JP3981586B2 - 液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成方法及び液体現像電子写真装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、HVS(High Viscous Silicone-oil)トナーを含む揮発性または不揮発性キャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成方法及び液体現像電子写真装置に関し、印刷媒体上の余剰キャリア溶媒による画像流れ、定着不良、定着ローラなど定着部材へのトナー移転(オフセット現象)を起こさないために、余剰キャリア溶媒の印刷媒体への浸透を促進することを目的とした転写・定着の制御条件を実現する、液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成方法及び液体現像電子写真装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体現像におけるキャリア溶媒は、1μm前後であるトナー粒子の空中飛散防止の他に、粒子を帯電状態にさせ、均一分散状態にするという機能があり、現像や静電転写工程では、トナー粒子が電界作用で容易に電気泳動させる役割も担っている。
【0003】
液体現像電子写真プロセス中のキャリア溶媒は、トナー保存、トナー搬送、層形成、現像、静電転写までには必要な成分である。しかし、印刷媒体への定着工程以降には、キャリア溶媒は画質等の面から不要である。これらのことから、現在多くの液体現像剤(トナー)のキャリア溶媒には、揮発性の絶縁性溶媒が用いられている。しかし、溶媒揮発による装置内でのトナー固着や、揮発キャリアの人体への影響や環境問題から、不揮発性キャリア溶媒を用いる液体現像剤も開発されており、その一つがHVS(High Viscous Silicone-oil)トナーである。
【0004】
電子写真方式の画像形成における定着工程は、ヒートローラを用いる定着方式が一般的である。ヒートローラによる定着方式は、加熱制御されたヒートローラ対が付圧された際に形成するニップ幅に、転写工程でトナー画像が転移された印刷媒体を通すことにより、熱可塑性であるトナーを加熱・溶融するものである。このヒートローラによる定着ニップ部は、トナー画像に、溶融のための伝熱と、印刷媒体への密着・浸透のための加圧とを同時に行う。その結果として、印刷媒体との接着強度、樹脂強度といった最終的な画像強度を発現させる。
【0005】
ところで、揮発性又は不揮発性キャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置において、ヒートローラ対での定着工程時までに、揮発・浸透しきれなかったキャリア溶媒がトナー画像中に残っていた場合、定着ニップ部の圧力によってトナー画像がキャリア溶媒とともに流れたり、余剰キャリア溶媒が溶融状態になったトナー粒子の一体化や、印刷媒体表面への接着を阻害したりして定着不良となったりする。また、トナー粒子の結合不良により定着ローラの表面にトナー粒子が付着するオフセット現象が発生する恐れがある。
【0006】
特に、不揮発性キャリア溶媒では、常温及び加熱による揮発(気化)が全く期待できないため、より確実なキャリア除去手段を講じる必要がある。印刷媒体への転写工程以前に、キャリア溶媒を除去する様々な方式が提案されているが、キャリア溶媒を完全に除去するのは非常に困難であり、現実には多少のキャリア溶媒が残余している。
【0007】
このような定着工程での障害を防止するために、キャリア溶媒の印刷媒体への浸透を利用した方式が提案されている。例えば、キャリア溶媒の揮発と印刷媒体への浸透時間を稼ぐために、トナー画像を転写した後の印刷媒体を必要時間待機させてから定着させる。あるいは、トナー画像を転写した後の印刷媒体を必要時間要する搬送通路を介してから定着させる方式が知られている。
【0008】
また、印刷媒体の表面にキャリア溶媒を吸収する多孔質の液体吸収層を有する印刷媒体を使用するものも知られている。
【0009】
この様に、従来の技術では、印刷媒体の吸液性に着目したものが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記のごとく、従来の技術では次のような問題点がある。
【0011】
キャリア溶媒を印刷媒体へ浸透させるために印刷媒体を必要時間待機させる方式の場合は、印刷媒体の吸液性(例えば、塗工紙は吸液性が悪い)によって待機時間が大きく依存されるため、印刷速度が著しく低下する場合がある。また、印刷媒体表面に液体吸収層を設ける場合は、明らかにその装置固有の専用印刷媒体となり、根本的な解決策ではない。
【0012】
この発明の課題は、
HVS(High Viscous Silicone-oil)トナーを含む揮発性または不揮発性キャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成において、印刷媒体への転写工程以前に、画像支持体上のトナー層中の残存キャリア溶媒量低減と、転写工程以降のトナー層内キャリア溶媒の印刷媒体への吸収されやすさ(以下、被吸液性と呼ぶ)とを両立する方式を提案することにある。すなわち、本願では、印刷媒体に吸われやすい被吸液性の良いトナー状態にすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の問題点を解決するために、この発明では次に示す手段を取った。
【0014】
液体現像電子写真装置の画像支持体上でキャリア除去する際の画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度以上で溶融温度(融点)以下になるようにする。さらに、印刷媒体への画像形成工程に、印刷媒体への転写過程の事前に、画像支持体とバックアップローラとで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度(融点)以下となるようにする印刷媒体予熱過程と、
印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上で溶融温度(融点)以下に保持するようにする印刷媒体加熱過程とを備える。
【0015】
また、液体現像電子写真装置において、
画像支持体上でキャリア除去する際の画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)になるように温度制御された画像支持体と、
印刷媒体への転写過程の事前に、画像支持体とバックアップローラとで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度(融点)以下となるように温度制御する印刷媒体予熱手段と、
印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)に保持するように温度制御する印刷媒体加熱手段とを備える。
【0016】
上記の手段をとることにより、印刷媒体への転写工程以前に、残存キャリア溶媒量を低減することと、印刷媒体への転写後のトナー層内キャリア溶媒が印刷媒体へ吸われやすくする被吸液性とを両立することができ、印刷媒体上の余剰キャリア溶媒による画像流れ、定着不良、定着ローラなど定着部材へのトナー移転(オフセット現象)を起こさないようにする。
【0017】
すなわち、画像支持体では、トナー層中のトナー固形分は粒子形状の輪郭は残しながら軟化し、トナー粒子間の隙間はかなり縮小している。
【0018】
また、印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)では、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透するような温度範囲まで印刷媒体を加熱させる。
【0019】
また、印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)では、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透する。つまり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透性を維持する。
【0020】
これにより、印刷媒体への転写工程以前に、残存キャリア溶媒量を低減することと、印刷媒体への転写後のトナー層が印刷媒体へ吸われやすくする被吸液性とを両立する。
