JP3978017B2 - 金属ビレットの連続加熱法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属ビレットの連続加熱法に関し、より詳細には、金属ビレットを連続的に加熱してから加工装置へ送って加工を行う際に、連続加熱時における該ビレットの加熱温度のバラツキを可及的に低減し、安定した品質の加工品を製造し得る様に改善された連続加熱法に関するものである。
【0002】
なお本発明の連続加熱法は、Al合金やチタン合金などの非鉄金属や鉄鋼材などの金属ビレットを加熱してから温間もしくは熱間加工する際の連続加熱法として広く活用できるが、本明細書ではAl合金ビレットを加熱してから温間または熱間で押出加工する際の連続加熱法を代表的に取り上げて以下説明していく。しかし本発明はもとよりAl合金ビレットを押出加工する際の加熱法に限定されるわけではなく、他の非鉄金属ビレットや鉄鋼ビレットを温間もしくは熱間で鍛造したり圧延し、或いは伸線加工する際の加熱にも同様に適用できる。
【0003】
【従来の技術】
Al合金の押出加工品は構造部材など様々の分野で広く使用されており、それらA1合金押出加工品については、近年、製品品質の厳格化の要求が益々高まってきている。従来、Al合金押出材の機械特性については、例えば、耐力値が幾ら以上、引張強度が幾ら以上という様に、下限値のみを規定する場合が多かった。ところが最近では、自動車材等の用途を始めとして、下限だけでなく強度や耐力値の上限についても規定されるケースが増大している。
【0004】
前述の如く強度などの下限値のみが決められているケースでは、当該下限値さえクリアしておれば、一つのビレットから製造される押出加工品において長手方向の品質差やビレット毎の品質差が多少あってもスペックアウトになることはなかった。ところが、上記の様に物性値の上下限値が規定された高品質のA1合金押出材が求められるようになってくると、長手方向の品質がばらついたり押出材毎の品質がばらつくと、その要求を満たさない場合も生じてくる。
【0005】
他方、A1合金ビレットの加熱法としては、加熱炉内を幾つかの加熱帯(ゾーン)に区分し、加熱帯毎に目標温度を設定して低温側から徐々に昇温していく加熱法が一般的である。また温度制御法は、各加熱帯に設置された温度計(熱電対など)により被加熱材の温度を実測し、各加熱帯での目標温度と実測値を比較することによって、バーナ加熱などのON/OFF制御が行われる。ここで、加熱帯毎に設置される温度計は通常単数であり、その測温位置も出炉するAl合金ビレットの先端部付近に決められている。
【0006】
一方、Al合金ビレットは長ければ長い程、生産性という観点からは望ましいが、押出設備の能力(プレス能力、コンテナ長、テーブル長など)の点からその上限も自ずと決まってくる。このため、装置能力の上限に極力近い長さにビレット長を決め、しかもビレット加熱も必要最低限の温度にすることが一般的であった。
【0007】
ちなみに、Al合金ビレットに適用される通常の加熱条件は下記の通りである。
【0008】
Al合金ビレット長:300〜1000mm
加熱炉の各加熱帯の長さ:500〜1500mm
押出用コンテナ長さ:1000mm前後
押粕長さ:30〜150mm。
【0009】
なお上記押粕とは、押し終えた時点でコンテナ内に残っているビレットのことを指す。押し出された押出製品の先端部と後端部も元々欠陥を生じ易い非定常部分であり、これらの部位も約500mm〜3000mm程度切り捨てられるが、この部位はオフゲージと呼ばれる。よって、押粕の断面積はビレット断面積であり、オフゲージの断面積は押出製品の断面積となる。
【0010】
