JP3972102B2 - ポリエステル複合材料 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム金属化合物からなる開環重合用触媒を用いて、ポリエステル複合材料を製造する方法、及び該方法により得られたポリエステル複合材料に関する。
従来から、ポリマー成型品の耐熱性、硬度、強度等様々な性質を付与させるため、他の材料との複合材にすることが行われているが、特に生分解性のポリエステル樹脂は、機械的強度あるいは硬度等の点で未だ充分ではないので、ポリエステル樹脂に繊維状あるいは粒子状等のフィラーを含有させたり、あるいは他の強化材料との積層体を形成するなど、ポリエステル樹脂を複合材の形態として用いることが行われている。
これまでに用いられている生分解性複合材料、特に強度を強化する事を目的とした複合材料としては、繊維強化型(FRP)複合材料があり、これは、すでに重合をし終えた、ポリマーレジンを融点以上分解点以下の温度に加温し、ポリマーを溶融させ、エクストルーダーなどの混練機により、繊維状フィラーを物理的に混合することにより生分解性複合材料を製造するものである。
また、未利用の植物繊維を強化繊維として、織物状にし、織物の上下を生分解性ポリエステルのフィルムで挟み、融点の20℃以上でプレス成形することにより、生分解性ポリエステル/セルロース繊維複合材料を生成するものが知られており(非特許文献1参照)、最近では、熱安定性の向上のために、生分解性では無いが自然界に存在する物質である粘土層状化合物であるクレイを充填剤として、生分解性ポリエステルの混連し、融点は変化しないものの、軟化点を10℃以上上昇させものもある(非特許文献2参照)。
さらに、生分解性のコントロールを行うものとして、生分解性のポリエステルであるポリカプロラクトン(融点60℃)を融点以上の90℃で溶融させ、これに澱粉等を加えエクストルーダーで激しく長時間(30分)混練することにより、複合材料を得るものが知られている(非特許文献3参照)。
このほか、電気的性質、例えば、生分解性の防電磁シートを作成するために、生分解性のポリエステルに導電性の微粒子を混練する製造法なども報告されている(特許文献1参照)。
しかし、これらの複合材料を製造においては、上記記載から明らかなように、いずれもポリエステルの融点以上に加温して、ポリマーを溶融してから、他の材料を加えている。すなわち、従来より生分解性複合材料の製造法は多く報告されているものの、そのすべてが生分解性高分子材料を融点以上、また、できるだけ溶融粘度を下げるために分解点にできるだけ近い高い温度に加温し、高分子を溶融させてからその溶融粘度に打ち勝つほど激しく物理的に撹拌することにより、フィラーその他の材料を混練して、これら材料を含有する生分解性複合材料を得ている。
このような方法をとらざるを得ない理由は、生分解性高分子の特徴である融点と分解点が近いため、融点以上の余り高い温度で加温することができないことによる。分解点以上に加温すると、分解が始まり、高分子主鎖の切断が始まり、機械的強度が極端に減少する。これらの分解を防ぐためには、融点以上でかつ分解点以下の温度で混連しなければならない。つまり、混練する際の設定温度があまり高温にできないため、溶融粘度が高い状態でフィラーその他の材料を混練しなければならない。このことは、機械的に大きい力で長時間混練しなければならないため、大きな混合エネルギーを必要とする原因となる。さらに、このような方法を用いても、充填物を材料全体に均一に混合することはかなり困難である。また、融点以上に加温するため、高温に耐えることができない、特に酵素、生理活性物質を複合材料に加えることは不可能であった。
M. Shibata, K. Ozawa, N. Teramoto, R. Yoshomiya, H. Takeishi, Macromol. Mater. Eng., 288, 25-43(2003) S. S. Ray, K. Yamada, A. Ogami, M. Okamoto, K. Ueda, Macromol. Rapid Commun., 23, 943-947(2002) H. Pranamuda, Y. Tokiwa, H. Tanaka, J. Environm. Polym. Deg., 4(1),1-7(1996) 特開平10-120888号公報
