JP3970930B2 - リグノセルロース系材料の製造方法、および該方法により得られる生成物 - Google Patents

リグノセルロース系材料の製造方法、および該方法により得られる生成物 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、イオンに帯電した補強剤の結合に関するリグノセルロース系材料の結合能を高め、それによって強度が高められたリグノセルロース系製品(本明細書中で時折単純に「紙製品」と呼称される、例えば紙、板紙、厚紙、段ボール用ライナー、段ボール、未ざらし板紙および類似の製品)の製造を可能にするために、特に繊維形態のリグノセルロース系材料(例えば木材、亜麻、大麻、ジュート、バガス等から得られる植物繊維)を改質する方法を提供する。
発明の背景および簡単な説明
リグノセルロース系出発材料から製造されるリグノセルロース系製品、例えば機械的(例えば熱機械的)パルプ化法、機械的/化学的パルプ化法(これはしばしば「半化学的方法」と呼称される)または化学的パルプ化法(例えばクラフト、亜硫酸またはソーダパルプ化)により調製された植物繊維(例えば木繊維)から出発して製造された製品は、不可欠な日常品である。そのような製品のうちの最もよく知られている幾つかのタイプとしては、筆記用もしくは印刷用の紙、厚紙および段ボール、並びにティッシュおよび不織製品が挙げられる。
事実上全ての品等の紙や厚紙などは水性パルプスラリーから製造される。典型的には、パルプを水に懸濁し、様々な添加剤と混合し、次いで紙や厚紙などを成形する装置に導入し、プレスし、そして乾燥する。機械的に製造されたパルプ(以下「砕木パルプ」と称する)、半化学的に製造されたパルプ(以下「半化学パルプ」と称する)、未漂白の化学パルプまたは再生繊維から作ったパルプ(即ち再生紙やぼろなどから作ったパルプ)のいずれかを使用するかにかかわらず、適切な強度特性を有する最終製品を得るためにパルプに種々の補強剤を添加することがしばしば必要である。包装などに利用される紙や板の場合には、乾燥条件下と湿潤条件下での引張り強さおよび引裂強さが主に重要であり;更に、特にある品等の厚紙(例えば包装や輸送などに使われる段ボール箱の製造用の未ざらし板紙)の場合には、材料の圧縮強さもしばしば重要な要素である。
リグノセルロース系製品の分野では、近年、環境と毒性の観点から「伝統的に」使用されているものよりも好ましい補強剤/結合剤またはシステムの開発と応用に相当な努力が向けられている。この点で関連する特許文献としては下記のものがある:
ヨーロッパ特許公開第0 433 258 A1号は、繊維製品のリグニン部分にラジカルを形成させることにより「結合剤」を繊維製品中のリグニンと結合させるという、化学的および/または酵素的処理を使った繊維製品からの砕木パルプの製造方法を開示している。この書類は、カチオンデンプンのような「炭化水素」および/またはタンパク質を適当な結合剤の例として挙げている。適当な酵素の例として、ラッカーゼ、リグニンペルオキシダーゼおよびマンガンペルオキシダーゼが挙げられており、そして適当な化学物質の例として過酸化水素とフェロイオン、二酸化塩素、オゾンおよびそれらの混合物が挙げられている。
ヨーロッパ特許公開第0 565 109 A1号は、フェノール酸化酵素とのインキュベーションによる木細胞の中間ラメラ中のリグニンの活性化によって、機械的に製造された砕木片の結合を行う方法を開示している。この方法により、別の結合剤の使用が回避される。
米国特許第4,432,921号明細書はフェノール基を有するフェノール性化合物から木材用結合剤を製造する方法を記載しており、問題の方法は、フェノール性化合物を活性化しそして酸化的に重合せしめる酵素でフェノール性化合物を処理し、それによって該化合物を結合剤に変換することを含んで成る。この書類中に具体的に言及されているかまたはその中に与えられた実施例で使用されている唯一のフェノール性化合物は、リグニンスルホネートである。米国特許第4,432,921号に記載の発明の主目的は、化学パルプの亜硫酸製法の実施を通して大量に生じる液体廃棄物であってリグニンスルホネートを含有する、いわゆる「亜硫酸廃液」の経済的活用である。
木材製品の補強/結合のためのシステムまたは方法におけるフェノール系重合体としてのリグニンスルホネート(特に亜硫酸廃液の形のもの)の使用に関して、次のコメントが適当である:
(i)商業規模で入手できるリグニンスルホネートは一般に非常に不純であり、変動的な品質のものである〔J.L.Philippou,Journal of Wood Chemistry and Technology 1(2)(1981)199-227を参照のこと〕;
(ii)亜硫酸廃液の極端に濃い色は、例えば望ましい色彩特性を有する紙製品(包装紙、段ボール用ライナーまたは段ボール箱用の未ざらし板紙など)の製造用の源としてリグニンスルホネートを不適当にする。
