JP3982569B2 - エキシマレーザの波長制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はエキシマレーザの波長制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置製造用の縮小投影露光装置(ステッパ)の光源としてエキシマレーザの利用が注目されている。これはエキシマレーザの波長が短いことから光露光の限界0.3μm以下に延ばせる可能性があること、同じ解像度なら従来用いていた水銀ランプのg線やi線に比較して焦点深度が深いこと、レンズの開口数(NA)が小さくてすみ露光領域を大きくできること、大きなパワーが得られることなどの多くの優れた利点が期待できるからである。
【0003】
ところで、エキシマレーザをステッパの光源として用いる場合には、エキシマレーザの出力レーザ光を狭帯域化する必要があり、この狭帯域化された出力レーザ光の波長を高精度に安定化制御する必要がある。
【0004】
従来、狭帯域発振エキシマレーザの出力光のスペクトル線幅を計測したり、波長を検出したりする為にモニタエタロンや回折光子を用いた分光器が用いられている。モニタエタロンは部分反射ミラーを所定の空隙をあけて対向配置したエアギャップエタロンを用いて構成されるもので、このエアギャップエタロンの透過波長は次のように表される。
【0005】
mλ=2nd・cosθ
ただし、mは整数、nはエタロンの部分反射ミラー間の屈折率、dはエタロンの部分反射ミラー間の間隔、θはエタロンの法線と入射光の光軸のなす角度である。
【0006】
この式より、n、d、mが一定とすれば、波長が変化すると、θが変化することが判る。モニタエタロンではこの性質を利用して被検出光の波長を検出している。
【0007】
ところで、上述したモニタエタロンにおいて、エアギャップ内の圧力及び周囲温度が変化すると、波長が一定でも上述した角度θが変化してしまう。そこで、モニタエタロンを用いる場合、エアギャップ内の圧力及び周囲温度を一定に制御して波長検出を行っていた。
【0008】
しかし、エアギャップ内の圧力及び周囲温度を高精度に制御することは困難であり、このため充分な精度で絶対波長を検出することはできなかった。
【0009】
そこで、従来は、被検出光とともに予め波長がわかっている基準光(たとえばアルゴンレーザ光、鉄または水銀ランプの発振線)をモニタエタロンに入射し、この基準光に対する被検出光の相対波長を検出することにより被検出光の絶対波長を検出するようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記基準光源として、ArFエキシマレーザ(波長193nm)の場合は、
a.Asのホローカソードランプの193.7590nm線(真空中)
b.低圧水銀ランプの194.2273nm線(真空中)
などを用いるようにしている。
【0011】
しかしながら、上記基準光源を用いた従来技術では、
(1)基準光源の光量が弱い
(2)ランプ内の気圧変化や温度変化により基準光源自体の波長が変化する
などの問題があり、高精度に波長制御をなし得ないという問題があった。
【0012】
また、ステッパ装置側からは、エキシマレーザから発生される発振光の波長に関して、これを所定の目標波長に一致させるという厳密な要求があり、また要求される波長も一種類だけでなく、様々な値が要求される。これらの要求を達成するためには、各目標波長に近い波長を有する様々な波長の基準光源を必要とする。しかし、ArFエキシマレーザにおいて、従来は、光量や波長シフトの問題を解決しかつ目標波長に近い波長を持つ基準光源として適当なものが存在しなかった。
【0013】
この発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、発振光の波長を目標波長に一致するように制御するエキシマレーザにおいて、気圧や温度変化に関係なく高精度の波長制御をなし得るとともに基準光源を用いることなく波長制御をなし得るようにしたエキシマレーザの波長制御装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
