JP3969771B2 - 液体サイクロンおよび液体サイクロンを用いた分離方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は旋回力と上昇流体の作用によって原料スラリーを微粉スラリーと粗粉スラリーに分離する液体サイクロン,および,液体サイクロンを用いた分離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より,粉体を微粉と粗粉に分離する場合はサイクロンが多く用いられている。
このサイクロンは,通常,上面に天井を有する円筒部とこの円筒部の下に続く逆円錐筒部からなっており,円筒部の上部側面に原料スラリー投入口,上部に微粉スラリー排出口を備え,下端部に粗粉スラリー排出口を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
液体サイクロンを用いて粒度分布のある粉体を微粉と粗粉に分離する場合は,所定の粒度以下の微粉のみを粗粉から効率良く分離したいが,従来は1段の通常のサイクロンを用いて行っていたので,必ずしも効率の良い分離が行われていなかった。
すなわち,所定の粒度以下の微粉もかなり,粗粉と共に粗粉排出口から排出されると共に,所定の粒度以上の粗粉も少し,微粉と共に微粉排出口から排出されていた。
本発明は微粉と粗粉をより確実に分離し得ることを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は,このような課題を解決するために,液体サイクロンを,上部側面に原料スラリー投入口と上部に微粉スラリー排出口を備えた上段サイクロンの下端粗粉スラリー排出口と,上部側面にブローアップ用の流体投入口を備え下端に粗粉スラリーの排出口を備えた下段サイクロンの天井中央部に設けた口を直接連結して2段サイクロンとした。
また,この2段サイクロンの構造に加えて,下段サイクロンの天井中央部に設けた口の下に上側に頂点を有する円錐状の障害物を取付けるようにもした。
この場合,円錐状の障害物は,下段サイクロンの天井部に対して固定しておくこともできるし,上下方向に位置調整可能に取付けることもできる。
そして,このような構造の2段サイクロンを用いて,分級性能を向上させ,粉体を微粉と粗粉に効率良く分離するようにした。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1,図2は本発明の1実施例を示す縦断面図および平面図である。
図1,図2において,1は上面に天井1aを有する円筒部1bとこの円筒部1bの下に続く逆円錐筒部1cからなる上段のサイクロンで,上段のサイクロン1は円筒部1b内の上部に水平な仕切板1dと仕切板1dの軸心部にある垂直状の筒部1eを有している。
2は円筒部1bの上部側面で仕切板1dのすぐ下に接線状に設けた原料スラリー投入口,3は円筒部1bの上部に設けた微粉スラリー排出口である。微粉スラリー排出口3は,図示したように,天井のすぐ下の円筒部1bの側面に接線状に設けても良く,天井の中心部に垂直状に設けても良い。
【0006】
上段のサイクロン1の逆円錐筒部1cの下端部である粗粉スラリー排出口4の下には,下段のサイクロン5の天井5aの中心部の口5dに直接または短い管を介して連結し,2段サイクロンを形成した。
下段のサイクロン5の上部円筒部5bの上部側面には,ブローアップ用の流体投入口6を接線状に設け,円筒部5bの下に続いている逆円錐筒部5cの下端軸心部には粗粉スラリー排出口7を垂直状態に設けた。ブローアップ用の流体投入口6からは,水等の流体を投入する。
【0007】
下段サイクロン5の天井5a中央部に設けた口5dの下には,上側に頂点を有する円錐状の障害物8を配置した。口5dの直径は例えば円筒部5bの直径の例えば1/5〜1/3とした。
障害物8は,下段サイクロン5の天井5a部に対して,固定して取付けることもできるし,上下方向に位置調整可能に取付けることもできる。
障害物8を天井5aに取付ける場合は,例えば障害物8の円周面下部から円周に等間隔で配して斜め上方に伸ばして設けた3本の比較的に細い支持部材によって天井5aに取付ける。
