【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規フタロシアニン化合物、その製造方法およびそれらを用いた光記録媒体に関するものである。本発明にかかる新規フタロシアニン化合物は、600〜1000nmの近赤外域に吸収を有し溶解性に優れているので、半導体レーザーを使う光記録媒体、液晶表示装置、光学文字読取機等における書き込みあるいは読み取りのための近赤外吸収色素、近赤外増感剤、感熱転写、感熱紙・感熱孔版などの光熱変換剤、近赤外線吸収フィルター、眼性疲労防止剤、光導電材料などとして用いる近赤外線吸収材料として、あるいは、撮像管に用いる色分解フィルター、液晶表示素子、カラーブラウン管選択吸収フィルター、カラートナー、インクジェット用インク、改ざん偽造防止用バーコード用インク、さらに微生物不活性化剤、腫瘍治療用感光性色素等に用いる際に優れた効果を発揮する。特にコンパクトディスク対応の追記型光記録媒体に用いるための近赤外吸収色素として非常に優れた効果を発揮するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体レーザーを光源として用いるコンパクトディスク、レーザーディスク、光メモリーディスク、光カード等の光記録媒体の開発が活発である。特に、CD、PHOTO−CDあるいはCD−ROMは、大容量、高速アクセスのデジタル記録媒体として音声、画像、コードデータ等の保存再生に、大量に利用されている。これらのシステムはいずれも半導体レーザーに感受するいわゆる近赤外吸収色素を必要とし、それらの色素に関して特性の良好なものが求められている。
【0003】
なかでも光、熱、温度等に対して安定であり堅牢性に優れているフタロシアニン系化合物については、数多く検討されている。
【0004】
コンパクトディスク対応の追記型光記録媒体に用いる際に要求される特性としては、
(1)薄膜での極大吸収波長が700〜730nmに制御されていること(会合によるピークが少なく、そのことにより吸光度が高く、ピークがシャープであることによって、反射率などの光学特性に対する主要な構成要因となる)、
(2)スピンコート等の簡便でかつ生産性に優れた方法で基板上に塗布でき、かつ基板を侵さない溶媒に対しての溶解性に優れていること、
(3)耐熱性、耐光性が良好であること、
(4)熱分解特性が良好であること(感度に対する主要な構成要因となる)、
(5)製造方法などにおいて経済性に優れた化合物であること、
等が挙げられる。
【0005】
例えば、特開昭58−56892号には、ペルフルオロフタロシアニン化合物を用いる方法が提案されている。しかしながら、これらの化合物は、有機溶媒に対しての溶解性に乏しく、また満足できる吸収波長に制御できない。
【0006】
特開昭61−192780号、特開昭61−246091号、特開昭63−37991号、特開昭64−42283号、特開平2−276677号、特開平2−91360号、特開平2−265788号、特開平3−215466号、特開平4−226390号などには、フタロシアニン骨格のベンゼン環に酸素を介して置換基を導入したものが提案されている。しかしながら、これらの化合物は、色素の置換基の種類、数および位置によっては耐光性が悪かったり、反射率が小さかったり、通常よく用いられているポリカーボネートなどの基板に直接塗布できる溶剤に溶解しなかったり、あるいは吸収波長の制御において難点があったりするなどの問題点を有している。
【0007】
それらの欠点が比較的解決されたものとして特開平5−1272号などにはフタロシアニンのα位にアルコキシ基を4個導入し、残基にハロゲン化合物などを一部導入したものが提案されている。しかしながら、α位に置換基を導入したものは、原料とするフタロニトリルからの生産性が悪いなど、経済性の点で問題点を有している。またこのようなフタロシアニン化合物も、必ずしもすべての特性を満足するものでなく、よって更なる良好な特性が望まれている。
【0008】
また、本発明者らは、これまでに嵩高い置換基をもつフェノキシ基がβ位に置換されたフタロシアニン化合物を提案してきた(特開平5−345861、特開平6−107663、特開平6−328856、特開平8−225751号)。しかしながら、これらの化合物も光記録媒体において反射率、感度等に問題点を有しており、これまでに提案されているフタロシアニン化合物は、上記特性をすべて満足するものではない。それらの上記特性を改善するために本発明者らは、特願平7−301609号で改良したフタロシアニンを提案した。しかしながら、これらの化合物は、高速記録において感度等の問題点を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の有する前記事情に考慮してなされたものである。すなわち、本発明の目的は、600〜1000nmの吸収波長域において目的に応じた吸収制御が可能であり、また用途に応じた溶媒、例えばアルコール系溶媒等に対して溶解性に優れ、かつ耐熱性、耐光性の高い新規なフタロシアニン化合物を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、フタロシアニン化合物を、効率よく、しかも高純度で製造する方法を提供することにある。
【0011】
さらに本発明の他の目的は、光記録媒体、特にコンパクトディスク対応の光記録媒体として用いるにあたって、それらに必要な特性である溶解度、吸収波長、感度、反射率、耐光性、熱分解特性において優れた効果を発揮するフタロシアニン化合物を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、高速記録において優れた効果を発揮するフタロシアニン化合物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記諸目的は、下記(1)〜(4)により達成される。
【0014】
(1) フタロシアニン骨格のベンゼン核の16個の置換可能な位置のうちの1〜8個がフェノキシ基で置換されており、かつ該フェノキシ基の少なくとも一つが置換基を有していてもよいアリール基および臭素原子を有する置換基で置換されているフタロシアニン化合物。
【0015】
(2) 一般式(1)
【0016】
【化3】
【0017】
[ただし、式中、a、b、c、およびdは0〜3の整数でかつ置換された臭素原子数の総和は2〜12の整数であり、またnは0〜3の整数であり、Wは置換してもよいアリール基を表わし、Vは、a、b、cおよびdが1〜3の整数の場合には、下記に規定した(1)〜(3)群の置換基
【0018】
【化4】
【0019】
(式中、Rl 、R2 およびR3 は各々独立に炭素原子数1〜20個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基を表わし、eは1〜5の整数であり、fは0〜6の整数である。)の臭素置換残基から選ばれる少なくとも1種の置換基を表わし、a、b、cおよびdが0の場合には、上記(1)〜(3)群の置換基から選ばれる少なくとも1種の置換基を表わし、Mは金属、酸化金属またはハロゲン化金属を表わす。]で示される前記(1)に記載のフタロシアニン化合物。
【0020】
(3) フェノキシ基で置換されてなり、該フェノキシ基が置換基を有していてもよいアリール基および臭素原子を有する置換基で置換されているフタロニトリル化合物単独あるいは該フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルとの混合物と金属化合物とを反応させることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のフタロシアニン化合物の製造方法。
【0021】
(4) 前記(1)または(2)に記載のフタロシアニン化合物を基板上に設けられた記録層に含有してなる光記録媒体。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係るフタロシアニン化合物は、フタロシアニン骨格のベンゼン核の16個の置換可能な位置のうちの1〜8個がフェノキシ基で置換されており、かつ該フェノキシ基の少なくとも一つが置換基を有していてもよいアリール基および臭素原子を有する置換基で置換されているフタロシアニン化合物である。フェノキシ基の少なくとも一つを置換する、置換基を有していてもよいアリール基のアリール基とはフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。好ましくはフェニル基である。アリール基に場合によっては存在する置換基は、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基等である。
【0023】
本発明のフタロシアニン化合物に含まれる置換基を有していてもよいアリール基は、フェノキシ基のオルソ位にあることが好ましい。置換基を有していてもよいアリール基がフェノキシ基のオルソ位にあることによって、フタロシアニン化合物の薄膜の吸収スペクトルにおける会合体由来の吸収ピーク(以下、会合体ピークという。)が大きく抑制され、単量体由来の吸収ピーク(以下、単量体ピークという。)がシャープになるので好ましい。
【0024】
また、フェノキシ基の少なくとも一つを置換する他の置換基は、臭素原子を有する置換基であり、炭素原子数1〜20個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル鎖を有する置換基の水素の一部または全部が臭素原子で置換された置換基であり、該アルキル鎖としては、好ましくは炭素原子数1〜8個のアルキル鎖である。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、ラウリル、ステアリル、メトキシエチル、エトキシエチル、3′,6′−オキサヘプチル、3′,6′−オキサオクチル、3′,6′,9′−オキサデシル、3′,6′,9′,12′−オキサトリデシル等のアルキル鎖が例示される。
【0025】
本発明では、臭素原子を有する置換基は、フェノキシ基のオルソ位にあることが好ましい。臭素原子を有する置換基がフェノキシ基のオルソ位にあることによって、フタロシアニン化合物の薄膜の吸収スペクトルにおける会合体由来の吸収ピーク(以下、会合体ピークという。)が大きく制御され、単量体由来の吸収ピーク(以下、単量体ピークという。)がシャープになるので好ましい。
【0026】
本発明では、臭素原子を有する置換基に含まれる臭素原子数が1〜3個であることが好ましい。また、本発明のフタロシアニン化合物中の臭素原子の総数は1〜16個であることが好ましい。
【0027】
上記のアルキル鎖を有する置換基としては、下記に規定した(1)〜(3)群
【0028】
【化5】
【0029】
(式中、Rl 、R2 およびR3 は各々独立に炭素原子数1〜20個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基を表わし、eは1〜5の整数であり、fは0〜6の整数である。)から選ばれる置換基が好ましい。よって本発明の臭素原子を有する置換基の好ましい例としては、上記(1)〜(3)群の置換基の水素原子の一部または全部が臭素原子で置換された置換基が挙げられる。
【0030】
この新規フタロシアニン化合物のうち好ましいものが上記一般式(1)で表わされるものであり、以下これにつき詳述する。
【0031】
一般式(1)において、Mは、金属、酸化金属あるいはハロゲン化金属である。Mで示されるフタロシアニン化合物の中心金属の具体例としては塩化鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化錫、塩化珪素、チタニル、バナジル等が挙げられ、耐光性が良好である点で、コバルト、銅、亜鉛、塩化錫もしくはバナジルが好ましく、特にバナジルが好ましい。
【0032】
