JP3970384B2 - 植物生育促進作用を有する水耕栽培用生育促進剤 - Google Patents

植物生育促進作用を有する水耕栽培用生育促進剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は植物生育促進剤に関するものである。さらに詳細に述べると、水耕により栽培されている野菜や果実などの植物の生育を促進することにより、発根発芽を促進し、特に地下部の生理的活性を向上させ、収量を増加させ、また化学肥料や農薬の使用量の低減を可能にする水耕栽培用植物生育促進剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
90年代に入ってから養液栽培は急伸している。養液栽培は、土壌条件に左右されないこと、連作障害がおきにくいこと、作業労力の節減が可能なこと、根圏環境の制御性能が高いこと等の利点があり、また制御の仕方によっては作物の生育を調節することができること等が急伸の要因であると考えられる。その反面、作物の地下部が緩衝能の低い水中におかれるため、土耕に比較して温度、酸素量、水耕液中の栄養成分等の影響が敏感に現れる。これらの影響は、生育障害や病原菌による汚染等となって、作物の商品価値あるいは作物そのものを著しく損なう場合がある。これらの対応としては従来より、植物の生育に関しては化学肥料等が使用され、病害虫(予防も含む)に対しては有機合成農薬等が用いられる例が多い。(「養液栽培の実用技術」板木利隆、佐々木晧二、宇田川雄二共著、(財)農業電化協会)
【0003】
水耕栽培における作物の根は、水耕液中にあって、土壌による緩衝作用を遮断しているため、根は温室内気温等環境要因の影響を受けやすく、その結果、根からの病原菌の侵入や根の枯損等の障害を受けやすい。特に地下部障害は、水耕液を介して広まるために急速に被害が拡大するおそれがある。また、地下部障害においては、発病後有効な対策をとれないことが多いので、病原菌の侵入経路と考えられる資材や装置の消毒、通路の土面の遮断などの病原菌の侵入経路の予防に徹するほかないのが現状である。熱や紫外線照射、オゾン発生処理等によって水耕液を殺菌する試みも行われているが、水耕液の処理量が多いため費用などの問題があり、広く実用化には至っていない。
【0004】
また、水耕栽培における作物の根は水耕液中にあり、土壌による緩衝作用を遮断しているため、作物の生育時期や気象要因などにより水耕液成分の過不足化が起こった場合、土耕の場合よりも生理障害を発生させやすい。これらの生育障害には、カルシウムや鉄、マグネシウム等のミネラルの不足が原因となっている場合がある。(「養液栽培の実用技術」板木利隆、佐々木晧二、宇田川雄二共著、(財)農業電化協会)
【0005】
現行の水耕栽培システムでは、水耕液にいったん病原菌が侵入すると急速に全体に蔓延する可能性があること、根からの分泌物などが植物の生育を阻害するおそれがあることなどの対策として溶液を2〜3ケ月で全面更新することが行われているが、環境上の問題が指摘されている。河川水の汚染が重大な問題となっているオランダでは、環境問題についての法的規制により、2000年までの汚染減少の基準が決められ、着々とクローズドシステムへの転換が行われている。各国でも、このような影響を受けて環境汚染の少ない水耕栽培をめざした検討が行われているのが現状である。(「養液栽培の実用技術」板木利隆、佐々木晧二、宇田川雄二共著、(財)農業電化協会)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、植物の生育を促進することにより、発根発芽を促進、地下部の生理的活性度の向上、収量増加を可能にし、また病害虫の発生を抑え、さらに容易かつ低コストで水耕栽培システムを実行するとを可能とする植物生育促進剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決するために研究した結果、ササからの抽出物あるいはその加工品が優れた植物生理活性促進効果を有し、その結果、発根発芽の促進、収量増加、化学肥料や農薬使用量の低減を可能にするという知見を得、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
