JP3980256B2 - 容器用ポリエチレン樹脂 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸飲料等の液体などを収容する容器、即ち、その容器本体及び又は蓋に用いられるポリエチレン樹脂に関し、さらに詳しくは成形性、高流動性、臭い、耐衝撃性、滑り性、食品安全性に優れ、かつ充填内容物等に起因して生じる容器内圧に耐え得る耐ストレスクラック性を有し、かつ高剛性化により加熱充填にも耐えうる耐熱性をも有するので、種々の充填方法でも充填可能とする容器用ポリエチレン樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、清涼飲料水、炭酸飲料水等の容器としては、容器本体としてポリエチレンテレフタレート(PET)製のものが、その蓋(キャップ)としてアルミニウム金属製のものが広く用いられている。通常、蓋は容器口部に螺合等の係止手段で係止される。
近年、リサイクル性等の環境保全の観点から蓋にポリオレフィンの適用が検討されている。しかも、ポリオレフィンであると、軽量化、低価格化を図れる他、臭いやブリードアウトも殆どなく、飲食品用の容器として適している。
その際、ポリオレフィンの中でも、特に炭酸飲料水用のキャップとしては、ポリエチレンは容器内圧によりストレスクラックが発生するおそれがあるので、ポリプロピレンが用いられることが多い。また、飲料水等内容物によっては加熱充填する場合、加熱内容物の熱によりポリエチレンが軟化する恐れがあるので、このような点からも耐熱性及び剛性の高いポリプロピレンが使われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし近年、成形サイクルを短縮して、生産効率を上げるという要求が高くなっている。そこで、高流動性のポリオレフィンにて射出成形または圧縮成形を行う試みがなされるようになり、ポリエチレンが、ポリプロピレンに比べて融点が低いため、成形サイクルを短縮できる点で見直されるようになった。また、ポリプロピレン製の蓋は滑り性が悪く開栓トルクが大きくなってしまうが、ポリエチレン製の蓋は、キャップ開閉時の滑り性も良好であるという利点もある。
しかし、炭酸飲料容器の蓋用については、上述したように、その容器内の圧力によりポリエチレン製キャップではストレスクラック等の問題がある。
また、経済上の理由からキャップの肉厚を薄くすることも要求される一方、内圧による変形でシール部からの炭酸ガスの漏れを防止すべくより高い剛性をも求められており、これらの要求を満たすポリエチレン樹脂製の容器蓋は未だ実現されていない。
【0004】
耐ストレスクラック性、耐衝撃性等を向上したポリエチレン樹脂として、例えば2種類のポリエチレンをブレンドすることにより、コンテナ、ボトル、フィルム等に適用させたものが知られている。しかしながら、それらのポリエチレン樹脂でも、高速成形に対応し得る高流動性、炭酸飲料容器の内圧に耐え得る剛性を共に満足するものはなく、炭酸飲料用のキャップには使用されていない。
また、近年の高速成形機による、成形サイクル向上を考えた場合の流動性を重視したポリエチレン樹脂は、耐ストレスクラック性が劣るものである。また、剛性を重視した高密度のポリエチレンでも耐ストレスクラック性は劣る。例えば特開昭58−103542号公報に記載されたポリエチレン樹脂では、耐ストレスクラック性を保持しながら、高サイクル成形および高剛性を図ることは困難である。従って、炭酸飲料用キャップには、ポリエチレン樹脂が使用されていないのが現状である。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、炭酸飲料等用の容器にも適用できるように、耐熱性、剛性、成形性、耐ストレスクラック性等を高次元で兼ね備えたポリエチレン樹脂を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の容器本体又は蓋用ポリエチレン樹脂は、JIS−K6760で測定された荷重21.6kgにおけるHLMFRが0.1〜2.0g/10min、密度が0.930g/cm以下のポリエチレン樹脂(A)を10重量%以上且つ30重量%未満と、
JIS−K6760で測定された荷重21.6kgにおけるMFRが200g/10min以上、密度が0.960g/cm以上のポリエチレン樹脂(B)を70重量%より多く且つ90重量%以下とを有する組成物であって、
