JP3975799B2 - ダイアル式操作装置、およびそれを備える印刷装置 - Google Patents

ダイアル式操作装置、およびそれを備える印刷装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイアル式操作手段でカーソルを移動させるダイアル式操作装置の構成に関するものである。更には、当該操作装置を備える印刷装置の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、入力された文字列を視覚的に表示可能なディスプレイ等の表示手段に、当該文字列を編集するためのカーソルを併せて表示して、ダイアル式の操作手段を回転操作することで該カーソルの位置を変更できるようにしたダイアル式操作装置の技術が知られている。
このダイアル式操作装置は、ダイアル式の操作手段を回転させた量に比例して、カーソルの文字列中の位置を変更できるようになっている。例えば、表示手段で表示されているカーソルを左へ2文字分動かしたい場合は、操作手段を反時計回りに2文字分だけ動かせば良い、といったようにである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば100文字以上の長い文字列が入力されている場合であって、その文字列の先頭から末尾までカーソルを移動させたい場合等、カーソルを多くの文字数分移動させなければならない場合がある。この場合は、従来の操作装置では操作手段を何回転もさせなければならないことになって、煩雑で手間の掛かる操作をユーザに強いることとなっていたのである。
【0004】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、カーソルを長い距離にわたって動かさなければならない場合でも操作手段の操作量を少なくできるダイアル式操作装置、及びそれを備えた印刷装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
請求項1においては、(A)文字列を記憶する記憶手段と、(B)該記憶手段に記憶された文字列を視覚的に表示し、併せて、文字列を編集するためのカーソルの位置を視覚的に表示する、表示手段と、(C)前記表示手段に表示される該カーソルの位置を文字列先頭側または文字列末尾側へと一文字単位で移動させるために、該カーソルが一文字分だけ移動するために必要な単位角度毎に回転操作される、ダイアル式の操作手段と、(D)回転操作開始前に検出された前記操作手段の位置と、回転操作終了後に検出された前記操作手段の位置と、を演算することで、該操作手段が回転操作された操作角度Bを算出する、演算手段と、(E)算出された該操作角度が所定の値以下である場合のその操作角度をB、この場合のカーソルの移動量をΔX、前記操作角度が所定の値を上回る場合の該操作角度をB、この場合のカーソルの移動量をΔXとしたときに、カーソルが一文字分だけ移動するために必要な前記操作手段の単位角度量をAとして、 ΔX=B/A, ΔX>B/A の関係を満たすような移動量ΔX,ΔXだけカーソルを移動させる、カーソル位置制御手段と、を有するものである。
【0007】
これにより、カーソルを2〜3文字分移動させたい場合のような少量の移動のときは、ダイアル式操作手段を動かした分だけカーソルが正確に移動する一方で、カーソルを遠い位置まで動かしたいときは、ダイアル式操作手段の操作量に対してカーソルの移動量を多くすることで、少ないダイアル式操作手段の操作量でその目的を達成できる。この結果、操作性に優れる。
【0008】
請求項2においては、前記(E)のカーソル位置制御手段は、前記操作手段の操作角度が所定の値を上回る場合のカーソルの移動量ΔXを、ΔX=k×B/A (kは1より大きい定数)の関係を満たすように定められているものである。
【0009】
これにより、カーソルの移動量計算が掛け算を行うだけで済むので、前述のカーソル位置制御手段に負担が生じにくい。また、ダイアル式操作手段の操作量が所定の値を上回っていても、ダイアル式操作手段の操作量とカーソルの移動距離との比例関係は保たれることになるから、操作手段を多く操作すればカーソルを長距離移動させることができるという関係は維持され、操作方法がユーザの一般的な感覚に馴染み易い利点がある。
【0010】
請求項3においては、前記定数kは2であるものである。
【0011】
これにより、カーソル移動の演算処理が簡単になり、ダイアル式操作手段の操作量が所定の値を上回る場合、操作量に対して二倍のカーソル移動が可能となり、処理の高速化を図ることができる。
【0012】
請求項4においては、前記(B)の表示手段は、前記記憶手段に記憶された文字列から所定の文字数分だけ抜き出した一部を表示できるように構成するとともに、前記(E)のカーソル位置制御手段における所定の値は、前記表示手段で表示できる最大文字数から1を減じた文字数分だけカーソルを移動させるために必要な操作角度であるものである。
【0013】
これにより、表示手段の表示文字数内でカーソルを移動させるときは、操作手段の操作量が○文字分であればカーソルの移動も○文字分というように、操作手段の操作量とカーソル移動量とを正確に対応させることができる。一方、表示部の表示文字数を超えてカーソルを移動させたいときは、少ない操作手段の操作量でカーソルを長距離移動させることができる。
従って、表示文字数内での移動では操作手段をある文字数分だけ操作したらその分だけカーソルが正確に移動して欲しいという要請、及び、表示手段の表示文字数分を上回るカーソルの移動は素早く簡単に行えるようにしたいという要請、のいずれをも合理的に満たすことができる。
【0014】
請求項5においては、(A)文字列を記憶する記憶手段と、(B)予め設定された文字群を表示するとともに、前記文字列に追加する文字を前記文字群から選択するためのカーソルの位置を視覚的に表示する、表示手段と、(C)前記カーソルの位置を移動させるために回転操作される、ダイアル式の操作手段と、
を有し、更に、請求項1の(D)および(E)の手段を備えるものである。
【0015】
これにより、文字群を表示手段に一覧的に表示し、その中でカーソルを移動させて文字を選択するような場合において、カーソルを2〜3文字分移動させたい場合のような少量の移動のときは、ダイアル式操作手段を動かした分だけカーソルが正確に移動する一方で、カーソルを遠い位置まで動かしたいときは、少ないダイアル式操作手段の操作量でその目的を達成できる。この結果、操作性に優れる。
【0016】
請求項6においては、前記(E)のカーソル位置制御手段は、前記操作手段の操作角度が所定の値を上回る場合のカーソルの移動量ΔXを、ΔX=k×B/A (kは1より大きい定数)の関係を満たすように定められているものである。
【0017】
これにより、カーソルの移動量計算が掛け算を行うだけで済むので、前述のカーソル位置制御手段に負担が生じにくい。また、ダイアル式操作手段の操作量が所定の値を上回っていても、ダイアル式操作手段の操作量とカーソルの移動距離との比例関係は保たれることになるから、操作手段を多く操作すればカーソルを長距離移動させることができるという関係は維持され、操作方法がユーザの一般的な感覚に馴染み易い利点がある。
