JP3963771B2 - 建設車両用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は建設車両用空気入りラジアルタイヤに関し、さらに詳しくは、クラウン部の総強力やベルトコード配置角度を変えることなくエンベロープ特性を改善した建設車両用空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設車両用大型空気入りラジアルタイヤは、非常に大きな破断強度を有するスチールコードで構成したカーカス層を1層設け、そのカーカス層のクラウン部における外周に複数層のスチールコードベルト層を配置した構成からなっている。そのスチールコードベルト層は非常に強固な構成になっているため、建設車両用空気入りバイアスタイヤに比べて耐パンク性能は優れているものの、路面から衝撃を受けたときのトレッドゴムの耐カット性には不利に作用するという課題があった。すなわち、タイヤが路上の岩石等を踏み込んだとき、トレッドにカットを生ずることなくその岩石等を包み込むことができるエンベロープ特性が劣っているという課題があった。
【0003】
従来、上記エンベロープ特性を改良する対策として、ベルト層の一部をクラウン中央域で中抜きにし、そのクラウン中央域のタイヤ断面方向曲げ剛性を低下させることでエンベロープ特性を向上するという技術が提案され、広く採用されてきた経緯がある。しかし、この対策は、クラウン中央域の補強材密度が低下するため、いったんトレッド部にカットが生じて岩石等が進入すると、その岩石等がタイヤ内部に容易に進入してしまうという問題があった。
【0004】
また、他の対策として、ベルト層のタイヤ周方向に対するコード配置角度を一般の適用角度よりも高くすることによりエンベロープ特性を向上するということもできるが、この方法はベルト層のタガ効果を低下させるため、タイヤ外周長が成長することによりベルト層耐久性が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来の問題を解消し、クラウン部の総強力やベルト層のコード配置角度を変えることなくエンベロープ特性を改善した建設車両用空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の建設車両用空気入りラジアルタイヤは、層間で互いに交差する少なくとも2層のスチールコードからなるカーカス層をクラウン部から左右のサイドウォール部を経てビード部に至るように設けると共に、該カーカス層の前記クラウン部におけるタイヤ周方向に対するコード角が73〜85度であり、該カーカス層の外周にタイヤ周方向に対するコード角が15〜30度であって層間で互いに交差する少なくとも2層のスチールコードからなるベルト層を配置し、かつ前記カーカス層のコートゴム及びカーカス層間に介在するゴムの100%伸長時モジュラスを3.5〜5.5MPaにしたことを特徴とするものである。
【0007】
タイヤ内圧充填時のクラウン部のタイヤ周方向曲げ剛性はベルト層の剛性に依存し、そのベルト層の剛性は該ベルト層を構成するスチールコード自体の曲げ剛性・配置角度・層数により決定されるが、さらにタイヤ充填内圧力によるコード張力により決定される。本発明は、上記のようにスチールコードカーカス層として層間で互いにスチールコードが交差する少なくとも2層を配置し、かつそのタイヤ周方向に対するコード角を73〜85度にしたので、タイヤ充填内圧力によりベルト層にかかるコード張力を低下させることでクラウン部のタイヤ周方向曲げ剛性を抑制し、クラウン部の総強力やベルト層のコード配置角度を変えることなくトレッドのエンベロープ特性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、カーカス層はスチールコードから構成され、かつ少なくとも2層が設けられる。カーカス層の層数は2層以上であれば特に限定されないが、タイヤ重量の軽量化や材料コストの観点からは2層とすることが最も好ましい。少なくとも2層に積層されたカーカス層は、クラウン部から左右のサイドウォール部を経てビード部に至り、そのビード部に埋設したビードコアに両端部を折り返すように係止される。カーカス層の両端部を係止するビードコアは、各カーカス層毎に設けるようにすることが好ましい。
【0009】
少なくとも2層からなるカーカス層は、各カーカス層を構成するスチールコードが層間で互いに交差し、かつタイヤ周方向に対するコード角度を73〜85度、好ましくは73〜83度の範囲にする。カーカス層のコード角度をこのような設定にすることにより、クラウン部の総強力(ベルト層及びカーカス層の単位幅当たりのコード打込み数とコード破断強度との積)やベルト層のコード角度を変えることなくエンベロープ特性を向上することができるようになる。
【0010】