直列に接続した2基の重合器で順次連続的に重合して得られ、始めの重合域は低分子量成分(B)を重合し、得られた樹脂を次の重合域に移送し、当該次の重合域では高分子量成分(A)を重合して調製される、
次の(a)から(d)の要件を満足するものである。
(a)荷重2.16kgにおけるMFRが0.5〜5g/10min
(b)荷重21.6kgにおけるHLMFRが180g/10min以上
(c)HLMFR/MFRが80以上
(d)高温GPC溶出分の分子量2×10〜1×10に相当する成分の短鎖分岐数BHと、分子量4×10〜1.4×10に相当する成分の短鎖分岐数BLとの比BH/BLが2以上。
さらに下記要件(e)〜(h)を満足することが望ましい。
(e)密度が0.955g/cm以上
(f)射出成形試料の曲げ弾性率が13000kgf/cm以上
(g)射出成形試料の耐定ひずみストレスクラック性が40時間以上
(h)キャピラリーレオメーターにおいて、200℃測定時、剪断速度200sec−1での溶融粘度が4000poise以下。
本発明のポリエチレン樹脂においては、チタン系触媒成分および有機アルミニウム化合物を用いるチーグラー系触媒により段で重合し、始めの重合域では、エチレンおよび水素を導入して高MFRで高密度なポリエチレン樹脂(B)を連続的に製造し、始めの重合域から抜き出された重合物はその後適宜に水素を脱圧された後、引き続いて後の重合域に移送され、当該後の重合域ではエチレンおよびα−オレフィンを導入することにより低いHLMFRで低密度なポリエチレン(A)を製造することにより調整されることが望ましい。
本発明の容器本体又は蓋は、上記ポリエチレン樹脂からなることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係るポリエチレン樹脂は、チーグラー触媒;フィリップス触媒;メタロセン触媒等のシングルサイト触媒等の各種触媒で重合されるエチレン単独あるいはエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンから選ばれる1種またはそれ以上のコモノマーとの共重合体である。α−オレフィンの代表例としては例えばプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1ペンテン等が挙げられる。
【0008】
(a) 本発明のポリエチレン樹脂は、荷重2.16kgにおけるMFRが0.5〜5g/10minであることが必要である。好ましくは1〜4g/10minの範囲である。
(b)また荷重21.6kgにおけるHLMFRは180g/10min以上であることが必要である。HLMFRは好ましくは200〜380g/10minである。
MFRが0.5〜5g/10minの範囲であってもHLMFRが180g/10min未満であれば高速成形性が劣る。また、MFRが5g/10minを超えれば、HLMFRが180g/10min以上であっても、耐ストレスクラック性が劣る。MFRが、0.5g/10min未満ではHLMFRが180g/10min以上を達成することは困難であり、当然ながら高速成形性が劣る。
(c)さらに、HLMFR/MFRの比の値は80以上である。 HLMFR/MFRの比率を80以上とすることにより、高速成形性(流動性)と耐ストレスクラック性のバランスを向上させることができる。HLMFR/MFRの比の上限値は特に制限されない。通常は、1000以下である。
【0009】
(d)また本発明のポリエチレン樹脂では、高温GPC溶出分の分子量2×106〜1×107に相当する成分の短鎖分岐数BHと、分子量4×104〜1.4×105に相当する成分の短鎖分岐数BLとの比BH/BLが2以上であることを必須とする。BH/BLを2以上とすることにより高い剛性が得られ、剛性と耐ストレスクラック性とのバランスを向上させることができる。短鎖分岐数の比BH/BLの上限値は特に制限されない。通常は100以下である。
この短鎖分岐数の比BH/BLは以下のようにして求めることができる。
