JP3978370B2 - ダム放流水浄化設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダムに貯留されて汚濁されているダム貯留水を浄化して下流に放流する浄化設備に関する。特に、ダム貯留水の放流過程で空気等を撹拌混合させ浄化して下流に放流するダム放流水浄化設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダムに貯留されている水は、降水のない期間が長い等で貯留されている期間が長くなると、水の汚濁が増してくる。この水をこのまま下流へ流すと、下流における様々な生活環境や生物等の自然環境に影響を及ぼし、時には被害を大きくすることもある。即ち、長期間ダムに貯留されている水を何の処理もせず海へ放流すると、下流である海の様々な生態系統に影響を及ぼし、漁獲関係にも影響し漁業関係者の死活問題にまで発展することもある。
【0003】
このようにダムの放流については、人間生活に関わる社会問題としてはもとより自然保護の観点からも細心の注意が要求される。一般にダム貯留水は、下層部は酸素溶存度が低く、上層部は軽くて浮き上がり浮遊する汚濁水が多い。特に上層部は、暑い時期は水温が上昇し、植物プランクトンやアオコ等が異常発生しダムの水を濁す。従来から行われているダム貯留水の浄化は、ダム貯留水そのものを浄化させる方法であり、ダム貯留水を別に設けられた取水池または水槽等に取り込み浄化してから放流する方法等である。
【0004】
即ち、空気をダム底から放出し空気を水中に溶け込ませる方法や、ダムに水中ポンプを有して散水させる方法、空気を積極的にダム貯留水へ供給し、いわゆるばっ気を行って微生物等の水質汚濁を解消し浄化する方法等である。又、ダム貯留水の上層部の水と下層部の水をバケット等の循環装置で撹拌し、入れ替え、貯留水に空気を強制的に送り込み酸素溶融度を向上させる方法等である。又、放流水を浄化する場合は、放流途中で空気を取り込み、空気を混入させた水として放流させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の方法に対し、貯留水そのものを浄化するのでなく放流水を効率的に浄化して放流する方法としている。貯留水を浄化するのは、浄化対象の水の量が多いので、完全に全てを浄化することは困難であることと、又、浄化に時間がかかり効率的とは言えない。さらに浄化の設備も複雑で大掛かりになる傾向があった。このようなことから、汚濁された貯留水による下流の被害を防止するには、放流する水のみ浄化するのが効率的で確実性がある。放流時に単に空気を取り込むのは酸素濃度をやや高めるには多少効果はあるものの、汚濁物質まで含めて完全に浄化するにはまだ問題点を有するものであった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点を解決するもので、下記目的を達成する。
本発明の目的は、主放流管に対し直接あるいは独立して設けられ、噴流にして浄化する撹拌混合装置を設け、ダム貯留水をこの撹拌混合装置を通して効率良く短時間で浄化するダム放流水浄化設備を提供することにある。
本発明の他の目的は、構成が簡素で低コストのダム放流水浄化設備を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明1のダム放流水浄化設備は、
ダムに設置されダム貯留水を浄化して放流する設備であって、
前記ダム貯留水の取水口と、
この取水口から取り込まれた前記ダム貯留水を放流させるため、ダム下部に設置される主放流管と、
この主放流管に直接設けられ、又は主放流管の途中から分岐して設けられる第2の放流管と、
この第2の放流管の放流側に設けられ、空気又は酸素を吸い込み前記ダム貯留水を噴流水にして浄化するための撹拌混合装置と
からなるダム放流水浄化設備において、
