JP3964936B2 - 2−シクロヘキセン−1−オールの製造法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
本発明は2−シクロヘキセン−1−オールの製造法に関するものである。更に詳しくはシクロヘキセニルハイドロパーオキシドを出発原料とする2−シクロヘキセン−1−オールの製造法に関するものである。
2−シクロヘキセン−1−オールはポリマー原料として有用な1,3−シクロヘキサジエンの原料や各種有機中間体として有用な化合物である。
【背景技術】
シクロヘキセニルハイドロパーオキシドを水素化分解して2−シクロヘキセン−1−オールを製造する方法としては、特公昭41−2536号に金属パラジウムと、鉛叉はビスマスの化合物とを触媒に用いて液状炭化水素溶剤、低級アルコール類の親水性溶剤及び有機塩基の共存下に室温付近の温度で水素化分解する方法が報告されている。しかしながら、以下に詳述するように、この触媒自体では活性が低く、親水性溶媒や有機塩基を加えて活性の向上を図っているが、その触媒活性は最高でも84%に過ぎない。
因みに、その実施例1には液状炭化水素としてシクロヘキセンを用い、親水性溶剤としてエタノール、有機塩基としてキノリンを用いて金属パラジウム/酢酸鉛触媒によるシクロヘキセニルハイドロパーオキシドの水素化分解を行い、2−シクロヘキセン−1−オールが84%の収率で得られたことが記載されている。一方、実施例1の2には、有機塩基を用いずに他の条件は実施例1と全く同じ反応例が記載されており、2−シクロヘキセン−1−オールの収率は63%である。
又、実施例5ではエタノール量を変化させて反応を行っており、エタノール量が余り減少すると触媒が凝集してその活性度が低下することが記載されている。これらの記載からこの方法ではアルコール等の親水性溶剤と有機塩基の組み合わせが必須であることがわかる。
更にこの特許明細書中にはエチレン族炭化水素(例えばシクロヘキセン)を溶剤に用いた場合、エチレン族炭化水素は水素による還元反応に対して不活性であることが記載されている。しかしながら、上記実施例においては溶剤のシクロヘキセンの水素化率は記載されていない。
Bull.Soc.Chim.France,1964(6),P1302には、上記特公昭41−2536号の発明者らの投稿論文が記載されている。
この論文の内容は上記特許と殆ど同じであるが、溶媒にシクロヘキセンを用いた場合のシクロヘキセンの水素化率が1%未満であることが記載されている。しかしながら、その具体的な数値は示されていない。
Izvest.Akad.Nauk S.S.S.R.,Otdel.Khim.Nauk 1958,P133にラネーニッケル、白金黒、パラジウム黒を触媒に用いて、エタノール溶媒中でシクロヘキセニルハイドロパーオキシドを水素化分解する例が記載されているが、得られた生成物は2重結合が水素化されたシクロヘキサノールのみである。
従来の技術はすべてアルコール等の親水性溶剤の存在下に行われており、しかも好ましい例はすべて有機塩基の存在下で行われている。特に、比較的高収率で2−シクロヘキセン−1−オールが得らた例はすべて金属パラジウムと鉛叉はビスマス化合物を組み合わせた触媒を用いてキノリン等の有機塩基の存在下に行った例である。しかしながら、反応系に幾つもの成分を共存させることは生成物の分離が複雑になるため好ましくない。特に得られた2−シクロヘキセン−1−オールをその後、酸触媒を用いて脱水反応させて1,3−シクロヘキサジエンを製造する場合には、有機塩基が微量でも残留すると酸触媒を被毒するため水洗等の特殊な処理を必要とするため有機塩基の使用は工業的に好ましくない。
【発明の開示】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、触媒としてパラジウムと鉛及び/又はビスマスとの金属間化合物を含む触媒を用いることによって、90%以上の高選択率で2−シクロヘキセン−1−オールが得られることを見い出し、本願を完成するに至った。
すなわち、本発明はシクロヘキセニルハイドロパーオキシドを水素化分解して2−シクロヘキセン−1−オールを製造するに当たり、パラジウムと、鉛及び/又はビスマスとの金属間化合物を含む触媒を用いることを特徴とする2−シクロヘキセン−1−オールの製造法である。
本発明の方法によれば極めて高い選択率で目的とする2−シクロヘキセン−1−オールが得られ、工業的規模での製造を可能化するものである。しかも、従来から用いられてきた有機塩基やアルコール等の親水性溶剤を用いなくともよいものである。