【0018】
請求項7においては、前記定数kは2であるものである。
【0019】
これにより、カーソル移動の演算処理が簡単になり、ダイアル式操作手段の操作量が所定の値を上回る場合、操作量に対して二倍のカーソル移動が可能となり、処理の高速化を図ることができる。
【0020】
請求項8においては、前記(B)の表示手段は、前記文字群から所定の文字数分だけ抜き出した一部を表示できるように構成するとともに、前記(E)のカーソル位置制御手段における所定の値は、前記表示手段で表示できる最大文字数から1を減じた文字数分だけカーソルを移動させるために必要な操作角度であるものである。
【0021】
これにより、表示手段の表示文字数内でカーソルを移動させるときは、操作手段の操作量が○文字分であればカーソルの移動も○文字分というように、操作手段の操作量とカーソル移動量とを正確に対応させることができる。一方、表示部の表示文字数を超えてカーソルを移動させたいときは、少ない操作手段の操作量でカーソルを長距離移動させることができる。
従って、表示文字数内での移動では操作手段をある文字数分だけ操作したらその分だけカーソルが正確に移動して欲しいという要請、及び、表示手段の表示文字数分を上回るカーソルの移動は素早く簡単に行えるようにしたいという要請、のいずれをも合理的に満たすことができる。
【0022】
請求項9においては、前記ダイアル式操作装置を備えるとともに、前記(A)の記憶手段で記憶された文字列を印刷するための印刷手段を更に備えて、印刷装置としたものである。
【0023】
これにより、文字入力の操作性、特にカーソルの移動操作の操作性が前述のとおり優れる印刷装置を提供できることになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る印刷装置の全体的な構成を示した平面図、図2は液晶ディスプレイの拡大図である。
図3〜図5は、それぞれ「文字入力モード」「カーソル移動モード」「記号一覧選択モード」についての操作例を示した説明図である。
【0025】
図1にその平面図が示される印刷装置1は、片面に粘着層を有するラベルテープ(被印字媒体)7に、アルファベットや数字や記号等からなる文字列を印刷するためのものである。
【0026】
印刷装置1は、その本体ケース2の上面一側に選択ダイアル(ダイアル式の操作手段)11を、他側に液晶ディスプレイ(表示手段)3を、それぞれ備えた構成となっている。
本体ケース2にはラベルテープ7に印字するためのサーマルヘッドが内蔵され(図略)、また、巻かれた状態のラベルテープ7とインクリボンとを一体的に備えたカートリッジを、本体ケース2にセットできるようになっている。印字後のラベルテープ7は図1のように排出され、切断ボタン6を押すことで、本体内蔵のカット機構によりラベルテープ7を切断できるようになっている。
【0027】
選択ダイアル11は円状の文字盤を備えており、本体ケース2の上面に回転可能に設けられている。選択ダイアル11の中央部分には入力ボタン12が配置されている。選択ダイアル11の近傍には、電源キー13やファンクションキー14や印刷キー15が配置されている。
【0028】
選択ダイアル11の文字盤の部分には、その内周側と外周側の2列で、アルファベット「ABC・・・」や数字「123・・・」や記号「#!&・・・」等の文字を、等間隔で全周にわたって並べて配置してある(C・C)。本体ケース2には透明な合成樹脂で構成した表示部材4が設けられ、該表示部材4は、選択ダイアル11の上方を一部覆うようにせり出した形状とされる。表示部材4にはレンズ部5が形成されて、前記選択ダイアル11の外周側に付された文字Cのうち該レンズ部5に重なるものを、拡大して表示できるようになっている(図1では文字「A」が拡大されている)。
【0029】
前記液晶ディスプレイ3は、選択ダイアル11と入力ボタン12によって入力された文字列を表示するためのものであり、横に長い長方形状に構成されている。
該液晶ディスプレイ3の拡大図である図2に示すように、その縦方向中央部には、横5ドット×縦7ドットのドットマトリクス式のキャラクタ表示部が横方向に八つ並べて配置され、同時に8文字を表示可能な文字表示領域21とされている。文字表示領域21の下側はカーソル表示領域22とされ、前記キャラクタ表示部のそれぞれに対応させて、横5ドット×縦1ドットの横線状のカーソル表示部が八つ並べて配置されている。
【0030】
また、文字表示領域21の上側には、いずれも三角形状の、「大文字入力モード」表示部23、「小文字入力モード」表示部23、「数字・記号入力モード」表示部23、「カーソル移動モード」表示部23が配置される。更には、白抜きや斜体・太字、下線、囲み文字等の文字修飾がされている場合にその旨を表示するための、逆三角形状の表示部24・24・24が、文字表示領域21の下側に配置されている。
【0031】
この印刷装置は、大きく分けて「文字入力モード」、「カーソル移動モード」、「記号一覧選択モード」の、三つのモードを有している。
「文字入力モード」は、選択ダイアル11を回転させることにより文字を選択し、入力ボタン12を押すことで、その選択した文字をカーソルの位置に入力できるモードである。
「カーソル移動モード」は、選択ダイアル11を回転させることで、カーソルの位置を変更できるモードである。
「記号一覧選択モード」は、入力可能な記号の一覧を選択カーソルとともに液晶ディスプレイ3に表示して、選択ダイアル11を回転させることで選択カーソルの位置を変更し、入力ボタン12を押すことで、選択カーソル位置にある記号を前記文字列のカーソルの位置に追加できるモードである。
即ち、前記「文字入力モード」の文字選択操作と「カーソル移動モード」「記号一覧選択モード」のカーソル移動操作とで、選択ダイアル11が兼用とされているのである。
【0032】
本実施形態の印刷装置において、前記「文字入力モード」は、「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」の三つのモードを含む。 「大文字入力モード」は、選択ダイアル11の外周側に付されているアルファベットCを、そのまま大文字で入力するモードである。
「小文字入力モード」は、選択ダイアル11の外周側に付されているアルファベットCを、小文字で入力するモードである。
「数字・記号入力モード」は、選択ダイアル11の内周側に付されている数字や記号・絵文字Cを入力するモードである。
これら「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」の切換は、選択ダイアル11の近傍に配設される前記ファンクションキー14を押した後、選択ダイアル11および入力ボタン12の操作により切り換えることができる。
【0033】
これら「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」では、液晶ディスプレイ3において、対応する前述のモード表示部23・23・23が点灯するように構成されている。
