると判断された場合には全てのマクロブロックの符号化モードMBT′をイントラモードにして符号化すると共に動きベクトル情報MV′を零にする(S35)。これはIピクチャの場合には全てのマクロブロックがイントラモードであることに依る。S31でIピクチャでないと判断された場合、すなわちPピクチャまたはBピクチャである場合にはイントラモードが2つ以上存在するか否かを判断し(S32)、2つ以上存在すると判断された場合には新たな符号化モードMBT′をイントラモードにすると共に動きベクトル情報MV′を零にする(S35)。
【0042】
S32でイントラモードが2つ以上存在しないと判断された場合には順方向予測モードが2つ以上存在するか否かを判断し(S33)、2つ以上存在すると判断された場合には新たな符号化モードMBT′を順方向予測モードにすると共に動きベクトル情報MV′を前記式(2)により求める(S34)。
【0043】
S33で順方向予測モードが2つ以上存在しないと判断された場合には逆方向予測モードが2つ以上存在するか否かを判断し(S36)、2つ以上存在すると判断された場合には新たな符号化モードMBT′を逆方向予測モードにすると共に動きベクトル情報MV′を前記式(2)により求める(S38)。
【0044】
S36で逆方向予測モードが2つ以上存在しないと判断された場合には双方向予測モードが2つ以上存在するか否かを判断し(S37)、2つ以上存在すると判断された場合には新たな符号化モードMBT′を双方向予測モードにすると共に動きベクトル情報MV′を前記式(2)により求める(S39)。
S37で双方向予測モードが2つ以上存在しないと判断された場合には符号化モードが未知であるとして、MPEG-1符号化時に通常行われているマクロブロック符号化モード決定手法により新たな符号化モードを決定する(S3A)。以上のようにして新たな符号化モードを決定すればマクロブロック符号化モード決定および動きベクトル情報の算出の処理は終了する(S3B)。
【0045】
以上では、変換対象のマクロブロックのうちの半数以上のマクロブロックが同一符号化モードの場合に該符号化モードを変換後のマクロブロックの符号化モードとする例を説明したが、変換後のマクロブロックの符号化モードの決定に際しては、変換対象のマクロブロックのうちの半数以上のマクロブロックが同一の予測方向による符号化モードを持つ場合、その予測方向による符号化モードを変換後のマクロブロックの符号化モードとして適用するようにすればよく、上記例もこの中に含まれている。
【0046】
本発明においては、図2(a)の縮小動きベクトル計算(S23)の処理を、変換の対象となる隣接4マクロブロックの動きベクトル情報の分布を評価して適応的に切り替えることにより、縮小動きベクトル計算の処理を低減させることができる。なお、この縮小動きベクトル計算の処理を採用する場合においても、図3を参照して一例を説明した符号化モード決定の手法を併用することができる。次に、この処理について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
まず、変換の対象となる隣接4マクロブロックの動きベクトル情報の分布を計算する(S41)。次に、この分布を評価する(S42)。この評価は、例えば下記の式(3)に示すように、変換の対象となる隣接4マクロブロックの動きベクトル情報MViの平均値MVaveと各動きベクトル情報MViとの差分の総和、すなわち平均誤差と閾値Thresholdとの比較により行うことができる。
【0048】
【0049】
平均誤差が閾値Thresholdより大きい場合には隣接4マクロブロックの動きベクトル情報MViの分散が大きいと見なし、前記の式(2)を用いて量子化パラメータの重み付けによる縮小動きベクトル計算を行う(S44)。一方、平均誤差が閾値Threshold以下の場合には隣接4マクロブロックの動きベクトル情報MViの分散が小さいと見なし、計算処理の少ない簡易な縮小動きベクトル計算を行う(S43)。この簡易な縮小動きベクトル計算は、例えば下記の式(4)のような、動きベクトル情報MViの単純平均を求める計算を動きベクトル情報の水平成分および垂直成分の双方に適用することにより行うことができ、これにより全体として縮小動きベクトル計算の処理を低減させることができる。
【0050】
【0051】
