JP3965435B2 - 脈波計測・解析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脈波計測・解析装置に関し、特に人体の加速度脈波の平均波形に基づく脈波計測・解析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、脈波を測定するために、透過型、反射型の脈波センサが多数市販されている。反射型の脈波センサは、発光部と受光部とが並べて配置され、この発光部と受光部との上に透光板が設けられて構成され、透光板表面に人体の指の皮膚表面を密着させて使用されるものである。この場合、発光部から指の皮膚に向けて光を照射し、指内部からの反射光を受光部で受光して、その受光量の変化を電圧に変換して検出し、脈波情報として検出している。
このような脈波センサを利用する脈波計測装置として、計測した脈波を微分して速度脈波を求め、この算出された速度脈波の振幅のピーク値のバラツキに応じてノイズ成分の混入を判断するものが提案されている(特開2001−61795号公報)。
【0003】
また、速度脈波をさらに微分して加速度脈波を求め、この算出した加速度脈波を利用する脈波計測・解析装置において、従来から、脈波波形のピークa、b、c、d、eの波高及び時間間隔の相対関係が用いられている。陽性波であるa波は大動脈弁が開いて左心室から血液が押し出され始める時に発生し、陰性波であるb波や、c波、d波がこれに続き、大動脈弁が閉止する時に発生する切痕を経過してe波が現れる。これらのc〜e波は生体条件で陰性・陽性が変動し、陽性波であったり、陰性波であったりする。これらの波高値や時間間隔は、一拍毎の脈波で数%程度以上の変動があり、特に脈拍間隔は自律神経活動と有意に相関することが知られているため、この脈波波形を利用しようとする試みがなされている。例えば、加速度脈波測定器として、算出した加速度脈波を順番に数個提示して、脈波情報を得るシステムを採用するものが知られている。
【0004】
従来の光電式脈波計においては、被験者の指先がフォトダイオードからなる電極、特にアノードに接近して置かれることから、また、フォトダイオードの光電流を検出するための電流アンプの入力インピーダンスが非常に高低抗であることから、電流アンプの出力には被験者の指先からの誘導ノイズが大変乗りやすい。しかも、室内の測定においては商用電源ラインからの誘導ノイズが大変大きいため(図1に示すノイズの乗った波形例を参照)、有用な脈波検出装置を提供するためには、商用電源周波数50Hzと60Hzとの両方に由来する誘導ノイズを除去する必要がある。
【0005】
脈波において有効な周波数領域の20Hz程度を遮断周波数とすれば、50Hzでの減衰率を−60dB(1/1000:10ビットの分解能で無視できる減衰率)以下とすることができるアナログローパスフィルター(Low Pass Filter)は10次以上となるので、高価なものとなる。この際、遮断周波数特性を急峻なものにすると、階段状波形入力で発生するリンギング状の波形変形が無視できなくなる。
【0006】
また、加速度脈波(a、b、c、d、e波)を利用して脈波情報を得ようとする場合、この加速度脈波は元の指先容積脈波を2回微分して求めるので、微分処理に伴う問題点に十分注意する必要がある。一般的に、微分フィルターでは、高周波成分の振幅が周波数に比例して大きく出るため、高周波成分の信号を強調して見ることができるという利点はある。しかし、この際に高周波のノイズも大きく強調されて見えるため、不要なノイズを有効な信号から明確に区別して適切に除去する手段を設けることが必要となる。従って、この加速度脈波を求めるための、精度の良いアナログフィルター回路は複雑で高価なものとなる。
【0007】
このため、従来から、誘導ノイズ除去にデジタルフィルターを用いることが提案されている。この場合、従来の脈波計で用いられているサンプリング周波数100〜200Samples/sec(Hz)を用いると、サンプリング周波数付近の商用電源周波数高調波(120Hz、150Hz、180Hz等)を除去することができないという問題がある。また、デジタルフィルターの次数(係数の数)が大きく、遮断周波数特性の急峻なフィルターを設計する必要があるが、上記したように、遮断周波数特性を急峻にすると波形のリンギングが発生することになる。
【0008】
そこで、以上の問題を解決するために、従来提案されている光電式脈波検出装置においては、遮断周波数10Hz程度のアナログフィルターが用いられているのが実情である。この脈波検出装置では、通常、遮断周波数10Hz程度の高域カットフィルターと、加速度脈波を得るための微分処理を行うアナログ回路によるアナログフィルターとで構成される。微分フィルターは、そのままでは、周波数特性が周波数に比例するため、高周波数由来のノイズに弱い。また、この場合、急峻な立ちあがりのエッジや、心室弁閉止後に現れることがある10Hz以上の揺らぎ等は計測できない。
【0009】
従って、加速度脈波を得るために二次微分処理を行う際、高次の高精度高域カットフィルターを構成する必要があり、従来の脈波計測装置では高価で規模の大きな回路構成となってしまう。このため、上記したように、アナログフィルターの代わりにデジタルフィルターで処理する技術が開発され、例えば、一般に広く使用されている光電式指尖容積脈波計では、次のような処理をすることにより、その解決が図ろうとしている。
【0010】
例えば、脈波アンプを、高域遮断周波数28Hzの二次ローパスフィルターを通してから、10.6Hzの一次ローパスフィルターを通すように構成している。A/D変換器では、サンプリング周波数250Samples/secとし、デジタルフィルターとしては、微分フィルターとして、差分フィルターとローパスフィルター(17次のFinite Impulse Response Filter:以下、「FIR」フィルターと称す。)とで構成したものを使用している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の反射型脈波センサの場合、指固定のためのクッションが設けられているが、このクッションにより指を押さえる際に、クッション圧により指が圧迫されると、動脈血流が阻害されて脈波が変化する。そのため、脈波波形が変化すると共に、発光部(光源)から指内部への照射光が、光源と指腹部との相対位置関係により大きく変化するという問題がある。また、指腹部から受光部(光検出器)への射出光(反射光)も、指腹部と光検出器との相対位置関係により、例えば、指の微小な動き等により、指内部の光の経路が変化して受光光量が変わるため、大きく変化するという問題もある。
【0012】
従来の反射型脈波センサの場合、上記したように、発光部と受光部とが単に並べて配置されているだけであるので、指の腹部の皮膚表面と透光板表面との界面で反射した光がノイズ光として受光部に入り込むことがあり、測定結果にノイズが入りやすいという問題がある。
また、被験者の指の太さや乾・湿の程度、皮膚の厚さ等の性状及び指装着状態等により、測定波形の振幅やパターンが変化するので、測定結果の再現性に乏しくかつ測定不能の出現割合が多い。そのため、測定再現性のよい脈波センサが求められている。
