JP3977251B2 - ハプティック入力装置における改良 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の分野】
この発明は、ハプティック入力装置の新設計に関し、従来の極構成よりもはるかに堅く軽い骨組みを可能にする並列動作リンク機構を採用する改良されたハプティックデバイスを提供する。5自由度および6自由度の両方に対応する変形例が提供される。別の局面では、この発明はまた、抵抗の可変制御によりハプティックデバイスにおける力覚フィードバックを提供する手段に関し、簡素な電磁比例ブレーキを行なうマグネトレオロジー(MR)流体の使用を提案する。
【0002】
さらに別の局面では、この発明は、別の比例的ユーザ入力制御を付加するハプティックマシンのための改良されたスタイラスに関する。これは、CADユーザがそのモデルを相対的力覚モードで回転させ、次に絶対的3Dカーソル位置決めにシームレスに戻ることや、または仮想エアブラシまたはグリッパなどのスタイラスツールの範囲を制御することなどの有用な機能に割当てられ得る。
【0003】
この発明はまた、可変抵抗がハプティックデバイスの拘束条件を生じるとき、触覚に基づく環境内でモデルデータを解釈するための方法に関する。
【0004】
この発明はまた、どのスタイラス回転度からも容易に作動可能である改良されたボタン構成に関する。
【0005】
【背景】
話した言葉は、現在コンピュータで認識可能であり、最も直感的なテキスト入力方法であるが、空間的データの入力は常に妥協を強いられている。一般的に、マウスなどの2Dデバイスが使用されているが、これは3D空間には不適当でありまた物体の物理的存在をフィードバックしない。ポインタにとっては、ワークスペースはイメージにすぎない。
【0006】
より直感的な空間的入力を達成することは、設計および操作の生産性を増大できるはずであり、多くの研究者の目標であることは驚くべきことでない。考慮されるデバイスの種類はハプティックとして知られている。その完全な形においては、それは、あたかもユーザが実際のモデルに触れているかのように仮想的な物体を「感じる」ことができるタイプの入力装置である。現在利用可能な例には、幾分の力のフィードバックを備えるジョイスティクから、仮想ワークスペースとの対話または遠隔のロボットの遠隔ロボット制御までをも可能にする関節で繋がったエグゾスケルトンまでがある。
【0007】
低コストで実用性の高い6軸力覚入力装置がいくつか利用可能である。これらは、CADオペレータがワークスペース内に仮想モデルを配向させるのに利用されている。しかし、制御スティックの大きな変位なしでは、それらは相対運動のみで、それらを用いて素早く位置を発見することができず、力のベクトルの調節により自分自身がそこに向かなければならない。しかしながら、これらは、モデルが見ている位置を選択するのに効果的であり(高解像度を必要としない)、相対運動であることにより、無制限なワークスペースに及ぶことができる。
【0008】
最近では、ハプティック(力フィードバック)デバイスが利用可能となっているが、これは絶対的6軸位置測定をその作業ボリューム内で可能にし、そしてこれを所望の仮想ワークスペースの大きさにスケーリングする。絶対的位置入力は、手の位置に直接マッピングするので、最も直感的な方法である。この欠点は、限られた作業ボリュームにある。もしCADユーザが大きなモデル上で詳細に作業する必要があるならば、作業スペースの原点またはスケールを繰返しリセットする必要があり、これは面倒である。
【0009】
理想的な世界であれば、ユーザは、大きな相対的変位と精密で詳細な絶対的制御との間でシームレスに動くことができるであろう。
【0010】
ハプティックデバイスは、一般的には、そのシステムの一部として6軸の力覚を含む。ハプティックデバイスは、これを用いて動きの意図を感知し、可能な限り自由に、またはプログラムされた抵抗とともに、運動を可能にする。力のフィードバックはまた、順応しやすい(compliant)ソリッド(バーチャルクレイ)をモデリングしたり、複雑な曲面を変形したりするなど魅力的なソフトウェア特徴を可能にする。
【0011】
手の動きではなく指の動きのための特殊なハプティックデバイスが開発されており、しばしば触覚に基づくエグゾスケルトン全体にリンクされる。問題は、これらのシステムが複雑でコストが高くつくことである。これらでは一般的に、ユーザの体がデバイスに紐で縛られる必要もある。より実際的でコスト効率のよい解決が必要とされている。
【0012】
実用性を考慮すると、望ましい実施例は、ディスクトップポインタであり得、これは、6自由度のすべてについて動くことができるが、仮想モデルの本体に侵食することを防ぐためにその運動制限によりコンピュータの制御下で機械的に拘束され、スタイラスとして扱うことのできるハンドルをおそらくは備える。自由度を変化させるために、これは今技術的に達成可能であるが、コストが高くつき、その採用に厳しく制限を課している。
【0013】
【発明の目的および概要】
この発明の主な目的は、上述の課題を克服または実質的に低減することである。
【0014】
この発明のある局面は、堅く軽量な並列リンク機構を採用することによりハプティックデバイスのコストおよび複雑さを低減することである。
【0015】
この発明のさらなる局面は、スタイラスが抵抗の中心またはその近くで都合よく分裂することを可能にする、そのような機構の運動力学的構成を決定することである。
【0016】
この発明のさらなる局面は、従来ハプティックデバイスに採用された電動力源を、コンピュータ制御下で空間的拘束を与えることのできる比例的ブレーキと置換することである。
【0017】
この発明のさらなる局面は、MR流体を採用して好適な電磁ブレーキを行なうことである。
【0018】
この発明のさらなる局面は、荷重下で測定されたコンプライアンスまたは滑り量比を用いて力を推定することにより、通常の別々の力センサの必要性を軽減することである。
【0019】
この発明のさらなる局面は、ユーザが直感的な態様で仮想モデルおよび3Dカーソルの位置の両方を制御できるようにする単一の空間的データ入力装置を可能とすることである。
【0020】
この発明のさらなる局面は、抵抗制御に基づくハプティックデバイスを、仮想モデルの直感的な空間解釈に適用することである。
【0021】
この発明のさらなる局面は、遠隔ロボットのグリッパの制御を向上させることである。
【0022】
この発明は、いくつかの新技術を関連付けてハプティックコントローラという目的に対して低コストで高性能の解決策を与える。この発明の以下の概要において、第1部は、この発明を採用するハプティック入力装置に並列リンク機構を適用することを記載し、第2部は、第1部に記載されるハプティック入力装置のユーザが掴んだり関節結合する、この発明の別の局面に従うスタイラスまたはハンドルを記載する。
【0023】
第1部
ヘキサポッドなどの並列動作リンク機構は自然の剛性を有する。それらは、連鎖状態のリンクを2つしか有していないので、機械的なスロップが増大しない。基本的にはピン継ぎ手であるので、それらは緊張または圧縮状態で作動し、大きな曲げモーメントを有さない。任意の組の脚の長さが、6自由度のすべてについて一意の位置を規定する。
【0024】
位置を変えるためには、脚は長さが変わらなければならない。これは、入れ子式に伸縮自在であることにより達成できるが、好ましい構成は、固定の長さの脚をサーボ制御下で1組のピボット点に通過させ、その他のピボット点に対して脚の有効な長さを変えることによるものである。次に、動力を主に静止のピボット点に与えることにより、脚自体が軽量可能となり、その結果として低い慣性を示すようになる。
【0025】
ハプティック・ヘキサポッドを構築する従来の解決策は、ロボットと同様にそれを扱うことであり、閉ループ制御下での電気的な支柱駆動を伴っていたが、この方策の技術的複雑さが価値工学の潜在性を制限してしまう。
【0026】
この発明は、モータを採用して力のフィードバックを行なう代わりに、プログラム可能なブレーキを用いることを提案する。この目的のために従来利用され得るタイプのブレーキは、磁界の存在下で硬化するマグネトレオロジー(MR)流体を採用する。したがってこれらは簡素な電磁石で制御可能となる。
【0027】
ブレーキをヘキサポッドにかける際の設計目標は、抵抗のない、支柱の長さ変更を可能とし、(拘束されていないとき)制御ハンドルの6自由度の動きを可能とすることである。その慣性および抵抗は最小にされなければならない。
【0028】