そこで、本発明の課題は、ポリエステル樹脂複合材料、特にフィラーその他の配合材を含有する生分解性ポリエステル樹脂複合材を製造する際、樹脂と配合剤の混合に多大のエネルギーを費やすことなく、また、ポリエステル樹脂を融点以上に加熱する必要がない方法であって、得られる複合材中の樹脂が分子鎖切断等の劣化を生じることがなく、かつ配合材が均一に分散された、省エネルギーでかつ高品質のポリエステル複合材を得るための新しい方法を開発することにある。
上記課題を解決するための手法として、低粘度のモノマー段階で配合材を配合して混合し、その後重合反応を行い複合材を得る方法を検討したが、ポリエステル重合反応は、反応媒体に存在する微量な水あるいは空気中の酸素等により影響を受け、このため、例えば配合材に含まれる水分は可能な限り除去する必要があり。この点で省エネルギーにはつながらない。
そこで、この問題点を解決すべく本発明者等は鋭意研究の結果、3個のパーフルオロアルキル基配位子部分とアルミニウム金属からなる化合物を触媒として用いることにより、室温付近から100℃程度の温度条件下で、環状のポリエステル原料モノマー及び配合材に含まれる微量の水分その他の不純物の除去を伴う高度な精製工程や窒素雰囲気下などの特殊条件を必要とせずに、簡便なシステムで、かつ省エネルギーで重合反応が進行することを見出し本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下(1)〜(7)に示すとおりのものである。
(1) ポリエステル複合材料を製造する方法であって、 環状構造を有するポリエステル原料モノマーと配合材とを含有する反応液を用いるとともに、開環重合用触媒として、以下の一般式で表されるアルミニウム化合物を用いて上記モノマーの開環重合を行うことを特徴とするポリエステル複合材料の製造方法。
[化1]
Al(OSO)(OSO)(OSO)・・・I
(但し、式中、R,R,Rは、それぞれ同一または異なっていてもよいパーフルオロアルキル基を示し、Alはアルミニウムを示す。)

(2) 配合材料がフィラーであることを特徴とする、上記(1)に記載の方法。

(3) フィラーが繊維形状あるいは粒子形状であることを特徴とする、上記(2)の方法。

(4) フィラーが生分解性材料からなることを特徴とする、請求項3に記載の方法。

(5) ポリエステル原料モノマーが、以下の(a)〜(c)の群から選ばれた一種以上であることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(a) ラクトン
(b) ラクチド
(c) ジカルボン酸無水物及び環状エーテル

(6) ポリエステルが生分解性ポリエステルであることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。

(7) 開環重合反応溶液にアルコール含有させることを特徴とする上記(1)〜(6)に記載の方法。

本発明の上記一般式(I)で表されるアルミニウム化合物からなるポリエステル開環重合触媒は、反応媒体に残存する微量の水や空気中の酸素等により活性が低下せず、また、室温付近から100℃程度の広い温度範囲において高い活性を有する。本発明においては、該触媒を使用することにより、環状のポリエステル原料モノマーあるいは配合材等から水分その他の不純物を除去する精製工程を必要とせず、これらモノマーと配合材とを含有せしめた反応溶液から直接ポリエステル複合材料を得ることができ、しかも、この重合反応においては、窒素雰囲気下等の特殊条件に設定する必要もなく、また、比較的低温度で反応を進めることも可能となり、配合材として酵素、生理活性タンパク質薬剤を失活させることなく、また、微生物、細胞、組織を死滅させることなく、これらを配合材として複合材料中に含有させることが可能となる。さらに、配合材の添加は低粘度のモノマー溶液に配合剤を混合分散するだけでよく、従来のように樹脂を加熱軟化させこれに配合剤を混合する場合に比べ極めて省エネルギーである。また、得られるポリエステル複合材料は、樹脂中に配合材が均一に分散されているとともに、樹脂劣化がないものである。
したがって、本発明によれば、省エネルギーでかつ簡便な方法によって、しかも高品質のポリエステル複合材を得ることが可能となる。
本発明のポリエステル製造用開環重合触媒として用いるアルミニウム金属化合物は、下記一般式I
(化1)
Al(OSO)(OSO)(OSO)・・・I
(式中、R,R,Rは、それぞれ同一または異なっていてもよいパーフルオロアルキル基を示し、Alはアルミニウムを示す。)