【0013】
さらに、上記加速度脈波を利用して、脈波の変動と体内活動の相関を評価するためには、従来評価されてきた脈波の最大周波数である10Hz以上の周波数領域まで解析精度を上げることが望まれている。この場合、計測システムの周波数特性を高周波数まで伸ばすと、それだけノイズの影響を受けやすくなるという問題がある。
上記従来技術において提案された脈波アンプの場合、サンプリング周波数250Samples/secのFIRフィルターでローパスフィルターを構成すると、商用電源周波数50Hzの場合は、誘導ノイズの減衰率60dB以上を達成することが可能である。しかし、周波数特性にリンギングが発生するため、西日本地域における商用電源周波数60Hzでの誘導ノイズの減衰率は50dB程度にしかならないという問題がある。
【0014】
二次ないし三次のローパスフィルターでは、電源ラインからの誘導ノイズの振幅が、電源環境によっては容積脈波の振幅に達する。従って、商用電源周波数60Hz由来のノイズ成分を加速度脈波の振幅に対して100分の1以下とするためには、約1万倍の80dB以上の減衰率を達成する必要がある。
微分フィルターを差分フィルターで構成した場合には、サンプリング周波数の四分の一の周波数(サンプリング周波数250Samples/secの場合、62.5Hz)までが、周波数とともに感度が増大する微分特性を示し、サンプリング周波数二分の一の周波数(サンプリング周波数250Samples/secの場合、125Hz)で感度がゼロとなる特性を示す。商用電源周波数60Hzは、加速度脈波の主要な周波数である5〜7Hzに対して、約10倍の周波数帯である。従って、微分フィルターの周波数特性から、加速度脈波においては、60Hz帯域のノイズは、加速度脈波に対して約100倍に増幅されてしまうことになる。
【0015】
また、デジタルフィルターを用いる場合、上記従来技術におけるように、微分フィルターとして、差分フィルターとローパスフィルターとで構成したものを用い、振幅の小さい波形で増幅度を上げると、商用電源周波数のノイズを完全には除去できず、二次微分波形に商用電源周波数のノイズ成分が見られるのが実情である(図1参照)。
さらに、デジタルフィルターの特性として、サンプリング周波数付近のノイズは0Hz付近に折り返されて出現する。従って、例えば、商用電源周波数60Hzの4次の高調波240Hzのノイズは10Hzのノイズとして出現する。
【0016】
上記したような従来の脈波センサを使用した脈波計測装置では、脈波の振幅が小さい場合、基線変動が脈波の振幅に比して相対的に大きい場合、又は加速度脈波に相対的に大きな揺らぎが乗っている場合において、波形の判定が完全にできないという問題もある。
上記特開2001−61795号公報記載の速度脈波の振幅のピーク値のバラツキを利用してノイズ混入波形を除去したとしても、微分波形では高周波ノイズが大きいため、完全にはノイズ混入波形を除去し難く、また、脈波を全く計測できないことがあり、その結果、有用な脈波情報を得ることが困難であるという問題がある。
【0017】
また、上記したような従来の加速度脈波測定器において、算出した加速度脈波を順番に数個提示して、脈波情報を得る方法を採用しているものは、脈波の基線レベルが不安定な場合に脈波の検出が困難であり、また、振幅のピーク値の同定が不明瞭である場合がある。波形の時間位置が変動するので、加速度脈波に対して平均処理をすると波形がなまるという問題がある。
【0018】
従来の脈波検出装置における問題点を纏めると、次の通りである。
(1)測定周波数を伸ばして、測定精度を上げようとすると、高周波ゆらぎ成分の振幅が大きくなる。
(2)気温が低いときや被験者の体調によっては、また、被験者が高齢者である場合等には、脈波の振幅自体が非常に小さく、正確な脈波情報が得られ難い。また、測定時において被験者の緊張度が高い場合など、測定データに、脈波の振幅に比較して相対的に大きい10Hzを超える高周波の揺らぎ成分が乗っている場合がある。
【0019】
上記(1)及び(2)の場合、速度脈波を利用した脈波検出装置において、微分波形では高周波ノイズが大きく出るため、脈波ピークの同定が困難となる。
(3)微分波形のピーク波高値のバラツキを基準にノイズ成分を判定して除去しようとしても、脈波をまったく検出できない場合がある。
(4)容積脈波において、高周波ノイズが低く押さえられ、基線レベルが安定している場合は、脈波検出を適切に行うことができるが、図2(a)に示すような基線変動が大きいと脈波の検出は困難となる。また、速度脈波(1次微分脈波)では、図2(b)に示すように、A、B及びC点で振幅のピーク位置(ピーク値)の同定が不明瞭となる場合が発生する。図2(c)は、2次微分脈波において基線レベルが安定している状態を示す参考波形図である。
(5)加速度脈波の波形パターンを詳細に解析し、脈波波形として利用する場合、加速度脈波そのものに備わっている僅かな揺らぎでも無視できない。すなわち、このような揺らぎによりピーク波形の時間位置に変動がある場合、加速度脈波に対して平均処理をすると波形がなまってしまう。図3(a)に示すように、個々の加速度脈波の波形の時間位置が変動するので、平均波形は、図3(b)に示すような波形をとり、望ましい平均波形が得られない。
【0020】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、従来の脈波計測装置よりも周波数特性のよい、加速度脈波の平均波形に基づく脈波計測・解析装置、及び加速度脈波計測・解析装置における個別加速度脈波の抽出と時間位置決定を行い、平均波形を算出し、提示する方法を提供することにある。また、本発明では、脈波波形を安定して正確に計測することが可能であり、かつ、測定再現性のよい脈波センサ、並びに商用電源周波数とその高調波由来のノイズ、及びその他のノイズ成分を有効に除去可能なフィルター手段を備えた脈波計測・解析装置を提供するものでもある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、脈波により被験者の循環器系の状態変化や、その変化をもたらす体調の変化を推定することができることより、脈波波形を安定して再現性よく測定し、かつ、誘導ノイズを除くべく鋭意研究開発を行ってきた。その結果、特定の構成を有する脈波センサとフィルターとを用いることにより、誘導ノイズが出現することなく、再現性よく加速度脈波を計測できること、さらには、計測された加速度脈波の振幅の平均波形を算出・提示することができること等により、本発明の課題を達成することができることに気がつき、本発明を完成させるに至った。
【0022】
本発明の脈波計測・解析装置は、人体の脈波を計測する脈波計測手段と、該脈波計測手段から出力された脈波の波形を2次微分して加速度脈波を算出する加速度脈波算出手段と、該加速度脈波算出手段で算出された加速度脈波の出力波形から平均波形を算出する平均波形算出手段とを備えた脈波計測・解析装置であって、該平均波形算出手段は、容積脈波の極小点と波高値から脈波波形の基線の安定な期間の一拍毎の個々の脈波である個別脈波を切り出し、容積脈波開始点を求める手段と、該切り出した個別脈波から標準加速度脈波を求める手段と、得られた該標準加速度脈波から個別加速度脈波を検出する手段と、該個別加速度脈波の波形のa波のピーク点とe波のピーク点とのa−e間隔の頻度分布に基づいて加速度脈波の平均波形を求める手段とを備えていることを特徴とする。このように構成することにより、人体の脈波を有効に活用することが可能になる。