この発明は、支柱が、MRブレーキに直接接続され、理想的には支柱のベースジョイント内に密封されるキャプスタンまたは摩擦駆動を通って延びることを提案する。
【0029】
図1に示す便宜な構成では、キャプスタン/ブレーキシステムが半球状のシェル内に組立てられ、2つのシェルが共通のピボット軸(極から極)を共有し、二股の球体を構成し、この球面は、3つの軸のすべてについて回動できるように保持される。この目的のための好適なジョイントは、ボール対ソケット型または3方向の機械的ジンバルである。支柱を、キャプスタンシステムによって保持される各半球に通過させ、可能な限り球の中心の近くで交差させる。必要な小さいオフセット(両方の支柱が共通の焦点を占有することはできない)が、剛性を大きく犠牲にしたり、または測定異常をもたらしたりすることはない(というのも装着誤差は、測定される軸に対して垂直に作用するからである)。ユーザがハンドルを動かすと、支柱はノードからノードへの長さを変えるが、これはキャプスタンが支柱を半球に通過させることにより可能となる。隣接した支柱間の角度も変わるが、これは二股の半球の2つの半体の相対的回転により可能であり、球はその配向全体を変えることができるが、これはソケットまたはジンバルによって可能である。
【0030】
両方の支柱が平行な傾斜面を有するので、それらはその端が衝突するという危険なしに互いを通ることができる。
【0031】
(3対の支柱に対して)3つののみのノード点を必要とし、これにより(6本の支柱の各々に対して別々のノードを必要とすることと比べて)ノード間の分離が最大となる完全な三角形の底辺が可能になる。支持構造における曲げ力も最小となる。
【0032】
支柱の他方の端はまた、傾斜および回転の3自由度が可能とされなければならない。さらなる二股のボールジョイントを工作して支柱対を収容することができるが、必要なジョイントはかなり大きくなり、鋏状の支柱の交差部を収容するためにはかなりの部分の支柱を犠牲にしなければならないだろう。より簡単な解決策は、支柱の端ごとに小さな個別のボール対ソケット型のジョイントを有することであるが、これらはなおヘキサポッドジオメトリ対に配置される。理想的には、(半球のピボット軸から)ずれた支柱軸は、支柱をボール端部にずらして嵌めることにより補正される。
【0033】
支柱自体は、軽量で堅く、キャプスタンによって与えられる荷重を支えられなければならない。
【0034】
好適な形式は、おそらくは楕円形断面の中空のアルミニウム押出品であり得る。
【0035】
図8に示すある実施例では、支柱は、3つのピンチローラの間に保持され、その各々は、ロッドに接触するVの字の輪郭のローラによって与えられる2つの非平面的接触点を有する。3つのローラから合計6個の接触点により、5自由度について確実で完全に拘束された保持位置が確保され、その6番目は、支柱の軸であり、これに沿って支柱が後に動くことができる。
【0036】
3個のキャプスタンローラが配置され、その2つが片側にあり1つが他方側にある。便宜上、ブレーキはローラのうちの1つのみに取付けられる。これは有利には、両側のローラの両方の合計と同じ圧力を自然に受け、そのためブレーキを付与することで運動を制限するための摩擦を生成するのに最も効果的である、孤立ローラである。
【0037】
この実施例では、ブレーキキャプスタンは、MR流体を含む密閉された室内にこれ以外は密封されるシャフトによりディスク(またはシリンダ)に接続される。流体を収めるために動的な放射状シールが適用される場合、シャフト直径を最小とすることが重要である、というのも必然的にシールは寄生抵抗への最大の寄与となるからである。
【0038】
ブレーキディスク(またはシリンダ)は少なくともその周辺領域においては強磁性材料からなり、そこでは、これは最高の接線速度を経験ししたがって最良のトルクてこ比を有する。磁性流体をディスクの両側に運ぶために極片が配置される。電気的に通電したときに回路に磁界を発生させるためにコイルが置かれる。この磁界は、最も抵抗の小さい経路を取る際、MR流体/ディスク/MR流体のサンドイッチ構造を通って流れることで、流体の粘性を増大させディスクに抑制トルクを与える。ブレーキ効果は、有用な動作範囲にわたって束密度に直接比例する。MR流体は約10ミリ秒間に最大から最小の粘性で反応し、最大90Kpa降伏強さである。
【0039】
ディスクがキャプスタンローラよりも直径が大きければ、その後の歯車効果がディスクの縁の速度を増大させ、従ってブレーキとしてのその効率性を増大させる。しかしそれはまた、半径方向速度がより高いために、流体中のディスクの粘性抵抗およびシールの摩擦抵抗も増大させる。ディスクがより遅くより小さければ、寄生抵抗が最小となるが、同じトルクを生成するのにより大きな磁界強度が必要となる。
【0040】
ブレーキキャプスタンは、そのV字ローラと支柱との間の摩擦に依拠する。この摩擦は、接触面を好適に準備することにより向上させることができる。たとえば、炭化タングステン溶射により、金属/金属の乾燥摩擦の係数は約0.3から約1.0に増大する。
【0041】
V接触点間にかかる圧力は、含まれるV角が低減すると増大し、一定のローラ荷重となる。これは、有効な摩擦も同様に増大させることができることを意味する。その代償は、寄生摩擦抵抗も増大することである、というのも接触領域が何らかの滑りを生じ、支柱とローラ軸との間の距離がそれほど確定的でなくなるからである。
【0042】
釣合い保持点を与えることに加えて、他の2つの「アイドラ」ローラを採用してさらに有用な効果を得ることができる。
【0043】
ピボットまたはスライドの上に1個のローラを保持してもよいが、これは、これと支柱との間にほぼ一定の接触圧力を生じさせるように予め荷重をかけられる。この一定の力は、システム内の力の均衡を維持するに当たり他の2つのローラに反発する。有効な支柱幅がわずかにまたは一般的な機械的磨耗を補償するために変動したとしても、予荷重の移動により一定の保持力が確保される。
【0044】
他のローラは、システムの質量釣り合わせを行なうために使用できる。カウンタバランスがなければ、かつヘキサポッドが主に垂直であるならば、支柱およびハンドルシステムは(ユーザによって保持されなければ)キャプスタンを転がり抜けてしまう。この機構が無重力のようであり、いつ放置されてもじっとしているとすれば、明らかによりよい。摩擦なしの機構に対する完全な解決策は可能であるが何らかのオーバーヘッドを伴う。ジョイントピボットの他方側に作用し、支柱軸に沿って動いて支柱長さの変化を補償することのできるカウンタバランス質量を必要とするであろう。常に何らかの保持摩擦力があるので、より簡単な解決策が可能である、すなわち妥協的な推測によれば、一定の力が常に支柱軸では作用することである。この機構に対する重力によって生じるトルクと反対に一定のトルクをローラに与えるように、監視用ばね(watch spring)をローラに嵌めてもよい。
【0045】
キャプスタンシステムは、3個のローラを有するものと記載された。予め荷重がかけられると、これはいくつかの支柱曲げ力を生じる。一般的に大きくないが、これらを最小にすることができ、必要とされる予荷重の力は、ブレーキローラを予荷重ローラよりもカウンタバランスローラの近くに位置決めすることにより低減される。しかしながら、6個のローラ接触点が支柱位置を完全に拘束するわけでないので、それはカウンタバランスローラの反対側であってはならない。
【0046】
代替的に、対向する対で作用する4個のローラを採用してもよい。これは、支柱における曲げ力を回避し、圧縮のみが支柱領域にわたって残るという利点を有する。潜在的に8個の接触点によりこの構成は拘束されすぎるので、好適なコンプライアンスなしには、予測不可能な接触圧を生じるであろう。1つの解決策は、一個のみの接触点(または線)を提供する2個のローラを有することである。それらは、各々がVローラの反対側にかつ隣接するように配置されるべきである。得られた6個の接触点はやはり明確かつ完全に拘束された支柱軸を規定する。
【0047】
そのようなシステムでは、2個の摩擦ローラがMRブレーキに結合され得る。
接触圧を低減するために、好適にきめが粗くされた表面間の増大した摩擦、またはラックアンドピニオン型の歯車接触をも採用する代替の実施例が可能である。
【0048】
MRブレーキの代替の実施例が可能であり、これは必要とされる束密度(または電磁石の力)と自走状態に感じられる寄生抵抗とトレードオフするものである。
【0049】
