JP3977446B2 - 重水素の濃縮装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、天然水等に存在するジュウテリウム及びトリチウムの重水素を濃縮するための装置に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
原子力発電所の安全性の判断、地殻変動の予測、温泉地下水系の測定等の分野において、天然水中の重水素特にトリチウムの分析が重要になってきている。トリチウム濃度は極低レベルであるため、測定精度の向上のため電解濃縮することが一般的である。
従来から重水素の電解濃縮は、電解質を溶解させた試料溶液を作製し、板状の平板を向かい合わせて電解する方法が知られている。電解液中に含まれる水にはH2 Oの他にHODやHOTがあり、これらは通常の水電解に従って水素と酸素に分解されるが、同位体効果によりH2 Oの分解がHODやHOTの分解に対して優先し、電解液中のジュウテリウムやトリチウムの濃度が上昇し濃縮が行われる。この電解に使用する陽極としてはニッケルが、又陰極としては鋼、鉄及びニッケル等が使用され、これらの電極を洗浄し希薄苛性ソーダを支持塩として重水を含む水の溶液に添加して調製した試料水をガラス容器に入れ通電して電解を行う。電流密度を1〜10A/dm2 程度とし、発熱による水の蒸発を防止するために液温を5℃以下に維持しながら、通常液量が10分の1以下になるまで電解を継続して重水素の濃縮を行う。
【0003】
しかしこの重水素濃縮法には▲1▼電解質を重水に溶解して試料水を調製するためその調製に手間が掛かる、▲2▼電解質等の影響により電極が溶解しやすく、この溶解により電離係数が変動するため、これを防止するためには前処理が必要で手間が掛かる、▲3▼発生した水素及び酸素がそれぞれ対極に達し、酸化あるいは還元されやすく、電解効率の低下を招きやすく、又前記水素及び酸素は爆鳴気となり爆発しやすい、▲4▼過酸化水素が発生しやすいといった欠点がある。
これらの欠点を解消するため本出願人らは、イオン交換膜を使用する重水素の濃縮方法及び装置を提案した(特願平6−180964号)。
【0004】
この重水素濃縮方法では、イオン交換膜を使用しているため、発生した水素ガス及び酸素ガスが対極に達して酸化又は還元により元の水に戻ることが殆どなく電流効率従って濃縮効率を高く維持でき、かつ両ガスの混合による爆鳴気の発生もないため、安全な操業が可能になる。更にイオン交換膜を電解質として使用するため、従来のように支持塩を添加する必要がなくなり、支持塩の電解液への溶解という手間の掛かる操作が不要となるという利点が生じている。
しかし本出願人らが開発した前記濃縮装置は、濃縮すべき水に電解槽を浸漬するタイプであるため、重水素を含む多量の水を必要とし、更に発生する水素と酸素で水が同伴されるため電流効率上昇に限界があった。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上述の従来の電解による重水素濃縮の欠点特に比較的少量の重水素を含む水の濃縮をも行ない得る重水素の濃縮装置を提供することを目的とする。
【問題点を解決するための手段】
本発明は、直径方向が縦向きになるように配置した円盤状の陽極、及び該陽極の両側の平面の一方面に面接触しかつ該陽極に外部定電流電源から給電するための円盤状の陽極給電体を収容する陽極構造体、重水素含有水供給口及び濃縮重水素含有水取出口を有する陽極室、直径方向が縦向きになるように配置した円盤状の陰極、該陰極の両側の平面の一方面に面接触しかつ該陰極に外部定電流電源から給電するための円盤状の陰極給電体を収容する陰極構造体、重水素含有水供給口及び濃縮重水素含有水取出口を有する陰極室及び、前記陽極及び陰極と面接触し前記陽極室及び陰極室を区画するイオン交換膜、を含んで成り、前記重水素含有水供給口から重水素含有水を供給して水電解を行ない濃縮した重水素含有水を前記濃縮重水素含有水取出口から取り出す重水素の濃縮装置において、前記陽極給電体の陽極との接触面及び反対面の両面、及び陰極給電体の陰極との接触面及び反対面の両面に、複数の縦方向の凹溝を刻設したことを特徴とする重水素の濃縮装置である。
【0006】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、HODやHOTを含む水(H2 O)を電解しH2 Oを選択的に酸素及び水素に変換することにより前記HODやHOTを濃縮する。