タイヤ周方向に対するコード角度が73度よりも小さいと、タイヤ内圧力によるタイヤ外径の成長が建設車両用空気入りラジアルタイヤとしての許容範囲を超え、最終的にはベルト層の剥離故障を招くようになる。また、コード角度が85度を超えると、内圧力に対するカーカス層のクラウン部内圧分担率がコード角度90度のラジアルタイヤの場合に接近するため、ベルト層のコード張力が高くなり、エンベロープ特性は改善されなくなる。
【0011】
また、コード角度が85度よりも大きいと、内外のカーカス層間で内側カーカス層に対する内圧力によるコード張力の偏在が認められるようになり、タイヤ製品として耐圧強度やコード破断に対する品質面から好ましくないことが、有限要素法の計算結果からも確認することができる。
【0012】
本発明において、カーカス層のコートゴム及びカーカス層間の介在ゴムは、100%伸長時モジュラスが3.5〜5.5MPaである。コートゴム及び介在ゴムの100%伸長時モジュラスが3.5MPaよりも低いと、タイヤが繰り返し撓み変形すると、特にタイヤショルダー部における内側カーカス層と外側カーカス層とのコード相互の動きを抑制しきれなくなり、層間剥離を起こしやすくなる。また、5.5MPaを超えると、カーカス層間の剪断歪の吸収が不十分になるため、層間剥離を起こしやすくなる。
【0013】
クラウン部においてカーカス層の外周に配置されるベルト層は、スチールコードからなる少なくとも2層から構成されている。その2層以上のベルト層は層間でスチールコードが互いに交差し、タイヤ周方向に対して15〜30度のコード角度にする。このようなコード角度にすることにより良好なタガ効果が得られ、高い内圧力に対してタイヤ外径の成長を効果的に抑制する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態からなる建設車両用空気入りラジアルタイヤの子午線方向半断面図であり、図2は、そのカーカス層の要部を示す。
【0015】
これらの図において、1はクラウン部、2はサイドウォール部、3はビード部である。クラウン部1の表面には、ラグ溝4がタイヤ周方向に左右交互に間欠的に設けられ、ロックパターンを形成している。
【0016】
タイヤ内部にはスチールコードからなるカーカス層5a,5bが内外2層設けられ、クラウン部1から左右のサイドウォール部2を経てビード部3に至っている。また、内側カーカス層5aの内側に沿ってシール用のインナーライナー層6が設けられている。
【0017】
カーカス層5a,5bは、それぞれクラウン部1の領域において、図2に示すように、タイヤ周方向Eに対するコード角度α,α’が73〜85度、好ましくは73〜83度の範囲になるように配置されている。コード角度αとα’は、互いに同一角度であることが好ましいが、上記範囲内である限り両角度α,α’が互い異なっていてもよい。カーカス層5a,5bのコード角度を上記範囲に設定することにより、クラウン部におけるカーカス層の内圧分担率を高めることができ、その内圧分担率が向上した分だけベルト層にかかるコード張力を低下させるため、エンベロープ特性を向上する。すなわち、クラウン部の総強力やベルト層のコード角度を変えることなくエンベロープ特性を向上することができる。
【0018】
カーカス層5a,5bの端部ea ,eb は、それぞれのカーカス層毎に設けられたビードコア7a,7bの廻りにタイヤ内側から外側に向けて折り返されている。内側カーカス層5aの折り返し端部ea のビードシートからの高さhaは、カーカスラインタイヤ最大幅位置高さSHの55〜85%であり、また外側カーカス層5bの折り返し端部eb の高さhbは、内側カーカス層5aの折り返し端部e a の高さhaよりも高く、かつカーカスラインタイヤ最大幅位置高さSHの70〜105%に設定されている。
【0019】
上記カーカス層5a,5bのクラウン部外周には、図示の例では5層からなるベルト層8が設けられている。これらベルト層8はタイヤ周方向に対して斜めに配列したスチールコードから構成され、かつ層間で互いに交差するように配置されている。各ベルト層8はタイヤ周方向に対するコード角度が15〜30度の範囲に設定されている。
【0020】
【実施例】
下記の構成を互いに同一にし、内外2層のカーカス層のタイヤ周方向に対するコード角度をそれぞれ65、70、75、78、80、85、90度に異ならせた7種類のタイヤを製作した。
【0021】
(共通構成)
Figure 0003963771
上記7種類のタイヤについて、それぞれ下記のようにベルト部耐久性とエンベロープ特性とを評価した。
【0022】
(1)ベルト部耐久性
7種類の各試験タイヤを、それぞれリムサイズが13.00×33(2.5)ORのリムに装着し、JATMA規定の最大空気圧700kPaを充填して、24時間経過後のタイヤ外径成長量をタイヤ金型の内径を基準にして測定した。その結果は、図4の通りであった。