【0021】
【発明の実施の形態】
この発明は、次に示す実施の形態を取った。
【0022】
揮発性または不揮発性のキャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成方法において、
複数色毎にそれぞれ設けられた各現像手段により形成された各色画像を支持する画像支持体上でキャリア除去する際の画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度以上で溶融温度(融点)以下になるようにするとともに、
印刷媒体への転写過程の事前に、画像支持体とバックアップローラとで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度(融点)以下となるようにする印刷媒体予熱過程と、
印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上で溶融温度(融点)以下に保持するようにする印刷媒体加熱過程とを備える。
【0023】
また、揮発性または不揮発性のキャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置において、
複数色毎にそれぞれ設けられた各現像手段により形成された各色画像を支持する画像支持体上でキャリア除去する際の画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)になるように温度制御された画像支持体と、
印刷媒体への転写過程の事前に、画像支持体とバックアップローラとで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度(融点)以下となるように温度制御する印刷媒体予熱手段と、
印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)に保持するように温度制御する印刷媒体加熱手段とを備える。
【0024】
上記の形態をとることにより、印刷媒体への転写工程以前に、残存キャリア溶媒量を低減することと、印刷媒体への転写後のトナー層内キャリア溶媒を印刷媒体へ吸われやすくする被吸液性とを両立するようにする。
【0025】
すなわち、画像支持体では、画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)になるようにすることにより、トナー層中のトナー固形分は粒子形状の輪郭は残しながら軟化し、トナー粒子間の隙間はかなり縮小している。なお、トナー層中のトナー固形分比率は80%〜90%強まで向上することが可能である。
【0026】
また、印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)では、印刷媒体の予熱温度がトナー固形分の軟化温度以上で、かつ転写ニップ部直後での印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以下とすることにより、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透するようにする。
【0027】
また、印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)では、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)に保持するようにすることにより、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透する。つまり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透性を維持する。
【0028】
以上より、印刷媒体への転写工程の事前に印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)を有し、さらに、印刷媒体への転写過程から定着過程への間に印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)を有することにより、トナー画像中に残存するキャリア溶媒の被吸液性は良好となる。
【0029】
さらに、前記印刷媒体加熱手段は、
印刷媒体のトナー画像形成面側を0.1MPa〜10MPaの押圧力で付勢するように構成する。
【0030】
上記の形態をとることにより、トナー層内のキャリア溶媒が絞り出され、印刷媒体へのキャリア溶媒浸透が促進される。
【0031】
さらに、前記印刷媒体加熱手段は、
トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加する。
【0032】
上記の形態をとることにより、未定着の転写トナー画像面側に、トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加することで、トナー画像中の残存キャリア溶媒の印刷媒体側への浸透を補助する。また、トナー粒子の印刷媒体加熱手段を構成する部材への付着を防止する。
【0033】
なお、前記印刷媒体加熱手段は、
印刷媒体のトナー画像形成面側に当接する面の表面粗さをJIS10点平均粗さ(Rz)をトナー体積平均粒径の10倍以下に設定することが望ましい。
【0034】
上記の形態をとることにより、印刷媒体上に転写されたトナー画像は、トナー粒子の輪郭を多少残した状態であり、印刷媒体加熱手段の押圧力により、トナー粒子自体を印刷媒体に押し当てる圧力が効果的となる。これにより、未定着トナー画像に密着した押圧力がかかり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透をより促進できる。
【0035】
【実施例】
この発明による代表的な実施例を図1ないし図5によって説明する。なお、以下において、同じ箇所は同一の符号を付してあり、詳細な説明を省略することがある。
【0036】
図1は本発明の実施例を示す。
【0037】
同図において、液体現像電子写真装置は、現像ユニットと、中間転写体などの画像支持体1と、キャリア除去ユニットと、定着ユニット3と、印刷媒体予熱手段10と、印刷媒体加熱手段11とを主な構成としている。
【0038】
現像ユニットは、画像支持体1に、イエロー/マゼンタ/シアン/ブラックに対応付けて設けられており、各現像ユニットには、それぞれ感光ドラム及び現像ローラが設けられている。現像ローラは、トナー溜まりから液体トナーを供給し、所定の電圧にバイアスされて、感光ドラムとの間の電界に従って、感光ドラム上の露光部分にトナーを付着させて、感光ドラム上の静電潜像を現像して画像を形成する。
【0039】
画像支持体1は、各感光ドラムとの間の電界に従って、感光ドラムに付着されたトナーを転写する。これによって、各感光ドラム上に現像された4色のトナー画像は、画像支持体1を1回転させる間に、順次画像支持体1上に重ね合わされて、カラー画像が形成される。このようにして順次画像支持体1上に重ね合わされた4色カラー画像は、キャリア液体が含まれており、キャリア除去ユニットにより、このキャリアオイルを除去する。
【0040】
その後、4色カラー画像は、搬送ローラ4で搬送される印刷媒体5との接触部において、バックアップローラ2を用いて、印刷媒体5に転写された後に、定着ユニット3を通して定着処理される。
【0041】
画像支持体1は、画像支持体表面温度をトナー固形分(顔料、色素を含むトナー粒子の樹脂成分)の軟化温度以上で溶融温度(融点)以下になるように加熱するヒータと、その温度を一定に保つコントローラが備えられる。コントローラは、画像支持体1の表面で温度センサにより検出された温度に基き、ヒータと直列に挿入された抵抗Rを制御するものとして例示している。
【0042】
印刷媒体予熱手段10は、搬送ローラ4から搬送される印刷媒体5を印刷媒体への転写工程の事前に、画像支持体1とバックアップローラ2とで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体5の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体5の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度(融点)以下となるように温度制御する。
【0043】