Wで表わされるフェノキシ基上の置換基は、置換基を有していてもよいアリール基を表わす。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、トルイル基等を挙げることができる。特に好ましくはフェニル基である。アリール基に場合によっては存在する置換基は、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコシキ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコシキカルボニル基等である。
【0033】
ここで、ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素であり、この中で好ましくはフッ素もしくは塩素であり、特に好ましくはフッ素である。
【0034】
アルキル基は炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、ラウリル基、ステアリル基等を示す。
【0035】
アルコキシ基とは、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基などを示す。
【0036】
アルキルアミノ基とは、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基を含むものであり、好ましくは炭素数1〜8のアルキルアミノ基である。具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、およびn−デシルアミノ基などが挙げられる。
【0037】
アルコキシカルボニル基とは、アルコキシ基のアルキル基部分にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜8、好ましくは1〜5のアルコキシカルボニル、またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数3〜8、好ましくは5〜8の環状アルコキシカルボニルを示す。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、メトキシエトキシカルボニル基、エトキシエトキシカルボニル基、ブトキシエトキシカルボニル基、ジエチルアミノエトキシカルボニル基、メチルチオエトキシカルボニル基、メトキシプロピルオキシカルボニル基、(3,6,9−オキサ)デシルオキシカルボニル基、テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル基、ピランオキシカルボニル基、ピペリジノオキシカルボニル基、ピペリジノエトキシカルボニル基、テトラヒドロピロールオキシカルボニル基、テトラヒドロピランメトキシカルボニル基、テトラヒドロチオフェンオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等を示す。
【0038】
V−(Br)a(b,c,d)で表わされるフェノキシ基上の置換基は、a、b、cおよびdが1〜3の整数の場合には臭素原子を有する置換基を表わし、その際、Vは下記(1)〜(3)群のアルキル鎖を有する置換基
【0039】
【化6】
【0040】
(式中、Rl 、R2 およびR3 は各々独立に炭素原子数1〜20個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基を表わし、eは1〜5の整数であり、fは0〜6の整数である。)の臭素置換残基から選ばれる少なくとも1種である。このような臭素原子を有する置換基の具体例としては、例えば、下記の(4)〜(6)群の置換基群が例示される。
【0041】
(4)群:ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、1−ブロモエチル、2−ブロモエチル、1,2−ジブロモエチル、1,1−ジブロモエチル、2,2−ジブロモエチル、1,1,2−トリブロモエチル、1,2,2−トリブロモエチル、1−ブロモプロピル、2−ブロモ−1−プロピル、3−ブロモ−1−プロピル、1−ブロモ−2−プロピル、2,3−ジブロモ−1プロピル、1,3−ジブロモ−2−プロピル、4−ブロモ−1−ブチル、1−ブロモ−1−ブチル、1−ブロモ−2−ブチル、2−ブロモ−1−ブチル、1,4−ジブロモ−2−ブチル、5−ブロモ−1−ペンチル、1−ブロモ−1−ペンチル、6−ブロモ−1−ヘキシル、1−ブロモ−1−ヘキシル、7−ブロモ−1−ヘプチル、1−ブロモ−1−ヘプチル、8−ブロモ−1−オクチル、1−ブロモ−1−オクチル、9−ブロモ−1−ノニル、1−ブロモ−1−ノニル、10−ブロモ−1−デシル、1−ブロモ−1−デシル、11−ブロモ−1−ウンデシル、1−ブロモ−1−ウンデシル、12−ブロモ−1−ドデシル、1−ブロモ−1−ドデシル。
【0042】
(5)群:ブロモメトキシカルボニル、2−ブロモエトキシカルボニル、3−ブロモ−1−プロポキシカルボニル、2−ブロモ−1−プロポキシカルボニル、1−ブロモ−2−プロポキシカルボニル、2,3,ジブロモ−1−プロポキシカルボニル、1,3−ジブロモ−2−プロポキシカルボニル、1−ブロモ−2−ブトキシカルボニル、2−ブロモ−1−ブトキシカルボニル、4−ブロモ−1−ブトキシカルボニル、1,4−ジブロモ−2−ブトキシカルボニル、5−ブロモ−1−ペンチルオキシカルボニル、6−ブロモ−1−ヘキシルオキシカルボニル、7−ブロモ−1−ヘプチルオキシカルボニル、8−ブロモ−1−オクチルオキシカルボニル、9−ブロモ−1−ノニルオキシカルボニル、10−ブロモ−1−デシルオキシカルボニル、11−ブロモ−1−ウンデシルオキシカルボニル、12−ブロモ−1−ドデシルオキシカルボニル。
【0043】
(6)群:ブロモメトキシ、ジブロモメトキシ、トリブロモメトキシ、1−ブロモエトキシ、2−ブロモエトキシ、1,2−ジブロモエトキシ、1,1−ジブロモエトキシ、2,2−ジブロモエトキシ、1,1,2−トリブロモエトキシ、1,2,2−トリブロモエトキシ、1−ブロモプロポキシ、2−ブロモ−1−プロポキシ、3−ブロモ−1−プロポキシ、1−ブロモ−2−プロポキシ、2,3−ジブロモ−1−プロポキシ、1,3−ジブロモ−2−プロポキシ、4−ブロモ−1−ブトキシ、1−ブロモ−1−ブトキシ、1−ブロモ−2−ブトキシ、2−ブロモ−1−ブトキシ、1,4−ジブロモ−2−ブトキシ、5−ブロモ−1−ペンチルオキシ、1−ブロモ−1−ペンチルオキシ、6−ブロモ−1−ヘキシルオキシ、1−ブロモ−1−ヘキシルオキシ、7−ブロモ−1−ヘプチルオキシ、1−ブロモ−1−ヘプチルオキシ、8−ブロモ−1−オクチルオキシ、1−ブロモ−1−オクチルオキシ、9−ブロモ−1−ノニルオキシ、1−ブロモ−1−ノニルオキシ、10−ブロモ−1−デシルオキシ、1−ブロモ−1−デシルオキシ、11−ブロモ−1−ウンデシルオキシ、1−ブロモ−1−ウンデシルオキシ、12−ブロモ−1−ドデシルオキシ、1−ブロモ−1−ドデシルオキシ、ブロモメトキシエトキシ、1−ブロモエトキシエトキシ、1−ブロモ−3′,6′−オキサヘプチルオキシ、1−ブロモ−3′,6′−オキサオクチルオキシ、1−ブロモ−3′,6′,9′−オキサデシルオキシ、1−ブロモ−3′,6′,9′,12′−オキサトリデシルオキシ、ブロモメトキシプロポキシ、1−ブロモエトキシプロポキシ、1−ブロモ−4′,8′−オキサノニルオキシ、1−ブロモ−4′,8′−オキサデシルオキシ。
【0044】
本発明では、上記(4)〜(6)群の置換基のうちで、特に(5)群であることが好ましい。特に1−ブロモ−2−プロポキシカルボニル、1,3−ジブロモ−2−プロポキシカルボニル等の臭素化された2級以上のアルキル基を持つアルコキシカルボニル基が好ましい。臭素化された2級以上のアルキル基を持つアルコキシカルボニル基が置換基であるフタロシアニン化合物を用いることによって、このフタロシアニン化合物を光記録媒体に用いたときの反射率および記録感度などの光学特性、特に記録感度に優れている点から好ましい。
【0045】
本発明では、フェノキシ基のオルソ位および場合によってはメタ位やパラ位にも臭素原子を有する置換基が置換可能であるが、このとき上記一般式(1)におけるVは、フタロシアニン骨格上で必ずしも全て同一である必要はなく、それぞれが上記(1)〜(3)群のアルキル鎖を有する置換基の臭素置換残基から選ばれる1種であればよい。
【0046】
また、V−(Br)a(b,c,d)で表わされるフェノキシ基上の置換基において、a、b、cおよびdが0の場合には、Vが上記(1)〜(3)群のアルキル鎖を有する置換基から選ばれる少なくとも1種である。このような置換基Vの具体例としては、例えば下記の群が挙げられる。
【0047】
(1)群:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、直鎖あるいは分岐したペンチル、直鎖あるいは分岐したヘキシル、シクロヘキシル、直鎖あるいは分岐したヘプチル、直鎖あるいは分岐したオクチル、直鎖あるいは分岐したノニル、直鎖あるいは分岐したデシル、直鎖あるいは分岐したウンデシル、直鎖あるいは分岐したドデシル。
【0048】
(2)群:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、直鎖あるいは分岐したペンチルオキシカルボニル、直鎖あるいは分岐したヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、直鎖あるいは分岐したヘプチルオキシカルボニル、直鎖あるいは分岐したオクチルオキシカルボニル、直鎖あるいは分岐したノニルオキシカルボニル、直鎖あるいは分岐したデシルオキシカルボニル、直鎖あるいは分岐したウンデシルオキシカルボニル、直鎖あるいは分岐したドデシルオキシカルボニル、シクロヘキサンメトキシカルボニル、シクロヘキサンエトキシカルボニル、3−シクロヘキシル−1−プロポキシカルボニル、tert−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル。
【0049】
(3)群:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、直鎖あるいは分岐したペンチルオキシ、直鎖あるいは分岐したヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、直鎖あるいは分岐したヘプチルオキシ、直鎖あるいは分岐したオクチルオキシ、直鎖あるいは分岐したノニルオキシ、直鎖あるいは分岐したデシルオキシ、直鎖あるいは分岐したウンデシルオキシ、直鎖あるいは分岐したドデシルオキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、3′,6′−オキサヘプチルオキシ、3′,6′−オキサオクチルオキシ、3′,6′,9′−オキサデシルオキシ、3′6′,9′,12′−オキサトリデシルオキシ、メトキシプロピルオキシ、エトキシプロピルオキシ、4′,8′−オキサノニルオキシ、4′,8′−オキサデシルオキシ。
【0050】
前記フェノキシ基に上記(1)〜(6)群の置換基、置換基を有していてもよいアリール基を導入した残りの位置には、さらに溶解性を向上させたり、吸収波長の制御のために新たな置換基を導入してもよい。これらの置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基が置換されていてもよい炭素数1〜20個の直鎖または分岐鎖のアルコキシからなるアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、直鎖または分岐している置換されていてもよい炭素数1〜12個のアルキル基、直鎖または分岐している炭素数1〜12個のアルコキシル基、直鎖または分岐している炭素数1〜20個のモノアルキルアミノ基、直鎖または分岐している炭素数1〜20個のジアルキルアミノ基、シクロヘキシル基、置換されていてもよいフェノキシ基、置換されていてもよいアニリノ基またはニトロ基などが挙げられる。
