(情報記録媒体)
図1から図8を参照して、本発明の情報記録媒体の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の情報記録媒体を、記録(書き込み)及び再生(読み出し)が可能な型の光ディスクに適用したものである。
先ず図1を参照して、本実施形態の光ディスクの基本構造について説明する。ここに図1は、上側に複数のエリアを有する光ディスクの構造を概略平面図で示すと共に、下側にその径方向におけるエリア構造を概念図で対応付けて示すものである。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、記録(書き込み)が複数回又は1回のみ可能な、光磁気方式、相変化方式等の各種記録方式で記録可能とされており、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール102を中心として内周から外周に向けて、リードインエリア104、データエリア106及びリードアウトエリア108が設けられている。そして、各エリアには、例えば、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、グルーブトラック及びランドトラックが交互に設けられており、このグルーブトラックはウオブリングされてもよいし、これらのうち一方又は両方のトラックにプレピットが形成されていてもよい。尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。
次に図2を参照して、本実施形態の光ディスクに記録されるトランスポートストリーム(TS)の構成について説明する。ここに、図2(a)は、比較のため、従来のMPEG2のプログラムストリームの構成を図式的に示すものであり、図2(b)は、MPEG2のトランスポートストリーム(TS)の構成を図式的に示すものである。
図2(a)において、一つのプログラムストリームは、時間軸tに沿って、主映像情報たるビデオデータ用のビデオストリームを1本だけ含み、更に、音声情報たるオーディオデータ用のオーディオストリームを最大で8本含み且つ副映像情報たるサブピクチャデータ用のサブピクチャストリームを最大で32本含んでなる。即ち、任意の時刻txにおいて多重化されるビデオデータは、1本のビデオストリームのみに係るものであり、例えば複数のテレビ番組或いは複数の映画などに対応する複数本のビデオストリームを同時にプログラムストリームに含ませることはできない。映像を伴うテレビ番組等を多重化して伝送或いは記録するためには、各々のテレビ番組等のために、少なくとも1本のビデオストリームが必要となるので、1本しかビデオストリームが存在しないプログラムストリーム形式では、複数のテレビ番組等を多重化して伝送或いは記録することはできないのである。
図2(b)において、一つのトランスポートストリーム(TS)は、主映像情報たるビデオデータ用のエレメンタリーストリーム(ES)としてビデオストリームを複数本含んでなり、更に音声情報たるオーディオデータ用のエレメンタリーストリーム(ES)としてオーディオストリームを複数本含み且つ副映像情報たるサブピクチャデータ用のエレメンタリーストリーム(ES)としてサブピクチャストリームを複数本含んでなる。即ち、任意の時刻txにおいて多重化されるビデオデータは、複数本のビデオストリームに係るものであり、例えば複数のテレビ番組或いは複数の映画などに対応する複数のビデオストリームを同時にトランスポートストリームに含ませることが可能である。このように転送レートが高く、複数本のビデオストリームが存在するトランスポートストリーム形式では、複数のテレビ番組等を多重化して伝送或いは記録することが可能である。但し、現況のトランスポートストリームを採用するデジタル放送では、サブピクチャストリームについては伝送していない。
尚、図2(a)及び図2(b)では説明の便宜上、ビデオストリーム、オーディオストリーム及びサブピクチャストリームを、この順に上から配列しているが、この順番は、後述の如くパケット単位で多重化される際の順番等に対応するものではない。トランスポートストリームでは、概念的には、例えば一つの番組に対して、1本のビデオストリーム、2本の音声ストリーム及び2本のサブピクチャストリームからなる一まとまりが対応している。
上述した本実施形態の光ディスク100は、記録レートの制限内で、このように複数本のエレメンタリーストリーム(ES)を含んでなるトランスポートストリーム(TS)を記録可能に、即ち複数の番組或いはプログラムを同時に記録可能に構成されている。
次に図3及び図4を参照して、光ディスク100上に記録されるデータの構造について説明する。ここに、図3は、光ディスク100上に記録されるデータ構造を模式的に示すものであり、図4は、図3に示した各オブジェクト内におけるデータ構造の詳細を模式的に示すものである。
以下の説明において、「タイトル」とは、複数の「プレイリスト」を連続して実行する再生単位であり、例えば、映画1本、テレビ番組1本などの論理的に大きなまとまりを持った単位である。「プレイリスト」とは、「オブジェクト」の再生に必要な情報を格納したファイルであり、オブジェクトへアクセスするためのオブジェクトの再生範囲に関する情報が各々格納された複数の「アイテム」で構成されている。より具体的には、各アイテムには、オブジェクトの開始アドレスを示す「INポイント情報」及び終了アドレスを示す「OUTポイント情報」が記述されている。尚、これらの「INポイント情報」及び「OUTポイント情報」は夫々、直接アドレスを示してもよいし、再生時間軸上における時間或いは時刻など間接的にアドレスを示してもよい。そして、「オブジェクト」とは、上述したMPEG2のトランスポートストリームを構成するコンテンツの実体情報である。
図3において、光ディスク100は、論理的構造として、ディスク情報ファイル110、プレイ(P)リスト情報ファイル120、オブジェクト情報ファイル130及びオブジェクトデータファイル140の4種類のファイルを備えており、これらのファイルを管理するためのファイルシステム105を更に備えている。尚、図3は、光ディスク100上における物理的なデータ配置を直接示しているものではないが、図3に示す配列順序を、図1に示す配列順序に対応するように記録すること、即ち、ファイルシステム105等をリードインエリア104に続いてデータ記録エリア106に記録し、更にオブジェクトデータファイル140等をデータ記録エリア106に記録することも可能である。図1に示したリードインエリア104やリードアウトエリア108が存在せずとも、図3に示したファイル構造は構築可能である。
ディスク情報ファイル110は、光ディスク100全体に関する総合的な情報を格納するファイルであり、ディスク総合情報112と、タイトル情報テーブル114と、その他の情報118とを格納する。ディスク総合情報112は、例えば光ディスク100内の総タイトル数等を格納する。
本実施形態では特に、後に詳述するように、タイトル情報テーブル114は、プレイリスト指定情報並びにプリコマンド及びポストコマンドを含んでなる情報集合の一例としてのタイトルプレイリスト(図8(a)参照)を、タイトル別のテーブル形式で複数格納してなる(図17、図18等参照)。
プレイリスト情報ファイル120は、各プレイリストの論理的構成を示すプレイ(P)リスト情報テーブル121を格納し、これは、プレイ(P)リスト総合情報122と、プレイ(P)リストポインタ124と、複数のプレイ(P)リスト126(Pリスト#1〜#n)と、その他の情報128とに分かれている。このプレイリスト情報テーブル121には、プレイリスト番号順に各プレイリスト126の論理情報を格納する。言い換えれば、各プレイリスト126の格納順番がプレイリスト番号である。また、上述したタイトル情報テーブル114で、同一のプレイリスト126を、複数のタイトルから参照することも可能である。即ち、タイトル#nとタイトル#mとが同じプレイリスト#pを使用する場合にも、プレイリスト情報テーブル121中のプレイリスト#pを、タイトル情報テーブル114でポイントするように構成してもよい。
オブジェクト情報ファイル130は、各プレイリスト126内に構成される各アイテムに対するオブジェクトデータファイル140中の格納位置(即ち、再生対象の論理アドレス)や、そのアイテムの再生に関する各種属性情報が格納される。本実施形態では特に、オブジェクト情報ファイル130は、後に詳述する複数のAU(アソシエートユニット)情報132I(AU#1〜AU#n)を含ん
でなるAUテーブル131と、ES(エレメンタリーストリーム)マップテーブル134と、その他の情報138とを格納する。
オブジェクトデータファイル140は、トランスポートストリーム(TS)別のTSオブジェクト142(TS#1オブジェクト〜TS#nオブジェクト)、即ち実際に再生するコンテンツの実体データを、複数格納する。
尚、図3を参照して説明した4種類のファイルは、更に夫々複数のファイルに分けて格納することも可能であり、これらを全てファイルシステム105により管理してもよい。例えば、オブジェクトデータファイル140を、オブジェクトデータファイル#1、オブジェクトデータファイル#2、…というように複数に分けることも可能である。