本発明は、タケ科ササ属のササ中の葉緑素体の中心金属を鉄に置換し、アルカリ抽出した抽出液を中和してなる葉緑素体を含む抽出液を含有する水耕栽培用生育促進剤に関する
【0009】
また本発明は、タケ科ササ属のササ中の葉緑素体の中心金属を鉄に置換し、アルカリ抽出した葉緑素体を含む出液と、タケ科ササ属のササのアルカリ抽出液から析出分離して得られるケイ酸分を主成分とする抽出物とを含有する水耕栽培用生育促進剤に関する
【0010】
また本発明は、前記各本発明の水耕栽培用生育促進剤から選ばれたいずれかを添加することを特徴とする水耕栽培方法に関する。
また本発明は、発芽期、育苗期、収穫期などの植物の生育におけるいずれかの段階で前記各本発明の水耕栽培用生育促進剤から選ばれたいずれかを水耕液に添加することを特徴とする水耕栽培方法に関する。
また本発明は、発芽期、育苗期、収穫期などの植物の生育におけるいずれかの段階で前記各本発明の水耕栽培用生育促進剤から選ばれたいずれかを散布することを特徴とする水耕栽培方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明におけるササ抽出液やケイ酸分の原料となるササとはタケ科ササ属のササの葉及び茎を含む植物全体を意味している。
本発明において、水耕栽培用生育促進剤として使用されるササの抽出物は、ササをそのまま、あるいは乾燥、粉砕等の前処理を施した後、水抽出、熱水抽出、溶媒抽出、酵素処理抽出、微生物処理抽出、アルカリ抽出などの物理的、生物的または化学的な抽出方法を単独あるいは組み合わせることにより得られる抽出物である。
これらの抽出方法のうち、アルカリ抽出処理を行う場合には、得られた抽出液について、イオン交換樹脂あるいは酸の添加による中和を行い、植物に適したpHに調整することが望ましい。
【0012】
ササの葉緑素体の中心金属を鉄に置換した葉緑素体を含む抽出物は、そのままあるいは前処理を行ったササの葉緑素体の中心金属を鉄置換処理したものを、溶媒抽出、酵素処理抽出、アルカリ抽出処理などの抽出方法あるいはそれらを組み合わせて得られる抽出液、及び前記のそのままあるいは前処理を行ったササからの抽出液中の葉緑素体の中心金属を鉄置換処理をした抽出物の双方を意味している。この鉄置換された葉緑素体を含有する抽出物の場合も、アルカリ抽出処理によって得た抽出液については、イオン交換樹脂あるいは酸の添加による中和を行い、植物に対して使用するのに適したpHに調整することが望ましい。
【0013】
ササの葉緑素体の中心金属を鉄に置換した葉緑素体を含有する抽出物の一例として、クマザサを原料に用い、ササ中の葉緑素体を鉄に置換したものをアルカリ抽出し、さらにイオン交換樹脂で中和することにより得られるクマザサ抽出液(鉄置換品)の主な成分について表1に示す。クマザサ抽出液はミネラル成分、遊離アミノ酸、また、表には示していないが鉄クロロフィリンナトリウム、低級有機酸や糖質、リグニン等も含んでおり、バランスのとれた生育促進効果が得られる。
【0014】
【表1】
Figure 0003970384
【0015】
このようにして得られるササからの抽出物あるいはその加工品は、発芽期、育苗期、収穫期など、植物の生育におけるどの段階でも使用でき、優れた生育促進効果を得ることができる。また、ササからの抽出物あるいはその加工品は、各種有効成分を含み優れた生育促進効果を示すので、灌水液や浸漬液への添加や葉面散布剤等としての利用も可能である。
【0016】