【0051】
さらに、上記(1)〜(6)群の置換基がカルボニル基に2級以上のアルキル基が直接結合したアルコキシカルボニル基およびこれの一部を臭素化したものであることによって、溶解性に優れているため造膜性に優れている。また、このフタロシアニン化合物を光記録媒体に用いたときの反射率、記録感度などの光学特性が特に優れている。このため高速記録タイプのコンパクトディスクに対応する性能を有しているため特に好ましい。
【0052】
本発明に用いるフタロシアニン化合物として、具体的に例えば下記の化合物が挙げられる。
【0053】
化合物1:テトラキス(4−(2−ブロモエトキシカルボニル)−2−フェニルフェノキシ)ドデカフルオロバナジルフタロシアニン。構造的には、一般式(2)
【0054】
【化7】
【0055】
において、Mがバナジル(VO)であり、Aが下記式で表わされる置換基である。
【0056】
【化8】
【0057】
化合物2:ビス(2−(2−ブロモエトキシカルボニル)−6−フェニルフェノキシ)ビス(2−エトキシカルボニル−6−フェニルフェノキシ)ドデカフルオロチタニルフタロシアニン。構造的には、上記一般式(2)において、Mがチタニル(TiO)であり、Aのうちの2個が下記式の(i) で表わされる置換基であり、Aのうちの別の2個が下記式の(ii)で表わされる置換基である。
【0058】
【化9】
【0059】
化合物3:テトラキス(2−(1,3−ジブロモ−2−プロポキシカルボニル)−6−フェニルフェノキシ)ドデカフルオロバナジルフタロシアニン。構造的には、上記一般式(2)において、Mがバナジル(VO)であり、Aが下記式で表わされる置換基である。
【0060】
【化10】
【0061】
化合物4:テトラキス(2,4−ジ(6−ブロモヘキシルオキシカルボニル)−6−フェニルフェノキシ)ドデカフルオロ銅フタロシアニン。構造的には、上記一般式(2)において、Mが銅(Cu)であり、Aが下記式で表わされる置換基である。
【0062】
【化11】
【0063】
化合物5:テトラキス(2−(2−ブロモエチル)−6−フェニルフェノキシ)ドデカフルオロバナジルフタロシアニン。構造的には、上記一般式(2)において、Mがバナジル(VO)であり、Aが下記式で表わされる置換基である。
【0064】
【化12】
【0065】
化合物6:テトラキス(4−(2−ブロモエトキシ)−2−イソプロポキシカルボニル−6−フェニルフェノキシ)ドデカフルオロ鉄フタロシアニン。構造的には、上記一般式(2)において、Mが鉄(Fe)であり、Aが下記式で表わされる置換基である。
【0066】
【化13】
【0067】
化合物7:テトラキス(2−(2−ブロモエトキシ)−6−フェニルフェノキシ)ドデカフルオロバナジルフタロシアニン。構造的には、上記一般式(2)において、Mがバナジル(VO)であり、Aが下記式で表わされる置換基である。
【0068】
【化14】
【0069】
化合物8:テトラキス(2−(2−ブロモエトキシ)カルボニル−6−フェニルフェノキシ)ドデカフルオロバナジルフタロシアニン。構造的には、上記一般式(2)において、Mがバナジル(VO)であり、Aが下記式で表わされる置換基である。
【0070】
【化15】
【0071】
化合物9:テトラキス(2−(1−ブロモ−2−プロポキシカルボニル−6−フェニルフェノキシ)ドデカフルオロバナジルフタロシアニン。構造的には、上記一般式(2)において、Mがバナジル(VO)であり、Aが下記式で表わされる置換基である。
【0072】
【化16】
【0073】
化合物10:ビス(2−(2−ブロモエチル)−6−フェニルフェノキシ)テトラデカフルオロ(ジクロロ錫)フタロシアニン。構造的には、下記に示す一般式(3)
【0074】
【化17】
【0075】
において、Mがジクロロ錫(SnCl2 )であり、Y1 〜Y4 のうち二つがフッ素原子であり、残りの二つが下記式で表わされる置換基である。
【0076】
【化18】
【0077】
化合物11:オクタキス(4−(6−ブロモヘキシル)−2−フェニルフェノキシ)オクタフルオロパラジウムフタロシアニン。構造的には、下記に示す一般式(4)
【0078】
【化19】
【0079】
において、Mがパラジウム(Pd)であり、Zが下記式で表わされる置換基である。
【0080】
【化20】
【0081】
化合物12:テトラキス(2−(2−ブロモエトキシカルボニル)−6−フェニルフェノキシ)テトラキス(2−エトキシカルボニル−6−フェニルフェノキシ)オクタフルオロ(ジクロロ錫)フタロシアニン。構造的には、上記一般式(4)において、Mがジクロロ錫(SnCl2 )であり、Zのうちの4個が下記式の(i) で表わされる置換基であり、Zのうちの別の4個が下記式の(ii)で表わされる置換基である。
【0082】
【化21】
【0083】
化合物13:テトラキス(2−(2,3−ジブロモ−1−プロポキシ)カルボニル−6−フェニルフェノキシ)オクタフルオロバナジルフタロシアニン。構造的には、上記一般式(4)において、Mがバナジル(VO)であり、Zが下記式で表わされる置換基である。
【0084】
【化22】
【0085】
以下に、本発明の新規フタロシアニン化合物の製造方法について詳細に明記する。
【0086】
まず、本発明の新規フタロシアニン化合物は、フェノキシ基で置換されてなり、該フェノキシ基が置換基を有していてもよいアリール基および臭素原子を有する置換基で置換されているフタロニトリル化合物単独あるいは該フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルとの混合物と金属化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0087】
上記フェノキシ基で置換されたフタロニトリル化合物は、さらにフェノキシ基以外の置換基で、その残基の一部または全部が置換されていてもよい。すなわち、上記フェノキシ基で置換されたフタロニトリル化合物単独という場合、フェノキシ基のみで置換されたフタロニトリル化合物の1種に限定されるのでなく、このほかにも、上述のフェノキシ基で置換され、さらにフェノキシ基以外の置換基で、その残基の一部または全部が置換されたフタロニトリル化合物、さらにこれら両者を組合わせたフタロニトリル化合物であればよい。また、上記フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルも、さらにフェノキシ基以外の置換基でベンゼン核の置換可能な位置の一部または全部が置換されていてもよい。すなわち、上記フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルという場合、フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルのみに限定されるのではなく、このほかにも、上述のフェノキシ基で置換されておらず、さらにフェノキシ基以外の置換基でベンゼン核の置換可能な位置の一部または全部がフェノキシ基以外の置換基で置換されたフタロニトリル化合物、さらにこれら両者を組合わせたフタロニトリル化合物であってもよい。したがって、フェノキシ基で置換されたフタロニトリル化合物と該フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルとの混合物という場合には、上述したフェノキシ基で置換されたフタロニトリル化合物の中の1種または2種以上と該フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルの中の1種または2種以上とからなる混合物をいうものである。
【0088】
このようなフェノキシ基で置換されたフタロニトリル化合物単独あるいは該フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルにおける上記フェノキシ基以外の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルコキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコシキカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基等が挙げられる。置換基の種類は1種類でも2種類以上でも構わない。好ましい置換基としてはハロゲン原子、特に塩素原子、フッ素原子であり、特にフッ素原子である。
【0089】
本発明のフタロシアニン化合物の製造に用いるフタロニトリルは、上記のフェノキシ基で置換されており、かつ該フェノキシ基の少なくとも一つが置換基を有していてもよいアリール基および臭素原子を有する置換基で置換されているフタロニトリル化合物単独であっても該フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルとの混合物であってもよいが、フェノキシ基で置換されており、かつ該フェノキシ基の少なくとも一つが置換基を有していてもよいアリール基および臭素原子を有する置換基で置換されているフタロニトリル化合物単独であることが好ましい。
【0090】
本発明の新規フタロシアニン化合物のうち好ましいものである一般式(1)で表わされるものの製造方法について以下に詳述する。
【0091】
前記一般式(1)で示される好適な新規フタロシアニン化合物は、例えば、下記一般式(5)
【0092】
【化23】
【0093】
[ただし、式中、a(あるいはb、c、d)は0〜3の整数でかつ置換された臭素原子数の総和は2〜12の整数であり、またnは0〜3の整数であり、Wは置換してもよいアリール基を表わし、Vは、a、b、cおよびdが1〜3の整数の場合には、下記に規定した(1)〜(3)群の置換基
【0094】
【化24】
【0095】
(式中、Rl 、R2 およびR3 は各々独立に炭素原子数1〜20個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基を表わし、eは1〜5の整数であり、fは0〜6の整数である。)の臭素置換残基から選ばれる少なくとも1種の置換基を表わし、a、b、cおよびdが0の場合には、上記(1)〜(3)群の置換基から選ばれる少なくとも1種の置換基を表わす。]で示されるフタロニトリル化合物と金属化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0096】
本発明の新規フタロシアニン化合物の製造方法において、上記フタロニトリル化合物単独あるいは該フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルとの混合物と金属化合物との反応は無溶媒中でも行なえるが、有機溶媒を使用して行なうのが好ましい。有機溶媒は出発原料と反応性のない不活性な溶媒であればいずれもよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、エチレングリコール、ベンゾニトリル等の不活性溶媒あるいはピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトフェノン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等を用いることができ、好ましくは、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、ベンゾニトリルである。
【0097】
本発明では、有機溶媒100部(以下、重量部を表わす。)に対して、フタロニトリル化合物あるいは該フェノキシ基で置換されていないフタロニトリルとの混合物を2〜40部、好ましくは20〜35部の範囲、金属化合物を該フタロニトリル化合物あるいは該フェノキシ基に置換されていないフタロニトリルとの混合物4モルに対して1〜2モル、好ましくは1.1〜1.5モルの範囲で仕込んで、反応温度30〜250℃、好ましくは80〜200℃の範囲で反応させる。