前記撹拌混合装置を構成する噴流発生箱の内室は、3次元の箱状の空間で扁平であり、前記空間の長手方向の長さをLに、この長手方向と直交する方向の厚さをHに、幅をWとし、前記攪拌混合装置の噴射ノズルの開口の有効直径をD1とすると、D1<H、W/H>4、且つH<Lの関係にあることを特徴とする。
【0009】
前記撹拌混合装置を前記主放流管に直接接続する場合は、前記ダム貯留水の量が比較的少ない場合等に有効である。分岐させて設ける場合は、前記ダム貯留水の汚濁がひどくない場合に適用できる。この場合は前記ダム貯留水の一部を酸素溶存度の高めた水として前記主放流管からの水と混合させ下流に放流する。又、前記撹拌混合装置を複数個設置することも可能であり、これらはダムの設置条件によって選択すればよい。
【0010】
本発明2のダム放流水浄化設備は、本発明1において、前記主放流管の途中から分岐して第3の放流管が設けられ、この第3の放流管に前記ダム貯留水の放流を利用して発電し、前記攪拌混合装置に前記空気又は酸素を供給するための動力源とするための水力発電装置が設けられていても良い。本発明1又は2の水力発電装置は、ダムの放流落差で生じるエネルギーを有効利用するもので、得られた電力を前記空気、又は酸素供給、発生のためのコンプレッサー、酸素発生機等の駆動源に使用する。24時間連続稼働が可能で、常に圧縮空気の供給が可能である。余剰電力は他にも使用できることはいうまでもない。
【0011】
本発明3のダム放流水浄化設備は、本発明1において、前記第2の放流管は、前記主放流管と一体に構成され、前記第2の放流管の放流側に複数の前記撹拌混合装置が設けられると良い。前記ダム貯留水が多い場合、あるいは汚濁度が高い場合に有効である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本発明のダム放流水浄化設備1の全体構成を示すもので、ダム2の正面図を示している。図2は図1の側面図で取水口の配置構成を示す。ダム2の取水口3より取水した水は、ダム2の下部に設けられた主放流管4に導かれ、この主放流管4からダム貯留水は下流の放流路に放流される。図には主放流管4のみの構成が示されている。しかし、本発明のダム放流水浄化設備1には、図示していないが放流側の主放流管4に分岐して後述する第2の放流管及び第3の放流管が設けられている。
【0013】
一方、ダム2側には、ダム貯留水を取り込むためのダム取水塔5が設けられ、このダム取水塔5に取水口3が取り付けられている。ダム壁にそって鉛直方向にダム取水塔5が設けられ、このダム取水塔5は断面が半円形状になっていて、内部は空間で放流される水の放流路となっている。ダム取水塔5の半円形の側壁には、鉛直方向に千鳥状に上部が開放された複数の取水口3が取り付けられている。これら取水口3は、所定の高さ位置にそれぞれ固定的に取り付けられていて、ダムの水位に応じて水を取り込む構成になっている。
【0014】
取水口3のダム取水塔5側には、ゲート(図示せず)が設けられていて、ダム取水塔5上部に設置された開閉装置で開閉自在である。従って水位の変化によってこれらゲートの開閉を調整することにより放流すべき放流水の量をコントロールできる。水位が高く上部の取水口3の高さを超えるような場合は、水は全ての取水口3から取り込むことは可能である。また、水位が低くて下方に設置された取水口3以下になった場合は、取水されないことになる。
【0015】
しかし、低水位用としてゲート取水口6がダム取水塔5下部の主放流管4取り付け位置に設けられていて、通常は閉じられているこのゲート取水口6を開放すれば、ダム底の水の取水は可能である。又、ダム取水塔5下部の主放流管側には、修理用のゲート7が設けられていて、後述する放流管の放流側の諸設備の点検、トラブル処理等の際には、このゲート7を閉じることにより、取水口3から主放流管4へ水が流れるのを防止する。又、主放流管4の放流側には、ダム貯留水を放流するための諸設備が設けられている。図示している部分は、空気弁から空気を取り込み、空気を混入した水をこの主放流管4から直接下流へ放流している構成を示している。