この発明では、レーザ媒質から発生されたレーザ光を狭帯域化素子によって狭帯域化して出力するとともに、発生されたレーザ光を1次元又は2次元のイメージセンサを備える分光器に入射し分光器の出力に基ずき発振光の波長を目標波長に一致するように制御するエキシマレーザの波長制御装置において、前記分光器の出力に基づき炭素および酸素の吸収スペクトル線を検出し、該検出した炭素及び酸素の吸収スペクトル線に対応するイメージセンサの各位置を特定する校正手段と、前記特定された炭素及び酸素の吸収スペクトル線のイメージセンサの各位置から目標波長に対応するイメージセンサの位置を特定する補正演算を行い、この特定した位置に発振レーザ光の波長が一致するように発振波長を制御する制御手段と、を備え、前記校正手段によって炭素及び酸素の吸収スペクトル線に対応するイメージセンサの各位置を特定する際に、前記レーザ光が狭帯域化されていない自然発振光を前記分光器に入射することを特徴とする。
【0015】
かかる発明では、その波長が既知である炭素の吸収線と酸素の吸収線を基準光源の代わりに用いて波長制御を実行する。炭素は、炭素を混入した炭素吸収セルを用いても良いし、レーザチャンバ内に混入している炭素を用いてもよい。酸素は、酸素を混入した酸素吸収セルを用いても良いし、レーザ光路中に存在する大気中の酸素を用いても良い。
【0016】
すなわち、分光器の出力に基づき炭素および酸素の吸収スペクトル線を検出し、該検出した炭素及び酸素の吸収スペクトル線に対応する分光器の波長軸上(イメージセンサ)の各位置を特定し、特定された炭素及び酸素の吸収スペクトル線の波長軸上(イメージセンサ)の各位置から目標波長に対応する波長軸上(イメージセンサ)の位置を特定する補正演算を行い、この特定した位置に発振レーザ光の波長が一致するように発振波長を制御するようにしている。
【0017】
このようにこの発明によれば、炭素および酸素の吸収線の波長を用いて目標波長に対応する分光器の波長軸上(イメージセンサ)の位置を特定し、これに基づいてレーザ発振波長を制御するようにしたので、
(a)基準光を用いることなく波長制御をなし得る
(b)炭素及び酸素の吸収線波長は温度や圧力に関係なく絶対的な値であるので、基準光を用いた場合に比べより高精度の波長制御をなし得る
(c)炭素及び酸素の吸収線の吸収線を検出することにより2本以上の波長に対応する波長軸上の点を特定することができ、これにより波長分散を計算でき、より高精度に絶対波長を検出することができる
などの効果を奏する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0023】
以下の実施形態では、エキシマレーザとして、目標波長を193nm近傍の値(例えば193.368nm)としたArFエキシマレーザを例にとって説明する。
【0024】
〔第1実施形態〕
図1〜図3にしたがってこの発明の第1実施形態を説明する。
【0025】
図1に示すArF狭帯域エキシマレーザは、レーザチャンバ1及び狭帯域化ユニット2を有して構成されている。狭帯域化ユニット2内にはエタロンまたはグレーティングなどの波長選択素子を有しており、波長制御部7の制御によってこれら波長選択素子の選択波長が制御される。レーザチャンバ2と狭帯域化モジュール2との間には、全反射ミラー3がレーザ光路中から取り外し可能に設けられている。
【0026】
全反射ミラー3が光路中に挿入されていない場合、レーザチャンバ1から出力されたArFエキシマレーザ光は、狭帯域化ユニット2によって狭帯域化された後、レーザチャンバ1、フロントミラー4、ビームスプリッタ5を介して出射される。この出力レーザ光の一部はビームスプリッタ5でモニタリングされ、ビームスプリッタ5を介して分光器6に入力される。分光器6は、この場合、ツェルニーターナー型を用いている。波長制御部7は、分光器6の出力に基づいて狭帯域化モジュール2内の波長選択素子を駆動制御して発振レーザ光の波長を制御する。
【0027】
全反射ミラー3が光路中に挿入された場合は、レーザチャンバ1から出力されたArFエキシマレーザ光が全反射ミラー3で反射されることで狭帯域化されず、自然発振光がフロントミラー4、ビームスプリッタ5を介して出力されることになる。なお、全反射ミラー3は部分反射ミラーでもよく、自然発振光が出力されればよい。