すなわち、高温GPC(ポリマーラボラトリーズ社製「形式PL−GPC220」)の溶出物出口にLab Connection社製「LC-Transform 320型採取機」を接続する。高温GPCの測定はポリエチレンの一般的な条件(カラム:PSゲル、温度:140℃、試料:10〜20mg/溶媒10ml)で行う。試料ポリエチレンを高温GPC(溶媒:ODCB(オルソジクロロベンゼン))にかけ、それからの溶出物を上記採取機により直径60mmのゲルマニウムディスク上に採取する。この操作により、試料のポリマーはディスク上外周部に分子量にしたがって分別され堆積する。次に、ディスク上の各位置におけるポリマーのIRスペクトルを専用のアタッチメントを用いて測定する。このとき、ディスク上の位置は溶出時間により決まるので、予め測定された検量線を用いて希望の分子量のものが堆積された位置を知ることができる。そこで、分子量2×106〜1×107および分子量4×104〜1.4×105のものが堆積した位置を知り、その位置におけるIRスペクトルを測定する。
分子量2×106〜1×107および分子量4×104〜1.4×105に相当する成分のIRスペクトルからBHおよびBLを計算する方法は以下の通りである。
縦軸を吸光度としたIRスペクトルにおいて、まず3000〜2750cm-1にベースラインを引き、2925cm-1を主ピークとするC‐Hの伸縮振動によるこの範囲の吸収ピークの面積A2925を計算する。A2925は堆積されたポリマーの量に比例する。次に、1340〜1400cm-1付近の吸収ピークから、1368cm-1のピーク(ポリマー主鎖のメチレンの振動吸収に対応する)を除いて、1378cm-1のピーク(分岐に対応する)のみを検出するために、別途測定した基準試料の直鎖エチレンホモポリマーのIRスペクトルに適当な係数を乗じて試料のIRスペクトルに重ね合わせて試料スペクトルからの差算を行い、得られた差スペクトルの1378cm-1のピークの面積A1378を計算する。A1378は堆積されたポリマー中の短鎖分岐末端のメチル基の量に比例する。A1378/A2925を計算し、これに予め測定した検量線から求めた係数を乗ずることにより、ポリマーの短鎖分岐数を知ることができる。
【0010】
(e)さらに、本発明のポリエチレン樹脂にあっては、次の(e)から(h)の要件をも満足することが望ましい。
すなわち、(e)その密度が0.955g/cm3以上、好ましくは0.957g/cm3以上であることが望ましい。密度の上限値としては、0.980g/cm3以下であることが好ましい。密度を0.955g/cm3以上とすることにより、剛性が向上し、容器の内圧によりキャップが変形しにくくなる。また、加熱充填に対する耐熱性も向上する。
(f)ポリエチレン樹脂は射出成形により成形した試料の曲げ弾性率が13000kgf/cm2以上であることが望ましい。より望ましくは14000kgf/cm2以上である。曲げ弾性率が13000kgf/cm2以上となることで剛性が高く、容器の内圧によりキャップが変形しにくくなる。曲げ弾性率の上限値は特に制限されない。通常は20000kgf/cm2以下である。
本発明における曲げ弾性率測定用の射出成形試料とは射出成形にて210℃で6.4×12.4×127mmの試験片を作製したもので、JIS−K7203準拠にて行なうものである。
【0011】
(g)ポリエチレン樹脂の耐定ひずみストレスクラック性(ESCR)は40時間以上であることが望ましい。これは一定ひずみ下での耐ストレスクラック性であり、具体的にはJIS−K6760に従うものである。射出成形試料とは210℃にて射出成形された130×130×2mmの寸法の板から切り出したものである。
(h)ポリエチレン樹脂は、キャピラリーレオメーターにおいて、200℃測定時、剪断速度200sec-1の溶融粘度が4000poise以下、好ましくは3500poise以下であることが望ましい。本発明においてはインテスコ社製キャピラリーレオメーターを用い、径1.0mm,L/D=20のキャピラリーを用い、200℃の温度にて測定し、剪断速度200sec-1での粘度をここで述べる溶融粘度とする。この溶融粘度を4000poise以下とすることにより、ショートショットが生じにくくなって高速射出成形性が向上し、また、延展性が向上するので圧縮成形に好適なものとなる。剪断速度200sec-1の溶融粘度の下限値は特に制限されない。通常は、500poise以上である。
【0012】
本発明のポリエチレン樹脂は、単一のポリエチレン樹脂であることもできるが、複数、たとえば二種類の物性を有するポリエチレン樹脂からなるものとして構成することができる。
すなわち、後述する成分(A)としてのポリエチレン樹脂を10重量%以上且つ30重量%未満、好ましくは20重量%以上且つ30重量%未満、および成分(B)としてのポリエチレン樹脂を70重量%より多く且つ90重量%以下、好ましくは70重量%より多く且つ80重量%以下からなるものであることができる。
