JP3979127B2 - Method for producing phenyl ester - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベンゼン、有機カルボン酸及び分子状酸素を特定の触媒の存在下で反応させフェニルエステルを製造する方法に関する。生成物であるフェニルエステル、例えば、フェニルアセテートは、容易に加水分解しフェノールを製造することができる。
【0002】
【従来の技術】
ベンゼン、有機カルボン酸及び分子状酸素を特定の触媒の存在下、気相もしくは液相で反応させてフェニルエステルを製造する方法は、従来種々提案されている。この反応では、触媒として周期律表第VIII属の貴金属、特にパラジウムが用いられている。
【0003】
例えば、特公昭46−33024号公報には、パラジウム又は白金を触媒として用いてフェニルエステルを製造する方法が開示されている。特公昭48−18219号公報では、更に高い活性の触媒を得るために、パラジウム又は白金触媒の活性促進剤として周期律表第IV、V、VI族元素、特にビスマス、テルルを添加した触媒を用い、アルカリ金属の酢酸塩の共存下で反応する方法が提案されている。しかし、この方法では、触媒の活性は低く、また、多量のアルカリ金属の酢酸塩が必要であり、必ずしも工業的に実用的とは言えない。
特公昭55−15455号公報では、カドミウム、亜鉛、ウラン、錫、鉛、アンチモン、ビスマス、テルル及びタリウムを助触媒として添加し、アルカリ金属の脂肪酸塩、硝酸の混合共存下でフェニルアセテートを製造する方法が開示されているが、触媒の活性は十分とは言えず、また、多量のアルカリ金属の酢酸塩が必要であることに加え、硝酸を使用することで設備の腐食などの問題があり工業的観点から実用的ではない。
【0004】
液相での反応の場合、触媒成分であるパラジウムが反応溶液中に溶出し、触媒活性が経時的に低下すると共に高価なパラジウムを損失するという欠点がある。このため、特開昭63−174950号公報では、パラジウムの溶出を抑制する方法としてビスマスや鉛を反応系内に存在させる方法が提案されている。しかし、この方法では、ビスマスや鉛を供給することによって、原料酸素濃度が低い場合には触媒成分であるパラジウムの溶出を改善できるが、工業的実用レベルまで原料酸素濃度を増すとパラジウムの溶出が起こり、長時間の連続的な運転は困難であると共に高価なパラジウムを損失してしまうために経済的でない。
【0005】
また、気相で反応を行う場合、短時間に活性低下が認められるという欠点を有している。
【0006】
以上のように、従来の方法は、工業的な実用性の面で満足なものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、ベンゼン、有機カルボン酸及び分子状酸素を触媒の存在下で反応させるにあたり、触媒成分である高価なパラジウムの損失を低減させ、経済的にフェニルエステルを製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前述のような従来技術の課題を解決するするため、鋭意検討した。その結果、ベンゼン、有機カルボン酸及び分子状酸素を、パラジウムが担持された固体触媒の存在下に反応させフェニルエステルを製造するにあたり、一酸化炭素の存在下で反応を行うことで、反応によるパラジウム溶出を低減させ、経済的にフェニルエステルを製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、ベンゼン、有機カルボン酸及び分子状酸素を、パラジウムが担持された固体触媒の存在下に反応させフェニルエステルを製造するにあたり、一酸化炭素の存在下で反応を行うことを特徴とするフェニルエステルの製造方法に関するものである。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
供給する一酸化炭素の量は、分子状酸素の供給量に対して0.005〜30体積%が好ましく、中でも0.05〜30体積%が特に好ましい。
【0012】
分子状酸素は酸素をそのまま用いても良いが、反応ガス組成を爆発範囲から外すために、酸素を窒素、ヘリウムまたは二酸化炭素等の不活性なガスで希釈したガス、若しくは空気を用いることができる。
【0013】
分子状酸素の供給量は、反応形式や触媒量によって適宜設定され、その中でも固体触媒層内の酸素分圧として0.001〜100kg/cm2が好ましく、中でも0.01〜50kg/cm2が特に好ましい。
【0014】
一酸化炭素を供給する方法は特に制限がなく、例えば、連続して、又は、断続的に供給する方法が挙げられる。また、パラジウム溶出濃度の変化に応じて、適宜、一酸化炭素供給量を変更しながら供給することもできる。
【0015】
本発明に用いられるパラジウムが担持された固体触媒は、ベンゼン、有機カルボン酸及び分子状酸素からフェニルエステルを製造する活性を有し、パラジウムが担体に担持された固体触媒であることが好ましく、特に助触媒としてテルルがパラジウムと共に担持された触媒が、活性が高く好ましい。
【0016】