図4に示すように、論理的に再生可能な単位である図3に示したTSオブジェクト142は、例えば6kBのデータ量を夫々有する複数のアラインドユニット143に分割されてなる。アラインドユニット143の先頭は、TSオブジェクト142の先頭に一致(アラインド)されている。各アラインドユニット143は更に、192Bのデータ量を夫々有する複数のソースパケット144に細分化されている。ソースパケット144は、物理的に再生可能な単位であり、この単位即ちパケット単位で、光ディスク100上のデータのうち少なくともビデオデータ、オーディオデータ及びサブピクチャデータは多重化されており、その他の情報についてもこの多重化されてよい。各ソースパケット144は、4Bのデータ量を有する、再生時間軸上におけるTS(トランスポートストリーム)パケットの再生処理開始時刻(即ち、デマルチプレクスを開始する時刻)を示すパケットアライバルタイムスタンプ等の再生を制御するための制御情報145と、188Bのデータ量を有するTSパケット146とを含んでなる。TSパケット146は、パケットヘッダ146aをその先頭部に有し、ビデオデータがパケット化されて「ビデオパケット」とされるか、オーディオデータがパケット化されて「オーディオパケット」とされるか、又はサブピクチャデータがパケット化されて「サブピクチャパケット」とされるか、若しくは、その他のデータがパケット化される。
次に図5及び図6を参照して、図2(b)に示した如きトランスポートストリーム形式のビデオデータ、オーディオデータ、サブピクチャデータ等が、図4に示したTSパケット146により、光ディスク100上に多重記録される点について説明する。ここに、図5は、上段のプログラム#1(PG1)用のエレメンタリーストリーム(ES)と中段のプログラム#2(PG2)用のエレメンタリーストリーム(ES)とが多重化されて、これら2つのプログラム(PG1&2)用のトランスポートストリーム(TS)が構成される様子を、横軸を時間軸として概念的に示すものであり、図6は、一つのトランスポートストリーム(TS)内に多重化されたTSパケットのイメージを、時間の沿ったパケット配列として概念的に示すものである。
図5に示すように、プログラム#1用のエレメンタリーストリーム(上段)は、例えば、プログラム#1用のビデオデータがパケット化されたTSパケット146が時間軸(横軸)に対して離散的に配列されてなる。プログラム#2用のエレメンタリーストリーム(中段)は、例えば、プログラム#2用のビデオデータがパケット化されたTSパケット146が時間軸(横軸)に対して離散的に配列されてなる。そして、これらのTSパケット146が多重化されて、これら二つのプログラム用のトランスポートストリーム(下段)が構築されている。尚、図5では説明の便宜上省略しているが、図2(b)に示したように、実際には、プログラム#1用のエレメンタリーストリームとして、オーディオデータがパケット化されたTSパケットからなるエレメンタリーストリームやサブピクチャデータがパケット化されたTSパケットからなるサブピクチャストリームが同様に多重化されてもよく、更にこれらに加えて、プログラム#2用のエレメンタリーストリームとして、オーディオデータがパケット化されたTSパケットからなるエレメンタリーストリームやサブピクチャデータがパケット化されたTSパケットからなるサブピクチャストリームが同様に多重化されてもよい。
図6に示すように、本実施形態では、このように多重化された多数のTSパケット146から、一つのTSストリームが構築される。そして、多数のTSパケット146は、このように多重化された形で、パケットアライバルタイムスタンプ等145の情報を付加し、光ディスク100上に多重記録される。尚、図6では、プログラム#i(i=1,2,3)を構成するデータからなるTSパケット146に対して、j(j=1,2,…)をプログラムを構成するストリーム別の順序を示す番号として、“Element(i0j)”で示しており、この(i0j)は、エレメンタリーストリーム別のTSパケット146の識別番号たるパケットIDとされている。このパケットIDは、複数のTSパケット146が同一時刻に多重化されても相互に区別可能なように、同一時刻に多重化される複数のTSパケット146間では固有の値が付与されている。
また図6では、PAT(プログラムアソシエーションテーブル)及びPMT(プログラムマップテーブル)も、TSパケット146単位でパケット化され且つ多重化されている。これらのうちPATは、複数のPMTのパケットIDを示すテーブルを格納している。特にPATは、所定のパケットIDとして、図6のように(000)が付与されることがMPEG2規格で規定されている。即ち、同一時刻に多重化された多数のパケットのうち、パケットIDが(000)であるTSパケット146として、PATがパケット化されたTSパケット146が検出されるように構成されている。そして、PMTは、一又は複数のプログラムについて各プログラムを構成するエレメンタリーストリーム別のパケットIDを示すテーブルを格納している。PMTは、任意のパケットIDを付与可能であるが、それらのパケットIDは、上述の如くパケットIDが(000)として検出可能なPATにより示されている。従って、同一時刻に多重化された多数のパケットのうち、PMTがパケット化されたTSパケット146(即ち、図6でパケットID(100)、(200)、(300)が付与されたTSパケット146)が、PATにより検出されるように構成されている。
図6に示した如きトランスポートストリームがデジタル伝送されて来た場合、チューナは、このように構成されたPAT及びPMTを参照することにより、多重化されたパケットの中から所望のエレメンタリーストリームに対応するものを抜き出して、その復調が可能となるのである。
そして、本実施の形態では、図4に示したTSオブジェクト142内に格納されるTSパケット146として、このようなPATやPMTのパケットを含む。即ち、図6に示した如きトランスポートストリームが伝送されてきた際に、そのまま光ディスク100上に記録できるという大きな利点が得られる。
更に、本実施形態では、このように記録されたPATやPMTについては光ディスク100の再生時には参照することなく、代わりに図3に示した後に詳述するAUテーブル131及びESマップテーブル134を参照することによって、より効率的な再生を可能とし、複雑なマルチビジョン再生等にも対処可能とする。このために本実施形態では、例えば復調時や記録時にPAT及びPMTを参照することで得られるエレメンタリーストリームとパケットとの対応関係を、AUテーブル131及びESマップテーブル134の形で且つパケット化或いは多重化しないで、オブジェクト情報ファイル130内に格納するのである。
次に図7及び図8を参照して、光ディスク100上のデータの論理構成について説明する。ここに、図7は、光ディスク100上のデータの論理構成を、論理階層からオブジェト階層或いは実体階層への展開を中心に模式的に示したものである。また、図8は、図7に示した一タイトルを構成するタイトルプレイリストにおける基本的な論理構成の詳細を模式的に示し(図8(a))、更にタイトルプレイリストにおける論理構成の三つの具体例(図8(b)〜図8(d))を模式的に示すものである。
図7において、光ディスク100には、例えば映画1本、テレビ番組1本などの論理的に大きなまとまりであるタイトル200が、一又は複数記録されている。各タイトル200は、一又は複数のタイトルプレイリスト(タイトルプレイリスト#1、#2、…)115から構成されている。
各タイトルプレイリスト115は、一又は複数のプレイリスト(プレイリスト#1、#2、…)126から論理的に構成されている。ここで、同一タイトル200又は異なるタイトル200を構成する複数のタイトルプレイリスト115は、同一プレイリスト126から構成されてもよい。即ち、本実施形態で特に、図7中で各タイトルプレイリスト115から出た複数の矢印で示すように、プレイリスト126の使い回しが可能とされている。
尚、タイトルプレイリスト115は、図3に示したディスク情報ファイル110内に、タイトル情報テーブル114の形式で格納されている。これに対して、プレイリスト126は、図3において、ディスク情報ファイル110内ではなく、プレイリスト情報ファイル120内に、プレイリスト情報テーブル121の形式で格納されている。そして、複数のタイトルプレイリスト115と複数のプレイリスト126とは、光ディスク100上において別々の領域に夫々まとめて記録されている。
図7及び図8(a)に示すように、各タイトルプレイリスト115は、タイトルプレイリスト#m(タイトルプレイリスト番号)で識別されている(但し、m=1、2、…)。そして各タイトルプレイリスト115は、複数のプレイリスト126のうち再生すべき特定のプレイリスト126を、その番号で指定するプレイリスト指定情報の一例として、プレイリスト#n(プレイリスト番号)を指定する情報を含む(但し、n=1、2、…)。更に、タイトルプレイリスト115は、この特定のプレイリスト126の再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド116及び、この特定のプレイリスト126の再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド117を含む。
プリコマンド116は、例えば再生に際して、オーディオストリーム選択等の自動的な実行や、再生に際して必要とされる各種パラメータの設定等の実行を命令する、0又は一つ以上の命令文で構成されるコマンド群である。他方、ポストコマンド117は、例えば再生終了処理のための各種パラメータ処理の実行や、分岐条件の判断等の実行を命令する、0又は一つ以上の命令文で構成されるコマンド群である。
そして、異なるタイトルプレイリスト#mが付与されたタイトルプレイリスト115によって、同一プレイリスト#nが付与されたプレイリスト126を指定することで、上述したプレイリスト126の使い回しが可能とされている。更に、同一プレイリスト126を指定する場合でも、プリコマンド116又はポストコマンド117を変えることにより、異なるタイトル200を構成することも可能となる。