【0016】
次に放流側に設置される装置について詳述する。図3は主放流管4の放流側の詳細を示した部分正面図である。図4は図3の平面図である。主放流管4はダム2の下部に水平状態で敷設され、途中から45度で立ち上がる構成になっている。この立ち上がり角度は限定されるものではない。この立ち上がり部分の主放流管4の下部にドレーン管8が接続されている。このドレーン管8は、主放流管4の下に溜まった砂等を回収するためのもので、その回収された砂等はこのドレーン管8を経て下流側に放流される。
【0017】
このドレーン管8の途中に仕切弁9が設けられ、必要とするときこの仕切弁9を開放する。又、主放流管4の立ち上がり部分の上部には、ピット10が設けられ、超音波流量計11が取り付けられている。この主放流管4は立ち上がり部分の一部が浮いた状態で固定され、その途中に後述する分岐管12が接続されている。主放流管4上部は、ダム2の一部が筐体13を構成していて、諸装置が格納されるようになっている。
【0018】
この筐体13の天井にはクレーン14が主放流管4に沿って設けられ、メンテナンス等のときに各装置を吊り下げ移動できるようになっている。又、筐体13内には、点検等のための足場19,20が設けられている。主放流管4の放流側は水平状態で45度向きを変えて設置されている。この部分の主放流管4に空気を取り込むための空気弁15が接続されている。この空気弁15は鉛直方向に設置されていて、空気は上部の空気口から主放流管4に取り込まれる。
【0019】
又、この空気弁15に隣接して流量調整弁16が設けられている。この流量調整弁16は予備にさらに1セット同じものが設けられている。さらにこの主放流管4にはマンホール17が設けられている。主放流管4は、例えば口径が直径800mm以上あれば、人が管内に出入りし点検できる。又、このマンホール17にも、空気管18が取り付けられている。このような構成で主放流管4は放流中に空気を取り込み、空気弁15部分を通過した水は空気を含んで空気の溶存度を高めて矢印のように放流路Aに放流される。
【0020】
一方この主放流管4の一部には、前述のとおり分岐管12が取り付けられている。この分岐管12は分岐後更に二股に分岐し、一方は第2の放流管21を構成し、他方は第3の放流管22を構成している。第2の放流管21には、本発明の特徴をなすもので、放流水を積極的に浄化する撹拌混合装置23が設けられている。他方の第3の放流管22には水力発電装置24が設けられている。これら第2の放流管21及び第3の放流管22から放流される水は桝Bに放流され一旦貯水されてから下流に流される。桝Bは放流路Aに通じている。
【0021】
次に各々の装置について説明する。図5は、撹拌混合装置23の取り付け構成を示している。図6は図5の平面図で、図7は撹拌混合装置23の主要部をなす噴流発生箱25の側面図を示す。この撹拌混合装置23は、主にダム貯留水を受けて噴流を発生させる噴流発生箱25とこの噴流発生箱に空気を送り込むコンプレッサー31とからなっている。ダム2外方の下部コンクリート基礎上に撹拌混合装置23の主要部である噴流発生箱25が設置されている。この噴流発生箱25の一端はフランジ26構成になっていて、第2の放流管21の端部が取り付けられる。噴流発生箱25にはこの端部からダム貯留水が供給される。
【0022】
一方この噴流発生箱25の端部にはエアーを供給するエアパイプ27が接続されている。本実施の形態においては、このエアパイプ27に圧縮空気を供給できる装置が示されている。噴流発生箱25の設置されている基礎上からやや高い基礎28上に防振架台29が設けられ、この防振架台29上に防振ゴム30を介してコンプレッサー31が取り付けられている。
【0023】
