JP3979335B2 - 圧脈波検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、押圧面に備えられている複数の圧力検出素子により動脈からの脈波を検出する圧脈波検出プローブを有する圧脈波検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
押圧面に複数の圧力検出素子を備え、その押圧面を生体の所定部位において皮膚上から動脈に向かって押圧し、上記複数の圧力検出素子により動脈からの脈波を検出する圧脈波検出プローブを有する圧脈波検出装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。圧脈波は、血圧の連続的な決定や、生体内を脈波が伝播する速度すなわち脈波伝播速度の算出などに利用され、特許文献1に記載されている装置では、圧脈波の大きさに基づいて、血圧を連続的に決定している。
【0003】
上記特許文献1に記載されている装置では、圧脈波検出プローブは手首にバンドにより装着され、押圧面に備えられている複数の圧力検出素子からそれぞれ検出される圧脈波の大きさの比較に基づいて、押圧面の最適位置を自動的に決定し、続いて、その押圧面の押圧力を連続的に変化させ、その押圧力の変化過程で、圧力検出素子により検出される脈波の大きさに基づいて押圧面の最適押圧力を自動的に決定している。
【0004】
また、特許文献1に記載されている圧脈波検出プローブとは異なり、人が手に保持して押圧位置および押圧力を調整する型式の圧脈波検出プローブも知られている。手に保持する型式の圧脈波検出プローブは、自動的に押圧位置および押圧力が制御される型式の圧脈波検出プローブに比べて、装着および測定が簡便である。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−19054号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
圧脈波検出プローブの押圧面に備えられた圧力検出素子により表皮上から圧脈波を検出する場合、測定中に、体表面に対する押圧面の押圧状態(押圧面と体表面との接触面積や、押圧面の圧力分布)が変化すると、検出される圧脈波に、その押圧状態の変化に起因するアーティファクトが混入する場合があるという問題がある。装着バンドにより固定される型式の圧脈波検出プローブの場合にも、装着部位(たとえば手首)が動くことにより、押圧面の押圧状態が変化することがあるので、このアーティファクトの問題は生じるが、手に保持して測定する型式の圧脈波検出プローブの場合には、測定中に押圧面の押圧状態を維持することが困難であるので、特に、このアーティファクトの問題が大きい。
【0007】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、圧脈波検出プローブの押圧面の押圧状態の変化に起因したアーティファクトの影響が少ない圧脈波を得ることができる圧脈波検出装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、押圧面に複数の圧力検出素子を備え、その押圧面が生体の皮膚上から所定の動脈に向かって押圧させられて、その圧力検出素子によりその動脈からの圧脈波を検出する圧脈波検出プローブを有する圧脈波検出装置であって、前記複数の圧力検出素子のうち、前記動脈の上部に位置する複数の圧力検出素子を適切位置素子に決定する適切位置素子決定手段と、その適切位置素子決定手段により決定された適切位置素子からそれぞれ検出された圧脈波を平均して平均圧脈波を決定する平均圧脈波決定手段と、その平均圧脈波決定手段により決定された平均圧脈波と、前記複数の適切位置素子により検出された圧脈波との相関係数を適切位置素子毎に算出する相関係数算出手段と、前記複数の適切位置素子から検出された複数の圧脈波から、前記相関係数算出手段により算出された相関係数が予め定められた所定値よりも小さい圧脈波を除去する除去手段とを含むことを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