各タイトル200内で、複数のタイトルプレイリスト115はシーケンシャル構造を有してもよいし、分岐構造を有してもよい。これらについては後で図8(b)〜図8(d)を参照して説明する。
更に図7及び図8(a)に示すように、各プレイリスト126は、一又は複数のアイテム(プレイアイテム)204から論理的に構成されている。各プレイリスト126内で、複数のアイテム204は、シーケンシャル構造を有してもよいし、分岐構造を有してもよい。また、一つのアイテム204を複数のプレイリスト126から参照することも可能である。
図7において、アイテム204に記述された前述のINポイント情報及びOUTポイント情報により、TSオブジェクト142の再生範囲が論理的に指定される。そして、論理的に指定された再生範囲についてオブジェクト情報130dを参照することにより、TSオブジェクト142の再生範囲が物理的に指定される。ここに、オブジェクト情報130dは、TSオブジェクト142の属性情報、TSオブジェクト142内におけるデータサーチに必要なEP(エントリーパス)マップ情報134d等のTSオブジェクト142を再生するための各種情報を含む(尚、図3に示したESマップテーブル134は、このようなEPマップ情報134dを複数含んでなる)。
そして、後述の情報記録再生装置によるTSオブジェクト142の再生時には、アイテム204及びオブジェクト情報130dから、当該TSオブジェクト142における再生すべき物理的なアドレスが取得され、所望のエレメンタリーストリームの再生が実行される。
このように本実施形態では、タイトルプレイリスト115等を用いることでタイトル200が論理的に構成され、更にアイテム204に記述されたINポイント情報及びOUTポイント情報並びにオブジェクト情報130dのESマップテーブル134(図3参照)内に記述されたEPマップ情報134dにより、再生シーケンスにおける論理階層からオブジェクト階層への関連付けが実行され、エレメンタリーストリームの再生が可能とされる。
ここで図8を参照して、タイトル200の種類と共に、タイトルプレイリスト115の機能等について説明する。尚、図8(b)〜図8(d)では、プレイリスト情報ファイル120(図3参照)中におけるプレイリスト番号iを、“Pリスト1”、“Pリスト2”、…“Pリストi”(但し、i=1、2、…)というように、プレイリスト126を示す各ブロック中に記してある。
本実施形態では特に、タイトル200の種類としては、「1タイトルプレイリスト型」と「複数タイトルプレイリスト型」との二つに大別され、後者は更に「シーケンシャル型」と「分岐型」とに分類される。
図8(b)に示すように、「1タイトルプレイリスト型」のタイトル200は、単純に一つのタイトルプレイリスト115(タイトルプレイリスト#1)から構成される。その詳細構成は、図8(a)を参照して説明した通りである。図8(b)の例では、“プレイリスト1(Pリスト1)”が再生されることになる。
図8(c)に示すように、「シーケンシャル型」のタイトル200は、複数のタイトルプレイリスト115(タイトルプレイリスト#1、#3及び#2)が、再生時間軸に追って順次に再生されるように構成されている。各タイトルプレイリスト115の詳細構成は、図8(a)を参照して説明した通りである。この場合、各タイトルプレイリスト115は、プレイリスト126を任意に指定可能であり、図8(c)では、プレイリスト126のプレイリスト情報テーブル121内における格納順(図3参照)とは無関係に、“プレイリスト2(Pリスト2)”、“プレイリスト3(Pリスト3)”及び“プレイリスト1(Pリスト1)”がこの順で再生されることになる。
尚、図8(c)は、例えば、タイトルプレイリスト#1及びタイトルプレイリスト#2をこの順に作成した後に、編集によりタイトルプレイリスト#3をこれらの間に加えた具体例を示している。このような編集作業は、プリコマンド116及びポストコマンド117を置き換えることにより比較的容易に実行可能である。即ち、タイトル情報テーブル114中でタイトルプレイリスト115を並び替える必要なく、新たに作成したタイトルプレイリスト#3を、タイトル情報テーブル114中におけるタイトルプレイリスト#2の後ろ(最後)に追加すれば足りる。
図8(d)に示すように、「分岐型」のタイトル200は、複数のタイトルプレイリスト115(タイトルプレイリスト#1〜#6)から構成されている。そして、タイトルプレイリスト#1を構成するポストコマンド117に基づく分岐により、タイトルプレイリスト#1が指定するプレイリスト126(“プレイリスト1”)に続いて、タイトルプレイリスト#3又は#2が指定するプレイリスト126(“プレイリスト2”又は“プレイリスト3”)が選択的に再生される。また、タイトルプレイリスト#3を構成するポストコマンド117に基づく分岐により、タイトルプレイリスト#3が指定するプレイリスト126に続いて、タイトルプレイリスト#4又はタイトルプレイリスト#5が指定するプレイリスト126が選択的に再生される。他方、タイトルプレイリスト#2を構成するポストコマンド117に基づく分岐により、タイトルプレイリスト#2が指定するプレイリスト126に続いて、タイトルプレイリスト#4、#6又は#3が指定するプレイリスト126が選択的に再生されるように構成されている。各タイトルプレイリスト115の詳細構成は、図8(a)を参照して説明した通りである。これにより、例えば視聴者におけるインタラクティブな操作により一方のプレイリスト126を選択可能となる。
尚、図8(d)におけるタイトルプレイリスト#2からタイトルプレイリスト#3又は#6への分岐は、同一プレイリスト126(“プレイリスト2”)であってもその再生後の分岐条件が異なるものであることを示しており、同一プレイリスト126を使用して異なるタイトルプレイリスト115を作成する一例を示している。
以上詳述したように本実施形態によれば図8(b)〜図8(d)に示したいずれの種類のタイトルの場合にも、同一プレイリスト126を、異なるプリコマンド116や異なるポストコマンド117と組み合わせてタイトルプレイリスト115とでき、係る組み合わせによって同一プレイリスト126を用いて各種タイトル200を構築できる。しかも、同一プレイリスト126を複数のタイトルプレイリスト115により指定できるので、係る指定によっても同一プレイリスト126を用いて各種タイトル200を構築できる。
更に本実施形態では、光ディスク100上においてTSパケット146の単位で多重記録されており、これにより、図2(b)に示したような多数のエレメンタリーストリームを含んでなる、トランスポートストリームを光ディスク100上に多重記録可能とされている。本実施形態によれば、デジタル放送を光ディスク100に記録する場合、記録レートの制限内で複数の番組或いは複数のプログラムを同時に記録可能であるが、ここでは一つのTSオブジェクト142へ複数の番組或いは複数のプログラムを多重化して記録する方法を採用している。
以下、このような記録処理を実行可能な情報記録再生装置の実施形態について説明する。
(情報記録再生装置)
次に図9から図14を参照して、本発明の情報記録再生装置の実施形態について説明する。ここに、図9は、情報記録再生装置のブロック図であり、図10から図14は、その動作を示すフローチャートである。
図9において、情報記録再生装置500は、再生系と記録系とに大別されており、上述した光ディスク100に情報を記録可能であり且つこれに記録された情報を再生可能に構成されている。本実施形態では、このように情報記録再生装置500は、記録再生用であるが、基本的にその記録系部分から本発明の記録装置の実施形態を構成可能であり、他方、基本的にその再生系部分から本発明の情報再生装置の実施形態を構成可能である。
情報記録再生装置500は、光ピックアップ502、サーボユニット503、スピンドルモータ504、復調器506、デマルチプレクサ508、ビデオデコーダ511、オーディオデコーダ512、サブピクチャデコーダ513、加算器514、システムコントローラ520、メモリ530、変調器606、フォーマッタ608、TSオブジェクト生成器610、ビデオエンコーダ611、オーディオエンコーダ612及びサブピクチャエンコーダ613を含んで構成されている。システムコントローラ520は、ファイル(File)システム/論理構造データ生成器521及びファイル(File)システム/論理構造データ判読器522を備えている。更にシステムコントローラ520には、メモリ530及び、タイトル情報等のユーザ入力を行うためのユーザインタフェース720が接続されている。
これらの構成要素のうち、復調器506、デマルチプレクサ508、ビデオデコーダ511、オーディオデコーダ512、サブピクチャデコーダ513及び加算器514から概ね再生系が構成されている。他方、これらの構成要素のうち、変調器606、フォーマッタ608、TSオブジェクト生成器610、ビデオエンコーダ611、オーディオエンコーダ612及びサブピクチャエンコーダ613から概ね記録系が構成されている。そして、光ピックアップ502、サーボユニット503、スピンドルモータ504、システムコントローラ520及びメモリ530、並びにタイトル情報等のユーザ入力を行うためのユーザインタフェース720は、概ね再生系及び記録系の両方に共用される。更に記録系については、TSオブジェクトデータ源700と、ビデオデータ源711、オーディオデータ源712及びサブピクチャデータ源713とが用意される。また、システムコントローラ520内に設けられるファイルシステム/論理構造データ生成器521は、主に記録系で用いられ、ファイルシステム/論理構造判読器522は、主に再生系で用いられる。