前に提案したように単に流体とホイールとの間に粘性抵抗を生じさせる代わりに、MR流体は、磁界が導入される地点で加速するようにすることができ、そのため粘性抵抗における変化の相対的影響がより大きくなる。この要件に対する明快な解決策は、(短絡した)歯車ポンプのようなMR貯留槽を構成することであり、磁界が、図3および図4に示すように上から下にかけて2つの歯車の境界面に生じる。
【0050】
歯が噛み合わさると、流体は歯間空間から押出され、それらが開くと、流体が吸込まれる。理論的には、(歯に根元の隙間がない場合)流体は片側から他方側へと流れない。流体が堅くなりすぎれば、それは歯車の間にジャムを塗っているようになり、ブレーキがオンとなる。
【0051】
抵抗は速度に比例するので、これは、活性化するのにはるかに小さい電磁石で済み、歯車の噛み合いのまわりの乱流は、歯車自体の接線速度よりもかなり速くなる。
【0052】
この実施例は、反対方向に延びる2つの軸(各歯車ごとに1つ)を有するので、これはその間に支柱を延ばすことと矛盾しない。一方の歯車の「左」側は、他方の「右」側と同じ接ベクトルを有するので、同じ方向に支柱を動かすに当たって協働する。
【0053】
別の簡素化された実施例では、ブレーキディスクは摩擦駆動車に直接接続され、単一の対抗力車が支柱の反対側にある。
【0054】
ハウジングの両側にあるブッシュを用いて傾斜した整列が維持されるので、さらなるホイールは使われない。ホイールと支柱との間の予荷重は、(合成ゴムなどの)エラストマ材料で支柱を被覆し、かつおそらくは摩擦車のきめを粗くするかまたは同様に被覆することにより、行なわれる。摩擦車のための好適なきめは、必要な滑らかな転がり作用を妨げることのないような非常に控えめなものでなければならないであろう。
【0055】
対抗力車は、その軸が下部密閉空隙に延びており、この空隙に、互換性のある読出ヘッドモジュールによりその回転を測定できるコードホイールを取付けることができる。代替的に、低コストの連続的回転ポテンショメータを取付けてもよい。
【0056】
この実施例は、最小の金属部品を有しかつプラスチックの射出成形された部品から実質的に製造可能であるので、低コストの製造に向いている。
【0057】
ハプティック制御では、コンピュータがハンドルの6軸絶対位置を判断できる必要がある。
【0058】
これは、相対的支柱ピボットノードおよび有効な支柱長さを知ることで数学的変換により可能である。ノード位置は、測定または精密な構成により確立されるシステム定数であり、支柱長さは、一定に測定されなければならない1組の変数である。
【0059】
キャプスタンローラの1つの回転から支柱長さを推測することは可能であるが、何らかの形の機械的指標付けなしでは、この位置は時間とともにずれてしまうであろう。よりよい方法は、支柱長さを機械読出可能なスケールに与えることにより、かつ好ましくは寄生抵抗を増大させない非接触方法により直接測定することである。
【0060】
好適な低コストの長さエンコーダは、反射ストリップおよび光学的読出ヘッドであり得り、容量性、誘導性、磁歪または磁気エンコーダが選択肢としてある。光学的読出ストリップの場合には、これは、幅が小さく、その外方に面する側に押出された支柱プロファイル内に収まることができる。小型の表面実装型集積読出ヘッドICを所与のオフセットで正確に保持して尺度を測定することができる。基準位置は、支柱をそれらの機械的エンドストップまで物理的に縮め(または伸ばし)かつカウンタをリセットすることにより、システムの電源投入後に確立することができる。
【0061】
ハプティック制御はまた、ユーザが抵抗に抗してハンドルを動かすことにより生じる正味の力のベクトルおよびトルクを判断できることにより向上される。ヘキサポッドの場合、これは、各支柱における圧縮/引張り荷重がモニタされることを必要とする。この役目を果たすために多くの装置が存在するが、これは圧電式歪みゲージ技術または圧力感応の可変抵抗器のいずれかに基づいている。この後者の形は、両側への電気的接触を有する貼り合わされた膜のように簡素であり得る。支柱荷重を判断するために、支柱荷重が作用して膜を圧縮するように、そのような膜の小さなパッチがピストンの下部で作用し得る。
【0062】
荷重の測定なしには、ハプティックデバイスは、ソフトウェアが与える動きの拘束から完全に解放され得ないはずである。問題は、システムがいつ制動するべきかを知っているが、ブレーキが完全にオンになると、相対的支柱運動なしには、「適正な」空間に戻りたいというユーザの望みをシステムが判断できないことである。完全にオンではなくても、ブレーキは、いかなる仮想上の拘束も粘着性のある表面のように見せてしまう。
【0063】
力フィードバック要件に対する代替の低コストの解決策は、摩擦ローラとブレーキとの間に弾性の半径方向コンプライアンスを導入することである。これは、ローラのハブにおける径方向のエラストマ素子、または接触境界面としてのエラストマバンドを含むいくつかの手段によって達成することができる。
【0064】
動作時には、システムは、どのような支柱長さの拡張でブレーキをかける必要があるかがわかっている。これがその後、ブレーキをかけたにもかかわらず、支柱が長さを変え続けていることを見出した場合、これは支柱の荷重によるものであると推測することができる。荷重は、この明らかな支柱長さ誤差に比例する。荷重が低減されると、その長さはその理想的なブレーキ点まで戻り、これと同期して、ユーザが拘束から離脱できるように、ブレーキが解除され得る。
【0065】
この方法では、荷重測定の解像度は、エンコーダの解像度および許容されるコンプライアンスの量の両方の要因である。過剰なコンプライアンスは、動きの拘束に対して「ふわふわした」感触を導入する。これにより特に、システムはきめ粗く硬い表面の感触を伝達することができるようになる。おそらく12カウント/mm(300dpi)を運ぶ低コストの線形エンコーダでは、±1mmの支柱長さのコンプライアンスにより、ブレーキ点の荷重を約±12カウントの解像度まで測定することができる。
【0066】
ユーザ(またはシステム)がブレーキを完全にロックしないことによりいくらかの動きを可能とするならば、速度および制動レベルからより正確な支柱荷重を計算することができる。所与のブレーキ荷重下で1カウント分ドリフトするのにかかる正確な時間が、与えられた力の算定基準である。解像度は、短時間の増分の一連の平均を取ることにより向上させることができる。
【0067】
相対運動力覚装置では低い解像度はそれほど重要でない、というのも動きはなお滑らかであり、より一層増していくのは動きの速度のみであるからである。
【0068】
支柱の力を知ることにより、拘束から離れる動きは、対抗する力が取除かれるや否やブレーキを解除することにより可能化される。これはまた、静止時ブレーキが最小のパワーレベルで作動することを可能にする、なぜならそれは、荷重に対抗するためだけなら十分な制動力を与えるだけでよいからである。
【0069】
ヘキサポッドにかなりの寄生抵抗がかかる場合、ハンドルの動きは、所望の正味の運動を可能にするために最も遠くまで移動しなければならない支柱により体験される抵抗の増大により、偏りがあるように感じる。また、ハンドルが抵抗の中心からずれた場合、抵抗から発散するバイアスのトルクが、その後の変位により経験される。各支柱における力を知ることにより、MRブレーキを用いて最小共通分母のレベルにすべての支柱抵抗を確立することにより、各支柱の抵抗寄与の均衡をとることができ、より滑らかな偏りのない運動を得ることができる。
【0070】
支柱荷重を知ることで、順応しやすい表面(バーチャルクレイなど)をモデリングすることができる。これによりまた、6軸ポインタ/モデル接触点で確立される力のレベルおよびベクトルからその変形を制御することにより、複雑な曲面の直感的な編集が可能となる。
【0071】
ハプティックヘキサポッドは、その支持フレームからぶら下がるデスクトップモデルとして記載された。この設計の欠点は、支柱の関節結合範囲を解除するためにハンドルをサブフレームの抵抗の中心からずらす必要があることである。
【0072】
このデバイスが、あつらえた制御位置または備品に一体化される場合特に、代替の構成が可能である。
【0073】
たとえば、動くプラットホームが上方を向くようにヘキサポッドが逆さにされ、かつ特殊なデスクトップにおける凹みに頭を埋められた場合、支柱は、プラットホームの中心に可能な限り接近した理想的位置の近くにハンドルを位置決めすることの邪魔にならない。この場合には、重力均衡ばねを設置して脚を拡張すべきである。
【0074】