水を電解すると陽極室では水の酸化により酸素ガスが発生しかつ水素イオンが生成する。生成した水素イオンは水分子を同伴しながらイオン交換膜内を通って陰極に達し、陰極で還元されて水素ガスを発生する。これらの陽極及び陰極反応における電離係数が 1Hと、D( 2H)及びT( 3H)では大きく異なり、電解条件にもよるが陽極における 1Hイオン及び陰極における 1Hガスの発生に殆どの電流が寄与するため、 1H2 Oが電解の継続により減少して結果的に 2H及び
3Hの濃縮が起こる。
【0007】
この他にもイオン交換膜を通過する際の同位体間の輸率も若干異なり、 2Hや 3Hの濃縮は促進される。しかし実際の反応の際には 2Hや 3Hが反応により消失し又はガスに同伴する水分として失われる。従って当初の電解液中に存在する重水素が全て濃縮後の濃縮液中に存在する訳ではないが、電解液の濃縮率より失われる重水素の方が遙かに少ないため、効果的な重水素の濃縮を達成できる。
【0008】
本発明では前述の電解槽を重水素含有水に浸漬して行なう該重水素含有水の電解とは異なり、電解槽に重水素含有水を供給し水電解を行なうようにしている。従って少量の重水素含有水の濃縮をも容易に実施できる。
又本発明ではイオン交換膜を使用しているため発生する水素ガスと酸素ガスが混合したり生成したガスが対極と接触してそれぞれ酸化あるいは還元されて元の水に戻ることが殆どなく、効率の良い濃縮を達成できるとともに、爆鳴気が生ずる危険もないため安全性の高い濃縮操作を行うことができる。
【0009】
更に本発明におけるイオン交換膜に両電極を接触させるとイオン交換膜に含まれるイオン交換基が電解質として機能して水の電解を促進するため、従来のように水の導電率を向上させるための支持塩の添加が不要になり、従って支持塩を溶解した電解液を準備する必要がなくなる。更に支持塩の中には電極やイオン交換膜を劣化させる成分を含むものがあり、従来のイオン交換膜を使用しない重水素濃縮では長期運転の際の電極やイオン交換膜の交換が不可欠であった。これに対し本発明のイオン交換膜を両電極に接触する態様では、支持塩の添加が不要で実質的に純水電解と同一で電極やイオン交換膜を劣化させる成分が存在しないため、電極等の交換が不要となる。又濃縮された電解液からの支持塩の除去が必要なく、かつ支持塩により劣化した電極等の不純物が電解液中に混入することもなくなるため、簡便に高濃縮された重水素が溶解した溶液を得ることができる。
【0010】
本発明で使用する陽極及び陰極は導電性及び化学的安定性に優れたチタンやステンレス等の金属やカーボンを使用しこれを気液透過性に優れた微細な貫通孔を有する構造として形成することが望ましい。繊維、粉末焼結体及び金属板を加工して孔を開けたメッシュ、多孔板及び織物状とした市販品を使用しても良い。なお孔径は0.001 〜1mm、厚さは1〜10mm程度が好ましい。
更に該陽極及び陰極への給電を円滑に行なうために該陽極及び陰極のイオン交換膜の反対面に陽極給電体あるいは陰極給電体を密着状態で設置することが好ましく、該陽極給電体及び陰極給電体は任意の導電体で成形すれば良い。又この陽極給電体及び/又は陰極給電体の両面の少なくとも一方に凹溝を刻設しておくと、陽極室及び陰極室へ供給される重水素含有水が容易に陽極面又は陰極面に達して電解され、かつ発生するガスを容易に電解槽外へ抜き出せるため、電解効率の向上に大きく寄与する。この凹溝は縦方向のみに刻設する。
【0011】
これらの電極の触媒物質としてはニッケル、鉄以外にカーボンや貴金属等を用いることが可能である。触媒は電極上に担持しても触媒自体で前記電極を構成しても良く、場合によってはイオン交換膜上に担持しても良い。担持方法としては、PTFE等のフッ素樹脂微粒子と触媒粉末を混練したペースト状物質を電極等に塗布しホットプレス法で固着する方法があり、この他に電気めっきや蒸着により担持しても良い。
イオン交換膜としては酸素発生及び水素発生下で安定であるフッ素樹脂系イオン交換膜の使用が望ましい。市販品としてデュポン社製ナフィオン、旭化成株式会社製アシプレックス、旭硝子株式会社製フレミオン等がある。本発明で電解液中に支持塩を添加しない場合には、前記両電極を前記イオン交換膜に密着させる。その際電解液の抵抗が大きいためなるべく高い圧力で両電極をイオン交換膜に十分密着させることが望ましく、そのために必要な圧力は1〜100 kg/cm2 程度である。
【0012】