しかし上記の様な従来の加熱法では、必ずしも加熱帯の長さとビレット長が一致せず、このため例えば図1に示す如く、一つのビレットが複数の加熱帯に跨って加熱される場合が生じてくる。その結果、ビレットの先端側と後端側で温度差ができたまま出炉されたり、ビレット毎に加熱温度がばらついたりするケースがしばしば発生する。
【0011】
例えば図1の例では、ビレット▲1▼の加熱温度は等しく460℃に高められている。しかし、ビレット▲2▼は最終加熱帯とその前の加熱帯に跨っており、その前方側は目標温度である460℃まで加熱されているが、後方側は加熱不足で430℃までしか加熱されていない。よって、ビレットの測温位置が加熱帯の先端側にしか設けられていない加熱設備では、目標温度に達しているビレット▲2▼先端側の温度(460℃)を検知して加熱のON/OFF制御が行われるため、ビレット▲2▼の後方側は加熱不足(430℃)のままで押出装置へ送られることになる。
【0012】
他方、A1合金押出材の機械特性は、押出時の製品温度と密接に関係しており、製品温度は、「ビレット温度+加工発熱−周囲への抜熱」により決まってくる。押出材の形状が決まれば、加工時の発熱量はほぼ一定になるので、結局、ビレット温度のバラツキがそのまま製品温度のバラツキとなって現れてくる。
【0013】
また製品温度のバラツキは、Al合金押出材の品質(表面品質や機械的特性)にも顕著な影響を及ぼす。通常のAl合金の場合、製品温度が約560℃を超えると焼付き不良などを起こし易くなることが確認されており、製品温度は560℃程度以下に保つことが重要とされている。
【0014】
また、押出材の機械的特性を安定に保つには、押出材の長手方向で、また押出材毎に、加熱温度を極力一定にすることが必要となる。
【0015】
そして上記の様に加熱温度にバラツキが起こると、前述の如く、1)押出材長手方向の品質にバラツキが生じたり、2)押出材毎の品質にバラツキが生じる、といった不具合が生じてくる。A1合金押出材の場合、製品温度に30℃程度のバラツキがあっても、最近における厳しい品質規格に適合せず、製品不良となる可能性がある。
【0016】
ちなみに、Al合金ビレット押出加工前の加熱に用いられる通常の加熱炉は、4,5個の加熱帯を直列に配置してなるもので、これらの加熱帯を通過する過程で、目標温度である400〜500℃にまで加熱される。この間、隣り合った加熱帯の温度差は一般的に数10℃〜100℃程度であり、Al合金ビレットの長手方向に例えば100℃の温度差がついてしまうと、押出時間が数分で終わってしまうAl合金押出では、ビレット内で均熱される前に温度勾配がついたままでコンテナへ導入され、押出加工が行われることになる。
【0017】
この様に現状のビレット加熱法では、均質性について最近ますます厳しさが増している需要者の要求を満足させることができず、加熱温度をより高精度に制御し得る様なビレット加熱法が求められる。
【0018】
また生産条件など他の要因にも関係するが、ビレット長手方向の温度バラツキや、ビレット毎の温度バラツキを完全に回避できないことも多く、この様な場合は、ビレット毎にスペックアウトとなる部分、即ち許容される加熱温度範囲外となるビレットの領域を可及的に低減し、押出加工後の製品から加工不良域を切除した後の歩留りを可能な限り高めることが、押出加工品の品質を安定化する上で極めて重要となる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、従来法に比べて高い生産性と製品歩留りを得ることのできる金属ビレットの連続加熱法を提供することにあり、より詳細には、生産性向上のためビレット長を長くした場合でも、加工前の加熱温度のバラツキを可及的に低減し、或いは生産条件などによっては加熱温度のバラツキを回避し得ない場合でも、該温度バラツキを可及的に抑制し、ビレット単位での製品歩留まりを高めることのできる連続加熱法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明に係る連続加熱法とは、連続して並べられた複数の金属ビレットを順次加工装置へ送って加工する際に、各ビレットを加工前に加熱炉で連続的に加熱するに当たり、