で示される化学構造式で表される。
該化合物は一般式Iから明らかなように、パーフルオロアルキルスルホン酸配位子部分とアルミニウム原子が結合していることを特徴とする化合物である。
これらのパーフルオロアルキル基は、異なっていても、同一であってもよいが、好ましくは3個のR、R、Rが同一であることが望ましい。このパーフルオロアルキル基は、直鎖状もしくは分岐鎖を含むパーフルオロアルキル基、あるいは環状のパーフルオロアルキル基のいずれもであってもよい。パーフルオロアルキル基の炭素数は1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3である。アルキル基の具体例としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。
本発明のアルミニウム化合物触媒を用いるポリエステルの開環重合法は、文献未記載の新規重合法であり、該重合法によれば、例えば、以下の環状モノマーを原料モノマーとして使用する。
(a)以下の一般式IIで表されるラクトン類
Figure 0003972102
(b)以下の一般式IIIで表される環状ジエステル構造を有するラクチド類
Figure 0003972102
(c)下記一般式IVで示されるジカルボン酸を脱水して環化した環状酸無水物及び下記一般式Vで示されるジオールを脱水して環化した環状エーテル
Figure 0003972102
Figure 0003972102
本発明において、アルミニウム金属化合物により開環重合される原料モノマーである一般式IIで示されるラクトン類としては、式中のアルキレン基の炭素数が、3〜15の化合物が好ましく、4〜14の化合物がさらに好ましい。
アルキレン基の具体例としては、例えば、テトラメチレン、ペンタメチレン、デカメチレン、テトラデカ(14)メチレン等が挙げられ、具体的な化合物名を挙げると、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、オキサシクロドデカン−2−オン、オキサシクロヘキサデカン−2−オン等である。
一般式IIIで示されるラクチド類としては、式中のアルキレン基が、直鎖状あるいは分岐状のアルキレン基で、炭素数が1または2のものが好ましく、アルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン、メチルメチレン等が挙げられ、具体的化合物名を挙げると、グリコリド、ラクチド等である。
一般式IVの環状酸無水物としては、式中のアルキレン基が、直鎖状のアルキレン基で、炭素数が2または3のものが好ましく、より好ましくは炭素数が2のものが好ましく、アルキレン基の具体例としては、例えば、エチレン、プロペン等が挙げられ、具体的化合物名を挙げると、無水コハク酸、無水グルタル酸等である
一般式Vの環状エーテルとしては、式中のアルキレン基が、直鎖状のアルキレン基で、炭素数が3から5のものが好ましく、より好ましくは炭素数が4のものが好ましく、アルキレン基の具体例としては、例えば、プロペン、ブテン、ペンテン等が挙げられ、具体的化合物名を挙げると、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等である
上記(a)〜(c)群の各環状モノマーにおいては、単一のモノマーを使用してもよいが複数種の混合モノマーを使用してもよい。また、群の異なるモノマーを複数種混合使用してもよい。
本発明の複合材における樹脂成分として生分解性のポリエステルを形成するためには、モノマーとして、ラクトン類例えば、具体的な化合物名では、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、オキサシクロドデカン−2−オン、オキサシクロヘキサデカン−2−オン、環状エーテルと環状酸無水物の組合わせで具体的な化合物名を挙げるとグリコリド、ラクチド、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランと無水コハク酸、無水グルタル酸を使用する。
また、本発明において上記環状モノマーを含有する反応溶液に含有させる配合材の種類は特に限定されないが、配合材を例示すると、各種フィラー、染料、顔料、磁性粉、酵素、生理活性タンパク質、薬剤、微生物、動植物細胞、動植物組織等が挙げられる。