パラジウムを担持する場合の担体としては、例えばシリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ジルコニア、活性炭、ケイソウ土、ゼオライト等が挙げられ、特にシリカ、ジルコニアが好ましい。
【0017】
パラジウムが担持された固体触媒において、担体に担持されるパラジウム量は担体及び助触媒を含む触媒全重量に対して、パラジウム金属として0.01〜10重量%であることが好ましく、中でも0.1〜5重量%が特に好ましい。
【0018】
また、パラジウムが担持された固体触媒が、パラジウム及び助触媒であるテルルを担持した触媒である場合のテルル量は、テルル/パラジウム金属原子比(以下Te/Pd比と記す。)=0.01〜10であることが好ましい。
【0019】
パラジウムが担持された固体触媒、特にパラジウム、又は、パラジウム及びテルルが担持された触媒を調製する場合の調製に使用するパラジウム又はテルルの出発原料は、適宜選択することが可能であり、パラジウム原料としては、通常のパラジウム触媒を調製するために用いられる原料が使用でき、例えばパラジウム金属、ヘキサクロロパラジウム酸アンモニウム、ヘキサクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸アンモニウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラブロモパラジウム酸カリウム、酸化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、ジニトロサルファイトパラジウム酸カリウム、クロロカルボニルパラジウム、ジニトロジアンミンパラジウム、テトラアンミンパラジウム、ジクロロジアンミンパラジウム、ジクロロ(エチレンジアミン)パラジウム、テトラシアノパラジウム酸カリウム等が使用できる。
【0020】
また、テルルを用いる場合のテルル原料としては、例えば金属テルル、塩化テルル(II)、塩化テルル(IV)、酸化テルル(IV)、酸化テルル(VI)、テルル酸(H6TeO6)、テルル酸カリウム、テルル酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0021】
パラジウムが担持された固体触媒の調製法は、適宜選択することが可能であり、一般的に用いられる方法で担体にパラジウム等を担持させることができ、例えば、含浸法、沈着法、イオン交換法等が用いられる。
【0022】
なお、含浸法でパラジウムとテルルが担持された固体触媒を調製する場合には、パラジウム原料とテルル原料を同時に含浸担持しても良いし、いずれか一方を含浸担持した後、残りの原料を含浸担持しても良い。
【0023】
担持後は、含浸法またはイオン交換法等の常法に従って、デカンテーション、濾過、加熱または減圧加熱等の操作で溶媒を除去する。溶媒を除去後の乾燥は、加熱乾燥、減圧乾燥等を用いることができる。
【0024】
乾燥後、そのまま還元する方法、空気中で焼成を行ってパラジウム原料あるいはパラジウム原料とテルル原料を分解した後に還元する方法のいずれでも良い。
【0025】
焼成は、酸素、または、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスで希釈した酸素、あるいは、空気の雰囲気下で100〜1000℃で行うことが好ましい。
【0026】
固体触媒の還元は、公知の方法が用いられる。例えば、水素、一酸化炭素、エチレン、あるいは、メタノール等を還元剤として用いて気相で還元する方法、あるいは、ヒドラジン水和物、ホルマリン、ギ酸等を用いて液相で還元する方法を用いることができる。気相で還元する場合の還元温度は100〜1000℃が好ましく、中でも200〜800℃が特に好ましい。
【0027】
本発明の方法では、パラジウムが担持された触媒の存在下、一酸化炭素が存在する状態で、ベンゼン、有機カルボン酸及び分子状酸素を反応させる。
【0028】
この際に用いられる有機カルボン酸としては、目的とする生成物であるフェニルエステルに対応する任意の有機カルボン酸が使用できる。例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸等の脂肪族カルボン酸や、安息香酸等の芳香族カルボン酸が使用できる。得られたフェニルエステルを加水分解してフェノールを製造する場合には、安価で大量に入手可能な酢酸、プロピオン酸が好ましく、特に酢酸が好ましい。ベンゼンについても特に限定されるものではない。また、反応に際し、必要に応じて溶媒を加えても良い。
【0029】
ベンゼンと有機カルボン酸の比率は適宜に選択することができ、その中でも生産効率が優れることから、ベンゼン/有機カルボン酸のモル比として1/0.1〜1/100が好ましい。
【0030】
反応器は特に限定されることはなく、従来の公知の、例えば、固定床流通型反応器、多管式の反応器、回分式反応器、懸濁床反応器等が用いられる。
【0031】