近年、製紙工業における改質された多糖を主成分とした物質、例えばカチオンデンプン(即ち、カチオン官能基、通常は第四級アンモニウム基の導入によって改質されたデンプン)の使用が次第に増加しつつある。第四級アンモニウム型のカチオンデンプンは、特に強度や排水を改善するためのいわゆる「ウエットエンド添加剤」として、および塗料中の結合剤として、産業上広く利用されている。補強剤として商業上入手可能である別の型のカチオン剤としては、グアーガムのカチオン誘導体〔ポリ(ガラクトマンナン)ガム〕が挙げられる。
上記のもの並びに他のカチオンおよびアニオン高分子補強剤(「補強添加剤」)に関する更なる情報については、D.C.SmithによるTAPPI Proceedings(1992 Papermakers Conference)393〜404頁の概説を参照されたい。
それらのイオン電荷のおかげで、そのような物質は、おそらく実質上は静電的相互作用により、リグノセルロース系繊維パルプの繊維の中/上に存在する反対電荷を有する官能基〔例えばウロン酸(例えばグルクロン酸)成分の脱プロトン化カルボキシ基、またはリグニンの化学的改質から生じるスルホネート基〕と比較的強力に結合することができる。しかしながら、この方法で達成できる強度の増加は、特に繊維の表面上の適当に帯電した基の「密度」によって左右される。
本発明者らは、驚くべきことに、適当な酸化剤の存在下で、フェノール基の酸化を触媒する酵素(例えばEC 1.10.3に分類されるオキシダーゼ)を使った簡単な方法により、リグノセルロース系材料(例えば木繊維または他の植物繊維)に、フェノール性物質の接合(結合)形で負もしくは正に帯電するかまたは適当な条件下で帯電するようになる官能基または置換基を有するフェノール性物質(即ち、フェノール性ヒドロキシ基を含む置換基を少なくとも1つ含んで成る物質)を接合またはグラフトさせることができることを、たった今発見した。
問題のフェノール性物質は、好ましくは比較的低分子量の物質であり;よって、一般に、非高分子フェノール性物質が好ましい(下記参照)。フェノール性多糖類(すなわちフェノール性ヒドロキシ基を含む置換基で置換されている多糖類)は、本発明の方法においてはフェノール系物質の範囲内に含まれない。従って、例えば、本出願人の国際出願PCT/DK95/00318に開示される発明において使用される多糖類は、本発明に従って使用されるフェノール性物質の範囲内には入らない。
結果として増加された表面電荷密度のために、リグノセルロース系材料への適当なイオン帯電した補強剤の結合の増加を達成することができる。得られた生成物を出発材料として使用して、補強剤の含有量が低いリグノセルロース系材料から製造した製品よりも強度の大きい製品(例えば紙製品)の製造を行うことができる。
発明の詳細な説明
本発明は、フェノール性物質の接合により改質されたリグノセルロース系材料の製造方法であって、前記フェノール性物質が、該フェノール性物質の接合形態において負もしくは正に帯電するかまたは適当な条件下で(例えば問題の置換基のプロトン化または脱プロトン化を生じる条件下で)負もしくは正に帯電するようになる電荷付与置換基を含んで成ることを特徴とする方法を提供する。
本発明の方法では、問題のリグノセルロース系材料とフェノール性物質の両方が、適当な酸化剤とその酸化剤によるフェノール基の酸化を触媒することのできる酵素との存在により引き起こされる酸化反応を受ける。次いでリグノセルロース系材料とフェノール性物質の酸化生成物(これは後述するように、ラジカル種であると思われる)が互いと反応して、問題の改質リグノセルロース系材料を生成する。
既に上述したように、本発明の方法で用いられるフェノール性物質はそれらがフェノール性多糖類ではないという前提に従うべきである。
本発明の方法で使われる種類の酵素、すなわちフェノール基の酸化を触媒することができる酵素は、適当な酸化剤の存在下で、フェノール性置換基の芳香族成分(例えば、一方では本発明の方法で用いられるようなフェノール性物質中のフェノール性官能基、そして他方ではリグノセルロース系基質のリグニン部分中のフェノール性官能基)においてラジカルの形成を誘導すると思われる。それの厳密な性質にかかわりなく、問題の反応を適宜「活性化」と呼ぶ場合がある。
上記に関連して、4つの成分、即ちリグノセルロース系材料、フェノール性物質、酵素および酸化剤を混合/接触する順序は、プロセス構成が「活性化された」リグノセルロース系材料と「活性化されたフェノール性物質」を所望の形式で反応できるようにするやり方でその両者が一緒に合わされることを保証する限り、重大ではない。よって、例えば次のように1または複数の工程もしくは段階において本発明の方法を実施することが可能である。