【0023】
本発明の脈波計測・解析装置における平均波形算出手段は、前記平均波形算出手段は、容積脈波の脈波波形の基線が安定していない期間においては、基線の安定した期間で切り出した個別脈波から暫定的な加速度脈波の平均波形(標準加速度脈波)を求め、この標準加速度脈波のa波と、該安定していない期間で求められた測定加速度脈波の連続波形の極大値との時間位置を合わせて類似度を求め、個別加速度脈波のa波のピーク点の位置を決定する手段を有している。
上記装置において、加速度脈波の平均波形を求める手段は、a波のピーク点とe波のピーク点とのa−e間隔の頻度分布を求め、頻度の高いものの平均波形を求めて、提示するように構成されている。
【0024】
本発明の脈波計測・解析装置において、人体の脈波を計測する脈波計測手段は脈波センサからなり、該脈波センサは、発光部と受光部とにより人体の指の脈波を測定する反射型の脈波センサであって、該発光部を、該受光部より指の動脈血流の下流側に、その上面が該受光部の上面よりも突出し、かつ所定の距離だけ指の腹部を載置する床面よりも高くなるように配置し、そして指の先端を該発光部よりも指動脈血流のさらに下流側に装着するための空間が該床面の先端部分に設けられていることを特徴とする。この脈波センサを備えた脈波計測手段は、脈波への影響は少なく、再現性よく脈波を計測することができる。
【0025】
上記脈波センサの発光部は、その上面が指の腹部を載置する床面より0.2〜2.0mm程度、好ましくは0.3〜1.5mm程度、さらに好ましくは0.4〜1.0mm程度高くなるように配置される。発光部をこのような範囲内に配置すると、指腹部の皮膚面が発光部上面から下に被さるので、測定データに対する外乱光や漏洩光や反射光の影響を小さくすることができると共に、被験者が指を装着する際に、その突出部に触れることによりセンサー位置を認識して、指を所定の位置に載置し易いという利点がある。しかし、0.2mm未満であると、センサー位置を確認し難いので、指先を所定位置に載置し難いと共に、測定データに対する反射光の影響が大きくなる。また、2.0mmを超えると、指皮膚面が床面から浮くため、不安定な装着状態になると共に、指を載置した時の指に対する圧力により波形の変形が生じて再現性が悪くなり、測定される脈波データにバラツキが生じて、正確な脈波情報を得ることが難しくなる。
【0026】
上記脈波センサにおける受光部は、その上面が指の腹部を載置する床面と同じレベルになるように配置されているか、又は所定の距離だけ該床面より低くなるように配置されている。このように構成することにより、発光部に対する指の密着性がより良好になる。なお、受光部が指を押圧するような構造とすると、その部分でうっ血が発生し、動脈血流の循環が悪くなり、波形変化が生じ、適切な評価ができない。
【0027】
上記指の先端を載置する空間の床面と対向する面に押圧材を設け、該押圧材で発光部よりも指動脈血流のさらに下流側の指先先端部を押さえるようにする。被験者は、脈波測定中に意識的・無意識的に指先に力を入れる場合がある。この場合に、力を抜くように指導すると、被験者の指の形状によっては、センサーへの密着性が悪くなることがある。力を入れる場合も、力を抜く場合も、指の小さな動きによるノイズが発生する。本発明のように押圧材を設けることにより、ノイズが減少し、測定データの再現性が増し、正確な脈波情報を得ることができる。
【0028】
上記したように、指の押圧部を発光部上面の小面積に限るように構成してあるので、受光部は押圧部の上流側の指動脈血流部分の脈波を正確に測定することができる。指が発光部上面以外をも押圧する場合には、押圧部位が指動脈血流の下流側にあったとしても、受光部の測定部位が押圧の影響を受けるため、測定の再現性が低下する。
上記発光部の側面は、該発光部から指内に照射される光が外部に漏れるのを阻止しかつ指の腹部表面からの反射光を阻止するために、筒状の遮光壁で囲まれている。
【0029】
上記発光部は、内面が照射光に対する反射特性を有する筒型の遮光壁内部に配置され、該遮光壁の上端が、指の腹部を載置する床面から通常0.2〜2.0mm程度、好ましくは0.3〜1.5mm程度、さらに好ましくは0.4〜1.0mm程度突出するように構成され、指の腹部がこの上端に載置されて遮光壁上端全面を覆うようにする。
【0030】
遮光壁の上端をこのような範囲内になるように突出させると、指腹部の皮膚面が発光部上面から下に被さるので、測定データに対する外乱光や漏洩光や反射光の影響を小さくすることができると共に、被験者が指を装着する際に、遮光壁の突出位置に触れることによりセンサ位置を認識して、指を所定の位置に載置し易いという利点がある。しかし、0.2mm未満であると、遮光壁位置を確認し難いので、指先を所定位置に載置し難いと共に、発光部からの照射光や指腹部表面からの反射光が漏れ易くなり、測定データに対する反射光の影響が大きくなる。また、2.0mmを超えると、指皮膚面が床面から浮くため、不安定な装着状態になると共に、指を載置した時の指に対する圧力により波形の変形が生じて再現性が悪くなり、測定される脈波データにバラツキが生じて、正確な脈波情報を得ることが難しくなる。
【0031】
本発明の脈波計測・解析装置において、脈波計測手段から出力された脈波の波形を2次微分して加速度脈波を算出する加速度脈波算出手段は、入力された脈波の脈波信号を濾波して出力するフィルター手段を有し、該フィルター手段が、遮断周波数20〜30Hzの1次又は2次のローパスフィルターであるアナログフィルターと、遮断周波数15〜40Hzとする初段のデジタルローパスフィルターと、遮断周波数15〜40Hzの後段の高域カットデシタル微分フィルターとで構成されており、該初段のデジタルローパスフィルターにおいて、商用電源周波数50Hz又は60Hzの一方での応答が零点付近になるように構成すると共に、前記後段の高域カットデジタル微分フィルターにおいて、該商用電源周波数の他方での応答が零点付近となるように構成することを特徴とする。このように構成することにより、商用電源周波数とその高調波から誘導されるノイズ成分やその他のノイズ成分を有効に除去することができる。
【0032】
上記した加速度脈波算出手段の有する1次、2次のローパスフィルターの遮断周波数を20〜30Hzとすれば、所望の減衰率を達成でき、また、急峻な入力波形に対する応答にリンギング状の波形変形は発生しない。また、初段のデジタルローパスフィルター、及び後段の高域カットデジタル微分フィルターにおける遮断周波数が、15Hz未満であると従来の場合と同等程度の性能しか得られず、また、遮断周波数が40Hzを超えると急峻な変化のある入力波形に対する応答にリンギング(振動波形)が生じる。
【0033】