このコンプレッサー31はモータにより駆動するもので、空気口32より空気を取り込み圧縮して圧縮空気を供給する。圧縮空気はエキスパンション継ぎ手33を介してサイレンサー34に導かれている。続いて逆止弁35、仕切弁36を通過し、エアパイプ27を介して噴流発生箱25に供給される。
【0024】
この噴流発生箱25とコンプレッサー31の取り付け位置、特に取り付け角度Cは任意に設定することができる。図6の場合の相互の開き角度は90度に配置してある。噴流発生箱25は鋼板構成で外周を帯鋼で補強したものである。噴流発生箱25による噴流発生原理は、噴流発生箱25の内室25aにダム貯留水と空気を送り込み、コアンダ効果によって渦を発生させ撹拌力により気水混和を強制的に行わせて溶存酸素量を増加させるものである。
【0025】
図8は、噴流発生箱25を基礎上に設置した状態を示している。この場合は、噴流発生箱25は主放流管4より下方に設置され、分岐管12及び第2の放流管21も下方位置に接続されている。ダム貯留水はこの噴流発生箱25から送り出されると、溶存酸素量の多い噴流水となって一旦桝Bに送り出され、続いて第4の放流管37を通して下流方向の放流路A等に流される。
【0026】
次に噴流発生箱25についての原理を、模式的に説明用として示す図9の構成図に従って詳述する。図9に示す噴流発生箱25は、扁平の長方体状のものであり、長手方向が略鉛直方向を向くように図示されている。噴流発生箱25の一方の面(図9の上面)には、ダム上部からダム下部へ落下して加圧された水を噴流発生箱25の内室25aへ噴射する噴射ノズル38が固定されている。なお、図5,6では、噴流発生箱25は、長手方向が横方向(水平方向)を向くように取り付けられていて、水は横方向から噴流発生箱25の内室25aへ導かれ噴射される。
噴射ノズル38は、断面が円の円筒環状空間を有するものである。噴流発生箱25の内部は区画された内室25aを構成している。
【0027】
内室25aの内部空間Vは、3次元の箱状の空間で扁平であり、図9に示すように、空間の長手方向の長さをL、この長手方向と直交する方向の概ねの厚さをHで、概ねの幅をWで表し、噴射ノズル38の開口の有効直径をD1とすると、概略するとD1<H、W/H>4、且つH<Lの関係にある。ただし、前記関係に加えてW<Lの関係にあるものが好ましい。噴射ノズル38から噴射された主噴流は、長手方向(図9の鉛直方向)で内部空間Vの概ねの中心線の方向に噴射される。
【0028】
主噴流が噴射されると、内室25aの8隅には、コアンダ効果により低圧渦である付着渦が発生し、主噴流には付着噴流が発生する。従って、内室25aには、図9に示すように主噴流が、2方向の何れかに分かれて流れるが、この流れは不安定であるので、他方の流れに切り替わる。即ち、主噴流は不安定であり揺れながら流れが発生することになる。これらの噴流は、ダム貯留水と空気とを均一に混合、撹拌する機能がある。
【0029】
更に、詳述すると、噴射ノズル38は噴流発生箱25の一方の面(図9の上面)に対し直角方向に配置されているため、噴射ノズル38から噴流発生箱25の内室25aに放出されるとき水流は、噴射ノズル38から吐出されると同時に周囲に強い二次流れを生じさせ噴流となる。これは噴射ノズル38から吐出されるとき流れの断面積が急に拡大するため、流速の大きい噴射ノズル38の流れが流速の小さい内室25a内の流れに衝突して流れを乱すことで発生する。この乱れた流れで内部摩擦による水頭損失が生じる。噴射ノズル38からの流れの形態は、管路の断面積がゆるやかに変化して拡がると想定した場合は、噴射ノズル38から吐出した後管側に引き寄せられ付着して流動するいわゆるコアンダ効果が発生する。
【0030】