複数の適切位置素子により検出される複数の圧脈波は、一部の圧脈波に、体表面に対する押圧面の押圧状態が変化することによるアーティファクトが混入しているとしても、他の多数の圧脈波はそのアーティファクトが混入していない正確な形状の圧脈波と考えられるので、平均圧脈波決定手段によって、複数の適切位置素子により検出された複数の圧脈波が平均されて決定された平均圧脈波は、比較的正確な形状の圧脈波であると言える。そして、相関係数算出手段では、その比較的正確な形状の圧脈波である平均圧脈波と、適切位置素子により検出された圧脈波との相関係数が適切位置素子毎に算出される。この相関係数は、平均圧脈波が比較的正確な形状の圧脈波であることから、適切位置素子により検出された圧脈波にアーティファクトが混入している場合は相関係数が小さく、アーティファクトが混入していない場合は相関係数が大きくなる。従って、除去手段により、相関係数が予め定められた所定値よりも小さい圧脈波を除去することにより、アーティファクトの混入した圧脈波を除去することができるので、除去されていない残りの圧脈波のうちのいずれか一つを選択したり、残りの圧脈波を平均するなどして、アーティファクトの影響の少ない正確な形状の圧脈波を得ることができる。
【0010】
【発明の他の態様】
ここで、好ましくは、前記圧脈波検出プローブは、測定時に手に保持される型式である。測定時に手に保持される型式の圧脈波検出プローブは、測定時に押圧面の押圧状態が変化しやすいことから、その変化によるアーティファクトが混入しやすいので、前述のようにしてアーティファクトの混入した圧脈波を除去する意義が大きい。
【0011】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施例の圧脈波検出装置に備えられた圧脈波検出プローブ10を示す斜視図である。図1の圧脈波検出プローブ10は、平面形状が略正方形状であって比較的細長い直方体形状の把持部12と、その把持部12の下面においてその把持部12に一体的に固定されているセンサ部14とを有し、把持部12の上面16に表示器18が設けられている。
【0013】
センサ部14の下面は上記把持部12の上面16に平行であり、このセンサ部14の下面が、生体に向かって押圧させられる押圧面20である。押圧面20は、単結晶シリコンなどから成る半導体チップによって形成されている。押圧面20には、その押圧面20の平面図である図2に示すように、多数の半導体感圧素子(すなわち圧力検出素子)Eが二次元格子状に一定の間隔で配列されている。図2に示すように、本実施例では、x軸方向に15個の圧力検出素子Eが一定の間隔で配列され、そのx軸に直交するy軸方向にも15個の圧力検出素子Eが一定の間隔で配列されており、圧力検出素子Eの配列形状は、全体として正方形状となっている。なお、かっこ内の2つの数字は、左上隅を基準とした各圧力検出素子Eのx軸方向およびy軸方向の位置を示している。
【0014】
図3は、前記表示器18の拡大図である。表示器18には、センサ部14の押圧面20に設けられた圧力検出素子Eの配列形状に対応して、複数の発光装置Dが正方形状に格子状に二次元的に配列されている。すなわち、表示器18には、x軸方向およびy軸方向にそれぞれ15個の発光装置Dが配置されている。
【0015】
この発光装置Dは、互いに異なる色を発光する図示しない複数(たとえば3つ)の発光ダイオードが収められることにより、複数の色を表示することができるようにされたものであり、各発光素子Dは、かっこ内の数字が対応する圧力検出素子Eにより逐次検出される圧力の大きさの適否を、発光色を変化させることにより表示する。たとえば、発光素子Dは、3色の色を発光できるように構成されており、それぞれ、圧力が適切である場合に表示される色、圧力がやや不足している場合に表示される色、圧力が比較的大きく不足している場合に表示される色が予め決定されており、その発光素子Dと対応させられている圧力検出素子Eにより検出される圧力の大きさに基づいて、発光素子D内に備えられたいずれかの発光ダイオードが発光させられるように構成されている。なお、各発光素子Dに対応させられる圧力検出素子Eは、図1に示すように、上方向または下方向から表示器18および押圧面20を見た場合に、押圧面20における位置が、表示器18におけるその発光素子Dの位置と同じとなる圧力検出素子Eとされている。