上記初段のデジタルローパスフィルターにおいて、商用電源周波数50Hz又は60Hzの一方での応答が零点付近になるように構成する場合、減衰率の極大値が80dB(1/1000)以上となるように構成すると共に、上記後段の高域カットデジタル微分フィルターにおいて、該商用電源周波数の他方での応答が零点付近になるように構成する場合、減衰率の極大値が40dB(1/100)以上となるように構成することが好ましい。初段のデジタルローパスフィルターにおいて、減衰率の極大値が80dB未満となるように構成すると、商用電源周波数由来のノイズ成分を加速度脈波の振幅に対して100分の1以下とすることができず、誘導ノイズを有効に除去できない。また、後段の高域カットデジタル微分フィルターにおいて、減衰率が40dB未満となるように構成すると、同様に誘導ノイズを有効に除去できない。
【0034】
また、本発明の加速度脈波の平均波形の算出・提示方法は、人体の脈波を計測し、該計測された脈波の波形を2次微分して加速度脈波を算出し、該算出された加速度脈波の出力波形から平均波形を算出して、提示する平均波形の算出・提示方法であって、容積脈波の極小点と波高値から脈波波形の基線の安定な期間の一拍毎の個々の脈波である個別脈波を切り出し、容積脈波開始点を求める工程と、該切り出した個別脈波から標準加速度脈波を求める工程と、得られた該標準加速度脈波から個別加速度脈波を検出する工程と、該個別加速度脈波の波形のa波のピーク点とe波のピーク点とのa−e間隔の頻度分布に基づいて加速度脈波の平均波形を求める工程と、得られた平均波形を提示する工程とを有することを特徴とする。このような工程を経て人体の加速度脈波の平均波形が正確に求められるので、人体の脈波を有効に活用することが可能となる。
【0035】
上記本発明の加速度脈波の平均波形の算出・提示方法において、容積脈波の脈波波形の基線が安定していない期間においては、基線の安定した期間で切り出した個別脈波から暫定的な加速度脈波の平均波形(標準加速度脈波)を求め、この標準加速度脈波のa波と、安定していない期間で求めた測定加速度脈波の連続波形の極大値との時間位置を合わせて類似度を求め、個別加速度脈波のa波のピーク点の位置を決定する。
上記方法において、加速度脈波の平均波形を求める際に、a波のピーク点とe波のピーク点とのa−e間隔の頻度分布を求め、頻度の高いものの平均波形を求め、提示する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として、本発明の脈波計測・解析装置、並びにこの装置に用いる反射型脈波センサ及びこのセンサから出力された脈波の脈波信号を濾波して出力するフィルター手段について、図面を参照して具体的に説明する。
【0037】
本発明の装置は、上記のように構成されているので、人体の脈波を有効に活用することが可能である。本発明によれば、上記装置において、加速度脈波の平均波形を求める手段は、上記したように、a波のピーク点とe波のピーク点とのa−e間隔の頻度分布を求め、頻度の高いものの平均波形を求めて、提示するように構成されている。この場合、a−e間隔を求めるに当たって、e波直前の最大傾斜点である3次微分脈波最大点を切痕点として抽出し、a−cut間隔の頻度分布から平均波形を求めるように構成されていてもよく、また、加速度脈波のa−a間隔からe波の推定位置を求め、e波推定位置直前の正の最大傾斜点を切痕点と定め、切痕点以後e波推定位置までの間に極大点があれば、この点をe波と定めてもよい。
【0038】
本発明の加速度脈波の平均波形の算出・提示方法は、上記したような工程により実施でき、この場合、加速度脈波の平均波形は、脈波の振幅が大変小さい場合、基線変動が脈波の振幅に比して相対的に大きい場合、又は加速度脈波に相対的に大きな揺らぎが乗っている場合において、個別加速度脈波の抽出と時間位置決定により算出され、提示できる。また、波形特徴点の時間位置変動による波形変化に対する平均波形を算出・提示することができる。
【0039】
本発明によれば、加速度脈波の平均波形は、例えば、次のようにして算出・提示され得る。
(1)容積脈波であれば、高周波揺らぎの振幅は本来の脈波の振幅に比べて十分小さい。そこでまず、容積脈波の極小点と波高値から、基線の安定な期間の一拍ごとの個々の脈波である個別脈波を切り出す。
(2)基線が安定しない期間においては、容積脈波から脈波の切り出しを行うことが困難である。すなわち、基線変動があると脈波を抽出できない(図4(a))。そこで、上で切り出した個別脈波から暫定的な加速度脈波の平均波形(標準加速度脈波)を求め、この標準加速度脈波のa波と、測定加速度脈波の連続波形の極大値との時間位置を合わせて類似度を求め、個別加速度脈波のa波のピーク点の位置を決定する。このように、測定期間を代表する平均的な波形を標準加速度脈波として求め、個々の加速度脈波と標準加速度脈波の類似度から、容積脈波が安定しない期間においても加速度脈波が抽出できるため、測定不能の割合を大幅に改善される。
【0040】
(3)平均脈波間隔から、次の脈波位置を推定して、a波抽出の精度を高める。
(4)平均脈波間隔から外れる脈波が検出される場合、平均値の計算から除外する。
(5)a−e間隔の頻度分布を求め、頻度の高いものの平均波形を求めて、提示する。
(6)e波直前の最大傾斜点(3次微分脈波最大点)を切痕点として抽出し、a−cut間隔の頻度分布から上と同様にして平均波形を求めることもできる。
【0041】
以下、本発明における加速度脈波の平均波形の算出・提示方法について、図面を参照してさらに詳細に説明する。
(1)容積脈波の極小点と波高値から、基線の安定な期間の一拍毎の個々の脈波である個別脈波を切り出して、極小点と極大点を求め、その波高差により、基線の安定な期間の容積脈波開始点を求める(図4(b))。以下述べるような基線安定期間の判定法については、他にも種々の方法があり、例えば、極小点の変化分を判定の基準とすることもできる。
【0042】
(1−a)脈波開始点の候補を求める:数秒から10秒程度の区間における容積脈波の全ての極小点=速度脈波の零点(−→+)を求めて、脈波開始点の候補とする。
(1−b)脈波波形の右上がりの基線変動区間を除外する:極小点から次の極大点までの波高差を求める。このとき上昇期間(速度脈波の値が正の期間)が0.5秒を超えるものは、右上がりの基線変動があるものとして除外する。
【0043】
(1−c)切痕部、ノイズ、右下がりの基線変動区間を除去する:(イ)波高差が最大のものから2番目の波高差を求める。最大のものは、場合により、体の動きに伴う変化などのノイズが上乗せされた可能性があるからである。(ロ)2番目の波高差の、0.4倍以上の波高差の極小点を選び出す。0.4倍未満の波高差は、切痕部もしくは右下がりの基線変動期間の可能性があるからである。右下がりの基線変動があると波高値が小さくなる(図4(c))。なお、脈拍周期より長い時間間隔で起こる基線変動は加速度脈波にほとんど影響しない(図4(d))。
【0044】
(2)切り出した個別脈波から標準加速度脈波を求める。
(2−a)選び出した極小点=脈波の開始点から最初の加速度脈波の極大点を求めてa点とする。
(2−b)a点を重ね合わせて平均波形を求め、標準加速度脈波とする。
(2−c)標準加速度脈波のa点の波高値を、AveACCaとする。