複数の加熱帯に区分された加熱炉の該加熱帯に金属ビレットをその長さ方向に順次通過させ、加熱炉出側で目標温度となる様に金属ビレットを連続的に加熱する連続加熱法であって、第1の方法は
(1)各加熱帯に設置された温度計によって当該加熱帯中の金属ビレットの温度を実測し、該実測された温度と予め設定されている当該加熱帯における目標温度とを比較して加熱源のON/OFF制御を行い、
区分された前記加熱帯のうち加工部直前の加熱帯(最終加熱帯)の長さをLh、該金属ビレットの長さをLb、加工装置能力によって定まる該ビレットの押出可能最大長さをLbmaxとしたとき、下記式(a)、(b)を同時に満たし、且つnが最小となるLbに長さ調整した各ビレットを連続して並べ、各ビレットを前記区分された加熱帯に順次通過させることにより、各ビレットを均一に加熱する
Lh=nLb……(a)
(式中、nは1以上の整数を表す)
Lb≦Lbmax……(b)
ところに要旨を有しており、また第2の方法は、
(2)各加熱帯に設置された温度計によって当該加熱帯中の金属ビレットの温度を実測し、該実測された温度と予め設定されている当該加熱帯における目標温度とを比較して加熱のON/OFF制御を行うこととし、区分された前記加熱帯のうち加工部直前の加熱帯(最終加熱帯)の長さをLh、予め定められた各ビレットの長さをLbとしたとき
Lh≠mLb……(c)
(式中、mは1以上の整数を表す)
である場合に、
f=(Lh−mLb)/Lb……(d)
(式中、mはLh>mLbを満たす1以上の整数で最大の値を表す)
の値を求め、
f≧0.5であるときは、前記最終加熱帯から出炉される金属ビレットの前記温度計による測温を当該最終加熱帯の出側から「0<T<(Lh−mLb)」(Tは温度計の設置位置を表す)の位置で測温を行い、
f<0.5であるときは、前記最終加熱帯から出炉される金属ビレットの測温を当該最終加熱帯の出側から「(Lh−mLb)<T<(Lh−(m−1)Lb)」(Tは温度計設置位置を表す)の位置で測温を行い、
夫々の測温結果に基づいて加熱のON/OFF制御を行うことにより、金属ビレットの過加熱領域または加熱不足領域を5割未満に抑えるところに要旨を有している。
【0021】
【発明の実施の形態および実施例】
本発明者らは前述した様な課題の解決を期して鋭意検討を重ねた結果、上記(1)、(2)の方法を採用すれば、上記課題が効果的に改善されることを知り、上記連続加熱法に到達した。以下、具体例を参照しつつ本発明の構成と作用効果を詳細に説明するが、本発明はもとより図示例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。また下記では、再びAl合金ビレットを加熱してから温間もしくは熱間で加工する場合を主体にして説明を進める。
【0022】
本発明において上記(1)の加熱法は、Al合金ビレットの長さに比較的自由度を持たせることができる場合に有効な加熱法として位置付けられ、少なくとも押出用コンテナ直前位置の加熱帯、即ち最終加熱帯内に存在するAl合金ビレットの長手方向で加熱温度にバラツキが生じない様にすると共に、生産性を可能な限り高め得る様に当該ビレット長さを制御する点に特徴を有している。
【0023】
即ち、Al合金ビレットの長さを任意に設定・変更できる自由度を持った設備に適用する場合、加熱装置に設けられた複数の加熱帯のうち、押出加工部直前の加熱帯(即ち、最終加熱帯)の長さをLh、Al合金ビレットの長さをLbとしたとき、まず第1に、LbがLhに応じて前記式(a)の要件を満たす様に、即ち、LhがLbのn倍となる様に設定する。
【0024】