次に、本発明の他の実施形態を、図5のブロック図を参照して説明する。図1の実施形態は、量子化部および逆量子化部における初期値として、例えばDCT係数の分布に応じた値が設定されるものとして説明したが、本実施形態は、入力された符号化動画像データから抽出した量子化パラメータを、新たな符号化方式への再符号化時におけるマクロブロックの量子化パラメータ決定のための初期値として用いる例である。
【0052】
すなわち、量子化部542および逆量子化部543におけるマクロブロック毎の量子化パラメータ情報は量子化制御部548で求められるが、本実施形態では、MPEG-2復号部51の可変長復号部511においてMPEG-2符号化データから抽出された量子化パラメータ情報QPを量子化パラメータ変換部55で変換し、MPEG-1再符号化部54における量子化制御部548の初期値として利用する。
【0053】
ここで量子化パラメータ変換部55は、例えば変換対象のマクロブロックの量子化パラメータ情報の平均値を求め、該平均値に変換前後のビットレートの比を乗算することにより変換された量子化パラメータ情報QP′を求めるものである。その他の構成は図1と同じであるので説明は省略する。
【0054】
MPEG-2 TM5などのレート制御では、新たな量子化パラメータ情報を求めるためにマクロブロックの空間的なアクティビティを用いている。しかし、本発明の前記実施態様のように、変換前のMPEG-2符号化データから量子化パラメータ情報QPを抽出し、量子化パラメータ変換部55でそれを適切な値QP′に変換し、その値QP′を量子化制御部548に量子化パラメータ情報の初期値として設定し、新たな量子化パラメータ情報を計算することにより、元の画像におけるアクティビティを効果的に利用することができ、量子化制御での計算処理を低減させることができるため、より高速な符号化方式変換を実現できる。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、アクティビティの計算などを必要とせず、変換後の動画像データにおいて視覚的な劣化を最小限に抑えつつ、高速かつ効率的に異なる符号化方式の動画像データへと変換することができる。
【0056】
一例として、4.0Mビット/秒のビットレートで符号化されたITU-R BT.601解像度を持つMPEG-2動画像データを、2.4Mビット/秒のビットレートで符号化されたSIF解像度を持つMPEG-1動画像データに変換する場合、±15画素の動き推定処理を含む通常のトランス符号化と比較して約48%の処理量で変換可能であった。 また、本発明を適用して、BT.601解像度動画像データ−(符号化)−ITU-R BT.601解像度MPEG-2動画像データ−(復号)−ITU-R BT.601解像度動画像データ−(変換)−SIF解像度動画像データ−(符号化)−SIF解像度PEG-1動画像データの変換処理を行い、画質評価として信号対雑音比を求めたところ、前記の多くの処理過程を経ているにも拘わらず、MEG-1の直接通常符号化(SIF解像度動画像データの同解像度MPEG-1動画像データへの変換)と比較して約1.4デシベル程度の低下であり、前出の文献“Adaptive Motion-Vector Resampling for Compressed Video Downscaling”に記載のものとの比較では0.4デシベル程度の向上がみられた。
【0057】
本発明は、ベースバンドトランス符号化の再符号化時に必要な、複雑な動き推定処理が不要であり、視覚的な画質の劣化を最小限に抑えながら、少ない装置コストで効果的に符号化変換を行うことが可能になり、例えば、MPEG動画像伝送・配信システム、MPEG動画像編集システム、リアルタイムMPEG変換ゲートウエイなどに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】 本発明および従来の動きベクトル変換処理の手順の一例示すフローチャートである。
【図3】 再符号化における符号化モード決定および動きベクトル情報算出の手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】 本発明における、縮小動きベクトル計算処理を適応的に切り替える場合の手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】 本発明の他の実施形態を示すブロック図である。
【図6】 従来の画素データ領域での符号化動画像データの方式変換方式の構成を示すブロック図である。