図2に示すように、印刷媒体予熱手段10は、例えば、反射板22を具備するハロゲンランプ21からなるハロゲンランプヒータによる輻射熱で印刷媒体5を非接触で加熱する機構を1つ以上備える。また、遠赤外線ヒータによる輻射熱で印刷媒体5を非接触で加熱する機構を1つ以上備えてもよい。また、加熱ローラや面状発熱体からなるヒートベルトを印刷媒体5に接触させて加熱する機構を1つ以上備えてもよい。
【0044】
印刷媒体加熱手段11は、印刷媒体5への転写工程から定着工程への間に、印刷媒体5の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)の範囲に保持するように温度制御する。
【0045】
図3に示すように、印刷媒体加熱手段11は、例えば、その熱源を、印刷媒体との接触部において印刷媒体の搬送方向に回転可能な加熱ローラ31とバックアップローラ32とからなり、印刷媒体5に接触させて加熱する機構を1つ以上備える。また、加熱ローラ31に変えて面状発熱体からなるヒートベルトを印刷媒体5に接触させて加熱する機構を1つ以上備えてもよい。また、前述の図2に示すように、ハロゲンランプヒータによる輻射熱で印刷媒体5を非接触で加熱する機構を1つ以上備える。また、遠赤外線ヒータによる輻射熱で印刷媒体5を非接触で加熱する機構を1つ以上備えてもよい。
【0046】
なお、図3に示すように、トナー画像に接触する加熱ローラ31の表面、またはヒートベルトの表面は、剥離性に優れたフッ素系、あるいはシリコーン系の樹脂やゴム材で被覆することが望ましい。
【0047】
また、図3に示すように、印刷媒体加熱手段11は、印刷媒体のトナー画像形成面側を0.1MPa〜10MPa(1kgf/cm2〜100kgf/cm2)の押圧力で付勢するように構成する。これは、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透を促す方法として、圧力を印加することも効果的だからである。
【0048】
また、図3に示すように、印刷媒体加熱手段11は、トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加する。図3に示す例では、トナー粒子が正帯電の場合に、加熱ローラ31にプラスのバイアス電圧を印加する例を示している。なお、バイアス電圧は、1KV以上の電圧が望ましく、両面印刷の場合の裏面は、一旦定着しているので、バイアス電圧の影響は無視できる。
【0049】
また、図3に示すように、印刷媒体加熱手段11は、印刷媒体のトナー画像形成面側に当接する加熱ローラ31の表面粗さは、JIS10点平均粗さ(Rz)をトナー体積平均粒径の10倍以下に設定する。なお、望ましくはトナー体積平均粒径レベルがよい。
【0050】
以上説明したように、揮発性または不揮発性のキャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成工程は、印刷媒体予熱工程と、転写工程と、印刷媒体加熱工程と、定着工程とを経ることで、印刷媒体へ画像を形成することになる。これにより、印刷媒体への転写工程以前に、残存キャリア溶媒量を低減することと、印刷媒体への転写後のトナー層内キャリア溶媒を印刷媒体へ吸われやすくする被吸液性とを両立するようにするものである。
【0051】
キャリア除去するポイントでの画像支持体表面温度(トナー層温度と等温)により、トナーからのキャリア溶媒の除去効率は大きく変わる。
画像支持体表面温度がトナー固形分の軟化温度以下の場合は、トナー層中のトナー固形分は粒子形状のままであり、キャリア溶媒除去は粒子が凝集・密接されることにより行われる。このため、トナー粒子間の隙間のキャリア溶媒は残る。トナー層中のトナー固形分比率は50%〜60%が限度である。
画像支持体表面温度がトナー固形分の軟化温度以上でトナー固形分の溶融温度(融点)以下の場合は、トナー層中のトナー固形分は粒子形状の輪郭は残しながら軟化し、トナー粒子間の隙間はかなり縮小している。トナー層中のトナー固形分比率は80%〜90%強まで向上することが可能である。
画像支持体表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以上の場合は、トナー層中のトナー固形分は溶融状態となり、トナー固形分は粒子の輪郭形状はほとんど認められないくらい合体した状態となる。トナー層中のトナー固形分比率は容易に90%以上となる。
【0052】
一方、転写後に印刷媒体へのキャリア溶媒の被吸液性はほぼ逆の傾向となる。
画像支持体表面温度がトナー固形分の軟化温度以下の場合は、トナー粒子間の隙間でキャリア溶媒の流路があり、容易に印刷媒体に吸液される。
画像支持体表面温度がトナー固形分の軟化温度以上でトナー固形分の溶融温度(融点)以下の場合は、キャリア溶媒の流路はやや狭くなるものの、印刷媒体に吸液される。
画像支持体表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以上の場合は、溶融トナー層中に残存しているキャリア溶媒は閉じ込められた状態となり、印刷媒体への吸液が阻害される。
その余剰キャリア液量と被吸液性との関係を模式的に図示すると図4のようになる。
このことから、印刷媒体への吸液によるトナー層中キャリア除去も考慮すると、転写工程までにトナー層は、トナー固形分が軟化状態(軟化温度以上〜溶融温度(融点)以下)であることが望ましい。
【0053】
さらに、キャリア溶媒の印刷媒体への吸液性は、トナー画像転写時または転写工程から定着工程までの間の印刷媒体温度を、比較的高温に維持するのが望ましい。これは、高温時の方がキャリア溶媒の液粘性が低くなり、多孔質体である例えば紙媒体(印刷媒体)への浸透速度が速いためである。
例えば、キャリア溶媒が不揮発性シリコーンオイルの場合は、
100℃でのオイル粘性は、室温25℃でのオイル粘性の約1/3倍となる。
150℃でのオイル粘性は、室温25℃でのオイル粘性の約1/5倍となる。
【0054】
上記のことから、印刷媒体への転写工程の事前に印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)を有する場合において、
印刷媒体の予熱温度がトナー固形分の軟化温度以下の場合は、画像支持体(中間転写体)上で軟化状態(軟化温度以上)に保持されたトナー層が、トナー層よりも低温(軟化温度以下)である印刷媒体に接触すると、トナー層中の残存キャリア溶媒の粘性が上昇し、印刷媒体への浸透速度が低下してしまう。また、トナー層中の軟化状態のトナー固形分は、急激に熱エネルギを奪われて固化し、粘着転写の効果が薄れてしまう。
印刷媒体の予熱温度がトナー固形分の軟化温度以上で、かつ転写ニップ部直後での印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以下の場合は、図5(a)に示すように、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透する。
転写ニップ部直後での印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以上の場合は、、図5(b)に示すように、トナー溶融層が形成されて、トナー溶融層によってトナー層から印刷媒体へのキャリア溶媒の移動を妨げることになってしまい、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透速度が低下してしまう。
【0055】
また、印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)を有する場合において、
印刷媒体をトナー固形分の軟化温度以下にして定着工程まで搬送した場合は、画像支持体(中間転写体)上で軟化状態(軟化温度以上)に保持されたトナー層が、トナー層よりも低温(軟化温度以下)である印刷媒体に接触すると、トナー層中の残存キャリア溶媒の粘性が上昇し、印刷媒体への浸透速度が低下してしまう。
印刷媒体をトナー固形分の軟化温度以上で、かつ印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以下に加熱保持して定着工程まで搬送した場合は、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透する。つまり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透性を維持する。