これらのうちフィラーはポリエステル樹脂の硬度、機械的強度等を高めるため用いるが、フィラーとしては、生分解性あるいは非生分解性のいずれでもよく、また、形状についても繊維状のものあるいは粒子状のいずれでもよい。
生分解性でかつ繊維状のフィラーとしては、マニラ麻、ケナフ、バナナ軸繊維、綿、竹等の植物由来のセルロース繊維、濾紙繊維、アビセル等の精製セルロース繊維あるいはポリカプロラクトン等の生分解性ポリマーの繊維等が挙げられ、生分解性でかつ粒子状のものとしては、タピオカ澱粉粒子、コーン澱粉粒子等の澱粉粒子、あるいはポリカプロラクトン等の生分解性ポリマーの粒子等が挙げられる。
非生分解性の繊維状フィラーとしては、炭素繊維、グラスファイバー、金属ファイバー等が挙げられ、非生分解性の粒子としては、鉱物由来のマイカ、シリカ等、粘土鉱物であるクレイ、カオリン、あるいは活性炭粒子、金属粒子等が挙げられる。
使用する環状モノマー及びフィラーの組合わせは、材料の使用目的、改善しようとする性質によって適宜選択すればよいが、例えば、生体内においてインプラント、ドラッグデリバリーシステム等として使用する場合においては、複合材料は生分解性のものが好ましく、この場合においては、環状モノマーおよびフィラーは、それぞれ生分解性のポリエステルを構成できるもの及び生分解性のものを選択すればよい。
また、単に使用後に環境への廃棄を目的とするものであれば、環境に無害な上記非生分解性のフィラーを使用し、生分解性のポリエステル樹脂との複合材料としてもよい。
本発明のアルミニウム化合物を触媒として使用する場合の利点の一つとして、低い温度条件下でも重合反応が進行するという点が上げられ、例えば酵素、生理活性タンパク質、薬剤の失活温度以下あるいは微生物、動植物細胞、動植物組織の死滅温度以下(例えば室温〜50℃)でも重合反応が進行する。したがって、これら酵素、生理活性タンパク質、薬剤、微生物、動植物細胞、動植物組織を失活あるいは死滅させることなく、これらを含有するポリエステル複合材料を製造でき、本発明の方法は、酵素、微生物、動植物細胞、動植物組織の固定化にも応用できる。
また、酵素、生理活性タンパク質、薬剤、動物細胞あるいは動物組織を含有する生分解性のポリエステル複合材料は、インプラントあるいはドラッグデリバリーシステムとして、各種治療に応用できる。
上記に示される生分解性または非生分解性のフィラー、その他の配合材の添加量は、添加した環状モノマーの重量に対して、0〜70wt%で添加されるが、用いる環状モノマーの種類、複合材料の使用目的、配合材の種類により添加量の最適値は異なる。
この発明のアルミニウム金属化合物触媒を用いるラクトン類、無水環状化合物の開環重合においては、重合速度を向上させるためあるいは分子量を制御するために反応系に、アルコール又は水を含有させることが好ましい。これらは、反応系に添加するかあるいは未精製の原料モノマー、配合材を原料として使用することに付随して、結果的に反応系に含有されるものであってもよい。
アルコールとしては、1価から多価アルコールで炭素数が1〜10のアルコールが使用できるが、1〜3の低級脂肪族アルコールが好ましい。添加するアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。本発明のアルミニウム金属化合物によるラクトン類、無水環状化合物の開環重合をもちいて、生分解性複合材料を製造する方法において、最大の収量、分子量を得て、その結果として最大の強度を得る目的としては、グリセリンを添加することがより好ましい。
使用する水又はアルコールの添加量は、添加したモノマーの重量に対して、0.01〜10wt%、好ましくは0.5〜2wt%、より好ましくは1wt%である。
本発明において触媒と使用するアルミニウム金属化合物は、空気中で安定な化合物であり、また、空気中や添加するモノマー、フィラー、その他の配合材に残存する水分や酸素によって分解されない。本発明における、このアルミニウム金属化合物を触媒として用いた生分解複合材料の製造法は、モノマー液に重合する前にフィラー、その他の配合材を混合するため、非常に簡単に配合材を均一に混合することができる。この点で、従来の方法では製造できない均質な複合体を省エネルギーで生成することができる。
以下に実施例を示すが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