「スタイラス」により経験される寄生抵抗を軽減する別の構成は、保持位置の片側(その上にではなく)にこの機構を位置決めする。支柱の端ジョイントを保持するサブフレームは、好都合には中指と薬指との間に掴むことが出来るように形成され、人差指がそれを安定させ、さもなくば「ボタン」スイッチを作動することができる。各側に窪みを有する「ハンドル」を形成することで、グリップを向上させる。最大関節結合の際に支柱が親指とぶつかる可能性を最小限にするため、支柱のジョイントをわずかに持上げてもよい。ジョイントが2つの支柱に共通の頂点を形成するように二股にされるならば有利である、というのもこれはサブフレーム/スタイラスを小型にする助けとなるからである。中心圧力点には、さらなる比例出力が容易に制御可能となるように、圧力感応トランスデューサが嵌められてもよい。たとえば、これを採用して、システム剛性を変動させ、おそらく測定されたコントローラ力のベクトルを用いて動作特徴を向上させてもよい。
【0075】
3つのデカルト軸のみ(トルクなし)が拘束される必要がある場合、ヘキサポッドの代わりにトライポッド構成を用いることができる。4つの支柱が共通のピボット点を共有し互いに対して角度を変えることのできるジョイントを構成する必要がある。さらなる選択肢としては、直交端プラットホームを有する、中心の第4の脚を採用し、その上に3つの支柱の各々に別々のボール対ソケット型ジョイントを取付けることである。最適な共通のノード点からの変位により第4の脚に曲げモーメントが生じるため、互いにできる限り接近させる。
【0076】
ハプティックデバイスに向いている別の並列機構構造は、図2に示す「ペンタポッド」であり、5つのみの支柱が並列に作用する(ヘキサポッドの6つの支柱の代わりである)。第6の軸(「スタイラス」またはハンドルに沿っている)は、基本的にはそれほど有用ではないが、必要な場合、機構の他の部分と直列に(所望ならば)好適なエンコーダおよびブレーキを効果的に導入することにより、ヘキサポッドで可能であろうものより広い回転度を許容する。
【0077】
そのような構造は、可変のトライポッドのようであり、その頂点は、2つのさらなる支柱の共通の頂点と理想的には接続され(しかし変位されない)、これらのベースノードも好適には変位される。トライポッドは、空間的に固定した位置および(支柱の1つからの)接続スペーサの基準角度を確立する。これは、特に微妙な「三股」のジョイントを必要とする。残りの「V」支柱は、理想的には、「二股の」共通のノードジョイントを共有する。
【0078】
スペーサがスタイラスとして作用するとき、この構造は、その先端にではなく人間工学的ハンドルの中に寄生抵抗焦点の均衡を取ることで、これをそれほど目立たないようにする。サブフレームがスタイラスとして作用するヘキサポッドの実施例と同様に、ペンタポッドのスタイラスは、便宜には、親指と中指との間に掴まれ、さらなる制御軸を与えるために握りセンサを備える。
【0079】
ブレーキノードは互いから変位されるので、それらは「二股」ではなく単純な球体であってもよく、これによりそれらは組立てやすくなる。ある実施例では、これらは2軸ジンバルに保持され、最終のピボット軸は支柱対の基底間に共通している。この構成では、支柱は、それらの対する三角形の共通の底辺について1軸で回動し、そのためそれら自身の軸で回転することができなくてよい。しかしながら、トライポッドの第3の支柱は、回転する必要がある(というのもスタイラスは横方向に傾斜するからである)。支柱アセンブリにおけるスイベル要素がこれを可能にする。
【0080】
支柱長さをスタイラス位置に変換するための数学的変換(順変換)は、一般的に、位置を支柱長さに変換する(逆変換)よりも、並列機構ではより困難である。これは、順変換は通常完全に確定的でないため繰返さなければならないからである。このため、ハプティックデバイスで必要であるようにこれをリアルタイムで行なうには複雑なプログラム技術および大きな処理電力が必要である。しかしながら、ペンタポッドは困難なく順変換が可能である。トライポッド要素は、スタイラスの一方の端に対して絶対的ピボット点位置を与える。他方端は、球面状のシェルのような軌跡を有する。他の「V」フレーム頂点は円弧状の軌跡を有する。円弧が球と交差することのできる点は2つより多くはない。これらの点の1つを割引くことができ、これは許容される関節結合範囲の外に逆転した位置を表わす。
【0081】
ハプティックデバイスの以上の実施例は、CADオペレータのためのコンピュータ入力装置として適用されるものと記載された。しかしながら、それらは多くの他の適用例を有する。
【0082】
ハプティック多軸制御は、医療用ロボットおよび遠隔ロボットの他の例の分野に有用である。
【0083】
エグゾスケルトンの方策ほど包括的ではないが、これははるかに安全かつより実用的である。より安全であるのは、受動的にブレーキ制御されるのみで、モータ駆動装置と異なり、システム障害の際に暴走できないからである。
【0084】
作業量が増加するより大きなヘキサポッドは、同じ設計概念を用いて容易に製造することができ、潜在的に完全に手を延ばした範囲を超える。このことにより、応用範囲が、スポーツまたは物理療法運動トレーナを含むまでに広がる。
【0085】
そのようなハプティックデバイスは、プログラム可能なエクササイズマシンと見なすことができる。いかなるレベルのいかなる関節結合にも抵抗を確立することができる。関節結合は、固定した境界、または経路抵抗値が徐々に低くなる境界を備える、プログラムされた経路に拘束可能である。後者の場合には、その効果は、最適な経路をたどることで運動に対する抵抗は最小となるが、さまようとそれは固くなる。この態様では、最適な運動を覚えるように体が訓練され得る。
【0086】
これは、ゴルフおよびテニスのようなスポーツに適用され得る。
抵抗がプログラム可能な制御下にあるので、これをバーチャルリアリティシミュレータと関連付けて、完全に直感的かつインタラクティブなスポーツ/娯楽経験を可能にすることができる。入力レベルでは、これは標準のデスクトップデバイスであり得、(マウスまたはジョイスティックと比べて)空間入力に富むため、新しくよりリアルなゲームのシナリオをモデリングすることができる。アーケード形のテーマ型ゲームのために特殊構成を製作することができる。その一例はハプティックユニットを「グローブ」に取付けたボクシングシミュレータである。もちろん、そのようなマシンは打ち返してこない(ただしおそらく効果はある)。
【0087】
適用例(ゴルフシミュレータなど)が、ヘキサポッドの範囲を超える傾斜角または回転関節結合を必要とする場合、ヘキサポッド/トライポッドのベースまたは端プラットホームに追加の軸を加えることができる。
【0088】
最も有用な拡張は、ヘキサポッドのベースを保持して、端プラットホームを軽量にしておく回転ブレーキであろう。ヘキサポッドが回転ステージと同じ軸にない場合、釣合い重りを採用して、組合されたシステムを「無重力状態」にしておくことができる。
【0089】
ヘキサポッド支柱長さを変動させ釣合いをとる手段、および最小ノードジオメトリは、オブジェクトデジタイザの製作にも向いている。
【0090】
この適用例では、一定のノード位置の維持、および正確な支柱長さ測定などの、エンドエフェクタ6軸位置を規定する要因がより重視される。
【0091】
ノード安定性は、ジンバルではなく二股のボールおよび環状ソケットを用いることにより改良され、位置測定は、サブミクロンの増分を解像することのできる、モアレ縞ベースの光学的スケールおよびレーザ読取ヘッドなどの高解像技術を用いることにより向上される。
【0092】
この用途では、ブレーキのための要件が少ない。したがって、これをすべて省略し、手動で位置決めされる装置としてもよいし、または支柱を遠隔で伸縮することのできるサーボモータと置換されてもよい。
【0093】
第2部
ハプティックデバイスは、ユーザが掴んだり関節結合するスタイラスまたはハンドルを必要とする。しばしば、ハンドルは、機能を選択したり動作を確認するためにちょうどマウスボタンのように使用される、指で作動されるスイッチを含む。
【0094】
この発明のある実施例では、スイッチは、圧力センサと置換され、それらが人間工学的な主に三方突出型のハンドルの自然なグリップ点の下に存在するように位置決めされる。
【0095】
他のハンドルの形は、同じ利益を与え、特定のマシンジオメトリによりよく適合し得る。重要な要因は、ともにスタイラスに対して主な保持を行う親指と中指との間で握りが測定されることである。人差指は、(ペンを掴むように)スタイラスを安定させかつスイッチまたはさらなる圧力パッドを作動させるために用いられる。
