JP3979024B2 - Rapd法による個体識別方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、RAPD法を用いたDNAの分析方法、更に個体間の識別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ある形質を有する動植物等を育種しようとする場合、まず、当該形質に優れた個体を特定の母集団から選抜(一次選抜)することが行われる。しかし、形質の発現には、通常、遺伝的要因と環境的要因とが関与するので、育種のためには、これらの要因のうち環境的要因を排除し、当該形質に関して純粋に遺伝的に優れた個体を選抜しなければならない。従って、上記のようにして一次選抜された個体群に属する個体を相互に交配して有性的に、あるいは、これらの個体それぞれから無性的に次世代の個体を得、この次世代の個体を種々の環境条件で育て、再度、同じ形質で選抜(二次選抜)する過程が必要とされる。この結果、異なる環境条件の中で、当該形質に関し優れた成績を示す個体同士が共通の親に由来するものであれば、その個体及び親は、遺伝的にその形質に優れた個体と言うことができる。
【0003】
育種の対象が木本植物である場合、このことは、ある個体の形質が遺伝的に優れたものか否かを確認するために、多大な時間を要することを意味する。木本植物は生長が極めて遅いため、一次選抜された個体群から次世代の個体を得、この個体について目的とする形質が評価できるようになるまでには、相当の期間が必要とされるからである。例えば、林木育種において重要な形質である生長量の最終的な評価は、その個体の伐採時においてなされなくてはならないが、林地への苗の植栽から伐採まで、スギやヒノキは数10年から100年、亜熱帯性のマホガニーでも数10年、早生樹として知られるアカシアやユーカリでさえ10年程度の期間が必要とされる。しかも、こうした次世代個体の検定のため、その植栽から評価に至るまでの間、複数の林地を人手をかけて整備し、維持しておかなければならない。
【0004】
一方、RAPD法は、任意の塩基配列を有する10塩基程度のオリゴヌクレオチドをプライマーとして、検体DNAをポリメラーゼ連鎖反応法(polymerase chain reaction:以下、単にPCR法という。)で増幅し、増幅されたDNAの電気泳動パターンを解析して行うDNAの分析方法である。この方法を用いると、個々の生物のDNA変異を比較的容易に検出できるため、遺伝的類似度を指標とした親子鑑定等の目的に利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本願発明者らは、一次選抜された個体の示す優れた形質と、RAPD法により明らかにされる個体間の遺伝的類似度とを関連付けることで、二次選抜をすることなく、当該形質に関して純粋に遺伝的に優れた個体を選抜できると考え、動植物、特に木本植物の育種へのRAPD法の応用について検討を行った。
【0006】
しかし、そのためにはまず、遺伝的類似度を調べようとする全ての個体を、RAPD法により完全に識別できなくてはならない。
【0007】
従って、本願発明は、RAPD法によるDNAの分析精度の向上を目的として、より具体的には、分析の対象となる全ての個体を完全に識別できるRAPD法によるDNAの分析方法の提供を目的として、なされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは鋭意検討の結果、個々のプライマーの個体識別能の算出方法を見出すと共に、RAPD法による個体の完全識別が、このプライマーの個体識別能を知ることで可能となることを見出し、本願発明を完成した。
【0009】
即ち本願発明は、以下の式(1)又は(2)により計算されるプライマーの個体識別能又は各プライマーの個体識別能の積を算出する工程、算出された値が、DNA分析の対象となるX個の個体に対して1/X未満となるように1以上のプライマーを選択する工程、及び、こうして選択された1以上のプライマーを用い、RAPD法によりX個の個体についてDNA分析を行う工程、を含むことを特徴とする、RAPD法によるDNAの分析方法に関する。また、本願発明は、以下の式(1)又は(2)により計算されるプライマーの個体識別能又は各プライマーの個体識別能の積を算出する工程、算出された値が、DNA分析の対象となるX個の個体に対して1/X未満となるように1以上のプライマーを選択する工程、及び、こうして選択された1以上のプライマーを用いてX個の個体から抽出されたDNAにつきRAPD法を行い、増幅されたDNAの電気泳動パターンを比較する工程を含むことを特徴とする、個体間の識別方法にも関する
【0010】
式(1)
P=[f1/n、(n-f1)/n]max×[f2/n、(n-f2)/n]max×…×[fm/n、(n-fm)/n]max
(但し、Pはプライマーの個体識別能、f1は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第1フラグメントの増幅が観察された個体の数、f2は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第2フラグメントの増幅が観察された個体の数、fmは当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第mフラグメントの増幅が観察された個体の数であり、[]maxとは、[]内の二つの数式を計算した結果の大小を比較し、大きな方の数値を採用することを意味する。また、ここでn個の個体は、本法によりDNAを分析しようとするX個の個体を全て含む集団から、任意に選抜される。)