100mlプラスチックビーカーに市販品であるε−カプロラクトンを未精製のままで3.8g(33.3mmol)、アルミニウムトリフルオロメタンスルホン酸31.7mg(66.7μmol)、グリセリン30.7mg(333μmol)を空気雰囲気下で入れ、よく混合してから、1.0gの濾紙繊維を充填した5mlのプラスチック注射器に注入し、余分な溶液を注射筒で絞り、40℃の恒温槽の中に入れ重合反応を行い、所定の重合時間で取り出し、直径約13mm、高さ10mmの円柱型試験片に加工した。得られた試験片を用いて圧縮試験を行い、応力−歪み曲線の初期の比例部分から弾性率を、最大応力から強度を求めた。試験片の重量を体積で除して見かけの密度を求めた。濾紙重量をポリカプロラクトン重量で除して充填量を求めた。各重合時間で得られた試験片の弾性率、強度、密度及び充填量を表1に示す。
Figure 0003972102
(比較例1)
100mlプラスチックビーカーに市販品であるε−カプロラクトンを未精製のままで3.8g(33.3mmol)、アルミニウムトリフルオロメタンスルホン酸31.7mg(66.7μmol)、グリセリン30.7mg(333μmol)を空気雰囲気下で入れ、よく混合してから、5mlのプラスチック注射器に注入し、40℃の恒温槽の中に入れ重合反応を行い、6時間後に取り出し、直径約13mm、高さ10mmの円柱型試験片に加工した。得られた試験片を用いて圧縮試験を行い、応力−歪み曲線の初期の比例部分から弾性率を、最大応力から強度を求めた。試験片の重量を体積で除して見かけの密度を求めた。得られた試験片の弾性率、強度及び密度を表2に示す。
Figure 0003972102
表1の結果から明らかなように、実施例1においては、反応時間わずか3時間で弾性率及び密度ともに、定常に達し、比較例1の表2の結果と比較すると強度及び弾性率は約1.5倍以上に増加している。充填率は負荷をかけずに成形したにもかかわらず充填率が30重量%以上の試料が得られている。表1の試料の密度は表2の試料とほぼ同じことから空隙の少ない試料が得られていることを示している。以上のことより、本作製法を用いることにより、空隙が少なく充填率の高い、力学物性ではポリマー単独の圧縮弾性率及び圧縮強度よりも約50%高い複合材試料が作製できた。
市販のポリカプロラクトンを100℃に加熱溶融してから延伸することによりポリカプロラクトン繊維を作製して、1.0gを5mlのプラスチック注射器に充填した。100mlプラスチックビーカーに市販品であるε−カプロラクトンを未精製のままで3.8g(33.3mmol)、アルミニウムトリフルオロメタンスルホン酸31.7mg(66.7μmol)、グリセリン30.7mg(333μmol)を空気雰囲気下で入れ、よく混合してから繊維を充填した注射器に注入し、余分な溶液を注射筒で絞り、40℃の恒温槽の中に入れ重合反応を行い、6時間後に取り出し、直径約13mm、高さ10mmの円柱型試験片に加工した。得られた試験片を用いて圧縮試験を行い、応力−歪み曲線の初期の比例部分から弾性率を、最大応力から強度を求めた。繊維の充填量は、充填した繊維重量をポリカプロラクトン重量で除して求めた。この試験片の重合時間、弾性率、強度、密度及び充填量を表3に示す。
Figure 0003972102
この表3の結果と前記比較例1の表2の結果を対比すれば明らかなように、ポリカプロラクトンに市販のポリカプロラクトンを繊維状にして充填することにより、弾性率が改善されている。すなわち、同条件で作成した繊維を充填していない表2の試験片よりも圧縮弾性率が大きい試料が得られている。また、表3の試料では、表2のポリカプロラクトンと比較して圧縮強度も増加している。本作製法によりポリカプロラクトンにポリカプロラクトン繊維を充填して複合材料化することにより力学物性に優れた試料が得られた。
5mlのプラスチック注射器に115℃で24時間乾燥した1.0gの脱脂綿を充填し、100℃で保温した。300mlステンレスビーカーに市販品であるL−ラクチドを未精製のままで4.8g(33.3mmol)入れ、100℃に加熱し溶融した後、アルミニウムトリフルオロメタンスルホン酸31.7mg(66.7μmol)、グリセリン30.7mg(333μmol)を空気雰囲気下で加え、よく混合してから、脱脂綿を充填した注射器に注入し、余分な溶液を注射筒で絞り、100℃の恒温槽の中に入れ重合反応を行い、6時間後に取り出し、冷却後に直径約13mm、高さ10mmの円柱型試験片に加工した。得られた試験片を用いて圧縮試験を行い、応力−歪み曲線の初期の比例部分から弾性率を、最大応力から強度を求めた。脱脂綿充填試料の充填量は、充填した脱脂綿の重量をポリラクチドの重量で除し求めた。得られた試験片の弾性率、強度、密度及び充填量を表4に示す。