【0028】
本発明においては、その波長が既知の酸素または炭素の吸収スペクトル線を用いてレーザ光の波長制御を行うのであるが、この実施形態においては、レーザチャンバ1内に存在する炭素を炭素吸収セルの代用として用い、炭素吸収セルを省略するようにしている。
【0029】
すなわち、これは、レーザチャンバ1をシールするOリングとレーザガス中のハロゲンガス(フッ素ガス)とが反応して、O−リング中の炭素がレーザチャンバ内1に発生しているものと考えられる。炭素は、発生時点ではCF4などの化合物であるが、放電により分解して炭素単体になっているものと推測される。
【0030】
また、分光器6に至るまでのレーザ光路中には、レーザ光が大気中を通過する箇所もあり、これを利用してレーザ光路上で酸素によるスペクトル吸収を行うようにする。すなわち、酸素の吸収スペクトル線は、大気中での酸素濃度によってその発生波長が異なっているが、通常の大気中での酸素濃度では、図2に示すように、193.292nmと193.493nmとに吸収スペクトル線が顕著に現れる。また、炭素の吸収スペクトル線は、図2に示すように、193.090nmである。
【0031】
以下、図3のフローチャートを参照して図1の実施形態で行う波長制御について説明する。
【0032】
まず、レーザ発振を開始させた後、全反射ミラー3をレーザ光路中に挿入することで、狭帯域化されない自然発振光が出射されるようにする(ステップ100)。
【0033】
この状態で、波長制御部7は、分光器6の出力から得られたスペクトル波形から炭素の吸収線(193.090nm)および酸素の吸収線(193.292nm、193.493nm)を検出する(ステップ120)。すなわち、スペクトル波形において、図2に示すように、吸収線が存在する波長の箇所は凹んでいるので、これを適宜の手法を用いて検出する。
【0034】
つぎに、波長制御部7は、このようにして検出した炭素および酸素の吸収線を用いて分光器の波長軸を校正する(ステップ130)。すなわち、炭素、酸素の吸収線は既知の絶対的な値であるので、吸収線が存在する波長軸上の位置が検出されれば、これらの吸収線が存在する波長軸上の2〜3点の波長値が決定されることになり、これに基づき分光器の目標波長に対応する波長軸上の1点を演算によって特定することができる。また、同様にして、現在のレーザ光の中心波長を検出することもできる。これら分光器の校正処理の具体的としては、次のようなものがある。
【0035】
(a)酸素の2つの吸収線を用いる場合、
酸素の吸収線(193.292nm、193.493nm)が存在する波長軸上の2点を直線補間することで、目標波長に対応する波長軸上の1点を特定する。
【0036】
(b)酸素の吸収線2点および炭素の吸収線1点の合計3点を用いる場合、
これら3点を曲線補間(例えば二次曲線近似)することで目標波長に対応する波長軸上の1点を特定する。
【0037】
(c)酸素の吸収線複数点および炭素の吸収線1点の複数点を用いる場合、
酸素の吸収線は、193nm近傍には、上記2点(193.292nm、193.493nm)以外にも、波長の異なる193.714nm、193.114nm、193.954nmなどの吸収線が存在し、これらの吸収線も検出し、該検出した複数の点(この場合6点)を曲線補間することで目標波長に対応する波長軸上の1点を特定する。
【0038】
なお、上記各手法において、(a)→(b)→(c)の順にその測定精度が良くなる。
【0039】
このようにして分光器の校正処理が終了すると、つぎに、全反射ミラー3をレーザ光路中から取り外すことで、狭帯域化モジュール2によって狭帯域化された狭帯域化レーザ光が出射されるようにする(ステップ140)。
【0040】
波長制御部7では、前記校正を行った分光器に入射される狭帯域化レーザ光の中心波長が目標波長に対応する波長軸上の所定位置に一致するように狭帯域化モジュール2の波長選択素子を駆動制御して、ArF狭帯域化レーザの中心波長を目標波長に一致させる(ステップ150)。
【0041】