【0011】
式(2)
P=[fp1/n、(n-fp1)/n]max×[fp2/n、(n-fp2)/n]max×…×[fpm/n、(n-fpm)/n]max
(但し、Pはプライマーの個体識別能、fp1は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第1多型フラグメントの増幅が観察された個体の数、fp2は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第2多型フラグメントの増幅が観察された個体の数、fpmは当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第m多型フラグメントの増幅が観察された個体の数であり、[]maxとは、[]内の二つの数式を計算した結果の大小を比較し、大きな方の数値を採用することを意味する。また、ここでn個の個体は、本法によりDNAを分析しようとするX個の個体を全て含む集団から、任意に選抜される。)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明を詳細に説明する。
【0013】
本願発明において、プライマーの個体識別能を算出するために行われ、また、この個体識別能に基づき選択されたプライマーを用いて行われるRAPD法は、分析の対象となる個体から抽出されたDNA(検体DNAともいう。)をPCRにより増幅し、次いでその増幅産物を電気泳動により分離して、分離パターン(単に、電気泳動パターンともいう。)を解析するというステップからなる。
【0014】
分析対象からのDNAの抽出は、それぞれによく知られた定法に従い行えばよい。例えば、植物からのDNAの抽出は、CTAB法やSDS法等又はこれらの変法により行うことができる。ちなみに、CTAB法を用いてユーカリ属樹木から全DNAを抽出する場合には、生重にして約100mg以上の組織が試料としてあれば、RAPD法による分析を行うだけのDNAを得ることができる。
【0015】
PCRは、こうして得られたDNAを、PCR反応用緩衝液中で、プライマー、dNTP(dATP、dTTP、dGTP、dCTPの総称。)及びDNAポリメラーゼと混合し、この混合物を適当な温度サイクルで繰返し反応させることにより行う。例えば、植物から抽出したDNAをRAPD法により分析しようとする場合には、PCRは、検体DNA25〜50ng、プライマー0.2〜1μM、dNTP20〜200μM、DNAポリメラーゼ1.25〜2.5Uを混合した1×PCR反応用緩衝液(全量25〜50μl)を、次に示す温度サイクルで反応させるのが好ましい。PCR反応用緩衝液、dNTP及びDNAポリメラーゼについては市販されているので、これを用いることができる。
【0016】
植物DNAの増幅に適したPCR温度条件
ステップ1:
94〜96℃ 約5〜7分→35〜36℃ 約0.5〜1分→70〜74℃ 約1〜2分
1サイクル
ステップ2:
94〜96℃ 約1〜1.5分→35〜36℃ 約0.5〜1分→70〜74℃約1〜2分
38〜43サイクル
ステップ3:
94〜96℃ 約1〜1.5分→35〜36℃ 約0.5〜1分→70〜74℃約5〜10分
1サイクル
【0017】
PCRにより増幅されたDNAフラグメントは、PCR後の反応液について電気泳動を行うことにより分離する。電気泳動法としては、ゲル電気泳動法、キャピラリー電気泳動法等、各種の電気泳動法を使用することができる。例えば、ゲル電気泳動法を本願発明に適用する場合には、担体としてゲル濃度0.5〜1.5w/v%のアガロースゲル又はゲル濃度3.5〜5w/v%のポリアクリルアミドゲル、緩衝液としてTBE緩衝液(89mM Tris-borate、2mM EDTA)を用い、室温の下、アガロースゲルを用いた場合には電圧70〜150V、ポリアクリルアミドゲルを用いた場合には電圧100〜200Vで泳動を行えばよい。
【0018】
もっとも、RAPD法の諸条件の設定に当たってはあくまでも、最終的に、各検体DNAのPCR増幅産物についてクリアな電気泳動パターンが得られるか否かが基準となる。従って、本願発明においても、かかる基準を満たすように、より具体的には、各検体DNAのPCR増幅産物が最も明確、かつよく分離した電気泳動パターンを示すように、上記したDNAの抽出や、PCR及び電気泳動のための諸条件を自由に改変することができる。
【0019】
なお、RAPD法によるDNAの分析方法に係る本願発明においては、プライマーとして、10塩基程度のオリゴヌクレオチドを用いる。かかるプライマーはDNAシンセサイザーを用いて容易に合成することができるが、例えば、オペロン社よりOPERON 10MER KITSとして、種々の配列のものが市販されているので、これを用いるのが便利である。
【0020】
各プライマーの個体識別能は、式(1)を用いて算出する。
【0021】
式(1)
P=[f1/n、(n-f1)/n]max×[f2/n、(n-f2)/n]max×…×[fm/n、(n-fm)/n]max