【0008】
障害物8を天井5aに対して上下方向に位置調整可能に取付ける場合は,口5dの外周の天井5aに垂直に取付けたボルトとナットからなる3個の位置調整用の部材の下端部を障害物8の底面より幾分外に伸ばした部材にそれぞれ固定して取付ける。障害物8は円筒部5bの周壁部から操作して上下方向に位置を調整するようにすることもできる。
【0009】
1実施例として示した本発明装置を用いる場合は,原料スラリー投入口2より原料スラリーを投入すると共に,流体投入口6より水を投入する。投入する水の量は原料スラリーの投入量の例えば10〜30%とした。
原料スラリー投入口2から投入された原料スラリーは旋回作用により微粉は粗粉より分離し,筒部1e内を上昇し,微粉スラリー排出口3より排出される。粗粉スラリーは逆円錐筒部1cの内周壁面に沿って下降し,粗粉スラリー排出口4や口5dを通り,ブローダウンスラリーとして下段サイクロン5に入る。
【0010】
下段サイクロン5では,粗粉は障害物8の外周斜面に沿って下降し,流体投入口6より投入された水と共に,粗粉スラリー排出口7より排出される。
この場合,流体投入口6より投入された水の一部は口5dを通って上段サイクロン1の中に入り,微粉をブローアップする。このことにより,ブローダウンするスラリーの中の微粉を分離し,上方より排出させる。
【0011】
従来の1段のみの液体サイクロンでは、粗粉側スラリ−の中にブロ−ダウン流量比とほぼ等しい割合の微粉が混入するという欠点があったが、このように2段サイクロンにし流体投入口6より水等の液体を投入してブロ−ダウンとブロ−アップを同時に行い、障害物8の高さを適当に調整すると、粗粉側スラリ−中での微粉の混入を低減できた。
さらに、下段サイクロン5内に前記した障害物8等を設置し、障害物8の位置の高さを高くすることによって天井5aと障害物8の間隔を狭くしてブロ−アップと併用したら、効果はさらに上がった。
【0012】
【実験例】
実験装置として、図3に示したような回路の装置を用いた。
図3において、10は本発明による上段サイクロン1と下段サイクロン5からなる2段サイクロンであり、11は粉体供給用のスクリュフィ−ダ、12はスラリ−槽、13は原料スラリ−運搬用のポンプ、14は原料スラリ−用の流量計、15は圧力計、16は水搬送用のポンプ、17は水用の流量計、18、19はそれぞれ粗粉スラリ−用のサンプル採取槽と微粉スラリ−用のサンプル採取槽である。スラリ−槽12にはスラリ−用のオ−バ−フロ−管を設けた。
試料粉体としては、平均粒子径20μm、真密度2.2g/cm3 のシリカを用い、溶媒には水を用いた。
【0013】
スラリー槽12で5wt%に調整した原料スラリーをポンプ13によって原料スラリー投入口2より上段サイクロン1に供給し,ブローアップを行う場合は,下段サイクロン5の流体投入口6に水を圧力するようにした。2段サイクロン10で粉体は分級され,粗粉スラリーは排出口7よりブローダウンスラリーとして流出し,微粉スラリーは上部の微粉スラリー排出口より流出して,それぞれサンプル採取槽19,18に入る。
例えば,運転開始後,約20分経過して定常状態に達した後,サンプル採取槽18,19で各スラリーをサンプリングし,捕集重量および粒度分布を測定した。捕集重量は得られたサンプルを濾過,乾燥して測定し,粒度分布は遠心沈降式・粒度分布測定装置を用いて測定した。
【0014】
以上の操作をブローアップ流量および円錐状の障害物8の位置を変化させて行った。原料スラリーを一定の5wt%に保つために,ブローアップによって希釈されたスラリーの濃度の調整は,スクリュフィーダ11を用いて行った。ポンプ13の流量の変化を防ぐために,スラリー槽は一定水位を保つ構造,すなわち,オーバーフロー構造にした。
本分級装置の性能は,式(1)によって算出される部分分離効率によって評価した。
【0015】
【数1】
【0016】