ベンゼンと有機カルボン酸の供給量と触媒量との関係は、反応方法により適宜選択すれば良く、例えば、固定床の場合、単位固体触媒体積、単位時間当たりのベンゼンと有機カルボン酸の合計供給量(以下、LHSVと記す。)として、0.1〜50h-1、特に0.1〜30h-1が好ましい。また、懸濁床の場合には、固体触媒濃度は、原料に対し0.05〜30重量%の範囲が好ましい。
【0032】
反応温度は、反応を効率的に進行させるため100〜300℃が好ましく、特に100〜250℃が好ましい。
【0033】
反応圧力は常圧以上の圧力であれば良いが、ベンゼン及び有機カルボン酸の一部が液相となることが必要であり、好ましくは1〜200kg/cm2である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
なお、反応液のガスクロマトグラフィーによる測定条件は、SGE社製キャピラリーカラム(タイプ:BP21,カラム長さ:25m)を使用し、カラム温度を60℃から230℃まで昇温し、検出器としてFIDを用いて測定した。
【0036】
また、反応液中に溶出したパラジウムの濃度は、原子吸光分光分析計(パーキンエルマー製 AAnalyst800)を用いて測定した。原子化はファーネス法を用い、247.6nmの波長の吸光度を高波長帯域半導体検出素子により検出して測定した。
【0037】
実施例1
パラジウム換算で8.3重量%のジニトロジアンミンパラジウム硝酸水溶液10.86gにテルル酸0.291gを溶解させた。この水溶液をジルコニア(ノートン社製)30gに含浸した後、50℃、0.02kg/cm2で減圧乾燥した。乾燥後、水素気流中600℃で還元し触媒とした。
【0038】
この触媒10mlを内径13mmのステンレス製反応管に充填し、反応温度190℃、反応圧力40kg/cm2で、ベンゼンと酢酸が等モルの混合原料を2.2g/分、酸素を37ml/分(0℃,1気圧換算)、窒素を173ml/分(0℃,1気圧換算)供給し反応させた。
【0039】
反応開始後、71時間目に反応生成物を捕集し、原子吸光分光分析計で分析すると、流出した反応液中のパラジウム濃度は金属パラジウム換算で87ppbであった。反応を継続し、反応開始後72時間目に、ベンゼン、酢酸、酸素、窒素の供給量は変えずに、0.1ml/分の一酸化炭素を供給した。この時の分子状酸素供給量に対する一酸化炭素の濃度は、0.27体積%である。反応開始後73時間目に反応液を捕集して分析すると、反応液中のパラジウム濃度は54ppbであり、一酸化炭素の供給により、パラジウム溶出濃度が低下した。
【0040】
実施例2
実施例1の後に引き続き反応を継続した。反応開始後77時間から一酸化炭素の供給量を1ml/分にした以外は実施例1と同じ条件で反応した。この時の分子状酸素供給量に対する一酸化炭素の濃度は、2.7体積%である。反応開始後78時間目に反応液を捕集して分析すると、反応液中のパラジウム濃度は16ppbであり、一酸化炭素の供給により、パラジウム溶出濃度が更に低下した。
【0041】
実施例3
実施例2の後に引き続き反応を継続した。反応開始後100時間から一酸化炭素の供給量を0.5ml/分にした以外は実施例1と同じ条件で反応した。この時の分子状酸素供給量に対する一酸化炭素の濃度は、1.4体積%である。反応開始後101時間目に反応液を捕集して分析すると、一酸化炭素の供給量減少により、反応液中のパラジウム濃度は28ppbに上昇したものの、当初量に比しては少ないものであった。
【0042】
実施例4
実施例3の後に引き続き反応を継続した。反応開始後168時間から一酸化炭素の供給量を2ml/分にした以外は実施例1と同じ条件で反応した。この時の分子状酸素供給量に対する一酸化炭素の濃度は、5.4体積%である。反応開始後171時間目に反応液を捕集して分析すると、反応液中のパラジウム濃度は11ppbであり、一酸化炭素の供給により、パラジウム溶出濃度が更に低下した。
【0043】
比較例1
実施例4の後に引き続き反応を継続した。反応開始後265時間から一酸化炭素を供給しなかった以外は実施例1と同じ条件で反応した。反応開始後270時間目に反応液を捕集して分析すると、反応液中のパラジウム濃度は114ppbであり、一酸化炭素の供給の停止により、パラジウム溶出濃度が増加した。
【0044】
実施例5
パラジウム換算で8.3重量%のジニトロジアンミンパラジウム硝酸水溶液14.48gにテルル酸0.648gを溶解させた。この水溶液をジルコニア(ノートン社製)40gに含浸した後、50℃、0.02kg/cm2で減圧乾燥した。乾燥後、水素気流中600℃で還元し触媒とした。
【0045】
この触媒10mlを内径13mmのステンレス製反応管に充填し、反応温度190℃、反応圧力40kg/cm2で、ベンゼンと酢酸が等モルの混合原料を2.2g/分、酸素を37ml/分(0℃,1気圧換算)、窒素を173ml/分(0℃,1気圧換算)供給し反応させた。
【0046】
反応開始後、47時間目に反応生成物を捕集し、原子吸光分光分析計で分析すると、流出した反応液中のパラジウム濃度は金属パラジウム換算で130ppbであった。反応を継続し、反応開始後50時間目に、ベンゼン、酢酸、酸素、窒素の供給量は変えずに、0.2ml/分の一酸化炭素を供給した。この時の分子状酸素供給量に対する一酸化炭素の濃度は、0.54体積%である。反応開始後53時間目、190時間目、382時間目に反応液を捕集して分析すると、反応液中のパラジウム濃度は、それぞれ、58、64、60ppbであり、一酸化炭素の供給により、パラジウム溶出濃度が低下し、反応時間が経過しても安定してパラジウム溶出濃度を低下させることができた。