ここで、成分(A)としてのポリエチレン樹脂を10重量%以上とすることにより耐ストレスクラック性が向上し、30重量%未満とすることにより成形性が向上する。
成分(A)としてのポリエチレン樹脂は、HLMFRが0.1〜2g/10min、好ましくは0.2〜1g/10min、密度が0.930g/cm3以下のポリエチレン樹脂であり、成分(B)としてのポリエチレン樹脂はMFRが200g/10min以上、密度が0.960g/cm3以上のポリエチレン樹脂である。
ここで成分(A)としてのポリエチレン樹脂のHLMFRが0.1g/10min未満の場合は流動性が悪化し成形性が不良となったり、2.0g/10minを超える場合は耐ストレスクラック性が悪化したりする虞がある。さらに成分(A)としてのポリエチレン樹脂の密度が0.930g/cm3を超える場合は耐ストレスクラック性が悪くなる虞がある。成分(A)としてのポリエチレン樹脂の密度の下限値は特に制限されない。通常は、0.880g/cm3以上である。
また、成分(B)としてのポリエチレン樹脂のMFRが200g/10min未満の場合は流動性が悪化したり、密度が0.960g/cm3未満の場合は剛性が低下する虞がある。成分(B)としてのポリエチレン樹脂のMFRの上限値は特に制限されない。通常は2000g/10min以下である。また成分(B)としてのポリエチレン樹脂の密度の上限値は特に制限されない。通常は、0.980g/cm3以下である。
【0013】
成分(A)および成分(B)のポリエチレン樹脂を別個にそれぞれ重合し、それをブレンドすることにより本発明のポリエチレン樹脂とすることができる。好ましくは、樹脂の均一性等の理由から直列に接続した複数の重合器、たとえば2基の重合器で順次連続的に重合して得られるものが望ましい。重合触媒は、前記した遷移金属触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチーグラー触媒;フィリップス触媒;メタロセン触媒等のシングルサイト触媒等の各種触媒である。重合は、有機溶媒中または気相で行うことができる。
ここで直列に接続した複数の重合器で順次連続して重合する、いわゆる多段重合においては、具体的には種々の方法を採用し得る。たとえば、一段目において、エチレン或いはさらにα−オレフィンを(共)重合させて高分子量成分の基となるポリエチレン樹脂を製造し、引き続き重合系にエチレンおよび水素を導入して、高分子量成分と低分子量成分とを含むポリエチレン樹脂を調製する方法などがある。
しかしながら、本発明のポリエチレン樹脂は上記多段重合によって製造することは必ずしも容易ではない。好ましい方法としては、始めの重合域は低分子量成分を製造する製造条件を採用して重合し、得られた樹脂を次の重合域に移送し、当該次の重合域では高分子量成分を製造する製造条件を採用して重合しポリエチレン樹脂を調製する方法が好ましい。また密度は後の重合域で製造される樹脂の密度が低くなるよう製造条件を設定する。すなわち、共重合が始めの重合域よりも後の重合域で起るように、α−オレフィンの供給量等を各段の間で調整する。より詳しく述べれば、チタン系触媒成分および有機アルミニウム化合物を用いるチーグラー系触媒により複数段で重合する場合、始めの重合域(2段重合の1段目)では、エチレンおよび水素を導入してチーグラー触媒により重合させることにより高MFRで高密度なポリエチレン樹脂を連続的に製造し、始めの重合域から抜き出された重合物はその後適宜に水素を脱圧された後、引き続いて後の重合域(2段重合の2段目)に移送され、当該後の重合域ではエチレンおよびα−オレフィンを導入することにより低いHLMFRで低密度なポリエチレンを製造する製造条件を採用して重合させる方法である。
【0014】
上記本発明のポリエチレン樹脂には本発明の効果を著しく損なわない範囲で添加剤、充填剤等を添加しても良い。添加剤として、例えば酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系)、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を1種または2種以上適宜に併用することができる。充填剤としては、例えばタルク、マイカ等が使用できる。