そうすると、加熱設備で連続的に加熱されるAl合金ビレットは、例えば図2に略示する如く、最終加熱帯内には常にn個(図示例ではn=3)のビレットがきっちりと収まり、ビレットの一部が最終加熱帯からはみ出す(即ち、その上流側の加熱体と跨る)といったことがなくなる。従って、最終加熱帯の任意の一箇所でビレットの測温を行って加熱源のON−OFF制御を行えば、最終加熱帯内における全てのビレットを所定の温度(例えば460℃)に加熱することができる。
【0025】
そして上記式(a)の要件に加えて、前記式(b)で規定する如く、n×Lbが、押出装置によって決まる押出可能最大長さLbmaxを超えない範囲でnが最小となる様に各ビレット長さLbを決めておけば、当該押出設備の能力に応じて最大の効率で押出成形を遂行することが可能となる。
【0026】
しかし実操業においては、インゴット(長い鋳造棒)から押出加工用ビレットに切断する際の歩留りや他の条件(製品要求長さなど)によっては、ビレット長さに自由度が無く、上記式(a)、(b)を満たさない長さのビレットを使用せざるを得ないことも生じてくる。その場合、一部のビレットは二つの加熱帯に跨ることになり、同一ビレット内で、あるいはビレット間で加熱温度にバラツキ(温度差)が生じてくる。
【0027】
本発明に係る上記(2)の加熱法はこの様な場合、即ち前記式(c)に示す如く「Lh≠mLb」である場合に適用されるもので、連続加熱時におけるビレット温度測定のための温度計(熱電対など)の位置を可動式とし、或いは最終加熱帯の少なくとも先端側と後端側の2箇所で計測できる様に設置し、先端側または後端側で測温して加熱源のON/OFF制御を行うことにより、押出用コンテナへ送り込まれるビレットの温度制御を行う。
【0028】
例えば図3,4は、この方法を実施する際の概略説明図であり、前述の如く「Lh≠mLb」であるから、最終加熱帯内のビレットの一部は、該最終加熱帯の直上流側の加熱帯に跨ることになる。この図3,4では、3本目のビレット▲3▼が最終加熱帯とその上流側の加熱帯に跨る場合を示している。
【0029】
この場合は、前述の如く、mを「Lh>mLb」を満たす1以上の整数で最大の値としたとき(図3,4の例ではm=2)、前記式(d)によって算出されるf値が「f≧0.5」であるか、「f<0.5」であるかによって、最終加熱帯における加熱源ON/OFF制御のための測温位置を先端側または後端側に変更することで、最終加熱帯内におけるビレットの温度差を0(ゼロ)にできないまでも、過加熱領域または加熱不足領域を確実に50%未満に抑える。
【0030】
即ち図3は、「f≧0.5」であるとき、即ち、最終加熱帯とその直前の加熱帯に跨って存在するビレット▲3▼のうち、最終加熱帯内に位置する長さLxがその直前の加熱帯に位置する長さLyよりも長い(即ち、Lx>Ly)場合の制御例を示している。この場合、最終加熱帯における加熱源ON/OFF制御のための測温を最終加熱帯の出側から「0<T<(Lh−mLb)」(Tは温度計の設置位置を表す)の位置で行うことにより、最終加熱帯内に存在するビレットを目標温度(460℃)に加熱してから押出装置方向へ送る。この時、最終加熱帯とその直前の加熱帯に跨って加熱されたビレット▲3▼までが押出装置方向へ搬送されるようにスケジュールを組む。
【0031】
そうすると、両加熱帯に跨って加熱されたビレット[3]のうち、後方側の長さ(Ly:図示例の場合では50mm)分は加熱不足の状態(430℃)で押出装置方向へ送られることになるが、ビレット長さ(Lb)の50%以上を占める(Lx)長さ分は目標温度(460℃)に加熱された状態で押出装置方向へ送られるので、加熱不足領域の長さ(Ly)をビレット全長(Lb)の50%未満に抑えることができる。尚、最終加熱帯内でビレット[3]の前方に位置していたビレット[1],[2]は、何れも全長に亘り目標温度に加熱された状態で先に下流側へ送られ、押出加工されている。