(2−d)a点間隔Taaの平均値AveTaaを求める。
【0045】
(3)標準加速度脈波による個別加速度脈波の検出(図5)。図5(a)は加速度脈波の標準波形図を示し、図5(b)は過去数拍分の加速度脈波を平均する場合を説明するための波形図を示し、図5(c)は差成分の最大点と最小点との差を類似度評価の基準に用いる場合を説明する波形図を示す。
(3−a)順番に脈波番号nをつけ、脈波番号nのa点の絶対時間をTTA(n)、波高値をACCa(n)とする。
(3−b)TTa(n)+AveTaa−100msec〜TTa(n)+AveTaa+100msecの範囲の加速度脈波の極大点で、AveACCa+100%−50%の極大点をa波の候補点として抽出する。
【0046】
(3−c)上記において、a波の候補点が見つからなければ、上記範囲外で、TTa(n)+2*AveTaaまでa波候補点を探索する。
(3−d)求めた加速度脈波極大点と標準加速度脈波のa点との時間位置を合わせて、類似度を評価する。類似度は、評価する加速度脈波と標準加速度脈波との差分波を求め、差分波の最大値と最小値との差が小さいほど類似度が大きいと定めるのが簡便である。
(3−e)類似度が大きいものを個別加速度脈波として抽出する。抽出した個別加速度脈波のa点の時間位置をTTa(n+1)とする。a点の時間位置は、3次微分脈波が正の値から負の値に変化するゼロ点として検出し、データ間隔(例えば、1msec)の間を補完することにより、データ間隔以上の時間精度(例えば、0.1msec)で時間位置を決定する。
【0047】
(3−f)個別加速度脈波が上記(3−b)の範囲に見つかった場合の処理:
(イ)Taa(n)=TTa(n+1)−TTa(n)としてa−a間隔を求め、AveTaaを更新する。
(ロ)次の探索範囲をTTa(n+1)+AveTaa−100msec〜TTa(n+1)+AveTaa+100msecとする。
(3−g)個別加速度脈波が上記(3−c)の範囲に見つかった場合の処理:
(イ)期外収縮とみなして、次の探索範囲をTTa(n)+2*AveTaa−100msec〜TTa(n)+2*AveTaa+100msecとする。
【0048】
(ロ)見つかった個別加速度脈波のa点の時間位置をTTa(n+2)とする。
(ハ)Taa(n)=Taa(n+1)=(TTa(n+2)−TTa(n))/2としてa−a間隔を求め、AveTaaを更新する。
(3−h)個別加速度脈波が見つからなかった場合の処理:
上記(1)項の、容積脈波検出処理に戻る。
(4)
標準加速度脈波:AveACCa[tt]=((N−1)*AveACCa[tt]+ACCa[tt]/N;
平均脈拍間隔:AveTaa=((N−1)*AveTaa−Taa)/N;
(ただし、上式において、N=2〜16)
【0049】
(5)個別加速度脈波のa−e間隔を基準にして、平均的な加速度脈波の波形を求める(図3)。
(5−a)a−e間隔の頻度分布を求める。
(5−b)a−e間隔の頻度が高い区間における加速度脈波の平均波形を求める。
上記したような加速度脈波の平均波形の算出・提示方法について、図6〜9にフロー図として纏めてある。図6は、(a)標準加速度脈波の算出から、(b)個別加速度脈波の切り出しを経て、(c)a−e間隔における異常波除去と平均波形の算出までのフローを示し、図7、8及び9は、それぞれ、図6に示す上記(a)、(b)及び(c)の詳細なフローを示す。
【0050】
すなわち、図7に示す標準加速度脈波の算出は、基線安定期間の容積脈波極小点から脈波を抽出(容積脈波極小点検出→基線安定期間の判定→切痕と基線の減少期間及び小さなノイズの除去→極小点間隔から脈波開始点を抽出→正常な脈波周期の範囲を決定して、脈波を抽出)し、次いで、a点検出→個別加速度脈波の切り出し→この個別加速度脈波の平均波形を求めて、標準加速度脈波とすることにより行われる。図8に示す個別加速度脈波の切り出しは、算出した標準加速度脈波に基づき、基線変動期間の脈波を検出(加速度脈波のa波推定と脈波候補抽出→標準加速度脈波と類似度算出)し、類似度の低い場合は除外することにより行われる。次いで、図9に示すa−e間隔による異常波除去と平均加速度脈波の算出は、抽出した個別加速度脈波と標準加速度脈波とから平均加速度脈波を算出し、平均加速度脈波のa−e間隔を求め(e点を推定し、直前の切痕を検出→e点検出→a−e間隔算出)、個別加速度脈波のa−e間隔を求め、その後、a−e間隔の異常波を判定し、平均加速度脈波を再計算することにより行われる。さらなる詳細については、上記した説明を参照すれば、また、図7、8及び9を参照すれば自明であるので、説明しない。
【0051】
次に、本発明の装置に用いる反射型脈波センサの実施の形態について説明する。
図10は、反射型脈波センサの構造の一例を示す断面図であり、(a)は脈波センサの要部である指装着部の模式的構造を示す断面図であり、(b)は発光部及び受光部の近傍の拡大断面図であり、指を装着した状態で示す。
【0052】
この反射型脈波センサは、指先端部を装着することができる形状を有するものであって、蓋部を構成する開閉自在の合成樹脂製の上方部分と、指腹部を載置することができるように構成された合成樹脂製の床部分とを有してなる。上方部分はその内面が指の外形に沿った形状をしていてもよく、また、床部分はその床面が平坦であっても又は外乱光を遮断するために指の付け根側がやや高く又は低くなるように傾斜した形状になっていてもよい。以下述べるように、上方部分の先端部には押圧材が設けられ、床面に載置した指の動脈血流の発光部よりもさらに下流側の指先先端部分を押さえて固定できるようになっており、また、床部分には発光部及び受光部が所定の位置に配置されている。この押圧材は、指の先端部分を押さえて固定できるものであればよく、例えば、クッション材や、バネ材のような板材等でよい。また、このセンサには、反射光の電流/電圧変換回路、増幅器が設けられており、このセンサをパーソナルコンピュータ等に接続すれば、センサからの出力に基いて正確な脈波情報を得ることができる本発明の脈波計測・解析装置となる。
【0053】
この脈波センサの場合、指装着部に指を差し込み、指の先端部分の腹部に赤外線等の光を当てると、毛細血管中のヘモグロビン(赤血球)が光の一部を吸収し、光の反射量が変化する(血液量が多い部分は光の反射量が少なくなる)。この微妙な光の反射量の変化を検出し、検出された反射光を電流から電圧へ変換し、増幅器に送信し、増幅された信号電圧をパーソナルコンピュータを利用してAD変換して出力し、脈波情報として活用する。
【0054】
脈波センサの要部を構成する指装着部には、図10(a)及び(b)に示すように、発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子からなる発光部1が、フォトダイオード(PD)等の半導体受光素子からなる受光部2よりも人体の指3の動脈血流の下流側に配置される。指内の発光部1からの照射光1aの経路を見ると、発光部分の光束は、指内を進むにつれて拡散して拡がる。このため、発光部1からの入射光変化による受光部2の光量変化は大きく、受光部2の位置変化による受光する拡散光の光量変化は小さい。従って、発光部1を指に密着するようにすることが必要となる。しかし、密着性を良くすることは、指に余分の圧力を加えることになるので、そこで、この脈波センサでは、発光部1を受光部2より指動脈血流の下流側に配置し、指に余分の圧力が加わらないようにする。