このコアンダ効果は、前述した寸法条件でなくてもよいが、好ましくは前述した寸法条件にすれば図9に示すように確実に内部空間Vに噴流が発生し、この噴流は何れかの方向に片寄った流れを示し、交互に揺動する。噴射ノズル38の中心には、空気吸入管39の端部(図9の下端)が配置固定されている。空気吸入管39は、噴射ノズル38から吐出されるダム貯留水の負圧により空気を大気中から引き込むものであるが、図5の形態においては、コンプレッサー31によって圧縮空気を強制的に引き込むようにしている。
【0031】
従って、噴射ノズル38から噴射されるダム貯留水と共に、空気吸入管39の端部(図9の下端)から空気が強制的に内室25aに同時に吸入される。圧縮空気を供給することは、大量のダム貯留水を短時間で浄化することに寄与する。噴流発生箱25の他方の端部(図9の下端)の吐出口には、吐出管40が連結されている。この吐出管40は桝Bへ導かれ、噴流水を吐出する。この吐出管40はこの設備の設置状況に応じて任意に向きを変え配置すればよい。
【0032】
噴流発生箱25の構造は以上のようになっているが、発生する噴流には次のような機能がある。前述のとおり、噴射ノズル38から噴出された主噴流は、長手方向(図9の鉛直方向)で内部空間Vの概ねの中心線の方向に噴射される。主噴流が噴射されると内室25aの8隅にはコアンダ効果により低圧渦である付着渦が発生し、主噴流には付着噴流が発生する。この付着噴流により、内室25aの扁平の平面で切断した面で捉えると主噴流は概ね1方向に分岐し、かつどちらかの方向に揺れる。但し、図9の噴流の流れを示す矢印は、ある断面での流れを示すために便宜的に図示したものである。
【0033】
この主噴流は空気と共に内室25aに入る。内室25aに入ったダム貯留水と空気は、コアンダ効果による付着渦、付着噴流等を伴う噴流によりエネルギーは損失するが、両者は均一に混合、および撹拌される。このダム貯留水と空気の混合により放流水の溶存酸素濃度は飛躍的に増加する。同時に、このとき若干のキャビテーションも発生し、この作用により貯留水中のアンモニア、二酸化炭素等を脱気する。
【0034】
空気は水の吸い込み圧を利用して内室25aに供給されるようになっているが、空気の代わりに酸素を供給するようにしてもよい。本発明の構成の場合は、断面積が急激に変化するので、流れは外側に引き寄せられるものの、噴射ノズル38から出たとたんに急激に引き寄せられるため、流れは内室25aの角部に拡散し、この角部に負圧を生じていわゆる渦状のキャビテーションを起こし二次流れを引き起こす。又、噴射ノズル38から吐出される貯留水は、ノズル形状の誤差、圧力等の相違、また内室25aの形状等の相違から実際は均等に噴出していない。実際の流れは、図9の矢印Xのように複雑に揺動して、噴流状態を一層加速させている。
【0035】
このように本発明に使用する噴流発生箱25は、積極的に噴流状態を作り出しているところに特徴がある。言い換えると、水流が噴射ノズル38から吐出されると、Y部が水流の勢いで負圧になり内部で流れは衝突しており、水や気泡を逆に呼び込もうとして逆流が発生する。
【0036】
内室25aには空気が同時に送り込まれているので、空気が吸い上げられ噴射ノズル38からの水流と合わせて矢印のように内室25aの他方の端部(図9の下部)まで撹拌混合状態となり噴流となる。内室25aの他方の端部(図9の下部)には吐出管40が接続しているが、内室25aの長さは限定されており、またその開口している吐出管40の吐出面積は内室25aの断面積に比べ小さいので、内室25aの水流の一部は内室25aの他方の面(図9の底面)から逆に上昇する。
【0037】
上昇すると上方から供給される水流に押し戻され、空気は微細な気泡となり水流の中に溶け込む。この噴流は、通常にみられる白い泡状のものと異なり、極めて細かい気泡を含んだものであり、完全に液体に溶け込んでいるので、この噴流によって作られた放流水は、長時間にわたって空気を放流水中に保つことができる。
【0038】
最適な噴流状態については、吐出管40断面積、内室25aの断面積、内室25aの長さを考慮して、所定の計算式に基づき最適条件を設定する。
【0039】