【0032】
そして、ビレット▲3▼が押出装置方向へ送られた後は、ビレット▲4▼,▲5▼,▲6▼の全体が加熱不足の状態であるので、最終加熱帯の先端側に位置するビレット▲4▼の測温結果に基づいて加熱源をONとし、目標温度460℃にまで昇温する。この操業を繰り返すことで、図示例では3本のビレットのうち1本だけが、全長の50%未満の長さ(Ly)領域で加熱不足となるだけで、それ以外は全て目標温度に加熱された状態で押出加工を行うことが可能となる。
【0033】
これに対し図4は、「f<0.5」であるとき、即ち、最終加熱帯とその直前の加熱帯に跨って存在するビレット▲3▼のうち、最終加熱帯内に位置する長さLxがその直前の加熱帯に位置する長さLyよりも短い(即ち、Lx<Ly)場合の制御例を示している。この場合、最終加熱帯における加熱源ON/OFF制御のための測温を最終加熱帯の出側から「(Lh−mLb)<T<(Lh−(m−1)Lb)」(Tは温度計設置位置を表す)の位置で行い、最終加熱帯内に存在するビレットを目標温度に加熱してから押出装置方向へ送る。この時、最終加熱帯とその直前の加熱帯に跨って加熱されたビレット▲3▼の直前方のビレット▲2▼までが押出装置方向へ搬送されるようにスケジュールを組む。
【0034】
そして、ビレット▲1▼,▲2▼が押出装置方向へ送給された後、最終加熱帯の後方側に配置した温度計による測温結果を基に加熱源のON/OFF制御を行う。この時、最終加熱帯の後端部にはビレット▲5▼が位置しており、その温度は加熱不足(例えば430℃)であるので加熱源はONとなり、最終加熱帯内のビレットは例えば460℃まで昇温される。ところが、ビレット▲3▼前方の(Lx)長さ領域は、その前の加熱時に460℃にまで昇温しているので、該加熱によって(Lx)長さ領域は490℃まで昇温し、過加熱状態で押出装置方向へ送給されることになる。しかしこの図示例では、ビレット▲1▼,▲2▼は目標通りの温度(460℃)で送給されており、結果として3本のビレットのうち1本だけが、全長の50%未満の長さ(Lx:図示例では100mm)領域で過加熱となるだけで済む。
【0035】
ビレット長さとその時の測温位置の関係を図示すると図5に示す通りとなる。Lhを1000mm、最終加熱帯におけるビレット出側端を0mm地点とすると、図5において、長さ350mmのビレットを使用したときは、測温位置を0〜300mmの範囲に設定すればよく、その時の加熱不足長さは50mmとなる。また長さ450mmのビレットを使用したときは、測温位置を100〜550mmの範囲に設定すればよく、その時の過加熱長さは100mmとなる。
【0036】
そして、最終加熱帯における0mm地点と500mm地点の2箇所に温度計を設置しておけば、330mm〜1000mmのビレットに対して、全て過加熱または加熱不足長さを5割以下に抑え得ることが分る。或いは、温度計を可動式にすれば、1つの温度計で全てのビレット長さに対応させることが可能となる。
【0037】
この様に、前記式(d)によって求められるf値が0.5を超えるか否かによって最終加熱帯における測温位置を適宜変更して加熱源のON/OFF制御を行うことで、押出装置へ供給されるビレットの過加熱領域もしくは加熱不足領域の長さを常に50%以下に抑えることができ、延いては押出装置で製品不良となって廃棄される部分が特定し易くなると共に、不良部分を切除した押出製品ではビレット毎の物性のバラツキを大幅に低減し、従来法に比べて生産性と製品歩留りを大幅に高めることができる。
【0038】
尚、上記測温位置を変更する場合の具体的な手段としては、当初から最終加熱帯に複数の温度計を取り付けておき、前記f値に応じて測温位置を切換える方法、或いは温度計を最終加熱帯の長さ方向で移動可能に取り付けておき、f値に応じて測温位置を変える方法を採用することができる。また温度計として最も汎用性の高いのは、比較的安価で高温のビレットを精度よく測温することのできる熱電対であるが、勿論これに限定される理由はなく、放射温度計などの非接触温度計を使用することも勿論可能である。