(但し、Pはプライマーの個体識別能、f1は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第1フラグメントの増幅が観察された個体の数、f2は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第2フラグメントの増幅が観察された個体の数、fmは当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第mフラグメントの増幅が観察された個体の数であり、[]maxとは、[]内の二つの数式を計算した結果の大小を比較し、大きな方の数値を採用することを意味する。また、ここでn個の個体は、本法によりDNAを分析しようとするX個の個体を全て含む集団から、任意に選抜される。)
【0022】
即ち、まず、DNAを分析しようとする個体を全て含む集団より任意に選抜されたn個の個体からゲノムDNAを抽出し、このDNAをRAPD法により分析する。このとき、同じ個体から抽出された同じDNAについて分析する場合でも、最終的に得られる電気泳動パターンは、用いるプライマーによって異なったものとなる。図1〜7は、仮に、異なるプライマー1〜7を用い、a、b、c、dの4個体に対してRAPD法によりそのゲノムDNAを分析したとした場合に、最終的に得られる電気泳動パターンとして考えられる主なケースをモデル的に示した図である(電気泳動法としてゲル電気泳動法を用いた場合を想定。)。
【0023】
図1は、プライマー1を用いた場合である。この図は、プライマー1を用いてRAPD法により分析を行った場合、a〜dいずれの個体においても、電気泳動にてPCR増幅産物は全く検出されなかったことを示している。つまり、このプライマー1を用いてRAPD法を行っても、個体a〜dを識別することはできない。このとき、プライマー1の個体識別能はP=[0/4、(4-0)/4]max=[0、1]max=1と算出される。
【0024】
図2は、プライマー2を用いた場合である。この図は、プライマー2を用いてRAPD法により分析を行った場合、a〜dいずれの個体においても、電気泳動にて同じ移動度を示すPCR増幅産物が1種、つまり式(1)でいう第1フラグメントの増幅のみが共通して検出されたことを示している。従って、このプライマー2を用いてRAPD法を行っても、個体a〜dを識別することはできない。このときも、プライマー2の個体識別能はP=[4/4、(4-4)/4]max=[1、0]max=1であり、プライマー1の場合と同じとなる。
【0025】
図3は、プライマー3を用いた場合である。この図は、プライマー3を用いてRAPD法により分析を行った場合、a〜dいずれの個体においても、電気泳動にて同じ移動度を示すPCR増幅産物がそれぞれ3種、つまり式(1)でいう第1フラグメント、第2フラグメント及び第3フラグメントの増幅が共通して検出されたことを示している。電気泳動にて検出されるフラグメントの数はプライマー1や2を用いたときよりも多いが、やはり、これでは個体a〜dを識別することができない。このときも、プライマー3の個体識別能はP=[4/4、(4-4)/4]max×[4/4、(4-4)/4]max×[4/4、(4-4)/4]max=[1、0]max×[1、0]max×[1、0]max=1×1×1=1であり、プライマー1及び2の場合と同じとなる。
【0026】
図4は、プライマー4を用いた場合である。この図は、プライマー4を用いてRAPD法により分析を行った場合、個体a、b、dにおいては、電気泳動にて同じ移動度を示すPCR増幅産物が1種、つまり式(1)でいう第1フラグメントの増幅が共通して検出されたが、個体cにおいては、この第1フラグメント及び他のPCR増幅産物が全く検出されなかったことを示している。従って、このプライマー4を用いてRAPD法を行えば、個体a、b、d間の識別はできないものの、個体a、b、dよりなるグループと個体cとの識別は可能となる。このときのプライマー4の個体識別能はP=[3/4、(4-3)/4]max=[0.75、0.25]max=0.75と算出される。
【0027】
図5は、プライマー5を用いた場合である。この図は、プライマー5を用いてRAPD法により分析を行った場合、個体a、bにおいては、電気泳動にて同じ移動度を示すPCR増幅産物が1種、つまり式(1)でいう第1フラグメントの増幅が共通して検出されたが、個体c、dにおいては、この第1フラグメント及び他のPCR増幅産物が全く検出されなかったことを示している。従って、このプライマー5を用いてRAPD法を行えば、個体a、b間、個体c、d間の識別はできないものの、個体a、bよりなるグループと個体c、dよりなるグループとの識別は可能となる。このときのプライマー5の個体識別能はP=[2/4、(4-2)/4]max=[0.50、0.50]max=0.50と算出される。
【0028】
図6は、プライマー6を用いた場合である。この図は、プライマー6を用いてRAPD法により分析を行った場合、個体a、cにおいては、電気泳動にて同じ移動度を示すPCR増幅産物が1種、つまり式(1)でいう第1フラグメントの増幅のみが共通して検出され、一方、個体b、dにおいては、この第1フラグメントとは異なる移動度を示すPCR増幅産物がやはり1種、つまり式(1)でいう第2フラグメントの増幅のみが共通して検出されたことを示している。従って、このプライマー6を用いてRAPD法を行えば、個体a、c間、個体b、d間の識別はできないものの、個体a、cよりなるグループと個体b、dよりなるグループとの識別は可能となる。このときのプライマー6の個体識別能はP=[2/4、(4-2)/4]max×[2/4、(4-2)/4]max=[0.50、0.50]max×[0.50、0.50]max=0.50×0.50=0.25と算出される。