印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以上に加熱保持して定着工程まで搬送した場合は、印刷媒体との接触面近傍のトナー層が溶融一体化してしまい、トナー層から印刷媒体へのキャリア溶媒の移動を妨げることになってしまう。つまり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透速度が低下してしまう。また、用紙ガイド等の用紙走行系に接触部材がある場合は、溶融トナーが接触部材に粘着して付着する恐れがある。
【0056】
以上から、印刷媒体への転写工程の事前に印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)を有し、さらに、印刷媒体への転写過程から定着過程への間に印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)を有することにより、トナー画像中に残存するキャリア溶媒の被吸液性は良好となる。
【0057】
また、前記印刷媒体加熱手段が、印刷媒体のトナー画像形成面側を押圧する場合において、
印刷媒体加熱手段の押圧力が0.1MPa(1kgf/cm2)以下の場合は、印刷媒体へのキャリア溶媒浸透が促進されない。
印刷媒体加熱手段の押圧力が0.1MPa〜10MPa(1kgf/cm2〜100kgf/cm2)の場合は、トナー層内のキャリア溶媒が絞り出され、印刷媒体へのキャリア溶媒浸透が促進される。
印刷媒体加熱手段の押圧力が10MPa(100kgf/cm2)以上の場合は、印刷媒体との接触面近傍のトナー層が溶融一体化してしまい、トナー層から印刷媒体へのキャリア溶媒の移動を妨げることから、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透速度が低下してしまう。
【0058】
また、前記印刷媒体加熱手段がトナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加する場合において、液体現像剤のキャリア溶媒は、ほぼ絶縁性であり、高いバイアス電圧を印加した部材から遠ざかる性質(斥力作用)がある。また、定着工程前の印刷媒体上の転写トナー画像は、ある程度凝集一体化しているものの、固着した強度には及ばないため、転写トナー画像面側に接触する部材があると、トナー粒子が付着する恐れがある。
【0059】
従って、未定着の転写トナー画像面側に、トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加することで、トナー画像中の残存キャリア溶媒の印刷媒体側への浸透を補助する。また、トナー粒子が印刷媒体加熱手段を構成する部材へ付着することを防止する。
【0060】
また、前記印刷媒体加熱手段が印刷媒体のトナー画像形成面側に当接する面の表面粗さをJIS10点平均粗さ(Rz)をトナー体積平均粒径の10倍以下に設定する場合において、印刷媒体上に転写されたトナー画像は、トナー粒子の輪郭を多少残した状態であり、印刷媒体加熱手段の押圧力により、トナー粒子自体を印刷媒体に押し当てる圧力が効果的となる。これにより、未定着トナー画像に密着した押圧力がかかり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透をより促進できる。
【0061】
【発明の効果】
この発明により、以下に示すような効果が期待できる。
【0062】
印刷媒体への転写工程以前に、残存キャリア溶媒量を低減することと、印刷媒体への転写後のトナー層内キャリア溶媒を印刷媒体へ吸われやすくする被吸液性とを両立するようにすることができ、印刷媒体上の余剰キャリア溶媒による画像流れ、定着不良、定着ローラなど定着部材へのトナー移転(オフセット現象)を起こさないようにすることができる。
【0063】
すなわち、画像支持体では、画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)になるようにすることにより、トナー層中のトナー固形分は粒子形状の輪郭は残しながら軟化し、トナー粒子間の隙間はかなり縮小している。なお、トナー層中のトナー固形分比率は80%〜90%強まで向上することができる。
【0064】
また、印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)では、印刷媒体の予熱温度がトナー固形分の軟化温度以上で、かつ転写ニップ部直後での印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以下とすることにより、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透することができる。
【0065】
また、印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)では、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)に保持するようにすることにより、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透する。つまり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透性を維持することができる。
【0066】
以上より、印刷媒体への転写工程の事前に印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)を有し、さらに、印刷媒体への転写過程から定着過程への間に印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)を有することにより、トナー画像中に残存するキャリア溶媒の被吸液性は良好となる。
【0067】
さらに、前記印刷媒体加熱手段は、印刷媒体のトナー画像形成面側を0.1MPa〜10MPaの押圧力で付勢するように構成することにより、トナー層内のキャリア溶媒が絞り出され、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透を促進させることができる。
【0068】
さらに、前記印刷媒体加熱手段は、トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加することにより、未定着の転写トナー画像面側に、トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加することで、トナー画像中の残存キャリア溶媒の印刷媒体側への浸透を補助することができる。また、トナー粒子が印刷媒体加熱手段を構成する部材へ付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の図である。
【図2】本発明の実施例の図である。
【図3】本発明の実施例の図である。
【図4】転写時のトナー層中残存キャリア量と印刷媒体への吸液性を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例の説明模式図である。
【符号の説明】
1:画像支持体(中間転写体)
2:バックアップローラ
3:定着ユニット
10:印刷媒体予熱手段
11:印刷媒体加熱手段
21:ハロゲンランプ
22:反射板
31:加熱ローラ
32:バックアップローラ
【発明の属する技術分野】
この発明は、HVS(High Viscous Silicone-oil)トナーを含む揮発性または不揮発性キャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成方法及び液体現像電子写真装置に関し、印刷媒体上の余剰キャリア溶媒による画像流れ、定着不良、定着ローラなど定着部材へのトナー移転(オフセット現象)を起こさないために、余剰キャリア溶媒の印刷媒体への浸透を促進することを目的とした転写・定着の制御条件を実現する、液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成方法及び液体現像電子写真装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体現像におけるキャリア溶媒は、1μm前後であるトナー粒子の空中飛散防止の他に、粒子を帯電状態にさせ、均一分散状態にするという機能があり、現像や静電転写工程では、トナー粒子が電界作用で容易に電気泳動させる役割も担っている。