【0096】
この構成によりいくつかの利益が達成される。
おそらく、最も重要なことは、ユーザが比例的握り圧力を採用して絶対的データ入力と相対的データ入力との間をシームレスに動くことができることである。実際には、自己のモデルをまず動かして詳細を拡大し、次に多軸カーソルを正確に位置決めする。
【0097】
特定の握りなしでは、この装置の振舞いは、絶対的位置制御での器用さという利点のすべてを伴う。指センサが強く握られるほど、ソフトウェア制御のブレーキによって許されるハンドルの物理的変位は少なくなる。しかし、測定された力をここでは用いて、利用可能な6軸力覚CAD入力装置において同様に相対的な動きを一層制御する。(軟らかい設定のしきい値に対して)きつく握りしめられると、ハンドルの位置がロックされ、力は相対運動出力として解釈され、モデルを位置決めするのに効果的に使用される。握りしめるのが緩められると、絶対的な動きは相対的なものと混合され、可変のスケーリングと同様の効果となる。握りしきい値より下のときには、装置は、絶対位置の直接マッピングに戻るが、ここではそのワークスペース起点は、関心のある新しい領域に動かされる。
【0098】
視点位置決め(相対運動)に対しては、ブレーキ力は一様であり、そのためユーザ入力の力のベクトルは、離散時間期間(discreet time period)における位置および配向におけるデカルト変換された増分シフト*現在のブレーキレベル(バルブ圧力として設定される)から判断することができる。
【0099】
ユーザ入力ベクトルは、大きさ=(ブレーキレベル)*(単位時間Dあたりに移動する距離=)sqr(dx^2*dy^2*dz^2)および方向(a)=tan(−1)(dx/dy),(b)=sin(−1)(D/dz)を有する。ここで、dx,dyおよびdzは、x値、y値およびz値における変化である。
【0100】
トルク値は、単位時間における(a)および(b)の変化*ブレーキレベルから同様に判断する。
【0101】
ベクトルおよびトルクを次に「逆」にして採用し、連続的に相対的な態様でモデルおよびワークスペースを動かす。視覚的効果は、見る位置を動かすことと等しい。
【0102】
この過程を通じて、カーソルは、前と同じように順変換された支柱長さの変化に従ってその絶対位置を変える。
【0103】
このプロセスは、動作するのに、モデルを動かしカーソルを動かすための別々の装置よりもはるかにより直感的かつ高速である。もちろん、カーソルはここでも多軸であり、2Dにおいて重複するが3Dにおいて変位される特徴を区別することができる。
【0104】
空間的な触覚の拘束をもたらすのにモータではなくコンピュータで制御されるブレーキを用いる、ハプティックデバイスの新たな簡素化されたタイプが利用可能となってきている。そこで、特にCADコントローラに関して、それらの応用によりどのように触感の体験が最も向上するかについての問題がある。
【0105】
ハプティックコントローラは、CADシステムの全く新しいスタイルを規定する可能性を有するが、最低限の改変で現在のソフトウェアの使用を向上させることを考慮しなければならない。
【0106】
カーソルおよびモデルの動きを統合するために既に提案されている方法が、このカテゴリに当てはまるが、さらなる技術により、モデルの実体を選択する(かつ修正する)感覚を向上することができる。
【0107】
3D−CADソフトウェアは一般に、モデルの展開および編集のために提供されるツールの一部として、点、曲線、端縁および表面を特定することが既にできる。目標は、触覚に基づく感覚を用いてこのプロセスをより速くより直感的なものとすることである。
【0108】
ソフトウェアがこれらの実体を(一度に1つずつ)特定すると、それらの空間的記述が、直列、並列またはネットワークデータリンクにより、ハプティックコントローラを維持するプロセッサに送られ得る。
【0109】
表面は滑りやすくなければならず粘着性であってはならない。したがって、ブレーキは、拘束に達するとすぐに「収まる」だけてなく、表面に沿った自由な動きを許容するように管理される必要がある。
【0110】
平面的な拘束に沿って動くためには、まず、拘束面と接触する点で優勢な速度および方向を判断することが必要である。これは、「初期ベクトル」として用いられる。その後(ブレーキが始動すると)、実際のユーザの力のベクトルが、現在の運動力学的設計で各支柱ごとに支柱長さの変化の速度*優勢なブレーキレベルから計算される。5つのベクトルを合計する。
【0111】
指定される表面の動きの経路は、現在の接触点から表面の平面上への5つのベクトルの方向の標準投影の連続である。ベクトルが曲面法線ではなく、かつ十分な力のレベルが存在する限り、ブレーキには「閉ループ」が採用され、指定された経路に沿った動きのために適切な支柱長さの変化を同期させる。もちろん、ユーザの力のベクトルが方向を変えると、この経路は方向を変える(一方でなおも平面に拘束されている)。
【0112】
逆運動力学的変換により、(使用可能な力の成分に基づき1時間単位あたりの推測変位で)経路に辿ることに一致した支柱長さの変化を判断する。支柱の実際の長さが、変換が推定した長さから変動すると、ブレーキレベルを修正して、次の位置の確認のために誤差を補正する。ある軸がゼロのブレーキレベルを有する点まで、同期した制動を低減することにより、動きの速度を最適化することができる。
【0113】
硬度、摩擦係数、およびきめが可能なさらなるパラメータである。
逆変換は、スタイラスノード位置からの支柱長さを計算し、次に各支柱ごとに、長さ=sqr(dx^2*dy^2*dz^2)を計算する。ここで、dx,dyおよびdzは、x,yおよびzにおけるブレーキピボット点からのノード変位である。
【0114】
ブレーキ力を正しくかけることにより、カーソルを点位置に案内しこれをそこに保持することができる。本質的に、同じ解決策を表面の拘束について採用することができる。この場合にのみ、カーソルが目標点(または線)の規定された範囲内に近づくと、直線の経路が捕捉点(または線に対する法線)まで判断される。やはり、ブレーキはこの経路に沿ってスタイラス/カーソルを向けるように同期する。
【0115】
「感覚」は、補正ブレーキレベル全体および捕捉の大きさの限界を特定する減衰項から得られる。最大の範囲では、補正制動はない。目標に近づくと、ブレーキは、経路を完全に制御できるまで、指数関数的に増大する。最初に範囲内に入ると、それらは「軟らかく」感じるようになり、そのため経路は、急峻な変更方向ではなくその目標に向ってなだらかにカーブするようになる。
【0116】
付与されたブレーキレベル=最大ブレーキ力*指数関数的減衰項。
指数関数的減衰項が1−sqr(2rd−d^2)/rの形であり、r=影響力が最大である半径の場合、dは点からのずれである。
【0117】
法線(脱出)成分が規定されたしきい値を超えるようにユーザの力のベクトルが動くと、捕捉が解除される。この解除は、減衰項により定義されるような指数関数的なものであってもよい。
【0118】
減衰項および離脱しきい値を用いる同じ技術は、線形または平面状の捕捉を生成するための線または面で採用されてもよい。
【0119】
ある実施例では、スタイラスのまわりの連続的径方向バンドのように握りセンサが配置される。この利点は、それ自体の軸でのどのスタイラス回転度でも作動され得ることである。
【0120】
制御の感覚を向上させるために、このバンドは、握る力に比例したコンプライアンスを示すべきである。また、このバンドは、その端縁においてよりもその中心で握られるとより大きな効果を生じるように配置され、それによりどのようにそれを握ったかに応じた粗いまたは高忠実度の制御を可能とすることができる。
【0121】
このバンドは、これを圧縮すると、低減する容積内で圧力が増大したり流体が変位したりするような径方向またはドーナツ型のブラダ状でもよい。(ハンドヘルドのデバイスでと同様に)温度の変化により気体はかなり膨張するので、付与された圧力が一貫して測定できるように微妙な温度補償を必要とするであろう(ボイルの法則:P1V1/T1=P2V2/T2)。流体で充填された装置がしたがって好ましいであろう。
【0122】
そのような流体で充填された径方向のブラダは、流体を、スタイラス回転の軸に配置されたさらなるブラダへと変位させることができる。このさらなるブラダの変位をスタイラスの非回転側から非接触センシングにより測定して、連続的なスタイラス回転を可能にすることと関連付けられる配線の問題を回避することができる。好適なセンサは、光学的、容量性、誘導性、LVDTまたは磁気的なものであってもよい。後者の場合には、軸方向ブラダが、小さな磁石を保持し結果としてはこれを変位し、比例的ホール効果センサが、変化する束密度を測定し、また圧力レベル出力がシステム圧力を間接的に反映する。