【0047】
実施例6
パラジウム換算で8.3重量%のジニトロジアンミンパラジウム硝酸水溶液14.48gにテルル酸0.648gを溶解させた。この水溶液をジルコニア(ノートン社製)40gに含浸した後、50℃、0.02kg/cm2で減圧乾燥した。乾燥後、空気気流中500℃で焼成した後に水素気流中600℃で還元し触媒とした。
【0048】
この触媒10mlを内径13mmのステンレス製反応管に充填し、反応温度190℃、反応圧力40kg/cm2で、ベンゼンと酢酸が等モルの混合原料を2.2g/分、酸素を37ml/分(0℃,1気圧換算)、窒素を173ml/分(0℃,1気圧換算)供給し反応させた。
【0049】
反応開始後、47時間目に反応生成物を捕集し、原子吸光分光分析計で分析すると、流出した反応液中のパラジウム濃度は金属パラジウム換算で135ppbであった。反応を継続し、反応開始後50時間目に、ベンゼン、酢酸、酸素、窒素の供給量は変えずに、0.2ml/分の一酸化炭素を供給した。この時の分子状酸素供給量に対する一酸化炭素の濃度は、0.54体積%である。反応開始後53時間目、190時間目、382時間目に反応液を捕集して分析すると、反応液中のパラジウム濃度は、それぞれ、65、59、45ppbであり、一酸化炭素の供給により、パラジウム溶出濃度が低下し、反応時間が経過しても安定してパラジウム溶出濃度を低下させることができた。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、ベンゼン、有機カルボン酸及び分子状酸素を、パラジウムが担持された固体触媒の存在下に反応させフェニルエステルを製造するにあたり、一酸化炭素の存在下で反応を行うことにより、反応によるパラジウム溶出を低減させることが可能となり、経済的にフェニルエステルを製造できる。
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a phenyl ester by reacting benzene, an organic carboxylic acid and molecular oxygen in the presence of a specific catalyst. The product phenyl ester, such as phenyl acetate, can be easily hydrolyzed to produce phenol.
[0002]
[Prior art]
Various methods for producing phenyl ester by reacting benzene, organic carboxylic acid and molecular oxygen in the gas phase or liquid phase in the presence of a specific catalyst have been proposed. In this reaction, a noble metal belonging to Group VIII of the periodic table, particularly palladium, is used as a catalyst.
[0003]
For example, Japanese Patent Publication No. 46-33024 discloses a method for producing a phenyl ester using palladium or platinum as a catalyst. In Japanese Patent Publication No. 48-18219, in order to obtain a catalyst with higher activity, a catalyst added with Group IV, V and VI elements of the periodic table, in particular bismuth and tellurium, is used as an activity promoter for palladium or platinum catalysts. A method of reacting in the presence of an alkali metal acetate has been proposed. However, in this method, the activity of the catalyst is low, and a large amount of alkali metal acetate is required, which is not necessarily industrially practical.