【0055】
また、発光部1は、その上面が受光部2の上面より所定の距離だけ高くなるように配置される。すなわち、発光部1の高さH1が受光部2の高さH2より所定の距離だけ高くなるように構成する。指装着部の先端部分には、赤外LED等からなる発光部1から照射される光1aの経路よりも指動脈血流のさらに下流側に空間4が設けられ、指3の先端部がこの空間内に載置され得るように構成される。
【0056】
指装着部の指腹部を載置する面は、指載置床面5として構成される。床面5には発光部1及び受光部2が所定の位置に設けられ、床面の先端部分は傾斜して立ち上がり、指の先端が適切に納まるように構成される。この指装着部において、発光部1の配置された位置より動脈血流の下流側であって、床面と対向する面に押圧材6が設けられる。この押圧材により、装着された指の先端部分(爪部)を軽く押さえ、装着された指が動かないようにする。このように構成することにより、被験者の意識的・無意識的な指の小さな動きが少なくなって、ノイズ発生が減少し、その結果、測定波形の変化も少なくなる。なお、押圧材により動脈血流の下流側を圧迫しても、脈波への影響は小さい。
【0057】
発光部1からの照射光1aが指の皮膚表面で反射して受光部2に入り込むと、この反射光がノイズとなり、受光部2に入る受光量が変動する。このために、正確な脈波を測定することができなくなる。また、照射光1aが脈波センサの外部に漏れると、照射光の効率が下がり、かつ、受光部が受け取る反射光2aの光量が減少して正確な脈波を測定することが困難になる。そのため、本発明では、余分な反射光や漏洩光を阻止するために、発光部1の側面を筒状の遮光壁7で囲んである。
【0058】
この遮光壁7は、反射光や漏洩光をなくすような形状であれば、その形状は問わないが、例えば、発光部1の外周形状に沿った円筒状等の形状が好ましい。装着された指は、この遮光壁の上面に7aの点で密着し、固定される。遮光壁7は、その受光部2側が黒色であってもよく、また、その内面が鏡面であってもよい。遮光壁の材料としては、赤外線を遮る性質を有する材料であれば特に制限はなく、例えば、赤外線を実質的に透過させないポリプロピレン系樹脂やABS系樹脂等の熱可塑性樹脂等、又はこれらに黒色塗装等の表面処理を施したものをあげることができる。
【0059】
上記脈波センサでは、発光部1の上面に赤外線透過性の絶縁体キャップ8を設け、発光部1と指3とが直接接触しないようにしてもよい。これは、発光部の通電部に影響を及ぼさないようにするためと、発光部表面の汚れを清拭しないで済むようにするためである。絶縁体キャップ8の外形は、例えば、発光体1の上方部分の形状に沿った円筒形状等の形状であればよい。絶縁体キャップ8の上面を凹レンズで構成すれば、射出光の指向性をさらに広げることができる。この絶縁体キャップの材料としては、赤外線に対して透光性が高い赤外線透過性材料であれば特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等をあげることができる。また、受光部2と指3とが直接接触して指に圧力がかからないように、受光部2と指3との間に隙間を設けるような構造とすることが好ましい。
【0060】
発光部1の発光素子と受光部2の受光素子との指向性の影響について図11に示す。図11(a)に示すように、発光部1の発光素子と受光部2の受光素子との配置が従来の指向性が強い配置の場合、発光部1の発光ダイオードの光軸がずれると、有効な検出領域もずれる。しかし、図11(b)に示すように、指向性の弱い発光部1の発光素子と受光部2の受光素子とを接近して配置すれば、発光ダイオードの光軸のずれに対する有効検出領域のずれは相対的に小さい。そのため、得られる脈波情報は正確となる。
上記脈波センサーにおいて、発光部1からの照射光の射出角(半値角)αを通常50度以上、好ましくは50〜85度、より好ましくは50〜80度とすることにより、有効検出領域のずれは相対的に少なくなる。50度未満であると、有効検出領域のずれが大きくなり、正確な脈波データを得ることが困難になる。
【0061】
上記脈波センサーにおいて、発光部1と受光部2との距離が長くなる程、加速度脈波の波形であるa波の振幅は小さくなって、ノイズ成分が発生し易くなり、測定波形の変形が大きくなる傾向がある。また、その距離が長い程、圧力の影響がある指部位の脈波を測定することになり、測定波形が変形し易い。そのため、発光部と受光部との距離を、所定の距離、例えば、通常8mm以内、好ましくは6mm以内に設定すれば、加速度脈波のa波の振幅及びb波とa波との比(b/a)は適切な範囲内に納まる。この場合、光軸のずれも少なく、有効検出領域のずれも少なく、また、波形は変形し難い。なお、この距離が上記範囲を外れた動脈上流側の指部位では、動脈血管が膨らんで、b/aが小さい(絶対値が大きい)状態になり、また、下流側の指部位では、鬱血状態となって、b/aが大きい(絶対値が小さい)状態になる。また、発光部と受光部との距離の下限は、特に制限はなく、発光部と受光部との物理的な大きさや脈波センサーの大きさ等に依って設定できる最低距離であればよい。例えば、2〜3mm程度に設定してもよい。
【0062】
また、絶縁体キャップが脱落しないようにして、脈波センサ本体の取り扱い性を向上させるため、図12に示すように、絶縁体キャップ14の下方部分につば部14aを設けた構造としてもよい。図12において、11は発光部、11aは発光部からの照射光、12は受光部、13は遮光壁を示す。発光部11、受光部12、遮光壁13等の配置位置関係については、図10に示す場合と同様である。また、遮光壁13及び絶縁体キャップ14の材料としても、図10に示す遮光壁7及び絶縁体キャップ8の材料と同様である。さらに、絶縁体キャップ14の上面を凹レンズで構成すれば、射出光の指向性をさらに広げることができる。
【0063】
上記のように、受光部2は、指に圧力がかからないよう、その上面が指装着部の床面と同一高さ又はそれより下になるように配置される。これにより、受光部2に入射する光の割合が最も多い受光部上部位置にあたる指部分が圧迫されないようになる。例えば、受光部を脈波センサの指載置床面より1mm程度低くなるように配置すればよい。
上記した脈波センサを、センサから出力された脈波情報の解析回路を構成するパーソナルコンピュータ等を内蔵する脈波解析装置に接続して、センサからの出力脈波信号に基づいて、脈波を解析して、ノイズ成分のない脈波情報を提示することができる。
【0064】
本発明の脈波計測・解析装置において、脈波計測手段により得られた脈波の波形を2次微分して加速度脈波を算出する加速度脈波算出手段は、上記したように、計測された脈波の脈波信号を濾波して出力するフィルター手段を有する。以下、このフィルター手段について具体的に説明する。