ここで,Δηは部分分離効率,mA は粗粉の重量[g],mB は微粉の重量[g],fA (DP )はある粒径DP における粗粉の頻度[1/μm],fB (DP )はある粒径DP における微粉の頻度[1/μm]を示す。
【0017】
図3に示す本発明の2段サイクロン10の代りに上段サイクロン1と同じ形と寸法の従来公知のサイクロンを用い,ブローダウンのみを行った場合の部分分離効率曲線を図4に示す。以後,図中に示すブローダウン(B.D.)およびブローアップ(B.U.)の比率は,それぞれ全流入量に対する比率とする。前記したように,微粉領域での効率がブローダウン流量比に漸近している。また,本実験結果は同寸法比・同内径の標準型液体サイクロンにおける効率とほぼ等しい値を示している。
【0018】
本発明の2段サイクロン10を用いた図3に示す装置において、ブロ−ダウン10%とブロ−ダウン20%でブロ−アップを行った場合の部分分離効率曲線を図5と図6に示す。ブロ−ダウン10%(図5)と20%(図6)のいずれの条件でも、ブロ−アップ流量が増加するにつれて、部分分離効率曲線の分離径が粗粉側へ移動した。また、微粉領域の部分分離効率が低下した。これらの原因は、サイクロン中心部での上昇流流速が増加すること、および、下段サイクロン5に流入する原液量が減少したために生じたものである。ただし、過剰なブロ−アップは、スラリ−のブロ−ダウン側への移動を妨害するため、ブロ−ダウン流量に応じたブロ−アップ比率の上限値がある。
【0019】
次に、ブロ−アップおよびブロ−ダウン流量を固定して円錐形状の障害物8の高さを移動させた。この場合の部分分離効率曲線を図7と図8に示す。図7はブロ−アップ18.5%、図8はブロ−アップ27.0%の場合を示す。図7、図8中の間隔hは、円錐状の障害物8の下端と下段サイクロン5の天井5aとの間の寸法を示している。なお、口5dは直径10mmとし、障害物8は直径8mm、高さ12mmとした。
間隔hを狭めるにつれて分離径が若干粗粉側へ移動し、さらに、ブロ−ダウンスラリ−中の微粉の含有率が0%に近づいた。特に、図7の間隔hが3mmの場合は、かなりシャ−プな曲線が得られている。これは、円錐状の障害物8を上げることによって口5dの面積が狭まり、上段サイクロン1からのスラリ−の流入量が低減したためである。
【0020】
図8に示すように,ブローダウン率(20%)以上のブローアップ(27.0%)を行った場合は,間隔hを狭めるにつれて分離径は粗粉側へ大きく移動したが,粗粉領域での分離性能は悪化した。これは,障害物8と天井5a部の隙間においてブローアップによる吹上げ流速が強められ,そこで捕集されるべき粗粉までも吹上げられてしまったためだと考えられる。
【0021】
以上のことからして、次のようなことがわかる。
(1)2段サイクロンにして、上段サイクロン下部よりブロ−アップを行うと、分離径の移動および粗粉側へ混入する微粉の低減が可能となる。さらに、その効果はブロ−アップ流量が増加するにつれて大きくなる。
(2)円錐状の障害物8を設置し、ブロ−アップと併用して障害物8とサイクロンの天井との間隔hを狭めることで、さらに粗粉側への微粉の混入を防ぐことができる。
(3)円錐状の障害物8を設置していない2段サイクロン10を用いる場合は、ブロ−アップはブロ−ダウンより若干少なくするのが良いと判断される。
【0022】
【発明の効果】
本発明においては,特許請求の範囲に記載したような構造にした液体サイクロンにし,また,この液体サイクロンを用いて粉体を分離するようにしたので,分級性能を向上させ,微粉と粗粉を効率良く,確実容易に分離することができる。すなわち,2段サイクロンにし,上段サイクロンの下部よりブローアップを行うことによって,分離径の移動および粗粉側へ混入する微粉の低減を図ることができる。
【0023】
また,下段サイクロンの上部に円錐状の障害物を設置し,ブローアップと併用して,障害物と下段サイクロンの天井との間の間隔を狭めることで,さらに粗粉側への微粉の混入を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2段サイクロンの1実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す2段サイクロンの平面図である。