【0016】
図1に示すように、圧脈波検出プローブ10には、さらに、把持部12の側面に、圧脈波検出プローブ10の押圧位置および押圧力が適切であると判断して、診断のための脈波を採取する際に操作する信号採取ボタン24、および、この圧脈波検出プローブ10により検出された信号を図5に示す本体部32へ供給するためのコード26が設けられている。
【0017】
図4は、図示しない測定者の手に保持されることにより、圧脈波検出プローブ10の押圧面20が、患者の手首28の皮膚上から図示しない橈骨動脈に向かって押圧させられている状態を示す図である。この圧脈波検出プローブ10により橈骨動脈波を検出する場合、表示器18の発光素子Dにより表示される各圧力検出素子Eの押圧力を見ながら、圧脈波検出プローブ10の押圧位置や押圧力を調整する。
【0018】
図5は、上記圧脈波検出プローブ10を有する圧脈波検出装置30の装置構成を示すブロック図である。圧脈波検出プローブ10に備えられている複数の圧力検出素子Eからは圧脈波信号SMがそれぞれ出力され、圧脈波信号SMは、圧脈波検出装置30の本体部32内に収容されたマルチプレクサ34に供給される。
【0019】
マルチプレクサ34は、電子制御装置36からの切替信号SCに従って、複数の圧力検出素子Eからそれぞれ供給される圧脈波信号SMを、所定の時間ずつ順次、増幅器38へ出力する。増幅器38に供給された圧脈波信号SMはA/D変換器40を介して電子制御装置36へ供給される。
【0020】
電子制御装置36は、CPU42、ROM44、およびRAM46などを備えた所謂マイクロコンピュータである。CPU42は、ROM44に記憶されたプログラムに従いつつRAM46の記憶機能を利用して信号処理を実行することにより、所定の周期で切替信号SCを出力するとともに、圧脈波信号SMを逐次読み込み、その読み込んだ圧脈波信号SMに基づいて、各圧力検出素子Eにより検出される圧力の大きさを決定し、その圧力の大きさを表示させるための表示制御信号を圧脈波検出プローブ10の表示器18に出力する。
【0021】
表示制御信号が圧脈波検出プローブ10に出力されると、表示器18に各圧力検出素子Eの押圧力が表示されるので、表示器18の表示内容を見ながら、測定者は、手に持っている圧脈波検出プローブ10の押圧位置および押圧力を調整する。そして、押圧位置および押圧力が適切な状態となったと判断したら、信号採取ボタン24を押す。信号採取ボタン24が押されると、診断のための脈波採取の開始を指示する信号が電子制御装置36へ出力される。
【0022】
診断のための脈波を採取しているときは、アーティファクトが入ることを防止するために、押圧面20の押圧状態が変化しないことが望ましいが、本実施例のように、手に保持する型式の圧脈波検出プローブ10の場合、圧脈波検出プローブ10が押圧面20を支点として、たとえば図4の矢印に示す方向や図示しない他の方向などに、回動しやすい。また、手首28も固定されていないので、測定中に手首28が動くこともある。圧脈波検出プローブ10が押圧面20を支点として回動したり、手首28が動いたりすると、体表面に対する押圧面20の押圧状態が変化して、それに起因するアーティファクトが混入する可能性がある。
【0023】
しかし、この圧脈波検出装置30の電子制御装置36には、アーティファクトが混入した圧脈波信号SMを除去する機能を備えている。図6は、アーティファクトが混入した圧脈波信号SMを除去する機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【0024】