次に本発明を更に詳細に説明する。
本発明における触媒はパラジウムと鉛及び/又はビスマスの金属間化合物を含む触媒である。パラジウムと鉛の金属間化合物としては、例えばパラジウム/鉛の原子比が1/1、1/2、2/1、3/1、3/2、5/3などの金属間化合物が知られている。又、パラジウムとビスマスの金属間化合物としては、例えばパラジウム/ビスマスの原子比が1/1、1/2、2/1、3/1、5/2などの金属間化合物が知られている。そしてこれらの金属間化合物の同定はCuKα線を用いた粉末X線回折分析によって行うことができる。例えば、金属パラジウムは2θ=39.8〜40.2度に回折ピークが観測されるのに対して、パラジウムと鉛の3/1の金属間化合物は2θ=38.55〜38.70度に(111)面に特有なピークが観測される。又、パラジウムとビスマスの3/1の金属間化合物は2θ=38.10〜38.45度と40.85〜41.10度に(400)面と(221)面特有のピークが観測される。
これらのパラジウムと鉛及び/又はビスマスの金属間化合物の中で好ましいのは、1/2、2/1、3/1の化合物であり、特に好ましいのは3/1の化合物である。
但し、ここで鉛とビスマス両方の元素を含む場合の原子比はパラジウム/(鉛+ビスマス)を意味する。
なぜ、この金属間化合物が高選択性を示すのか、かならずしも明確ではないが、従来から知られていた金属パラジウムと鉛又はビスマス化合物を組み合わせた触媒と本発明の金属間化合物では有機塩基を用いないと選択性に大きな違いがあることから、化学的性質が全く異なるものと考えられる。
本発明の金属間化合物はパラジウムと鉛及び/又はビスマス以外にも異種元素として、例えば水銀、タリウム、テルル、ニッケル、クロム、コバルト、インジウム、タンタル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、マンガン、銀、レニウム、アンチモン、スズ、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、金、チタン、アルミニウム、ホウ素、珪素などを少量含んでいても良い。この場合、これらの異種元素はパラジウムと鉛及び/又はビスマスの金属間化合物の結晶格子間に少量侵入したり、結晶格子金属の一部と置換したりした侵入型化合物や置換型化合物を形成する。この場合、これらの異種元素の量は通常、パラジウムに対して10重量%、好ましくは5重量%を越えない範囲で含むことができる。
更に、本発明の触媒はアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むこともできる。この場合のアルカリ金属、アルカリ土類金属の量はパラジウムに対して0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜40重量%、更に好ましくは1〜30重量%の範囲である。
本発明の触媒は金属そのものでも、担体に担持したものでも用いることができるが、好ましいのは担体に担持したものである。
担体を用いる場合の担体としては、活性炭、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、マグネシア、水酸化マグネシウム、チタニア、炭酸カルシウムなどを用いることができるが、好ましいのはシリカ、アルミナ、シリカアルミナであり、更に好ましいのはシリカ、シリカアルミナである。
担体へのパラジウムと鉛及び/又はビスマスの担持量は特に制限はないが、通常パラジウム、鉛及び/又はビスマスとも担体重量に対して0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは1.0〜15重量の範囲である。
本発明における触媒はパラジウムと鉛及び/又はビスマスの金属間化合物を含んでいるが、触媒中のパラジウムと鉛及び/又はビスマスの原子比そのものは金属間化合物の原子比に限定されるものではない。但し、パラジウムが鉛及び/又はビスマスに対してあまり過剰に存在すると2重結合の水素化活性が高いフリーのパラジウムによって2−シクロヘキセン−1−オールが逐次水素化されてシクロヘキサノールが多量に副生する傾向にある。一方、鉛及び/又はビスマスはパラジウムに対して過剰に存在していても構わない。通常、触媒中のパラジウムと鉛及び/又はビスマスの原子比は、好ましくは3/10〜3/0.5の範囲、更に好ましくは3/6〜3/0.6の範囲、特に好ましくは3/3〜3/0.7の範囲である。
