JP3981743B2 - 定常デトネーション燃焼器および定常デトネーション波生成方法 - Google Patents
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Description
技術分野
この発明は、爆轟性のデトネーション波を静止系に対して定常に発生させることにより、気体燃料および酸素を含む予混合気体を燃焼させる定常デトネーション燃焼器および定常デトネーション波生成方法に係り、例えば、航空宇宙機用推進エンジン、発電用ガスタービン用燃焼器、基礎研究用デトネーション波発生器等に利用できる。
背景技術
一般に、デトネーション波と称される爆轟波の生成は、管内に爆轟性気体を封入し、管端で着火してデフラグレーション波からデトネーション波への遷移を促すことにより行われる。このようにして生成されたデトネーション波は、実験室系(静止系)に対して、秒速2〜3km/sという極めて高速(極超音速)で伝播するため、工学的な応用は困難である。デトネーション波の応用には、実験室系(静止系)に対して、静止した状態でデトネーション波を定常伝播させることが必要条件であるが、これまでそのような装置は開発されていない。
ところで、定常なデトネーション波を実験装置内に静止状態で維持するためには、以下のような解決すべき二つの課題がある。
先ず、第一の課題は、実験装置内に流れる極超音速の予混合気体に対してデトネーション波を安定化させる安定器の開発である。最近まで、デトネーション波が安定化される条件は、デトネーション研究者間でも不明であったため、そのような安定器の開発は、不可能であった。
第二の課題は、極超音速かつ未燃の予混合気体自体の生成である。これは極めて困難な課題とされている。なぜなら、一般的に、極超音速流を生成するには、一旦、作動気体を高温高圧にし、ノズルによりその熱エネルギーを運動エネルギーに変換するという手法をとる。しかし、同様にして未燃の予混合気体を加速しようとすると、作動気体(未燃の予混合気体)を高温にした段階で、燃焼が開始してしまい、生成された極超音速流は、既に燃焼が完了している状態となる。これに対し、気体燃料(可燃性ガス)と酸素とを別々に高温にして極超音速に加速し、その後に混合を行う手法も考えられる。しかし、この手法では、気体燃料と酸素とは別々に高温になるだけなので、加速時に反応を開始することはないが、その後における混合に必要な時間が、流れの特性時間に比べて長くなり、混合自体が困難であるという問題がある。また、作動気体を高温高圧にするためには、高価な加熱装置が必要であるという問題もある。
従って、本発明の目的は、極超音速かつ未燃の予混合気体を生成し、安定化されたデトネーション波を発生させることができる定常デトネーション燃焼器および定常デトネーション波生成方法を提供するところにある。
発明の開示
本発明は、爆轟性のデトネーション波を静止系に対して定常に発生させることにより、気体燃料および酸素を含む予混合気体を燃焼させる定常デトネーション燃焼器であって、酸素に対して気体燃料が過濃な状態とされた爆轟性の過濃予混合気体を燃焼させる過濃予混合気体燃焼室と、酸素に対して気体燃料が希薄な状態とされた爆轟性の希薄予混合気体を燃焼させる希薄予混合気体燃焼室と、互いに相貫する状態で配置された複数のノズルにより構成され、過濃予混合気体燃焼室で過濃予混合気体を燃焼させて得られた未反応の気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体と希薄予混合気体燃焼室で希薄予混合気体を燃焼させて得られた未反応の酸素を含む第二の高温高圧既燃気体とをそれぞれ極超音速に加速しながら静温を下降させ、かつ、混合する相貫ノズルと、この相貫ノズルで第一の高温高圧既燃気体と第二の高温高圧既燃気体とを混合して得られた未反応の気体燃料および未反応の酸素を含む予混合気体の流れを妨げる位置に配置され、相貫ノズルを通過して極超音速で流れてくる予混合気体を衝突させることにより、安定化されたデトネーション波を発生させて予混合気体を燃焼させる定常デトネーション安定器とを備えたことを特徴とするものである。
ここで、「相貫ノズル」を構成するノズルの個数は、構成の簡易化等の観点から2つであることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、4つのノズル、6つのノズル、8つのノズル等としてもよく、あるいは奇数個のノズルとしてもよく、要するに、第一の高温高圧既燃気体を通過させるノズルと第二の高温高圧既燃気体を通過させるノズルとの少なくとも2つのノズルがあり、これらのノズルが互いに相貫する状態で配置されて第一の高温高圧既燃気体と第二の高温高圧既燃気体とを混合できるようになっていればよい。
また、「定常デトネーション安定器」を配置する「予混合気体の流れを妨げる位置」とは、予混合気体の流れに対し、ある面積以上のよどみ点領域または亜音速領域を形成できる位置である。従って、「定常デトネーション安定器」は、流路断面積を小さくすることにより、極超音速で流れる予混合気体の速度を減速する障害物体である。
このような本発明の定常デトネーション燃焼器においては、過濃予混合気体燃焼室で過濃予混合気体を燃焼させて未反応の気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体を生成するとともに、希薄予混合気体燃焼室で希薄予混合気体を燃焼させて未反応の酸素を含む第二の高温高圧既燃気体を生成した後、これらの第一および第二の高温高圧既燃気体を相貫ノズルにより加速混合する。つまり、過濃予混合気体および希薄予混合気体を用意し、これらの過濃予混合気体と希薄予混合気体とを別々の燃焼室で燃焼させて高温高圧とすることにより、いずれも高温高圧でありながら未反応の気体燃料や未反応の酸素を含む第一および第二の高温高圧既燃気体を生成し、これらを相貫ノズルにより加速混合する。そして、その後、加速混合された気体を定常デトネーション安定器に衝突させてデトネーション波を発生させる。
このため、極超音速流を得るために作動気体を高温にした段階で燃焼が完了してしまうという従来技術の不都合を解消することができるので、極超音速かつ未燃の予混合気体を生成することが可能となり、前述した第二の課題の解決が図られる。
また、気体の持つ化学的エネルギーを、極超音速流を生成するための熱エネルギーと、デトネーション波での発熱反応とに振り分けることができるので、極超音速流の生成およびデトネーション波の生成を、極めて単純な構造で、かつ、安価に実現することが可能となる。
さらに、デトネーション波を安定化するための定量的な条件を明らかにし、その条件を満たすように定常デトネーション安定器を配置したので、デトネーション波を静止系に対して定常に発生させ、維持することが可能となり、前述した第一の課題の解決が図られる。
そして、相貫ノズルを用いることにより、混合促進を図ることと併せて流れを加速することができるので、流れの特性時間に比べて混合時間が長くなるという不都合を回避することが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
また、前述した定常デトネーション燃焼器において、高温の燃焼ガスジェットを過濃予混合気体燃焼室および希薄予混合気体燃焼室に同時に噴射する同時着火装置を備え、この同時着火装置は、当量比1.0で混合された気体燃料および酸素を含む爆轟性の当量予混合気体を封入する同時着火室と、この同時着火室内に封入された当量予混合気体に着火する点火器と、同時着火室と過濃予混合気体燃焼室との間および同時着火室と希薄予混合気体燃焼室との間にそれぞれ設けられた噴射制御手段とを含んで構成され、噴射制御手段は、同時着火室内で当量予混合気体を燃焼して得られた高温高圧の気体を、過濃予混合気体燃焼室および希薄予混合気体燃焼室に高温の燃焼ガスジェットとして同時に噴出させることにより、これらの各燃焼室内の過濃予混合気体および希薄予混合気体を同時に点火させる構成とされていることが望ましい。
ここで、「噴射制御手段」は、噴射を繰り返し行う場合には、開閉操作自在なバルブとすることが好ましいが、一回のみの噴射でよい場合には、例えば隔膜を設けておき、同時着火室内の気体の圧力が一定になった時点でこの隔膜が破られて高温の燃焼ガスジェットが噴射される構成としてもよい。
また、「点火器」による着火は、放電により行われることが好ましい。
このような同時着火装置を設けた場合には、過濃予混合気体燃焼室内の過濃予混合気体および希薄予混合気体燃焼室内の希薄予混合気体への同時着火を、確実に実現することができるようになる。
さらに、前述した定常デトネーション燃焼器において、過濃予混合気体および希薄予混合気体は、水素と酸素との混合気体、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンを含むメタン系炭化水素と酸素との混合気体、エチレン、プロピレンを含むエチレン系炭化水素と酸素との混合気体、アセチレンと酸素との混合気体、またはアンモニアと酸素との混合気体のうちのいずれか一種の混合気体であることが望ましい。
そして、前述した定常デトネーション燃焼器において、過濃予混合気体は、酸素に対する気体燃料の当量比が1.2〜2.0であり、希薄予混合気体は、酸素に対する気体燃料の当量比が0.3〜0.8であることが望ましい。
また、前述した定常デトネーション燃焼器において、過濃予混合気体燃焼室の容積に対する希薄予混合気体燃焼室の容積の比の値は、0.5〜2.0であることが望ましい。
さらに、前述した定常デトネーション燃焼器において、過濃予混合気体燃焼室および希薄予混合気体燃焼室の合計容積に対する同時着火室の容積の比の値は、5分の1〜30分の1であることが望ましい。
そして、前述した定常デトネーション燃焼器において、相貫ノズルのスロート部分の断面積に対する相貫開始点の断面積の比の値は10以上であり、スロート部分の断面積に対する出口部分の断面積の比の値は25以上であり、かつ、相貫開始点の断面積は出口部分の断面積よりも小さいことが望ましい。ここで、スロート部分の断面積とは、相貫ノズルを構成する複数のノズルの各スロート部分の断面積の和である。これらの関係を保ちさえすれば、相貫ノズルを構成する各断面の断面積は、スロート部分から出口部分に向かって滑らかに単調増加すればよく、相貫ノズルを形成する面は、任意の曲面とすることができる。