図6において、適切位置素子決定手段50は、圧脈波検出プローブ10の押圧面20に備えられた複数の圧力検出素子Eから供給される圧脈波信号SM(すなわち圧脈波)の振幅に基づいて、それら複数の圧力検出素子Eから、橈骨動脈の真上に位置する圧力検出素子(以下、この圧力検出素子Eを適切位置素子EAという)を複数決定する。すなわち、橈骨動脈の真上に位置する圧力検出素子Eから出力される圧脈波信号SMは、橈骨動脈上に位置しない圧力検出素子Eから出力される圧脈波信号SMの振幅よりも大きくなるので、適切位置素子50は、各圧力検出素子Eから出力される圧脈波信号SMの振幅から最大振幅を決定し、その最大振幅の所定割合(たとえば90%)以上の振幅を検出した圧力検出素子Eを適切位置素子EAに決定する。図7は、この適切位置素子決定手段50により決定された複数の適切位置素子EAの一例を示す図であり、塗りつぶされている圧力検出素子Eが適切位置素子EAに決定されている。
【0025】
平均圧脈波決定手段52は、上記適切位置素子決定手段50により決定された複数の適切位置素子EAからそれぞれ出力される圧脈波信号SM(すなわち橈骨動脈波)を、予め設定された所定区間分平均して、平均圧脈波を決定する。ここで、上記所定区間は、一拍分とされるが、たとえば一拍分の10分の1の区間など、一拍分よりも短くてもよいし、逆に、一拍分よりも長い区間に設定されてもよい。
【0026】
相関係数算出手段54は、上記平均圧脈波決定手段52により決定された平均圧脈波と、適切位置素子決定手段50により決定された各適切位置素子EAによりそれぞれ検出される橈骨動脈波との相関係数rを適切位置素子EA毎に算出する。
【0027】
除去手段56は、適切位置素子決定手段50により決定された複数の適切位置素子EAによりそれぞれ検出された複数の橈骨動脈波から、相関係数算出手段54により算出された相関係数rが予め定められた所定値よりも小さい橈骨動脈波を除去することにより、アーティファクトの混入した橈骨動脈波を除去する。
【0028】
ここで、相関係数rに基づいてアーティファクトの混入した橈骨動脈波が除去できる理由を説明する。上記相関係数rの算出に用いる平均圧脈波は、複数の適切位置素子EAにより検出された橈骨動脈波の平均であり、圧脈波検出プローブ10が押圧面20を支点として回動すること等により、手首28の体表面に対する押圧面20の押圧状態が変化した場合でも、一部の適切位置素子EAにより検出される橈骨動脈波にはアーティファクトが混入するが、他の多数の適切位置素子EAにより検出される橈骨動脈波にはアーティファクトは混入しないと考えられるので、それら複数の適切位置素子EAにより検出されるすべての橈骨動脈波を平均した平均圧脈波は、比較的正確な形状であると考えられる。上記相関係数rは、この比較的正確な形状の平均圧脈波を用いて算出するので、アーティファクトが混入していない橈骨動脈波の相関係数rは1に近い値となるが、アーティファクトが混入しているとそれよりもずっと小さい値となる。従って、相関係数rに基づいてアーティファクトの混入した橈骨動脈波が除去でき、また、上記所定値は、1よりも小さい範囲で1に近い値(たとえば0.9)に設定される。
【0029】
診断用圧脈波決定手段58は、複数の適切位置素子EAにより検出された複数の橈骨動脈波から、除去手段56によりアーティファクトが混入した橈骨動脈波が除去された後の複数の橈骨動脈波(以下、この脈波を正常圧脈波という)に基づいて、診断に用いるための脈波すなわち診断用圧脈波を決定する。本実施例では、複数の正常圧脈波を平均することにより、脈波伝播速度など、診断用の生体情報を決定するための診断用圧脈波を決定する。このようにして決定した診断用圧脈波は、前記平均圧脈波決定手段52により算出された平均圧脈波よりもさらにアーティファクトの影響の少ない脈波となる。
【0030】
図8は、図6に示した電子制御装置36の制御機能の要部を示すフローチャートである。このフローチャートは、図示しない測定開始ボタンが操作されることにより開始されるようになっており、測定開始ボタンが操作されると、このフローチャートの実行とともに、押圧面18に備えられている各圧力検出素子Eから供給される圧脈波信号SMに基づいて、表示器18の各発光素子Dに各圧力検出素子Eの押圧力の適否が表示される。