従って、このモード表示部23・23・23を確認することで、いま何れのモードにあるかを知ることができ、ひいては入力ボタン12を押したときに入力されるのがアルファベットの大文字なのか、小文字なのか、数字等なのかを判別することができる。
また、これらの三つのモード(文字入力モード)においては、カーソルは常に点灯される表示形態で液晶ディスプレイ3のカーソル表示領域22に表示される。
【0034】
この「文字入力モード」における具体的な操作方法を説明する。
「文字入力モード」では、所望の文字が前記表示部材4の位置に重なるように選択ダイアル11を回転させた上で、前記入力ボタン12を押すと、その表示部材4で示されている文字を印刷装置へ入力することができ、その文字が文字列に挿入される。その挿入される位置は、前述の液晶ディスプレイ3に表示されているカーソルの位置によって決定される。
【0035】
図3の例を参照して説明する。文字表示領域21には、予め入力されている文字列「BROHER」が表示され、併せて、その「H」の文字の位置に、横棒状のカーソル50が表示されている。選択ダイアル11は、「Q」の文字が表示部材4の位置に来るよう合わせられているものとする。
この状態から選択ダイアル11を反時計回りに三文字分回転させると、「T」の文字が表示部材4に重なる。その上で入力ボタン12を押すと、カーソルの表示されている「H」の文字の直前に当該文字「T」が挿入される結果、液晶ディスプレイ3の表示は「BROTHER」となる。
【0036】
なお、前記選択ダイアル11には「一文字削除」を意味するアイコンCが付されてあり(図1)、文字を誤って入力した等の際には、このアイコンCが表示部材4の直下に来るように選択ダイアル11を合わせて入力ボタン12を押すことで、カーソル直前の文字を一文字削除することができる。
【0037】
この「文字入力モード」においては、カーソル50の文字列に対する相対位置(即ち、カーソルが文字列の何文字目に位置しているか)は固定とされおり、カーソル位置を変更することはできない。
カーソルの位置を変更するためのモードが、前述の「カーソル移動モード」である。「文字入力モード」から「カーソル移動モード」へ切り換えるには、選択ダイアル11に付されている「カーソル移動モード移行」アイコンCが表示部材4に重なるように該ダイアル11を回転させ、その上で入力ボタン12を操作すればよい。
【0038】
この「カーソル移動モード」においては、選択ダイアル11を時計回り方向に回転させるとカーソルが右(即ち、文字列の末尾側)へ移動し、反時計回り方向に回転させるとカーソルが左(文字列の先頭側)へ移動するように構成される。
【0039】
このモードにおけるカーソル移動操作を、図4の例を参照して説明する。
この例では、予め入力されている文字列「BROHER」が液晶ディスプレイ3に表示され、その「H」の文字の位置にカーソル50が表示されている。この状態から選択ダイアル11を反時計回りに三文字分回転させると、カーソルは左へ三文字分移動し、「B」の位置に表示される。
この状態で入力ボタン12を押すことで、カーソルは「B」の位置で確定されるとともに、「カーソル移動モード」から「文字入力モード」に切り換わる。
【0040】
なお、本実施形態において液晶ディスプレイ3は同時に8文字までしか表示できない関係上、9文字以上の文字列が入力されている場合は、液晶ディスプレイ3の文字表示領域21には入力文字列のうち8文字分を抜き出して表示するようになっている。そして、カーソル50の位置が表示領域の端に至っても選択ダイアル11が尚も操作される場合は、文字表示領域21の表示をスクロールさせて、表示されていない文字列部分を表示させるように構成されている。
【0041】
ただし、液晶ディスプレイ3におけるカーソル50の表示位置は中央位置で固定とし、選択ダイアル11の回転操作に応じて液晶ディスプレイ3の表示文字列がスクロールすることによっても、カーソルの移動を実現できる。
【0042】
この「カーソル移動モード」においては、「カーソル移動モード」表示部23が点灯するとともに、カーソル50は適宜の時間間隔をおいて点灯・消灯を交互に反復する表示形態で液晶ディスプレイ3に表示されるので、ユーザは現在「カーソル移動モード」であることを容易に知ることができる。なお、図4の例では、時間間隔をおいて点滅しているカーソル50を、斜線のハッチングで示してある。
【0043】
次に、特別な文字入力モードである「記号一覧選択モード」を説明する。
このモードへ移行するには、前述のファンクションキー14を操作した上で、選択ダイアル11及び入力ボタン12を適宜操作すれば良い。
このモードでは、この印刷装置1で入力可能な記号の一覧と、選択カーソルとが、液晶ディスプレイ3に表示される。ユーザは選択カーソルを前述の「カーソル移動モード」と全く同じ要領で移動させて、所望の記号に選択カーソルを位置させて入力ボタン12を押すことで、文字列の前記カーソルの位置に当該記号を追加することができるようになっている。
【0044】
このモードにおける操作を、図5の例を参照して説明する。
この例では、所定の順序で並べられた記号の一覧「+−±÷×=/\!・・・」が液晶ディスプレイ3の文字表示領域21に表示され、併せて横棒状の記号選択カーソル51が、「+」の位置に表示されている。ユーザは選択ダイアル11を回転させることで、記号選択カーソル51を移動させることができる。液晶ディスプレイ3に所望の記号が表示されていないときは、記号選択カーソル51が右端に来てもなお選択ダイアル11を時計回りに回転させて、未表示部分が文字表示領域21に現れるよう表示をスクロールさせれば良い。
そして、所望の記号(この例では「.」(ピリオド)とする。)の下に記号選択カーソル51が来るようにし、その上で入力ボタン12を押す。この結果、当該記号「.」が文字列のカーソル50位置へ挿入されるとともに、「記号一覧選択モード」から「文字入力モード」に切り換わる。
【0045】
前記選択ダイアル11の操作位置を検出するための構成を、図6を参照して説明する。
図6は選択ダイアルの位置検出構成を示した平面図一部断面図である。
【0046】
前記本体ケース2内には適宜の位置に五つのフォトインタラプタ30が配置され、このフォトインタラプタ30の位置に対応させて、選択ダイアル11の下面には円弧状の遮光リブ31のパターンが同心円状に形成されている。各同心円上に設けられるそれぞれの遮光リブ31は、選択ダイアル11の中心角を2等分、4等分、8等分、16等分、32等分し、その分割された領域の一つおきに配設され、この遮光リブ31の有無のパターンが一連のコードパターンとされている。
この構成で、この選択ダイアル11が回転すると、その回転角度に応じて遮光リブ31が、前記五つのフォトインタラプタ30の光路を横切って遮断する。この結果、前記遮光リブ31のコードパターンを前記五つのフォトインタラプタ30で検出することができ、この検出結果から、選択ダイアル11の操作位置(角度位置)を2の5乗の分解能(360°/2=11.25°の分解能)で検出することができる。
【0047】