このように望ましい構成を有する「相貫ノズル」は、上記の条件を満たせば任意の曲面により形成することができるが、構成の簡易化や製造の容易化等の観点から、特に好適な具体的構成例として、次のような平行かつ相貫した一対の先細末広ノズルにより構成される相貫ノズルを挙げることができる。
例えば、二つの同一形状の円錐ノズルにより構成され、かつ、これらの円錐ノズルの各出口部分および各スロート部分をそれぞれ同一平面上に配置するとともに各円錐ノズルの軸同士を平行に配置することにより各円錐ノズル同士を互いに相貫させ、この相貫する部分を取り除いて形成されている相貫ノズルが挙げられる(例えば、後述する第2図および第3図の場合等)。
また、別の構成のものとして、二つの同一形状の二等辺三角形状の平板ノズルにより構成され、かつ、これらの平板ノズルの各出口部分および各スロート部分をそれぞれ同一平面上に配置するとともに各平板ノズルの中心線同士を平行に配置することにより各平板ノズル同士を互いに相貫させ、この相貫する部分を取り除いて形成されている相貫ノズルが挙げられる(例えば、後述する第8図の場合等)。
そして、「定常デトネーション安定器」としては、障害物体の外部(周囲)を気体が流れる外部流タイプの安定器と、障害物体の内部を気体が流れる内部流タイプの安定器とが考えられ、より具体的には、次のような構成のものを挙げることができる。
例えば、外部流タイプの構成のものとして、相貫ノズルを通過した予混合気体の流れを受ける先端部が半球状とされ、この半球状の先端部を支持する支持部が円柱状とされた定常デトネーション安定器が挙げられる(例えば、後述する第4図の場合等)。
また、外部流タイプの別の構成のものとして、相貫ノズルを通過した予混合気体の流れを受ける先端部が円錐状とされ、この円錐状の先端部を支持する支持部が円柱状とされた定常デトネーション安定器が挙げられる(例えば、後述する第9図の場合等)。
そして、外部流タイプのさらに別の構成のものとして、相貫ノズルを通過した予混合気体の流れを受ける先端部が多角錐状とされ、この多角錐状の先端部を支持する支持部が多角柱状とされた定常デトネーション安定器が挙げられる(例えば、後述する第10図の場合等)。ここで、多角錐状には、三角錐状、四角錐状、五角錐状、六角錐状等、三以上の任意の角数を持つ角錐状が含まれ、多角柱状には、三角柱状、四角柱状、五角柱状、六角柱状等、三以上の任意の角数を持つ角柱状が含まれる。
一方、内部流タイプの構成のものとして、向かい合わせに配置された二つの二次元ウェッジにより構成され、これらの二次元ウェッジの各尖端部が、相貫ノズルを通過した予混合気体の流れ方向と直交する同一面上に配置されている定常デトネーション安定器が挙げられる(例えば、後述する第11図の場合等)。
また、内部流タイプの別の構成のものとして、二つの円錐状の先細末広ノズルを互いの先細部分同士が連結される状態に配置して構成され、これらの先細末広ノズルの各軸は一致し、かつ、各軸は相貫ノズルを通過した予混合気体の流れ方向に沿う方向に配置されている定常デトネーション安定器が挙げられる(例えば、後述する第12図の場合等)。
さらに、本発明は、爆轟性のデトネーション波を静止系に対して定常に発生させる定常デトネーション波生成方法であって、酸素に対して気体燃料が過濃な状態とされた爆轟性の過濃予混合気体を過濃予混合気体燃焼室に注入するとともに、酸素に対して気体燃料が希薄な状態とされた爆轟性の希薄予混合気体を希薄予混合気体燃焼室に注入した後、これらの過濃予混合気体および希薄予混合気体を同時に点火させることにより、過濃予混合気体燃焼室で過濃予混合気体を燃焼させて未反応の気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体を生成するとともに、希薄予混合気体燃焼室で希薄予混合気体を燃焼させて未反応の酸素を含む第二の高温高圧既燃気体を生成し、続いて、互いに相貫する状態で配置された複数のノズルにより構成された相貫ノズルを用い、第一および第二の高温高圧既燃気体を、それぞれ極超音速に加速しながら静温を下降させ、かつ、混合し、さらに、第一および第二の高温高圧既燃気体を混合して得られた予混合気体の流れを定常デトネーション安定器で妨げることにより、安定化されたデトネーション波を発生させることを特徴とするものである。
このような本発明の定常デトネーション波生成方法においては、前述した本発明の定常デトネーション燃焼器で得られる作用・効果をそのまま得ることができ、これにより前記目的が達成される。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
第1図には、本発明の一実施形態の定常デトネーション燃焼器10の全体構成図が示されている。
第1図において、定常デトネーション燃焼器10は、爆轟性の過濃予混合気体を燃焼させる過濃予混合気体燃焼室11と、爆轟性の希薄予混合気体を燃焼させる希薄予混合気体燃焼室12と、爆轟性の当量予混合気体を封入する同時着火室13と、過濃予混合気体燃焼室11に過濃予混合気体を供給する過濃予混合気体源21と、希薄予混合気体燃焼室12に希薄予混合気体を供給する希薄予混合気体源22と、同時着火室13に当量予混合気体を供給する当量予混合気体源23と、同時着火室13内に封入された当量予混合気体に着火する点火器30と、過濃予混合気体燃焼室11および希薄予混合気体燃焼室12で生成された各高温高圧既燃気体の加速混合を行う相貫ノズル40と、この相貫ノズル40の後流側に設けられた混合促進部50と、この混合促進部50の後流側に配置された定常デトネーション安定器60とを備えて構成されている。
また、過濃予混合気体源21と過濃予混合気体燃焼室11とを結ぶ過濃予混合気体供給路24の途中には、開閉操作自在なバルブ25が設けられ、希薄予混合気体源22と希薄予混合気体燃焼室12とを結ぶ希薄予混合気体供給路26の途中には、開閉操作自在なバルブ27が設けられ、当量予混合気体源23と同時着火室13とを結ぶ当量予混合気体供給路28の途中には、開閉操作自在なバルブ29が設けられている。
さらに、同時着火室13と過濃予混合気体燃焼室11との間および同時着火室13と希薄予混合気体燃焼室12との間には、これらの各室同士をそれぞれ連通する連通路31,32が設けられ、これらの連通路31,32の途中には、噴射制御手段である開閉操作自在なバルブ33,34がそれぞれ設けられている。そして、同時着火室13と、点火器30と、バルブ33,34とにより、同時着火室13から高温の燃焼ガスジェットを過濃予混合気体燃焼室11および希薄予混合気体燃焼室12に同時に噴射して過濃予混合気体および希薄予混合気体を同時に点火させる同時着火装置35が構成されている。
ここで、点火器30による当量予混合気体への着火は、例えば放電等により行われる。点火器30は、燃焼反応を開始させるに十分なエネルギー密度とエネルギーを気体に与える装置であればよく、例えば自動車用の点火プラグ等を好適に用いることができる。また、各バルブ33,34は、例えば電磁バルブ等により構成されて迅速な開閉制御を行うことができるものであり、同時着火室13内で当量予混合気体を燃焼して得られた高温高圧の気体(例えば、約10倍の温度および圧力とされた気体)を、過濃予混合気体燃焼室11および希薄予混合気体燃焼室12に高温の燃焼ガスジェットとして同時に噴出させることにより、これらの各燃焼室11,12内の過濃予混合気体および希薄予混合気体を同時に点火させる噴射制御手段として機能するものである。
また、過濃予混合気体燃焼室11と相貫ノズル40との間および希薄予混合気体燃焼室12と相貫ノズル40との間には、これらの空間同士をそれぞれ連通する連通路14,15が設けられている。
過濃予混合気体源21から過濃予混合気体燃焼室11に供給される過濃予混合気体は、気体燃料と酸素とを予め混合した爆轟性の気体であるが、酸素に対して気体燃料を過剰に混合した気体、すなわち気体燃料の濃度の濃い気体となっている。この過濃予混合気体についての酸素に対する気体燃料の当量比は、気体の持つ化学的エネルギーを、極超音速流を生成するための熱エネルギーと、デトネーション波での発熱反応とに適切に振り分ける等の観点から、1.2〜2.0であることが好ましい。
一方、希薄予混合気体源22から希薄予混合気体燃焼室12に供給される希薄予混合気体は、気体燃料と酸素とを予め混合した爆轟性の気体であるが、気体燃料に対して酸素を過剰に混合した気体、すなわち気体燃料の濃度の希薄な気体となっている。この希薄予混合気体についての酸素に対する気体燃料の当量比は、気体の持つ化学的エネルギーを、極超音速流を生成するための熱エネルギーと、デトネーション波での発熱反応とに適切に振り分ける等の観点から、0.3〜0.8であることが好ましい。
また、当量予混合気体源23から同時着火室13に供給される当量予混合気体は、気体燃料と酸素とを当量比1.0で予め混合した爆轟性の気体である。
そして、これらの過濃予混合気体および希薄予混合気体、並びに当量予混合気体に使用される爆轟性の気体としては、例えば、水素と酸素との混合気体、メタン系炭化水素(メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン)と酸素との混合気体、エチレン系炭化水素(エチレン、プロピレン)と酸素との混合気体、アセチレンと酸素との混合気体、アンモニアと酸素との混合気体等を採用することができる。また、これらの各混合気体は、窒素や希ガス等による希釈が行われていてもよい。
過濃予混合気体燃焼室11の容積に対する希薄予混合気体燃焼室12の容積の比の値は、相貫ノズル40での各高温高圧既燃気体の混合比の適切化や円滑な連続運転の実現等の観点から、0.5〜2.0であることが好ましく、例えば1.0等である。