【0023】
これまでの知見から、タイヤ外径成長量が15mmを超えたタイヤ仕様であると、ベルト部初期歪の増大がベルト層間の剥離故障につながり易いということが分かっている。したがって、図4の結果から、カーカス層のタイヤ周方向に対するコード角度を73度未満にしたタイヤは、タイヤ外径成長量が15mmを超えており、ベルト部耐久性が不十分であることが分かる。
【0024】
(2)エンベロープ特性
7種類の各試験タイヤを、それぞれリムサイズが13.00×33(2.5)ORのリムに装着し、JATMA規定の最大空気圧700kPaを充填して、図3に示すように、100×100mmの角材Mを試験タイヤTのトレッド接地中心になる位置に挟み込み、荷重を徐々に負荷していき、トレッドが角材Mを跨いで接地したときの負荷荷重Wとタイヤ周方向接地間隔Lとを測定した。その結果は、図5の通りであった。
【0025】
これまでの知見から、トレッドが角材Mを包み込むように接地するまでの負荷荷重Wは内圧の大きさに依存し、また接地間隔Lは主としてベルト層の構造に依存することが分かっている。図5の結果から、カーカス層のコード角度が85度までは、負荷荷重Wは100kN前後であるが、コード角度が85度を超えると、急激に接地するまでの負荷荷重Wが高くなることがわかる。充填内圧が一定であるにもかかわらず、このような結果が得られたことは、カーカス構造を異ならせたカーカス層とベルト層との内圧分担率の変化によることがわかる。
【0026】
また、接地間隔Lについては、図5から明らかなように、カーカス層のコード角度の影響は僅かであることが確認された。これはベルト層の構造が一様の仕様であるための結果である。
【0027】
【発明の効果】
上述したように本発明の建設車両用空気入りラジアルタイヤによれば、スチールコードカーカス層として層間で互いにスチールコードが交差する少なくとも2層を配置し、かつそのタイヤ周方向に対するコード角を73〜85度にしたので、タイヤ充填内圧力によりベルト層にかかるコード張力を低下させることで、クラウン部のタイヤ周方向曲げ剛性を抑制し、クラウン部の総強力やベルト層のコード配置角度を変えることなくトレッドのエンベロープ特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる建設車両用空気入りラジアルタイヤの子午線方向半断面図である。
【図2】図1の建設車両用空気入りラジアルタイヤのカーカス層の要部を示す拡大図である。
【図3】エンベロープ特性の測定方法を示す説明図である。
【図4】ベルト部耐久性試験におけるクラウン部カーカス層コード角度とタイヤ外径成長量との関係グラフである。
【図5】エンベロープ特性試験におけるクラウン部カーカス層コード角度と負荷荷重及び接地間隔との関係グラフである。
【符号の説明】
1 クラウン部
2 サイドウォール部
3 ビード部
5a,5b カーカス層
7a,7b ビードコア
8 ベルト層
α、α’ コード角度

Claims (4)

  1. 層間で互いに交差する少なくとも2層のスチールコードからなるカーカス層をクラウン部から左右のサイドウォール部を経てビード部に至るように設けると共に、該カーカス層の前記クラウン部におけるタイヤ周方向に対するコード角が73〜85度であり、該カーカス層の外周にタイヤ周方向に対するコード角が15〜30度であって層間で互いに交差する少なくとも2層のスチールコードからなるベルト層を配置し、かつ前記カーカス層のコートゴム及びカーカス層間に介在するゴムの100%伸長時モジュラスを3.5〜5.5MPaにした建設車両用空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記カーカス層が内側カーカス層と外側カーカス層の2層からなり、前記内側カーカス層の折り返し端部のビードシートからの高さhaをカーカスラインタイヤ最大幅位置高さSHの55〜85%にし、前記外側カーカス層の折り返し端部のビードシートからの高さhbを前記内側カーカス層の折り返し端部の高さhaよりも高く、かつカーカスラインタイヤ最大幅位置高さSHの70〜105%にした請求項1に記載の建設車両用空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記内側カーカス層と外側カーカス層の両端部の折り返しを、それぞれ各カーカス層毎に設けたビードコアに対してタイヤ内側から外側に向けて折り返した請求項2に記載の建設車両用空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記ベルト層を5層に構成した請求項1、2又は3に記載の建設車両用空気入りラジアルタイヤ。
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