上記樹脂は先に説明したとおり、連続的に多段重合で重合して得られポリエチレン樹脂とすることができ、特に上記成分(B)を先に重合後、成分(A)を重合することが好ましい。なお多段重合による場合、2段目以降の重合域で生成するポリエチレンの量とその物性については、各段における樹脂生産量(未反応ガス分析、その外の分析手段により把握することができる)を求め、樹脂の物性は各段の後でそれぞれ抜き出した樹脂の物性を測定し、物性の加成性から換算して求めることができる。
また、もちろん別々に重合した後ブレンドして得ることも可能である。またいずれの場合でも必要に応じ各種添加剤を配合し、混練押出機、バンバリーミキサー等により混練し、容易に成形用材料とすることができる。
【0015】
本発明に係るポリエチレン樹脂は、容器の容器本体または蓋用であり、特に蓋への適用に適しているものである。特に炭酸飲料等の容器内部に内圧がかかる容器や水飲料等の内容物を加熱充填する必要がある容器の容器本体または蓋、特にそのような容器の蓋に好ましく適用される。
蓋の成形法としては、特に限定されず周知の種々の樹脂成形法を適用できる。しかしながら中でも、射出成形、圧縮成形等が最も好ましく用いられる。蓋を本発明のポリエチレン樹脂により構成する場合、容器本体の樹脂はいずれの樹脂でも構成することができる。たとえば、PETやポリピロピレン等の樹脂を採用することができる。もちろん、容器内容物により本発明のポリエチレン樹脂とすることができる。
本発明が適用される容器本体又は蓋は、通常一般に樹脂製の容器として使われるものであればよい。中でも、飲料用、特に炭酸飲料用容器のときに、その効果が顕著なものとなる。
【0016】
【実施例】
下記実施例、比較例でのポリエチレン樹脂の物性測定法は以下の通りである。
・MFR:JIS−K6760
・密度 :JIS−K6760
・曲げ弾性率:JIS−K7203
・定ひずみストレスクラック性(ESCR):JIS−K6760
・溶融粘度:キャピラリーレオメーター(インテスコ社製)および径1.0mm,L/D=20のキャピラリーを用い、200℃の温度にて測定し、剪断速度200sec-1での粘度を測定し、これを溶融粘度とする。
・ビカット軟化点:JIS−K6760。125℃以上であれば、容器として耐熱性が良好と判断できる。
・成形性:高速で蓋を射出成形し、高速成形性を評価した。成形性が良好なものを○、不良なものを×で示した。
射出成形試料作成条件:
成形機;ファナック社製「ファナック100B」
成形温度;230℃
射出速度;35mm/sec
保圧;400kg/cm2
冷却温度;40℃
冷却時間;20sec
・持続耐圧試験:PET瓶に炭酸飲料をいれ、各実施例等のポリエチレン樹脂で成形したキャップで閉栓し、50℃にて1ヶ月放置後に、キャップにおけるクラックの有無を調べ、ないものを○、あったものを×で示した。
【0017】
[実施例1]
チーグラー触媒を用いてコモノマーとしてブテン−1を用いスラリー重合法により連続的に2段重合で、表1に示したように、成分(B)を重合後、成分(A)を重合して樹脂を得た。その配合比、樹脂のMFR、HLMFRとともに各測定値も併せて示した。
第1段目にはモノマーとしてはエチレンのみを供給し、第2段目にはモノマーとしてはエチレンおよびブテン−1を供給することにより重合した。2段目で製造される成分(A)のポリエチレン樹脂の量(配合比)、その物性等は、各段の後の未反応ガス分析から各段の生産量をそれぞれ求め、さらに1段目の後と2段目の後で得られた樹脂の物性をそれぞれ測定し、加成性から換算して求めた。
実施例1のポリエチレン樹脂は、その短鎖分岐数の比BH/BLは2.5と高かった。他の物性は表1に示すように曲げ弾性率、衝撃強度、耐ストレスクラック性、耐熱性、成形性、持続耐圧性のいずれも良好であった。
また、常法により圧縮成形で内部に螺合面を有する蓋を成形した。即ち、樹脂押出機よりストランドを押し出し、これを切断して金型に投じ、圧縮成形機により圧縮して蓋を成形した。成形は容易に行うことができた。さらに常法により、射出成形機により金型内に樹脂を射出し、同じく内部に螺合面を有する蓋を成形した。この成形も容易に行うことができた。
[実施例2〜実施例3]
表1に示した各成分、コモノマーを用いて実施例1と同様に行った。
表1に示したように、曲げ弾性率、衝撃強度、耐ストレスクラック性、耐熱性、成形性、持続耐圧性のいずれも良好であった。
【0018】
[比較例1]
実施例1の連続2段重合装置を用いて重合した。ただし、一段目においてはエチレンとブテン−1を共重合させて高分子量成分の基となるポリエチレンを製造し、引き続き二段目では重合系にエチレンおよび水素を導入し高分子量成分と低分子量成分とを含むポリエチレン樹脂を製造した。