【図7】 従来の符号化データ領域での符号化動画像データの方式変換方式の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11,51,61・・・MPEG-2復号部、12,52,74・・・動きベクトル変換部、13,53,62,75・・・縮小変換部、14,54,63・・・MPEG-1再符号化部、55・・・量子化パラメータ変換部、71,111,511,611・・・可変長復号部、72,112,143,512,543,612,633・・・逆量子化部、73,146,546,637・・・動き補償部、76,636・・・動き推定部、77,142,542,632・・・量子化部、78,147,547,638・・・可変長符号化部、113,144,513,543,613,634・・・逆DCT部、114,145,514,545,614,635・・・フレームメモリ、115,148,149,515,548,549・・・加算部、141,541,631・・・DCT部、548・・・量子化制御部
Claims (5)
- 符号化動画像データの方式変換装置において、
入力された符号化動画像データから少なくとも量子化パラメータおよび動きベクトル情報を抽出する抽出手段と、
前記入力された符号化動画像データを画素データへ復号する復号手段と、
画素データ領域で画像サイズを縮小する縮小手段と、
前記入力された符号化動画像データのマクロブロックの動きベクトル情報において、変換対象のマクロブロックの動きベクトル情報を、該変換対象のマクロブロックに対する前記量子化パラメータを重み付けの指標として用いて重み付け平均し、画像サイズの縮小に応じた縮小画像用の動きベクトル情報を算出する第1の動きベクトル情報演算手段と、
前記入力された符号化動画像データのマクロブロックの動きベクトル情報において、変換対象のマクロブロックの動きベクトル情報の単純平均から、画像サイズの縮小に応じた縮小画像用の動きベクトル情報を算出する第2の動きベクトル情報演算手段と、
前記入力された符号化動画像データのマクロブロックの動きベクトル情報において、変換対象のマクロブロックの動きベクトル情報の分布を計算する動きベクトル情報分布計算手段と、
前記動きベクトル情報分布計算手段により算出された分布が予め定められた閾値以上か否かを判定し、閾値以上と判定された場合には、前記第1の動きベクトル情報演算手段により算出された動きベクトル情報を用いて前記画素データを新たな符号化方式の符号化動画像データへ符号化し、閾値未満と判定された場合には、前記第2の動きベクトル情報演算手段により算出された動きベクトル情報を用いて前記画素データを前記新たな符号化方式の符号化動画像データへ符号化する符号化手段とを具備したことを特徴とする符号化動画像データの方式変換装置。 - 前記第1の動きベクトル情報演算手段により算出された縮小画像用の動きベクトル情報をオフセットとして、さらに周囲数画素の動き推定を適用することにより実際の縮小画像用の動きベクトル情報を求める手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の符号化動画像データの方式変換装置。
- 前記入力された符号化動画像データのマクロブロックの符号化モードにおいて、変換対象のマクロブロックのうちの半数以上のマクロブロックが同一の予測方向による符号化モードを持つ場合、該予測方向による符号化モードを変換後のマクロブロックの符号化モードと決定し、それ以外の場合には再決定処理により決定される符号化モードを変換後のマクロブロックの符号化モードと決定する符号化モード決定手段を具備し、
前記符号化モード決定手段により決定された符号化モードを前記新たな符号化方式への再符号化時に用いることを特徴とする請求項1または2に記載の符号化動画像データの方式変換装置。 - 前記動きベクトル情報分布計算手段は、変換対象となる隣接した複数のマクロブロックの動きベクトル情報の平均値と各動きベクトル情報との差分の総和により動きベクトル情報の分布を計算することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の符号化動画像データの方式変換装置。
- 前記抽出手段により抽出された量子化パラメータを、新たな符号化方式への再符号化時におけるマクロブロックの量子化パラメータ決定のための初期値として用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の符号化動画像データの方式変換装置。
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