In Japanese Patent Publication No. 55-15455, cadmium, zinc, uranium, tin, lead, antimony, bismuth, tellurium and thallium are added as promoters to produce phenyl acetate in the presence of a mixture of an alkali metal fatty acid salt and nitric acid. Although the method is disclosed, the activity of the catalyst is not sufficient, and in addition to the fact that a large amount of alkali metal acetate is required, the use of nitric acid has problems such as corrosion of the equipment. From a practical point of view.
[0004]
In the case of the reaction in the liquid phase, palladium as a catalyst component elutes into the reaction solution, and there is a disadvantage that the catalytic activity decreases with time and expensive palladium is lost. For this reason, Japanese Patent Application Laid-Open No. 63-174950 proposes a method in which bismuth or lead is present in the reaction system as a method for suppressing elution of palladium. However, in this method, by supplying bismuth and lead, elution of palladium as a catalyst component can be improved when the raw material oxygen concentration is low, but when the raw material oxygen concentration is increased to an industrial practical level, the elution of palladium is improved. Occasionally, long-term continuous operation is difficult and uneconomical because expensive palladium is lost.
[0005]
Moreover, when performing reaction in a gaseous phase, it has the fault that activity fall is recognized in a short time.
[0006]
As described above, the conventional methods are not satisfactory in terms of industrial practicality.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
Thus, the present invention provides a method for economically producing a phenyl ester by reducing loss of expensive palladium as a catalyst component when reacting benzene, an organic carboxylic acid and molecular oxygen in the presence of a catalyst. That is.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors diligently studied in order to solve the problems of the prior art as described above. As a result, in producing phenyl ester by reacting benzene, organic carboxylic acid and molecular oxygen in the presence of a solid catalyst on which palladium is supported, the reaction is carried out in the presence of carbon monoxide, so The inventors have found that phenyl ester can be produced economically with reduced elution, and the present invention has been completed.
[0009]
That is, the present invention is characterized in that when benzene, an organic carboxylic acid and molecular oxygen are reacted in the presence of a palladium-supported solid catalyst to produce a phenyl ester, the reaction is performed in the presence of carbon monoxide. It relates to a method for producing a phenyl ester.
[0010]
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[0011]
The amount of carbon monoxide supplied is preferably 0.005 to 30% by volume, particularly preferably 0.05 to 30% by volume, based on the amount of molecular oxygen supplied.
[0012]
As molecular oxygen, oxygen may be used as it is, but in order to remove the reaction gas composition from the explosion range, a gas obtained by diluting oxygen with an inert gas such as nitrogen, helium or carbon dioxide, or air can be used. .
[0013]
The supply amount of molecular oxygen is appropriately set depending on the reaction type and amount of catalyst, preferably 0.001~100kg / cm 2 as an oxygen partial pressure of the solid catalyst layer among them, among others 0.01~50kg / cm 2 is Particularly preferred.
[0014]
The method for supplying carbon monoxide is not particularly limited, and examples thereof include a method for supplying carbon monoxide continuously or intermittently. Further, the carbon monoxide supply amount can be appropriately changed according to the change in the palladium elution concentration.
[0015]
The palladium-supported solid catalyst used in the present invention is preferably a solid catalyst having an activity of producing a phenyl ester from benzene, an organic carboxylic acid and molecular oxygen, and having palladium supported on a carrier. A catalyst in which tellurium is supported with palladium as a cocatalyst is preferable because of its high activity.
[0016]
Examples of the carrier for supporting palladium include silica, silica alumina, alumina, zirconia, activated carbon, diatomaceous earth, zeolite, and the like, and silica and zirconia are particularly preferable.
[0017]
In the solid catalyst on which palladium is supported, the amount of palladium supported on the support is preferably 0.01 to 10% by weight as palladium metal with respect to the total weight of the catalyst including the support and the cocatalyst, and in particular, 0.1% ˜5% by weight is particularly preferred.
[0018]
The amount of tellurium in the case where the solid catalyst carrying palladium is a catalyst carrying palladium and tellurium which is a promoter is tellurium / palladium metal atomic ratio (hereinafter referred to as Te / Pd ratio) = 0.01. 10 is preferable.