(i)リグノセルロース系材料およびフェノール性物質を、それぞれ(即ち別々に)、酵素および酸化剤と混合し(または他の方法で接触させ)そして反応せしめ(即ち「活性化された」形にし、その後で各々の「活性化された」生成物を一緒に合わせ、相互に反応せしめることができる。
(ii)リグノセルロース系材料を酵素および酸化剤と混合し(または他の方法で接触させ)た後でフェノール性物質と混合する、即ち、リグノセルロース系材料の「活性化」を開始(または恐らく完了)した後でフェノール性物質の「活性化」と開始することができる。
(iii)フェノール性物質を酵素および酸化剤と混合し(または他の方法で接触させ)た後でリグノセルロース系材料と混合する、即ち、フェノール性物質の「活性化」を開始(または恐らく完了)した後でリグノセルロース系材料の「活性化」を開始することができる。
(iv)リグノセルロース系材料、フェノール性物質、酵素および酸化剤を実質的に同時に一緒に混合し(または他の方法で互いと接触させ)、即ち、リグノセルロース系材料とフェノール性物質の「活性化」を実質的に同時に開始することができる。
実例として、本明細書中の実施例(下記参照)は上記の(ii)のような手順を使用する。
反応媒質
一般に、上記に記載した本発明の方法(またはそれの一工程もしくは一段階)を実施する反応媒質は、優勢的に水性媒質であろう。適当ならば、上記成分に加えて、例えばpH調整剤(酸、塩基および/または緩衝剤)、1もしくは複数の水混和性有機溶媒(例えば問題のフェノール性物質の可溶化を助けるため)、および/または他の適当な補助剤を含んでもよい。
リグノセルロース系材料
本明細書中で用いる「リグノセルロース系材料」という語は、(i)セルロースまたは半セルロース部分と(ii)リグニンまたはリグニン様部分を有する、天然材料、合成材料および半合成材料を包含するものである。よって、例えば、リグニン様(例えばフェノール性)成分を導入するために化学的に改質されている綿(それ自体はほとんどまたは全くリグニンを含まない)のようなセルロース系材料は、本発明におけるリグノセルロース系材料であると理解すべきである。
本発明の方法で使われるリグノセルロース系出発材料は、製造する予定の製品のタイプに依存して、任意の形、例えば植物繊維パルプ(木材、亜麻、大麻、バガス、ジュートなどからの繊維を含む)の形であることができる。本発明の方法での使用に適当な繊維パルプは、様々な従来のパルプ化法、例えば機械的(例えば熱機械的)パルプ化法、機械的/化学的パルプ化法(これはしばしば「半化学的方法」と呼称される)または化学的パルプ化法(例えばクラフト、亜硫酸もしくはソーダパルプ化法)により製造することができる。化学的パルプ化法により製造されるパルプは、漂白してもよく未漂白のままでもよい。
問題のリグノセルロース系材料を、0.01〜90%、例えば0.1〜40%w/wの範囲内の媒質中の乾燥リグノセルロース系材料〔乾燥物質(DS)〕の重量百分率に相当する量で使用することが、一般に適当であろう。
フェノール性物質
上述したように、本発明の方法で使われるフェノール性物質は、芳香環に結合したヒドロキシ基を有する置換基を含有する物質であり、且つフェノール性多糖類以外の物質である。
芳香環に存在する1または複数のヒドロキシ置換基を有することに加えて、フェノール性物質は、同じ芳香環において1または複数の別の置換基、例えば1もしくは複数の低級アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、1−プロポキシもしくは2−プロポキシ)および/または1もしくは複数の低級アルキル基(例えばメチル、エチル、1−プロピルもしくは2−プロピル)で場合により更に置換されることがある。
リグノセルロース系材料に接合またはグラフトさせた時に、負の電荷を付与することができるフェノール性物質の場合、好ましいフェノール性物質としては、フェノール性カルボン酸およびカルボキシ基がエステル化されている(例えば低級アルキル基で)かまたは塩の形(−COO-)にあるその誘導体が挙げられる。本発明の方法を実施する際には、しばしば比較的水溶性の塩の形〔例えば、ナトリウム塩または別のアルカリ金属塩(これは例えば、適当な塩基、例えばNaOHの水溶液中に酸を溶解させることによりその場で製造される)〕を使用することが適当であろう。
関連するフェノール性カルボン酸の例としては、安息香酸のフェノール性誘導体、例えば2−,3−もしくは4−ヒドロキシ安息香酸(特に4−ヒドロキシ安息香酸)、バニリン酸(即ち4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸)およびシリンギン酸(即ち4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ安息香酸)が挙げられる。