アナログフィルターの設計と回路例によれば、1次ローパスフィルター(LPF)と2次LPFとは、オペアンプ1個に数本の抵抗とコンデンサーを設けるだけでよいので、安価に構成することができる。図13にVCVS(電圧制御電圧源)型の2次LPFの一例を示す。
【0065】
LPFの遮断周波数を30Hzとすると、−50dB(約1/300)減衰する周波数は1次LPFでは約10kHz、2次LPFでは約500Hzとなる。従って、アナログLPFを1次LPFとすると、必要なA/D変換のサンプリング周波数は20kHz程度となり、また、2次LPFとすると必要なA/D変換のサンプリング周波数は1,000Samples/sec(1kHz)程度となる。
日本国内における商用電源周波数が50Hz及び60Hzであることから、有用な脈波計測装置を提供するには、デジタルフィルターで50Hzと60Hzとがともに大きく減衰する構成を考える必要がある。一つのLPFで、50Hz及び60Hzでの応答が共に零点近くになるように構成することは可能であるが、デジタルフィルター構成の性質上、急峻な遮断特性となり、リンギングの発生を無視することができない。
【0066】
また、デジタルフィルターの場合は丁度零点となるように構成することは困難であるので、実用上は、例えば減衰率が80dB以上となるように構成する。
そこで、図14(a)に示すように、初段のデジタルLPFにおいて、50Hz又は60Hzの一方(例えば、60Hz)での応答が零点付近になるよう構成すると共に、図14(b)に示すように、高域カットデジタル微分フィルターにおいて、他方の商用電源周波数(例えば、50Hz)での応答が零点付近となるように構成する。このとき、デジタルLPFにおいて零点に設定しなかった方の商用電源周波数(例えば、50Hz)における減衰率は40dB以上となるように構成することが望ましい。この構成により、商用電源周波数50Hz及び60Hzの両地域において、共に速度、加速度脈波から商用電源周波数等由来のノイズ成分を除去することができる。また、デジタルLPFにおいて零点に設定しなかった方の商用電源周波数地域(例えば、50Hz)においては、脈波信号に乗る商用電源周波数のノイズは実用上無視できるレベルになる。
【0067】
上記のように商用電源周波数(60Hz、50Hz)での応答を零点付近とするフィルター係数の算出法は、以下の通りである。
FIR(Finite Impulse Response)デジタルフィルターのフィルター係数をC(k)とすると、出力(y)と入力(x)との関係は次式(1)で示される。
【0068】
【数1】
また、周波数特性を表す伝達関数H(f)は、次式(2)で示される。
【数2】
(ただし、式(2)中、サンプリング周波数fsを1とする。)
時間的に対称なFIRフィルターは、C(k) = C(−k)である。
【0069】
【数3】
fcを遮断周波数とする理想フィルターのフィルター係数をh(k)とすると、このフィルター係数は次式(4)で示される。
【数4】
【0070】
理想フィルターではリンギングによる波形歪みが発生するので、FIRデジタルフィルターのフィルター係数は、窓関数w(k)を用いて次式(5)で示される。
【数5】
この窓関数w(k)は、例えば、ハニング窓wh(k)であれば、次式(6)で示される。
【数6】
【0071】
上式(5)のフィルター係数を式(3)に代入すると、周波数特性H(f)が求まる。例えば、商用電源周波数60Hzでの応答を零とするには、次式(7):
【数7】
とし、この式から、fs、fc、Nを求める。一般には、正確な解は求まらず、目的にあった適当な近似解を採用する。
【0072】
上記したフィルター構成において、例えば、脈波において有効な周波数領域の20HzをデジタルLPFの遮断周波数とした場合に、アナログLPF、デジタルLPFとも、リンギング発生の極めて少ないなだらかな周波数特性となるようにしてあるので、高域カットデジタル微分フィルターの遮断周波数をより高周波側に設定すれば、20Hzよりも高周波の加速度脈波信号成分も評価可能になる。
【0073】
上記のように構成した脈波計測・解析装置を用いて、脈波センサで脈波を検出して脈波信号を出力し、フィルターで該脈波信号を濾波して出力し、該濾波された脈波信号に基づいて脈波情報を計測する際に、該脈波センサから出力された脈波信号を、遮断周波数20〜30Hzの1次又は2次のローパスフィルターであるアナログフィルターを通して濾波し、次いで、濾波された脈波信号を、遮断周波数15〜40Hzの初段のデジタルローパスフィルター及び遮断周波数15〜40Hzの後段の高域カットデシタル微分フィルターを通してさらに濾波して、商用電源周波数50Hz及び60Hzにおいて速度脈波及び加速度脈波に乗る商用電源周波数、その高調波等に由来するノイズを除去することができる。
【0074】
上記装置におけるAD変換のサンプリング周波数は、特に臨界的なものではなく、高い程よい。例えば、使用する制御用マイクロコンピュータの連続繰返しAD変換の最大周波数(例えば、35kHz)に基づいて、制御処理等のプログラムを考慮すれば、有効な脈波情報を得るためのサンプリング周波数は、500Samples/sec(Hz)程度以上である。サンプリング周波数を500Samples/sec未満とすると、有効な脈波情報を得るためには、4次以上のアンチエイリアシングフィルターを設けなければならず、装置構成が複雑になる。また、AD変換の際のサンプリング周波数が高い程、ADコンバーターが高価になると共に、フィルターの演算量が増えデジタル処理に時間がかかる。そのため、サンプリング周波数の上限は、適正な装置価格や処理時間等を考慮して適宜設定すればよい。
【0075】
また、サンプリング周波数を、上記したように500Samples/sec(Hz)程度以上、好ましくは500〜20,000Samples/sec程度、さらに好ましくは1,000〜5,000Samples/sec程度とし、初段のデジタルLPFの零点(減衰率の極大点)を商用電源周波数の50Hz又は60Hzとし、後段のデジタル微分フィルターとして、高周波数で減衰を効かせて初段のデジタルLPFの零点の商用電源周波数とは異なる商用電源周波数を零点となるように構成したものを用いることにより、商用電源周波数とその高調波由来のノイズ、及びその他のノイズ成分を有効に除去し、有効な脈波情報を得ることができる。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、平均波形算出手段は、容積脈波の極小点と波高値から脈波波形の基線の安定な期間の一拍毎の個々の脈波である個別脈波を切り出して容積脈波開始点を求める手段と、切り出した個別脈波から標準加速度脈波を求める手段と、得られた該標準加速度脈波から個別加速度脈波を検出する手段と、該個別加速度脈波の波形のa波のピーク点とe波のピーク点とのa−e間隔の頻度分布に基づいて加速度脈波の平均波形を求める手段とを有している。そのため、従来の脈波計測装置よりも周波数特性のよい高精度加速度脈波測定装置における個別加速度脈波の抽出と時間位置決定とを行い、平均波形を算出し、提示することができる脈波計測・解析装置であって、得られた加速度脈波の平均波形に基づいた装置を提供することができる。
【0077】