水耕液への添加を考慮した場合、ササからアルカリ抽出処理により得られるササ抽出物は、有効成分のひとつであるクロロフィルが水溶性になっているため水耕液への添加が容易であるという利点がある。また、水溶性クロロフィルは、水溶性クロロフィルの中心金属であるマグネシウムを鉄に置換することによりさらに安定性が増すため、水耕液中でより安定的に効果の発揮することができる。これらの理由から、このササ抽出物(鉄置換品)は特に好ましい。
【0017】
本発明で使用するケイ酸分はササ中に含まれているケイ酸成分である。
ササの抽出液には、ササの葉緑素体の中心金属を鉄に置換した葉緑素体を含有する抽出物の場合も含めて、ササ中のケイ酸分が含まれている。このケイ酸分は抽出物のpH調整あるいは加熱等の処理によって抽出液から選択的に分離することができる。本発明では、このササ抽出液から分離されたケイ酸分を主成分とする抽出物をケイ酸分あるいはシリカと称している。
【0018】
上記の方法にて得られるササからの抽出物あるいはその加工品の一例として、クマザサを原料に用い、葉や茎中の葉緑素体を鉄に置換したものをアルカリ抽出した溶液について、pH調整と加熱により得られるケイ酸分(シリカ)の成分を表2に示す。クマザサから得られるケイ酸を主成分とする抽出物は、表2に示すようにミネラル成分を豊富に含んでおり、バランスのとれた生育促進効果が得られる。また、シリカにはササ抽出液成分も含まれており、この保持成分も生育促進効果に関与していると考えられる。
【0019】
【表2】
Figure 0003970384
【0020】
ミネラル成分のうち、シリカに最も多量に含まれているケイ酸は、特にイネ科植物等において要求量が大きい。地殻の27.7%をケイ素が占めていることからも分かるように、土壌中には大量にケイ酸化合物が存在するが、水耕栽培は土壌から独立した栽培環境なので、ケイ酸要求量の多い植物に対しては水耕液へのケイ酸分の添加が必要とされる。シリカの添加により、イネ科植物等のケイ酸要求量の大きい植物においては、生育が促進され、病害虫にも強くなることが確認されている。また、ケイ酸要求量が大きくない植物に関しても、ケイ酸の欠乏による生育異常(成長点の伸長の抑制、葉の奇形化、花粉稔性の低下、収量の低下等)の防止効果が期待される。
また、水耕栽培で不足しがちな、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分も豊富に含まれていることから、これらのミネラル成分の補給にも寄与する。
【0021】
ササ抽出物あるいはその加工品の利用により、植物の地下部の生育が特に良好であることが確認されている。水耕栽培においては、根の生理的活性度の低下は、病原菌の侵入、根の枯損等の原因となり植物に著しい悪影響を及ぼす。また、地下部障害では、発病後有効な対策をとれないことが多いのが現状である。さらに、水耕栽培の特徴として土壌に比較して緩衝能が少ないため、障害の進展が早いこともあり、水耕栽培においては常に根の生理的活性度を高く保つことが大切になってくる。ササ抽出物あるいはその加工品の使用により、地下部の生育が顕著に良好になることから、病原菌の侵入や根の枯損といった作物の商品価値あるいは作物そのものに影響する被害を防ぐことができる。
【0022】
さらに、通常の水耕廃液は、さまざまな肥料成分や薬品等が混入しており、排出量も大量であることから、その処理が環境問題になっている。ササからの抽出物あるいはその加工品を使用することにより、化学肥料や農薬の低減が可能となり、より水耕廃液の安全性が高まることから、本発明は環境問題の観点からも好ましい。
【0023】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0024】
実施例1
クマザサ抽出液(鉄置換品)及びケイ酸分(シリカ)の製造:
タケ科ササ属チマキザサ節のクマザサの葉及び茎50kgを熱水1000リットルに浸漬し、塩化第一鉄800gを加え、沸点まで加熱した。沸騰させた後、苛性ソーダ38.5(w/v)%を17リットル添加し、20分間煮沸を続けた後、クマザサの葉及び茎を取り出してよく水洗した。
ついで、熱水137リットルに、上記のように鉄置換を行ったクマザサの葉及び茎を入れて煮沸させ、苛性ソーダ38.5(w/v)%を8.3リットル添加し90分間煮沸することにより、鉄置換された葉緑素体を含む、クマザサ有効成分の抽出を行った。
ついで、固液分離を行い、クマザサアルカリ抽出液(鉄置換品)を得た。
このアルカリ抽出液を、イオン交換樹脂にて中和を行い、さらに加温することによりシリカを析出させ、固液分離を行った。液体として分離された抽出物がクマザサ抽出液(鉄置換品)であり、固型分として分離された副生物がシリカである。
【0025】
実施例2
育苗期間におけるクマザサ抽出液(鉄置換品)の生育促進効果:
1区画2.5cm角に切れ目の入ったウレタンマット(59×29.5cm、300区画分)に1区画15粒としてイネ科のミニヨンネギ(夏場:越津、冬場:金長系等)の播種を行い、25℃に保持した育苗器中、暗所で発芽させた。
発芽が確認されたらビニルハウスに移し、実施例1で得たクマザサ抽出液(鉄置換品、原液の鉄クロロフィリンナトリウムの含有量は0.25%)33mlを70倍程度に井戸水で希釈した希釈液を使用し、クマザサ抽出液(鉄置換品)の井戸水による希釈液を与えた苗と、井戸水のみを与えた苗を比較することにより、クマザサ抽出液(鉄置換品)の育苗期間における生育促進効果を確認した。
ウレタンマット1つ(300区画分)に対しクマザサ抽出液(鉄置換品)添加量が33ml相当になるように、クマザサ抽出液(鉄置換品)70倍希釈液で灌水を行った。クマザサ抽出液(鉄置換品)で灌水したネギと井戸水のみで灌水したネギに関して、2週間後の地上部の長さを比較して図1に示した。
クマザサ抽出液(鉄置換品)を与えたネギの地上部の高さは平均で7.4cm、井戸水のみを与えたネギの地上部の高さは平均で6.1cmであり、統計的に有為な差であることが確認された。また、発根数と発根量に関しては図1には示していないが、クマザサ抽出液を与えたものはウレタンマットの下部に根がたくさん張り出しており、顕著に良好であることが観察された。
【0026】
実施例3
定植期間中におけるクマザサ抽出液(鉄置換品)とケイ酸分(シリカ)の併用による生育促進効果:
育苗の終了したイネ科のミニヨンネギ(夏場:越津、冬場:金長系等)を発泡スチロール性のパネルに定植し、水耕液にて栽培した。水耕栽培装置はM式タイプ(M式水耕研究所)のプラントを使用した。使用したハウスの面積は約870m2 である。表3に示す通常の肥料とともに、実施例1で得たケイ酸分(シリカ)、クマザサ抽出液(鉄置換品、原液の鉄クロロフィリンナトリウムの含有量は0.25%)を水耕液タンクより水耕液に添加したところ、収量の増加、農薬使用回数の減少、また特に地下部の良好な生育が確認された。クマザサ抽出液(鉄置換品)は1回に10ppm程度になるように、同時にシリカは40ppm程度になるよう、5日おき程度に水耕液に添加した。
【0027】
シリカ、クマザサ抽出液(鉄置換品)の使用により農薬使用回数の減少も確認されている。シリカ、クマザサ抽出液(鉄置換品)の使用前には、地上部の黒斑病対策あるいは地下部の根の消毒等のための農薬使用は夏季で1週間に1度程度であったのが、シリカ、クマザサ抽出液(鉄置換品)の使用により、3週間に1度程度ですむようになった。特に地下部用対策は必要がなくなった。また地上部用の農薬についても、シリカの使用時には、冬季(10月〜4月中旬)には全く使用の必要がなくなった。
【0028】
【表3】
Figure 0003970384
【0029】
実施例4
定植期間中におけるシリカとクマザサ抽出液(鉄置換品)併用による生育促進効果(肥料の通常の半量施肥にした場合):