選択ダイアル11上に付された文字や記号C,Cは、この選択ダイアル11の位置検出の分解能(2)に応じて、選択ダイアル11の全周を2=32等分した位置に、等間隔で配置されている。従って、フォトインタラプタ30のコードパターンを検出することで、選択ダイアル11の上の文字のいずれが前記表示部材4に重なっているかを判別することができる。
【0048】
また、本体ケース2内部では前記選択ダイアル11に円筒状部分が形成されて、その内周面に2=32個の凹部41及び凸部42が全周にわたって交互に等間隔で形成される一方、本体ケース2側には該凹部41に係合する係合爪体43が配設されている。この係合爪体43は弾性を有する金属あるいは合成樹脂等で形成されるとともに、前記凹部41に係合する爪部44を有している。
この構成で、選択ダイアル11を11.25°回転させる毎に、一の凹部41に係合していた爪部44は、係合爪体43の弾性変形により凸部42を乗り越え、隣の凹部41へ係合する。従って、選択ダイアル11を一文字分回転させる毎に、「カチ」といった音とともに適宜の引っ掛かり感がユーザの手に伝わるので、ユーザは選択ダイアル11を何文字分回転したかを容易に知覚することができ、操作感が高められている。
【0049】
次に、前記印刷装置1の電気的構成を、図7のブロック図を参照して説明する。
図7は印刷装置のブロック図である。
【0050】
この印刷装置1は、CPU(中央処理装置)61と、ROM(読出専用メモリ)62と、RAM(書込/読出メモリ)63を備えている。
CPU61は各種演算を行うものであり、本発明にいう演算手段とカーソル位置制御手段に相当する。
ROM62は、各種のプログラムや固定値を記憶させておくものであり、具体的には、メイン処理のプログラムや、メイン処理の中で実行されるサブルーチンのプログラムが記憶されている(62a)。
また、後述するサーマルヘッド67によりラベルテープ7に印刷する際のドットパターンデータが、文字コードに対応付けられたテーブル62bの形で記憶されている。
更には、ROM62には、選択ダイアル11の操作位置と、その上面に付されている文字との対応が、変換テーブル62cとして記憶されている。具体的にはこの変換テーブルは、後述の絶対値エンコーダ40により変換された信号と、それに対応する文字コードが、前述の「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」毎に関連付けられて記憶されるものである。
【0051】
RAM63においては、後述するフラグやカウンタのための記憶領域63aが確保され、プログラム処理の実行の際に適宜書き込まれあるいは参照されて、CPU61による演算に用いられる。
更にはRAM63は、入力データバッファ63bと印刷データバッファ63cとを備えている。
入力データバッファ63bには、入力された文字列の情報や、斜体や太字などの文字修飾がなされているかの情報が記憶される。従って、本発明にいう記憶手段には、本実施形態においては、このRAM63が相当する。
印刷データバッファ63cは、印刷されるデータを一時的に記憶するためのものである。即ち、前記印刷キー15が入力されると、入力データバッファ63bに記憶される文字列のデータが前述のドットパターンデータに変換された形で印刷データバッファ63cに書き込まれ、このドットパターンデータに従って、サーマルヘッド67によるドット印刷が行われる。
【0052】
上述のCPU61、ROM62、RAM63は、バスライン64を介して相互に接続されており、このバスライン64はまた、I/Oインタフェース65に接続されている。
【0053】
このI/Oインタフェース65は、異なる装置間でのデータ通信における接点の規定であり、他のデバイスと前記CPU61とを繋ぐための電気的な規格である。
このI/Oインタフェース65には、選択ダイアル11の遮光リブ31のコードパターンを読み取るためのフォトインタラプタ30が、絶対値エンコーダ40を介して接続される。更には該I/Oインタフェース65には、前記入力ボタン12や印刷キー15等の各種操作ボタンが接続されるとともに、表示機構DM、印字機構(印刷手段)PMが接続されている。
【0054】
絶対値エンコーダ40は、フォトインタラプタ30によって検出された選択ダイアル11の遮光リブ31の有無のパターン(コードパターン)を、エンコーダ信号に変換するためのものである。
CPU61はこのエンコーダ信号により、選択ダイアル11が今どの位置に操作されているかを判別し、更には、前述のROM62に格納されている変換テーブル62bに基づいて、これに対応する文字コードを取得することができる。
【0055】
表示機構DMは、前述の液晶ディスプレイ3と、この液晶ディスプレイ3に表示データを出力するための表示用RAMを有するLCDコントローラ66を備えた、公知のものである。このLCDコントローラ66は図示しない読出専用メモリを備え、液晶ディスプレイ3の文字表示領域21に表示する前記横5ドット・縦7ドットのドットパターンデータが格納されている。
【0056】
印字機構PMは、ラベルテープ7を送るテープ送りモータ69を駆動するための駆動回路70と、サーマルヘッド67を駆動するための駆動回路68とで構成されている。
【0057】
次に、前記プログラムの処理を説明する。
図8はメインフローのフローチャート図である。
図9は「文字入力モード」のサブルーチンを示すフローチャート図である。図10は「カーソル移動モード」のサブルーチンを示すフローチャート図である。 図11は選択ダイアルの回転方向判定処理ルーチンを示すフローチャート図である。図12は選択ダイアルの回転前操作位置、回転後操作位置、中間位置を示す図、図13はサブルーチンで記憶された三つの中間位置の例を示す図である。 図14はカーソル位置変更処理のサブルーチンを示すフローチャート図である。
【0058】
〔メインルーチン〕
図8に示されるのはメインフローである。このメインルーチンにおいては、電源キー13により電源が投入されると、各種初期化処理が行われた後(ステップ101)、メインループに入る。
このメインループでは先ず、現在のモードが「文字入力モード」か「カーソル移動モード」か、あるいは「記号一覧選択モード」かの判定が行われ(ステップ102)、その判定結果に応じて異なるサブルーチンが実行される(ステップ103,104,105)。
その後、液晶ディスプレイ3の表示更新のためのサブルーチンが実行される(ステップ106)。このサブルーチンの詳細な処理は説明を省略するが、カーソルの点灯/点滅表示の切換や、文字列の入力あるいは編集結果の反映、カーソル移動に応じたスクロール処理などを行うようになっている。
その後、各モードに共通のその他の処理(例えば、印刷キー15の操作に応じた印刷処理や、ファンクションキー14の操作に応じて「記号一覧選択モード」へ切り換える処理など)が行われる(ステップ107)。
本実施形態では、以上のステップ102〜107の一連の処理が、0.05秒毎に反復して行われるようになっている(1ループ回あたり0.05秒)。
【0059】
〔文字入力モードのサブルーチン〕
ステップ103で実行される「文字入力モード」の処理のためのサブルーチンが図9に示される。
このサブルーチンでは先ず入力ボタン12が押されたか否かが判定される(ステップ201)。入力ボタン12が押されていない場合は、何もせずサブルーチンを抜ける。