光ピックアップ502は、光ディスク100に対してレーザービーム等の光ビームLBを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。サーボユニット503は、再生時及び記録時に、システムコントローラ520から出力される制御信号Sc1による制御を受けて、光ピックアップ502におけるフォーカスサーボ、トラッキングサーボ等を行うと共にスピンドルモータ504におけるスピンドルサーボを行う。スピンドルモータ504は、サーボユニット503によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転させるように構成されている。
(i) 記録系の構成及び動作:
次に図9から図13を参照して、情報記録再生装置500のうち記録系を構成する各構成要素における具体的な構成及びそれらの動作を、場合分けして説明する。
(i−1) 作成済みのTSオブジェクトを使用する場合:
この場合について図9及び図10を参照して説明する。
図9において、TSオブジェクトデータ源700は、例えばビデオテープ、メモリ等の記録ストレージからなり、TSオブジェクトデータD1を格納する。
図10では先ず、TSオブジェクトデータD1を使用して光ディスク100上に論理的に構成する各タイトルの情報(例えば、プレイリストの構成内容等)は、ユーザインタフェース720から、タイトル情報等のユーザ入力I2として、システムコントローラ520に入力される。そして、システムコントローラ520は、ユーザインタフェース720からのタイトル情報等のユーザ入力I2を取り込む(ステップS21:Yes及びステップS22)。この際、ユーザインタフェース720では、システムコントローラ520からの制御信号Sc4による制御を受けて、例えばタイトルメニュー画面を介しての選択など、記録しようとする内容に応じた入力処理が可能とされている。尚、ユーザ入力が既に実行済み等の場合には(ステップS21:No)、これらの処理は省略される。
次に、TSオブジェクトデータ源700は、システムコントローラ520からのデータ読み出しを指示する制御信号Sc8による制御を受けて、TSオブジェクトデータD1を出力する。そして、システムコントローラ520は、TSオブジェクト源700からTSオブジェクトデータD1を取り込み(ステップS23)、そのファイルシステム/論理構造データ生成器521内のTS解析機能によって、例えば前述の如くビデオデータ等と共にパケット化されたPAT、PMT等に基づいて、TSオブジェクトデータD1におけるデータ配列(例えば、記録データ長等)、各エレメンタリーストリームの構成の解析(例えば、後述のES_PID(エレメンタリーストリーム・パケット識別番号)の理解)などを行う(ステップS24)。
続いて、システムコントローラ520は、取り込んだタイトル情報等のユーザ入力I2並びに、TSオブジェクトデータD1のデータ配列及び各エレメンタリーストリームの解析結果から、そのファイルシステム/論理構造データ生成器521によって、論理情報ファイルデータD4として、ディスク情報ファイル110、プレイリスト情報ファイル120、オブジェクト情報ファイル130及びファイルシステム105(図3参照)を作成する(ステップS25)。メモリ530は、このような論理情報ファイルデータD4を作成する際に用いられる。
尚、TSオブジェクトデータD1のデータ配列及び各エレメンタリーストリームの構成情報等についてのデータを予め用意しておく等のバリエーションは当然に種々考えられるが、それらも本実施形態の範囲内である。
図9において、フォーマッタ608は、TSオブジェクトデータD1と論理情報ファイルデータD4とを共に、光ディスク100上に格納するためのデータ配列フォーマットを行う装置である。より具体的には、フォーマッタ608は、スイッチSw1及びスイッチSw2を備えてなり、システムコントローラ520からのスイッチ制御信号Sc5によりスイッチング制御されて、TSオブジェクトデータD1のフォーマット時には、スイッチSw1を(1)側に接続して且つスイッチSw2を(1)側に接続して、TSオブジェクトデータ源700からのTSオブジェクトデータD1を出力する。尚、TSオブジェクトデータD1の送出制御については、システムコントローラ520からの制御信号Sc8により行われる。他方、フォーマッタ608は、論理情報ファイルデータD4のフォーマット時には、システムコントローラ520からのスイッチ制御信号Sc5によりスイッチング制御されて、スイッチSw2を(2)側に接続して、論理情報ファイルデータD4を出力するように構成されている。
図10のステップS26では、このように構成されたフォーマッタ608によるスイッチング制御によって、(i)ステップS25でファイルシステム/論理構
造データ生成器521からの論理情報ファイルデータD4又は(ii)TSオブジェクトデータ源700からのTSオブジェクトデータD1が、フォーマッタ608を介して出力される(ステップS26)。
フォーマッタ608からの選択出力は、ディスクイメージデータD5として変調器606に送出され、変調器606により変調されて、光ピックアップ502を介して光ディスク100上に記録される(ステップS27)。この際のディスク記録制御についても、システムコントローラ520により実行される。
そして、ステップS25で生成された論理情報ファイルデータD4と、これに対応するTSオブジェクトデータD2とが共に記録済みでなければ、ステップS26に戻って、その記録を引き続いて行う(ステップS28:No)。尚、論理情報ファイルデータD4とこれに対応するTSオブジェクトデータD2との記録順についてはどちらが先でも後でもよい。
他方、これら両方共に記録済みであれば、光ディスク100に対する記録を終了すべきか否かを終了コマンドの有無等に基づき判定し(ステップS29)、終了すべきでない場合には(ステップS29:No)ステップS21に戻って記録処理を続ける。他方、終了すべき場合には(ステップS29:Yes)、一連の記録処理を終了する。
以上のように、情報記録再生装置500により、作成済みのTSオブジェクトを使用する場合における記録処理が行われる。
尚、図10に示した例では、ステップS25で論理情報ファイルデータD4を作成した後に、ステップS26で論理情報ファイルデータD4とこれに対応するTSオブジェクトデータD2とのデータ出力を実行しているが、ステップS25以前に、TSオブジェクトデータD2の出力や光ディスク100上への記録を実行しておき、この記録後に或いはこの記録と並行して、論理情報ファイルデータD4を生成や記録することも可能である。
(i−2) 放送中のトランスポートストリームを受信して記録する場合:
この場合について図9及び図11を参照して説明する。尚、図11において、図10と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
この場合も、上述の「作成済みのTSオブジェクトを使用する場合」とほぼ同様な処理が行われる。従って、これと異なる点を中心に以下説明する。
放送中のトランスポートストリームを受信して記録する場合には、TSオブジェクトデータ源700は、例えば放送中のデジタル放送を受信する受信器(セットトップボックス)からなり、TSオブジェクトデータD1を受信して、リアルタイムでフォーマッタ608に送出する(ステップS41)。これと同時に、受信時に解読された番組構成情報及び後述のES_PID情報を含む受信情報D3(即ち、受信器とシステムコントローラ520のインタフェースとを介して送り込まれるデータに相当する情報)がシステムコントローラ520に取り込まれ、メモリ530に格納される(ステップS44)。
一方で、フォーマッタ608に出力されたTSオブジェクトデータD1は、フォーマッタ608のスイッチング制御により変調器606に出力され(ステップS42)、光ディク100に記録される(ステップS43)。
これらと並行して、受信時に取り込まれてメモリ530に格納されている受信情報D3に含まれる番組構成情報及びES_PID情報を用いて、ファイルシステム/論理構造生成器521により論理情報ファイルデータD4を作成する(ステップS24及びステップS25)。そして一連のTSオブジェクトデータD1の記録終了後に、この論理情報ファイルデータD4を光ディスク100に追加記録する(ステップS46及びS47)。尚、これらステップS24及びS25の処理についても、ステップS43の終了後に行ってもよい。
更に、必要に応じて(例えばタイトルの一部を編集する場合など)、ユーザインタフェース720からのタイトル情報等のユーザ入力I2を、メモリ530に格納されていた番組構成情報及びES_PID情報に加えることで、システムコントローラ520により論理情報ファイルデータD4を作成し、これを光ディスク100に追加記録してもよい。
以上のように、情報記録再生装置500により、放送中のトランスポートストリームを受信してリアルタイムに記録する場合における記録処理が行われる。
尚、放送時の全受信データをアーカイブ装置に一旦格納した後に、これをTSオブジェクト源700として用いれば、上述した「作成済みのTSオブジェクトを使用する場合」と同様な処理で足りる。
(i−3) ビデオ、オーディオ及びサブピクチャデータを記録する場合:
この場合について図9及び図12を参照して説明する。尚、図12において、図10と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