【0003】
液体現像電子写真プロセス中のキャリア溶媒は、トナー保存、トナー搬送、層形成、現像、静電転写までには必要な成分である。しかし、印刷媒体への定着工程以降には、キャリア溶媒は画質等の面から不要である。これらのことから、現在多くの液体現像剤(トナー)のキャリア溶媒には、揮発性の絶縁性溶媒が用いられている。しかし、溶媒揮発による装置内でのトナー固着や、揮発キャリアの人体への影響や環境問題から、不揮発性キャリア溶媒を用いる液体現像剤も開発されており、その一つがHVS(High Viscous Silicone-oil)トナーである。
【0004】
電子写真方式の画像形成における定着工程は、ヒートローラを用いる定着方式が一般的である。ヒートローラによる定着方式は、加熱制御されたヒートローラ対が付圧された際に形成するニップ幅に、転写工程でトナー画像が転移された印刷媒体を通すことにより、熱可塑性であるトナーを加熱・溶融するものである。このヒートローラによる定着ニップ部は、トナー画像に、溶融のための伝熱と、印刷媒体への密着・浸透のための加圧とを同時に行う。その結果として、印刷媒体との接着強度、樹脂強度といった最終的な画像強度を発現させる。
【0005】
ところで、揮発性又は不揮発性キャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置において、ヒートローラ対での定着工程時までに、揮発・浸透しきれなかったキャリア溶媒がトナー画像中に残っていた場合、定着ニップ部の圧力によってトナー画像がキャリア溶媒とともに流れたり、余剰キャリア溶媒が溶融状態になったトナー粒子の一体化や、印刷媒体表面への接着を阻害したりして定着不良となったりする。また、トナー粒子の結合不良により定着ローラの表面にトナー粒子が付着するオフセット現象が発生する恐れがある。
【0006】
特に、不揮発性キャリア溶媒では、常温及び加熱による揮発(気化)が全く期待できないため、より確実なキャリア除去手段を講じる必要がある。印刷媒体への転写工程以前に、キャリア溶媒を除去する様々な方式が提案されているが、キャリア溶媒を完全に除去するのは非常に困難であり、現実には多少のキャリア溶媒が残余している。
【0007】
このような定着工程での障害を防止するために、キャリア溶媒の印刷媒体への浸透を利用した方式が提案されている。例えば、キャリア溶媒の揮発と印刷媒体への浸透時間を稼ぐために、トナー画像を転写した後の印刷媒体を必要時間待機させてから定着させる。あるいは、トナー画像を転写した後の印刷媒体を必要時間要する搬送通路を介してから定着させる方式が知られている。
【0008】
また、印刷媒体の表面にキャリア溶媒を吸収する多孔質の液体吸収層を有する印刷媒体を使用するものも知られている。
【0009】
この様に、従来の技術では、印刷媒体の吸液性に着目したものが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記のごとく、従来の技術では次のような問題点がある。
【0011】
キャリア溶媒を印刷媒体へ浸透させるために印刷媒体を必要時間待機させる方式の場合は、印刷媒体の吸液性(例えば、塗工紙は吸液性が悪い)によって待機時間が大きく依存されるため、印刷速度が著しく低下する場合がある。また、印刷媒体表面に液体吸収層を設ける場合は、明らかにその装置固有の専用印刷媒体となり、根本的な解決策ではない。
【0012】
この発明の課題は、
HVS(High Viscous Silicone-oil)トナーを含む揮発性または不揮発性キャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成において、印刷媒体への転写工程以前に、画像支持体上のトナー層中の残存キャリア溶媒量低減と、転写工程以降のトナー層内キャリア溶媒の印刷媒体への吸収されやすさ(以下、被吸液性と呼ぶ)とを両立する方式を提案することにある。すなわち、本願では、印刷媒体に吸われやすい被吸液性の良いトナー状態にすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の問題点を解決するために、この発明では次に示す手段を取った。
【0014】
液体現像電子写真装置の画像支持体上でキャリア除去する際の画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度以上で溶融温度(融点)以下になるようにする。さらに、印刷媒体への画像形成工程に、印刷媒体への転写過程の事前に、画像支持体とバックアップローラとで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度(融点)以下となるようにする印刷媒体予熱過程と、
印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上で溶融温度(融点)以下に保持するようにする印刷媒体加熱過程とを備える。
【0015】
また、液体現像電子写真装置において、
画像支持体上でキャリア除去する際の画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)になるように温度制御された画像支持体と、
印刷媒体への転写過程の事前に、画像支持体とバックアップローラとで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度(融点)以下となるように温度制御する印刷媒体予熱手段と、
印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)に保持するように温度制御する印刷媒体加熱手段とを備える。
【0016】
上記の手段をとることにより、印刷媒体への転写工程以前に、残存キャリア溶媒量を低減することと、印刷媒体への転写後のトナー層内キャリア溶媒が印刷媒体へ吸われやすくする被吸液性とを両立することができ、印刷媒体上の余剰キャリア溶媒による画像流れ、定着不良、定着ローラなど定着部材へのトナー移転(オフセット現象)を起こさないようにする。
【0017】
すなわち、画像支持体では、トナー層中のトナー固形分は粒子形状の輪郭は残しながら軟化し、トナー粒子間の隙間はかなり縮小している。
【0018】
また、印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)では、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透するような温度範囲まで印刷媒体を加熱させる。
【0019】
また、印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)では、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透する。つまり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透性を維持する。
【0020】
これにより、印刷媒体への転写工程以前に、残存キャリア溶媒量を低減することと、印刷媒体への転写後のトナー層が印刷媒体へ吸われやすくする被吸液性とを両立する。
【0021】
【発明の実施の形態】
この発明は、次に示す実施の形態を取った。
【0022】
揮発性または不揮発性のキャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成方法において、
複数色毎にそれぞれ設けられた各現像手段により形成された各色画像を支持する画像支持体上でキャリア除去する際の画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度以上で溶融温度(融点)以下になるようにするとともに、
印刷媒体への転写過程の事前に、画像支持体とバックアップローラとで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度(融点)以下となるようにする印刷媒体予熱過程と、
印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上で溶融温度(融点)以下に保持するようにする印刷媒体加熱過程とを備える。
【0023】
また、揮発性または不揮発性のキャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置において、