【0031】
図8において、ステップ(以下、ステップを省略する)S1では、信号採取ボタン24が押されたか否かを判断する。このフローチャートを実行している間は、同時に、表示器18の各発光素子Dに各圧力検出素子Eの押圧力の適否が表示されるので、測定者は表示器18を見ながら圧脈波検出プローブ10の位置および押圧力を調整し、適切な押圧位置および押圧力となったと判断した時点で、信号採取ボタン24を押す。
【0032】
圧脈波検出プローブ10の押圧位置または押圧力がまだ適切ではなく、信号採取ボタン24が押されない場合にはS1の判断が否定され、この場合には、S1の判断を繰り返し実行する。一方、圧脈波検出プローブ10の押圧位置および押圧力が適切となって信号採取ボタン24が押された場合にはS1の判断が肯定される。この場合にはS2以降を実行する。
【0033】
S2では、所定のサンプリング周期毎に、各圧力検出素子Eから供給される圧脈波信号SMを読み込み、続くS3では、S2において各圧力検出素子Eからそれぞれ一拍分の圧脈波信号SMを読み込んだか否かを判断する。このS3の判断が否定された場合には、S2を再度実行することにより、圧脈波信号SMの読み込みを継続する。
【0034】
一方、S3の判断が肯定された場合には、適切位置素子決定手段50に相当するS4乃至S5を実行する。すなわち、S4では、圧力検出素子E毎に、S2乃至S3の繰り返しにより読み込んだ一拍分の圧脈波信号SMの振幅(すなわち最大値と最小値の差)を決定し、続くS5では、S4で決定した振幅のうち最大振幅を決定するとともに、その最大振幅の所定割合(たとえば90%)以上の振幅を検出した複数の圧力検出素子Eを適切位置素子EAに決定する。
【0035】
続くS6は平均圧脈波決定手段52に相当し、上記S5で決定した複数の適切位置素子EAによりそれぞれ検出された複数の橈骨動脈波を平均して、平均圧脈波を決定する。
【0036】
続くS7は相関係数算出手段54に相当し、上記S6で決定した平均圧脈波と、前記S5で決定した複数の適切位置素子EAにより検出された橈骨動脈波との間の相関係数rを、適切位置素子EA毎に算出する。
【0037】
続くS8は除去手段56に相当し、前記S5で決定した複数の適切位置素子EAによりそれぞれ検出された複数の橈骨動脈波から、上記S7で算出した相関係数rが、たとえば0.9に設定された所定値よりも小さいものを除去し、残りの橈骨動脈波を正常圧脈波に決定する。
【0038】
そして、続く診断用圧脈波決定手段58に相当するS9では、上記S8で決定した複数の正常圧脈波を平均して診断用圧脈波を決定する。
【0039】
上述のように、本実施例によれば、平均圧脈波決定手段52(S6)により、複数の適切位置素子EAにより検出された複数の橈骨動脈波が平均されて、比較的正確な形状の平均圧脈波が決定され、相関係数算出手段54(S7)により、その比較的正確な形状の平均圧脈波と、適切位置素子EAにより検出された橈骨動脈波との相関係数rが適切位置素子EA毎に算出され、除去手段56(S8)により、相関係数rが予め定められた所定値よりも小さい橈骨動脈波が除去されることにより、アーティファクトの混入した橈骨動脈波が除去される。そして、診断用圧脈波決定手段58(S9)により、除去されていない残りの橈骨動脈波が平均されて診断用圧脈波が決定されるので、アーティファクトの影響の少ない正確な形状の圧脈波を得ることができる。
【0040】
また、上述の実施例は、圧脈波検出プローブ10が測定時に手に保持される型式であり、この型式の圧脈波検出プローブ10は測定時に押圧面20の押圧状態が変化しやすいことから、その変化によるアーティファクトが混入しやすいので、上述のようにしてアーティファクトの混入した橈骨動脈波を除去する意義が大きい。
【0041】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は他の態様においても適用される。
【0042】