また、過濃予混合気体燃焼室11および希薄予混合気体燃焼室12の合計容積に対する同時着火室13の容積の比の値は、過濃予混合気体および希薄予混合気体への点火の確実化等の観点から、5分の1〜30分の1であることが好ましく、例えば10分の1等である。
さらに、過濃予混合気体源21、希薄予混合気体源22、当量予混合気体源23の各容積は、それぞれ過濃予混合気体燃焼室11、希薄予混合気体燃焼室12、同時着火室13の容積の5倍以上とすることが好ましい。また、過濃予混合気体源21、希薄予混合気体源22、当量予混合気体源23の各圧力は、それぞれ過濃予混合気体燃焼室11、希薄予混合気体燃焼室12、同時着火室13の初期圧力よりも高い圧力に設定する。各気体源21〜23の温度は、200K以上とし、例えば室温とする。
過濃予混合気体燃焼室11、希薄予混合気体燃焼室12、同時着火室13の各形状は任意であり、例えば円筒形状等である。
第2図には、相貫ノズル40の詳細構成が示されている。相貫ノズル40は、過濃予混合気体燃焼室11で過濃予混合気体を燃焼させて得られた未反応の気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体と、希薄予混合気体燃焼室12で希薄予混合気体を燃焼させて得られた未反応の酸素を含む第二の高温高圧既燃気体とを、それぞれ極超音速に加速しながら静温を下降させ、かつ、混合するものである。
第1図および第2図において、相貫ノズル40は、互いに相貫する状態で配置された複数(本実施形態では、一例として、二つとする。)のノズル41,42を組み合わせることにより構成されている。
第2図に示すように、各ノズル41,42は、同一形状の円錐ノズルである。これらのノズル41,42の各出口部分41A,42Aは、同一平面上に配置され、かつ、各スロート部分41B,42Bも、同一平面上に配置されている。また、各ノズル41,42の軸同士は、平行に配置されている。そして、このような配置にすると、各ノズル41,42の円錐面が円錐頂点から徐々に拡がっていく結果、重なりを生じるので、第2図中の二点鎖線で示すような各ノズル41,42の相貫部分43が形成される。従って、相貫ノズル40は、空間的にこの相貫部分43を取り除いて形成され、各ノズル41,42の境界線44は、円錐面同士が交差して形成される山形の曲線となっている。
第3図には、第2図のA−A線断面が示されている。A−A線の位置は、各ノズル41,42の相貫が始まる相貫開始点であり、第3図に示すように、相貫開始点の断面は、二つの円形断面が接する状態となっている。従って、スロート部分41B,42Bから相貫開始点までは、二種類の高温高圧既燃気体は接することはない。
相貫ノズル40の二つのスロート部分41B,42Bの断面積の和に対する相貫開始点(A−A線の位置)の断面積の比の値は10以上であり、二つのスロート部分41B,42Bの断面積の和に対する出口部分45(各出口部分41A,42Aを重ねて形成される開口部分)の断面積の比の値は25以上である。また、相貫開始点(A−A線の位置)の断面積は、出口部分45の断面積よりも小さくなっている。なお、相貫開始点に至るまでに、気体の温度が十分に低くなるように相貫開始点での相貫ノズル40の断面積を決定する。また、出口部分45では、気体はデトネーション波の伝播速度よりも大きい速度まで加速されていなければならないので、その値に相当する出口断面積をとる。
第1図において、混合促進部50は、相貫ノズル40を通過した気体の混合を促進させる部分である。混合促進部50の断面積は、相貫ノズル40の出口部分45の断面積よりも大きい。また、流れ方向の長さは、任意である。
第4図には、定常デトネーション安定器60の詳細構成が示されている。定常デトネーション安定器60は、相貫ノズル40および混合促進部50を通過して極超音速で流れてくる未反応の気体燃料および未反応の酸素を含む予混合気体を衝突させることにより、安定化されたデトネーション波を発生させて予混合気体を燃焼させるものである。
第1図および第4図において、定常デトネーション安定器60は、相貫ノズル40で第一の高温高圧既燃気体と第二の高温高圧既燃気体とを混合して得られた未反応の気体燃料および未反応の酸素を含む予混合気体の流れ、すなわち相貫ノズル40から吐出されて混合促進部50を通過した気体の流れを妨げる位置に配置されている。
第4図に示すように、定常デトネーション安定器60は、相貫ノズル40および混合促進部50を通過した予混合気体の流れ(図中の矢印F)を受ける先端部61と、この先端部61を支持する支持部62とにより構成され、障害物体である安定器の外部(周囲)を気体が流れる外部流タイプの安定器である。そして、先端部61は半球状とされ、支持部62は円柱状とされている。
また、例えば水素と酸素との予混合気体とする場合には、定常デトネーション波を定常デトネーション安定器60の周りに安定化させる条件を満たすように、相貫ノズル40の出口部分45のマッハ数を5.3以上、好ましくは6以上とし、さらに、デトネーションの特性長であるデトネーションセルサイズ(予混合気体の種類および状態で一意に決まるサイズ,cell width)が半球状の先端部61の直径の5分の1以下になるように、先端部61に衝突させる予混合気体の静圧を設定する。つまり、半球状の先端部61の直径の5分の1以下のセルサイズになるまで、予混合気体の初期圧力を上げる。なお、水素と酸素との予混合気体の場合には、ここに示した数値以上に、予混合気体を加速し、また、予混合気体の初期圧力を高くすることで、より一層安定化された定常なデトネーション波を形成することができる。
このような本実施形態においては、以下のようにして定常デトネーション燃焼器10による燃焼が行われる。
第5図には、予混合気体の注入および点火の様子が示されている。なお、図中のハッチングは、断面を示すものではなく、気体が充填されている様子を示すものである。以下の第6図および第7図においても同様である。
第5図において、先ず、バルブ33,34,14,15を閉めた状態で、バルブ29,25,27を開ける。そして、同時着火室13に当量予混合気体源23からの当量予混合気体が注入され、過濃予混合気体燃焼室11に過濃予混合気体源21からの過濃予混合気体が注入され、希薄予混合気体燃焼室12に希薄予混合気体源22からの希薄予混合気体が注入され、これらの注入処理が全て完了した時点でバルブ29,25,27を閉める。
続いて、点火器30を作動させ、同時着火室13内の当量予混合気体に着火する。着火後、当量予混合気体の圧力が十分増加したところで(例えば、約10倍の圧力および温度になった時点で)、バルブ33,34を同時に開放し、高温の燃焼ガスジェット(図中の矢印J)を過濃予混合気体燃焼室11および希薄予混合気体燃焼室12に同時に噴射する。この燃焼ガスジェットにより、過濃予混合気体燃焼室11内の過濃予混合気体および希薄予混合気体燃焼室12内の希薄予混合気体が着火し、これらの気体の圧力および温度が上昇する。
この際、過濃予混合気体燃焼室11では、過濃予混合気体の燃焼が行われるため、未反応の気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体が生成され、一方、希薄予混合気体燃焼室12では、希薄予混合気体の燃焼が行われるため、未反応の酸素を含む第二の高温高圧既燃気体が生成される。
第6図には、相貫ノズル40による高温高圧既燃気体の加速および混合の様子が示されている。
第6図において、各燃焼室11,12内の気体の圧力および温度が上昇したところで、バルブ14,15を開放すると、過濃予混合気体燃焼室11で生成された第一の高温高圧既燃気体と、希薄予混合気体燃焼室12で生成された第二の高温高圧既燃気体とが、相貫ノズル40を通過して加速されるとともに(図中の矢印K)、混合される(図中の網掛け部分46)。
この際、相貫ノズル40の拡がりとともに、気体は加速され、同時に温度が降下する。なお、スロート部分41B,42Bから相貫開始点(第2図のA−A線の位置)までは、二種類の高温高圧既燃気体は接することはない。そして、相貫開始点に至るまでに、気体の温度は十分に低くなり、その後、相貫開始点よりも後方では、気体は衝突しながら混合され、出口部分45では、気体はデトネーション波の伝播速度よりも大きい速度まで加速されている。
第7図には、定常デトネーション安定器60によるデトネーション波の安定化の様子が示されている。
第7図において、相貫ノズル40を通過した気体は、混合促進部50で混合促進された後、定常デトネーション安定器60の先端部61に衝突する。すると、その際の断熱圧縮で、気体は着火し、デトネーション波が発生する。定常的な作動になると、第7図に示すように、斜めデトネーション波Dが、定常デトネーション安定器60の先端部61の近傍で弓状になり、かつ、その周囲に略円錐状に拡がった状態で安定化される。
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、定常デトネーション燃焼器10は、過濃予混合気体と希薄予混合気体とを別々の燃焼室11,12で燃焼させて高温高圧とすることにより、いずれも高温高圧でありながら未反応の気体燃料や未反応の酸素を含む第一および第二の高温高圧既燃気体を生成し、これらを相貫ノズル40により加速混合するので、極超音速流を得るために作動気体を高温にした段階で燃焼が完了してしまうという従来技術の不都合を解消することができるため、極超音速かつ未燃の予混合気体を生成することができる。
このため、生成された極超音速かつ未燃の予混合気体を定常デトネーション安定器60に衝突させることにより、デトネーション波を発生させることができる。
また、定常デトネーション燃焼器10は、気体の持つ化学的エネルギーを、極超音速流を生成するための熱エネルギーと、デトネーション波での発熱反応とに振り分けることができるので、極超音速流の生成およびデトネーション波の生成を、極めて単純な構造で、かつ、安価に実現することができる。
さらに、デトネーション波を安定化するための定量的な条件を明らかにし、その条件を満たすように定常デトネーション安定器60を配置したので、デトネーション波を静止系に対して定常に発生させ、維持することができる。