複数色毎にそれぞれ設けられた各現像手段により形成された各色画像を支持する画像支持体上でキャリア除去する際の画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)になるように温度制御された画像支持体と、
印刷媒体への転写過程の事前に、画像支持体とバックアップローラとで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度(融点)以下となるように温度制御する印刷媒体予熱手段と、
印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)に保持するように温度制御する印刷媒体加熱手段とを備える。
【0024】
上記の形態をとることにより、印刷媒体への転写工程以前に、残存キャリア溶媒量を低減することと、印刷媒体への転写後のトナー層内キャリア溶媒を印刷媒体へ吸われやすくする被吸液性とを両立するようにする。
【0025】
すなわち、画像支持体では、画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)になるようにすることにより、トナー層中のトナー固形分は粒子形状の輪郭は残しながら軟化し、トナー粒子間の隙間はかなり縮小している。なお、トナー層中のトナー固形分比率は80%〜90%強まで向上することが可能である。
【0026】
また、印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)では、印刷媒体の予熱温度がトナー固形分の軟化温度以上で、かつ転写ニップ部直後での印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以下とすることにより、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透するようにする。
【0027】
また、印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)では、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)に保持するようにすることにより、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透する。つまり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透性を維持する。
【0028】
以上より、印刷媒体への転写工程の事前に印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)を有し、さらに、印刷媒体への転写過程から定着過程への間に印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)を有することにより、トナー画像中に残存するキャリア溶媒の被吸液性は良好となる。
【0029】
さらに、前記印刷媒体加熱手段は、
印刷媒体のトナー画像形成面側を0.1MPa〜10MPaの押圧力で付勢するように構成する。
【0030】
上記の形態をとることにより、トナー層内のキャリア溶媒が絞り出され、印刷媒体へのキャリア溶媒浸透が促進される。
【0031】
さらに、前記印刷媒体加熱手段は、
トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加する。
【0032】
上記の形態をとることにより、未定着の転写トナー画像面側に、トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加することで、トナー画像中の残存キャリア溶媒の印刷媒体側への浸透を補助する。また、トナー粒子の印刷媒体加熱手段を構成する部材への付着を防止する。
【0033】
なお、前記印刷媒体加熱手段は、
印刷媒体のトナー画像形成面側に当接する面の表面粗さをJIS10点平均粗さ(Rz)をトナー体積平均粒径の10倍以下に設定することが望ましい。
【0034】
上記の形態をとることにより、印刷媒体上に転写されたトナー画像は、トナー粒子の輪郭を多少残した状態であり、印刷媒体加熱手段の押圧力により、トナー粒子自体を印刷媒体に押し当てる圧力が効果的となる。これにより、未定着トナー画像に密着した押圧力がかかり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透をより促進できる。
【0035】
【実施例】
この発明による代表的な実施例を図1ないし図5によって説明する。なお、以下において、同じ箇所は同一の符号を付してあり、詳細な説明を省略することがある。
【0036】
図1は本発明の実施例を示す。
【0037】
同図において、液体現像電子写真装置は、現像ユニットと、中間転写体などの画像支持体1と、キャリア除去ユニットと、定着ユニット3と、印刷媒体予熱手段10と、印刷媒体加熱手段11とを主な構成としている。
【0038】
現像ユニットは、画像支持体1に、イエロー/マゼンタ/シアン/ブラックに対応付けて設けられており、各現像ユニットには、それぞれ感光ドラム及び現像ローラが設けられている。現像ローラは、トナー溜まりから液体トナーを供給し、所定の電圧にバイアスされて、感光ドラムとの間の電界に従って、感光ドラム上の露光部分にトナーを付着させて、感光ドラム上の静電潜像を現像して画像を形成する。
【0039】
画像支持体1は、各感光ドラムとの間の電界に従って、感光ドラムに付着されたトナーを転写する。これによって、各感光ドラム上に現像された4色のトナー画像は、画像支持体1を1回転させる間に、順次画像支持体1上に重ね合わされて、カラー画像が形成される。このようにして順次画像支持体1上に重ね合わされた4色カラー画像は、キャリア液体が含まれており、キャリア除去ユニットにより、このキャリアオイルを除去する。
【0040】
その後、4色カラー画像は、搬送ローラ4で搬送される印刷媒体5との接触部において、バックアップローラ2を用いて、印刷媒体5に転写された後に、定着ユニット3を通して定着処理される。
【0041】
画像支持体1は、画像支持体表面温度をトナー固形分(顔料、色素を含むトナー粒子の樹脂成分)の軟化温度以上で溶融温度(融点)以下になるように加熱するヒータと、その温度を一定に保つコントローラが備えられる。コントローラは、画像支持体1の表面で温度センサにより検出された温度に基き、ヒータと直列に挿入された抵抗Rを制御するものとして例示している。
【0042】
印刷媒体予熱手段10は、搬送ローラ4から搬送される印刷媒体5を印刷媒体への転写工程の事前に、画像支持体1とバックアップローラ2とで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体5の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体5の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度(融点)以下となるように温度制御する。
【0043】
図2に示すように、印刷媒体予熱手段10は、例えば、反射板22を具備するハロゲンランプ21からなるハロゲンランプヒータによる輻射熱で印刷媒体5を非接触で加熱する機構を1つ以上備える。また、遠赤外線ヒータによる輻射熱で印刷媒体5を非接触で加熱する機構を1つ以上備えてもよい。また、加熱ローラや面状発熱体からなるヒートベルトを印刷媒体5に接触させて加熱する機構を1つ以上備えてもよい。
【0044】
印刷媒体加熱手段11は、印刷媒体5への転写工程から定着工程への間に、印刷媒体5の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)の範囲に保持するように温度制御する。
【0045】
図3に示すように、印刷媒体加熱手段11は、例えば、その熱源を、印刷媒体との接触部において印刷媒体の搬送方向に回転可能な加熱ローラ31とバックアップローラ32とからなり、印刷媒体5に接触させて加熱する機構を1つ以上備える。また、加熱ローラ31に変えて面状発熱体からなるヒートベルトを印刷媒体5に接触させて加熱する機構を1つ以上備えてもよい。また、前述の図2に示すように、ハロゲンランプヒータによる輻射熱で印刷媒体5を非接触で加熱する機構を1つ以上備える。また、遠赤外線ヒータによる輻射熱で印刷媒体5を非接触で加熱する機構を1つ以上備えてもよい。