適当なフェノール性カルボン酸の他の例としては、桂皮酸フェノール性誘導体、例えばクマル酸(特にp−クマル酸、即ち4−ヒドロキシ桂皮酸)、カフェー酸(3,4−ジヒドロキシ桂皮酸)、シナピン酸(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸)およびフェルラ酸(4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸)が挙げられる。
上記に具体的に列挙したもののような桂皮酸誘導体(全てが市販されている)の場合、それらが2つの可能な幾何異性体形(それぞれシスとトランス)のうちの一方を含んで成るのかが両方を含んで成るのか明白に確立されていないようである。しかし、おそらくトランス形が一般に優勢であるようだ。
リグノセルロース系材料に負電荷を付与するという面で着目される別のフェノール性物質の中にフェノール性スルホン酸および対応するスルホン酸塩がある。
本発明の方法で使われるフェノール性物質(例えばフェノール性カルボン酸)の量は、通常はリグノセルロース系材料の重量に基づいて(乾燥リグノセルロース系材料として計算)0.01〜20重量%(%w/w)、典型的には0.01〜10%w/wの範囲内であり、約0.02〜6%w/wの範囲の量(上記方法で計算)がしばしば非常に適当であろう。
酵素
本明細書と請求の範囲の中で言及する酵素分類番号(EC番号)は、Recommendations(1992)of the Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology,Academic Press Inc.,1992に従う。
理論上は、フェノール基の酸化を触媒することのできるどんなタイプの酵素でも本発明の方法に用いることができる。しかしながら、好ましい酵素はオキシダーゼ、特にEC 1.10.3に分類されるオキシダーゼ〔例えばラッカーゼ(EC 1.10.3.2)〕およびペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.7)、特にEC 1.11.1.7に分類されるペルオキシダーゼである。場合によっては、2以上の異なる酵素を本発明の方法に使用することが適当かもしれない。
オキシダーゼ:上述したように、本発明の範囲内で好ましいオキシダーゼは、フェノール基の酸化を触媒することができるオキシダーゼである、EC 1.10.3に分類されるオキシダーゼである。オキシダーゼは、受容体として分子酸素を使用する酵素(即ち分子酸素が酸化剤として働く酵素触媒型酸化反応)である。
同じく上記に示したように、ラッカーゼ(EC 1.10.3.2)は本発明において非常に適当なオキシダーゼである。別の潜在的に有用であるフェノール酸化オキシダーゼの例としては、カテコールオキシダーゼ(EC 1.10.3.1)が挙げられる。
ラッカーゼは、種々様々な微生物源、特に細菌および真菌(糸状菌を酵母を含む)から誘導することができる。ラッカーゼの適当な例は真菌から得られるものの中に見つけられ、その例としてアスペルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neurospora)〔例えばN.クラッサ(N.crassa)〕、ポドスポラ(Podospora)、ボトリチス(Botrytis)、コリビア(Collybia)、フォメス(Fomes)、レンチナス(Lentinus)、プリューロタス(Pleurotus)、トラメテス(Trametes)〔幾つかの種/株は色々な名前で知られておりそして/または以前は別の層の中に分類されていた;例えばトラメテス・ビロサ(Trametes villosa)=T.ピンシツス(T.pinsitus)=ポリポルス・ピンシティス(Polyporus pinsitis)(P.ピンシツスまたはP.ビロサスとしても知られる)=コリオラス・ピンシツス(Coriolus pinsitus)〕、ポリポルス(Polyporus)、リゾクトニア(Rhizoctonia)〔例えばR.ソラニ(R.solani)〕、コプリヌス(Coprinus)〔例えばC.プリカチリス(C.plicatilis)〕、サチレラ(Psatyrella)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)〔例えばM.テルモフィラ(M.thermophila)〕、シタリジウム(Schytalidium)、フレビア(Phlebia)〔例えばP.ラジータ(P.radita;WO 92/01046を参照のこと)〕、またはコリオルス(Coliolus)〔例えばC.ヒルスタス(C.hirsutus;我国の平成2年特許第238885年を参照のこと〕から得られるラッカーゼが挙げられる。