そして、相貫ノズル40を用いることにより、混合促進を図ることと併せて流れを加速することができるので、流れの特性時間に比べて混合時間が長くなるという不都合を回避することができる。
また、定常デトネーション燃焼器10をガスタービンに適用した場合には、デトネーション波をガスタービンの燃焼器内に維持して定積的な燃焼を行い、高い熱効率を維持することができるので(例えば、熱効率を30%〜50%向上できる。)、ガスタービンの効率を格段に改善することができる。すなわち、一般に、ガスタービンの燃焼器内で化学燃料を燃焼させて熱エネルギーを取り出す場合には、一定の圧力での燃焼(定圧燃焼)となるが、この定圧燃焼よりも、一定の体積での燃焼(定積燃焼)の方が、熱効率(系に与える熱エネルギーに対して取り出し可能な仕事の割合)が格段に高くなるからである。さらに、デトネーション波は、超高速燃焼(通常の火炎の100〜10000倍の伝播速度を有する燃焼)なので、ガスタービンを超小型化することができる。
そして、同時着火装置35が設けられているので、過濃予混合気体燃焼室11内の過濃予混合気体および希薄予混合気体燃焼室12内の希薄予混合気体への同時着火を確実に実現することができる。
また、同時着火装置35を構成する噴射制御手段として、開閉操作自在なバルブ33,34が採用されているので、噴射を繰り返し行うことができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
すなわち、前記実施形態では、第2図に示すように、相貫ノズル40は、二つの同一形状の円錐ノズル41,42を組み合わせることにより構成されていたが、本発明の相貫ノズルは、このような構成に限定されるものではなく、例えば、第8図に示すような相貫ノズル100としてもよい。第8図において、相貫ノズル100は、二つの同一形状の二等辺三角形状の平板ノズル101,102により構成されている。これらの平板ノズル101,102の各出口部分101A,102Aは、同一平面上に配置され、かつ、各スロート部分101B,102Bも、同一平面上に配置されている。また、各平板ノズル101,102の中心線同士は、平行に配置されている。そして、相貫ノズル100は、図中の二点鎖線で示される相貫部分103を取り除いて形成されている。
また、前記実施形態では、第4図に示すように、定常デトネーション安定器60は、先端部61が半球状とされ、支持部62が円柱状とされていたが、本発明の定常デトネーション安定器は、このような構成に限定されるものではなく、要するに、デトネーション波を発生させるには、相貫ノズル40を通過した気体の速度を減速させることで熱エネルギーに変換し、温度を上昇させ、着火する必要があり、また、デトネーション波を維持するには、ある面積以上のよどみ点領域または亜音速領域が必要であるため、結局、定常デトネーション安定器は、流路断面積を小さくすることにより、極超音速で流れる気体の速度を減速する障害物体であればよい。従って、例えば、第9図〜第12図に示すような定常デトネーション安定器200,210,220,230等としてもよい。
第9図において、定常デトネーション安定器200は、外部流タイプの安定器であり、先端部201が円錐状とされ、支持部202が円柱状とされている。
第10図において、定常デトネーション安定器210は、外部流タイプの安定器であり、先端部211が多角錐状(例えば、四角錘状等)とされ、支持部212が多角柱状(例えば、四角柱状等)とされている。
第11図において、定常デトネーション安定器220は、内部流タイプの安定器であり、向かい合わせに配置された二つの二次元ウェッジ221,222により構成されている。これらの二次元ウェッジ221,222の各尖端部223,224は、相貫ノズル40を通過した予混合気体の流れ方向(図中の矢印Fの方向)と直交する同一面上に配置されている。また、相貫ノズル40を構成する各ノズル41,42が水平方向に配置されているとすれば、各二次元ウェッジ221,222は、これと直交する方向、すなわち上下方向に配置される。
第12図において、定常デトネーション安定器230は、内部流タイプの安定器であり、二つの円錐状の先細末広ノズル231,232を互いの先細部分同士が連結される状態(砂時計状)に配置して構成されている。これらの先細末広ノズル231,232の各軸は一致し、かつ、各軸は相貫ノズル40を通過した予混合気体の流れ方向(図中の矢印Fの方向)に沿う方向に配置されている。
産業の利用可能性
以上のように、本発明に係る定常デトネーション燃焼器および定常デトネーション波生成方法は、例えば、航空宇宙機用推進エンジン、発電用ガスタービン用燃焼器、基礎研究用デトネーション波発生器等に用いるのに適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施形態の定常デトネーション燃焼器の全体構成図である。
第2図は、前記実施形態の相貫ノズルの詳細構成図である。
第3図は、第2図のA−A線断面図である。
第4図は、前記実施形態の定常デトネーション安定器の詳細構成図である。
第5図は、前記実施形態における予混合気体の注入および点火の様子を示す説明図である。
第6図は、前記実施形態における相貫ノズルによる高温高圧既燃気体の加速および混合の様子を示す説明図である。
第7図は、前記実施形態における定常デトネーション安定器によるデトネーション波の安定化の様子を示す説明図である。
第8図は、本発明の変形の形態を示す相貫ノズルの詳細構成図である。
第9図は、本発明の変形の形態を示す外部流タイプの定常デトネーション安定器の詳細構成図である。
第10図は、本発明の変形の形態を示す別の外部流タイプの定常デトネーション安定器の詳細構成図である。
第11図は、本発明の変形の形態を示す内部流タイプの定常デトネーション安定器の詳細構成図である。
第12図は、本発明の変形の形態を示す別の内部流タイプの定常デトネーション安定器の詳細構成図である。
この発明は、爆轟性のデトネーション波を静止系に対して定常に発生させることにより、気体燃料および酸素を含む予混合気体を燃焼させる定常デトネーション燃焼器および定常デトネーション波生成方法に係り、例えば、航空宇宙機用推進エンジン、発電用ガスタービン用燃焼器、基礎研究用デトネーション波発生器等に利用できる。
背景技術
一般に、デトネーション波と称される爆轟波の生成は、管内に爆轟性気体を封入し、管端で着火してデフラグレーション波からデトネーション波への遷移を促すことにより行われる。このようにして生成されたデトネーション波は、実験室系(静止系)に対して、秒速2〜3km/sという極めて高速(極超音速)で伝播するため、工学的な応用は困難である。デトネーション波の応用には、実験室系(静止系)に対して、静止した状態でデトネーション波を定常伝播させることが必要条件であるが、これまでそのような装置は開発されていない。
ところで、定常なデトネーション波を実験装置内に静止状態で維持するためには、以下のような解決すべき二つの課題がある。
先ず、第一の課題は、実験装置内に流れる極超音速の予混合気体に対してデトネーション波を安定化させる安定器の開発である。最近まで、デトネーション波が安定化される条件は、デトネーション研究者間でも不明であったため、そのような安定器の開発は、不可能であった。
第二の課題は、極超音速かつ未燃の予混合気体自体の生成である。これは極めて困難な課題とされている。なぜなら、一般的に、極超音速流を生成するには、一旦、作動気体を高温高圧にし、ノズルによりその熱エネルギーを運動エネルギーに変換するという手法をとる。しかし、同様にして未燃の予混合気体を加速しようとすると、作動気体(未燃の予混合気体)を高温にした段階で、燃焼が開始してしまい、生成された極超音速流は、既に燃焼が完了している状態となる。これに対し、気体燃料(可燃性ガス)と酸素とを別々に高温にして極超音速に加速し、その後に混合を行う手法も考えられる。しかし、この手法では、気体燃料と酸素とは別々に高温になるだけなので、加速時に反応を開始することはないが、その後における混合に必要な時間が、流れの特性時間に比べて長くなり、混合自体が困難であるという問題がある。また、作動気体を高温高圧にするためには、高価な加熱装置が必要であるという問題もある。
従って、本発明の目的は、極超音速かつ未燃の予混合気体を生成し、安定化されたデトネーション波を発生させることができる定常デトネーション燃焼器および定常デトネーション波生成方法を提供するところにある。
発明の開示
本発明は、爆轟性のデトネーション波を静止系に対して定常に発生させることにより、気体燃料および酸素を含む予混合気体を燃焼させる定常デトネーション燃焼器であって、酸素に対して気体燃料が過濃な状態とされた爆轟性の過濃予混合気体を燃焼させる過濃予混合気体燃焼室と、酸素に対して気体燃料が希薄な状態とされた爆轟性の希薄予混合気体を燃焼させる希薄予混合気体燃焼室と、互いに相貫する状態で配置された複数のノズルにより構成され、過濃予混合気体燃焼室で過濃予混合気体を燃焼させて得られた未反応の気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体と希薄予混合気体燃焼室で希薄予混合気体を燃焼させて得られた未反応の酸素を含む第二の高温高圧既燃気体とをそれぞれ極超音速に加速しながら静温を下降させ、かつ、混合する相貫ノズルと、この相貫ノズルで第一の高温高圧既燃気体と第二の高温高圧既燃気体とを混合して得られた未反応の気体燃料および未反応の酸素を含む予混合気体の流れを妨げる位置に配置され、相貫ノズルを通過して極超音速で流れてくる予混合気体を衝突させることにより、安定化されたデトネーション波を発生させて予混合気体を燃焼させる定常デトネーション安定器とを備えたことを特徴とするものである。