なお、本願発明の触媒の使用量は、特に制限がなく、実用的観点から、回分式の場合はシクロヘキセニルパーオキシドに対して、重量比で0.01〜10程度用いれば良い。より好ましくは、0.05〜1.0である。また、流通式の場合は、シクロヘキセニルパーオキシド基準のWHSVで0.01〜100hr1の範囲、好ましくは0.1〜10hr-1の範囲である。
触媒調製に用いられるパラジウム化合物及び鉛化合物、ビスマス化合物は例えばぎ酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩のごとき無機酸塩、アンミン錯体、ベンゾニトリル錯体、トリフェニル錯体などの有機金属錯体、酸化物、水酸化物などの中から適宜選ぶことができるが、パラジウム化合物としては塩化パラジウム、酢酸パラジウムなどが、鉛化合物としては硝酸鉛、酢酸鉛などが、ビスマス化合物としてはトリフェニルビスマスなどが好適である。また、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物についても有機酸塩、無機酸塩、水酸化物などから選ばれる。
触媒の調製は各種の方法で行うことができる。典型的な触媒調製法について説明すれば、可溶性の鉛及び/又はビスマスの水溶液、叉はこれに必要ならば前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属の化合物を添加した水溶液を適当な担体に含浸して、蒸発乾固後、塩化パラジウムのような可溶性のパラジウム塩の酸性水溶液中で加温含浸させ、次いでホルマリン、ヒドラジンなどの還元剤で還元するか、叉は、水素ガスで還元して担持触媒を調製することができる。
別法として、パラジウム化合物と鉛及び/又はビスマス化合物を含む水溶液叉は、有機溶剤溶液を調製し、叉はパラジウムと鉛及び/又はビスマスを適当な比率で含む錯化合物を沈澱させてこれを他の溶剤に溶解してパラジウムと鉛及び/又はビスマスを含む溶液を調製し、必要ならばアルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物を添加した後、適当な担体に含浸させて、ホルマリンなどの還元剤による湿式還元法叉は含浸触媒を乾燥後、水素ガスによる乾式還元法によって還元して担持触媒を調製することができる。
本発明においてシクロヘキセニルハイドロパーオキシドの水素化分解反応は、かならずしも溶媒を必要としないが、シクロヘキセニルハイドロパーオキシドの安定性の点から溶剤の共存下に行われることが望ましい。。溶剤としては、シクロヘキセン等の炭化水素系溶剤、従来技術にあるアルコール等の親水性溶剤、水等を用いることができるが好ましいのはシクロヘキセン、水であり、更に好ましいのはシクロヘキセンである。
溶液中のシクロヘキセニルハイドロパーオキシドの濃度は0.1〜70重量%、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは2〜40重量%の範囲である。
シクロヘキセンを溶剤に用いることは、シクロヘキセンの酸化でシクロヘキセニルハイドロパーオキシドを製造する際の生成液をそのまま水素化分解の原料に用いることができる点で製法上極めて有利であるが、この場合、シクロヘキセンの水素化率が問題となる。何故ならば、水素化分解後の生成液から分離されたシクロヘキセンはシクロヘキセニルハイドロパーオキシド製造のための酸化工程にリサイクルされるが、シクロヘキセンの水素化によって生成するシクロヘキサンとシクロヘキセンは沸点差が小さいため通常の蒸留では分離ができず、結果としてシクロヘキサンが製造工程内に蓄積することになるからである。その点で本発明の触媒は、シクロヘキセンの水素化活性が極めて小さく、条件にもよるが通常、0.3%以下に抑えることができ、工業的に極めて有利である。
本発明における水素化分解反応においては水が生成するため、反応系には必ず水が共存することになる。従来技術ではアルコール等の親水性溶剤の量を減らしていくとおそらく遊離水の影響で触媒が凝集して活性度が低下するので好ましくないと記載されているが、本発明の触媒はアルコール等の親水性溶剤が共存しない遊離水の存在下でも全く影響を受けない。更に驚くべきことに本発明の触媒においてはシクロヘキセンを溶剤に用いて遊離水が存在する方がむしろ活性が高く、又、2重結合の水素化も抑えられることが判明した。