【図3】本発明の2段サイクロンを用いた分離装置の1例を示す回路図である。
【図4】従来のサイクロンを用いて実験した場合の粒子径と部分分離効率の関係の1例を示す線図である。
【図5】本発明の2段サイクロンを用いて実験した場合の粒子径と部分分離効率の関係の1例を示す線図である。
【図6】図5に示すものから条件を変えて実験した場合の粒子径と部分分離効率の関係の1例を示す線図である。
【図7】下段サイクロンに障害物を設置して実験した場合の粒子径と部分分離効率の関係の1例を示す線図である。
【図8】図7に示すものから条件を変えて実験した場合の粒子径と部分分離効率の関係の1例を示す線図である。
【符号の説明】
1 上段サイクロン
1a,5a 天井
1b,5b 円筒部
1c,5c 逆円錐筒部
2 原料スラリー投入口
3 微粉スラリー排出口
4 粗粉スラリー排出口
5 下段サイクロン
5d 口
6 流体投入口
7 粗粉スラリー排出口
8,9 障害物
10 2段サイクロン
11 スクリュフィーダ
12 スラリー槽
13,16 ポンプ
14,17 流量計
15 圧力計
18,19 サンプル採取槽
【発明の属する技術分野】
本発明は旋回力と上昇流体の作用によって原料スラリーを微粉スラリーと粗粉スラリーに分離する液体サイクロン,および,液体サイクロンを用いた分離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より,粉体を微粉と粗粉に分離する場合はサイクロンが多く用いられている。
このサイクロンは,通常,上面に天井を有する円筒部とこの円筒部の下に続く逆円錐筒部からなっており,円筒部の上部側面に原料スラリー投入口,上部に微粉スラリー排出口を備え,下端部に粗粉スラリー排出口を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
液体サイクロンを用いて粒度分布のある粉体を微粉と粗粉に分離する場合は,所定の粒度以下の微粉のみを粗粉から効率良く分離したいが,従来は1段の通常のサイクロンを用いて行っていたので,必ずしも効率の良い分離が行われていなかった。
すなわち,所定の粒度以下の微粉もかなり,粗粉と共に粗粉排出口から排出されると共に,所定の粒度以上の粗粉も少し,微粉と共に微粉排出口から排出されていた。
本発明は微粉と粗粉をより確実に分離し得ることを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は,このような課題を解決するために,液体サイクロンを,上部側面に原料スラリー投入口と上部に微粉スラリー排出口を備えた上段サイクロンの下端粗粉スラリー排出口と,上部側面にブローアップ用の流体投入口を備え下端に粗粉スラリーの排出口を備えた下段サイクロンの天井中央部に設けた口を直接連結して2段サイクロンとした。
また,この2段サイクロンの構造に加えて,下段サイクロンの天井中央部に設けた口の下に上側に頂点を有する円錐状の障害物を取付けるようにもした。
この場合,円錐状の障害物は,下段サイクロンの天井部に対して固定しておくこともできるし,上下方向に位置調整可能に取付けることもできる。
そして,このような構造の2段サイクロンを用いて,分級性能を向上させ,粉体を微粉と粗粉に効率良く分離するようにした。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1,図2は本発明の1実施例を示す縦断面図および平面図である。
図1,図2において,1は上面に天井1aを有する円筒部1bとこの円筒部1bの下に続く逆円錐筒部1cからなる上段のサイクロンで,上段のサイクロン1は円筒部1b内の上部に水平な仕切板1dと仕切板1dの軸心部にある垂直状の筒部1eを有している。
2は円筒部1bの上部側面で仕切板1dのすぐ下に接線状に設けた原料スラリー投入口,3は円筒部1bの上部に設けた微粉スラリー排出口である。微粉スラリー排出口3は,図示したように,天井のすぐ下の円筒部1bの側面に接線状に設けても良く,天井の中心部に垂直状に設けても良い。