【0029】
図7は、プライマー7を用いた場合である。この図は、プライマー7を用いてRAPD法により分析を行った場合、個体a〜dのそれぞれにおいて、全く異なった電気泳動パターンが検出されたことを示している。即ちこの場合は、個体aにおいては、式(1)でいう第1フラグメント、第2フラグメント及び第5フラグメントの増幅が、個体bにおいては、式(1)でいう第1フラグメント、第4フラグメント及び第5フラグメントの増幅が、個体cにおいては、式(1)でいう第2フラグメント、第3フラグメント、第4フラグメント及び第5フラグメントの増幅が、個体dにおいては、式(1)でいう第2フラグメント及び第5フラグメントの増幅が、電気泳動にて検出された。従って、このプライマー7を用いてRAPD法を行えば、個体a、b、c、dを完全に識別することができる。このときのプライマー7の個体識別能はP=[2/4、(4-2)/4]max×[3/4、(4-3)/4]max×[1/4、(4-1)/4]max×[2/4、(4-2)/4]max×[4/4、(4-4)/4]max=[0.50、0.50]max×[0.75、0.25]max×[0.25、0.75]max×[0.50、0.50]max×[1、0]max=0.50×0.75×0.75×0.50×1=0.14と算出される。
【0030】
なお、上記のモデルケースからも理解できるように、式(1)によれば、あるプライマーを用い、n個の個体に対してRAPD法による分析を行った場合に、電気泳動において、例えば第mフラグメントの増幅がn個の個体全てに共通して検出されるとき(又は共通して検出されないとき)は、その第mフラグメントの[fm/n、(n-fm)/n]maxの値が1となるため、当該プライマーの個体識別能Pの値に何の影響も及ぼさない。従って、式(1)を、かかるフラグメント以外のフラグメント、換言すれば多型性を示すフラグメントのみに着目して変形することもできる。こうして式(1)を変形したものが、以下に示す式(2)である。
【0031】
式(2)
P=[fp1/n、(n-fp1)/n]max×[fp2/n、(n-fp2)/n]max×…×[fpm/n、(n-fpm)/n]max
(但し、fp1は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第1多型フラグメントの増幅が観察された個体の数、fp2は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第2多型フラグメントの増幅が観察された個体の数、fpmは当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第m多型フラグメントの増幅が観察された個体の数であり、他の記号の意味は、式(1)の場合と同様である。)
【0032】
図7に示すケースにおいて、プライマー7の個体識別能Pをこの式(2)に基づき算出すると、この場合は、第1フラグメントが式(2)にいう第1多型フラグメント、第2フラグメントが式(2)にいう第2多型フラグメント、第3フラグメントが式(2)にいう第3多型フラグメント、第4フラグメントが式(2)にいう第4多型フラグメントに該当するので、P=[2/4、(4-2)/4]max×[3/4、(4-3)/4]max×[1/4、(4-1)/4]max×[2/4、(4-2)/4]max×=[0.50、0.50]max×[0.75、0.25]max×[0.25、0.75]max×[0.50、0.50]max=0.50×0.75×0.75×0.50=0.14となり、式(1)に基づいて算出した値と同じ値が得られる。
【0033】
また、式(1)及び式(2)において、nは5以上であることが望ましい。本願発明においては、DNAを分析しようとする個体を全て含む集団(母集団)から任意に選抜されたn個の個体が、当該母集団の遺伝的性質を反映していると仮定して、これらn個の個体を対象として行ったRAPD法の結果に基づき、式(1)又は式(2)より、あるプライマーの当該母集団に対する個体識別能を算出する。従って、nの数は多ければ多い程、当該母集団の遺伝的性質がより確実に反映され、正確な個体識別能が算出されるとも考えられるが、通常、nが5以上になると、算出される個体識別能の値はほぼ一定に収束するので、実際にはnをそれほど大きくする必要はない。
【0034】
このようにして算出された、あるプライマーのある集団に対する個体識別能は、RAPD法により当該集団に含まれる個体を完全に識別するための指標として用いられる。具体的には、式(1)又は式(2)により計算されるプライマーの個体識別能又は各プライマーの個体識別能の積が、DNA分析の対象となるX個の個体に対して1/X未満となるように1以上のプライマーを選択してRAPD法によりDNAを分析することで、更に詳しくは、式(1)又は式(2)により計算されるプライマーの個体識別能又は各プライマーの個体識別能の積が、識別しようとするX個の個体に対して1/X未満となるように選択された、1以上のプライマーを用いてX個の個体から抽出されたゲノムDNAにつきRAPD法を行い、増幅されたDNAの電気泳動パターンを比較することで、X個の個体の完全識別が可能となる。従って、100個の個体をRAPD法により完全に識別するためには、式(1)又は式(2)により計算されるプライマーの個体識別能又は各プライマーの個体識別能の積が、1/100=0.01未満となるようプライマーを選択しなければならない。