【0060】
入力ボタン12が押された場合は、選択ダイアル11の操作位置(以下、「ダイアル位置」)を絶対値エンコーダ40からの信号に基づいて取得した上で(ステップ202)、当該ダイアル位置がいずれであったかで分岐する(ステップ203)。
カーソル移動モード移行アイコンCが表示部材4に位置している場合は、現在の「文字入力モード」から「カーソル移動モード」に切り換えて(ステップ204)、サブルーチンを抜ける。
一文字削除アイコンCが表示部材4に位置している場合は、いま現在表示されているカーソルの直前の位置にある文字を一文字削除して(ステップ205)、サブルーチンを抜ける。
それ以外の場合は、前述の変換テーブル62cに基づいて文字コードを取得し(ステップ206)、その文字を文字列のカーソルの位置の直前に追加して(ステップ207)、サブルーチンを抜ける。
以上が、「文字入力モード」において実行されるサブルーチンである。
【0061】
以上のようにサブルーチンが構成される結果、「文字入力モード」では以下のような処理が行われる。
即ち、「文字入力モード」においては、ユーザが文字選択のために選択ダイアル11を回転させている間は、入力ボタン12が押されない限りは特に処理は行われない(ステップ201)。
選択ダイアル11を所望の位置に合わせた後に入力ボタン12を押すことで、初めて選択ダイアル11の位置が取得され、その位置の判定が行われる(ステップ202,203)。この結果により、「カーソル移動モード」への切換や(ステップ204)、文字の削除処理や(ステップ205)、文字のカーソル位置への追加処理が(ステップ206,207)、択一的に行われる。
【0062】
〔カーソル移動モードのサブルーチン〕
次に、図8のステップ104で実行される、「カーソル移動モード」の処理のためのサブルーチンが図10に示される。
このサブルーチンでは先ず、現在の選択ダイアル11の位置を取得するとともに(ステップ301)、回転操作中フラグの内容を調べ、その内容が真偽いずれであるかによって分岐する(ステップ302)。
この回転操作中フラグは、選択ダイアル11が現在回転操作されているか否かの状態を格納するためのものであり、前記RAM63に予めその記憶領域が割り当てられている。
【0063】
回転操作中フラグが「偽」であるときは、ステップ303で、前記ステップ301で取得した現在の選択ダイアル11のダイアル位置が、前回のループで(具体的には、前回のループで実行されたステップ307において)記憶したダイアル位置と異なるか否かを判定する。
これが異なっていれば、選択ダイアル11の回転操作がたった今開始されたことを意味するから、ステップ304以降へ進む。即ち、前回のループで記憶したダイアル位置を回転前操作位置として記憶するとともに(ステップ304)、回転操作中フラグの内容を「真」に書き換え(ステップ305)、更には、後述の中間位置記憶のために使用するカウンタnの内容をゼロにセットする(ステップ306)。その後、現在のダイアル位置を記憶した上で(ステップ307)、サブルーチンを抜ける。
【0064】
ステップ303において、現在の選択ダイアル11のダイアル位置が前回のループ時に記憶したダイアル位置と一致しているときは、選択ダイアル11が操作されず静止を続けていることを意味する。
このときはステップ308に進んで、入力ボタン12が押されたか否かを判定する。入力ボタン12が押されているときは、現在のカーソル位置のまま文字入力モードへ切り換えて(ステップ309)、サブルーチンを抜ける。入力ボタン12が押されていないときは、現在のダイアル位置を記憶して(ステップ307)、サブルーチンの処理を終了する。
【0065】
ステップ302において回転操作中フラグが「真」であったときは、カウンタnに1を加算した上で(ステップ310)、カウンタnが3以下であるか否かで分岐する(ステップ311)。もしカウンタnが3以下であるときは、ステップ301で取得したダイアル位置を、第n中間位置として、前記RAM63に記憶する(ステップ312)。この結果、回転操作が開始された直後の0.05秒後、0.10秒後、0.15秒後の選択ダイアル11の位置が、第1中間位置、第2中間位置、第3中間位置としてそれぞれ記憶されることになる。この記憶された中間位置は、後述する回転方向判定処理で用いられる。
【0066】
次に、前記ステップ301で取得した現在の選択ダイアル11のダイアル位置が、前回のループで記憶したダイアル位置と同じか否かを判定する(ステップ313)。
これが異なるときは、選択ダイアル11の操作が未だ終了していない(つまり、回転中)であることを意味するから、回転操作終了を判定するための判定カウンタCをゼロにリセットして(ステップ314)、現在のダイアル位置を記憶し(ステップ307)、サブルーチンの処理を終了する。
【0067】
一方、ダイアル位置が同じときは、選択ダイアル11が静止していることを意味するから、判定カウンタCを1加算した上で(ステップ315)、該カウンタCの値が3に到達したかを判定する(ステップ316)。
判定カウンタCの値が2以下であるときは、現在のダイアル位置を記憶して(ステップ307)、サブルーチンを抜ける。
判定カウンタCの値が3以上となったとき(つまり、選択ダイアル11が静止状態で0.15秒以上保持されたとき)は、回転操作が終了したと判定して、回転操作中フラグの内容を「偽」に書き換えるとともに(ステップ317)、後述するダイアル回転方向判定処理のサブルーチンおよびカーソル位置変更処理のサブルーチンを実行する(ステップ318,319)。その後、現在の選択ダイアル11の位置を記憶した上で(ステップ307)、サブルーチンの処理を終了する。
以上が、「カーソル移動モード」において実行されるサブルーチンである。
【0068】
以上のようにサブルーチンが構成される結果、「カーソル移動モード」では、選択ダイアル11の操作に応じて以下のような処理が行われる。
回転操作中フラグが「偽」となっており、かつ、選択ダイアル11が静止しているときは、処理はステップ301→302→303と進む。選択ダイアル11は静止していることから、ステップ303において選択ダイアル11の位置は前回ループ時と同じと判定されるので、処理はステップ308→307と進み、カーソル移動に関する処理は行われない。
【0069】
選択ダイアル11を回転し始めた直後は、回転操作中フラグが「偽」となっているが、選択ダイアル11の位置が前回ループ時と異なることになる。この結果、処理は301→302→303→304と進み、前回ループ時(即ち、回転操作が行われる直前)での選択ダイアル11の位置が、回転前操作位置として記憶される。更には、回転操作中フラグが「真」とされ(ステップ305)、カウンタnが「0」とされる(ステップ306)。
【0070】
次回のループでは回転操作中フラグが「真」となっているため、処理はステップ301→302→310と進む。ここでは、内容が「0」であったカウンタnが1加算される結果「1」となり、ステップ312において、現在のダイアル位置が第1中間位置として記憶される。