育苗の終了したイネ科のミニヨンネギ(夏場:越津、冬場:金長系等)は、発泡スチロール性のパネルに定植し、水耕液にて栽培した。水耕栽培装置はM式タイプ(M式水耕研究所)のプラントを使用した。使用したハウスの面積は約870m2 である。肥料を通常(表3)の半量とし、実施例1で得たケイ酸分(シリカ)、クマザサ抽出液(鉄置換品、原液の鉄クロロフィリンナトリウムの含有量は0.25%)を水耕液タンクより水耕液に添加したところ、収量の増加、農薬使用回数の減少、また特に地下部の良好な生育が確認された。クマザサ抽出液(鉄置換品)は1回に7.2ppm程度になるよう、同時にシリカは20ppm程度になるよう、毎日水耕液に添加した。
【0030】
肥料の添加量を通常(表3)の1/2とし、クマザサ抽出液(鉄置換品)約7.2ppm、シリカ約20ppmになるよう、毎日水耕液に添加した際の、ミニヨンネギの収率(製品ケース数/パネル数:単位面積当たりの収穫量に比例)を観察した結果を図2に示した。図2では、ササ抽出物あるいはその加工品の使用前の月別収率と、クマザサ抽出液(鉄置換品)とシリカを使用時の月別収率とを折れ線グラフにて比較した。さらに、クマザサ抽出液(鉄置換品)とシリカ使用時の収率の月別増加率を棒グラフに示した。クマザサ抽出液(鉄置換品)とシリカを使用時の月別収率と、ササ抽出物あるいはその加工品使用前の月別平均収率とを同月において比較したところ、クマザサ抽出液(鉄置換品)とシリカ使用による増加率は、最高月で43.8%であり、平均で31.5%であった。
【0031】
シリカ、クマザサ抽出液(鉄置換品)の使用により農薬使用回数の減少も確認されている。シリカ、クマザサ抽出液(鉄置換品)の使用前には、地上部の黒斑病対策あるいは地下部の根の消毒等のための農薬使用は夏季で1週間に1度程度であったのが、シリカ、クマザサ抽出液(鉄置換品)の使用により、3週間に1度程度ですむようになった。特に地下部用対策は必要がなくなった。また地上部用の農薬についても、シリカの使用時には、冬季(10月〜4月中旬)には全く使用の必要がなくなった。
【0032】
参考例1
定植期間中におけるシリカの添加による生育促進効果:
育苗の終了したイネ科のミニヨンネギ(夏場:越津、冬場:金長系等)は、発泡スチロールのパネルに定植し、水耕液にて栽培した。水耕栽培装置はM式タイプ(M式水耕研究所)のプラントを使用した。使用したハウスの面積は約870mである。通常の肥料とともに、シリカを水耕液タンクより水耕液に添加したところ、収量の増加、良好な発根が確認された。
シリカを約32ppmになるよう毎日水耕液に添加した際の、ミニヨンネギの収率(製品ケース数/パネル数:単位面積当たりの収穫量に比例)を観察した結果を図3に示した。図3では、シリカ使用時の月別収率と、ササ抽出物あるいはその加工品の使用前の月別収率とを折れ線グラフにて比較した。またシリカ使用時の収率の増加率を棒グラフに示した。シリカ使用時の月別収率と、ササ抽出物あるいはその加工品使用前の月別平均収率とを同月において比較したところ、シリカ使用による収率の増加率は、最高月で62.9%であり、平均で41.5%であった。
【0033】
さらに、シリカの使用により農薬使用回数の減少も確認された。シリカの使用前には、地上部の黒斑病対策あるいは地下部の根の消毒等のための農薬使用は夏季で1週間に1度程度であったのが、シリカ使用時は、3週間に1度ですむようになった。特に地下部用対策は必要がなくなった。また地上部用の農薬についても、シリカの使用時には、冬季(10月〜4月中旬)には全く使用の必要がなくなった。
【0034】
参考例2
定植期間中におけるシリカの添加による生育促進効果(肥料の通常を3/4量施肥にした場合):