【0006】
上段のサイクロン1の逆円錐筒部1cの下端部である粗粉スラリー排出口4の下には,下段のサイクロン5の天井5aの中心部の口5dに直接または短い管を介して連結し,2段サイクロンを形成した。
下段のサイクロン5の上部円筒部5bの上部側面には,ブローアップ用の流体投入口6を接線状に設け,円筒部5bの下に続いている逆円錐筒部5cの下端軸心部には粗粉スラリー排出口7を垂直状態に設けた。ブローアップ用の流体投入口6からは,水等の流体を投入する。
【0007】
下段サイクロン5の天井5a中央部に設けた口5dの下には,上側に頂点を有する円錐状の障害物8を配置した。口5dの直径は例えば円筒部5bの直径の例えば1/5〜1/3とした。
障害物8は,下段サイクロン5の天井5a部に対して,固定して取付けることもできるし,上下方向に位置調整可能に取付けることもできる。
障害物8を天井5aに取付ける場合は,例えば障害物8の円周面下部から円周に等間隔で配して斜め上方に伸ばして設けた3本の比較的に細い支持部材によって天井5aに取付ける。
【0008】
障害物8を天井5aに対して上下方向に位置調整可能に取付ける場合は,口5dの外周の天井5aに垂直に取付けたボルトとナットからなる3個の位置調整用の部材の下端部を障害物8の底面より幾分外に伸ばした部材にそれぞれ固定して取付ける。障害物8は円筒部5bの周壁部から操作して上下方向に位置を調整するようにすることもできる。
【0009】
1実施例として示した本発明装置を用いる場合は,原料スラリー投入口2より原料スラリーを投入すると共に,流体投入口6より水を投入する。投入する水の量は原料スラリーの投入量の例えば10〜30%とした。
原料スラリー投入口2から投入された原料スラリーは旋回作用により微粉は粗粉より分離し,筒部1e内を上昇し,微粉スラリー排出口3より排出される。粗粉スラリーは逆円錐筒部1cの内周壁面に沿って下降し,粗粉スラリー排出口4や口5dを通り,ブローダウンスラリーとして下段サイクロン5に入る。
【0010】
下段サイクロン5では,粗粉は障害物8の外周斜面に沿って下降し,流体投入口6より投入された水と共に,粗粉スラリー排出口7より排出される。
この場合,流体投入口6より投入された水の一部は口5dを通って上段サイクロン1の中に入り,微粉をブローアップする。このことにより,ブローダウンするスラリーの中の微粉を分離し,上方より排出させる。
【0011】
従来の1段のみの液体サイクロンでは、粗粉側スラリ−の中にブロ−ダウン流量比とほぼ等しい割合の微粉が混入するという欠点があったが、このように2段サイクロンにし流体投入口6より水等の液体を投入してブロ−ダウンとブロ−アップを同時に行い、障害物8の高さを適当に調整すると、粗粉側スラリ−中での微粉の混入を低減できた。
さらに、下段サイクロン5内に前記した障害物8等を設置し、障害物8の位置の高さを高くすることによって天井5aと障害物8の間隔を狭くしてブロ−アップと併用したら、効果はさらに上がった。
【0012】
【実験例】
実験装置として、図3に示したような回路の装置を用いた。
図3において、10は本発明による上段サイクロン1と下段サイクロン5からなる2段サイクロンであり、11は粉体供給用のスクリュフィ−ダ、12はスラリ−槽、13は原料スラリ−運搬用のポンプ、14は原料スラリ−用の流量計、15は圧力計、16は水搬送用のポンプ、17は水用の流量計、18、19はそれぞれ粗粉スラリ−用のサンプル採取槽と微粉スラリ−用のサンプル採取槽である。スラリ−槽12にはスラリ−用のオ−バ−フロ−管を設けた。
試料粉体としては、平均粒子径20μm、真密度2.2g/cm3 のシリカを用い、溶媒には水を用いた。
【0013】
スラリー槽12で5wt%に調整した原料スラリーをポンプ13によって原料スラリー投入口2より上段サイクロン1に供給し,ブローアップを行う場合は,下段サイクロン5の流体投入口6に水を圧力するようにした。2段サイクロン10で粉体は分級され,粗粉スラリーは排出口7よりブローダウンスラリーとして流出し,微粉スラリーは上部の微粉スラリー排出口より流出して,それぞれサンプル採取槽19,18に入る。