このようにこの実施形態では、その絶対波長が既知である大気中に存在する酸素又はレーザチャンバ内に混入している炭素の吸収スペクトルを用いて波長制御を行うようにしているので、吸収セルおよび基準光源を用いることなく波長制御をなし得る。また、検出した炭素又は酸素の吸収スペクトル線に基づいて分光器の校正を行うようにしているので、目標波長が吸収スペクトル線の波長に完全に一致しなくとも要求される目標波長に対応する波長制御を実行することができるようになる。
【0042】
〔第2実施形態〕
図4〜図6にしたがってこの発明の第2実施形態を説明する。
【0043】
図4に示すArF狭帯域エキシマレーザにおいては、狭帯域化モジュール2を部分ナロウワーモジュール8としている。部分ナロウワーは、ミラースキャン型(反射ミラーとレンズのハイブリッド型の光学系を有するもの)の露光装置に使用する際に用いられるもので、図1に示した通常の狭帯域化モジュール2に比べ出力されるレーザ光のスペクトル線幅が数10倍のオーダーで広いため、狭帯域化を行っても分光器6において、図5に示すように、炭素又は酸素の吸収スペクトル線による凹みを検出することができる。したがって、この場合は、分光器6での吸収スペクトル線の検出に当たって先の図1の実施形態の全反射ミラー3を設ける必要はない。
【0044】
この実施形態においても、先の実施形態と同様、レーザチャンバ内に混入する炭素および大気中の酸素の吸収線を用いて分光器6を波長目盛りを校正する。
【0045】
以下、図6のフローチャートを参照して図4の実施形態で行う波長制御について説明する。
【0046】
まず、レーザ発振を開始されると、波長制御部7は、部分ナロウワーモジュール8内の波長選択素子を駆動することで、出力レーザ光の中心波長を、ArFエキシマレーザ光の自然発振光のスペクトル全幅を含む範囲(例えば193nm〜194nm)で順次シフトさせていく(ステップ200)。
【0047】
波長制御部7では、上記波長シフトに伴い、分光器6の出力を用いて各選択波長のスペクトル波形を計測する(ステップ210)。
【0048】
そして、波長制御部7は、各選択波長のスペクトル波形において、図5に示すような、スペクトル波形の凹みを検出すると、これを炭素または酸素の吸収線として検出する(ステップ220)。波長制御部7では、1つの吸収線を検出すると、この検出吸収線に対応する波長軸上の位置を記憶しておく。
【0049】
このようにして、自然発振光のスペクトル全幅を含む範囲での波長シフトが終了すると(ステップ230)、先の実施形態と同様、1つの炭素の吸収線および複数の酸素の吸収線が検出されることになるので、波長制御部7では、前述した3つのいずれかの手法を用いて分光器6の校正処理を実行する(ステップ240)。
【0050】
そして、波長制御部7では、前記校正を行った分光器に入射される狭帯域化レーザ光の中心波長が目標波長に対応する波長軸上の所定位置に一致するように狭帯域化モジュール2の波長選択素子を駆動制御して、ArF狭帯域化レーザの中心波長を目標波長に一致させる(ステップ250)。
【0051】
このようにこの実施形態では、部分ナロウワーを用いて狭帯域化を行なうArFエキシマレーザにおいて、その絶対波長が既知である大気中に存在する酸素又はレーザチャンバ内に混入している炭素の吸収スペクトルを用いて波長制御を行うようにしているので、吸収セルおよび基準光源を用いることなく波長制御をなし得る。また、検出した炭素又は酸素の吸収スペクトル線に基づいて分光器の校正を行うようにしているので、目標波長が吸収スペクトル線の波長に完全に一致しなくとも要求される目標波長に対応する波長制御を実行することができるようになる。
【0052】
〔第3実施形態〕
図7〜図9にしたがってこの発明の第3実施形態を説明する。
【0053】
図7に示すArF狭帯域エキシマレーザにおいては、出力されるレーザ光をモニタモジュール10でモニタするようにしている。モニタモジュール10は、ビームスプリッタ11、受光ダイオード12と、拡散板13、モニタエタロン14、集光レンズ15、光位置検出器16を有している。
【0054】