[0019]
The starting material of palladium or tellurium used for the preparation when preparing a solid catalyst carrying palladium, particularly palladium, or a catalyst carrying palladium and tellurium, can be selected as appropriate. Can be used raw materials used to prepare ordinary palladium catalysts, such as palladium metal, ammonium hexachloropalladate, sodium hexachloropalladate, ammonium tetrachloropalladate, potassium tetrachloropalladate, sodium tetrachloropalladate, Potassium tetrabromopalladate, palladium oxide, palladium chloride, palladium bromide, palladium iodide, palladium nitrate, palladium acetate, potassium dinitrosulfite palladium acid, chlorocarbonyl Indium, dinitrodiammine palladium, tetraammine palladium, dichloro-diammine palladium, dichloro (ethylenediamine) palladium, potassium tetracyano palladium acids and the like can be used.
[0020]
Examples of tellurium raw materials in the case of using tellurium include metal tellurium, tellurium chloride (II), tellurium chloride (IV), tellurium oxide (IV), tellurium oxide (VI), telluric acid (H 6 TeO 6 ), tellurium. Examples include potassium acid and sodium tellurate.
[0021]
The method for preparing the palladium-supported solid catalyst can be selected as appropriate, and can be supported on a carrier by a commonly used method. For example, impregnation method, deposition method, ion exchange method Etc. are used.
[0022]
When preparing a solid catalyst carrying palladium and tellurium by the impregnation method, the palladium raw material and the tellurium raw material may be impregnated and supported at the same time, or after impregnating and supporting one of them, the remaining raw materials are impregnated. It may be supported.
[0023]
After the loading, the solvent is removed by an operation such as decantation, filtration, heating or heating under reduced pressure according to a conventional method such as an impregnation method or an ion exchange method. Drying after removing the solvent can be performed by heating, drying under reduced pressure, or the like.
[0024]
Either a method of reducing directly after drying, or a method of reducing after decomposing the palladium raw material or the palladium raw material and the tellurium raw material by firing in air may be used.
[0025]
Firing is preferably performed at 100 to 1000 ° C. in an atmosphere of oxygen, oxygen diluted with an inert gas such as nitrogen, helium, or argon, or air.
[0026]
A known method is used to reduce the solid catalyst. For example, a method of reducing in the gas phase using hydrogen, carbon monoxide, ethylene, methanol or the like as a reducing agent, or a method of reducing in the liquid phase using hydrazine hydrate, formalin, formic acid or the like. Can do. The reduction temperature in the case of reduction in the gas phase is preferably 100 to 1000 ° C, and particularly preferably 200 to 800 ° C.
[0027]
In the method of the present invention, benzene, an organic carboxylic acid and molecular oxygen are reacted in the presence of carbon monoxide in the presence of a catalyst on which palladium is supported.
[0028]
As the organic carboxylic acid used in this case, any organic carboxylic acid corresponding to the target product phenyl ester can be used. For example, aliphatic carboxylic acids such as acetic acid, propionic acid and butyric acid, and aromatic carboxylic acids such as benzoic acid can be used. In the case of producing phenol by hydrolyzing the obtained phenyl ester, acetic acid and propionic acid which are inexpensive and available in large quantities are preferable, and acetic acid is particularly preferable. Benzene is not particularly limited. In the reaction, a solvent may be added as necessary.
[0029]
The ratio of benzene and organic carboxylic acid can be selected as appropriate, and among them, the production efficiency is excellent, and therefore the molar ratio of benzene / organic carboxylic acid is preferably 1 / 0.1 to 1/100.
[0030]
The reactor is not particularly limited, and conventionally known, for example, a fixed bed flow reactor, a multitubular reactor, a batch reactor, a suspension bed reactor and the like are used.
[0031]
The relationship between the supply amount of benzene and organic carboxylic acid and the amount of catalyst may be appropriately selected depending on the reaction method. For example, in the case of a fixed bed, the total supply amount of benzene and organic carboxylic acid per unit solid catalyst volume and unit time. (Hereinafter referred to as LHSV) is preferably 0.1 to 50 h −1 , particularly preferably 0.1 to 30 h −1 . In the case of a suspended bed, the solid catalyst concentration is preferably in the range of 0.05 to 30% by weight with respect to the raw material.
[0032]
The reaction temperature is preferably from 100 to 300 ° C, particularly preferably from 100 to 250 ° C, in order to allow the reaction to proceed efficiently.
[0033]
The reaction pressure may be a pressure equal to or higher than normal pressure, but benzene and a part of the organic carboxylic acid must be in a liquid phase, and preferably 1 to 200 kg / cm 2 .