例えば,運転開始後,約20分経過して定常状態に達した後,サンプル採取槽18,19で各スラリーをサンプリングし,捕集重量および粒度分布を測定した。捕集重量は得られたサンプルを濾過,乾燥して測定し,粒度分布は遠心沈降式・粒度分布測定装置を用いて測定した。
【0014】
以上の操作をブローアップ流量および円錐状の障害物8の位置を変化させて行った。原料スラリーを一定の5wt%に保つために,ブローアップによって希釈されたスラリーの濃度の調整は,スクリュフィーダ11を用いて行った。ポンプ13の流量の変化を防ぐために,スラリー槽は一定水位を保つ構造,すなわち,オーバーフロー構造にした。
本分級装置の性能は,式(1)によって算出される部分分離効率によって評価した。
【0015】
【数1】
【0016】
ここで,Δηは部分分離効率,mA は粗粉の重量[g],mB は微粉の重量[g],fA (DP )はある粒径DP における粗粉の頻度[1/μm],fB (DP )はある粒径DP における微粉の頻度[1/μm]を示す。
【0017】
図3に示す本発明の2段サイクロン10の代りに上段サイクロン1と同じ形と寸法の従来公知のサイクロンを用い,ブローダウンのみを行った場合の部分分離効率曲線を図4に示す。以後,図中に示すブローダウン(B.D.)およびブローアップ(B.U.)の比率は,それぞれ全流入量に対する比率とする。前記したように,微粉領域での効率がブローダウン流量比に漸近している。また,本実験結果は同寸法比・同内径の標準型液体サイクロンにおける効率とほぼ等しい値を示している。
【0018】
本発明の2段サイクロン10を用いた図3に示す装置において、ブロ−ダウン10%とブロ−ダウン20%でブロ−アップを行った場合の部分分離効率曲線を図5と図6に示す。ブロ−ダウン10%(図5)と20%(図6)のいずれの条件でも、ブロ−アップ流量が増加するにつれて、部分分離効率曲線の分離径が粗粉側へ移動した。また、微粉領域の部分分離効率が低下した。これらの原因は、サイクロン中心部での上昇流流速が増加すること、および、下段サイクロン5に流入する原液量が減少したために生じたものである。ただし、過剰なブロ−アップは、スラリ−のブロ−ダウン側への移動を妨害するため、ブロ−ダウン流量に応じたブロ−アップ比率の上限値がある。
【0019】
次に、ブロ−アップおよびブロ−ダウン流量を固定して円錐形状の障害物8の高さを移動させた。この場合の部分分離効率曲線を図7と図8に示す。図7はブロ−アップ18.5%、図8はブロ−アップ27.0%の場合を示す。図7、図8中の間隔hは、円錐状の障害物8の下端と下段サイクロン5の天井5aとの間の寸法を示している。なお、口5dは直径10mmとし、障害物8は直径8mm、高さ12mmとした。
間隔hを狭めるにつれて分離径が若干粗粉側へ移動し、さらに、ブロ−ダウンスラリ−中の微粉の含有率が0%に近づいた。特に、図7の間隔hが3mmの場合は、かなりシャ−プな曲線が得られている。これは、円錐状の障害物8を上げることによって口5dの面積が狭まり、上段サイクロン1からのスラリ−の流入量が低減したためである。
【0020】
図8に示すように,ブローダウン率(20%)以上のブローアップ(27.0%)を行った場合は,間隔hを狭めるにつれて分離径は粗粉側へ大きく移動したが,粗粉領域での分離性能は悪化した。これは,障害物8と天井5a部の隙間においてブローアップによる吹上げ流速が強められ,そこで捕集されるべき粗粉までも吹上げられてしまったためだと考えられる。
【0021】
以上のことからして、次のようなことがわかる。
(1)2段サイクロンにして、上段サイクロン下部よりブロ−アップを行うと、分離径の移動および粗粉側へ混入する微粉の低減が可能となる。さらに、その効果はブロ−アップ流量が増加するにつれて大きくなる。
(2)円錐状の障害物8を設置し、ブロ−アップと併用して障害物8とサイクロンの天井との間隔hを狭めることで、さらに粗粉側への微粉の混入を防ぐことができる。