この樹脂の短鎖分岐数の比BH/BLは1.6と低かった。他の物性は表2に示すとおりである。
このポリエチレン樹脂を用いて実施例1と同様に成形性等の試験を行った。その結果、曲げ弾性率、耐熱性が不良であった。
[比較例2]
成分(A)のみからなるMFRが大きく、HLMFR/MFRが小さく、短鎖分岐数の比BH/BLが小さいポリエチレン樹脂を用いて実施例1と同様に試験を行った。耐ストレスクラック性および持続耐圧性が不良であった。
[比較例3]
表2に示す成分(A)、成分(B)の樹脂の重量を測定しヘンシェルミキサーで均一に混合後、押出機にて溶融混合しペレットを作製した。樹脂の短鎖分岐数の比BH/BLは1.1と低かった。実施例1と同様に試験を行った結果、曲げ弾性率、耐ストレスクラック性、耐熱性、持続耐圧性が不良であった。
[比較例4]
HLMFR、HLMFR/MFRが小さいポリエチレン樹脂を用いて実施例1と同様に試験を行った。曲げ弾性率、耐ストレスクラック性、耐熱性、成形性、持続耐圧性が不良であった。
【0019】
【表1】
Figure 0003980256
【0020】
【表2】
Figure 0003980256
【0021】
【発明の効果】
本発明のポリエチレン樹脂は、高流動性で成形性に優れ、サイクルを短縮して、生産効率を上げることができる。また、耐ストレスクラック性、剛性と耐衝撃性のバランスに優れ、および高剛性化による加熱充填にも耐えうる耐熱性を有し、充填方法を問わず、すべての充填方法において使用することが可能で炭酸飲料等による内圧が高くなるものを内容物とする容器にも対応できる。
しかも、臭いやブリードアウトも殆どなく、飲食品用の容器に適合できる。従って、炭酸飲料やビール用の容器、特にその蓋に好適である。
また、リサイクル性に優れて環境適性が良好な上、軽量、安価で、また、滑剤を使用せずとも滑り性が良好で、使い勝手も良い。

Claims (4)

  1. JIS−K6760で測定された荷重21.6kgにおけるHLMFRが0.1〜2.0g/10min、密度が0.930g/cm以下のポリエチレン樹脂(A)を10重量%以上且つ30重量%未満と、
    JIS−K6760で測定された荷重2.16kgにおけるMFRが200g/10min以上、密度が0.960g/cm以上のポリエチレン樹脂(B)を70重量%より多く且つ90重量%以下とを有する組成物であって、
    直列に接続した2基の重合器で順次連続的に重合して得られ、始めの重合域は低分子量成分(B)を重合し、得られた樹脂を次の重合域に移送し、当該次の重合域では高分子量成分(A)を重合して調製される、
    次の(a)から(d)の要件を満足する容器本体又は蓋用ポリエチレン樹脂。
    (a)荷重2.16kgにおけるMFRが0.5〜5g/10min
    (b)荷重21.6kgにおけるHLMFRが180g/10min以上
    (c)HLMFR/MFRが80以上
    (d)高温GPC溶出分の分子量2×10〜1×10に相当する成分の短鎖分岐数BHと、分子量4×10〜1.4×10に相当する成分の短鎖分岐数BLとの比BH/BLが2以上。
  2. さらに下記要件(e)〜(h)を満足することを特徴とする請求項1記載の容器本体又は蓋用ポリエチレン樹脂。
    (e)密度が0.955g/cm以上
    (f)射出成形試料の曲げ弾性率が13000kgf/cm以上
    (g)射出成形試料の耐定ひずみストレスクラック性が40時間以上
    (h)キャピラリーレオメーターにおいて、200℃測定時、剪断速度200sec−1での溶融粘度が4000poise以下。
  3. チタン系触媒成分および有機アルミニウム化合物を用いるチーグラー系触媒により段で重合し、始めの重合域では、エチレンおよび水素を導入して高MFRで高密度なポリエチレン樹脂(B)を連続的に製造し、始めの重合域から抜き出された重合物はその後適宜に水素を脱圧された後、引き続いて後の重合域に移送され、当該後の重合域ではエチレンおよびα−オレフィンを導入することにより低いHLMFRで低密度なポリエチレン(A)を製造することにより調整される請求項1または2に記載の容器本体又は蓋用ポリエチレン樹脂。
  4. 請求項1、2、3のいずれかに記載のポリエチレン樹脂からなることを特徴とする容器本体又は蓋。
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