金属化合物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化合物、金属酸化物、酢酸塩等の有機酸金属塩、アセチルアセトナート等の錯体化合物、金属カルボニル化合物、金属粉等がある。
【0098】
本発明において、出発原料であるフタロニトリル合物は、例えば一般式(5)に示すフタロニトリル化合物を例にとれば、下記スキームのステップAにしたがって合成できる。そして、本発明の一般式(1)で示される新規フタロシアニン化合物の合成は、それらフタロニトリル化合物の単独の原料を用いてステップBにしたがい目的物を得ることができる。
【0099】
【化25】
【0100】
また、一般式(3)および(4)で示される新規フタロシアニン化合物は、例えば上記一般式(1)で示される新規フタロシアニン化合物の合成方法と同様の方法で合成できる。すなわち、一般式(3)で示される新規フタロシアニン化合物は、上記合成スキームのステップBにおいて、原料として3,4,5,6−テトラフルオロフタロニトリルと一般式(5)で示されるフタロニトリル化合物の1:1(モル比)混合物を用いることにより合成できる。また、一般式(4)で示される新規フタロシアニン化合物は、上記合成スキームのステップAの原料のフェノールを2倍量用いることによって、下記一般式(6)
【0101】
【化26】
【0102】
に示すフタロニトリル化合物を製造し、次いでステップBにおいて原料として一般式(6)に示すフタロニトリル化合物を用いることによって合成できる。
【0103】
本発明では、臭素原子を有する置換基を持つフェノキシ基で置換されたフタロニトリル化合物から本発明のフタロシアニン化合物を合成するのが好ましいが、臭素原子を持たないフェノキシ基で置換されたフタロニトリル化合物から一旦臭素原子を持たないフタロシアニン化合物を合成した後、臭素化することにより、本発明のフタロシアニン化合物を合成してもよい。
【0104】
本発明のフタロシアニン化合物は、溶解性が高く、薄膜の吸収スペクトルにおける会合ピークが小さく、単量体ピークがシャープであり、耐光性に優れている。また、本発明のフタロシアニン化合物を光記録媒体に用いたときの反射率、感度に優れているほか、高速記録において優れた効果を発揮するので、特にそれらの特性を必要としている、透明な樹脂製基板、該基板上に設けられた記録層と金属の反射層からなるコンパクトディスク対応の追記型光記録媒体として、例えばオーディオ等の音楽再生用のCD、写真保存用のPHOTO−CDまたはコンピューター用のCD−ROMのプレーヤーに対して互換性、共用性を有する追記型光記録媒体として効果を発揮できる。
【0105】
フタロシアニン化合物を基板上に設けられた記録層に含有してなる光記録媒体として、一般式(1)において示すフタロシアニン化合物の薄膜を用いた場合、当該薄膜の吸収スペクトルにおける会合ピークが大きく抑制され、単量体ピークがシャープになる。したがって、該フタロシアニン化合物を光記録媒体に用いたときの反射率、記録感度の点から好ましい。さらに、上記光記録媒体に適したフタロシアニン化合物は、一般式(1)において、nは0〜3の整数、好ましくは0〜1の整数である。
【0106】
本発明の新規フタロシアニン化合物は、耐光性を維持しながら吸収波長の制御、薄膜における光学特性(会合ピークが抑制され、単量体ピークがシャープになる)、有機溶媒に対する溶解性において優れた特性が得られ、コンパクトディスク対応の光記録媒体に優れた効果が発揮できる。
【0107】
この際に用いるディスク基板としては、信号の記録、または読みだしを行なうための光が透過するものが好ましい。光の透過率としては85%以上であってかつ光学異方性の小さいものが望ましい。例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂などからなる基板が挙げられる。これらの中で光学特性、成形のしやすさあるいは機械的強度などからポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0108】
この基板上に前記した色素がまず形成されて、その上に金属の反射膜層が形成される。反射膜層として使用する金属はアルミニウム、銀、金、銅、白金などが挙げられ、この反射膜層は通常、真空蒸着、スパッター法などの方法により形成される。
【0109】
本発明の光記録媒体において前記色素を含む記録層を基板上に成膜させるためには、通常塗布法を用いるのがよい。方法としてはスピンコート法、ディップ法あるいはロールコート法によって可能であり、特にスピンコート法が好ましい。その際使用する有機溶剤は、基板を侵さないものを用いる。例えば、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族、脂環式炭化水素系の溶媒あるいはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系の溶媒が好ましい。本発明の前記色素はアルコール系溶媒に特に良く溶解するのでこれらの溶媒を用いるのがよい。
【0110】
本発明の光記録媒体の1種であるCDは、プレーヤーに対しての互換性の観点から基板を通しての読み出しレーザー光に対する反射率は60%以上であることが必要とされている。
【0111】
これらはそれぞれの色素に合わせて膜厚を最適化することによって可能であり、通常50nm〜300nm、特に80nm〜200nmがよい。
【0112】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0113】
実施例1 化合物3の製造
100mlの四つ口フラスコ中に下記構造式(7)で示されるフタロニトリル化合物5.94g(0.01モル)、三塩化バナジウム0.47g(3ミリモル)およびベンゾニトリル15mlを仕込み、175℃で4時間反応させた。反応終了後溶媒を留去し、得られた固形分をメチルアルコール200mlで洗浄することにより目的物の緑色ケーキ(テトラキス(2−(1,3−ジブロモ−2−プロポキシカルボニル)−6−フェニルフェノキシ)ドデカフルオロバナジルフタロシアニン(化合物3))2.44gを得た。(収率、フタロニトリルに対して40.0%)。
【0114】
【化27】
【0115】
【表1】
【0116】
実施例2
深さ80nm、ピッチ1.6μmの螺旋上の案内溝を有する厚さ1.2nm、外径120mm、内径15mmのポリカーボネート樹脂基板上に実施例1のフタロシアニン化合物を2−メトキシエタノールに5重量%の濃度で溶解した塗液をスピンコーターを用いて120nmに成膜した。次に、このようにして得られた塗布膜の上に金を膜厚75nmで真空蒸着により成膜した。さらに、この上に紫外線硬化型の樹脂からなる保護コート膜を設けて、光記録媒体を作成した。このようにして得られた光記録媒体の反射率を測定したところ、770nm〜800nmの波長域で85%であり安定した光学特性が得られた。
【0117】
この光記録媒体を用いて波長780nmの半導体レーザーを使用し、5.7mWの出力で線速2.8m/s(2倍速)でEMF信号を記録したところ、記録が可能であり、エラーレートは0.2%未満であった。得られた信号を解析した結果市販のCDプレーヤーで再生できるレベルであった。
【0118】
また、実施例1で得られたフタロシアニン化合物について、耐光性、会合性および熱分解性について測定した。
【0119】
なお、耐光性の評価は、以下の方法により行なった。
【0120】
色素1gをメチルエチルケトン20gに溶解させ、ガラス基盤上にスピンコート法により色素薄膜を作成し試料とした。この試料をキセノン耐光性試験機(照射光量12万Lux)にセットし、経時での吸光度の減少を測定した。その結果、100時間経過後の吸光度の残存率は82%であり、耐光性が優れていた。
【0121】
また、会合性の評価は、単量体ピークの吸収スペクトルの吸光度を100%としたときの会合ピークの吸光度の割合を算出して行った。その結果、会合ピークの割合は30%であり、優れた結果が得られた。
【0122】
さらに、熱分解性は、示差熱熱重量分析装置で測定して評価した。その結果、分解開始後の重量減少度が大きく、シャープメルト性が高いことが分かった。
【0123】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明の新規化合物は、従来知られているフタロシアニン化合物に比べ吸収特性、溶解性、耐光性、熱分解特性および経済性に優れており、また650〜900nmの近赤外域に吸収を有するので、近赤外吸収色素として実用的に使用できる。特にCD、PHOTO−CDまたはCD−ROMのプレーヤーにたいして互換性、共有性を有する追記型光記録媒体に用いる際に優れた効果を発揮できる。
【0124】
本発明の製造方法によれば、フタロシアニン骨格に位置選択的に置換基を導入することが可能である。すなわち、本発明の製造方法によれば、用途に応じた近赤外線の吸収波長域または溶解性を変えた化合物の分子設計が可能となり、その際、複雑な製造工程を経る必要もなく工業的に有利である。本発明の新規フタロシアニン化合物中のフッ素原子はむしろ溶解性を高める効果を有している。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a novel phthalocyanine compound, a production method thereof, and an optical recording medium using the same. Since the novel phthalocyanine compound according to the present invention absorbs in the near infrared region of 600 to 1000 nm and has excellent solubility, writing or reading in an optical recording medium using a semiconductor laser, a liquid crystal display device, an optical character reader, etc. Near-infrared absorption dyes, near-infrared sensitizers, thermal transfer, photothermal conversion agents such as thermal paper and thermal stencil, near-infrared absorption filters, ocular anti-fatigue agents, and photoconductive materials Color separation filters, liquid crystal display elements, color cathode ray tube selective absorption filters, color toners, inkjet inks, anti-counterfeiting barcode inks, microorganism deactivators, and tumor treatment photosensitivities Excellent effect when used for sex pigments. In particular, it exhibits a very excellent effect as a near-infrared absorbing dye for use in a write-once type optical recording medium compatible with compact discs.