ビームスプリッタ5でサンプリングされた出力レーザ光は、ビームスプリッタ11を通過した後、拡散板13で散乱され、モニタエタロン14、集光レンズ15を介して光位置検出器16に入力される。モニタエタロン14は内側の面が部分反射ミラーとされた2枚の透明板から構成され、その入射光の角度に対応してそれぞれ透過波長が異なるものである。
【0055】
光位置検出器16は、集光レンズ15の焦点上に配設された例えば1次元または2次元のイメージセンサであり、集光レンズ15を経た光は光位置検出器16に結像され、この光位置検出器16の検出面上にレーザ光の波長に対応した干渉縞(フリンジ波形)を形成する。光位置検出器16からは、干渉縞の位置に対応する信号が波長制御部7に入力される。
【0056】
一方、受光ダイオード12は、レーザ光の光強度を検出し、その検出出力を波長制御部7に出力する。
【0057】
この実施形態では、レーザチャンバ1内の炭素の吸収線を用いて波長校正を実行する。
【0058】
また、この場合、狭帯域化モジュール2、モニタモジュール10などのレーザ光軸上の光学機器は、光学素子に対するゴミなどの付着を防止する、光学素子を冷却する、光学素子の劣化を防ぐなどのために、窒素などの不活性ガス(パージガス)が充填された気密容器に収容するようにしており、このためレーザガスが大気に触れることはない。したがって、この場合、酸素による吸収はほとんど発生しない。
【0059】
以下、図9のフローチャートを参照して図7の実施形態で行う波長制御について説明する。
【0060】
まず、レーザ発振が所定の(一定の)励起強度で開始されると、波長制御部7は、狭帯域化モジュール2内の波長選択素子を駆動することで、出力レーザ光の中心波長を、ArFエキシマレーザ光の自然発振光のスペクトル全幅を含む範囲(例えば193nm〜194nm)で順次シフトさせていく(ステップ300)。
【0061】
波長制御部7では、上記波長シフトが開始されると、受光ダイオード12の検出出力を判定しており、波長をシフトさせている範囲内でその出力が最小になる波長シフト位置を検出する(ステップ310)。すなわち、波長選択素子によって選択された選択波長が炭素の吸収スペクトル線に一致すると、図8に示すように、炭素による吸収によってレーザ出力は極端に低下するので、波長制御部7ではこれを検出するようにしている。
【0062】
そして、波長制御部7は、受光ダイオード12の検出出力が最小になったときの光位置検出器16のフリンジ波形すなわち、干渉縞の受光位置を検出し、これを炭素の吸収波長すなわち波長193.090nmに対応する干渉縞の受光位置信号として記憶しておく(ステップ320,330)。
【0063】
この記憶処理が終了すると、波長制御部7は波長シフト動作を終了する(ステップ340)。そして、波長制御部7では、前記記憶した波長193.090nmのフリンジ波形に用いて発振波長を目標波長に一致させる波長校正制御を実行する(ステップ350)。すなわち、光位置検出器16においては、干渉縞の検出位置が単位長さずれると波長がどのくらいずれるかの関係が予め予測できるので、光位置検出器10の一点の位置およびその波長を特定することができれば、その位置からのズレ量を検出することで現在の発振レーザ光の波長を特定することができる。したがって、波長制御部7では、発振レーザ光によって形成される干渉縞の光位置検出器16における受光位置と先に記憶しておいた炭素吸収線に一致した際の干渉縞の受光位置とのずれ量から現在の発振波長の絶対波長を求め、これが目標波長に一致するように狭帯域化モジュール2の波長選択素子を駆動制御する。
【0064】
このようにこの実施形態では、狭帯域化ArFエキシマレーザにおいて、その絶対波長が既知であるレーザチャンバ内に混入している炭素の吸収スペクトルを用いて波長制御を行うようにしているので、吸収セルおよび基準光源を用いることなく波長制御をなし得る。また、検出した炭素の吸収スペクトル線に基づいて干渉縞検出器の校正を行うようにしているので、目標波長が吸収スペクトル線の波長に完全に一致しなくとも要求される目標波長に対応する波長制御を実行することができるようになる。
【0065】
〔第4実施形態〕
図10〜図12にしたがってこの発明の第4実施形態を説明する。