【0046】
なお、図3に示すように、トナー画像に接触する加熱ローラ31の表面、またはヒートベルトの表面は、剥離性に優れたフッ素系、あるいはシリコーン系の樹脂やゴム材で被覆することが望ましい。
【0047】
また、図3に示すように、印刷媒体加熱手段11は、印刷媒体のトナー画像形成面側を0.1MPa〜10MPa(1kgf/cm2〜100kgf/cm2)の押圧力で付勢するように構成する。これは、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透を促す方法として、圧力を印加することも効果的だからである。
【0048】
また、図3に示すように、印刷媒体加熱手段11は、トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加する。図3に示す例では、トナー粒子が正帯電の場合に、加熱ローラ31にプラスのバイアス電圧を印加する例を示している。なお、バイアス電圧は、1KV以上の電圧が望ましく、両面印刷の場合の裏面は、一旦定着しているので、バイアス電圧の影響は無視できる。
【0049】
また、図3に示すように、印刷媒体加熱手段11は、印刷媒体のトナー画像形成面側に当接する加熱ローラ31の表面粗さは、JIS10点平均粗さ(Rz)をトナー体積平均粒径の10倍以下に設定する。なお、望ましくはトナー体積平均粒径レベルがよい。
【0050】
以上説明したように、揮発性または不揮発性のキャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成工程は、印刷媒体予熱工程と、転写工程と、印刷媒体加熱工程と、定着工程とを経ることで、印刷媒体へ画像を形成することになる。これにより、印刷媒体への転写工程以前に、残存キャリア溶媒量を低減することと、印刷媒体への転写後のトナー層内キャリア溶媒を印刷媒体へ吸われやすくする被吸液性とを両立するようにするものである。
【0051】
キャリア除去するポイントでの画像支持体表面温度(トナー層温度と等温)により、トナーからのキャリア溶媒の除去効率は大きく変わる。
画像支持体表面温度がトナー固形分の軟化温度以下の場合は、トナー層中のトナー固形分は粒子形状のままであり、キャリア溶媒除去は粒子が凝集・密接されることにより行われる。このため、トナー粒子間の隙間のキャリア溶媒は残る。トナー層中のトナー固形分比率は50%〜60%が限度である。
画像支持体表面温度がトナー固形分の軟化温度以上でトナー固形分の溶融温度(融点)以下の場合は、トナー層中のトナー固形分は粒子形状の輪郭は残しながら軟化し、トナー粒子間の隙間はかなり縮小している。トナー層中のトナー固形分比率は80%〜90%強まで向上することが可能である。
画像支持体表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以上の場合は、トナー層中のトナー固形分は溶融状態となり、トナー固形分は粒子の輪郭形状はほとんど認められないくらい合体した状態となる。トナー層中のトナー固形分比率は容易に90%以上となる。
【0052】
一方、転写後に印刷媒体へのキャリア溶媒の被吸液性はほぼ逆の傾向となる。
画像支持体表面温度がトナー固形分の軟化温度以下の場合は、トナー粒子間の隙間でキャリア溶媒の流路があり、容易に印刷媒体に吸液される。
画像支持体表面温度がトナー固形分の軟化温度以上でトナー固形分の溶融温度(融点)以下の場合は、キャリア溶媒の流路はやや狭くなるものの、印刷媒体に吸液される。
画像支持体表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以上の場合は、溶融トナー層中に残存しているキャリア溶媒は閉じ込められた状態となり、印刷媒体への吸液が阻害される。
その余剰キャリア液量と被吸液性との関係を模式的に図示すると図4のようになる。
このことから、印刷媒体への吸液によるトナー層中キャリア除去も考慮すると、転写工程までにトナー層は、トナー固形分が軟化状態(軟化温度以上〜溶融温度(融点)以下)であることが望ましい。
【0053】
さらに、キャリア溶媒の印刷媒体への吸液性は、トナー画像転写時または転写工程から定着工程までの間の印刷媒体温度を、比較的高温に維持するのが望ましい。これは、高温時の方がキャリア溶媒の液粘性が低くなり、多孔質体である例えば紙媒体(印刷媒体)への浸透速度が速いためである。
例えば、キャリア溶媒が不揮発性シリコーンオイルの場合は、
100℃でのオイル粘性は、室温25℃でのオイル粘性の約1/3倍となる。
150℃でのオイル粘性は、室温25℃でのオイル粘性の約1/5倍となる。
【0054】
上記のことから、印刷媒体への転写工程の事前に印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)を有する場合において、
印刷媒体の予熱温度がトナー固形分の軟化温度以下の場合は、画像支持体(中間転写体)上で軟化状態(軟化温度以上)に保持されたトナー層が、トナー層よりも低温(軟化温度以下)である印刷媒体に接触すると、トナー層中の残存キャリア溶媒の粘性が上昇し、印刷媒体への浸透速度が低下してしまう。また、トナー層中の軟化状態のトナー固形分は、急激に熱エネルギを奪われて固化し、粘着転写の効果が薄れてしまう。
印刷媒体の予熱温度がトナー固形分の軟化温度以上で、かつ転写ニップ部直後での印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以下の場合は、図5(a)に示すように、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透する。
転写ニップ部直後での印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以上の場合は、、図5(b)に示すように、トナー溶融層が形成されて、トナー溶融層によってトナー層から印刷媒体へのキャリア溶媒の移動を妨げることになってしまい、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透速度が低下してしまう。
【0055】
また、印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)を有する場合において、
印刷媒体をトナー固形分の軟化温度以下にして定着工程まで搬送した場合は、画像支持体(中間転写体)上で軟化状態(軟化温度以上)に保持されたトナー層が、トナー層よりも低温(軟化温度以下)である印刷媒体に接触すると、トナー層中の残存キャリア溶媒の粘性が上昇し、印刷媒体への浸透速度が低下してしまう。
印刷媒体をトナー固形分の軟化温度以上で、かつ印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以下に加熱保持して定着工程まで搬送した場合は、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透する。つまり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透性を維持する。
印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以上に加熱保持して定着工程まで搬送した場合は、印刷媒体との接触面近傍のトナー層が溶融一体化してしまい、トナー層から印刷媒体へのキャリア溶媒の移動を妨げることになってしまう。つまり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透速度が低下してしまう。また、用紙ガイド等の用紙走行系に接触部材がある場合は、溶融トナーが接触部材に粘着して付着する恐れがある。
【0056】
以上から、印刷媒体への転写工程の事前に印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)を有し、さらに、印刷媒体への転写過程から定着過程への間に印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)を有することにより、トナー画像中に残存するキャリア溶媒の被吸液性は良好となる。
【0057】
また、前記印刷媒体加熱手段が、印刷媒体のトナー画像形成面側を押圧する場合において、
印刷媒体加熱手段の押圧力が0.1MPa(1kgf/cm2)以下の場合は、印刷媒体へのキャリア溶媒浸透が促進されない。