本発明において好ましいラッカーゼとしては、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)から得られるラッカーゼ、およびミセリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)から得られるラッカーゼが挙げられる。
トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)ラッカーゼの場合、本発明の方法で使われるラッカーゼの量は、一般に、リグノセルロース系材料のg(乾燥重量)あたり0.02〜2000 LACUの範囲内であるべきであり、好ましくは0.05〜100 LACU/gリグノセルロース系材料であり、典型的には0.1〜100 LACU/g、例えば約1 LACU/gリグノセルロース系材料であろう(LACUは下記に定義されるようなラッカーゼ活性の単位である)。
ラッカーゼ活性(LACU)の測定:ラッカーゼ活性は、好気条件下でのシリンガルダジンの酸化の分光光度測定に基づいて決定される。この酸化反応において生成する紫色の強さ530nmで測定する。
分析条件は19μMシリンガルダジン、23.2mM酢酸塩緩衝剤,pH5.5、30℃、反応時間1分、振盪である。1ラッカーゼ単位(LACU)は、この条件下で1分あたり1μモルのシリンガルダジンの変換を触媒する酵素の量である。
一般的なラッカーゼの場合、本発明の方法で使われるラッカーゼの量は通常、リグノセルロース系材料1g(乾燥重量)あたりラッカーゼ0.0001〜20mg(純粋酵素タンパク質として計算した値)、例えば0.0001〜10mg/g、より普通には0.001〜1mg/gの範囲内であり、典型的にはリグノセルロース系材料1gあたりラッカーゼ0.01〜1mgの範囲内であろう。
ペルオキシダーゼ:本発明の方法で用いるペルオキシダーゼ酵素(EC 1.11.1)は、好ましくは植物から得られるペルオキシダーゼ(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼまたは大豆ペルオキシダーゼ)であるかまたは微生物、例えば真菌もしくは細菌から得られるペルオキシダーゼである。この点で幾つかの好ましい真菌としては、不完全菌亜門の線菌綱に属する菌株、例えばフザリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、トリコデルマ(Trichoderma)、ミロセシウム(Myrothecium)、ベルティシリウム(Verticillium)、アルスロマイセス(Arthromyces)、カルダリオマイセス(Caldariomyces)、ウロクラジウム(Ulocladium)、エンベリシア(Embellisia)、クラドスポリウム(Cladosporium)またはドレクスレラ(Drechslera)、特にフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)(DSM 2672)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、トリコデルマ・レシィ(Trichoderma resii)、ミロセシウム・ベルカナ(Myrothecium verrucana)(IFO 6113)、ベルティシリウム・アルボートルム(Verticillium alboatrum)、ベルティシリウム・ダーリィ(Verticillinm dahlie)、アルスロマイセス・ラモサス(Arthromyces ramosus)(FERM P-7754)、カルダリオマイセス・フマゴ(Caldariomyces fumago)、ウロクラジウム・カルタルム(Ulocladium chartarum)、エンベリシア・アリィ(Embellisia alli)またはドレクスレラ・ハロデス(Drechslera halodes)が挙げられる。
別の好ましい真菌としては、担子菌亜門の担子菌綱に属する菌株、例えばコプリヌス(Coprinus)、ファネロケート(Phanerochaete)、コリオルス(Coriolus)またはトラメテス(Trametes)、特にコプリヌス・シネレウスf.ミクロスポラス(Coprinus cinereus f.microsporus)(IFO 8371)、コプリヌス・マクロリザス(Coprinus macrorhizus)、ファネロケート・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)(例えばNA-12)またはトラメテス・ベルシコロール(Trametes versicolor)(例えばPR4 28-A)が挙げられる。
さらに好ましい真菌としては、接合菌亜門のケカビ綱に属する菌株、例えばリゾプス(Rhizopus)またはムーコル(Mucor)、特にムーコル・ヒエマリス(Mucor hiemalis)が挙げられる。