【0035】
RAPD法により得られたDNAの電気泳動パターンを比較して個体を識別するには、電気泳動にて第1〜第mフラグメントとして検出されるPCR増幅産物の有無を、用いたプライマー毎に識別しようとする個体間で比較する。このとき、以下の式(3)を用いることで、この比較を数値化して行うことができる。
【0036】
式(3)
D=1−2×[xyf/(xf+yf+xyf)]
(但し、Dは個体xとyの遺伝距離、xyfは、個体xとyについて1以上のプライマーを用いて行ったRAPD法によるDNA分析により、電気泳動にて個体xとyに共通して増幅が検出されたフラグメントの数、xfは、個体xとyについて1以上のプライマーを用いて行ったRAPD法によるDNA分析により、電気泳動にて個体xにおいてのみ増幅が検出されたフラグメントの数、yfは、個体xとyについて1以上のプライマーを用いて行ったRAPD法によるDNA分析により、電気泳動にて個体yにおいてのみ増幅が検出されたフラグメントの数である。なお、個体xとyについてのRAPD法によるDNA分析は、同じプライマーを用い、その他の条件も同じくして行った。)
【0037】
式(3)は、各個体が遺伝的にどの程度隔たっているかを数値化するものでもある。そして、式(3)により算出される遺伝距離を知ることで、動植物等の育種において、二次選抜をすることなく、目的とする形質に関して純粋に遺伝的に優れた個体を選抜することも可能となる。ある優れた形質に基づいて一次選抜された集合を対象として、その集合に含まれる個体間の遺伝距離を調べ、その結果、相互の遺伝距離が小さく、遺伝的に類縁関係にあると考えられる個体群が明らかになれば、その群に属する個体が共有する当該優れた形質は遺伝的なものと考えられるからである。なお、かかる目的で遺伝距離を算出する場合には、本願発明のRAPD法によるDNAの分析は、10以上のプライマーを用いて行うことが望ましい。10以上のプライマーを用いれば、正確な遺伝距離を算出するために、十分な数のフラグメント、つまり式(3)におけるxyf、xf、yfを確保することができる。
【0038】
【作用】
本願発明は、RAPD法に用いるプライマーに着目し、このプライマーの個体識別能を明らかにすることで、RAPD法による個体の完全識別という目的を達成した。
【0039】
本願発明においては、あるプライマーを用いて、ある集団に属する異なる個体のゲノムDNAをRAPD法により分析した場合に、最終的に得られる電気泳動パターンが同一となる確率、換言すれば、電気泳動にて検出される第1〜第mフラグメントの有無が全て共通する確率を、そのプライマーの当該集団に対する個体識別能と考え、式(1)又は式(2)により算出する。そして、こうして算出されるプライマーの個体識別能又は各プライマーの個体識別能の積が、1/X未満となるように1以上のプライマーを選択して、同じ集団に属するX個の個体についてRAPD法によりDNA分析を行うことで、分析の対象となったX個の個体を完全に識別することが可能となるのである。
【0040】
即ち、式(1)又は式(2)により算出された、ある集団に対する一のプライマーの個体識別能を0.003とすると、分析の対象となる個体が100個であれば、RAPD法により、このプライマーを用いてこれら100個の個体を完全に識別することができる。しかし、分析の対象となる個体が1000個になると、このプライマーではこれら1000個の個体を完全に識別することはできない。このプライマーを用いて、当該集団に属する個体のゲノムDNAをRAPD法により分析した場合、1000個体中3個体が同一の電気泳動パターンを示す筈だからである。この場合には、このプライマーを、他のプライマーと併せて用いればよい。2以上のプライマーを併用してRAPD法を行った場合、最終的に得られる電気泳動パターンが同一となる確率は、各プライマーの個体識別能の積となる。従って、個体識別能0.003のプライマーでも、他のプライマーと併せて用い、これらのプライマーの個体識別能の積が0.001未満となるならば、1000個の個体を完全に識別できることとなる。
【0041】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0042】
[実施例1]
木本植物ユーカリプタス・グロブルス(Eucalyptus globulus 以下、E.グロブルスと略称する。)163個体について、本願発明の方法を適用して各個体を識別し、遺伝距離を算出して遺伝的類縁関係を示す系統樹を作成した。
【0043】
I.プライマーの選択
【0044】
I−1.ゲノムDNAの抽出
天然林由来の種子(オーストラリア Commonwealth Scientific and Industrial Research Organizationより入手。)から得られたE.グロブルス実生苗100個体より無作為に10個体を選び、この10個体のゲノムDNAを改良CTAB法にて抽出した。
【0045】