ここで、「相貫ノズル」を構成するノズルの個数は、構成の簡易化等の観点から2つであることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、4つのノズル、6つのノズル、8つのノズル等としてもよく、あるいは奇数個のノズルとしてもよく、要するに、第一の高温高圧既燃気体を通過させるノズルと第二の高温高圧既燃気体を通過させるノズルとの少なくとも2つのノズルがあり、これらのノズルが互いに相貫する状態で配置されて第一の高温高圧既燃気体と第二の高温高圧既燃気体とを混合できるようになっていればよい。
また、「定常デトネーション安定器」を配置する「予混合気体の流れを妨げる位置」とは、予混合気体の流れに対し、ある面積以上のよどみ点領域または亜音速領域を形成できる位置である。従って、「定常デトネーション安定器」は、流路断面積を小さくすることにより、極超音速で流れる予混合気体の速度を減速する障害物体である。
このような本発明の定常デトネーション燃焼器においては、過濃予混合気体燃焼室で過濃予混合気体を燃焼させて未反応の気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体を生成するとともに、希薄予混合気体燃焼室で希薄予混合気体を燃焼させて未反応の酸素を含む第二の高温高圧既燃気体を生成した後、これらの第一および第二の高温高圧既燃気体を相貫ノズルにより加速混合する。つまり、過濃予混合気体および希薄予混合気体を用意し、これらの過濃予混合気体と希薄予混合気体とを別々の燃焼室で燃焼させて高温高圧とすることにより、いずれも高温高圧でありながら未反応の気体燃料や未反応の酸素を含む第一および第二の高温高圧既燃気体を生成し、これらを相貫ノズルにより加速混合する。そして、その後、加速混合された気体を定常デトネーション安定器に衝突させてデトネーション波を発生させる。
このため、極超音速流を得るために作動気体を高温にした段階で燃焼が完了してしまうという従来技術の不都合を解消することができるので、極超音速かつ未燃の予混合気体を生成することが可能となり、前述した第二の課題の解決が図られる。
また、気体の持つ化学的エネルギーを、極超音速流を生成するための熱エネルギーと、デトネーション波での発熱反応とに振り分けることができるので、極超音速流の生成およびデトネーション波の生成を、極めて単純な構造で、かつ、安価に実現することが可能となる。
さらに、デトネーション波を安定化するための定量的な条件を明らかにし、その条件を満たすように定常デトネーション安定器を配置したので、デトネーション波を静止系に対して定常に発生させ、維持することが可能となり、前述した第一の課題の解決が図られる。
そして、相貫ノズルを用いることにより、混合促進を図ることと併せて流れを加速することができるので、流れの特性時間に比べて混合時間が長くなるという不都合を回避することが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
また、前述した定常デトネーション燃焼器において、高温の燃焼ガスジェットを過濃予混合気体燃焼室および希薄予混合気体燃焼室に同時に噴射する同時着火装置を備え、この同時着火装置は、当量比1.0で混合された気体燃料および酸素を含む爆轟性の当量予混合気体を封入する同時着火室と、この同時着火室内に封入された当量予混合気体に着火する点火器と、同時着火室と過濃予混合気体燃焼室との間および同時着火室と希薄予混合気体燃焼室との間にそれぞれ設けられた噴射制御手段とを含んで構成され、噴射制御手段は、同時着火室内で当量予混合気体を燃焼して得られた高温高圧の気体を、過濃予混合気体燃焼室および希薄予混合気体燃焼室に高温の燃焼ガスジェットとして同時に噴出させることにより、これらの各燃焼室内の過濃予混合気体および希薄予混合気体を同時に点火させる構成とされていることが望ましい。
ここで、「噴射制御手段」は、噴射を繰り返し行う場合には、開閉操作自在なバルブとすることが好ましいが、一回のみの噴射でよい場合には、例えば隔膜を設けておき、同時着火室内の気体の圧力が一定になった時点でこの隔膜が破られて高温の燃焼ガスジェットが噴射される構成としてもよい。
また、「点火器」による着火は、放電により行われることが好ましい。
このような同時着火装置を設けた場合には、過濃予混合気体燃焼室内の過濃予混合気体および希薄予混合気体燃焼室内の希薄予混合気体への同時着火を、確実に実現することができるようになる。
さらに、前述した定常デトネーション燃焼器において、過濃予混合気体および希薄予混合気体は、水素と酸素との混合気体、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンを含むメタン系炭化水素と酸素との混合気体、エチレン、プロピレンを含むエチレン系炭化水素と酸素との混合気体、アセチレンと酸素との混合気体、またはアンモニアと酸素との混合気体のうちのいずれか一種の混合気体であることが望ましい。
そして、前述した定常デトネーション燃焼器において、過濃予混合気体は、酸素に対する気体燃料の当量比が1.2〜2.0であり、希薄予混合気体は、酸素に対する気体燃料の当量比が0.3〜0.8であることが望ましい。
また、前述した定常デトネーション燃焼器において、過濃予混合気体燃焼室の容積に対する希薄予混合気体燃焼室の容積の比の値は、0.5〜2.0であることが望ましい。
さらに、前述した定常デトネーション燃焼器において、過濃予混合気体燃焼室および希薄予混合気体燃焼室の合計容積に対する同時着火室の容積の比の値は、5分の1〜30分の1であることが望ましい。
そして、前述した定常デトネーション燃焼器において、相貫ノズルのスロート部分の断面積に対する相貫開始点の断面積の比の値は10以上であり、スロート部分の断面積に対する出口部分の断面積の比の値は25以上であり、かつ、相貫開始点の断面積は出口部分の断面積よりも小さいことが望ましい。ここで、スロート部分の断面積とは、相貫ノズルを構成する複数のノズルの各スロート部分の断面積の和である。これらの関係を保ちさえすれば、相貫ノズルを構成する各断面の断面積は、スロート部分から出口部分に向かって滑らかに単調増加すればよく、相貫ノズルを形成する面は、任意の曲面とすることができる。
このように望ましい構成を有する「相貫ノズル」は、上記の条件を満たせば任意の曲面により形成することができるが、構成の簡易化や製造の容易化等の観点から、特に好適な具体的構成例として、次のような平行かつ相貫した一対の先細末広ノズルにより構成される相貫ノズルを挙げることができる。
例えば、二つの同一形状の円錐ノズルにより構成され、かつ、これらの円錐ノズルの各出口部分および各スロート部分をそれぞれ同一平面上に配置するとともに各円錐ノズルの軸同士を平行に配置することにより各円錐ノズル同士を互いに相貫させ、この相貫する部分を取り除いて形成されている相貫ノズルが挙げられる(例えば、後述する第2図および第3図の場合等)。
また、別の構成のものとして、二つの同一形状の二等辺三角形状の平板ノズルにより構成され、かつ、これらの平板ノズルの各出口部分および各スロート部分をそれぞれ同一平面上に配置するとともに各平板ノズルの中心線同士を平行に配置することにより各平板ノズル同士を互いに相貫させ、この相貫する部分を取り除いて形成されている相貫ノズルが挙げられる(例えば、後述する第8図の場合等)。
そして、「定常デトネーション安定器」としては、障害物体の外部(周囲)を気体が流れる外部流タイプの安定器と、障害物体の内部を気体が流れる内部流タイプの安定器とが考えられ、より具体的には、次のような構成のものを挙げることができる。
例えば、外部流タイプの構成のものとして、相貫ノズルを通過した予混合気体の流れを受ける先端部が半球状とされ、この半球状の先端部を支持する支持部が円柱状とされた定常デトネーション安定器が挙げられる(例えば、後述する第4図の場合等)。
また、外部流タイプの別の構成のものとして、相貫ノズルを通過した予混合気体の流れを受ける先端部が円錐状とされ、この円錐状の先端部を支持する支持部が円柱状とされた定常デトネーション安定器が挙げられる(例えば、後述する第9図の場合等)。
そして、外部流タイプのさらに別の構成のものとして、相貫ノズルを通過した予混合気体の流れを受ける先端部が多角錐状とされ、この多角錐状の先端部を支持する支持部が多角柱状とされた定常デトネーション安定器が挙げられる(例えば、後述する第10図の場合等)。ここで、多角錐状には、三角錐状、四角錐状、五角錐状、六角錐状等、三以上の任意の角数を持つ角錐状が含まれ、多角柱状には、三角柱状、四角柱状、五角柱状、六角柱状等、三以上の任意の角数を持つ角柱状が含まれる。
一方、内部流タイプの構成のものとして、向かい合わせに配置された二つの二次元ウェッジにより構成され、これらの二次元ウェッジの各尖端部が、相貫ノズルを通過した予混合気体の流れ方向と直交する同一面上に配置されている定常デトネーション安定器が挙げられる(例えば、後述する第11図の場合等)。
また、内部流タイプの別の構成のものとして、二つの円錐状の先細末広ノズルを互いの先細部分同士が連結される状態に配置して構成され、これらの先細末広ノズルの各軸は一致し、かつ、各軸は相貫ノズルを通過した予混合気体の流れ方向に沿う方向に配置されている定常デトネーション安定器が挙げられる(例えば、後述する第12図の場合等)。
さらに、本発明は、爆轟性のデトネーション波を静止系に対して定常に発生させる定常デトネーション波生成方法であって、酸素に対して気体燃料が過濃な状態とされた爆轟性の過濃予混合気体を過濃予混合気体燃焼室に注入するとともに、酸素に対して気体燃料が希薄な状態とされた爆轟性の希薄予混合気体を希薄予混合気体燃焼室に注入した後、これらの過濃予混合気体および希薄予混合気体を同時に点火させることにより、過濃予混合気体燃焼室で過濃予混合気体を燃焼させて未反応の気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体を生成するとともに、希薄予混合気体燃焼室で希薄予混合気体を燃焼させて未反応の酸素を含む第二の高温高圧既燃気体を生成し、続いて、互いに相貫する状態で配置された複数のノズルにより構成された相貫ノズルを用い、第一および第二の高温高圧既燃気体を、それぞれ極超音速に加速しながら静温を下降させ、かつ、混合し、さらに、第一および第二の高温高圧既燃気体を混合して得られた予混合気体の流れを定常デトネーション安定器で妨げることにより、安定化されたデトネーション波を発生させることを特徴とするものである。