Figure 0003972102
(比較例2)
300mlステンレスビーカーに市販品であるL−ラクチドを未精製のままで4.8g(33.3mmol)入れ、100℃に加熱し溶融した後、アルミニウムトリフルオロメタンスルホン酸31.7mg(66.7μmol)、グリセリン30.7mg(333μmol)を空気雰囲気下で加え、よく混合してから5mlのプラスチック注射器に注入し、100℃の恒温槽の中に入れ重合反応を行い、6時間後に取り出し、冷却後に直径約13mm、高さ10mmの円柱型試験片に加工した。得られた試験片を用いて圧縮試験を行い、応力−歪み曲線の初期の比例部分から弾性率を、最大応力から強度を求めた。得られた試験片の弾性率、強度及び密度を表5に示す。
Figure 0003972102
上記実施例3の表4の結果と比較例2の結果を対比すれば明らかなように、表4の脱脂綿充填ポリラクチド試料では、表5の脱脂綿を充填しない試料より圧縮強度が約1.5倍に増加している。表4の試料では、負荷をかけないで作製して充填量が28重量%と高い値である。また、表4の密度も表5の繊維を充填していない試料より大幅な低下を示さないことから空隙の少ない試料が作製できていることを示している。以上のことより、本作製法を用いることにより、簡便に力学特性に優れ良好な複合材試料を作製できた。
内径12mmのプラスチック試験管に市販品であるL−ラクチドを未精製のままで2.4g(16.7mmol)入れ、100℃の高温槽で約10分間加熱し溶融した後、アルミニウムトリフルオロメタンスルホン酸15.9mg(33.3μmol)、グリセリン31.7mg(167μmol)を空気雰囲気下で加え、よく混合した。そこに所定の量のカーボンブラックを加えよく攪拌し、100℃の恒温槽の中に入れ重合反応を行い、6時間後に取り出し、冷却後に直径約12mm、高さ10mmの円柱型試験片に加工した。得られた試験片を用いて四探針法で体積抵抗を求めた。弾性率を、最大応力から強度を求めた。カーボンブラックの充填量は、カーボンブラックの重量をラクチドの重量で除した値を重量%で表した。得られた試験片の充填率及び体積抵抗率を表6に示す。
Figure 0003972102
表6の結果から明らかなように、ポリラクチドにカーボンブラックを充填することで導電性を有する複合材料を作製することができた。充填量が10重量%より小さい試料では、107ohm−cm以上の体積抵抗を示した。このように、本製造法は導電性複合材料等の作製にも有効な製法である。

Claims (7)

  1. ポリエステル複合材料を製造する方法であって、環状構造を有するポリエステル原料モノマーと配合材とを含有する反応液を用いるとともに、開環重合用触媒として、以下の一般式で表されるアルミニウム化合物を用いて上記モノマーの開環重合を行うことを特徴とするポリエステル複合材料の製造方法。
    [化1]
    Al(OSO)(OSO)(OSO)・・・I
    (但し、式中、R,R,Rは、それぞれ同一または異なっていてもよいパーフルオロアルキル基を示し、Alはアルミニウムを示す。)
  2. 配合材料がフィラーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. フィラーが繊維形状あるいは粒子形状であることを特徴とする、請求項2の方法。
  4. フィラーが生分解性材料からなることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. ポリエステル原料モノマーが、以下の(a)〜(c)の群から選ばれた一種以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
    (a)ラクトン
    (b)ラクチド
    (c)ジカルボン酸無水物及び環状エーテル
  6. ポリエステルが生分解性ポリエステルであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 開環重合反応溶液にアルコール含有させることを特徴とする請求項1〜6に記載の方法。
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