[0002]
[Prior art]
In recent years, development of optical recording media such as compact discs, laser discs, optical memory discs, and optical cards using a semiconductor laser as a light source has been active. In particular, CDs, PHOTO-CDs, and CD-ROMs are used in large quantities for storing and reproducing audio, images, code data, and the like as large-capacity, high-speed access digital recording media. All of these systems require so-called near-infrared absorbing dyes sensitive to semiconductor lasers, and those having good characteristics are required for these dyes.
[0003]
In particular, many phthalocyanine compounds that are stable to light, heat, temperature, etc. and have excellent fastness have been studied.
[0004]
The characteristics required for use in a write once optical recording medium compatible with compact discs include:
(1) The maximum absorption wavelength in the thin film is controlled to 700 to 730 nm (the number of peaks due to association is small, the absorbance is high, and the peak is sharp, so that the main characteristics for optical properties such as reflectance are major. Component)
(2) It can be applied on a substrate by a simple and excellent method such as spin coating and has excellent solubility in a solvent that does not attack the substrate;
(3) good heat resistance and light resistance;
(4) Good thermal decomposition characteristics (which is a major component of sensitivity),
(5) The compound is excellent in economic efficiency in the production method, etc.
Etc.
[0005]
For example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 58-56892 proposes a method using a perfluorophthalocyanine compound. However, these compounds have poor solubility in organic solvents and cannot be controlled to a satisfactory absorption wavelength.
[0006]
JP-A-61-192780, JP-A-61-246091, JP-A-63-37991, JP-A-64-42283, JP-A-2-276777, JP-A-2-91360, JP-A-2-91360 JP-A-265788, JP-A-3-215466, JP-A-4-226390, and the like have proposed the introduction of a substituent into the benzene ring of the phthalocyanine skeleton through oxygen. However, depending on the type, number, and position of the substituent of the dye, these compounds have poor light resistance, low reflectance, or are not dissolved in a solvent that can be directly applied to a substrate such as polycarbonate, which is commonly used. Or have problems in controlling the absorption wavelength.
[0007]
As those in which these drawbacks are relatively solved, Japanese Patent Application Laid-Open No. 5-1272 proposes that four alkoxy groups are introduced at the α-position of phthalocyanine and a halogen compound or the like is partially introduced into the residue. . However, those having a substituent introduced at the α-position have problems in terms of economy such as poor productivity from phthalonitrile as a raw material. Further, such a phthalocyanine compound does not necessarily satisfy all the characteristics, and therefore, further good characteristics are desired.
[0008]
Further, the present inventors have so far proposed phthalocyanine compounds in which a phenoxy group having a bulky substituent is substituted at the β-position (JP-A-5-345861, JP-A-6-107663, JP-A-6-328856). JP-A-8-225751). However, these compounds also have problems in reflectance, sensitivity, etc. in the optical recording medium, and the phthalocyanine compounds proposed so far do not satisfy all the above characteristics. In order to improve these properties, the present inventors have proposed a phthalocyanine improved in Japanese Patent Application No. 7-301609. However, these compounds have problems such as sensitivity in high-speed recording.
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in consideration of the above-mentioned circumstances of the prior art. That is, the object of the present invention is that absorption control according to the purpose is possible in the absorption wavelength region of 600 to 1000 nm, and is excellent in solubility in a solvent according to the application, such as an alcohol solvent, and heat resistance. An object of the present invention is to provide a novel phthalocyanine compound having high light resistance.
[0010]
Another object of the present invention is to provide a method for producing a phthalocyanine compound efficiently and with high purity.
[0011]
Furthermore, another object of the present invention is excellent in solubility, absorption wavelength, sensitivity, reflectance, light resistance, and thermal decomposition characteristics required for optical recording media, particularly optical recording media compatible with compact discs. It is in providing the phthalocyanine compound which exhibits the outstanding effect.
[0012]
Another object of the present invention is to provide a phthalocyanine compound that exhibits excellent effects in high-speed recording.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
The above objects are achieved by the following (1) to (4).
[0014]
(1) An aryl in which 1 to 8 of the 16 substitutable positions of the benzene nucleus of the phthalocyanine skeleton are substituted with a phenoxy group, and at least one of the phenoxy groups may have a substituent And a phthalocyanine compound substituted with a substituent having a bromine atom.
[0015]
(2) General formula (1)
[0016]
[Chemical 3]
[0017]
[Wherein, a, b, c and d are integers of 0 to 3, the total number of substituted bromine atoms is an integer of 2 to 12, and n is an integer of 0 to 3, W represents an aryl group which may be substituted, and V is a substituent of the group (1) to (3) defined below when a, b, c and d are integers of 1 to 3.
[0018]
[Formula 4]
[0019]
(Wherein R l , R 2 And R Three Each independently represents a linear, branched or cyclic alkyl group having 1 to 20 carbon atoms, e is an integer of 1 to 5, and f is an integer of 0 to 6. ) Represents at least one substituent selected from bromine-substituted residues, and when a, b, c and d are 0, at least one selected from the substituents of groups (1) to (3) above Wherein M represents a metal, a metal oxide or a metal halide. ] The phthalocyanine compound as described in said (1) shown.
[0020]
(3) A phthalonitrile compound substituted with a phenoxy group, and the phenoxy group substituted with an aryl group which may have a substituent and a substituent having a bromine atom, or substituted with the phenoxy group The method for producing a phthalocyanine compound according to (1) or (2), wherein a metal compound is reacted with a mixture of phthalonitrile that is not present.
[0021]
(4) An optical recording medium comprising the phthalocyanine compound described in (1) or (2) in a recording layer provided on a substrate.
[0022]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the phthalocyanine compound according to the present invention, 1 to 8 of the 16 substitutable positions of the benzene nucleus of the phthalocyanine skeleton are substituted with a phenoxy group, and at least one of the phenoxy groups has a substituent. A phthalocyanine compound substituted with an aryl group and a substituent having a bromine atom. Examples of the aryl group that may have a substituent that substitutes at least one of the phenoxy groups include a phenyl group and a naphthyl group. A phenyl group is preferred. Substituents optionally present in the aryl group are, for example, halogen atoms, alkyl groups, alkoxy groups, nitro groups, amino groups, alkylamino groups, alkoxycarbonyl groups and the like.
[0023]
The aryl group which may have a substituent contained in the phthalocyanine compound of the present invention is preferably in the ortho position of the phenoxy group. When the aryl group which may have a substituent is in the ortho position of the phenoxy group, an absorption peak derived from an aggregate (hereinafter referred to as an aggregate peak) in the absorption spectrum of the thin film of the phthalocyanine compound is greatly suppressed. An absorption peak derived from a monomer (hereinafter referred to as a monomer peak) is preferable because it is sharp.
[0024]
Further, the other substituent that substitutes at least one of the phenoxy groups is a substituent having a bromine atom, and hydrogen of the substituent having a linear, branched or cyclic alkyl chain having 1 to 20 carbon atoms. Is a substituent in which part or all of them are substituted with a bromine atom, and the alkyl chain is preferably an alkyl chain having 1 to 8 carbon atoms. Specifically, methyl, ethyl, n-propyl, isopropyl, n-butyl, tert-butyl, n-pentyl, n-hexyl, cyclohexyl, n-octyl, 2-ethylhexyl, n-decyl, lauryl, stearyl, methoxy Ethyl, ethoxyethyl, 3 ′, 6′-oxaheptyl, 3 ′, 6′-oxaoctyl, 3 ′, 6 ′, 9′-oxadecyl, 3 ′, 6 ′, 9 ′, 12′-oxatridecyl, etc. The alkyl chain of is illustrated.
[0025]
In the present invention, the substituent having a bromine atom is preferably in the ortho position of the phenoxy group. Since the substituent having a bromine atom is in the ortho position of the phenoxy group, the absorption peak derived from the aggregate (hereinafter referred to as the aggregate peak) in the absorption spectrum of the thin film of the phthalocyanine compound is greatly controlled, and is derived from the monomer. An absorption peak (hereinafter referred to as a monomer peak) is preferable because it is sharp.
[0026]
In this invention, it is preferable that the number of bromine atoms contained in the substituent which has a bromine atom is 1-3. The total number of bromine atoms in the phthalocyanine compound of the present invention is preferably 1 to 16.
[0027]
Examples of the substituent having an alkyl chain include the groups (1) to (3) defined below.
[0028]
[Chemical formula 5]
[0029]
(Wherein R l , R 2 And R Three Each independently represents a linear, branched or cyclic alkyl group having 1 to 20 carbon atoms, e is an integer of 1 to 5, and f is an integer of 0 to 6. ) Is preferred. Therefore, as a preferable example of the substituent having a bromine atom of the present invention, a substituent in which part or all of the hydrogen atoms in the substituents of the groups (1) to (3) are substituted with a bromine atom can be mentioned.