ある種の好ましい細菌としては、放線菌目の菌株、例えばストレプトマイセス・スフェロイデス(Streptomyces spheroides)(ATCC 23965)、ストレプトマイセス・テルモビオラセウス(Streptomyces thermoviolaceus)(IFO 12382)またはストレプトベルティシリウム・ベルティシリウムssp.ベルティシリウム(Streptoverticillium verticillium ssp.verticillium)が挙げられる。
別の好ましい細菌としては、バシラス・ピュミルス(Bacillus pumilus)(ATCC 12905)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドモナス・パルストリ(Rhodomonas palustri)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、シュードモナス・ピュロシニア(Pseudomonas purrocinia)(ATCC 15958)またはシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)(NRRL B-11)が挙げられる。
更に好ましい細菌としては、ミクソコッカス(Myxococcus)に属する菌株、例えばM.ビレッセンス(M.virescens)が挙げられる。
有用な特定ペルオキシダーゼの他の潜在源は、B.S.Saunders他、Peroxidase,London 1964,41〜43頁に列挙されている。
既に記載した通り、本発明において好ましいペルオキシダーゼはEC 1.11.1.7に分類されるペルオキシダーゼを包含する。
本発明の方法でペルオキシダーゼを使用する時、リグノセルロース系材料1g(乾燥重量)あたりペルオキシダーゼ0.00001〜1mg、例えば0.00001〜0.1mg/gの範囲の量が一般に適当であろう。使用量はしばしば0.0001〜0.1mg/gの範囲であり、例えばリグノセルロース系材料1gあたりペルオキシダーゼ0.0001〜0.01mgの範囲内であろう。
酸化剤
本発明の方法で使用する酵素と酸化剤は、明らかに互いに適合しなければならず、問題の酸化剤が結合工程に関与する酸化反応にのみ参加し、そうでなければ該工程に関与する物質/材料に対して何ら悪影響を及ぼさないことが好ましい。
問題の型のオキシダーゼ、例えばラッカーゼは、その他の理由の中でも特に、上述の如くそれらが分子酸素による酸化を触媒するという理由から、本発明において非常に適する。よって、大気に開放した容器の中で起こなわれそして酵素としてオキシダーゼが関与する反応は、大気中の酸素を酸化剤として利用することができるであろう。しかしながら、適切な酸素供給を確保するために反応の最中空気または別の酸素含有気体(例えば高酸素濃度空気、または適当ならば、実質的に純粋な酸素)を用いて反応媒質に強制的に通気することが望ましいかもしれない。
ペルオキシダーゼの場合、本発明において好ましいペルオキシド(酸化剤)は過酸化水素であり、それは通常0.01〜500mMの範囲内、典型的には0.01〜100mMの範囲内の濃度(反応媒質中の)で使用される。多数のペルオキシダーゼにとって、適当な濃度範囲は0.05〜10mM、例えば0.05〜5mMであろう。
反応媒質の温度
本発明の方法の反応混合物の温度は、特に、使用する酵素の特性および方法が実施される形式に依存するだろう。
例えば、リグノセルロース系材料、フェノール性物質、酵素および酸化剤の全てが該方法全体を通して本質的に一緒に存在する「一段階」法として本発明の方法を実施する場合、特に使用する酵素の急速な失活を不利に引き起こさないような温度に、使用温度の上限を定めることが一般に望ましいだろう。そのような場合、温度は通常約80℃以下であり、好ましくは20〜70℃の範囲内であろう。
しかしながら、既に言及した通り、本発明の方法を複数段階で、例えば、初めに上述した温度(即ち典型的には20〜80℃、例えば20〜70℃の範囲内である温度)で酵素と酸化剤を使ってリグノセルロース系材料とフェノール性物質をそれぞれ「活性化」し、次いで活性化されたリグノセルロース系材料と活性化されたフェノール性物質とを混合し、そして適当であれば、温度を例えば70〜170℃の範囲の温度に上昇させることにより、実施することも可能である。これは反応媒質の沸騰を防ぐために反応容器/系の加圧を必要とする場合がある。
本明細書中の実施例(下記参照)により例示されるように、本発明の典型的方法に関係する反応は、周囲温度の付近の温度(例えばしばしば約25℃である)で、例えば約30℃の温度で、好結果に行うことができる。
反応媒質のpH