このような各部材を電解槽内に設置して重水素の電解濃縮を行う。電解槽本体は耐食性のあるパイレックスガラス製とすることが望ましくこの他にチタンやステンレス等の金属も使用できる。又濃縮倍率を向上させるため、つまり濃縮後の電解液の量があまり少なくならないように、100 ミリリットル〜10リットル程度の容量を有することが望ましい。
陽極室及び陰極室でそれぞれ発生する水素ガス及び酸素ガスは両極室内で気液混合状態で存在し、そのままの状態で電解槽外に取り出して気液分離装置でガスを分離した後、電解槽に循環して電解を継続するとガスによる抵抗値の増大を回避しながら更に重水素濃縮を継続できる。
【0013】
又電解槽内上部にガス取出口を形成しておくと、気液混合状態から徐々にガスが分離され、前記ガス取出口を通してガスを単独で電解槽外に抜き出すことも可能になる。
本発明ではイオン交換膜により水素ガスと酸素ガスの混合が防止されるが、両ガスが若干混合されてもさほどの問題は生じない。従ってイオン交換膜以外の陽極室及び陰極室の区画部の密閉はさほど厳格に行う必要はない。
【0014】
本発明装置の電源は特に限定されないが、定電圧定電流電源を使用することが望ましく、直流の積算電流計を使用すると電解量や収率を算出するために便利である。
運転時の電流密度は1〜100 A/dm2 とし、かつ電解液の蒸発を防止するため、5℃以下の液温に維持しながら電解を行うことが好ましいが、室温で行なってもさほど支障は生じない。
【0015】
次に本発明に係わる重水素濃縮装置の一例を添付図面に基づいて説明するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
図1は本発明に係わる重水素濃縮装置の一例を示す縦断正面図、図2は図1のA−A線縦断面図である。
横向き円筒状の重水素濃縮装置1は、中央部内面に陽極室2が形成された陽極構造体3、イオン交換膜4及び、中央部内面に陰極室5が形成された陰極構造体6を両極室がイオン交換膜4方向に向くように順に積層して成り、ボルト及びナット(図示略)を使用して締着して一体化されている。
【0016】
前記陽極室2内には前記イオン交換膜4に接する陽極7及び該陽極7に接する陽極給電体8がほぼ隙間なく収容され、一方前記陰極室5内にも前記イオン交換膜4に接する陰極9及び該陰極9に接する陰極給電体10がほぼ隙間なく収容されている。前記陽極給電体8と前記陰極給電体10のそれぞれ陽極面及び陰極面側には図2に示す通り(陰極給電体のみを示す)縦方向の凹溝11が形成され、重水素含有水を円滑に陽極7及び陰極9の電解面に供給するとともに、生成する酸素ガス及び水素ガスを抜き出して電流効率の上昇が達成される。
前記陽極構造体3には、陽極室2上面から斜め上に向かうガス取出口12、陽極室2上側面から横に延びる重水素含有水供給口13及び陽極室下面から横方向に延びる濃縮重水素含有水取出口14が形成され、同様に前記陰極構造体6には、陰極室5上面から斜め上に向かうガス取出口15、陰極室5上側面から横に延びる重水素含有水供給口16及び陰極室下面から陽極室方向に延び前記濃縮重水素含有水取出口14と連結される濃縮重水素含有水取出口17が形成されている。
【0017】
このように構成される重水素濃縮装置の重水素含有水供給口13、16から重水素含有水を供給し、陽極構造体3及び陰極構造体6の外面に取り付けたネジにリード線をビス又はボルトで固定した外部定電流電源(図示略)から陽極給電体8及び陰極給電体10を介して陽極7及び陰極9に給電すると、イオン交換膜4に接触する陽極7及び陰極9面で重水素含有水の電解が生じ酸素ガス及び水素イオンが発生する。発生した酸素ガスは陽極7を透過して背面に達し、一部は該陽極7に接する陽極給電体8に形成された凹溝内を上昇してガス取出口12から系外に取り出され、気液分離された重水素含有水は循環し再度重水素含有水供給口13から供給される。同様に発生した水素ガスは陰極9を透過して背面に達し、一部は該陰極9に接する陰極給電体10に形成された凹溝11内を上昇してガス取出口15から系外に取り出され、気液分離された重水素含有水は循環し再度重水素含有水供給口16から供給されて、更に重水素濃縮が継続される。規定の濃度に濃縮された重水素含有水は取出口17から槽外に取り出される。
【0018】
【実施例】
次に本発明の重水素濃縮装置による重水素濃縮に関する実施例を記載するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例1】