たとえば、前述の実施例の圧脈波検出プローブ10は、測定時に手に保持する型式であったが、バンドやクリップなどで生体に装着される型式であってもよい。また、その場合、圧脈波検出プローブの押圧位置および押圧力は、前述の特許文献1のように自動的に制御されるようになっていてもよいし、測定者が手で直接調節するようになっていてもよい。
【0043】
また、前述の実施例では、圧力検出素子は二次元的に配列されていたが、一次元的すなわち直線的に配列されていてもよい。
【0044】
また、前述の実施例の診断用圧脈波決定手段58では、複数の正常圧脈波を平均することにより診断用圧脈波を決定していたが、正常圧脈波はいずれもアーティファクトの混入が少ない脈波であるので、振幅が最も大きい正常圧脈波や配列の中心に位置する正常圧脈波など、複数の正常圧脈波からいずれか一つの脈波を診断用圧脈波に決定してもよい。
【0045】
また、前述の実施例では、圧脈波検出プローブ10の押圧面20は手首28において橈骨動脈に向かって押圧させられていたが、押圧部位は前述の実施例に限定されず、たとえば、頸部において頸動脈に向かって押圧されてもよい。
【0046】
また、前述の実施例では、平均圧脈波は、複数の適切位置素子EAによりそれぞれ検出された複数の橈骨動脈波を直接平均していたが、複数の橈骨動脈波の振幅を正規化し、その正規化後の複数の橈骨動脈波を平均してもよい。また、相関係数rも、平均圧脈波と振幅を正規化した各橈骨動脈波との間で算出してもよい。
【0047】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の圧脈波検出装置に備えられた圧脈波検出プローブを示す斜視図である。
【図2】図1の圧脈波検出プローブの押圧面の平面図である。
【図3】図1の圧脈波検出プローブに設けられた表示器を拡大して示す図である。
【図4】図示しない測定者の手に保持されることにより、圧脈波検出プローブの押圧面が患者の手首の皮膚上から橈骨動脈に向かって押圧させられている状態を示す図である。
【図5】図1の圧脈波検出プローブを有する圧脈波検出装置の装置構成を示すブロック図である。
【図6】図5の電子制御装置の制御機能のうち、アーティファクトが混入した圧脈波信号SMを除去する機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図7】図6の適切位置素子決定手段により決定された複数の適切位置素子EAの一例を示す図である。
【図8】図6に示した電子制御装置の制御機能の要部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10:圧脈波検出プローブ
20:押圧面
30:圧脈波検出装置
50:適切位置素子決定手段
52:平均圧脈波決定手段
54:相関係数算出手段
56:除去手段
E:圧力検出素子

Claims (2)

  1. 押圧面に複数の圧力検出素子を備え、該押圧面が生体の皮膚上から所定の動脈に向かって押圧させられて、該圧力検出素子により該動脈からの圧脈波を検出する圧脈波検出プローブを有する圧脈波検出装置であって、
    前記複数の圧力検出素子のうち、前記動脈の上部に位置する複数の圧力検出素子を適切位置素子に決定する適切位置素子決定手段と、
    該適切位置素子決定手段により決定された適切位置素子からそれぞれ検出された圧脈波を平均して平均圧脈波を決定する平均圧脈波決定手段と、
    該平均圧脈波決定手段により決定された平均圧脈波と、前記複数の適切位置素子により検出された圧脈波との相関係数を適切位置素子毎に算出する相関係数算出手段と、
    前記複数の適切位置素子から検出された複数の圧脈波から、前記相関係数算出手段により算出された相関係数が予め定められた所定値よりも小さい圧脈波を除去する除去手段と
    を含むことを特徴とする圧脈波検出装置。
  2. 前記圧脈波検出プローブが、測定時に手に保持される型式であることを特徴とする請求項1に記載の圧脈波検出装置。
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