【0123】
代替の「固体の」解決策は、圧力接触点の位置と関係なく外部ブラダ変位を直接測定する変位センサに基づき得る。これは、順応しやすい(compliant)径方向ブラダの下に、しかし強磁性粒子で充填されたエラストマのブラダとともに、導電性のバンドを採用することにより実現することができる。ブラダを握りしめると、システムの容量が変化し測定可能となる。代替的に、リングとブラダとの間の容量性チャージを測定するために配備されたコンタクトスリップリングとともに導電性のエラストマを用いることもできる。
【0124】
すべてエグゾスケルトンのタイプの装置よりもはるかに実際的な妥協として、遠隔ロボット制御を支援する比例的握り測定を採用することもできる。
【0125】
典型的な実施例では、握りセンサは、グリッパ装置または他のロボットエンドエフェクタの作用を制御する。これもやはり直感的であり、親指と他の指の間に物体を掴んでいるようである。
【0126】
握りセンサがスタイラスのまわりの周辺上にあるのと同様に、追加の機能ボタンも周辺上にあり得る。この場合には、人差指での操作に都合よく「リング」が位置し得る。リングを押すことにより、ある切換状態が生じ、リングを引き戻すことにより、別の切換状態が生じる。「ボタンリング」が、支援なしに戻る好ましいホームポジション、すなわち活性化するための力のしきい値を有し、大きな物理的変位を示すが摩擦は最小であるならば、感触は向上する。環状のコロ軸受などの小さなエラストマ「O」リングを用いてこれを支持することにより、これらの嗜好に対応することができる。このリングは、ボタン側および内部コア上の嵌まり合う窪みに存在する。ボタンを変位させるために、リングは圧縮してその窪みから転がり出る必要があるが、一旦出ると、その成形された配向に戻ろうという嗜好が、それを転がり戻して(オフ状態にする)何らかの戻る力を与える。
【0127】
ボタンリングは、その変位をどのスタイラス軸回転でも測定できるように、径方向フランジを備え内方に延在し得る。簡素な電気的コンタクトを採用してもよいが、好ましい非接触の固体の実施例は、フランジを強磁性または磁性体にして、その変位がホールセンサで感知できるようにすることである。フランジが、環状の隣接したN極およびS極からなる場合、センサがその間にあるとき、それは相対的出力電圧を有さないが、その後に変位される態様に応じて正負を変える。
【0128】
「O」リング溝が、強いホームポジションのバイアスなしに自動的に中心に戻る復帰ばねとして作用するように再設計される場合、ユーザは、プッシュプルスイッチ点しきい値を採用するのではなく、センサ比例値を読取るさらなる比例出力としてそれを専用化し直してもよい。
【0129】
ボタンとしてのみ常に使用されるとしても、比例的センシングはなおも利点を提供し得る。指の接触を常に維持することができ、機械的力のしきい値なしに、可能化されたときの空間的外乱は最小となる。また、困難なく、ユーザは2つ以上の明確に定義できる変位状態を選択し可能化する。
【0130】
比較的小さなコンプライアンスを示すブラダなどの代わりに、レバーで拡張された指で作動される復帰ばねの変位変換器を採用してもよい。これは、精密な位置的忠実度が変位範囲を増加させることにより向上される遠隔ロボット応用例にとって特に有利である。これはまた、ロボットのグリッパ上の圧力センサによって経験されるか、またはさもなくば仮想現実環境によって決定される抵抗におそらく比例した、触覚に基づく力のフィードバックの能力を変換機トランスデューサに与えるという可能性を開く。実際には、指/親指の変位が、グリッパの変位を定義し得、グリッパが障害を感じると、指/親指もこれを感じるであろう。
【0131】
この設計がサポートする必要があるのは、休止位置においては互いから幾分ずらされており、センサが押し下げられると互いに近づく、指/親指の接触パッドの新しい人間工学である。ハンドルを主として手のひらならびに薬指および小指で保持することができ、親指、人差指および中指がハプティック変位センサに載っていることが好都合である。そして、ロボットグリッパが、有利には、同じ運動力学的設計をエミュレートする。
【0132】
この発明を十分に理解するために、さまざまな例示の実施例が、添付の図面を参照することにより以下に記載される。
【0133】
【実施例の詳細な説明】
図1は、ヘキサポッドを基本とするハプティックデバイスの実施例を示す。スタイラス(2)が動くことにより、支柱は、半球を貫通し後ろに延びることにより、端部リンク機構(たとえば7)と支持半球(たとえば5)との間の長さを変える。支柱の長さの組合せが、6軸空間におけるスタイラスの位置を規定する。
【0134】
1は、スタイラスに向って上方に傾斜して手首を持ち上げ支持する人間工学的アームレストを示す。
【0135】
2は、ユーザの好む人間工学的角度でロック解除することのできる結合部によりヘキサポッドの端フレームに取付けられる三方突出方のスタイラスの実施例を示す。
【0136】
3は、ヘキサポッドの端フレームに共通して接続され半球(9)を貫通する代表的な支柱を示す。
【0137】
4は、半球(5)を貫通しかつ半球(9)とピボット軸を共有する別の代表的な支柱を示す。
【0138】
5は、支柱の軸方向の変位を支持し、有効な支柱長さを測定することができ、ブレーキ機構を収容する半球の1つを示す。
【0139】
6は、半球が共通の軸について個々に回転し対として傾斜および回転することを可能にする3軸のジンバルを示す。
【0140】
7は、支柱の端をヘキサポッドの端フレームに接続するボール対ソケット型リンク機構を示す。
【0141】
8は、ジンバルを支持するフレームを示す。
図2Aは、ペンタポッドを基本とするハプティックデバイスの実施例を示す。スタイラス(2)が動くと、支柱は、その端リンク機構(3)または(4)とブレーキ半球(たとえば5)との間の長さを変える。支柱の長さの組合せが、5軸空間におけるスタイラスの位置を規定する。支持されない軸は、リンク機構(3)と(4)との間のスタイラスの軸であるが、これは必要であれば独立して測定可能である。
【0142】
1は、人工工学的アームレストを示す。
2は、リンク機構(3)と(4)との間に支持されるスタイラスを示す。
【0143】
3は、2つの支柱が共通のピボット軸を有しかつ対として共通のピボット点で3自由度について関節結合することを可能にするリンク機構を示す。
【0144】
4は、(3)と同様に機能するが、概念上共通のピボット点を共有し、それ自身の軸について回転しかつスタイラスに対して1軸で独立して傾斜することのできる第3の支柱(7)を支持もするリンク機構を示す。この支柱(7)は、それ自身の軸について回転するときスタイラスのための基準角度を確立する(デバイスの6番目の自由度である)。
【0145】
5は、支柱を貫通させ、支柱の有効長さを測定することができ、ブレーキ機構を収容するブレーキ半球を示す。
【0146】
6は、ブレーキ半球を支持する代表的な2軸ジンバルを示す。
7は、代表的な支柱を示す。これもまた、スタイラス回転のための基準角度を確立する。
【0147】
8は、ジンバルを支持するフレームを示す。
図2Bに示すペンタポッドを基本とするハプティックデバイスの別の実施例では、ブレーキノード(1)は、片側ヨークではなくリングジンバル(2)によって支持される。このリングは、2つのスタブ軸でより堅く支持され得り、装着フレーム(3)に対する歪みは少ない。装着フレームはまた、ブレーキノードに外接し、それらが突発的な損傷を受けにくくする。
【0148】
図3AおよびBは、歯車ポンプを基本とするブレーキの概念的な実施例を示す。歯車(たとえば1)は、これ以外はMR流体で充填されている空隙の中に延びている。空隙(3)内のポケットがポンプの流れを効果的に短絡させるが、流体はなおも歯車の噛み合せ領域(4)を満たしている。電磁石(6)が磁束を比例的に生成することができ、この磁束は、導体(5)を沿って流れ、歯車噛み合せ領域にわたって集中する。そうする際に、それは局所的粘性を変えることができ、したがって、歯車が回転すると流体をその内部歯車空間から排出させる能力も変えることができる。この制動効果は、歯車の軸シャフトを介して出力される。
【0149】
1は代表的な歯車を示す。
2はMR流体を示す。
【0150】
3は、ポンプによって生成される流れが循環することを可能にする空隙内のポケットを示す。