特に使用する1または複数の酵素の特性によって、本発明の方法が実施される反応媒質のpHは、一般に3〜10の範囲、好ましくは4〜9の範囲、そしてしばしば4〜8の範囲内であろう。
反応時間
本発明の方法を実施する際に使われる反応時間は、特に、使用する温度および使用するリグノセルロース系材料とフェノール性物質の性質に依存するだろう。従って、この点に関して一般的なガイドラインを提供することは難しい。本明細書中の実施例により例示されるように、約30℃の温度の使用が、1時間未満の期間内で達成される満足できる反応をもたらす。
本発明は、本明細書に開示されるような本発明の方法により得られるまたは得ることができる改質リグノセルロース系材料にも関する。
本発明の更なる面は、補強されたリグノセルロース系製品(例えば前に記載した種類のうちの1つの紙製品)の製造方法であって、本発明に係る改質リグノセルロース系材料を、前に言及した電荷付与置換基(上記参照)によって前記改質リグノセルロース系材料上に付与されるものと反対の符号のイオン電荷を有する補強剤で処理することを含んで成る方法に関する。
本発明における使用に適当なカチオン補強剤としては、カチオン多糖類(例えばカチオンデンプン、化工デンプンのカチオン誘導体、およびグアーガムのカチオン誘導体)、並びに合成または半合成ポリマーのカチオン誘導体(例えばポリアクリル酸エステルのカチオン誘導体)が挙げられる。
こうして処理された改質リグノセルロース系材料は、(a)単離することができ(中間生成物として)そして引き続いて出発中間体として着目の補強されたリグノセルロース系製品の製造に使用することができ;または(b)そのまま直接に(単離せずに)、最終補強製品の製造に適する次の処理工程にかけることができる。
上記にある程度記載したように、本発明の方法は種々様々な型のリグノセルロース系製品、例えば様々な紙製品〔例えば、筆記用紙および印刷用紙、紙袋、包装用紙(例えば「褐色包装紙(brown paper)」等)、板紙製品(例えば厚紙、段ボール用ライナー等)、ティッシュおよび不織製品、並びに種々様々な他の特殊製品(例えば鶏卵箱、鶏卵用トレー、および他の型の包装材料)の製造に良適である。
上述した問題の型の中間物および最終(補強)リグノセルロース系製品は両者とも本発明の範囲内に含まれる。
フェノール基を酸化(「活性化」;見かけ上はラジカル形成)できることに加えて、本発明において使われる酵素(オキシドレダクターゼ)と酸化剤の組合せ(例えばラッカーゼと酸素の組合せ)は、種々の非フェノール種とも同様な反応を引き起こすことができることに注目すべきである。それらの非フェノール種としては、芳香族アミン(芳香環にアミノ基が結合している物質、例えばo−,m−またはp−フェニレンジアミン)のような物質が挙げられるが、それに限定されない。
従って、本明細書中に開示される本発明の方法においてフェノール性物質を使う代わりに、ここで使われるような酵素/酸化剤の組合せによる酸化的「活性化」を受けることができる別の型の物質(例えば芳香族アミン型の物質)を使うことも同じく可能である。そのような方法の変形は本発明の範囲内である。
同様に、本発明の方法においてリグノセルロース系材料を使う代わりに、非リグニン様(非フェノール性)の「活性化できる」官能基を有する別の型の(例えば芳香族アミン型の)材料(特に繊維材料)を使うことも同じく可能である。更に、この材料はセルロース成分または半セルロース成分を含んで成る必要はなく、代わりに別の型の天然もしくは合成のポリマーまたはコポリマーから誘導された何らかの別の成分を含んでもよい。
本発明は、上述した本発明の方法のそういった変形、並びにそれにより得られるかまたは得ることができる対応する中間物および最終製品を全て包含する。
材料および方法
後述する実施例に使用する材料のうち、次のものは指摘の供給源から入手した:
トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)ラッカーゼ:Novo Nordisk A/S, Bagsvaerd, Denmarkにより製造された、活性が200 LACU/gの液体製剤。
ブナ材砕木パルプ:デンマークの生産者から入手した。
フェルラ酸:Sigma社から入手した(カタログ番号F3500)。
下記に与える実施例において使われるフェルラ酸ナトリウム塩を含む溶液は、次の通り調製した:2.0gのフェルラ酸を100mlの脱イオン水に懸濁した。全てのフェルラ酸が溶解するまで4M水性NaOHをゆっくり添加し、その時点での溶液のpHは約7.5であった。
実施例1.ブナ木材パルプ上へのフェルラ酸のグラフト
20g部分のブナ木材パルプを1000mlの脱イオン水に懸濁した。この懸濁液のpHを4M硫酸の添加により4.5に調整し、後述するその後の操作全体を通して、水性4M水酸化ナトリウムまたは水性4M硫酸の添加によりその後のpHを4.5〜6に維持した。