[0034]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0035]
In addition, the measurement conditions by the gas chromatography of a reaction liquid used capillary column (type: BP21, column length: 25m) by SGE, raised column temperature from 60 degreeC to 230 degreeC, and set FID as a detector. And measured.
[0036]
The concentration of palladium eluted in the reaction solution was measured using an atomic absorption spectrometer (AAnalyst 800 manufactured by PerkinElmer). Atomization was carried out using a furnace method, and the absorbance at a wavelength of 247.6 nm was detected by a high-wavelength band semiconductor detector and measured.
[0037]
Example 1
0.291 g of telluric acid was dissolved in 10.86 g of an aqueous solution of 8.3% by weight of dinitrodiammine palladium nitrate in terms of palladium. This aqueous solution was impregnated in 30 g of zirconia (manufactured by Norton) and then dried under reduced pressure at 50 ° C. and 0.02 kg / cm 2 . After drying, the catalyst was reduced at 600 ° C. in a hydrogen stream to obtain a catalyst.
[0038]
10 ml of this catalyst was filled in a stainless steel reaction tube having an inner diameter of 13 mm, the reaction temperature was 190 ° C., the reaction pressure was 40 kg / cm 2 , 2.2 g / min of equimolar mixture of benzene and acetic acid, and 37 ml / min of oxygen ( (0 ° C., converted to 1 atm) and nitrogen was supplied at 173 ml / min (0 ° C., converted to 1 atm) to react.
[0039]
When the reaction product was collected at 71 hours after the start of the reaction and analyzed by an atomic absorption spectrometer, the palladium concentration in the effluent reaction solution was 87 ppb in terms of metallic palladium. The reaction was continued, and at 72 hours after the start of the reaction, 0.1 ml / min of carbon monoxide was supplied without changing the supply amounts of benzene, acetic acid, oxygen and nitrogen. The concentration of carbon monoxide with respect to the molecular oxygen supply amount at this time is 0.27% by volume. When the reaction solution was collected and analyzed 73 hours after the start of the reaction, the palladium concentration in the reaction solution was 54 ppb, and the palladium elution concentration decreased with the supply of carbon monoxide.
[0040]
Example 2
The reaction was continued after Example 1. The reaction was performed under the same conditions as in Example 1 except that the supply amount of carbon monoxide was 1 ml / min from 77 hours after the start of the reaction. The concentration of carbon monoxide with respect to the molecular oxygen supply at this time is 2.7% by volume. When the reaction solution was collected and analyzed 78 hours after the start of the reaction, the palladium concentration in the reaction solution was 16 ppb, and the supply of carbon monoxide further reduced the palladium elution concentration.
[0041]
Example 3
The reaction was continued after Example 2. The reaction was performed under the same conditions as in Example 1 except that the supply amount of carbon monoxide was changed to 0.5 ml / min from 100 hours after the start of the reaction. The concentration of carbon monoxide with respect to the molecular oxygen supply at this time is 1.4% by volume. When the reaction solution was collected and analyzed 101 hours after the start of the reaction, the palladium concentration in the reaction solution increased to 28 ppb due to the decrease in the supply amount of carbon monoxide, but it was less than the initial amount. It was.
[0042]
Example 4
The reaction was continued after Example 3. The reaction was carried out under the same conditions as in Example 1 except that the supply amount of carbon monoxide was changed to 2 ml / min from 168 hours after the start of the reaction. The concentration of carbon monoxide with respect to the molecular oxygen supply at this time is 5.4% by volume. When the reaction solution was collected and analyzed 171 hours after the start of the reaction, the palladium concentration in the reaction solution was 11 ppb, and the supply of carbon monoxide further reduced the palladium elution concentration.
[0043]
Comparative Example 1
The reaction was continued after Example 4. The reaction was conducted under the same conditions as in Example 1 except that carbon monoxide was not supplied from 265 hours after the start of the reaction. When the reaction solution was collected and analyzed 270 hours after the start of the reaction, the palladium concentration in the reaction solution was 114 ppb, and the palladium elution concentration increased due to the stop of the supply of carbon monoxide.
[0044]
Example 5
0.648 g of telluric acid was dissolved in 14.48 g of an aqueous solution of 8.3% by weight of dinitrodiammine palladium nitrate in terms of palladium. This aqueous solution was impregnated in 40 g of zirconia (manufactured by Norton) and then dried under reduced pressure at 50 ° C. and 0.02 kg / cm 2 . After drying, the catalyst was reduced at 600 ° C. in a hydrogen stream to obtain a catalyst.