このような本発明の定常デトネーション波生成方法においては、前述した本発明の定常デトネーション燃焼器で得られる作用・効果をそのまま得ることができ、これにより前記目的が達成される。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
第1図には、本発明の一実施形態の定常デトネーション燃焼器10の全体構成図が示されている。
第1図において、定常デトネーション燃焼器10は、爆轟性の過濃予混合気体を燃焼させる過濃予混合気体燃焼室11と、爆轟性の希薄予混合気体を燃焼させる希薄予混合気体燃焼室12と、爆轟性の当量予混合気体を封入する同時着火室13と、過濃予混合気体燃焼室11に過濃予混合気体を供給する過濃予混合気体源21と、希薄予混合気体燃焼室12に希薄予混合気体を供給する希薄予混合気体源22と、同時着火室13に当量予混合気体を供給する当量予混合気体源23と、同時着火室13内に封入された当量予混合気体に着火する点火器30と、過濃予混合気体燃焼室11および希薄予混合気体燃焼室12で生成された各高温高圧既燃気体の加速混合を行う相貫ノズル40と、この相貫ノズル40の後流側に設けられた混合促進部50と、この混合促進部50の後流側に配置された定常デトネーション安定器60とを備えて構成されている。
また、過濃予混合気体源21と過濃予混合気体燃焼室11とを結ぶ過濃予混合気体供給路24の途中には、開閉操作自在なバルブ25が設けられ、希薄予混合気体源22と希薄予混合気体燃焼室12とを結ぶ希薄予混合気体供給路26の途中には、開閉操作自在なバルブ27が設けられ、当量予混合気体源23と同時着火室13とを結ぶ当量予混合気体供給路28の途中には、開閉操作自在なバルブ29が設けられている。
さらに、同時着火室13と過濃予混合気体燃焼室11との間および同時着火室13と希薄予混合気体燃焼室12との間には、これらの各室同士をそれぞれ連通する連通路31,32が設けられ、これらの連通路31,32の途中には、噴射制御手段である開閉操作自在なバルブ33,34がそれぞれ設けられている。そして、同時着火室13と、点火器30と、バルブ33,34とにより、同時着火室13から高温の燃焼ガスジェットを過濃予混合気体燃焼室11および希薄予混合気体燃焼室12に同時に噴射して過濃予混合気体および希薄予混合気体を同時に点火させる同時着火装置35が構成されている。
ここで、点火器30による当量予混合気体への着火は、例えば放電等により行われる。点火器30は、燃焼反応を開始させるに十分なエネルギー密度とエネルギーを気体に与える装置であればよく、例えば自動車用の点火プラグ等を好適に用いることができる。また、各バルブ33,34は、例えば電磁バルブ等により構成されて迅速な開閉制御を行うことができるものであり、同時着火室13内で当量予混合気体を燃焼して得られた高温高圧の気体(例えば、約10倍の温度および圧力とされた気体)を、過濃予混合気体燃焼室11および希薄予混合気体燃焼室12に高温の燃焼ガスジェットとして同時に噴出させることにより、これらの各燃焼室11,12内の過濃予混合気体および希薄予混合気体を同時に点火させる噴射制御手段として機能するものである。
また、過濃予混合気体燃焼室11と相貫ノズル40との間および希薄予混合気体燃焼室12と相貫ノズル40との間には、これらの空間同士をそれぞれ連通する連通路14,15が設けられている。
過濃予混合気体源21から過濃予混合気体燃焼室11に供給される過濃予混合気体は、気体燃料と酸素とを予め混合した爆轟性の気体であるが、酸素に対して気体燃料を過剰に混合した気体、すなわち気体燃料の濃度の濃い気体となっている。この過濃予混合気体についての酸素に対する気体燃料の当量比は、気体の持つ化学的エネルギーを、極超音速流を生成するための熱エネルギーと、デトネーション波での発熱反応とに適切に振り分ける等の観点から、1.2〜2.0であることが好ましい。
一方、希薄予混合気体源22から希薄予混合気体燃焼室12に供給される希薄予混合気体は、気体燃料と酸素とを予め混合した爆轟性の気体であるが、気体燃料に対して酸素を過剰に混合した気体、すなわち気体燃料の濃度の希薄な気体となっている。この希薄予混合気体についての酸素に対する気体燃料の当量比は、気体の持つ化学的エネルギーを、極超音速流を生成するための熱エネルギーと、デトネーション波での発熱反応とに適切に振り分ける等の観点から、0.3〜0.8であることが好ましい。
また、当量予混合気体源23から同時着火室13に供給される当量予混合気体は、気体燃料と酸素とを当量比1.0で予め混合した爆轟性の気体である。
そして、これらの過濃予混合気体および希薄予混合気体、並びに当量予混合気体に使用される爆轟性の気体としては、例えば、水素と酸素との混合気体、メタン系炭化水素(メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン)と酸素との混合気体、エチレン系炭化水素(エチレン、プロピレン)と酸素との混合気体、アセチレンと酸素との混合気体、アンモニアと酸素との混合気体等を採用することができる。また、これらの各混合気体は、窒素や希ガス等による希釈が行われていてもよい。
過濃予混合気体燃焼室11の容積に対する希薄予混合気体燃焼室12の容積の比の値は、相貫ノズル40での各高温高圧既燃気体の混合比の適切化や円滑な連続運転の実現等の観点から、0.5〜2.0であることが好ましく、例えば1.0等である。
また、過濃予混合気体燃焼室11および希薄予混合気体燃焼室12の合計容積に対する同時着火室13の容積の比の値は、過濃予混合気体および希薄予混合気体への点火の確実化等の観点から、5分の1〜30分の1であることが好ましく、例えば10分の1等である。
さらに、過濃予混合気体源21、希薄予混合気体源22、当量予混合気体源23の各容積は、それぞれ過濃予混合気体燃焼室11、希薄予混合気体燃焼室12、同時着火室13の容積の5倍以上とすることが好ましい。また、過濃予混合気体源21、希薄予混合気体源22、当量予混合気体源23の各圧力は、それぞれ過濃予混合気体燃焼室11、希薄予混合気体燃焼室12、同時着火室13の初期圧力よりも高い圧力に設定する。各気体源21〜23の温度は、200K以上とし、例えば室温とする。
過濃予混合気体燃焼室11、希薄予混合気体燃焼室12、同時着火室13の各形状は任意であり、例えば円筒形状等である。
第2図には、相貫ノズル40の詳細構成が示されている。相貫ノズル40は、過濃予混合気体燃焼室11で過濃予混合気体を燃焼させて得られた未反応の気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体と、希薄予混合気体燃焼室12で希薄予混合気体を燃焼させて得られた未反応の酸素を含む第二の高温高圧既燃気体とを、それぞれ極超音速に加速しながら静温を下降させ、かつ、混合するものである。
第1図および第2図において、相貫ノズル40は、互いに相貫する状態で配置された複数(本実施形態では、一例として、二つとする。)のノズル41,42を組み合わせることにより構成されている。
第2図に示すように、各ノズル41,42は、同一形状の円錐ノズルである。これらのノズル41,42の各出口部分41A,42Aは、同一平面上に配置され、かつ、各スロート部分41B,42Bも、同一平面上に配置されている。また、各ノズル41,42の軸同士は、平行に配置されている。そして、このような配置にすると、各ノズル41,42の円錐面が円錐頂点から徐々に拡がっていく結果、重なりを生じるので、第2図中の二点鎖線で示すような各ノズル41,42の相貫部分43が形成される。従って、相貫ノズル40は、空間的にこの相貫部分43を取り除いて形成され、各ノズル41,42の境界線44は、円錐面同士が交差して形成される山形の曲線となっている。
第3図には、第2図のA−A線断面が示されている。A−A線の位置は、各ノズル41,42の相貫が始まる相貫開始点であり、第3図に示すように、相貫開始点の断面は、二つの円形断面が接する状態となっている。従って、スロート部分41B,42Bから相貫開始点までは、二種類の高温高圧既燃気体は接することはない。
相貫ノズル40の二つのスロート部分41B,42Bの断面積の和に対する相貫開始点(A−A線の位置)の断面積の比の値は10以上であり、二つのスロート部分41B,42Bの断面積の和に対する出口部分45(各出口部分41A,42Aを重ねて形成される開口部分)の断面積の比の値は25以上である。また、相貫開始点(A−A線の位置)の断面積は、出口部分45の断面積よりも小さくなっている。なお、相貫開始点に至るまでに、気体の温度が十分に低くなるように相貫開始点での相貫ノズル40の断面積を決定する。また、出口部分45では、気体はデトネーション波の伝播速度よりも大きい速度まで加速されていなければならないので、その値に相当する出口断面積をとる。
第1図において、混合促進部50は、相貫ノズル40を通過した気体の混合を促進させる部分である。混合促進部50の断面積は、相貫ノズル40の出口部分45の断面積よりも大きい。また、流れ方向の長さは、任意である。
第4図には、定常デトネーション安定器60の詳細構成が示されている。定常デトネーション安定器60は、相貫ノズル40および混合促進部50を通過して極超音速で流れてくる未反応の気体燃料および未反応の酸素を含む予混合気体を衝突させることにより、安定化されたデトネーション波を発生させて予混合気体を燃焼させるものである。
第1図および第4図において、定常デトネーション安定器60は、相貫ノズル40で第一の高温高圧既燃気体と第二の高温高圧既燃気体とを混合して得られた未反応の気体燃料および未反応の酸素を含む予混合気体の流れ、すなわち相貫ノズル40から吐出されて混合促進部50を通過した気体の流れを妨げる位置に配置されている。