[0030]
Among these novel phthalocyanine compounds, preferred are those represented by the general formula (1), which will be described in detail below.
[0031]
In general formula (1), M is a metal, a metal oxide, or a metal halide. Specific examples of the central metal of the phthalocyanine compound represented by M include iron chloride, magnesium, nickel, cobalt, copper, palladium, zinc, aluminum chloride, indium chloride, germanium chloride, tin chloride, silicon chloride, titanyl, vanadyl, etc. In terms of good light resistance, cobalt, copper, zinc, tin chloride or vanadyl is preferable, and vanadyl is particularly preferable.
[0032]
The substituent on the phenoxy group represented by W represents an aryl group which may have a substituent. Examples of the aryl group include a phenyl group, a naphthyl group, and a toluyl group. Particularly preferred is a phenyl group. Substituents optionally present in the aryl group are, for example, halogen atoms, alkyl groups, alkoxy groups, nitro groups, amino groups, alkylamino groups, alkoxycarbonyl groups and the like.
[0033]
Here, the halogen atom is fluorine, chlorine, bromine and iodine, preferably fluorine or chlorine, and particularly preferably fluorine.
[0034]
The alkyl group is a linear, branched or cyclic alkyl group having 1 to 20 carbon atoms, preferably an alkyl group having 1 to 8 carbon atoms. Specifically, methyl group, ethyl group, n-propyl group, isopropyl group, n-butyl group, tert-butyl group, n-pentyl group, n-hexyl group, cyclohexyl group, n-octyl group, 2-ethylhexyl Group, n-decyl group, lauryl group, stearyl group and the like.
[0035]
The alkoxy group is a linear, branched or cyclic alkoxy group having 1 to 20 carbon atoms, preferably an alkoxy group having 1 to 8 carbon atoms. Specifically, methoxy group, ethoxy group, n-propyloxy group, isopropyloxy group, n-butoxy group, tert-butoxy group, n-pentyloxy group, n-hexyloxy group, cyclohexyloxy group, n-octyl An oxy group, 2-ethylhexyloxy group, n-decyloxy group, etc. are shown.
[0036]
The alkylamino group includes a linear, branched or cyclic alkyl group having 1 to 20 carbon atoms, preferably an alkylamino group having 1 to 8 carbon atoms. Specifically, methylamino group, ethylamino group, n-propylamino group, isopropylamino group, n-butylamino group, tert-butylamino group, n-pentylamino group, n-hexylamino group, cyclohexylamino group , N-octylamino group, 2-ethylhexylamino group, n-decylamino group and the like.
[0037]
The alkoxycarbonyl group is an alkoxycarbonyl group having 1 to 8 carbon atoms, preferably 1 to 5 carbon atoms which may contain a hetero atom in the alkyl group part of the alkoxy group, or 3 to 8 carbon atoms which may contain a hetero atom, preferably 5 -8 cyclic alkoxycarbonyls are shown. Specifically, methoxycarbonyl group, ethoxycarbonyl group, n-butoxycarbonyl group, tert-butoxycarbonyl group, n-pentyloxycarbonyl group, n-hexyloxycarbonyl group, 2-ethylhexyloxycarbonyl group, methoxyethoxycarbonyl group , Ethoxyethoxycarbonyl group, butoxyethoxycarbonyl group, diethylaminoethoxycarbonyl group, methylthioethoxycarbonyl group, methoxypropyloxycarbonyl group, (3,6,9-oxa) decyloxycarbonyl group, tetrahydrofurfuryloxycarbonyl group, pyranoxy Carbonyl group, piperidinooxycarbonyl group, piperidinoethoxycarbonyl group, tetrahydropyrroleoxycarbonyl group, tetrahydropyranmethoxycarbonyl group Tetrahydrothiophene oxycarbonyl group, a cyclohexyloxy group and the like.
[0038]
V- (Br) a (b, c, d) When a, b, c and d are integers of 1 to 3, the substituent on the phenoxy group represented by the formula represents a substituent having a bromine atom, and in this case, V represents the following (1) to (3) Substituents having groups of alkyl chains
[0039]
[Chemical 6]
[0040]
(Wherein R l , R 2 And R Three Each independently represents a linear, branched or cyclic alkyl group having 1 to 20 carbon atoms, e is an integer of 1 to 5, and f is an integer of 0 to 6. ) At least one selected from bromine-substituted residues. Specific examples of such a substituent having a bromine atom include the following groups of substituents (4) to (6).
[0041]
(4) Group: bromomethyl, dibromomethyl, tribromomethyl, 1-bromoethyl, 2-bromoethyl, 1,2-dibromoethyl, 1,1-dibromoethyl, 2,2-dibromoethyl, 1,1,2-tri Bromoethyl, 1,2,2-tribromoethyl, 1-bromopropyl, 2-bromo-1-propyl, 3-bromo-1-propyl, 1-bromo-2-propyl, 2,3-dibromo-1propyl 1,3-dibromo-2-propyl, 4-bromo-1-butyl, 1-bromo-1-butyl, 1-bromo-2-butyl, 2-bromo-1-butyl, 1,4-dibromo-2 -Butyl, 5-bromo-1-pentyl, 1-bromo-1-pentyl, 6-bromo-1-hexyl, 1-bromo-1-hexyl, 7-bromo-1-heptyl, 1-bromo-1-heptyl 8-bromo-1-octyl, 1-bromo-1-octyl, 9-bromo-1-nonyl, 1-bromo-1-nonyl, 10-bromo-1-decyl, 1-bromo-1-decyl, 11- Bromo-1-undecyl, 1-bromo-1-undecyl, 12-bromo-1-dodecyl, 1-bromo-1-dodecyl.
[0042]
(5) Group: bromomethoxycarbonyl, 2-bromoethoxycarbonyl, 3-bromo-1-propoxycarbonyl, 2-bromo-1-propoxycarbonyl, 1-bromo-2-propoxycarbonyl, 2,3, dibromo-1- Propoxycarbonyl, 1,3-dibromo-2-propoxycarbonyl, 1-bromo-2-butoxycarbonyl, 2-bromo-1-butoxycarbonyl, 4-bromo-1-butoxycarbonyl, 1,4-dibromo-2-butoxy Carbonyl, 5-bromo-1-pentyloxycarbonyl, 6-bromo-1-hexyloxycarbonyl, 7-bromo-1-heptyloxycarbonyl, 8-bromo-1-octyloxycarbonyl, 9-bromo-1-nonyloxy Carbonyl, 10-bromo-1-decyloxycarbonyl 11-bromo-1-undecyloxy carbonyl, 12-bromo-1-dodecyloxy carbonyl.
[0043]
(6) Group: bromomethoxy, dibromomethoxy, tribromomethoxy, 1-bromoethoxy, 2-bromoethoxy, 1,2-dibromoethoxy, 1,1-dibromoethoxy, 2,2-dibromoethoxy, 1,1, 2-tribromoethoxy, 1,2,2-tribromoethoxy, 1-bromopropoxy, 2-bromo-1-propoxy, 3-bromo-1-propoxy, 1-bromo-2-propoxy, 2,3-dibromo -1-propoxy, 1,3-dibromo-2-propoxy, 4-bromo-1-butoxy, 1-bromo-1-butoxy, 1-bromo-2-butoxy, 2-bromo-1-butoxy, 1,4 -Dibromo-2-butoxy, 5-bromo-1-pentyloxy, 1-bromo-1-pentyloxy, 6-bromo-1-hexyloxy, 1-bromo-1 Hexyloxy, 7-bromo-1-heptyloxy, 1-bromo-1-heptyloxy, 8-bromo-1-octyloxy, 1-bromo-1-octyloxy, 9-bromo-1-nonyloxy, 1-bromo -1-nonyloxy, 10-bromo-1-decyloxy, 1-bromo-1-decyloxy, 11-bromo-1-undecyloxy, 1-bromo-1-undecyloxy, 12-bromo-1-dodecyloxy, 1-bromo-1-dodecyloxy, bromomethoxyethoxy, 1-bromoethoxyethoxy, 1-bromo-3 ', 6'-oxaheptyloxy, 1-bromo-3', 6'-oxaoctyloxy, 1-bromo -3 ', 6', 9'-oxadecyloxy, 1-bromo-3 ', 6', 9 ', 12'-oxatridecyloxy, bromo Tokishipuropokishi, 1-bromoethoxy propoxy, 1-bromo-4 ', 8'-oxa-nonyl oxy, 1-bromo-4', 8'-oxa decyloxy.
[0044]
In the present invention, among the substituents of the groups (4) to (6), the group (5) is particularly preferable. In particular, an alkoxycarbonyl group having a brominated secondary or higher alkyl group such as 1-bromo-2-propoxycarbonyl and 1,3-dibromo-2-propoxycarbonyl is preferred. By using a phthalocyanine compound in which an alkoxycarbonyl group having a brominated secondary or higher alkyl group is a substituent, optical properties such as reflectance and recording sensitivity when this phthalocyanine compound is used in an optical recording medium, particularly This is preferable from the viewpoint of excellent recording sensitivity.
[0045]
In the present invention, a substituent having a bromine atom can be substituted at the ortho position of the phenoxy group and, in some cases, at the meta position and the para position. At this time, V in the general formula (1) is not necessarily on the phthalocyanine skeleton. It is not necessary for all to be the same, and each of them may be one selected from bromine-substituted residues of substituents having the alkyl chains of groups (1) to (3) above.
[0046]
Also, V- (Br) a (b, c, d) When a, b, c, and d are 0 in the substituent on the phenoxy group represented by V, V is at least one selected from the substituents having the alkyl chain of groups (1) to (3) above. is there. Specific examples of such substituent V include the following groups.