【0066】
図10に示すArF狭帯域エキシマレーザにおいては、酸素ガスと炭素ガスとの混合ガスが封入された吸収セル20を用いて、酸素によるスペクトル吸収および炭素によるスペクトル吸収を積極的に発生させるようにしている。
【0067】
図10において、ビームスプリッタ5でサンプリングされた出力レーザ光は、ビームスプリッタ11を通過した後、拡散板13で散乱され、モニタエタロン14、集光レンズ15を介して光位置検出器16に入力される。光位置検出器16は、集光レンズ15の焦点上に配設された例えば1次元または2次元のイメージセンサであり、集光レンズ15を経た光は光位置検出器16に結像され、この光位置検出器16の検出面上にレーザ光の波長に対応した干渉縞(フリンジ波形)を形成する。光位置検出器16からは、干渉縞の位置に対応する信号が波長制御部7に入力される。
【0068】
一方、ビームスプリッタ11で偏向されたレーザ光は、ビームスプリッタ17を通過し、吸収セル20で酸素および炭素によるスペクトル吸収が行われた後、受光ダイオード18に入射される。さらに、ビームスプリッタ17で偏向されたレーザ光は、受光ダイオード12に入射される。
【0069】
すなわち、受光ダイオード12は、吸収セル20を通過前のレーザ光の光強度を検出し、その検出出力e1を波長制御部7に出力する。受光ダイオード18は、吸収セル20を通過した後のレーザ光の光強度を検出し、その検出出力e2を波長制御部7に出力する。
【0070】
図11は、自然発振光のスペクトルにおける酸素及び炭素の吸収線を示すものである。
【0071】
また、図12は、干渉縞位置(この場合は干渉縞半径、光位置検出器16のチャンネル位置)と、酸素の193.493nmの吸収線のフリンジ波形、発振レーザ光の目標波長(193.368nm)でのフリンジ波形、酸素の193.292nmの吸収線のフリンジ波形、炭素の吸収線(193.090nm)のフリンジ波形との関係を示すものである。
【0072】
以下、図13のフローチャートを参照して図10の実施形態で行う波長制御について説明する。
【0073】
まず、レーザ発振が開始されると、波長制御部7は、狭帯域化モジュール2内の波長選択素子を駆動することで、出力レーザ光の中心波長を、ArFエキシマレーザ光の自然発振光のスペクトル全幅を含む範囲(例えば193nm〜194nm)で順次シフトさせていく(ステップ410)。
【0074】
波長制御部7では、上記波長シフトが開始されると、受光ダイオード12および18の検出出力に基づきこれら出力の比e2/e1を判定しており、この比e2/e1極小値をとるシフト位置を検出することで、図11に示す炭素の1つの吸収線および酸素の2つの吸収線に対応するシフト位置を検出する(ステップ420)。
【0075】
そして、波長制御部7は、前記比e2/e1が極小をとったときの光位置検出器16のフリンジ波形すなわち、干渉縞の受光位置を検出し、これを炭素の吸収波長すなわち波長193.090nmに対応する干渉縞の受光位置信号、酸素の吸収波長193.292nmに対応する干渉縞の受光位置信号、酸素の吸収波長193.493nmに対応する干渉縞の受光位置信号として記憶しておく(ステップ430,440)。
【0076】
この記憶処理が終了すると、波長制御部7は波長シフト動作を終了する(ステップ450)。
【0077】
波長制御部7では、これら記憶した波長193.090nm、193.292nm、193.493nmのフリンジ波形に基づいて発振波長を目標波長に一致させる波長校正制御を実行する(ステップ460)。
【0078】
波長制御部3で行なう上記波長校正制御の具体的としては、次のようなものがある。
【0079】
(a)酸素の2つの吸収線を用いる場合、
酸素の吸収線(193.292nm、193.493nm)の2つのフリンジ半径を用いて二次関数的補間を行なうことで目標波長に対応するフリンジ半径を求める。また、同様にして、現在の発振波長を求めることもできる。
【0080】
(b)酸素の吸収線2点および炭素の吸収線1点の合計3点を用いる場合、