その次の回のループではカウンタnは「2」となるので、ステップ312において現在のダイアル位置が第2中間位置として記憶される。更に次の回のループではカウンタnは「3」となるので、ステップ312において現在のダイアル位置が第3中間位置として記憶される。
即ち、回転操作が行われた直後の三回のループにおける選択ダイアル11の位置が、第1,第2,第3中間位置として記憶されるのである。
【0071】
回転操作中フラグが「真」のときは、ステップ313において、前回ループ時のダイアル位置と現在のダイアル位置とが毎回のループにおいて比較される。選択ダイアル11が回転中であるときは、前回ループ時のダイアル位置と現在のダイアル位置とが異なることになるから、判定カウンタCの内容は「0」のままである(ステップ314)。
【0072】
選択ダイアル11の回転操作を終了して静止させた後は、現在のダイアル位置と前回ループ時のダイアル位置とが同じであることが検出され、ループ一回につき判定カウンタCが1加算される(ステップ315)。
判定カウンタCの内容はステップ316で判定される。判定カウンタCの内容が「3」となっているときは、選択ダイアル11の静止状態が3ループ分の時間(0.05×3=0.15秒)だけ継続したことを意味するから、これをもって選択ダイアル11の回転操作が終了したと判定し、回転操作中フラグが「偽」に戻されるとともに(ステップ317)、ステップ318,319のサブルーチン処理(詳細は後述)によりカーソルが移動することになる。
【0073】
その次の回のループでは回転操作中フラグが「偽」となっており、かつ、選択ダイアル11が静止しているので、処理はステップ301→302→303→308と進む。
なお、入力ボタン12を押した場合はステップ308においてその旨が検出され、文字入力モードに切り換わる(ステップ309)。
【0074】
〔回転方向判定サブルーチン〕
次に、図10のステップ318で実行される回転方向判定のためのサブルーチンを、図11のフロー図を参照して説明する。
【0075】
このサブルーチンでは、初期化処理として、カウンタnが「1」にセットされ(ステップ401)、正方向・逆方向判定カウンタP1・P2がいずれも「0」にセットされる(ステップ402・403)。
そして、図10のステップ304においてRAM63に記憶させた回転前操作位置から、選択ダイアル11を正方向(本実施形態では、反時計回り方向をいう)へ回転させる場合に、ステップ312において記憶された第n中間位置へ位置させるために必要な回転量(図12に示す角度A1)を計算する(ステップ404)。
一方で、前述の回転前操作位置から選択ダイアル11を逆方向(時計回り方向)へ回転させる場合に、第n中間位置へ位置させるために必要な回転量(図12の角度A2)を計算する(ステップ405)。
なお、図12から明らかなようにA2=360°−A1の関係があるため、この関係に基づいてA2を計算しても差し支えない。
また、A1・A2ともに厳密な角度量として計算する必要もなく、選択ダイアル11を何文字分回転させれば中間位置へ位置させることができるかを計算できれば充分である。
【0076】
この上でA1とA2とを比較して(ステップ406)、A1の方が小さい場合は正方向判定カウンタP1を1加算し(ステップ407)、それ以外の場合は逆方向判定カウンタP2を1加算する(ステップ408)。
【0077】
このステップ404〜408の一連の処理を、カウンタnを加算しながらn=1,2,3の各場合において行うことで(ステップ409・410)、図11のステップ312において記憶された第1中間位置,第2中間位置,第3中間位置のそれぞれについてA1,A2が計算されて比較され、その比較の結果が正方向判定カウンタP1および逆方向判定カウンタP2に累積されることになる。
【0078】
前記ループ処理の終了後は、正方向判定カウンタP1と逆方向判定カウンタP2とが比較される(ステップ411)。P1>P2のときは、前記選択ダイアル11の回転操作は正方向だったと判定され(ステップ412)、それ以外のときは、前記選択ダイアル11の回転操作は逆方向だったと判定される(ステップ413)。
以上が、「回転方向判定処理」サブルーチンである。
【0079】
前記「回転方向判定処理」サブルーチンの処理について、具体的に説明する。 図12には、選択ダイアル11の回転前操作位置と回転後操作位置の2つの位置が示されているが、この回転前操作位置から回転後操作位置に至るには、正方向に回転して至る場合と、逆方向に回転して至る場合が考えられる。
この点、本実施形態の印刷装置は、選択ダイアル11の操作位置自体は前述のフォトインタラプタ30により検出することができるが、選択ダイアル11の回転されている方向を直接検出することはできない。
【0080】
そこで、回転方向の判定に供するために、前記「カーソル移動モード」のサブルーチンにおいて、選択ダイアル11の回転が開始してから終了するまでの中間状態の位置(中間位置)を記憶しておくのである(図10のステップ312)。この中間位置は、選択ダイアル11の回転が開始されてから0.05秒〜0.15秒の短時間後に取得されるものであるため、この短い時間内に選択ダイアル11が半周(180°)以上回転操作されるケースは、現実的に想定できない。
従って、前述のA1とA2を演算して比較することで、回転前操作位置から正方向/逆方向のいずれへ回転させればより少ない回転量で中間位置へ到達できるかを判定し、回転量の少ない側の方向(図12においてはA1<A2であるから、正方向)を判定結果として採用することで、選択ダイアル11の回転方向を判定できることになる。
【0081】
なお、本実施形態においては、遮光リブ31とフォトインタラプタ30の組み合わせによって、選択ダイアル11の操作位置を検出する構成になっている。これは非接触方式であるため耐久性に優れる一方で、遮光リブ31の寸法誤差やフォトインタラプタ30の取付位置の誤差に起因して、選択ダイアル11の位置検出誤差が発生してしまうことになる。
この検出誤差が発生する典型的なケースは、選択ダイアル11が、ある文字に相当する位置(例えば「A」)と、その隣の文字に相当する位置(例えば「B」)との、ちょうど中間に位置しているようなケースである。
【0082】
このケースでは、フォトインタラプタ30には、遮光リブ31の有無の境界部分が位置することとなる。五つ全てのフォトインタラプタ30について遮光リブ31の有無の切り換わりが完全に一致しているのが理想であるが、遮光リブ31の製造誤差やフォトインタラプタ30の取付位置の誤差等から、各リブ31の有無の切り換わりにズレが生じることは避けられない。従って、このズレが生じてくる微小角度の領域においては、意図するコードパターンが得られず、選択ダイアル11の位置を誤って検出してしまう場合がある。
即ち、前述の例に照らしていえば、「A」から「B」へ選択ダイアル11を回転させる際、選択ダイアル11の位置が例えば「Q」等と誤検出されてしまう角度領域が、僅かながら存在するのである。
特に、回転中の選択ダイアル11の位置を取得する「カーソル移動モード」においては、選択ダイアル11が瞬間的に前記角度領域に位置する場合も多く、誤検出の可能性が高くなる。
【0083】