印刷媒体加熱手段の押圧力が0.1MPa〜10MPa(1kgf/cm2〜100kgf/cm2)の場合は、トナー層内のキャリア溶媒が絞り出され、印刷媒体へのキャリア溶媒浸透が促進される。
印刷媒体加熱手段の押圧力が10MPa(100kgf/cm2)以上の場合は、印刷媒体との接触面近傍のトナー層が溶融一体化してしまい、トナー層から印刷媒体へのキャリア溶媒の移動を妨げることから、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透速度が低下してしまう。
【0058】
また、前記印刷媒体加熱手段がトナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加する場合において、液体現像剤のキャリア溶媒は、ほぼ絶縁性であり、高いバイアス電圧を印加した部材から遠ざかる性質(斥力作用)がある。また、定着工程前の印刷媒体上の転写トナー画像は、ある程度凝集一体化しているものの、固着した強度には及ばないため、転写トナー画像面側に接触する部材があると、トナー粒子が付着する恐れがある。
【0059】
従って、未定着の転写トナー画像面側に、トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加することで、トナー画像中の残存キャリア溶媒の印刷媒体側への浸透を補助する。また、トナー粒子が印刷媒体加熱手段を構成する部材へ付着することを防止する。
【0060】
また、前記印刷媒体加熱手段が印刷媒体のトナー画像形成面側に当接する面の表面粗さをJIS10点平均粗さ(Rz)をトナー体積平均粒径の10倍以下に設定する場合において、印刷媒体上に転写されたトナー画像は、トナー粒子の輪郭を多少残した状態であり、印刷媒体加熱手段の押圧力により、トナー粒子自体を印刷媒体に押し当てる圧力が効果的となる。これにより、未定着トナー画像に密着した押圧力がかかり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透をより促進できる。
【0061】
【発明の効果】
この発明により、以下に示すような効果が期待できる。
【0062】
印刷媒体への転写工程以前に、残存キャリア溶媒量を低減することと、印刷媒体への転写後のトナー層内キャリア溶媒を印刷媒体へ吸われやすくする被吸液性とを両立するようにすることができ、印刷媒体上の余剰キャリア溶媒による画像流れ、定着不良、定着ローラなど定着部材へのトナー移転(オフセット現象)を起こさないようにすることができる。
【0063】
すなわち、画像支持体では、画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)になるようにすることにより、トナー層中のトナー固形分は粒子形状の輪郭は残しながら軟化し、トナー粒子間の隙間はかなり縮小している。なお、トナー層中のトナー固形分比率は80%〜90%強まで向上することができる。
【0064】
また、印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)では、印刷媒体の予熱温度がトナー固形分の軟化温度以上で、かつ転写ニップ部直後での印刷媒体の画像形成面側の表面温度がトナー固形分の溶融温度(融点)以下とすることにより、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透することができる。
【0065】
また、印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)では、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度(融点)に保持するようにすることにより、トナー層中のキャリア溶媒が印刷媒体へ速やかに浸透する。つまり、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透性を維持することができる。
【0066】
以上より、印刷媒体への転写工程の事前に印刷媒体予熱過程(印刷媒体予熱手段)を有し、さらに、印刷媒体への転写過程から定着過程への間に印刷媒体加熱過程(印刷媒体加熱手段)を有することにより、トナー画像中に残存するキャリア溶媒の被吸液性は良好となる。
【0067】
さらに、前記印刷媒体加熱手段は、印刷媒体のトナー画像形成面側を0.1MPa〜10MPaの押圧力で付勢するように構成することにより、トナー層内のキャリア溶媒が絞り出され、印刷媒体へのキャリア溶媒の浸透を促進させることができる。
【0068】
さらに、前記印刷媒体加熱手段は、トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加することにより、未定着の転写トナー画像面側に、トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加することで、トナー画像中の残存キャリア溶媒の印刷媒体側への浸透を補助することができる。また、トナー粒子が印刷媒体加熱手段を構成する部材へ付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の図である。
【図2】本発明の実施例の図である。
【図3】本発明の実施例の図である。
【図4】転写時のトナー層中残存キャリア量と印刷媒体への吸液性を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例の説明模式図である。
【符号の説明】
1:画像支持体(中間転写体)
2:バックアップローラ
3:定着ユニット
10:印刷媒体予熱手段
11:印刷媒体加熱手段
21:ハロゲンランプ
22:反射板
31:加熱ローラ
32:バックアップローラ
Claims (4)
- 揮発性または不揮発性のキャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成方法において、
複数色毎にそれぞれ設けられた各現像手段により形成された各色画像を支持する画像支持体上でキャリア除去する際の画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度以上で溶融温度以下になるようにするとともに、
印刷媒体への転写過程の事前に、画像支持体とバックアップローラとで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度以下となるようにする印刷媒体予熱過程と、
印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上で溶融温度以下に保持するようにする印刷媒体加熱過程とを備える、
ことを特徴とする液体現像電子写真装置の印刷媒体への画像形成方法。 - 揮発性または不揮発性のキャリア溶媒を用いた液体現像電子写真装置において、
複数色毎にそれぞれ設けられた各現像手段により形成された各色画像を支持する画像支持体上でキャリア除去する際の画像支持体表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度になるように温度制御された画像支持体と、
印刷媒体への転写過程の事前に、画像支持体とバックアップローラとで形成する転写ニップ部へ搬送直前の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度以上にし、前記転写ニップ部から搬送直後の状態にある印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の溶融温度以下となるように温度制御する印刷媒体予熱手段と、
印刷媒体への転写過程から定着過程への間に、印刷媒体の少なくともトナー画像形成面側の表面温度をトナー固形分の軟化温度〜溶融温度に保持するように温度制御する印刷媒体加熱手段とを備える、
ことを特徴とする液体現像電子写真装置。 - 前記印刷媒体加熱手段は、
印刷媒体のトナー画像形成面側を0.1MPa〜10MPaの押圧力で付勢するように構成する、
ことを特徴とする請求項2記載の液体現像電子写真装置。 - 前記印刷媒体加熱手段は、
トナー粒子の帯電特性と同極性のバイアス電圧を印加する、
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載の液体現像電子写真装置。
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