第4図に示すように、定常デトネーション安定器60は、相貫ノズル40および混合促進部50を通過した予混合気体の流れ(図中の矢印F)を受ける先端部61と、この先端部61を支持する支持部62とにより構成され、障害物体である安定器の外部(周囲)を気体が流れる外部流タイプの安定器である。そして、先端部61は半球状とされ、支持部62は円柱状とされている。
また、例えば水素と酸素との予混合気体とする場合には、定常デトネーション波を定常デトネーション安定器60の周りに安定化させる条件を満たすように、相貫ノズル40の出口部分45のマッハ数を5.3以上、好ましくは6以上とし、さらに、デトネーションの特性長であるデトネーションセルサイズ(予混合気体の種類および状態で一意に決まるサイズ,cell width)が半球状の先端部61の直径の5分の1以下になるように、先端部61に衝突させる予混合気体の静圧を設定する。つまり、半球状の先端部61の直径の5分の1以下のセルサイズになるまで、予混合気体の初期圧力を上げる。なお、水素と酸素との予混合気体の場合には、ここに示した数値以上に、予混合気体を加速し、また、予混合気体の初期圧力を高くすることで、より一層安定化された定常なデトネーション波を形成することができる。
このような本実施形態においては、以下のようにして定常デトネーション燃焼器10による燃焼が行われる。
第5図には、予混合気体の注入および点火の様子が示されている。なお、図中のハッチングは、断面を示すものではなく、気体が充填されている様子を示すものである。以下の第6図および第7図においても同様である。
第5図において、先ず、バルブ33,34,14,15を閉めた状態で、バルブ29,25,27を開ける。そして、同時着火室13に当量予混合気体源23からの当量予混合気体が注入され、過濃予混合気体燃焼室11に過濃予混合気体源21からの過濃予混合気体が注入され、希薄予混合気体燃焼室12に希薄予混合気体源22からの希薄予混合気体が注入され、これらの注入処理が全て完了した時点でバルブ29,25,27を閉める。
続いて、点火器30を作動させ、同時着火室13内の当量予混合気体に着火する。着火後、当量予混合気体の圧力が十分増加したところで(例えば、約10倍の圧力および温度になった時点で)、バルブ33,34を同時に開放し、高温の燃焼ガスジェット(図中の矢印J)を過濃予混合気体燃焼室11および希薄予混合気体燃焼室12に同時に噴射する。この燃焼ガスジェットにより、過濃予混合気体燃焼室11内の過濃予混合気体および希薄予混合気体燃焼室12内の希薄予混合気体が着火し、これらの気体の圧力および温度が上昇する。
この際、過濃予混合気体燃焼室11では、過濃予混合気体の燃焼が行われるため、未反応の気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体が生成され、一方、希薄予混合気体燃焼室12では、希薄予混合気体の燃焼が行われるため、未反応の酸素を含む第二の高温高圧既燃気体が生成される。
第6図には、相貫ノズル40による高温高圧既燃気体の加速および混合の様子が示されている。
第6図において、各燃焼室11,12内の気体の圧力および温度が上昇したところで、バルブ14,15を開放すると、過濃予混合気体燃焼室11で生成された第一の高温高圧既燃気体と、希薄予混合気体燃焼室12で生成された第二の高温高圧既燃気体とが、相貫ノズル40を通過して加速されるとともに(図中の矢印K)、混合される(図中の網掛け部分46)。
この際、相貫ノズル40の拡がりとともに、気体は加速され、同時に温度が降下する。なお、スロート部分41B,42Bから相貫開始点(第2図のA−A線の位置)までは、二種類の高温高圧既燃気体は接することはない。そして、相貫開始点に至るまでに、気体の温度は十分に低くなり、その後、相貫開始点よりも後方では、気体は衝突しながら混合され、出口部分45では、気体はデトネーション波の伝播速度よりも大きい速度まで加速されている。
第7図には、定常デトネーション安定器60によるデトネーション波の安定化の様子が示されている。
第7図において、相貫ノズル40を通過した気体は、混合促進部50で混合促進された後、定常デトネーション安定器60の先端部61に衝突する。すると、その際の断熱圧縮で、気体は着火し、デトネーション波が発生する。定常的な作動になると、第7図に示すように、斜めデトネーション波Dが、定常デトネーション安定器60の先端部61の近傍で弓状になり、かつ、その周囲に略円錐状に拡がった状態で安定化される。
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、定常デトネーション燃焼器10は、過濃予混合気体と希薄予混合気体とを別々の燃焼室11,12で燃焼させて高温高圧とすることにより、いずれも高温高圧でありながら未反応の気体燃料や未反応の酸素を含む第一および第二の高温高圧既燃気体を生成し、これらを相貫ノズル40により加速混合するので、極超音速流を得るために作動気体を高温にした段階で燃焼が完了してしまうという従来技術の不都合を解消することができるため、極超音速かつ未燃の予混合気体を生成することができる。
このため、生成された極超音速かつ未燃の予混合気体を定常デトネーション安定器60に衝突させることにより、デトネーション波を発生させることができる。
また、定常デトネーション燃焼器10は、気体の持つ化学的エネルギーを、極超音速流を生成するための熱エネルギーと、デトネーション波での発熱反応とに振り分けることができるので、極超音速流の生成およびデトネーション波の生成を、極めて単純な構造で、かつ、安価に実現することができる。
さらに、デトネーション波を安定化するための定量的な条件を明らかにし、その条件を満たすように定常デトネーション安定器60を配置したので、デトネーション波を静止系に対して定常に発生させ、維持することができる。
そして、相貫ノズル40を用いることにより、混合促進を図ることと併せて流れを加速することができるので、流れの特性時間に比べて混合時間が長くなるという不都合を回避することができる。
また、定常デトネーション燃焼器10をガスタービンに適用した場合には、デトネーション波をガスタービンの燃焼器内に維持して定積的な燃焼を行い、高い熱効率を維持することができるので(例えば、熱効率を30%〜50%向上できる。)、ガスタービンの効率を格段に改善することができる。すなわち、一般に、ガスタービンの燃焼器内で化学燃料を燃焼させて熱エネルギーを取り出す場合には、一定の圧力での燃焼(定圧燃焼)となるが、この定圧燃焼よりも、一定の体積での燃焼(定積燃焼)の方が、熱効率(系に与える熱エネルギーに対して取り出し可能な仕事の割合)が格段に高くなるからである。さらに、デトネーション波は、超高速燃焼(通常の火炎の100〜10000倍の伝播速度を有する燃焼)なので、ガスタービンを超小型化することができる。
そして、同時着火装置35が設けられているので、過濃予混合気体燃焼室11内の過濃予混合気体および希薄予混合気体燃焼室12内の希薄予混合気体への同時着火を確実に実現することができる。
また、同時着火装置35を構成する噴射制御手段として、開閉操作自在なバルブ33,34が採用されているので、噴射を繰り返し行うことができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
すなわち、前記実施形態では、第2図に示すように、相貫ノズル40は、二つの同一形状の円錐ノズル41,42を組み合わせることにより構成されていたが、本発明の相貫ノズルは、このような構成に限定されるものではなく、例えば、第8図に示すような相貫ノズル100としてもよい。第8図において、相貫ノズル100は、二つの同一形状の二等辺三角形状の平板ノズル101,102により構成されている。これらの平板ノズル101,102の各出口部分101A,102Aは、同一平面上に配置され、かつ、各スロート部分101B,102Bも、同一平面上に配置されている。また、各平板ノズル101,102の中心線同士は、平行に配置されている。そして、相貫ノズル100は、図中の二点鎖線で示される相貫部分103を取り除いて形成されている。
また、前記実施形態では、第4図に示すように、定常デトネーション安定器60は、先端部61が半球状とされ、支持部62が円柱状とされていたが、本発明の定常デトネーション安定器は、このような構成に限定されるものではなく、要するに、デトネーション波を発生させるには、相貫ノズル40を通過した気体の速度を減速させることで熱エネルギーに変換し、温度を上昇させ、着火する必要があり、また、デトネーション波を維持するには、ある面積以上のよどみ点領域または亜音速領域が必要であるため、結局、定常デトネーション安定器は、流路断面積を小さくすることにより、極超音速で流れる気体の速度を減速する障害物体であればよい。従って、例えば、第9図〜第12図に示すような定常デトネーション安定器200,210,220,230等としてもよい。
第9図において、定常デトネーション安定器200は、外部流タイプの安定器であり、先端部201が円錐状とされ、支持部202が円柱状とされている。
第10図において、定常デトネーション安定器210は、外部流タイプの安定器であり、先端部211が多角錐状(例えば、四角錘状等)とされ、支持部212が多角柱状(例えば、四角柱状等)とされている。
第11図において、定常デトネーション安定器220は、内部流タイプの安定器であり、向かい合わせに配置された二つの二次元ウェッジ221,222により構成されている。これらの二次元ウェッジ221,222の各尖端部223,224は、相貫ノズル40を通過した予混合気体の流れ方向(図中の矢印Fの方向)と直交する同一面上に配置されている。また、相貫ノズル40を構成する各ノズル41,42が水平方向に配置されているとすれば、各二次元ウェッジ221,222は、これと直交する方向、すなわち上下方向に配置される。
第12図において、定常デトネーション安定器230は、内部流タイプの安定器であり、二つの円錐状の先細末広ノズル231,232を互いの先細部分同士が連結される状態(砂時計状)に配置して構成されている。これらの先細末広ノズル231,232の各軸は一致し、かつ、各軸は相貫ノズル40を通過した予混合気体の流れ方向(図中の矢印Fの方向)に沿う方向に配置されている。