育苗の終了したイネ科のミニヨンネギ(夏場:越津、冬場:金長系等)は、発泡スチロールのパネルに定植し、水耕液にて栽培した。水耕栽培装置はM式タイプ(M式水耕研究所)のプラントを使用した。使用したハウスの面積は約870mである。肥料を通常(表3)の3/4量施肥として、シリカを水耕液タンクより水耕液に添加したところ、収量の増加、良好な発根が確認された。
肥料の添加量を通常の3/4とし、シリカを約32ppmになるよう5日ごとに水耕液に添加した際の、ミニヨンネギの収率(製品ケース数/パネル数:単位面積当たりの収穫量に比例)を観察した結果を図4に示した。図4では、シリカ使用時の月別収率とササ抽出物あるいはその加工品の使用前の月別収率とを折れ線グラフにて比較した。またシリカ使用時の収率の増加率を棒グラフに示した。
シリカを使用した場合の月別収率と、ササ抽出物あるいはその加工品使用前の月別平均収率とを同月において比較したところ、シリカ使用による収率の増加率は、最高月で76.3%であり、平均で31.9%であった。
【0035】
さらに、シリカの使用により農薬使用回数の減少も確認されている。シリカの使用前には、地上部の黒斑病対策あるいは地下部の根の消毒等のため、農薬使用は夏季で1週間に1度程度であったのが、シリカ使用時は、3週間に1度ですむようになった。特に地下部用対策は必要がなくなった。また地上部用の農薬についても、シリカの使用時には、冬季(10月〜4月中旬)には全く使用の必要がなくなった。
【0036】
実施例
イネ科のミニヨンネギ(夏場:越津、冬場:金長系等)の水耕栽培において、実施例2から実施例で使用したササ抽出物あるいはその加工品を使用した場合のミニヨンネギの月別平均収率(収率:製品ケース数/パネル数:単位面積当たりの収穫量に比例)と、使用前の月別平均収率を図5の折れ線グラフにて比較した。さらに、ササ抽出物あるいはその加工品を使用した際の収率の増加率を棒グラフに示した。ササ抽出物あるいはその加工品を使用した場合の月別平均収率と、ササ抽出物あるいはその加工品使用前の月別平均収率とを同月において比較したところ、ササ抽出物あるいはその加工品による収率の増加率は、最高月で46.9%であり、平均で28.2%であった。
水耕栽培装置はM式タイプ(M式水耕研究所)のプラントを使用した。使用したハウスの面積は約870mmである。
【0037】
【発明の効果】
各実施例の結果等から明らかなように、ササからの抽出物あるいはその加工品を単独あるいは併用することにより、植物に対する優れた生育促進効果が得られ、その結果、発根発芽の促進、収量増加、化学肥料や農薬使用量の低減等の効果が得られる。また、この生育促進剤は植物の生育のどの段階でも使用することができる。
また、このクマザサ抽出液は散布、灌水あるいは添加の際の制約がなく、利用者の希望する形態で使用することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】育苗期間におけるクマザサ抽出液(鉄置換品)の生育促進効果を示す図。
【図2】定植期間中におけるシリカとクマザサ抽出液(鉄置換品)併用による生育促進効果を示す図。
【図3】定植期間中におけるシリカの添加による生育促進効果を示す図。
【図4】定植期間中におけるシリカの添加による生育促進効果を示す図。
【図5】ミニヨンネギの収率に対するササ抽出液の効果を示す図。

Claims (2)

  1. タケ科ササ属のササ中の葉緑素体の中心金属を鉄に置換し、アルカリ抽出した抽出液を中和してなる葉緑素体を含む抽出液を含有する水耕栽培用生育促進剤。
  2. タケ科ササ属のササ中の葉緑素体の中心金属を鉄に置換し、アルカリ抽出した出液を中和してなる葉緑素体を含む抽出液と、タケ科ササ属のササのアルカリ抽出液を中和し、析出分離して得られるケイ酸分を主成分とする抽出物とを含有する水耕栽培用生育促進剤。
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