【0151】
4は、磁束導体(5)が集中する歯車噛み合せ領域の上下の領域を示す。
5は、磁界をコイルから歯車噛み合せ領域の両側の集束極に伝達する磁束導体を示す。
【0152】
6はコイルを示す。
7はハウジングを示す。
【0153】
8は歯車軸を示す。
図4Aは、ブレーキに接続されるローラ軸の2つでピンチローラ(たとえば7)間の支柱を支持することのできるユニットに設置される歯車を基本とするブレーキの実施例を示す。
【0154】
磁束回路は、端キャップ(1)、コア(2)および端プレート(3)からなる。アイドラローラ軸の1つが、端シェル(9)によって与えられる空隙内に延びており、ここでそれは、支柱の伸長を測定するための手段としてのエンコーダホイールに取付けられる。
【0155】
1は磁束導体からなる端キャップを示す。
2はコア磁束導体を示す。
【0156】
3は端プレート磁束導体を示す。
4はコイルを示す。
【0157】
5は代表的な歯車を示す。
6は、軸を支持し、かつ歯車が通る二方突出型の空隙を設けるハウジングを示す。
【0158】
7は、その軸上の代表的なピンチローラを示す。
8は、軸の一方の端を支持する軸受プレートを示す。
【0159】
9は、アイドラ軸の1つに取付けられる径方向エンコーダを収容する端シェルを示す。
【0160】
図4Bおよび図4Cは、支柱軸ブレーキユニットのある実施例の断面図および分解図を示す。
【0161】
このブレーキは、軸受(2および2a)によりそのシャフト上に支持されるディスク(1)を採用し、シール(3)が、ディスクのまわりに小さな間隙を与える径方向容積(4)内にMR流体を閉じ込める。シャフトは、摩擦車(5)を保持する。対向するホイール(6)も同様に支持されるが、そのシャフト(7)はコードホイール(8)を保持するように下方に延在する。
【0162】
コイル(9)は磁気回路を駆動し、磁束がコア(10)を通過し、半球を回り、次に導体プレート(11)を通り、MR流体の第1の層を通り、ブレーキディスク(1)の円柱状の縁を通り、MR流体の別の層を通って、コア(10)が接続される極片(12)に入る。
【0163】
絶縁体ディスク(13)が極片(12)内に引き込んでおり、磁束が、中心ではなく、最良のブレーキてこ比を有するブレーキディスクの縁を通過するのを促進する。
【0164】
シールプレート(14)を採用して、MR流体からコイル室を密閉する。
ブッシュ(15および15a)は、支柱をピンチホイールに案内する支援をする。
【0165】
図5は、「三股の」ジョイントの実施例を示す。2本の支柱(3および4)が共通のピボット軸を有し対として共通のピボット点について3自由度で関節結合することを可能にし、第3の支柱(2)が、基準ボール端部(1)に対して1軸において独立して傾斜することができる同じ概念上のピボット点を共有する、リンク機構である。
【0166】
このアセンブリは、クリップ(5)により合せて保持され予め荷重がかけられており、このクリップは、ボール端部(1)のまわりに(3および4)に取付けられた環状のソケットリングを保持し、これによりピボット支柱(2)を閉じ込める。
【0167】
図6は、同じアセンブリを分解図で示す。
電気的配線が、ボール端部を通って穴の下に延びスロット(6)および(7)を介して中空の支柱(2)を通って出て行くことにより、このリンク機構を通過し得る。
【0168】
1はボール端部を示す。
2はボール端部に対して1軸においてのみ回動することのできる支柱を示す。
【0169】
3は、隣接した支柱要素(4)との重なりを許容するために部分的に切取られた支柱および環状のソケット要素を示す。
【0170】
4は、さかさまにした、部品(3)を複製したものである。
5は、部品(3)および(4)にともに予め荷重をかけるクリップを示す。
【0171】
6は、電気的配線をボール端部から支柱(2)に通すスロットを示す。これは支柱の回動を可能にするのに十分な長さである。
【0172】
7は、電気的配線がスロット(6)から支柱(2)の中空のコアに通されることを可能にするスロットを示す。
【0173】
図7Aおよび図7Bは、「三股の」ジョイントの簡素化された実施例の斜視図および分解図を示し、ボール(3)を1軸のピボットと接合する下部レッグ(1)がピン(2)で保持される。これにより、ボールの自然な表面のより多くをソケットリングを保持するために残しておくことができるが、回動する支柱は実際には配線のための導管として使用することはできない。
【0174】
図8Aおよび図8Bは、ヘキサポッドを基本とする(図1)ハプティックデバイスにより採用される二股の球体ブレーキの平面図および断面図を示す。
【0175】
支柱は3個のピンチローラの間に保持される。その1つ(3)は、他ではMR流体浴に含浸されるフライホイールに接続される。別のもの(4)は、支柱およびスタイラスシステムの質量を打消すような「監視」ばね(watch spring)を収容する。最後のもの(5)には、支柱をつかむ好適な作業圧力を維持するように環状の「V」の溝に対してかつこれに沿って予め荷重がかけられる。
【0176】
1は、ばね鋼ワイヤランナー(2)が両側に結合された楕円断面の支柱を示す。
【0177】
2はばね鋼ランナーの端部を示す。
3は、狭い軸上を内方に延在しブレーキフライホイールとなる主ピンチローラを示す。
【0178】
4は、一定の力のばねを収容する機能を有するアイドラローラを示す。
5は、ばね荷重をかけて支柱のまわりにローラセットの一定のピンチ圧力を与え得るアイドラローラを示す。
【0179】
6は、3軸装着ジンバルの内部フープを示す。
7は、3軸装着ジンバルの外部フープを示す。
【0180】
8は、外部フープ(7)に螺合され、軸受ボールが(6)と(7)との間の境界面に閉じ込められるようにするジンバルリング予荷重カラーを示す。
【0181】
9は、線形スケールの変位を読取ることのできる光学的トランスデューサチップの可能性ある位置を示し、線形スケールは他の態様では支柱に取付けられる。
【0182】
10は、2つの半球を分離するスペーサボールを示す。
11は、ローラが装着される成形物を示す。
【0183】
12は、磁束をシェル(15)からブレーキディスクの外縁に伝達するプレートを示す。
【0184】
13は、MR流体貯留槽を隔離するために使用されるポッティング流体を示す。
【0185】
14はコイルを示す。
15は、磁束をプレート(12)に伝達するシェルを示す。
【0186】
16は、磁束をブレーキディスクの縁の内部に伝達する極片を示す。
17は、空隙内のMR流体を示す。
【0187】
図9は、相対的モデル(または視点)移動と絶対的位置制御との間の遷移の概念的概略図を示す。
【0188】
例1は、スタイラスにより握りが記録されないとき、どのようにカールが絶対的移動関係においてスタイラスの位置および配向をたどるかを示す。
【0189】
図2は、スタイラスを傾斜させる際低度の握りが付与されるとき(軽くハプティックブレーキをかける)、カーソルはなおもスタイラスの絶対位置をたどるが、モデルは、かけられた力のベクトルに対する反応として回転することを示す。
【0190】
図3は、強く握られたとき、スタイラス(およびしたがってカーソル)の動きが最小となるが、スタイラスを動かそうとしたユーザによってかけられた力のベクトルがモデルを動かすものと解釈されていることを示す。
【0191】
図4は、握りが解除されると、スタイラスが再び絶対的関係でカーソルを動かし、モデルのみが今や新しい位置にあることを示す。
【0192】
図10は、抵抗を基本とするハプティックデバイスで仮想的実体をどのように捕捉するかを示す。
【0193】
所望の点または曲線に近づくと、コントローラはブレーキベクトルを与えて、理想的な理論上の軌跡に対して垂直にかつこれに向けて接近ベクトルを曲げる。カーソルがその目標に近づくと(指数関数的減衰項により確立される)および/または接近ベクトルが理想的な径方向の軌跡からずれると、この補正力が増大する。次に、カーソルは、指定された最大ブレーキ力で目標に保持される。
【0194】
「捕捉された」位置から離脱すると、このアルゴリズムは、ブレーキベクトルを与えて、離脱ベクトルの径方向成分に抵抗し、保持力が、影響する領域の半径まで減少する(指数関数的減衰項により確立される)。
【0195】
横の図は、曲線または表面特徴の方へカーソルを向けるようにハプティックブレーキによりカーソルの軌跡をどのように修正できるかを示す。カーソルが特徴に沿ってすべることができるようになると、コサインブレーキ成分により「逃げ」に抵抗しかつサインブレーキ成分によりそこに引戻される。