予め別々に用意したビデオデータ、オーディオデータ及びサブピクチャデータを記録する場合には、ビデオデータ源711、オーディオデータ源712及びサブピクチャデータ源713は夫々、例えばビデオテープ、メモリ等の記録ストレージからなり、ビデオデータDV、オーディオデータDA及びサブピクチャデータDSを夫々格納する。
これらのデータ源は、システムコントローラ520からの、データ読み出しを指示する制御信号Sc8による制御を受けて、ビデオデータDV、オーディオデータDA及びサブピクチャデータDSを夫々、ビデオエンコーダ611、オーディオエンコーダ612及びサブピクチャエンコーダ613に送出する(ステップS61)。そして、これらのビデオエンコーダ611、オーディオエンコーダ612及びサブピクチャエンコーダ613により、所定種類のエンコード処理を実行する(ステップS62)。
TSオブジェクト生成器610は、システムコントローラ520からの制御信号Sc6による制御を受けて、このようにエンコードされたデータを、トランスポートストリームをなすTSオブジェクトデータに変換する(ステップS63)。この際、各TSオブジェクトデータのデータ配列情報(例えば記録データ長等)や各エレメンタリーストリームの構成情報(例えば、後述のES_PID等)は、TSオブジェクト生成器610から情報I6としてシステムコントローラ520に送出され、メモリ530に格納される(ステップS66)。
他方、TSオブジェクト生成器610により生成されたTSオブジェクトデータは、フォーマッタ608のスイッチSw1の(2)側に送出される。即ち、フォーマッタ608は、TSオブジェクト生成器610からのTSオブジェクトデータのフォーマット時には、システムコントローラ520からのスイッチ制御信号Sc5によりスイッチング制御されて、スイッチSw1を(2)側にし且つスイッチSw2を(1)側に接続することで、当該TSオブジェクトデータを出力する(ステップS64)。続いて、このTSオブジェクトデータは、変調器606を介して、光ディク100に記録される(ステップS65)。
これらと並行して、情報I6としてメモリ530に取り込まれた各TSオブジェクトデータのデータ配列情報や各エレメンタリーストリームの構成情報を用いて、ファイルシステム/論理構造生成器521により論理情報ファイルデータD4を作成する(ステップS24及びステップS25)。そして一連のTSオブジェクトデータD1の記録終了後に、これを光ディスク100に追加記録する(ステップS67及びS68)。尚、ステップS24及びS25の処理についても、ステップS65の終了後に行うようにしてもよい。
更に、必要に応じて(例えばタイトルの一部を編集する場合など)、ユーザインタフェース720からのタイトル情報等のユーザ入力I2を、これらのメモリ530に格納されていた情報に加えることで、ファイルシステム/論理構造生成器521により論理情報ファイルデータD4を作成し、これを光ディスク100に追加記録してもよい。
以上のように、情報記録再生装置500により、予め別々に用意したビデオデータ、オーディオデータ及びサブピクチャデータを記録する場合における記録処理が行われる。
尚、この記録処理は、ユーザの所有する任意のコンテンツを記録する際にも応用可能である。
(i−4) オーサリングによりデータを記録する場合:
この場合について図9及び図13を参照して説明する。尚、図13において、図10と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
この場合は、上述した三つの場合における記録処理を組み合わせることにより、予めオーサリングシステムが、TSオブジェクトの生成、論理情報ファイルデータの生成等を行った後(ステップS81)、フォーマッタ608で行うスイッチング制御の処理までを終了させる(ステップS82)。その後、この作業により得られた情報を、ディスク原盤カッティングマシン前後に装備された変調器606に、ディスクイメージデータD5として送出し(ステップS83)、このカッティングマシンにより原盤作成を行う(ステップS84)。
本実施形態では特に、以上図9から図13を参照して説明した、いずれの記録処理の場合においても、更に異なる再生手順による別タイトル200を新たに追加する場合には、前述したタイトルプレイリスト115(図8参照)を、それに関連する他の論理情報と共に、ユーザインタフェース720によって、タイトル情報等のユーザ入力I2の一部として、システムコントローラ520に取り込む。そして、上述の記録手順と同様に、取り込まれたタイトル情報等のユーザ入力I2、TSオブジェクト142のデータ配列及び各エレメンタリーストリームの解析結果に基づいて、ファイルシステム/論理構造データ生成器521によって、新たなタイトルプレイリスト115を含むディスク情報ファイル110に対応する論理情報ファイルデータD4を生成し、これをフォーマッタ608に出力すればよい。この際仮に、新たなプレイリスト126の作成が必要であれば、プレイリスト情報ファイル120或いはオブジェクト情報ファイル130についても新規に追加し、論理情報ファイルデータD4を生成すればよい。その後の記録手順については、いずれの記録処理の場合にも上記同様である。
(ii) 再生系の構成及び動作:
次に図9及び図14を参照して、情報記録再生装置500のうち再生系を構成する各構成要素における具体的な構成及びそれらの動作を説明する。
ユーザインタフェース720によって、光ディスク100から再生すべきタイトルやその再生条件等が、タイトル情報等のユーザ入力I2としてシステムコントローラに入力される。この際、ユーザインタフェース720では、システムコントローラ520からの制御信号Sc4による制御を受けて、例えばタイトルメニュー画面を介しての選択など、再生しようとする内容に応じた入力処理が可能とされている。
これを受けて、システムコントローラ520は、光ディスク100に対するディスク再生制御を行い、光ピックアップ502は、読み取り信号S7を復調器506に送出する。
復調器506は、この読み取り信号S7から光ディスク100に記録された記録信号を復調し、復調データD8として出力する。この復調データD8に含まれる、多重化されていない情報部分としての論理情報ファイルデータ(即ち、図3に示したファイルシステム105、ディスク情報ファイル110、Pリスト情報ファイル120及びオブジェクト情報ファイル130)は、システムコントローラ520に供給される。この論理情報ファイルデータに基づいて、システムコントローラ520は、再生アドレスの決定処理、光ピックアップ502の制御等の各種再生制御を実行する。
他方、復調データD8に含まれる、多重化された情報部分としてのTSオブジェクトデータについては、デマルチプレクサ508が、システムコントローラ520からの制御信号Sc2による制御を受けてデマルチプレクスする。ここでは、システムコントローラ520の再生制御によって再生位置アドレスへのアクセスが終了した際に、デマルチプレクスを開始させるように制御信号Sc2を送信する。
デマルチプレクサ508からは、ビデオパケット、オーディオパケット及びサブピクチャパケットが夫々送出されて、ビデオデコーダ511、オーディオデコーダ512及びサブピクチャデコーダ513に供給される。そして、ビデオデータDV、オーディオデータDA及びサブピクチャデータDSが夫々復号化される。
尚、図6に示したトランスポートストリームに含まれる、PAT或いはPMTがパケット化されたパケットについては夫々、復調データD8の一部として含まれているが、デマルチプレクサ508で破棄される。
加算器514は、システムコントローラ520からのミキシングを指示する制御信号Sc3による制御を受けて、ビデオデコーダ511及びサブピクチャデコーダ513で夫々復号化されたビデオデータDV及びサブピクチャデータDSを、所定タイミングでミキシング或いはスーパーインポーズする。その結果は、ビデオ出力として、当該情報記録再生装置500から例えばテレビモニタへ出力される。
他方、オーディオデコーダ512で復号化されたオーディオデータDAは、オーディオ出力として、当該情報記録再生装置500から、例えば外部スピーカへ出力される。
ここで、図14を参照して、システムコントローラ520による再生処理ルーチンの具体例について説明する。
図14において、初期状態として、再生系による光ディスク100の認識、ファイルシステム105(図3参照)によるボリューム構造やファイル構造の認識は既にシステムコントローラ520及びその内のファイルシステム/論理構造判読器522にて終了しているものとする。ここでは、ディスク情報ファイル110の中のディスク総合情報112から、総タイトル数を取得し、その中の一つのタイトルを選択した以降の処理フローについて説明する。
先ず、ユーザインタフェース720によって、タイトル200の選択が行われ(ステップS11)、ファイルシステム/論理構造判読器522の判読結果から、システムコントローラ520による再生シーケンスに関する情報の取得が行われる。具体的には、論理階層の処理として、選択されたタイトル200を構成する一又は複数のタイトルプレイリスト115並びにこれにより指定される一又は複数のプレイリスト126及び更にこれを構成するアイテム204(図7参照)の取得が行われる(ステップS12)。
続いて、ステップS12で取得したタイトルプレイリスト115のうち、最初に或いは次に再生すべきタイトルプレイリスト115(例えば、タイトルプレイリスト#1)の内容を取得する(ステップS13)。
次に、ステップS13で取得したタイトルプレイリスト115が含むプリコマンド116を実行する(ステップS14)。