更に本発明の別の実施態様としては、水を溶剤にする方法も可能である。この場合、シクロヘキセンを酸化して得られるシクロヘキセニルハイドロパーオキシドのシクロヘキセン溶液からシクロヘキセニルハイドロパーオキシドを水で抽出した液を原料として用いることができる。
本発明における原料のシクロヘキセニルハイドロパーオキシドの中にはシクロヘキセンの酸化工程で副生する2−シクロヘキセン−1−オールや2−シクロヘキセン−1−オンが含まれている場合があるが、本発明においては前段のこれらの副生物を含んだまま水素化分解反応にかけても構わない。
本発明における反応温度は0〜120℃、好ましくは40〜100℃、更に好ましくは50〜90℃の範囲である。特に本反応は発熱反応であるから工業的に実施する見地からも除熱のし易い50〜90℃の範囲が好ましい。
本発明における水素圧は1〜30気圧、好ましくは2〜20気圧、更に好ましくは4〜15気圧の範囲である。水素圧が30気圧以上では2重結合の水素化が起こり易くなるので好ましくない。
本発明における反応方式は触媒をスラリー状態で用いても、固定床で用いても構わない。又、反応は回分式叉は流通式で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下実施例をもって、本発明をさらに詳しく説明する。
【実施例1】
酢酸マグネシウム1.76gを40gの水に溶かし、これにシリカゲルを10g加え、沸騰水浴上で含浸、蒸発乾固し、さらに空気中500℃で3時間焼成した。このものに塩化パラジウム0.83g及び酢酸鉛0.92gを含む希塩酸溶液を60℃で加えて含浸させた。濾過、乾燥後水素気流下300℃で3時間還元し、その後希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、水洗、乾燥した。この触媒のX線回折分析からは2θ=38.6°、44.8°、65.4°、78.6°に回折ピークが認められ、触媒上のPdとPbがPd3Pb1の金属間化合物を形成していることが確認された。
15重量%のシクロヘキセニルハイドロパーオキシド、1.3重量%の2−シクロヘキセン−1−オール、1.3重量%の2−シクロヘキセン−1−オンを含むシクロヘキセン溶液100gに上記触媒2.0gを加えて耐圧容器に仕込んで水素を11気圧の圧力で仕込んで、55℃で撹拌しながら水素化分解反応を行った。反応成績表1に示す。
【実施例2】
12重量%のシクロヘキセニルハイドロパーオキシド、0.8重量%の2−シクロヘキセン−1−オール、1.0重量%の2−シクロヘキセン−1−オンを含むシクロヘキセン溶液100gに実施例1で得られた触媒0.5gを加えて耐圧容器に仕込み、水素を11気圧の圧力で仕込んで、70℃で撹拌しながら水素化分解反応を行った。反応成績を表1に示す。
【実施例3】
実施例2に水20gを加えて、後は全く同じ条件で水素化分解反応を行った。反応成績を表1に示す。
実施例2と3の分解率を比較すると水を加えた系の方が分解率が高く、本発明の触媒に対して水は影響を与えないだけでなく、水による加速効果があることが判る。
【実施例4】
酢酸マグネシウム1.76gと酢酸鉛0.92gを水40gに溶かし、シリカゲルを10g加えて、沸騰水浴上でかき混ぜながら含浸、蒸発乾固させ、さらに空気中500℃で3時間焼成したものを60℃に加温した塩化パラジウム0.83gを含む希塩酸水溶液に加えて撹拌しながらパラジウムを含浸させた。次いで、ホルマリン水溶液2ccと1規定の水酸化ナトリウム水溶液を添加後、得られた触媒を濾過、乾燥した。この触媒のX線回折分析から触媒上のパラジウムと鉛は2θ=38.6°、44.8°、65.4°、78.6°に回折ピークを持つPd3Pb1の金属間化合物を形成していることが確認された。
2.0重量%のシクロヘキセニルハイドロパーオキシド、0.1重量%の2−シクロヘキセン−1−オール、0.15重量%の2−シクロヘキセン−1−オンを含むシクロヘキセン溶液100gに上記触媒0.5gを加え、水素圧6気圧、50℃で撹拌しながら水素化分解反応を行った。反応成績を表1に示す。
【実施例5】
20重量%のシクロヘキセニルハイドロパーオキシドを含むシクロヘキセン溶液と水を接触させて2.3重量%のシクロヘキセニルハイドロパーオキシド、0.05重量%の2−シクロヘキセン−1−オール、0.05重量%の2−シクロヘキセン−1−オンを含む水溶液を調製した。尚、この水溶液中のシクロヘキセン濃度は約200ppmであった。この水溶液100gに実施例4で得られた触媒0.5gを加えて、水素圧6気圧、50℃で水素化分解反応を行った。反応成績を表1に示す。