イリジウム酸化物粉末(200 メッシュアンダー)を触媒とし、PTFE水懸濁液(三井フロロケミカル社製)及びナフィオン液(アルドリッチ社117 )をバインダーとして使用し、これらをナフサを溶媒として混練しペースト状物質を得た。このペーストを直径49mmのチタン繊維焼結基体上に塗布した後、120 ℃で5分間、80kg/cm2 の圧力で固着し陽極とした。
直径50mm、板厚が6mmのチタン製円板の両面に幅6mm深さ2mmの凹溝を形成し陽極給電体としこれを前記陽極に密着させ、中央に陽極室である凹部が形成された直径130 mm板厚17mmでガス取出口、重水素含有水供給口及び濃縮重水素含有水取出口を形成したチタン製の陽極構造体内に収容した。
【0019】
白金粒子(100 メッシュアンダー)を触媒とし、PTFE水懸濁液及びナフィオン液をバインダーとして使用し、これらをナフサを溶媒として混練しペースト状物質を得た。このペーストを直径49mmのチタン繊維焼結基体上に塗布した後、120 ℃で5分間、80kg/cm2 の圧力で固着し陰極とした。
直径50mm、板厚が6mmのステンレス製円板の両面に幅6mm深さ2mmの凹溝を形成し陰極給電体としこれを前記陰極に密着させ、中央に陰極室である凹部が形成された直径130 mm板厚17mmでガス取出口、重水素含有水供給口及び濃縮重水素含有水取出口を形成したステンレス製の陽極構造体内に収容した。
【0020】
両電極構造体間にイオン交換膜であるナフィオン117 を挿入し、該イオン交換膜の両側に前記陽極及び陰極を接触させ、ボルト及びナットを使用して30kg/cm2 の圧力で締着し圧接させた。
陽極構造体及び陰極構造体の重水素含有水供給口と濃縮重水素含有水取出口をそれぞれ重水素含有水300 ミリリットルを充填した気液分離装置を介して接続し、両構造体のガス取出口にビニールホースを接続した。リード線を取り付けネジでビスに取り付け定電流電源と接続して両電極へ給電し、前記気液分離装置から重水素含有水を供給しながら室温で電解を行なった。
電解時の電流密度及び電圧を表1に示した。
【0021】
【比較例1】
凹溝を形成しなかったこと以外は実施例1と同様に陽極及び陰極を作製し、両極をイオン交換膜であるナフィオン117 に接触させ、ボルト及びナットを使用して30kg/cm2 の圧力で締着し圧接させた。
この電極体を内径5.5 cm、高さ15cmのガラス製本体にセットし、かつ重水素含有水(トリチウム濃度0.5 Bq/Kg)280 ミリリットルを入れて前記電極体を浸漬し、更に発生する酸素ガス及び水素ガスを分離するための円筒体を陽極面上に立てた。この円筒体、両電極への給電体及び水素ガス取出口を嵌合した蓋体を前記ガラス製本体にセットして本体内を密閉し、電解を行なった。電解時の電流密度及び電圧を表1に示した。
【0022】
本比較例では電流密度が30A/dm2 を越えると発生ガスからの同伴水が多く、電圧の上昇も大きく、実質的な運転はできなかった。一方実施例1では電流密度を100 A/dm2 まで上昇させても電圧の上昇は低く安定した電解を継続できた。濃縮に要する時間は電流密度に反比例し、電力量は電圧に比例するため、電流密度を高く電圧を低く維持できる実施例1の濃縮が経済的に有利であることは明らかである。
【0023】
【表1】
【0024】
【実施例2】
実施例1の電解槽を1℃の恒温槽内に置き、電流計を使用して電流値を計算しながら積算電量値が810 AHになるまで連続電解を行なったところ、重水素含有水量が20ミリリットル採取できた。この水の減少量は理論値にほぼ匹敵する値であった。
濃縮倍率が15であり、液体シンチレーションカウンタ(パッカード社2250A型)によるトリチウム濃度計測から回収率(10回測定し平均値を求めた)は0.60であることが分かった。