即ち、これら10個体の実生苗のそれぞれから約150mgの葉を採取し、これを液体窒素中でパウダー状になるまで磨砕して、2%(W/V)CTAB、100mM Tris-HCl(pH7.5)、1.4M NaCl、20mM EDTA及び0.1%(V/V)メルカプトエタノールからなるDNA抽出溶液2.0mlに移し、この混合液を10分ごとに混合しつつ60分間、65℃にて加温した。加温後、室温に戻したこの混合液に4%(V/V)イソアミルアルコールを含むクロロホルム800μlを加えて、ローテーターにて20分間混合し、次いで、15000rpm、20℃で20分間遠心分離を行って、上澄みを回収した。回収した上澄みは、再度等量のクロロホルム(含4%(V/V)イソアミルアルコール)を加え、同様の操作を行って精製した。精製したこの上澄みに、予め4℃に冷却しておいた1.5倍量のイソプロパノールを加え、よく混合してから、室温で20分間、更に−20℃で12時間放置してDNAを析出させた。析出したDNAは、遠心分離(15000rpm、20℃で20分間)を行って回収し、70%エタノール1mlを加えて洗浄、そして再び遠心分離(15000rpm、20℃で5分間)を行って回収し、減圧して乾燥させた後、TE緩衝液(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、pH8.0)130μlに溶解した。
【0046】
I−2.RAPD法による分析
I−1において、E.グロブルス10個体からそれぞれ抽出された各ゲノムDNAに対し、プライマーとして、オペロン社よりOPERON 10MER KITS OPA〜OPP及びOPSシリーズとして販売されているRAPD−PCR用プライマー340種を用い、PCRを行った。
【0047】
PCRは、上記ゲノムDNAを25ng/25μl、プライマーを1μM、dNTP(宝酒造(株)製)を各200μM、DNAポリメラーゼ(宝酒造(株)製『TaKaRa EX taq』)を1.25units/25μl、電気泳動用色素タートラジンを1mM及び電気泳動用比重調整剤フィコール(シグマ社製『Ficol-1400』)を2%となるように、1×PCR反応用緩衝液(宝酒造(株)製『TaKaRa EX taq専用バッファー』)に混合した混合物、全量25μlを次に示す温度サイクルで反応させることにより行った。なお、このときプライマーは、上記340種のプライマーを1種づつ、一反応毎に順次変更して用いてPCRを行った。
【0048】
ステップ1:
94℃7分→36℃1分→72℃ 2分 1サイクル
ステップ2:
94℃1分→36℃1分→72℃ 2分 43サイクル
ステップ3:
94℃1分→36℃1分→72℃10分 1サイクル
【0049】
次いで、PCRにて増幅されたDNAフラグメントを、PCR後の反応液について、担体としてゲル濃度1w/v%、厚さ0.7cm、泳動方向長さ20cmのアガロースゲル、緩衝液として0.5×TBE緩衝液(同前)を用い、室温の下、定電圧130Vで約4〜5時間ゲル電気泳動を行うことにより、分離した。また、分離されたDNAフラグメントの検出は、電気泳動後、担体として用いたゲルを、エチジウムブロマイド0.5〜2μg/mlを含む0.5×TBE緩衝液(同前)に10〜20分間浸漬してから、これに302nm付近の紫外線を照射することにより行った。
【0050】
I−3.個体識別能の算出
I−2で行った、RAPD法によるE.グロブルスのゲノムDNA分析結果に基づき、このRAPD法に用いた各プライマーのE.グロブルスに対する個体識別能を、式(2)に基づいて算出した。
【0051】
その結果、個体識別能の高いもの(式(1)又は式(2)で算出される数値としては、小さいもの)から順に10種のプライマーを選択し、以下の実験を行った。ここで選択したプライマーと、そのE.グロブルスに対する個体識別能を表1に示す
【0052】
【表1】
Figure 0003979024
【0053】
II.E.グロブルスの個体識別
チリ国第8州カニェテ付近の標高100〜500mにある林地より、材積の優劣を基準として一次選抜されたE.グロブルス(以下、単に一次選抜木ともいう。)49個体、及び、同じ林地より無作為に選抜されたE.グロブルス114個体から、I−1と同様にしてDNAを抽出し、このDNAを検体として、Iで選択された10種のプライマーを用い、I−2と同様にしてRAPD法によるDNA分析を行った。
【0054】
その結果、これら163個体は、そのDNAのPCR増幅産物が電気泳動にて全て異なる分離パターンを示し、この電気泳動パターンの相違により各個体を完全に識別することができた。そこで、これら163個体について式(3)により遺伝距離を算出し、この遺伝距離を基に、系統樹作成ソフトLane Multiscreener(ATTO社製)を利用して、163個体全ての遺伝的類縁関係を示す系統樹を作成した。なお、この系統樹作成ソフトは、平均距離法に基づき、ある個体群について、遺伝距離が表す各個体相互の類縁関係の遠近を総合し、その個体群全体の遺伝的類縁関係を系統樹という形に変換して示すものである。
【0055】
作成した系統樹を図8〜10に、また、E.グロブルス一次選抜木49個体相互について算出した遺伝距離を表2〜7に示す。なお、系統樹の右端には、一次選抜木についてのみ、その個体名を示した。
【0056】
【表2】
Figure 0003979024