下記操作全体を通して、懸濁液を攪拌し、バブリングにより空気を通気させ、そして懸濁液の入った容器を恒温水槽に浸すことによって30℃の温度を維持した。
時間t=0で、ラッカーゼ(3 LACU/gパルプ乾燥物質)を懸濁液に添加した。15分後、「フェルラ酸」溶液(上記参照)の添加を開始し、そしてその溶液を次の15分間の間一定の速度で添加した。15分間で添加される溶液の総量は、パルプ乾燥物質の2%w/wに相当するフェルラ酸の量に等しかった。
更に15分後、反応混合物をブフナー漏斗上で吸引濾過した。フィルター上の固形物(改質ブナパルプ)を水に再懸濁して、約1%w/wの懸濁固体の濃度を与え、そしてその懸濁液を上記と同様に吸引濾過した。
比較目的で、上記と同じ手順に従って、ただしそれぞれa)ラッカーゼの省略、b)「フェルラ酸」の省略、およびc)(参考)ラッカーゼと「フェルラ酸」の省略を伴って、3つの実験(2つは対照実験で1つは参考実験)を実施した。欠けた液量は、適当であるなら、脱イオン水の添加により補った。
4種のパルプ試料の表面電荷を、L. Wagberg他、Nordic Pulp Pap. Res. J. 4(2) 71頁(1989)により記載された方法に従って、ポリDADMAAC(カチオンポリマー)を使った高分子電解質吸着実験により測定した。
表面電荷の測定結果を下表に示す。
Figure 0003970930
上記結果は、本発明の方法によりリグノセルロース系材料上にフェノール酸(この場合フェルラ酸)をグラフトすることにより、リグノセルロース系材料の表面電荷をかなり増加させることができるということを証明する。
既に言及した通り、そのような表面電荷の増加によって、本発明の改質リグノセルロース系材料から出発するリグノセルロース系製品の製造中に、そのような製品(例えば紙製品)に適当に帯電した補強剤〔例えば負の電荷をもたらす電荷付与置換基、例えばカルボキシル(−COOH→−COO-)の場合のカチオンデンプン〕の増加量を取り込むことが可能になり、それによってリグノセルロース系製品の強度の増加(例えば引張り強さ、引裂強さおよび/または圧縮強さの増加)を達成することが可能であろう。

Claims (8)

  1. フェノール性カルボン酸又はその塩若しくはエステル連結により改質されたリグノセルロース系材料の製造方法であって、前記フェノール性カルボン酸又はその塩若しくはエステルが、当該連結形態において荷電している置換基、あるいは当該置換基のプロトン化又は脱プロトン化を生じる条件下で荷電するようになる前記置換基を有し、ここで、
    前記リグノセルロース系繊維材料を、オキシダーゼ(EC 1.10.3)及びペルオキシダーゼ(EC 1.11.1)からなる群より選択された酵素の存在下で、酸化剤と反応せしめ、
    前記フェノール性カルボン酸又はその塩若しくはエステルを、オキシダーゼ(EC 1.10.3)及びペルオキシダーゼ(EC 1.11.1)からなる群より選択された酵素の存在下で、酸化剤と反応せしめ、並びに
    前記リグノセルロース系繊維材料と酸化剤との反応生成物と、前記フェノール性カルボン酸又はその塩若しくはエステルと酸化剤との反応生成物とを、互いに反応せしめる、
    ことを含む前記方法。
  2. 前記リグノセルロース系材料が、木材、亜麻、綿、大麻、ジュート、及びバガスからなる群より選択された植物源に由来する繊維を含んで成る、請求項1に記載の方法。
  3. 前記置換基が、負に荷電しているか又は荷電するようになる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記置換基が、正に荷電しているか又は荷電するようになる、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記オキシダーゼが、ラッカーゼ(EC 1.10.3.2)であり、そして前記酸化剤が、酸素である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記ラッカーゼが、ミセリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)をはじめとするミセリオフトラ種;及びトラメテス・ビロザ(Trametes villosa)をはじめとするトラメテス種からなる群より選択された真菌から得られる、請求項5に記載の方法。
  7. 前記酵素が、ペルオキシダーゼであり、そして前記酸化剤が、過酸化水素である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により得られる、改質リグノセルロース系材料。
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