また、本発明の脈波計測・解析装置に用いる反射型の脈波センサは、脈波波形を安定して計測することが可能であり、また、測定再現性のよいセンサである。
【0078】
さらに、本発明の脈波計測・解析装置を構成する加速度脈波算出手段が、計測された脈波の脈波信号を濾波して出力するフィルター手段を有し、該フィルター手段が、遮断周波数20〜30Hzの1次又は2次のローパスフィルターであるアナログフィルターと、遮断周波数15〜40Hzの初段のデジタルローパスフィルターと、遮断周波数15〜40Hzの後段の高域カットデシタル微分フィルターとで構成されており、該初段のデジタルローパスフィルターにおいて、商用電源周波数50Hz又は60Hzの一方が零点付近になるように構成すると共に、前記後段の高域カットデジタル微分フィルターにおいて、該商用電源周波数の他方が零点付近となるように構成してあるので、商用電源周波数とその高調波由来のノイズ、及びその他のノイズ成分を有効に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の光電式指尖容積脈波計による出力波形図であり、ノイズの乗った脈波波形の一例を示す波形図。
【図2】 容積脈波の基線レベルの状態を示す図であり、(a)は脈波の基線変動が大きい状態を示す波形図、(b)は速度脈波(1次微分脈波)の基線変動があり、振幅のピーク位置(ピーク値)の同定が不明瞭となる場合を示す波形図、(c)は2次微分脈波の場合の基線レベルが安定している状態を示す参考波形図。
【図3】 揺らぎによりピーク波形の時間位置に変動がある場合の加速度脈波の波形図であり、(a)は個々の加速度脈波の波形の時間位置が変動する状態を示す波形図、(b)はこの時間位置が変動する波形の平均波形及び望ましい平均波形を示す波形図。
【図4】 加速度脈波と基線変動との関係を説明するための波形図であり、(a)は極小点と極大点を求め、その波高差により、基線の安定な期間の容積脈波開始点を抽出する方法を説明するための波形図、(b)は基線変動があり、開始点を抽出できない状態を説明するための波形図、(c)は脈波波形の右下がりの基線変動がある状態を説明するための波形図、(d)は脈拍周期より長い時間間隔で起こる基線変動が加速度脈波にほとんど影響しないことを説明するための波形図。
【図5】 標準加速度脈波による個別加速度脈波の検出を説明する波形図であり、(a)は加速度脈波の標準波形図、(b)は過去、複数個の加速度脈波を平均する場合を説明するための波形図、(c)は差成分の最大点と最小点との差を類似度評価の基準に用いる場合を説明する波形図。
【図6】 本発明に係わる加速度脈波の平均波形の算出・提示方法の一実施の形態についてのフロー図。
【図7】 図6における標準加速度脈波算出のフロー図。
【図8】 図6における個別加速度脈波切り出しのフロー図。
【図9】 図6のa−e間隔における異常波除去と平均波形算出のフロー図。
【図10】 本発明の脈波計測装置で用いる脈波センサの構造の一例を示す断面図であり、(a)は脈波センサの要部である指装着部の模式的構造を示す断面図、(b)は図1(a)の発光部及び受光部の近傍の拡大断面図。
【図11】 脈波センサにおける光の指向性を示す模式図であり、(a)は従来技術における発光素子と受光素子との指向性の影響について示す図、(b)は本発明の装置でに用いる脈波センサーおける発光素子と受光素子との指向性の影響について示す図。
【図12】 本発明の装置で用いる脈波センサーの構造の別の例を示す断面図。
【図13】 VCVS(電圧制御電圧源)型の2次ローパスフィルターの回路例。
【図14】 本発明で用いるフィルターの設計例を説明するための波形例であり、(a)は初段のデジタルローパスフィルターの設計例を示す波形図、(b)は後段の高域カットデジタル微分フィルターの設計例を示す波形図。
【符号の説明】
1 発光部 2 受光部
1a 照射光 2a 反射光
H1 発光部の高さ H2 受光部の高さ
3 指 4 空間
5 指載置床面 6 クッション材
7 遮光壁 7a 指と遮光壁との密着点
8 絶縁体キャップ 14 絶縁体キャップ
14a つば部
Claims (5)
- 人体の脈波を計測する脈波計測手段と、該脈波計測手段から出力された脈波の波形を2次微分して加速度脈波を算出する加速度脈波算出手段と、該加速度脈波算出手段で算出された加速度脈波の出力波形から平均波形を算出する平均波形算出手段とを備えた脈波計測・解析装置であって、該平均波形算出手段は、容積脈波の極小点と波高値から脈波波形の基線の安定な期間の一拍毎の個々の脈波である個別脈波を切り出し、容積脈波開始点を求める手段と、該切り出した個別脈波から標準加速度脈波を求める手段と、得られた該標準加速度脈波から個別加速度脈波を検出する手段と、該個別加速度脈波の波形のa波のピーク点とe波のピーク点とのa−e間隔の頻度分布に基づいて加速度脈波の平均波形を求める手段とを備えていることを特徴とする脈波計測・解析装置。
- 前記平均波形算出手段は、容積脈波の脈波波形の基線が安定していない期間においては、基線の安定した期間で切り出した個別脈波から暫定的な加速度脈波の平均波形(標準加速度脈波)を求め、この標準加速度脈波のa波と、該安定していない期間で求められた測定加速度脈波の連続波形の極大値との時間位置を合わせて類似度を求め、個別加速度脈波のa波のピーク点の位置を決定する手段を有していることを特徴とする請求項1記載の脈波計測・解析装置。
- 前記加速度脈波の平均波形を求める手段が、a波のピーク点とe波のピーク点とのa−e間隔の頻度分布を求め、頻度の高いものの平均波形を求めて、提示するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の脈波計測・解析装置。
- 前記脈波計測手段から出力された脈波の波形を2次微分して加速度脈波を算出する加速度脈波算出手段が、脈波センサから出力された脈波の脈波信号を濾波して出力するフィルター手段を有し、該フィルター手段が、遮断周波数20〜30Hzの1次又は2次のローパスフィルターであるアナログフィルターと、遮断周波数15〜40Hzの初段のデジタルローパスフィルターと、遮断周波数15〜40Hzの後段の高域カットデシタル微分フィルターとで構成されており、該初段のデジタルローパスフィルターにおいて、商用電源周波数50Hz又は60Hzの一方での応答が零点付近になるように構成すると共に、該後段の高域カットデジタル微分フィルターにおいて、該商用電源周波数の他方での応答が零点付近となるように構成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脈波計測・解析装置。
- 前記初段のデジタルローパスフィルターにおいて、商用電源周波数50Hz又は60Hzの一方での応答が零点付近になるように構成する場合、減衰率の極大値が80dB以上となるように構成すると共に、前記後段の高域カットデジタル微分フィルターにおいて、該商用電源周波数の他方での応答が零点付近になるように構成する場合、減衰率の極大値が40dB以上となるように構成することを特徴とする請求項4記載の脈波計測・解析装置。
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