【0057】
【表3】
Figure 0003979024
【0058】
【表4】
Figure 0003979024
【0059】
【表5】
Figure 0003979024
【0060】
【表6】
Figure 0003979024
【0061】
【表7】
Figure 0003979024
【0062】
[実施例2]
実施例1で明らかにしたE.グロブルスの類縁関係の、育種への応用について検討した。
【0063】
実施例1で用いたE.グロブルス一次選抜木49個体中38個体より種子を採取し、この38系統の種子から実生苗を得て、この実生苗について二次選抜を行った。即ち、環境的要因を排除し、材積という形質に関して純粋に遺伝的に優れた個体を選抜すべく、この実生苗を、チリ第8州アラウコ付近の林地3箇所、同州ロス・サウセス付近の林地1個所、同州プレコルディジェラ付近の林地1箇所、同州カゥクェネス付近の林地1箇所の計6箇所の林地に、各系統あたり20個体づつ植栽して育成し、5年後、これらの材積を調査して材積の大きい順に1〜38位までランク付けを行った。
【0064】
この結果を、図8〜10の系統樹と共に示す。図8〜10の系統樹において、一次選抜木の個体名の傍らに付された符号が、上記ランク付けの結果であり、1〜10位にランクされた個体には++の符号が、11〜20位にランクされた個体には+の符号が、21〜30位にランクされた個体には−の符号が、そして31位以下にランクされた個体には−−の符号が付されている。
【0065】
図8〜10より明らかなように、一次選抜木にも、他の複数の一次選抜木と相互に遺伝的類縁関係のある個体群を形成するものと、他の一次選抜木とあまり遺伝的類縁関係がなく、かかる個体群を形成しないものとが存在する。しかし、個体群を形成するもののうち、一次選抜木MIN53、TG14、TG24、MIN14、TG13、MIN02よりなる群、及び、VT39、VT12、VT23、VT17、TG27、VT11、FA44よりなる群においては、これらの一次選抜木中、二次選抜の結果20位以上の上位にランクされた個体がいずれも50%を超え、これらの一次選抜木で観察された優れた形質(この場合は、材積の大きさ。)が、遺伝的なものである可能性を示唆している。また、材積に関して優れたある個体について本願発明のRAPD法によるDNA分析を行った結果、当該個体が遺伝的にこれらの個体群に属することが明らかとなれば、当該個体は、材積という形質について純粋に遺伝的に優れている可能性が高い。従って、本願発明の方法を育種に応用することで、一次選抜に係る形質が遺伝的なものであるか否かを、二次選抜を行うことなく、ある程度の確率で知ることができると考えられる。
【0066】
【発明の効果】
本願発明の方法によれば、RAPD法によるDNA分析により、その分析の対象となる個体を完全に識別することが可能となる。
【0067】
従って、本願発明の方法によれば、容易・迅速・確実に個体を識別し、また、個体間の遺伝距離を知ることが可能となる。
【0068】
更に、本願発明の方法を育種に応用することにより、目的とする形質について純粋に遺伝的に優れている個体を、二次選抜を行うことなくある程度の確率で知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】RAPD法の結果として得られる電気泳動パターンを、モデル的に示した説明図である。
【図2】RAPD法の結果として得られる電気泳動パターンを、モデル的に示した説明図である。
【図3】RAPD法の結果として得られる電気泳動パターンを、モデル的に示した説明図である。
【図4】RAPD法の結果として得られる電気泳動パターンを、モデル的に示した説明図である。
【図5】RAPD法の結果として得られる電気泳動パターンを、モデル的に示した説明図である。
【図6】RAPD法の結果として得られる電気泳動パターンを、モデル的に示した説明図である。
【図7】RAPD法の結果として得られる電気泳動パターンを、モデル的に示した説明図である。
【図8】E.グロブルス163個体の遺伝的類縁関係を示す系統樹の1部である。
【図9】E.グロブルス163個体の遺伝的類縁関係を示す系統樹の1部である。
【図10】E.グロブルス163個体の遺伝的類縁関係を示す系統樹の1部である。

Claims (6)

  1. 次の工程A〜Cを含むことを特徴とする、RAPD法によるDNAの分析方法。
    A.式(1)により計算されるプライマーの個体識別能又は各プライマーの個体識別能の積を算出する工程
    B.上記工程Aにおいて算出された値が、DNA分析の対象となるX個の個体に対して1/X未満となるように1以上のプライマーを選択する工程
    C.上記工程Bにおいて選択された1以上のプライマーを用い、RAPD法によりX個の個体についてDNA分析を行う工程
    式(1)
    P=[f1/n、(n-f1)/n]max×[f2/n、(n-f2)/n]max×…×[fm/n、(n-fm)/n]max