【0196】
図11は、2つの、多支柱半球状軸受の間に保持されるスタイラスの実施例を示す。
【0197】
1は、リングスタイラスボタン制御を示す。このリングは、軸方向に往復して動くことができ、ボタン1およびボタン2を規定する。これは、(自身の軸において)どのスタイラス回転度からも動作可能である。
【0198】
2は、外部が楕円形状の握り可能なバルブを示し、やはりどのスタイラス回転度からも動作可能である。
【0199】
図12は、いくつかの構成部品が断面で示されたスタイラスの図を示す。
1は、円柱形のカラーを有するボタンリングを示す。
【0200】
2は、握り可能であり、その他には容積(14)に流体を閉じ込めるバルブを示す。
【0201】
3は、その結合部により回転が抑制され、(8)として連続しているスタイラスのコアを示す。
【0202】
4は、スタイラス信号配線が通ることのできる通路を示す。
5は、リングボタンを支持するカラーを示す。
【0203】
6は、環状の溝内で転がることができ、リングボタンを支持する軸受として作用する「O」リングを示す。
【0204】
7は、回転要素をコアに保持し、角度エンコーダの受動側が上に装着され得るプラグ内のねじを示す。
【0205】
8は、構成部品の組の回転部分を支持する、外部が環状の軸受ストリップを備えるコア(3)の延長部を示す。
【0206】
9は、流体が空隙(14)から蛇腹(10)の背後の領域を通ることを可能にする通路の1つの断面図を示す。
【0207】
10は、その乾燥側に受動的位置感知素子(11)を保持し、流体圧力が増大すると外方に膨張することのできる蛇腹を示す。
【0208】
11は、蛇腹(10)に接続されるピストンとして作用する円柱状磁石の位置を示す。
【0209】
12は、線形位置感知装置を収容することのできる空隙を示し、この実施例では、ピストン磁石のオフセット距離を測定するホールセンサであり得る。
【0210】
13は、流体を充填し、その後にねじをプラグ内に螺合し何らかの予荷重を行なうように設定することにより物理的感触を調節するための便宜な通路を示す。
【0211】
14は、流体で充填され得る、握りバルブ下の容積を示す。
特定の実施例を参照して以上にこの発明を記載したが、これらの実施例は例示にすぎず、添付の特許請求の範囲に述べられるこの発明の精神および範囲内から逸脱することなしに変形および変更がなされ得ることが認められる。
【0212】
不確かさを回避するため、並列リンク機構としてここに参照されるものは、リンクがジオメトリ的に並列であることを示すものと理解されるべきでない。むしろ、このリンクは、互いに協働して並列に動作をすることでマシンノードの位置を判断するものであり、以前のおよび/または以降のリンクに相対する性質により、各リンク自体がマシンノードを規定する直列リンク機構とは対照的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヘキサポッドを基本とするハプティック入力装置の実施例の図である。
【図2A】 ペンタポッドを基本とするハプティック入力装置の実施例の図である。
【図2B】 ペンタポッドを基本とするハプティック入力装置の実施例の図である。
【図3A】 この発明を採用するハプティック入力装置に有用な歯車ポンプを基本とするブレーキ機構の概略的平面図である。
【図3B】 この発明を採用するハプティック入力装置に有用な歯車ポンプを基本とするブレーキ機構の立面図である。
【図4A】 別の歯車を基本とするブレーキ機構の分解図である。
【図4B】 支柱軸ブレーキユニットの断面図である。
【図4C】 支柱軸ブレーキユニットの分解図である。
【図5】 図2Aおよび図2Bのペンタポッドの実施例に有用な三股のジョイントの組立図である。
【図6】 図2Aおよび図2Bのペンタポッドの実施例に有用な三股のジョイントの分解図である。
【図7A】 代替の三股のジョイントの組立図である。
【図7B】 代替の三股のジョイントの分解図である。
【図8A】 図1のヘキサポッドを基本とするハプティック入力装置において用いられる二股の球体ブレーキの概略的平面図である。
【図8B】 図1のヘキサポッドを基本とするハプティック入力装置において用いられる二股の球体ブレーキの断面立面図である。
【図9】 この発明を採用するハプティックスタイラス使用時の相対的モデル(視点)移動と絶対的位置制御との間の遷移を4つの例で示す概念的概略図である。
【図10】 抵抗を基本とするハプティックデバイスで仮想的実体をどのように捕捉するかを示す図である。
【図11】 図2Bのペンタポッドを基本とするハプティック入力装置のハプティックスタイラスの図である。
【図12】 図11のハプティックステータライスの部分的断面図である。

Claims (14)

  1. フレームと、
    ハプティックスタイラスと、
    ハプティックスタイラスをフレームに対して支持する並列リンク機構と、
    ハプティックスタイラスを支持するための共通の1つの頂点を構成する少なくとも2つの支柱と、
    前記フレームの内部で回転可能であるベースノードとを備え、
    前記少なくとも2つの支柱の各々はベースノードを貫通し、
    前記ベースノードはブレーキを有し、前記ベースノードを通る前記支柱の動きを拘束する前記ブレーキの比例的制御により力のフィードバックが行なわれる、ハプティックデバイス。
  2. 支柱の並列的構成を採用してスタイラスを支持する、請求項1に記載のハプティックデバイス。
  3. 並列リンク機構は、3つのベースノードを有するヘキサポッドを含み、その各々は、2つの半球状部分を収容し、その各半球は、支柱の1つを支持し、支柱をこれに通過させる、請求項1または2に記載のハプティックデバイス。
  4. ヘキサポッドは、スタイラスの下にそのベースノードが装着される、請求項3に記載のハプティックデバイス。
  5. ヘキサポッドは、当該機構が主として水平方向に作用するように、スタイラスの片側にそのベースノードが装着される、請求項3に記載のハプティックデバイス。
  6. トライポッドおよび「V」として配置される5本の支柱を含み、スタイラスは2つの共通のノード間で作用し、1つはトライポッドの頂点によりおよび他方は「V」の頂点により規定される、請求項1または2に記載のハプティックデバイス。
  7. トライポッドの支柱の1つは、スタイラス回転度がモニタされることを可能にする、スタイラスの軸における回転基準として作用する、請求項6に記載のハプティックデバイス。
  8. ブレーキは、磁界を調節することによりMR流体がその粘性を変えることにより行なわれる、請求項2から5のいずれかまたは請求項2に従属する請求項6または請求項2に従属する請求項7に記載のハプティックデバイス。
  9. MR流体は、回転ディスクの縁とそのハウジングとの間で作用し、ディスクの軸は、流体が充填された空隙から外に延び、支柱の軸方向の動きに抗してキャプスタンのように作用する摩擦車を保持する、請求項8に記載のハプティックデバイス。
  10. MR流体は、噛み合う歯車を含む空隙内にあり、電磁石が、歯車噛み合わせ領域にわたって磁界を生成するように配置され、該磁界は、流体の粘性を調節しかつ歯車の回転に対する抵抗を調節するように調節され得る、請求項8に記載のハプティックデバイス。
  11. ボール端部を含み、そのまわりには、支柱に取付けられた2つの環状ソケットが、内方へ向かい合う面を有する部分的スナップオンリングにより締付けられ、これらの面の間の間隙は、2つの環状ソケットを背中合わせに収容するのに十分なものである、請求項1から10のいずれかに記載のハプティックデバイス。
  12. ヒンジ軸を中心として回動することのできる他の支柱をさらに備え、
    前記ボール端部は、前記ヒンジ軸を収納するために前記ボール端部の中心部分に形成された中空部分と、前記他の支柱が前記ヒンジ軸から連続して外へ延びること可能にするためのスロットとを有する、請求項11に記載のハプティックデバイス。
  13. 前記第3の支柱は、前記第1および第2の支柱に近づくように曲がっており、かつ前記第1および第2の支柱と概念的に共通の焦点を共有する、請求項12に記載のハプティックデバイス。
  14. 配線のための通路が、支柱の端部上の前記中空部分内に切込み、支柱の回転軸を通って支柱の中空部分と接続する経路を与える、請求項12または13に記載のハプティックデバイス。
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