[0047]
(1) Group: methyl, ethyl, propyl, isopropyl, cyclopropyl, butyl, isobutyl, sec-butyl, tert-butyl, linear or branched pentyl, linear or branched hexyl, cyclohexyl, linear or branched heptyl Linear or branched octyl, linear or branched nonyl, linear or branched decyl, linear or branched undecyl, linear or branched dodecyl.
[0048]
(2) Group: methoxycarbonyl, ethoxycarbonyl, propoxycarbonyl, isopropoxycarbonyl, butoxycarbonyl, isobutoxycarbonyl, sec-butoxycarbonyl, tert-butoxycarbonyl, linear or branched pentyloxycarbonyl, linear or branched hexyl Oxycarbonyl, cyclohexyloxycarbonyl, linear or branched heptyloxycarbonyl, linear or branched octyloxycarbonyl, linear or branched nonyloxycarbonyl, linear or branched decyloxycarbonyl, linear or branched undecyl Oxycarbonyl, linear or branched dodecyloxycarbonyl, cyclohexanemethoxycarbonyl, cyclohexaneethoxycarbonyl, - cyclohexyl-1-propoxycarbonyl, tert- butylcyclohexyl butyloxycarbonyl.
[0049]
(3) Group: methoxy, ethoxy, propoxy, isopropoxy, butoxy, isobutoxy, sec-butoxy, tert-butoxy, linear or branched pentyloxy, linear or branched hexyloxy, cyclohexyloxy, linear or branched Heptyloxy, linear or branched octyloxy, linear or branched nonyloxy, linear or branched decyloxy, linear or branched undecyloxy, linear or branched dodecyloxy, methoxyethoxy, ethoxyethoxy, 3 ' , 6'-oxaheptyloxy, 3 ', 6'-oxaoctyloxy, 3', 6 ', 9'-oxadecyloxy, 3'6', 9 ', 12'-oxatridecyloxy, methoxypropyloxy , Ethoxypropyloxy, ', 8'-oxa-nonyl oxy, 4', 8'-oxa decyloxy.
[0050]
In the remaining positions where the substituents of the groups (1) to (6) and the aryl group which may have a substituent are introduced into the phenoxy group, the solubility is further improved, or the absorption wavelength is controlled. Therefore, a new substituent may be introduced. Examples of these substituents include a halogen atom, an alkoxycarbonyl group having 1 to 20 carbon atoms which may be substituted with a linear or branched alkoxy group, an aryloxycarbonyl group which may be substituted, A chain or branched alkyl group having 1 to 12 carbon atoms which may be substituted, a straight chain or branched alkoxy group having 1 to 12 carbon atoms, a straight chain or branched chain having 1 to 1 carbon atoms 20 monoalkylamino groups, straight-chain or branched dialkylamino groups having 1 to 20 carbon atoms, cyclohexyl groups, phenoxy groups which may be substituted, anilino groups which may be substituted, nitro groups, etc. Is mentioned.
[0051]
Furthermore, since the substituents of the groups (1) to (6) are an alkoxycarbonyl group in which a secondary or higher alkyl group is directly bonded to a carbonyl group and a part thereof is brominated, it has excellent solubility. Therefore, it is excellent in film forming property. Further, when this phthalocyanine compound is used for an optical recording medium, optical characteristics such as reflectance and recording sensitivity are particularly excellent. For this reason, since it has the performance corresponding to a high-speed recording type compact disk, it is especially preferable.
[0052]
Specific examples of the phthalocyanine compound used in the present invention include the following compounds.
[0053]
Compound 1: Tetrakis (4- (2-bromoethoxycarbonyl) -2-phenylphenoxy) dodecafluorovanadyl phthalocyanine. Structurally, the general formula (2)
[0054]
[Chemical 7]
[0055]
, M is vanadyl (VO), and A is a substituent represented by the following formula.
[0056]
[Chemical 8]
[0057]
Compound 2: bis (2- (2-bromoethoxycarbonyl) -6-phenylphenoxy) bis (2-ethoxycarbonyl-6-phenylphenoxy) dodecafluorotitanyl phthalocyanine. Structurally, in the above general formula (2), M is titanyl (TiO), two of A are substituents represented by (i) of the following formula, Is a substituent represented by the following formula (ii).
[0058]
[Chemical 9]
[0059]
Compound 3: Tetrakis (2- (1,3-dibromo-2-propoxycarbonyl) -6-phenylphenoxy) dodecafluorovanadyl phthalocyanine. Structurally, in the general formula (2), M is vanadyl (VO), and A is a substituent represented by the following formula.
[0060]
[Chemical Formula 10]
[0061]
Compound 4: Tetrakis (2,4-di (6-bromohexyloxycarbonyl) -6-phenylphenoxy) dodecafluorocopper phthalocyanine. Structurally, in the general formula (2), M is copper (Cu), and A is a substituent represented by the following formula.
[0062]
Embedded image
[0063]
Compound 5: Tetrakis (2- (2-bromoethyl) -6-phenylphenoxy) dodecafluorovanadyl phthalocyanine. Structurally, in the general formula (2), M is vanadyl (VO), and A is a substituent represented by the following formula.
[0064]
Embedded image
[0065]
Compound 6: Tetrakis (4- (2-bromoethoxy) -2-isopropoxycarbonyl-6-phenylphenoxy) dodecafluoroiron phthalocyanine. Structurally, in the general formula (2), M is iron (Fe), and A is a substituent represented by the following formula.
[0066]
Embedded image
[0067]
Compound 7: Tetrakis (2- (2-bromoethoxy) -6-phenylphenoxy) dodecafluorovanadyl phthalocyanine. Structurally, in the general formula (2), M is vanadyl (VO), and A is a substituent represented by the following formula.
[0068]
Embedded image
[0069]
Compound 8: Tetrakis (2- (2-bromoethoxy) carbonyl-6-phenylphenoxy) dodecafluorovanadyl phthalocyanine. Structurally, in the general formula (2), M is vanadyl (VO), and A is a substituent represented by the following formula.
[0070]
Embedded image
[0071]
Compound 9: Tetrakis (2- (1-bromo-2-propoxycarbonyl-6-phenylphenoxy) dodecafluorovanadyl phthalocyanine. Structurally, in the above general formula (2), M is vanadyl (VO), and A Is a substituent represented by the following formula.
[0072]
Embedded image
[0073]
Compound 10: Bis (2- (2-bromoethyl) -6-phenylphenoxy) tetradecafluoro (dichlorotin) phthalocyanine. Structurally, the following general formula (3)
[0074]
Embedded image
[0075]
M is dichlorotin (SnCl 2 ) And Y 1 ~ Y Four Two of them are fluorine atoms, and the remaining two are substituents represented by the following formula.
[0076]
Embedded image
[0077]
Compound 11: Octakis (4- (6-bromohexyl) -2-phenylphenoxy) octafluoropalladium phthalocyanine. Structurally, the following general formula (4)
[0078]
Embedded image
[0079]
In the above, M is palladium (Pd), and Z is a substituent represented by the following formula.
[0080]
Embedded image
[0081]
Compound 12: Tetrakis (2- (2-bromoethoxycarbonyl) -6-phenylphenoxy) tetrakis (2-ethoxycarbonyl-6-phenylphenoxy) octafluoro (dichlorotin) phthalocyanine. Structurally, in the above general formula (4), M is dichlorotin (SnCl 2 And four of Z are substituents represented by the following formula (i), and another four of Z are substituents represented by the following formula (ii).
[0082]
Embedded image
[0083]
Compound 13: Tetrakis (2- (2,3-dibromo-1-propoxy) carbonyl-6-phenylphenoxy) octafluorovanadyl phthalocyanine. Structurally, in the general formula (4), M is vanadyl (VO), and Z is a substituent represented by the following formula.
[0084]
Embedded image
[0085]
Hereinafter, the method for producing the novel phthalocyanine compound of the present invention will be described in detail.
[0086]
First, the novel phthalocyanine compound of the present invention is substituted with a phenoxy group, and the phenoxy group is substituted with an aryl group which may have a substituent and a substituent having a bromine atom alone or It can be produced by reacting a metal compound with a mixture of the phthalonitrile which is not substituted with the phenoxy group.
[0087]
The phthalonitrile compound substituted with the phenoxy group may be further substituted partially or entirely with a substituent other than the phenoxy group. That is, when referring to the phthalonitrile compound alone substituted with the phenoxy group, it is not limited to one type of phthalonitrile compound substituted only with the phenoxy group. A phthalonitrile compound in which a part or all of the residue is substituted with a substituent other than a phenoxy group, or a phthalonitrile compound in which both are combined may be used. Further, the phthalonitrile which is not substituted with the phenoxy group may be further substituted at a part or all of the substitutable positions of the benzene nucleus with a substituent other than the phenoxy group. That is, in the case of phthalonitrile not substituted with the phenoxy group, it is not limited to phthalonitrile not substituted with a phenoxy group. A phthalonitrile compound in which a part or all of the substitutable positions of the benzene nucleus with a substituent other than a phenoxy group is substituted with a substituent other than a phenoxy group, or a phthalonitrile compound in combination of these may be used. Therefore, when referring to a mixture of a phthalonitrile compound substituted with a phenoxy group and a phthalonitrile not substituted with the phenoxy group, one or more of the phthalonitrile compounds substituted with the phenoxy group described above are used. And a mixture of one or more phthalonitriles not substituted with the phenoxy group.