    (但し、Pはプライマーの個体識別能、f1は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第1フラグメントの増幅が観察された個体の数、f2は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第2フラグメントの増幅が観察された個体の数、fmは当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第mフラグメントの増幅が観察された個体の数であり、[]maxとは、[]内の二つの数式を計算した結果の大小を比較し、大きな方の数値を採用することを意味する。また、ここでn個の個体は、本法によりDNAを分析しようとするX個の個体を全て含む集団から、任意に選抜される。)
  2. 次の工程A〜Cを含むことを特徴とする、RAPD法によるDNAの分析方法。
    A.式(2)により計算されるプライマーの個体識別能又は各プライマーの個体識別能の積を算出する工程
    B.上記工程Bにおいて算出された値が、DNA分析の対象となるX個の個体に対して1/X未満となるように1以上のプライマーを選択する工程
    C.上記工程Bにおいて選択された1以上のプライマーを用い、RAPD法によりX個の個体についてDNA分析を行う工程
    式(2)
    P=[fp1/n、(n-fp1)/n]max×[fp2/n、(n-fp2)/n]max×…×[fpm/n、(n-fpm)/n]max
    (但し、Pはプライマーの個体識別能、fp1は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第1多型フラグメントの増幅が観察された個体の数、fp2は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第2多型フラグメントの増幅が観察された個体の数、fpmは当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第m多型フラグメントの増幅が観察された個体の数であり、[]maxとは、[]内の二つの数式を計算した結果の大小を比較し、大きな方の数値を採用することを意味する。また、ここでn個の個体は、本法によりDNAを分析しようとするX個の個体を全て含む集団から、任意に選抜される。)
  3. nが5以上である、請求項1又は2に記載のRAPD法によるDNAの分析方法。
  4. 次の工程A〜Cを含むことを特徴とする、個体間の識別方法。
    A.式(1)により計算されるプライマーの個体識別能又は各プライマーの個体識別能の積を算出する工程
    B.上記工程Aにおいて算出された値が、識別しようとするX個の個体に対して1/X未満となるように1以上のプライマーを選択する工程
    C.上記工程Bにおいて選択された、1以上のプライマーを用いてX個の個体から抽出されたゲノムDNAにつきRAPD法を行い、増幅されたDNAの電気泳動パターンを比較する工程
    式(1)
    P=[f1/n、(n-f1)/n]max×[f2/n、(n-f2)/n]max×…×[fm/n、(n-fm)/n]max
    (但し、Pはプライマーの個体識別能、f1は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第1フラグメントの増幅が観察された個体の数、f2は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第2フラグメントの増幅が観察された個体の数、fmは当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第mフラグメントの増幅が観察された個体の数であり、[]maxとは、[]内の二つの数式を計算した結果の大小を比較し、大きな方の数値を採用することを意味する。また、ここでn個の個体は、識別しようとするX個の個体を全て含む集団から、任意に選抜される。)
  5. 次の工程A〜Cを含むことを特徴とする、個体間の識別方法。
    A.式(2)より計算されるプライマーの個体識別能又は各プライマーの個体識別能の積を算出する工程
    B.上記工程Aにおいて算出された値が、識別しようとするX個の個体に対して1/X未満となるように1以上のプライマーを選択する工程
    C.上記工程Cにおいて選択された、1以上のプライマーを用いてX個の個体から抽出されたDNAにつきRAPD法を行い、増幅されたDNAの電気泳動パターンを比較する工程
    式(2)
    P=[fp1/n、(n-fp1)/n]max×[fp2/n、(n-fp2)/n]max×…×[fpm/n、(n-fpm)/n]max
    (但し、fp1は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第1多型フラグメントの増幅が観察された個体の数、fp2は当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第2多型フラグメントの増幅が観察された個体の数、fpmは当該プライマーを用いてn個の個体のゲノムDNAに対してRAPD法を行った場合に、第m多型フラグメントの増幅が観察された個体の数であり、[]maxとは、[]内の二つの数式を計算した結果の大小を比較し、大きな方の数値を採用することを意味する。また、ここでn個の個体は、識別しようとするX個の個体を全て含む集団から、任意に選抜される。)
  6. nが5以上である、請求項又はに記載のRAPD法により行う個体間の識別方法。
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