続いて、ステップS13で取得されたタイトルプレイリスト115により指定されるプレイリスト126に基づいて、最初に或いは次に再生すべきアイテム204の該当TSオブジェクト142にアクセスする(ステップS15)。本実施形態では特に、後述するAU(アソシエートユニット)情報132I及びPU(プレゼンテーションユニット)情報302Iも、オブジェクト情報ファイル130に格納された情報として取得され、これらにより、前述した論理階層からオブジェク階層への関連付け(図7参照)が行われる。
続いて、ステップS15でアクセスしたTSオブジェクト142の再生を実行する(ステップS16)。
次に、ステップS13で取得されたタイトルプレイリスト115により指定されるプレイリスト126に基づいて、再生すべき次のアイテム(Nextアイテム)が存在するか否かを判定する(ステップS17)。ここで存在すれば(ステップS17:Yes)、ステップS15に戻って、ステップS15〜S17の処理を繰り返して行う。他方、ステップS17で次のアイテムが存在しなければ(ステップS17:No)、ステップS13で取得されたタイトルプレイリスト115に含まれるポストコマンド117を実行する(ステップS18)。
次に、ステップS12で取得されたタイトルプレイリスト115中に、再生すべき次のタイトルプレイリスト(NextタイトルPリスト)が存在するか否かを判定する(ステップS19)。ここで存在すれば(ステップS19:Yes)、ステップS13に戻って、ステップS13〜S19の処理を繰り返して行う。例えば分岐型タイトル(図8(d)参照)の場合には、ステップS18におけるポストコマンド117の実行後に分岐場所が定まるので、ステップS19における判定が実行可能となる。他方、ステップS19で次のタイトルプレイリストが存在しなければ(ステップS19:No)、一連の再生処理を終了する。
尚、本実施形態では、ステップS12におけるタイトル200を構成するタイトルプレイリスト115の内容の取得と、ステップS13における再生すべきタイトルプレイリスト115の内容の取得とを分けて実行しているが、ステップS13における取得をステップS12における取得とまとめて実行してもよい。
(再生時のアクセスの流れ)
次に図15を参照して、本実施形態における一の特徴であるタイトルプレイリスト115(タイトルPリスト#1〜#m)及びプレイリスト126(Pリスト#1〜#n)を用いると共に、AU(アソシエートユニット)情報132I及び
PU(プレゼンテーションユニット)情報302Iを用いた情報記録再生装置5
00における再生時のアクセスの流れについて、光ディスク100の論理構造と共に説明する。ここに図15は、光ディスク100の論理構造との関係で、再生時におけるアクセスの流れ全体を概念的に示すものである。
図15において、光ディスク100の論理構造は、論理階層401、オブジェクト階層403及びこれら両階層を相互に関連付ける論理−オブジェクト関連付け階層402という三つの階層に大別される。
これらのうち論理階層401は、再生時に所望のタイトルを再生するための各種論理情報と再生すべきプレイリスト及びその構成内容とを論理的に特定する階層である。論理階層401には、光ディスク100上の全タイトル200等を示すディスク情報110dが、ディスク情報ファイル110(図3参照)内に記述されており、更に、光ディスク100上の全コンテンツの再生シーケンス情報120dが、プレイリスト情報ファイル120(図3参照)内に記述されている。より具体的には、ディスク情報110dとして、各タイトル200を構成する一又は複数のタイトルプレイリスト115の構成が、タイトル200別にタイトル情報テーブル114(図3参照)の一部として記述されている。更に、再生シーケンス情報120dとして、タイトルプレイリスト115によりプレイリスト番号が指定される、一又は複数のプレイリスト126の構成が記述されている。そして、各プレイリスト126には、一又は複数のアイテム204の構成が記述されている。そして、再生時におけるアクセスの際に、このような論理階層401によって、再生すべきタイトル200を特定し、これを構成するタイトルプレイリスト115を特定し、これによりタイトル200に対応するプレイリスト126並びに前述のプリコマンド116及びポストコマンド117(図8参照)を特定し、更にこのプレイリスト126に対応するアイテム204を特定する。
従って、本実施形態によれば、同一プレイリスト126を複数のタイトルプレイリスト115により指定することで、同一プレイリスト126を用いて各種タイトル200を論理階層401に構築できる。更に、同一プレイリスト126を前述の如く異なるプリコマンド116や異なるポストコマンド117と組み合わせてタイトルプレイリスト115とすることでも、同一プレイリスト126を用いて各種タイトル200を論理階層401に構築できる。
尚、このようなタイトルプレイリスト115を格納するディスク情報ファイル110、プレイリスト126を格納するプレイリスト情報ファイル120等の、より具体的なデータ構成については、後に図17から図21を参照して説明する。
続いて、論理−オブジェクト関連付け階層402は、このように論理階層401で特定された情報に基づいて、実体データであるTSオブジェクトデータ140dの組み合わせや構成の特定を行うと共に論理階層401からオブジェクト階層403へのアドレス変換を行うように、再生すべきTSオブジェクトデータ140dの属性とその物理的な格納アドレスとを特定する階層である。より具体的には、論理−オブジェクト関連付け階層402には、各アイテム204を構成するコンテンツの固まりをAU132という単位に分類し且つ各AU132をPU302という単位に細分類するオブジェクト情報データ130dが、オブジェクト情報ファイル130(図3参照)に記述されている。
ここで、「PU(プレゼンテーションユニット)302」とは、複数のエレメンタリーストリームを、再生切り替え単位ごとに関連付けてまとめた単位である。例えば“マルチビジョン型タイトル”の各ビジョン毎のエレメンタリーストリームパケットID(ES_PID)等をまとめた単位である。仮に、このPU302中にオーディオストリームが3本存在すれば、このビジョンを再生中には、ユーザが自由に3本のオーディオ(例えば、言語別オーディオなど)を切り替えることも可能である。
他方、「AU(アソシエーションユニット)132」とは、一つのタイトルで使用するTSオブジェクト中の、ビデオストリームなどのエレメンタリーストリームを複数まとめた単位であり、一又は複数のPU302の集合からなる。より具体的には、PU302を介して間接的に、エレメンタリーストリームパケットID(ES_PID)を各TSオブジェクト毎にまとめた単位である。このAU132は、例えば多元放送における相互に切り替え可能な複数の番組或いは複数のプログラムなど、コンテンツから考えて相互に特定関係を有する複数の番組或いは複数のプログラムなどの集合に対応している。そして、PU302は、同一AU132に属しており、再生時にユーザ操作により相互に切り替え可能な複数の番組或いは複数のプログラムを夫々構成する一又は複数のエレメンタリーストリームの集合に対応している。
従って、再生すべきAU132が特定され、更にPU302が特定されれば、再生すべきエレメンタリーストリームが特定される。即ち、図6に示したPATやPMTを用いないでも、光ディスク100から多重記録された中から所望のエレメンタリーストリームを再生可能となる。
尚、このようなAU132及びPU302を夫々定義する、AU情報132I及びPU情報302Iのより具体的なデータ構成については、後に図22を参照して説明する。
ここで実際に再生されるエレメンタリーストリームは、PU情報302Iから、エレメンタリーストリームのパケットID(図6参照)であるES_PIDによって特定或いは指定される。同時に、再生の開始時間及び終了時間を示す情報が、エレメンタリーストリームのアドレス情報に変換されることにより、特定エレメンタリーストリームの特定領域(或いは特定時間範囲)におけるコンテンツが再生されることになる。
このようにして論理−オブジェクト関連付け階層402では、各アイテム204に係る論理アドレスから各PU302に係る物理アドレスへのアドレス変換が実行される。
続いて、オブジェクト階層403は、実際のTSオブジェクトデータ140dを再生するための物理的な階層である。オブジェクト階層403には、TSオブジェクトデータ140dが、オブジェクトデータファイル140(図3参照)内に記述されている。より具体的には、複数のエレメンタリーストリーム(ES)を構成するTSパケット146が時刻毎に多重化されており、これらが時間軸に沿って配列されることにより、複数のエレメンタリーストリームが構成されている(図5参照)。そして、各時刻で多重化された複数のTSパケットは、エレメンタリーストリーム毎に、論理−オブジェクト関連付け階層402で特定されるPU302に対応付けられている。尚、複数のPU302と、一つのエレメンタリーストリームとを関連付けること(例えば、切り替え可能な複数の番組間或いは複数のプログラム間で、同一のオーディオデータに係るエレメンタリーストリームを共通で利用したり、同一のサブピクチャデータに係るエレメンタリーストリームを共通で利用すること)も可能である。
このようにオブジェクト階層403では、論理−オブジェクト関連付け階層402における変換により得られた物理アドレスを用いての、実際のオブジェクトデータの再生が実行される。
以上のように図15に示した三つの階層により、光ディスク100に対する再生時におけるアクセスが実行される。
(iii) 編集時における動作:
次に図16を参照して、図9に示した情報記録再生装置500の編集時における動作について説明する。
ここでは、前提条件として、タイトル200は、タイトルプレイリスト#1及び#2から構成されたシーケンシャル型のタイトル(図8(c)参照)として完成しているものとする。即ち、光ディスク100上に記録される特定のタイトル200に関するTSオブジェクト142も、これに対応する全ての論理情報も完成しているものとする。そして、この前提条件下で、タイトルプレイリスト#3を、図8(c)に示した具体例と同様にこのタイトル200の2番目に再生するタイトルプレイリスト115として追加する編集処理を例にとり説明する。更に、この際追加するタイトルプレイリスト#3で使用するプレイリスト126及びその再生すべきTSオブジェクト142は、既に光ディスク100上の他のタイトル200(例えば、図8(d)で示した如き本実施形態における分岐型タイトル)で使用されているもの、即ち、既に光ディスク100上に存在するものと仮定する。
先ず、ユーザインタフェース720によって、編集内容の入力が行われる(ステップS91)。具体的には、タイトル200の2番目のタイトルプレイリスト115としてタイトルプレイリスト#3の追加内容を入力する。そして、システムコントローラ520は、この追加内容を取り込む。
次に、ファイルシステム/論理構造データ生成器521によって、ステップS91で取り込まれた追加内容に基づいて、タイトルプレイリスト#3を生成する(ステップS92)。具体的には、タイトルプレイリスト#3で使用するプレイリスト126のプレイリスト番号、並びにこれに対して必要なプリコマンド116及びポストコマンド117を生成し、更にその他の情報を生成する。この際、ポストコマンド117は、対応するプレイリスト126の再生後における分岐先をタイトルプレイリスト#2とするように生成される。
続いて、ファイルシステム/論理構造データ生成器521によって、ステップS91で取り込まれた追加内容に基づいて、タイトルプレイリスト#1及び#2を修正する(ステップS93)。具体的には、タイトルプレイリスト#2で使用するプレイリスト126に対して必要なプリコマンド116及びポストコマンド117を生成し、更にその他の情報を生成する。この際、ポストコマンド117は、対応するプレイリスト126の再生後における分岐先が無いように生成される。また、プレイリスト126自体に修正を施す必要は無い。同様にタイトルプレイリスト#1のポストコマンド117も、対応するプレイリスト126の再生後における分岐先をタイトルプレイスト#3とするように修正する。
上述のステップS92及びS93の処理は、順序が逆であってもかまわない。これらの処理によって、ディスク情報ファイル110に格納されるタイトル情報テーブル114の編集が完了する。
更に、ファイルシステム/論理構造データ生成器521によって、ステップS91で生成されたタイトルプレイリスト#3及びS92で修正されたタイトルプレイリスト#3に応じて、ディスク総合情報112、その他の情報118等のディスク情報ファイル110内における関連する情報を全て修正する(ステップS94)。
続いて、ファイルシステム/論理構造データ生成器521によって、ディスク情報ファイル110の修正に応じて、ファイルシステム105を修正する(ステップS95)。
その後、システムコントローラ520による制御下で、光ディスク100上に上述した全ての情報を追加記述して(ステップS96)、一連の編集処理を終了する。
以上説明したように実施形態によれば、タイトルリスト126自体を生成或いは修正することなく、タイトルプレイリスト115を生成或いは修正することで、タイトル200を編集できるので、全体として効率的な編集処理が可能となる。加えてこのように編集することによって、同一タイトルリスト126を重複して記録しないで済むので、光ディスク100の記録容量を節約でき、更に再生処理の効率化を図ることも可能となる。
(各情報ファイルの構造)
次に図17から図22を参照して、本実施形態の光ディスク100上に構築される各種情報ファイル、即ち図3を参照して説明した(1)ディスク情報ファイル110、(2)プレイリスト情報ファイル120及び(3)オブジェクト情報ファイル130のデータ構造について、各々具体例を挙げて説明する。
(1) ディスク情報ファイル:
先ず図17から図20を参照して、ディスク情報ファイル110について具体例を挙げて詳細に説明する。ここに図17及び図18は夫々、ディスク情報ファイルのデータ構成の具体例を図式的に示すものであり、図19及び図20は夫々、ディスク情報ファイル内に構築されるコマンドテーブルの具体例を図式的に示すものである。
図17に示すように本具体例では、ディスク情報ファイル110には、ディスク総合情報112、タイトル情報テーブル114及びその他の情報118が格納されている。
このうちディスク総合情報112は、例えば複数の光ディスク100で構成されるシリーズものの通し番号を示すディスクボリューム情報や、総タイトル数情報などの総合的なディスク情報である。
タイトル情報テーブル114は、各タイトルを構成する全タイトルプレイリスト115と、各タイトルプレイリスト115の再生前及び再生後に夫々実行すべきプリコマンド116及びポストコマンド117が記述されたコマンドテーブル、並びにその他の例えばタイトル毎の情報としてタイトル内のチャプタ情報等が格納されており、タイトルポインタ情報、タイトル#1情報、タイトル#2情報、…を含んでなる。ここに「タイトルポインタ情報」とは、タイトル#n情報の格納アドレス情報、即ち図17中の矢印で対応関係を示したように、タイトル情報テーブル114内におけるタイトル#n情報の格納位置を示す格納アドレス情報であり、相対論理アドレスで記述される。そして、光ディスク100内におけるタイトル数分が、相対論理アドレスとしてタイトル順に並べられている。尚、このような格納アドレス情報各々のデータ量は、固定バイトであってもよいし、可変バイトであってもよい。
また、その他の情報118とは、例えば図8を参照して既に説明したシーケンシャル型や分岐型等のタイトルの種類や総合プレイリスト数等の各タイトルに関する情報などである。
次に、図18に、ディスク情報ファイルの他の具体例を示す。
図18において、ディスク情報ファイル110’は、図8(b)に示した「1タイトルプレイリスト型」のタイトル200をタイトル#1情報により記述し、図8(c)に示した「シーケンシャル型」のタイトル200をタイトル#2情報により記述し、図8(d)に示した、「分岐型」のタイトル200をタイトル#3情報により記述した具体例である。ディスク情報ファイル110’における基本構造は、図17に示したものと同様であり、ディスク総合情報112、タイトル情報テーブル114及びその他の情報118が格納されている。
そして本具体例では特に、1タイトルプレイリスト型のタイトル#1情報は、一つのタイトルプレイリスト115(タイトルPリスト#1)から構成されている。
シーケンシャル型のタイトル#2情報は、三つのタイトルプレイリスト115(タイトルPリスト#1〜#3)から構成されている。ここでのタイトルプレイリスト番号は、タイトルプレイリスト115の再生順と同じであってもよいし、違っていてもよい。
分岐型のタイトル#3情報は、六つのタイトルプレイリスト115(タイトルPリスト#1〜#6)から構成されている。ここでの先頭のタイトルプレイリスト#1以外のタイトルリスト番号は特に再生順に対する意味を持たない。つまり分岐型のタイトルの場合には、タイトルプレイリスト115の並び順は、先頭のタイトルプレイリスト115以外は任意である。従って、タイトルの再構築処理或いは編集処理等においてプレイリストを追加する場合にも、単にそのタイトルプレイリスト番号を最後に追加するだけで足り、その際に、必要に応じてタイトル#n情報中の各コマンドテーブルに変更を加えればよい。
以上のように構成された三つのタイトル#1情報、タイトル#2情報及びタイトル#3情報が、ディスク情報ファイル110’内にタイトル別のテーブル形式で、タイトル情報テーブル114として格納されている。
次に、図19及び図20を参照して、コマンドテーブルの二つの具体例について説明する。
図19に示す具体例では、コマンドテーブル115Tは、コマンドポインタ115P、プリコマンドテーブル116T及びポストコマンドテーブル117Tの三つのフィールドを含んで構成されている。
コマンドポインタ115Pには、図19中で矢印で対応関係を示すように、プリコマンドテーブル116T及びポストコマンドテーブル117Tの開始アドレスが相対アドレスとして夫々記述されており、更に総プリコマンド数(総Preコマンド数)及び総ポストコマンド数(総Postコマンド数)が記述されている。コマンドポインタ115Pによりアドレスが指定されるプリコマンドテーブル116Tには、コマンド群をなす複数のプリコマンド116(プリコマンド#1、#2、…)として、例えば夫々2バイト程度の命令文が記述されている。他方、コマンドポインタ115Pによりアドレスが指定されるポストコマンドテーブル117Tには、コマンド群をなす複数のポストコマンド117(ポストコマンド#1、#2、…)として、例えば夫々2バイト程度の命令文が記述されている。
図20に示す具体例では、コマンドテーブル115T’は、コマンドポインタ115P”、プリコマンドポインタ116P、ポストコマンドポインタ117P及びコマンドテーブル115T”の四つのフィールドを含んで構成されている。