【0039】
次に図6は、加熱炉における最終加熱帯の長さ(Lh)を1000mmとし、ビレット長さ(Lb)を変化させた場合の過加熱領域の長さ(R1)と不加熱領域の長さ(R2)の変化を示したものであり、最終加熱帯における測温位置が先端側または後端側に固定されている場合は、その位置に応じて図1中のR1かR2の何れかの曲線を辿ることになる。
【0040】
この図において、ビレット長さ(Lb)の整数倍(n倍)が最終加熱帯の長さ(Lh:1000mm)と一致する場合、即ち「Lh=nLb」となる場合は、前記図2(第1発明)で説明した如く、最終加熱帯とその直前の加熱帯に跨って加熱されるビレットは存在せず、過加熱領域または加熱不足領域は実質的にゼロとなる。即ちビレット長さ(Lb)が500mm、333mm、250mm、200mmである場合がこれに相当する。
【0041】
しかし「Lh≠mLb」である場合は、前記式(d)で示されるf値の変化に伴って、両加熱帯に跨って加熱されるビレットの過加熱領域長さRと加熱不足領域長さRは、図6に示す実線および破線を辿ることになる。ところが前記図3,4で説明した如く、f値に応じて最終加熱帯における測温位置を切換えて加熱源のON/OFF制御を行うということは、図6において実線と破線の交差部で測温位置を切換えることを意味しており、結局のところ、過加熱領域または加熱不足領域の長さを常に実線と破線の交差部よりも下側、即ち図中のR,Rの小さい方の値に抑えることが可能となる。つまり、温度バラツキの生じる領域を、測温位置固定の場合の約半分に減少させることが可能となる。
【0042】
更に、一連の操業を通してビレット長さを一定に定めた場合は、目標とする製品歩留りや製品バラツキの許容程度を踏まえて、図6を基に許容される過加熱・加熱不足領域長さに応じた最適のビレット長さ(Lb)を予め設定することも可能となる。例えば、どの様な温度条件でも、過加熱領域と加熱不足領域の長さを100mm以下に抑えようと思えば、ビレット長さを220mm以下、225〜275mm、300〜366mm、450〜550mm、900〜1000mmの何れかの要件を満たす長さに設定すればよい。また、これらのビレット長さ(Lb)と押出可能最大長さ(Lbmax)との関係から最も効率的な長さを選択すれば、押出加工を最も効率よく遂行することのできる最適長さを決定できる。
【0043】
この様に本発明によれば、複数の加熱帯を備えた加熱炉を用いて金属ビレットを連続的に加熱してから温間もしくは熱間加工を行う際に、加工装置直前位置の最終加熱帯における各ビレットの加熱温度のバラツキを実質的に皆無とし、或いは最小限に抑えることによって、その後の加工を円滑に効率よく遂行可能にすると共に、加工不良品の量を低減して製品歩留りを高め、或いは更に製品の品質バラツキを可及的に低減することが可能となる。
【0044】
尚、本発明の上記連続加熱後に行われる具体的な加工法としては、前述した如き押出加工の他、温間または熱間の鍛造加工や圧延加工、伸線加工などが可能であり、金属ビレットの種類も、Al合金ビレットの他、チタニウム、ジルコニウム、銅、マグネシウム、鉛、亜鉛およびそれらの合金ビレット、或いは鉄鋼材などの鉄基合金ビレットや圧延スラブなどにも同様に適用できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、複数の加熱帯を備えた加熱炉を用いて金属ビレットを連続的に加熱してから加工を行う際に、加工装置直前位置の最終加熱帯におけるビレットの加熱温度のバラツキを実質的に皆無とし、或いは最小限に抑えることによって、その後の加工を円滑に効率よく遂行可能にすると共に、加工不良品の量を低減して製品歩留りを高め、或いは更に製品の品質バラツキを可及的に低減し得ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】押出加工前に実施される従来のAl合金ビレットの加熱法を例示する説明図である。