(3)円錐状の障害物8を設置していない2段サイクロン10を用いる場合は、ブロ−アップはブロ−ダウンより若干少なくするのが良いと判断される。
【0022】
【発明の効果】
本発明においては,特許請求の範囲に記載したような構造にした液体サイクロンにし,また,この液体サイクロンを用いて粉体を分離するようにしたので,分級性能を向上させ,微粉と粗粉を効率良く,確実容易に分離することができる。すなわち,2段サイクロンにし,上段サイクロンの下部よりブローアップを行うことによって,分離径の移動および粗粉側へ混入する微粉の低減を図ることができる。
【0023】
また,下段サイクロンの上部に円錐状の障害物を設置し,ブローアップと併用して,障害物と下段サイクロンの天井との間の間隔を狭めることで,さらに粗粉側への微粉の混入を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2段サイクロンの1実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す2段サイクロンの平面図である。
【図3】本発明の2段サイクロンを用いた分離装置の1例を示す回路図である。
【図4】従来のサイクロンを用いて実験した場合の粒子径と部分分離効率の関係の1例を示す線図である。
【図5】本発明の2段サイクロンを用いて実験した場合の粒子径と部分分離効率の関係の1例を示す線図である。
【図6】図5に示すものから条件を変えて実験した場合の粒子径と部分分離効率の関係の1例を示す線図である。
【図7】下段サイクロンに障害物を設置して実験した場合の粒子径と部分分離効率の関係の1例を示す線図である。
【図8】図7に示すものから条件を変えて実験した場合の粒子径と部分分離効率の関係の1例を示す線図である。
【符号の説明】
1 上段サイクロン
1a,5a 天井
1b,5b 円筒部
1c,5c 逆円錐筒部
2 原料スラリー投入口
3 微粉スラリー排出口
4 粗粉スラリー排出口
5 下段サイクロン
5d 口
6 流体投入口
7 粗粉スラリー排出口
8,9 障害物
10 2段サイクロン
11 スクリュフィーダ
12 スラリー槽
13,16 ポンプ
14,17 流量計
15 圧力計
18,19 サンプル採取槽
Claims (6)
- 上部側面に原料スラリー投入口と上部に微粉スラリー排出口を備えた上段サイクロンの下端粗粉スラリー排出口の下に,上部側面にブローアップ用の流体投入口を備え下端に粗粉スラリー排出口を備えた下段サイクロンの天井中央部に設けた口を直接連結して2段サイクロンを形成した液体サイクロン。
- 下段サイクロンの天井中央部に設けた口の下に上側に頂点を有する円錐状の障害物を取付けた特許請求の範囲請求項1記載の液体サイクロン。
- 円錐状の障害物を下段サイクロンの天井部に固定して取付けた特許請求の範囲請求項1または請求項2記載の液体サイクロン。
- 円錐状の障害物を下段サイクロンの天井部に対して上下方向に位置調整可能に取付けた特許請求の範囲請求項1または請求項2記載の液体サイクロン。
- 上部側面に原料スラリー投入口と上部に微粉スラリー排出口を備えた上段サイクロンの下端粗粉スラリー排出口の下に,上部側面にブローアップ用の流体投入口を備え下端に粗粉スラリーの排出口を備えた下段サイクロンの天井中央部に設けた口を直接連結した2段サイクロンを用いて,原料スラリー投入口から原料スラリーを投入し,流体投入口より流体を投入して,上段サイクロンから下段サイクロンへのブローダウンに加えて下段サイクロンから上段サイクロンへのブローアップを行わせて分離作用を行うようにした液体サイクロンを用いた分離方法。
- 下段サイクロンの天井中央部に設けた口の下に上側に頂点を有する円錐状の障害物を取付けた2段サイクロンを用いて分離作用を行うようにした特許請求の範囲請求項5記載の液体サイクロンを用いた分離方法。
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