[0045]
10 ml of this catalyst was filled in a stainless steel reaction tube having an inner diameter of 13 mm, the reaction temperature was 190 ° C., the reaction pressure was 40 kg / cm 2 , 2.2 g / min of equimolar mixture of benzene and acetic acid, and 37 ml / min of oxygen ( (0 ° C., converted to 1 atm) and nitrogen was supplied at 173 ml / min (0 ° C., converted to 1 atm) to react.
[0046]
When the reaction product was collected 47 hours after the start of the reaction and analyzed with an atomic absorption spectrometer, the palladium concentration in the effluent reaction solution was 130 ppb in terms of metallic palladium. The reaction was continued, and at 50 hours after the start of the reaction, 0.2 ml / min of carbon monoxide was supplied without changing the supply amounts of benzene, acetic acid, oxygen and nitrogen. The concentration of carbon monoxide with respect to the molecular oxygen supply at this time is 0.54% by volume. When the reaction solution was collected and analyzed at 53 hours, 190 hours, and 382 hours after the start of the reaction, the palladium concentrations in the reaction solution were 58, 64, and 60 ppb, respectively. The palladium elution concentration decreased, and the palladium elution concentration could be stably reduced even after the reaction time had elapsed.
[0047]
Example 6
0.648 g of telluric acid was dissolved in 14.48 g of an aqueous solution of 8.3% by weight of dinitrodiammine palladium nitrate in terms of palladium. This aqueous solution was impregnated in 40 g of zirconia (manufactured by Norton) and then dried under reduced pressure at 50 ° C. and 0.02 kg / cm 2 . After drying, it was calcined at 500 ° C. in an air stream and then reduced at 600 ° C. in a hydrogen stream to obtain a catalyst.
[0048]
10 ml of this catalyst was filled in a stainless steel reaction tube having an inner diameter of 13 mm, the reaction temperature was 190 ° C., the reaction pressure was 40 kg / cm 2 , 2.2 g / min of equimolar mixture of benzene and acetic acid, and 37 ml / min of oxygen ( (0 ° C., converted to 1 atm) and nitrogen was supplied at 173 ml / min (0 ° C., converted to 1 atm) to react.
[0049]
When the reaction product was collected 47 hours after the start of the reaction and analyzed with an atomic absorption spectrometer, the palladium concentration in the effluent reaction solution was 135 ppb in terms of metallic palladium. The reaction was continued, and at 50 hours after the start of the reaction, 0.2 ml / min of carbon monoxide was supplied without changing the supply amounts of benzene, acetic acid, oxygen and nitrogen. The concentration of carbon monoxide with respect to the molecular oxygen supply at this time is 0.54% by volume. When the reaction solution was collected and analyzed at 53 hours, 190 hours, and 382 hours after the start of the reaction, the palladium concentrations in the reaction solution were 65, 59, and 45 ppb, respectively. The palladium elution concentration decreased, and the palladium elution concentration could be stably reduced even after the reaction time had elapsed.
[0050]
【The invention's effect】
According to the present invention, when benzene, an organic carboxylic acid and molecular oxygen are reacted in the presence of a palladium-supported solid catalyst to produce a phenyl ester, by reacting in the presence of carbon monoxide, Palladium elution due to the reaction can be reduced, and the phenyl ester can be produced economically.

Claims (3)

ベンゼン、有機カルボン酸及び分子状酸素を、パラジウムが担持された固体触媒の存在下に反応させフェニルエステルを製造するにあたり、一酸化炭素の存在下で反応を行うことを特徴とするフェニルエステルの製造方法。Production of phenyl ester characterized by reacting benzene, organic carboxylic acid and molecular oxygen in the presence of palladium-supported solid catalyst to produce phenyl ester. Method. 一酸化炭素の供給量が分子状酸素の供給量に対して0.005〜30体積%であることを特徴とする請求項1に記載のフェニルエステルの製造方法。The method for producing a phenyl ester according to claim 1, wherein the supply amount of carbon monoxide is 0.005 to 30% by volume with respect to the supply amount of molecular oxygen. 固体触媒がパラジウム及びテルルが担持された固体触媒であることを特徴とする請求項1に記載のフェニルエステルの製造方法。The method for producing a phenyl ester according to claim 1, wherein the solid catalyst is a solid catalyst on which palladium and tellurium are supported.
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