このような検出の誤りの可能性を考慮して、本実施形態においては前述の中間位置を0.05秒ずつ時間をずらせて第1,第2,第3の三個取得しておき、回転方向判定処理においては三個の中間位置のそれぞれについて前述の値A1・A2を演算し、両値A1・A2を比較するようにしている。そして、その比較の結果を判定カウンタP1・P2に累積し、最終的にはP1とP2とを比較することで、多数決的に判定することとしているのである。
【0084】
即ち、今まさに回転している選択ダイアル11のその瞬間の位置を取得するのが前記中間位置であるため、この中間位置の検出の際にも前述の誤りが生じる可能性が(例えば数パーセント程度)あるが、取得した三個の中間位置のうち2個以上が誤検出となる確率は極めて低いといえる。これを利用して、3個の中間位置から総合的に回転方向を判定することで、判定の正確性を高めているのである。
【0085】
図13の例を参照して説明する。この図では、選択ダイアル11の回転開始から終了までの操作について、回転前の位置・回転後の操作位置とともに、図10の「カーソル移動モード」のサブルーチンにおいて取得され記憶された三つの中間位置が示されている。
この図では、三つの中間位置のうち、第1・第3中間位置は回転前操作位置より正方向側に位置する一方、第2中間位置は回転前操作位置より逆方向側に位置している。
【0086】
このときは前記のサブルーチンは、第1中間位置についてはA1<A2であるためP1を1加算し、第2中間位置についてはA2<A1であるためP2を1加算し、第3中間位置についてはA1<A2であるためP1を1加算する。その結果、P1の内容は「2」,P2の内容は「1」となり、P1>P2であるから、回転方向は正方向と判定することになる。
このように判定するということは、『第1・第3の2つの中間位置は正常に検出されたものであり、第2中間位置は誤検出によるものである』とみなすことを意味する。前述のとおり、取得した3個の中間位置のうち2個以上が誤検出となる確率は極めて低いということができるから、このサブルーチンの判断は確率的に妥当な判断ということができ、回転方向の判定制度に優れることになる。
【0087】
〔カーソル位置変更サブルーチン〕
次に、「カーソル移動モード」の処理のサブルーチン(図10)のステップ319で実行される、カーソル位置変更処理のためのサブルーチンを、図14のフロー図を参照して説明する。
【0088】
このサブルーチンでは、先ず、図10のステップ304で予め記憶した回転前操作位置と、現在のダイアル位置から、ダイアル回転量Bを計算する(ステップ501)。このときは、図11の回転方向判定サブルーチンで判定された、選択ダイアル11の回転方向が用いられる。
なお、前述の表示部材4は選択ダイアル11の外周側と上面の一部を覆う構成となっており、このために、選択ダイアル11を一度に360°以上回転させようとしても、その操作する指に対して該表示部材4が邪魔になって、当該操作を阻止するような役割を果たす。このことを利用して本サブルーチンでは、選択ダイアル11が一度に360°以上回転されることはないものとして前述のダイアル回転量Bを計算することで、処理の簡素化を図っている。
【0089】
そして、前記ダイアル回転量Bが、カーソルを1文字分動かすのに必要な単位角度量A(本実施形態では前述のとおり、A=11.25°)の何倍か、つまり何文字分かを判定し、分岐する(ステップ502)。
7文字分以下であれば、通常どおり、当該文字数分だけカーソルを移動させる(ステップ503)。このときのカーソル移動量ΔXは、選択ダイアルの操作角度をBとして、ΔX=B/Aの関係を満たすことになる。なお、前述の回転方向判定サブルーチン(図11)で判定された選択ダイアル11の回転方向に応じた向きに移動させるのは勿論である。
8文字分以上であれば、ユーザがカーソルの長い距離の移動を意図しているものと判断し、当該文字数分を2倍した分だけカーソルを移動させる(ステップ504)。このときのカーソル移動量ΔXは、選択ダイアルの操作角度をBとして、ΔX=2×B/A(ΔX>B/A)の関係を満たすことになる。
【0090】
前述のステップ502において判断分岐の基準を7文字分としたのは、前述の液晶ディスプレイ3でカーソルが端から端まで至るのに必要な距離が7文字分だからである。即ち、本実施形態の液晶ディスプレイ3では同時に表示できる文字数が8文字であるため、選択ダイアル11を7文字分動かせば、液晶ディスプレイ3の端にあったカーソルが他の端まで至ることになる。逆にいえば、一度に8文字分以上選択ダイアル11を回転させるときは、必ずスクロール処理がされることになる。
【0091】
即ち、選択ダイアル11の一度の操作量が7文字分以下であるときは、ユーザは液晶ディスプレイ3の現在の表示およびカーソル50の位置を見ながら、自分がカーソル50を移動させたい目的位置はいまの位置から例えば2文字分だけ右であることを確認し、それに基づいて選択ダイアル11を2文字分だけ回転させている場合が多い。従って、選択ダイアル11が2文字分だけ動かされたならば、その文字数(2文字)分だけ正確にカーソルを移動させることが、ユーザの意思に沿うこととなる。
一方、7文字分を越えて一度に選択ダイアル11が回転されるようなときは、回転前においてカーソル50を移動させたい目的位置は液晶ディスプレイ3に表示されていないことになるから、ユーザがいまのカーソル50位置から例えば正確に15文字分だけ移動させたい等と考えて選択ダイアル11を操作するのは稀で、単にその回した方向にそれなりの距離だけ移動して欲しいというのがユーザの意思であると考えることができる。また、このような場合は、ユーザがカーソルを長い距離にわたって移動させることを望んでいる場合が多いから、選択ダイアル11の回転量の2倍に相当する距離だけカーソル50を移動させることとし、選択ダイアル11の少ない操作量でユーザの所期の目的を達成できるようにしているのである。
【0092】
なお、カーソル50の移動量を選択ダイアル11の操作量の2倍とした(ΔX=2×B/A)のは、整数倍とすることで小数点以下の丸め処理が不要でCPU61の負荷が少ないこと、2倍する演算はビットを1つシフトする処理のみで足りるのでCPU61で高速に行えることによる。
ただし、このような処理に限定されず、ダイアル操作量に一定値を加算したり、2以外の定数(ただし1より大きい数。例えば3)を掛けたりしても構わない。要は、選択ダイアル11を7文字分以下の量Bだけ回したときのカーソル移動量をΔX,8文字分以上の量B回したときのカーソル移動量をΔXとしたときに、ΔX/B<ΔX/Bの関係が満たされていればよいのである。
【0093】
本実施形態では、カーソル50の移動量を2倍するか否かの分岐点は7文字としているが、これは液晶ディスプレイ3の同時表示可能な文字数が最大8文字であることに対応させたものであって、カーソル移動の目的位置を選択ダイアル11回転前に液晶ディスプレイ3で視認できる移動最大距離が、(カーソルを端から端まで移動させる場合の)7文字分であるからである。