【図2】本発明に係る第1発明の加熱法を例示する説明図である。
【図3】本発明に係る第2発明の加熱法を例示する説明図である。
【図4】本発明に係る第2発明の他の加熱法を例示する説明図である。
【図5】最終加熱帯長さを1000mmとした時の、使用ビレット長さと温度計設置範囲および過加熱または加熱不足長さの関係を示すグラフである。
【図6】最終加熱帯長さ(Lh)を1000mmとした時の、ビレット長さと過加熱または加熱不足領域長さの関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 連続して並べられた複数の金属ビレットを順次加工装置へ送って加工する際に、各ビレットを加工前に加熱炉で連続的に加熱するに当たり、
    複数の加熱帯に区分された加熱炉の該加熱帯に金属ビレットをその長さ方向に順次通過させ、加熱炉出側で目標温度となる様に金属ビレットを連続的に加熱する連続加熱法であって、
    各加熱帯に設置された温度計によって当該加熱帯中の金属ビレットの温度を実測し、該実測された温度と予め設定されている当該加熱帯における目標温度とを比較して加熱源のON/OFF制御を行い、
    区分された前記加熱帯のうち加工部直前の加熱帯(最終加熱帯)の長さをLh、該金属ビレットの長さをLb、加工装置能力によって決まる該ビレットの押出可能最大長さをLbmaxとしたとき、下記式(a)、(b)を同時に満たし、且つnが最小となるLbに長さ調整した各ビレットを連続して並べ、各ビレットを前記区分された加熱帯に順次通過させることにより、各ビレットを均一に加熱することを特徴とする金属ビレットの連続加熱法。
    Lh=nLb……(a)
    (式中、nは1以上の整数を表す)
    Lh≦Lbmax……(b)
  2. 連続して並べられた複数の金属ビレットを順次加工する際に、各ビレットを加工前に加熱炉で連続的に加熱するに当たり、
    複数の加熱帯に区分された加熱炉の該加熱帯に金属ビレットをその長さ方向に順次通過させ、加熱炉出側で目標温度となる様に金属ビレットを連続的に加熱する連続加熱法であって、
    各加熱帯に設置された温度計によって当該加熱帯中の金属ビレットの温度を実測し、該実測された温度と予め設定されている当該加熱帯における目標温度とを比較して加熱源のON/OFF制御を行うこととし、区分された前記加熱帯のうち加工部直前の加熱帯(最終加熱帯)の長さをLh、予め定められた各金属ビレットの長さをLbとしたとき
    Lh≠mLb
    (式中、mは1以上の整数を表す)
    である場合に、
    f=(Lh−mLb)/Lb
    (式中、mはLh>mLbを満たす1以上の整数で最大の値を表す)
    の値を求め、
    f≧0.5であるときは、前記最終加熱帯から出炉される金属ビレットの前記温度計による測温を、当該最終加熱帯の出側から「0<T<(Lh−mLb)」(Tは温度計の設置位置を表す)の位置で行い、
    f<0.5であるときは、前記最終加熱帯から出炉される金属ビレットの測温を、当該最終加熱帯の出側から「(Lh−mLb)<T<(Lh−(m−1)Lb)」(Tは温度計設置位置を表す)の位置で行い、
    夫々の測温結果に基づいて加熱のON/OFF制御を行うことにより、金属ビレットの過加熱領域または加熱不足領域を5割未満に抑えることを特徴とする金属ビレットの連続加熱法。
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