このように噴流発生箱25は、この噴流により微細な気泡を作り出すと同時に、水中に含まれる寄生虫や糞等の有害な有機物を分解する機能も備えている。内室25aの形状は扁平状としているが、噴流発生の条件を満たすものであれば、扁平状に準じる異なった形状のものでもよい。又、細部の形状は、ノズル径や内室25aの長さ、幅等の条件により最適な形状のものを設定すればよい。
【0040】
図10は、第3の放流管22に接続された水力発電装置24の構成を模式的に示した正面図で、図11はその平面図である。主放流管4より分岐された分岐管12は主放流管4との間に制水弁41を設け、放流状態をコントロールしている。又、図示していないが排気弁を制水弁41に隣接して設け、排気が可能なように構成されている。分岐管12は更に2つに分岐し、その1つが第3の放流管22であり、水力発電装置24が連結している。
【0041】
分岐管12から第2の放流管21及び第3の放流管22に分岐する部分には規格化されたストレーナ42が設けられている。このストレーナ42は内部にスクリーンを有しフィルターの役目をなし、水力発電装置24に塵芥が入り込むのを防止している。又、この分岐管12にはストレーナ42を挟んでバイパス回路を構成し、そのバイパス回路の中間にバイパス仕切弁43が設けられている。
【0042】
このように分岐管12に付随した装置を介して第3の放流管22が接続されていて、この第3の放流管22の吸入側にインライン型の低差圧用定流量弁44が取り付けられている。更に低差圧用定流量弁44を介して水力発電装置24の水車24aに導かれている。本発明の実施の形態においては、水車24aをフランシス水車としている。この水車24aにより、発電機24bを回転させ発電している。この発電機24bを機能させるためには、水圧が必要である。このため取水口3の位置は、この発電機24bを機能させるに十分な落差を必要とする位置として保持されている。
【0043】
例えば、本実施の形態においては、下方に位置する取水口3の位置を落差に必要な高さに設置するためには、水車の出力能力が5kwであれば、放流過程で通過する各装置の水頭損失を考慮して、水車の中心軸から20mの高さに設ければよい。これらの設定は、取り付けられる装置の仕様とも合わせて検討し決定すればよい。水車24aから放流される水は、桝Bに流される。発電機24bによって発電される電力は、撹拌混合装置23のコンプレッサー31を駆動させるモータの駆動源として利用される。
【0044】
図12は、他の実施の形態を示している。この場合は、ダム貯留水を放流する主放流管45に、攪拌混合装置としての噴流発生箱25を取り付けた構成である。ダム貯留水は開閉装置46を介してパイプにより噴流発生箱25に導かれる。噴流発生箱25の吸い込み口には空気吸い込み口47が設けられ、ダム貯留水は、放流の勢いで空気を吸い込み、この水は前述同様の噴流状態で撹拌混合された酸素溶存量の高い噴流水となって下流に放流される。
【0045】
図13は、図12の変形例を示す他の実施の形態である。図12は主放流管45に噴流発生箱25を一つ取り付けた構成であったが、図13は主放流管45に攪拌混合装置としての噴流発生箱25を2個取り付けた構成である。ダムからのダム貯留水は管路途中で2つに分岐し2つの噴流発生箱25に導かれる。ダム貯留水が多い場合に有効である。この形態において、噴流発生箱25の設置は2つに限定されることはなく、必要に応じて複数の噴流発生箱25を設置すればよい。図12及び図13の形態において、空気の供給は、圧縮空気による強制的な供給方式ではないが、ダムの場合、取水口から噴流発生箱25までの落差が大きいので、水の勢いで空気を十分に吸入することができ前述の機能は果たせる。
【0046】