これら3点のフリンジ半径を用いて曲線補間(例えば二次関数近似)を行なうことで、目標波長に対応するフリンジ半径を求める。また、同様にして、現在の発振波長を求めることもできる。
【0081】
(c)酸素の吸収線複数点および炭素の吸収線1点の複数点を用いる場合、
前述したように、酸素の吸収線は、193nm近傍には、上記2点(193.292nm、193.493nm)以外にも、波長の異なる193.714nm、193.114nm、193.954nmなどの吸収線が存在するので、これらの吸収線に対応するフリンジ半径をそれぞれ検出し、該検出した複数のフリンジ半径(この場合6点)を曲線補間することで目標波長に対応するフリンジ半径を特定する。また、同様にして、現在の発振波長を求めることもできる。
【0082】
なお、上記各手法において、(a)→(b)→(c)の順にその測定精度が良くなる。
【0083】
このようにこの実施形態では、狭帯域化ArFエキシマレーザにおいて、炭素及び酸素の吸収セルを配設し、炭素および酸素の吸収スペクトルを用いて波長制御を行うようにしているので、基準光源を用いることなく波長制御をなし得る。また、検出した炭素および酸素の吸収スペクトル線に基づいて干渉縞検出器の校正を行うようにしているので、目標波長が吸収スペクトル線の波長に完全に一致しなくとも要求される目標波長に対応する波長制御を実行することができるようになる。
【0084】
なお、実施例では、本発明を目標波長を193nm近傍の値にするArFエキシマレーザに適用するようにしたが、目標波長が約248.4nmであるKrFエキシマレーザに本発明を適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】炭素及び酸素吸収線を含む自然発振光のスペクトル波形を示す図。
【図3】第1実施形態の波長制御手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態の構成を示すブロック図。
【図5】部分ナロウワーで狭帯域化を行った場合の吸収線を含むスペクトル波形を示す図。
【図6】第2実施形態の波長制御手順を示すフローチャート。
【図7】本発明の第3実施形態の構成を示すブロック図。
【図8】炭素吸収線を含む自然発振光のスペクトル波形を示す図。
【図9】第3実施形態の波長制御手順を示すフローチャート。
【図10】本発明の第4実施形態の構成を示すブロック図。
【図11】炭素および酸素の吸収線を含む自然発振光のスペクトル波形を示す図。
【図12】炭素の吸収線、酸素の吸収線、目標波長に対応する選択波長のフリンジ波形を示す図。
【図13】第4実施形態の波長制御手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…レーザチャンバ 2…狭帯域化モジュール 3…全反射ミラー
4…フロントミラー 5…ビームスプリッタ 6…分光器
7…波長制御部 8…部分ナロウワー 12…受光ダイオード
13…拡散板 14…モニタエタロン 15…集光レンズ
16…光位置検出器 20…吸収セル

Claims (1)

  1. レーザ媒質から発生されたレーザ光を狭帯域化素子によって狭帯域化して出力するとともに、発生されたレーザ光を1次元又は2次元のイメージセンサを備える分光器に入射し分光器の出力に基ずき発振光の波長を目標波長に一致するように制御するエキシマレーザの波長制御装置において、
    前記分光器の出力に基づき炭素および酸素の吸収スペクトル線を検出し、該検出した炭素及び酸素の吸収スペクトル線に対応するイメージセンサの各位置を特定する校正手段と、
    前記特定された炭素及び酸素の吸収スペクトル線のイメージセンサの各位置から目標波長に対応するイメージセンサの位置を特定する補正演算を行い、この特定した位置に発振レーザ光の波長が一致するように発振波長を制御する制御手段と、
    を備え、前記校正手段によって炭素及び酸素の吸収スペクトル線に対応するイメージセンサの各位置を特定する際に、前記レーザ光が狭帯域化されていない自然発振光を前記分光器に入射することを特徴とするエキシマレーザの波長制御装置。
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