コマンドポインタ115P”には、図20中で矢印で対応関係を示すように、プリコマンドポインタ116P、ポストコマンドポインタ117P及びコマンドテーブル115T”の開始アドレスが相対アドレスとして夫々記述されており、更に総プリコマンドポインタ数(総Preコマンド数)及び総ポストコマンドポインタ数(総Postコマンド数)が記述されている。コマンドポインタ115P”によりアドレスが指定されるプリコマンドポインタ116Pには、プリコマンド116として使用するコマンドのコマンドテーブル115T”中におけるコマンド番号(例えば、コマンド#3など)が、記述されている。他方、コマンドポインタ115P”によりアドレスが指定されるポストコマンドポインタ117Pには、ポストコマンド117として使用するコマンドのコマンドテーブル115T”中におけるコマンド番号(例えば、コマンド#4など)が、記述されている。そして、これらプリコマンドポインタ116P又はポストコマンドポインタ117Pによりコマンド番号が指定されるコマンドテーブル115T”には、プリコマンド116又はポストコマンド117として使用されるコマンドとして、例えば夫々2バイト程度の命令文が記述されている。
尚、図20に示した具体例において、コマンドテーブル115T”を、プリコマンド用及びポストコマンド用の二つに分けることも可能である。
(2) プレイリスト情報ファイル:
次に図21を参照して、プレイリスト情報ファイル120について一具体例を挙げて詳細に説明する。ここに図21は、プレイリスト情報ファイル120内に構築されるプレイリスト情報テーブル(table)121におけるデータ構成の一具体例を図式的に示すものである。
図21に示すように本具体例では、プレイリスト情報ファイル120内には、フィールド(Field)別に、プレイリスト総合情報122、プレイリストポインタテーブル124及びプレイリスト#i情報テーブル126(但し、i=1、2,3,4)が、プレイリスト情報テーブル121(図3参照)として格納されている。
各フィールドは、必要な個数分の各テーブルを追加可能な構造を有してもよい。例えば、プレイリストが10個存在すれば、該当フォールドが10個に増える構造を有してもよく、これはアイテム情報テーブルについても同様である。
尚、本具体例では、各プレイリスト#1〜#4を構成するアイテムの総数は夫々、3個、1個、2個及び1個としている。
これらのうち、プレイリスト総合情報(Pリスト総合情報)122には、当該プレイリストテーブルのサイズやその他、総プレイリスト数等が記述される。
プレイリストポインタテーブル(Pリストポインタtable)124には、各プレイリストポインタ(Pリスト#1ポインタ〜Pリスト#4ポインタ)によって、各プレイリスト情報の格納アドレスが記述されている。
プレイリスト#1情報テーブル(Pリスト#1情報table)126には、プレイリスト#1に関する総合情報、プレイリスト#1のアイテム情報テーブル(PリストItem情報Table)及びその他の情報が格納されている。プレイリスト#2情報テーブル126、プレイリスト#3情報テーブル126及びプレイリスト#3情報テーブル126についても夫々、プレイリスト#2、#3及び#4に係る同種の情報が記述されている。
「アイテム情報テーブル(Item情報table)」には、一つのプレイリストを構成する全アイテム数分のアイテム情報が格納される。ここで、「アイテム#1(Item#1情報)」或いは「アイテム#2(Item#2情報)」に記述されるAU(アソシエートユニット)テーブル内のAU番号とは、当該アイテム再生に使用するTSオブジェクトのアドレスや当該アイテム再生に使用するTSオブジェクト中の各エレメンタリーストリーム(即ち、ビデオストリーム、オーディオストリーム又はサブピクチャストリーム)を特定するための情報を格納したAUの番号である。
以上図17〜図21を参照して説明したように本実施形態では、タイトル200は、一つ以上のタイトルプレイリスト115から構成されている。そして、一つのタイトルプレイリスト115は、プリコマンド116及びポストコマンド117とその他の論理情報、並びに再生すべきアイテム204の集合であるプレイリスト126から構成されている。一つのタイトル#n情報には、全てのタイトルプレイリスト115が格納されており、一つのタイトルプレイリスト115が指定するプレイリスト番号とは、プレイリスト情報ファイル120中に格納されたプレイリスト番号である。
(3) オブジェクト情報ファイル:
次に図22を参照して、オブジェクト情報ファイル130について一具体例を挙げて詳細に説明する。ここに図22は、オブジェクト情報ファイル130内に構築されるAU(アソシエートユニット)テーブル131(図3参照)及びこれに関連付けられるES(エレメンタリーストリーム)マップテーブル134(図3参照)におけるデータ構成の一具体例を図式的に示すものである。
図22に示すように本具体例では、オブジェクト情報ファイル130内には、オブジェクト情報テーブル(オブジェクト情報table)が格納されている。そして、このオブジェクト情報テーブルは、図中上段に示すAUテーブル131及び下段に示すESマップテーブル134から構成されている。
図22の上段において、AUテーブル131は、各フィールド(Field)が必要な個数分のテーブルを追加可能な構造を有してもよい。例えば、AUが4つ存在すれば、該当フォールドが4つに増える構造を有してもよい。
AUテーブル131には、別フィールド(Field)に、AUの数、各AUへのポインタなどが記述される「AUテーブル総合情報」と、「その他の情報」とが格納されている。
そして、AUテーブル131内には、各AU#nに対応する各PU#mにおけるESテーブルインデックス#m(ES_table Index #m)を示すAU情報132Iとして、対応するESマップテーブル134のインデックス番号(Index番号=…)が記述されてる。ここで「AU」とは、前述の如く例えばテレビ放送でいうところの“番組”に相当する単位(特に、“マルチビジョン型”の放送の場合には、切り替え可能な複数の“ビジョン”を一まとめとした単位)であり、この中に再生単位であるPUが一つ以上含まれている。また、「PU」とは、前述の如く各AU内に含まれる相互に切り替え可能なエレメンタリーストリームの集合であり、PU情報302Iにより各PUに対応するESテーブルインデックス#が特定されている。例えば、AUでマルチビューコンテンツを構成する場合、AU内には、複数のPUが格納されていて、夫々のPU内には、各ビューのコンテンツを構成するパケットを示す複数のエレメンタリーストリームパケットIDへのポインタが格納されている。これは後述するESマップテーブル134内のインデックス番号を示している。
図22の下段において、ESマップテーブル134には、フィールド(Field)別に、ESマップテーブル総合情報(ES_map table総合情報)と、複数のインデックス#m(m=1,2,…)と、「その他の情報」とが格納されている。
「ESマップテーブル総合情報」には、当該ESマップテーブルのサイズや、総インデックス数等が記述される。
そして「インデックス#m」は夫々、再生に使用される全エレメンタリーストリームのエレメンタリーストリームパケットID(ES_PID)と、それに対応するインデックス番号及びエレメンタリーストリームのアドレス情報を含んで構成されている。
このように構成されているため、AUテーブル131から指定されたESマップ134のインデックス番号から、実際のエレメンタリーストリームのエレメンタリーストリームパケットID(ES_PID)が取得可能となる。また、そのエレメンタリーストリームパケットIDに対応するエレメンタリーストリームのアドレス情報も同時に取得可能であるため、これらの情報を元にしてオブジェクトデータの再生が可能となる。
以上図1から図22を参照して詳細に説明したように、本実施形態では、一つのタイトルプレイリスト115に、プリコマンド116及びポストコマンド117並びに再生すべきアイテム204の集合であるプレイリストの番号を記述し、ディスク情報ファイル110内に格納する。他方で、プレイリスト自体については、プレイリスト情報ファイル120に別途格納する。従って、同一プレイリスト115に対して、異なる再生条件或いは分岐条件を付加する場合にも、単に新たなタイトルプレイリスト115を付加したタイトル#n情報を追加することによって、容易に異なるタイトル200を論理的に構築できる。この際、プレイリスト126を冗長的に記述しないことによって、プレイリスト126のデータ量を低減でき、光ディスク100上における記録容量の節約を図れる。
更に、このような利点は、例えばROM型メディア作成のためのオーサリング作業や、民生用記録器での編集作業に際しても有効であり、作成済みのTSオブジェクト142に対して、プレイリスト126を論理的に作成した後で、任意のプリコマンド116又はポストコマンド117若しくは再生条件等を追加する作業を極めて簡単に実行できるので大変有利である。
尚、上述の実施形態では、情報記録媒体の一例として光ディスク100並びに情報再生記録装置の一例として光ディスク100に係るレコーダ又はプレーヤについて説明したが、本発明は、光ディスク並びにそのレコーダ又はプレーヤに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種情報記録媒体並びにそのレコーダ又はプレーヤにも適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう情報記録媒体、情報記録装置及び方法、情報再生装置及び方法、情報記録再生装置及び方法、記録又は再生制御用のコンピュータプログラム、並びに制御信号を含むデータ構造もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。