このように本発明の構成は、種々な形態のダム設備に適用することが可能である。従って、実施の形態に記載された内容に限定されないことはいうまでもない。なお、前述したものは、噴流発生箱25により空気、又は酸素を混合するものであったが、この空気、又は酸素を混合する方法は、攪拌翼による混合、水中に空気又は酸素をノズル噴射する方法等の公知の他の方法であっても良い。
【0047】
(実施例)
貯留水の水量:1〜1.5トン/秒(酸素溶存量:0)
空気の吸い込み量:50リットル/秒この条件の貯留水と空気を噴流発生箱に通した結果放流水の酸素溶存量:7mg/リットル
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明は、ダム貯留水を撹拌混合装置で空気を強制的に取り込み、短時間に噴流状態にして気泡の多い放流水とする設備とすることができる。即ち酸素を多く含む酸素溶存度の高い水に浄化して下流に放流するようにしたので、下流へ汚濁水を放流することがなく、自然環境保全に寄与することとなった。又、放流の流れを利用した発電の電力で空気を撹拌混合装置へ強制的に供給するようにした方式なので、放流水の浄化効果を一層高めた上、外部から電力の供給等を要することがなく、設備のメンテナンスが簡略化された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のダム放流水浄化設備の全体正面図である。
【図2】図2は、図1の側面図である。
【図3】図3は、主放流管の構成を示す部分正面図である。
【図4】図4は、図3の平面図である。
【図5】図5は、撹拌混合装置の正面図である。
【図6】図6は、図5の平面図である。
【図7】図7は、図6の側面図で噴流発生箱を示す。
【図8】図8は、噴流発生箱の設置状態を示す部分正面図である。
【図9】図9は、噴流発生箱の噴流発生原理を示す説明図である。
【図10】図10は、水力発電装置の正面図である。
【図11】図11は、図10の平面図である。
【図12】図12は、他の実施の形態を示し、主放流管に噴流発生箱を取り付けた部分図である。
【図13】図13は、他の実施の形態を示し、主放流管に2つの噴流発生箱を取り付けた部分図である。
【符号の説明】
1…ダム放流水浄化設備
2…ダム
3…取水口
4…主放流管
12…分岐管
21…第2の放流管
22…第3の放流管
23…撹拌混合装置
24…水力発電装置
24a…水車
25…噴流発生箱
25a…内室
31…コンプレッサー
38…噴射ノズル
39…空気吸入管
Claims (3)
- ダムに設置されダム貯留水を浄化して放流する設備であって、
前記ダム貯留水の取水口と、
この取水口から取り込まれた前記ダム貯留水を放流させるため、ダム下部に設置される主放流管と、
この主放流管に直接設けられ、又は主放流管の途中から分岐して設けられる第2の放流管と、
この第2の放流管の放流側に設けられ、空気又は酸素を吸い込み前記ダム貯留水を噴流水にして浄化するための撹拌混合装置と
からなるダム放流水浄化設備において、
前記撹拌混合装置を構成する噴流発生箱の内室は、3次元の箱状の空間で扁平であり、前記空間の長手方向の長さをLに、この長手方向と直交する方向の厚さをHに、幅をWとし、前記攪拌混合装置の噴射ノズルの開口の有効直径をD1とすると、D1<H、W/H>4、且つH<Lの関係にある
ことを特徴とするダム放流水浄化設備。 - 請求項1に記載のダム放流水浄化設備において、
前記主放流管の途中から分岐して第3の放流管が設けられ、この第3の放流管に前記ダム貯留水の放流を利用して発電し、前記攪拌混合装置に前記空気又は酸素を供給するための動力源とするための水力発電装置が設けられている
ことを特徴とするダム放流水浄化設備。 - 請求項1に記載のダム放流水浄化設備において、
前記第2の放流管は、前記主放流管と一体に構成され、前記第2の放流管の放流側に複数の前記撹拌混合装置が設けられる
ことを特徴とするダム放流水浄化設備。
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