【実施例6】
12.0重量%のシクロヘキセニルハイドロパーオキシド、0.8重量%の2−シクロヘキセン−1−オール、1.0重量%の2−シクロヘキセン−1−オンを含むシクロヘキセン溶液100gに実施例4で得られた触媒5gを加えて、水素圧11気圧、30℃で水素化分解反応を行った。反応成績を表1に示す。
【比較例1】
粒状アルミナ25gにパラジウム含有率5重量%の塩化パラジウム水溶液25gを常温で62時間次いで、80〜90℃で5時間浸透させる。濾過、乾燥後80〜90℃で水素で1時間処理する。次いで、酢酸鉛5gを水25gに溶解した溶液に浸漬して、2時間後に濾過して室温で乾燥した。
得られた触媒をX線回折分析した結果、2θ=38.6°付近には回折ピークは観測されず、代わりに金属パラジウムのピークが観測された。
この触媒0.5gを用いて実施例2と全く同じ条件で水素化分解反応を行った。反応成績を表1に示す。
実施例2と比較すると、本発明の触媒が極めて2−シクロヘキセン−1−オールの選択性が高く、しかも、シクロヘキセンの水素化が抑制されていることが判る。
【比較例2】
比較例1の触媒5gを用いて、水素圧11気圧、30℃とする以外は、実施例2と同様に水素化分解反応を行った。反応成績を表1に示す。
【比較例3】
比較例2にエタノール20gとキノリン0.5gを加えて後は同じ条件で水素化分解反応を行った。反応成績を表1に示す。
従来技術のアルコールとキノリンを用いる系は確かに2−シクロヘキセン−1−オールの選択率は80%以上と比較的高いが、シクロヘキセンの水素化率が1%以下とは言え、本発明に比べると一桁高いことが判る。
【実施例7】
5%パラジウム/シリカアルミナ粉末触媒20gを1−プロパノール75gに加えて、撹拌しながら90℃まで昇温する。その後、10重量%トリフェニルビスマス/1−プロパノール溶液42gを加え、更にヒドラジン・1水和物18.8gを加えて1時間還元を行った。得られたスラリーを室温まで冷却、静置後、上澄みを除去して200ccの1−プロパノールで2回、続いて200ccの水で3回洗浄した後、100℃で2時間窒素雰囲気下に乾燥、80℃で真空乾燥を行い、パラジウム/ビスマス触媒を得た。
この触媒を粉末X線回折分析を行った結果、2θ=38.84、44.78、65.78、78.66度に回折ピークが観測された。一方、5%パラジウム/シリカアルミナを同様に分析したところ、2θ=39.96、46.44、68.16、81.82度に回折ピークが観測された。得られた触媒の回折ピークは金属パラジウムに対して2θが低角側にずれており、パラジウムとビスマスが金属間化合物を形成していることが判った。
この触媒を用いて、実施例1と同じ条件で反応を行った。
反応時間1.5時間で、シクロヘキセニルハイドロパーオキサイドの分解率が100%に達し、2−シクロヘキセン−1−オールの選択率は82%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択率11%、シクロヘキサノール選択率4.0%、シクロヘキサノン選択率3.0%、であり、シクロヘキセン水素化率は0.8%であった。
【産業上の利用分野】
以上述べた様に、本発明の触媒を用いると従来より極めて単純な反応系で高選択率で目的とする2−シクロヘキセン−1−オールを得る事ができ、しかも、共存するシクロヘキセンの水素化を大きく抑制することができる。
【表1】
Figure 0003964936

Claims (5)

  1. シクロヘキセニルハイドロパーオキシドを水素化分解して2−シクロヘキセン−1−オールを製造するに当たり、パラジウムと、鉛及び/又はビスマスとの金属間化合物を含む触媒を用いることを特徴とする2−シクロヘキセン−1−オールの製造法。
  2. 水素化分解反応をシクロヘキセンの共存下に行うことを特徴とする請求の範囲第1項の2−シクロヘキセン−1−オールの製造法。
  3. パラジウムと鉛及び/又はビスマスとの金属間化合物の原子比が3/1であることを特徴とする請求の範囲第1項の2−シクロヘキセン−1−オールの製造法。
  4. 触媒が、パラジウムと鉛との金属間化合物を含む触媒である請求の範囲第1項又は第3項の2−シクロヘキセン−1−オールの製造法。
  5. 触媒が、パラジウムとビスマスとの金属間化合物を含む触媒である請求の範囲第1項又は第3項の2−シクロヘキセン−1−オールの製造法。
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