この電解操作を同一条件で更に2回繰り返し、それぞれの回収率を測定したところ0.62及び0.59であり、良好な再現性が得られた。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、直径方向が縦向きになるように配置した円盤状の陽極、及び該陽極の両側の平面の一方面に面接触しかつ該陽極に外部定電流電源から給電するための円盤状の陽極給電体を収容する陽極構造体、重水素含有水供給口及び濃縮重水素含有水取出口を有する陽極室、直径方向が縦向きになるように配置した円盤状の陰極、該陰極の両側の平面の一方面に面接触しかつ該陰極に外部定電流電源から給電するための円盤状の陰極給電体を収容する陰極構造体、重水素含有水供給口及び濃縮重水素含有水取出口を有する陰極室及び、前記陽極及び陰極と面接触し前記陽極室及び陰極室を区画するイオン交換膜、を含んで成り、前記重水素含有水供給口から重水素含有水を供給して水電解を行ない濃縮した重水素含有水を前記濃縮重水素含有水取出口から取り出す重水素の濃縮装置において、前記陽極給電体の陽極との接触面及び反対面の両面、及び陰極給電体の陰極との接触面及び反対面の両面に、複数の縦方向の凹溝を刻設したことを特徴とする重水素の濃縮装置であり、重水素含有水を、イオン交換膜により陽極室及び陰極室に区画された電解槽に供給して電解し、前記重水素を濃縮することを特徴とする重水素の濃縮方法である。本発明方法によると、 1H、 2H及び 3Hから成る水素同位体を含む水のうち1Hの電離係数が他の同位体より大きいため 1Hの水のみがほぼ選択的に電解され水素ガス及び酸素ガスに変換されて消失するため、 2H及び 3H濃度が増加し重水素濃縮が達成される。そしてイオン交換膜を使用しているため、発生した水素ガス及び酸素ガスが対極に達して酸化又は還元により元の水に戻ることが殆どないため濃縮効率を高く維持でき、かつ両ガスの混合による爆鳴気の発生もないため、安全な操業が可能になる。
【0026】
本発明では電解槽を重水素含有水に浸漬するのではなく、電解槽に重水素含有水を供給して電解するため、少量の重水素含有水をも容易に濃縮でき、経済的な運転が可能になる。更に電解槽を重水素含有水に浸漬する濃縮方法と比較して電流密度を高く維持できるため、必要とする電力量が減少し、コスト面でも有利になる。
【0027】
更に陽極給電体や陰極給電体に凹溝を形成してあるので、重水素含有水の供給及び生成ガスの抜き出しが容易になり、更に電解効率が上昇する。又本発明装置では生成ガスを気液分離した後に取り出すことも、気液分離のまま取り出すこともできるが、後者の場合には取り出した気液混合状態の重水素含有水から生成ガスを分離した後、濃縮装置に循環すると、より以上の濃縮を生成ガスによる抵抗上昇を回避しながら行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる重水素濃縮装置の一例を示す縦断正面図。
【図2】図1のA−A線縦断面図。
【符号の説明】
1・・・重水素濃縮装置 2・・・陽極室 3・・・陽極構造体 4・・・イオン交換膜 5・・・陰極室 6・・・陰極構造体 7・・・陽極 8・・・陽極給電体 9・・・陰極 10・・・陰極給電体 11・・・凹溝 12・・・ガス取出口 13・・・重水素含有水供給口 14・・・濃縮重水素含有水取出口 15・・・ガス取出口 16・・・重水素含有水供給口 17・・・濃縮重水素含有水取出口
Claims (2)
- 直径方向が縦向きになるように配置した円盤状の陽極、及び該陽極の両側の平面の一方面に面接触しかつ該陽極に外部定電流電源から給電するための円盤状の陽極給電体を収容する陽極構造体、重水素含有水供給口及び濃縮重水素含有水取出口を有する陽極室、
直径方向が縦向きになるように配置した円盤状の陰極、該陰極の両側の平面の一方面に面接触しかつ該陰極に外部定電流電源から給電するための円盤状の陰極給電体を収容する陰極構造体、重水素含有水供給口及び濃縮重水素含有水取出口を有する陰極室及び、
前記陽極及び陰極と面接触し前記陽極室及び陰極室を区画するイオン交換膜、
を含んで成り、
前記重水素含有水供給口から重水素含有水を供給して水電解を行ない濃縮した重水素含有水を前記濃縮重水素含有水取出口から取り出す重水素の濃縮装置において、
前記陽極給電体の陽極との接触面及び反対面の両面、及び陰極給電体の陰極との接触面及び反対面の両面に、複数の縦方向の凹溝を刻設したことを特徴とする重水素の濃縮装置。 - 濃縮重水素含有水取出口から取り出した気液混合状態の濃縮重水素含有水を気液分離装置に循環してガスを分離した後、電解槽に循環するようにした請求項1に記載の重水素の濃縮装置。
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1995
- 1995-05-31 JP JP15839295A patent/JP3977446B2/ja not_active Expired - Lifetime
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