従って、この値は、液晶ディスプレイの同時表示可能な文字数が異なるときは、これに応じて適宜変更して良い。また、液晶ディスプレイの同時表示可能な文字数から1を減算した値にこだわる必要もなく、例えば本実施形態の液晶ディスプレイ3のような8文字を表示可能なものであっても、選択ダイアル11の操作量が10文字分以上の場合にのみカーソル移動量を2倍するような構成であっても構わない。
【0094】
なお、メインルーチンのステップ105で実行される「記号一覧選択モード」のサブルーチンの処理は、図10に示す「カーソル移動モード」の処理とほぼ同様であるので、詳細な説明は省略する。
即ち、図10の「カーソル移動モード」の処理のためのサブルーチンにおいて、ステップ318におけるカーソル50の移動処理の代わりに記号選択カーソル51の移動処理を行い、かつ、入力ボタンが押されたときのステップ309の処理の前に、記号選択カーソル51が位置している記号を文字列のカーソル50の位置に追加する処理を行うようにすれば、「記号一覧選択モード」の処理は実現できることになる。
【0095】
以上に本発明の実施形態を説明してきたが、本発明の技術的範囲は以上の実施形態の構成に限るものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、記号の一覧を表示する前記「記号一覧選択モード」のようなものに限らず、アルファベットや数字の一覧を液晶ディスプレイ3に表示し、追加する文字を当該一覧の中から選択カーソルで選択する文字入力形態も考えられ、この場合も本発明の操作装置は当然に適用できることになる。
【0096】
本発明のダイアル式操作装置はラベルテープ用の印刷装置に限らず、他の印刷装置のほか、文字列の入力を必要とするあらゆる装置に適用が可能である。例えば、文字列のメールをやり取りできる携帯電話や携帯情報端末が考えられる。
【0097】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、カーソルを長い距離だけ動かさなければならない場合でも、ダイアル式操作手段の操作量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る印刷装置の全体的な構成を示した平面図。
【図2】 液晶ディスプレイの拡大図。
【図3】 「文字入力モード」の操作例を示した説明図。
【図4】 「カーソル移動モード」の操作例を示した説明図。
【図5】 「記号一覧選択モード」の操作例を示した説明図。
【図6】 選択ダイアルの位置検出構成を示した平面図一部断面図。
【図7】 印刷装置のブロック図。
【図8】 メインフローのフローチャート図。
【図9】 「文字入力モード」のサブルーチンを示すフローチャート図。
【図10】 「カーソル移動モード」のサブルーチンを示すフローチャート図。
【図11】 選択ダイアルの回転方向判定処理ルーチンを示すフローチャート図。
【図12】 選択ダイアルの回転前操作位置、回転後操作位置、中間位置を示す図。
【図13】 サブルーチンで記憶された三つの中間位置の例を示す図。
【図14】 カーソルの位置変更処理のサブルーチンを示すフローチャート図。
【符号の説明】
1 ダイアル式操作装置を備える印刷装置
3 液晶ディスプレイ(表示手段)
11 選択ダイアル(ダイアル式操作手段)
50 カーソル

Claims (9)

  1. (A)文字列を記憶する記憶手段と、
    (B)該記憶手段に記憶された文字列を視覚的に表示し、併せて、文字列を編集するためのカーソルの位置を視覚的に表示する、表示手段と、
    (C)前記表示手段に表示される該カーソルの位置を文字列先頭側または文字列末尾側へと一文字単位で移動させるために、該カーソルが一文字分だけ移動するために必要な単位角度毎に回転操作される、ダイアル式の操作手段と、
    (D)回転操作開始前に検出された前記操作手段の位置と、回転操作終了後に検出された前記操作手段の位置と、を演算することで、該操作手段が回転操作された操作角度Bを算出する、演算手段と、
    (E)算出された該操作角度が所定の値以下である場合のその操作角度をB、この場合のカーソルの移動量をΔX、前記操作角度が所定の値を上回る場合の該操作角度をB、この場合のカーソルの移動量をΔXとしたときに、カーソルが一文字分だけ移動するために必要な前記操作手段の単位角度量をAとして、
    ΔX=B/A, ΔX>B/A
    の関係を満たすような移動量ΔX,ΔXだけカーソルを移動させる、カーソル位置制御手段と、
    を有する、ダイアル式操作装置。
  2. 請求項1に記載のダイアル式操作装置であって、
    前記(E)のカーソル位置制御手段は、前記操作手段の操作角度が所定の値を上回る場合のカーソルの移動量ΔXを、ΔX=k×B/A (kは1より大きい定数)の関係を満たすように定められていることを特徴とする、ダイアル式操作装置。
  3. 請求項2に記載のダイアル式操作装置であって、
    前記定数kは2であることを特徴とする、ダイアル式操作装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のダイアル式操作装置であって、
    前記(B)の表示手段は、前記記憶手段に記憶された文字列から所定の文字数分だけ抜き出した一部を表示できるように構成するとともに、
    前記(E)のカーソル位置制御手段における所定の値は、前記表示手段で表示できる最大文字数から1を減じた文字数分だけカーソルを移動させるために必要な操作角度であることを特徴とする、ダイアル式操作装置。
  5. (A)文字列を記憶する記憶手段と、
    (B)予め設定された文字群を表示するとともに、前記文字列に追加する文字を前記文字群から選択するためのカーソルの位置を視覚的に表示する、表示手段と、
    (C)前記カーソルの位置を移動させるために回転操作される、ダイアル式の操作手段と、
    を有し、更に、
    請求項1の(D)および(E)の手段を備える、ダイアル式操作装置。
  6. 請求項5に記載のダイアル式操作装置であって、
    前記(E)のカーソル位置制御手段は、前記操作手段の操作角度が所定の値を上回る場合のカーソルの移動量ΔXを、ΔX=k×B/A (kは1より大きい定数)の関係を満たすように定められていることを特徴とする、ダイアル式操作装置。
  7. 請求項6に記載のダイアル式操作装置であって、
    前記定数kは2であることを特徴とする、ダイアル式操作装置。
  8. 請求項5から請求項7までのいずれか一項に記載のダイアル式操作装置であって、
    前記(B)の表示手段は、前記文字群から所定の文字数分だけ抜き出した一部を表示できるように構成するとともに、
    前記(E)のカーソル位置制御手段における所定の値は、前記表示手段で表示できる最大文字数から1を減じた文字数分だけカーソルを移動させるために必要な操作角度であることを特徴とする、ダイアル式操作装置。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のダイアル式操作装置を備えるとともに、前記(A)の記憶手段で記憶された文字列を印刷するための印刷手段を更に備えた、印刷装置。
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