産業の利用可能性
以上のように、本発明に係る定常デトネーション燃焼器および定常デトネーション波生成方法は、例えば、航空宇宙機用推進エンジン、発電用ガスタービン用燃焼器、基礎研究用デトネーション波発生器等に用いるのに適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施形態の定常デトネーション燃焼器の全体構成図である。
第2図は、前記実施形態の相貫ノズルの詳細構成図である。
第3図は、第2図のA−A線断面図である。
第4図は、前記実施形態の定常デトネーション安定器の詳細構成図である。
第5図は、前記実施形態における予混合気体の注入および点火の様子を示す説明図である。
第6図は、前記実施形態における相貫ノズルによる高温高圧既燃気体の加速および混合の様子を示す説明図である。
第7図は、前記実施形態における定常デトネーション安定器によるデトネーション波の安定化の様子を示す説明図である。
第8図は、本発明の変形の形態を示す相貫ノズルの詳細構成図である。
第9図は、本発明の変形の形態を示す外部流タイプの定常デトネーション安定器の詳細構成図である。
第10図は、本発明の変形の形態を示す別の外部流タイプの定常デトネーション安定器の詳細構成図である。
第11図は、本発明の変形の形態を示す内部流タイプの定常デトネーション安定器の詳細構成図である。
第12図は、本発明の変形の形態を示す別の内部流タイプの定常デトネーション安定器の詳細構成図である。
Claims (16)
- 爆轟性のデトネーション波を静止系に対して定常に発生させることにより、気体燃料および酸素を含む予混合気体を燃焼させる定常デトネーション燃焼器であって、
前記酸素に対して前記気体燃料が過濃な状態とされた爆轟性の過濃予混合気体を燃焼させる過濃予混合気体燃焼室と、
前記酸素に対して前記気体燃料が希薄な状態とされた爆轟性の希薄予混合気体を燃焼させる希薄予混合気体燃焼室と、
互いに相貫する状態で配置された複数のノズルにより構成され、前記過濃予混合気体燃焼室で前記過濃予混合気体を燃焼させて得られた未反応の前記気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体と、前記希薄予混合気体燃焼室で前記希薄予混合気体を燃焼させて得られた未反応の前記酸素を含む第二の高温高圧既燃気体とを、それぞれ極超音速に加速しながら静温を下降させ、かつ、混合する相貫ノズルと、
この相貫ノズルで前記第一の高温高圧既燃気体と前記第二の高温高圧既燃気体とを混合して得られた未反応の前記気体燃料および未反応の前記酸素を含む予混合気体の流れを妨げる位置に配置され、前記相貫ノズルを通過して極超音速で流れてくる前記予混合気体を衝突させることにより、安定化された前記デトネーション波を発生させて前記予混合気体を燃焼させる定常デトネーション安定器と
を備えたことを特徴とする定常デトネーション燃焼器。 - 高温の燃焼ガスジェットを前記過濃予混合気体燃焼室および前記希薄予混合気体燃焼室に同時に噴射する同時着火装置を備え、
この同時着火装置は、当量比1.0で混合された気体燃料および酸素を含む爆轟性の当量予混合気体を封入する同時着火室と、この同時着火室内に封入された前記当量予混合気体に着火する点火器と、前記同時着火室と前記過濃予混合気体燃焼室との間および前記同時着火室と前記希薄予混合気体燃焼室との間にそれぞれ設けられた噴射制御手段とを含んで構成され、
前記噴射制御手段は、前記同時着火室内で前記当量予混合気体を燃焼して得られた高温高圧の気体を、前記過濃予混合気体燃焼室および前記希薄予混合気体燃焼室に高温の燃焼ガスジェットとして同時に噴出させることにより、これらの各燃焼室内の前記過濃予混合気体および前記希薄予混合気体を同時に点火させる構成とされていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の定常デトネーション燃焼器。 - 前記噴射制御手段は、開閉操作自在なバルブとされ、前記点火器による着火は、放電により行われることを特徴とする請求の範囲第2項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記過濃予混合気体および前記希薄予混合気体は、水素と酸素との混合気体、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンを含むメタン系炭化水素と酸素との混合気体、エチレン、プロピレンを含むエチレン系炭化水素と酸素との混合気体、アセチレンと酸素との混合気体、またはアンモニアと酸素との混合気体のうちのいずれか一種の混合気体であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記過濃予混合気体は、前記酸素に対する前記気体燃料の当量比が1.2〜2.0であり、前記希薄予混合気体は、前記酸素に対する前記気体燃料の当量比が0.3〜0.8であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記過濃予混合気体燃焼室の容積に対する前記希薄予混合気体燃焼室の容積の比の値は、0.5〜2.0であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記過濃予混合気体燃焼室および前記希薄予混合気体燃焼室の合計容積に対する前記同時着火室の容積の比の値は、5分の1〜30分の1であることを特徴とする請求の範囲第2項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記相貫ノズルのスロート部分の断面積に対する相貫開始点の断面積の比の値は10以上であり、前記スロート部分の断面積に対する出口部分の断面積の比の値は25以上であり、かつ、前記相貫開始点の断面積は前記出口部分の断面積よりも小さいことを特徴とする請求の範囲第1項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記相貫ノズルは、二つの同一形状の円錐ノズルにより構成され、かつ、これらの円錐ノズルの各出口部分および各スロート部分をそれぞれ同一平面上に配置するとともに前記各円錐ノズルの軸同士を平行に配置することにより前記各円錐ノズル同士を互いに相貫させ、この相貫する部分を取り除いて形成されていることを特徴とする請求の範囲第8項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記相貫ノズルは、二つの同一形状の二等辺三角形状の平板ノズルにより構成され、かつ、これらの平板ノズルの各出口部分および各スロート部分をそれぞれ同一平面上に配置するとともに前記各平板ノズルの中心線同士を平行に配置することにより前記各平板ノズル同士を互いに相貫させ、この相貫する部分を取り除いて形成されていることを特徴とする請求の範囲第8項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記定常デトネーション安定器は、前記相貫ノズルを通過した前記予混合気体の流れを受ける先端部が半球状とされ、この半球状の先端部を支持する支持部が円柱状とされたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記定常デトネーション安定器は、前記相貫ノズルを通過した前記予混合気体の流れを受ける先端部が円錐状とされ、この円錐状の先端部を支持する支持部が円柱状とされたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記定常デトネーション安定器は、前記相貫ノズルを通過した前記予混合気体の流れを受ける先端部が多角錐状とされ、この多角錐状の先端部を支持する支持部が多角柱状とされたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記定常デトネーション安定器は、向かい合わせに配置された二つの二次元ウェッジにより構成され、これらの二次元ウェッジの各尖端部は、前記相貫ノズルを通過した前記予混合気体の流れ方向と直交する同一面上に配置されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 前記定常デトネーション安定器は、二つの円錐状の先細末広ノズルを互いの先細部分同士が連結される状態に配置して構成され、これらの先細末広ノズルの各軸は一致し、かつ、各軸は前記相貫ノズルを通過した前記予混合気体の流れ方向に沿う方向に配置されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の定常デトネーション燃焼器。
- 爆轟性のデトネーション波を静止系に対して定常に発生させる定常デトネーション波生成方法であって、
酸素に対して気体燃料が過濃な状態とされた爆轟性の過濃予混合気体を過濃予混合気体燃焼室に注入するとともに、前記酸素に対して前記気体燃料が希薄な状態とされた爆轟性の希薄予混合気体を希薄予混合気体燃焼室に注入した後、
これらの過濃予混合気体および希薄予混合気体を同時に点火させることにより、前記過濃予混合気体燃焼室で前記過濃予混合気体を燃焼させて未反応の前記気体燃料を含む第一の高温高圧既燃気体を生成するとともに、前記希薄予混合気体燃焼室で前記希薄予混合気体を燃焼させて未反応の前記酸素を含む第二の高温高圧既燃気体を生成し、
続いて、互いに相貫する状態で配置された複数のノズルにより構成された相貫ノズルを用い、前記第一および前記第二の高温高圧既燃気体を、それぞれ極超音速に加速しながら静温を下降させ、かつ、混合し、
さらに、前記第一および前記第二の高温高圧既燃気体を混合して得られた予混合気体の流れを定常デトネーション安定器で妨げることにより、安定化された前記デトネーション波を発生させることを特徴とする定常デトネーション波生成方法。
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