[0088]
Examples of such a phthalonitrile compound substituted with a phenoxy group alone or a substituent other than the phenoxy group in phthalonitrile not substituted with the phenoxy group include, for example, a halogen atom, an alkyl group, an aryl group, a heterocyclic group, Cyano group, hydroxy group, nitro group, amino group (including substituted amino group), alkoxy group, acylamino group, aminocarbonylamino group, sulfamoylamino group, alkylthio group, arylthio group, alkoxycarbonylamino group, sulfonylamino Group, carbamoyl group, sulfamoyl group, sulfonyl group, alkoxycarbonyl group, heterocyclic oxy group, azo group, acyloxy group, carbamoyloxy group, silyloxy group, aryloxycarbonyl group, imide group, heterocyclic thio group, sulfinyl group, Suhoriru group, an acyl group, and the like. One kind or two or more kinds of substituents may be used. Preferred substituents are halogen atoms, particularly chlorine atoms and fluorine atoms, and particularly fluorine atoms.
[0089]
The phthalonitrile used for the production of the phthalocyanine compound of the present invention is substituted with the above phenoxy group, and at least one of the phenoxy groups may have a substituent and a substituent having a bromine atom. It may be a substituted phthalonitrile compound alone or a mixture with phthalonitrile not substituted with the phenoxy group, but is substituted with a phenoxy group, and at least one of the phenoxy groups is a substituent. It is preferable that the phthalonitrile compound is substituted with an aryl group which may have a substituent and a substituent having a bromine atom.
[0090]
The manufacturing method of what is represented with General formula (1) which is preferable among the novel phthalocyanine compounds of this invention is explained in full detail below.
[0091]
Suitable new phthalocyanine compounds represented by the general formula (1) include, for example, the following general formula (5)
[0092]
Embedded image
[0093]
[In the formula, a (or b, c, d) is an integer of 0 to 3, the total number of substituted bromine atoms is an integer of 2 to 12, and n is an integer of 0 to 3. , W represents an optionally substituted aryl group, and V is a substituent of the group (1) to (3) defined below when a, b, c and d are integers of 1 to 3
[0094]
Embedded image
[0095]
(Wherein R l , R 2 And R Three Each independently represents a linear, branched or cyclic alkyl group having 1 to 20 carbon atoms, e is an integer of 1 to 5, and f is an integer of 0 to 6. ) Represents at least one substituent selected from bromine-substituted residues, and when a, b, c and d are 0, at least one selected from the substituents of groups (1) to (3) above Represents a substituent of ] Can be produced by reacting a metal compound with a phthalonitrile compound represented by the formula:
[0096]
In the method for producing a novel phthalocyanine compound of the present invention, the reaction of the metal compound with the phthalonitrile compound alone or a mixture of the phthalonitrile not substituted with the phenoxy group can be carried out in the absence of a solvent, but using an organic solvent. It is preferred to do so. The organic solvent may be any inert solvent that is not reactive with the starting material, such as benzene, toluene, xylene, nitrobenzene, monochlorobenzene, dichlorobenzene, trichlorobenzene, 1-chloronaphthalene, 1-methylnaphthalene, ethylene. Inactive solvents such as glycol and benzonitrile or aprotic such as pyridine, N, N-dimethylformamide, N-methyl-2-pyrrolidinone, N, N-dimethylacetophenone, triethylamine, tri-n-butylamine, dimethyl sulfoxide, sulfolane Polar solvents can be used, and 1-chloronaphthalene, 1-methylnaphthalene, and benzonitrile are preferable.
[0097]
In the present invention, 2 to 40 parts, preferably 20 to 35 parts, of a mixture of a phthalonitrile compound or a phthalonitrile not substituted with the phenoxy group with respect to 100 parts of an organic solvent (hereinafter referred to as parts by weight). In the range of 1 to 2 mol, preferably 1.1 to 1.5 mol, with respect to 4 mol of the mixture of the metal compound and the phthalonitrile compound or phthalonitrile not substituted with the phenoxy group, The reaction temperature is 30 to 250 ° C., preferably 80 to 200 ° C.
Examples of the metal compound include halogen compounds such as chloride, bromide, and iodide, metal oxides, organic acid metal salts such as acetate, complex compounds such as acetylacetonate, metal carbonyl compounds, and metal powder.
[0098]
In the present invention, the phthalonitrile compound as a starting material can be synthesized according to step A in the following scheme, for example, taking the phthalonitrile compound shown in the general formula (5) as an example. And the synthesis | combination of the novel phthalocyanine compound shown by General formula (1) of this invention can obtain the target object according to Step B using the independent raw material of these phthalonitrile compounds.
[0099]
Embedded image
[0100]
Moreover, the novel phthalocyanine compounds represented by the general formulas (3) and (4) can be synthesized, for example, by the same method as the synthesis method of the novel phthalocyanine compound represented by the general formula (1). That is, the novel phthalocyanine compound represented by the general formula (3) is obtained by converting 3,4,5,6-tetrafluorophthalonitrile and the phthalonitrile compound represented by the general formula (5) as raw materials in Step B of the above synthesis scheme. It can be synthesized by using a 1: 1 (molar ratio) mixture. In addition, the novel phthalocyanine compound represented by the general formula (4) is obtained by using twice the amount of the raw material phenol in Step A of the above synthesis scheme, thereby obtaining the following general formula (6).
[0101]
Embedded image
[0102]
Can be synthesized by using the phthalonitrile compound represented by the general formula (6) as a raw material in Step B.
[0103]
In the present invention, the phthalocyanine compound of the present invention is preferably synthesized from a phthalonitrile compound substituted with a phenoxy group having a substituent having a bromine atom, but from a phthalonitrile compound substituted with a phenoxy group having no bromine atom. The phthalocyanine compound of the present invention may be synthesized by once synthesizing a phthalocyanine compound having no bromine atom and then brominating.
[0104]
The phthalocyanine compound of the present invention has high solubility, a small association peak in the absorption spectrum of the thin film, a sharp monomer peak, and excellent light resistance. In addition to being excellent in reflectance and sensitivity when the phthalocyanine compound of the present invention is used in an optical recording medium, it exhibits excellent effects in high-speed recording. As a write-once type optical recording medium compatible with a compact disc composed of a substrate, a recording layer provided on the substrate, and a metal reflective layer, for example, a CD for reproducing music such as audio, a PHOTO-CD for storing photos, or a computer The effect can be exhibited as a write-once type optical recording medium having compatibility and commonality with a CD-ROM player.
[0105]
When a thin film of a phthalocyanine compound represented by the general formula (1) is used as an optical recording medium containing a phthalocyanine compound in a recording layer provided on a substrate, an association peak in the absorption spectrum of the thin film is greatly suppressed. The monomer peak becomes sharp. Accordingly, the phthalocyanine compound is preferable from the viewpoint of reflectance and recording sensitivity when used in an optical recording medium. Further, in the general formula (1), n is an integer of 0 to 3, preferably an integer of 0 to 1, of the phthalocyanine compound suitable for the optical recording medium.
[0106]
The novel phthalocyanine compound of the present invention has excellent properties in control of absorption wavelength while maintaining light resistance, optical properties in a thin film (an association peak is suppressed and a monomer peak becomes sharp), and solubility in an organic solvent. As a result, the optical recording medium compatible with compact discs can exhibit excellent effects.
[0107]
The disk substrate used at this time is preferably one that transmits light for recording or reading signals. The light transmittance is preferably 85% or more and small in optical anisotropy. For example, a substrate made of glass, acrylic resin, polycarbonate resin, polyester resin, polyamide resin, vinyl chloride resin, polystyrene resin, epoxy resin, or the like can be given. Among these, polycarbonate resin is preferable from the viewpoint of optical characteristics, ease of molding, mechanical strength, and the like.
[0108]
The above-mentioned pigment is first formed on this substrate, and a metal reflective film layer is formed thereon. Examples of the metal used as the reflective film layer include aluminum, silver, gold, copper, and platinum. This reflective film layer is usually formed by a method such as vacuum deposition or sputtering.
[0109]
In order to form the recording layer containing the dye on the substrate in the optical recording medium of the present invention, it is preferable to use a normal coating method. As a method, a spin coating method, a dip method or a roll coating method can be used, and a spin coating method is particularly preferable. In this case, an organic solvent that does not attack the substrate is used. For example, aliphatic or alicyclic hydrocarbon solvents such as hexane, octane, cyclohexane or alcohols such as methyl alcohol, ethyl alcohol, isopropyl alcohol, allyl alcohol, 2-methoxyethanol, 2-ethoxyethanol, diacetone alcohol These solvents are preferred. Since the coloring matter of the present invention dissolves particularly well in an alcohol solvent, it is preferable to use these solvents.
[0110]
The CD that is one type of the optical recording medium of the present invention is required to have a reflectivity of 60% or more for the readout laser light through the substrate from the viewpoint of compatibility with the player.
[0111]
These can be achieved by optimizing the film thickness in accordance with each dye, and is usually 50 nm to 300 nm, particularly 80 nm to 200 nm.
[0112]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be specifically described by way of examples.
[0113]
Example 1 Preparation of Compound 3
A 100 ml four-necked flask was charged with 5.94 g (0.01 mol) of a phthalonitrile compound represented by the following structural formula (7), 0.47 g (3 mmol) of vanadium trichloride and 15 ml of benzonitrile at 175 ° C. The reaction was performed for 4 hours. After completion of the reaction, the solvent was distilled off, and the resulting solid was washed with 200 ml of methyl alcohol to obtain the desired green cake (tetrakis (2- (1,3-dibromo-2-propoxycarbonyl) -6-phenylphenoxy). ) 2.44 g of dodecafluorovanadyl phthalocyanine (compound 3)) was obtained. (Yield, 40.0% based on phthalonitrile).
[0114]
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[0115]
[Table 1]
[0116]
Example 2
The phthalocyanine compound of Example 1 was added to 2-methoxyethanol in an amount of 5% by weight on a polycarbonate resin substrate having a thickness of 1.2 nm having a spiral guide groove with a depth of 80 nm and a pitch of 1.6 μm, an outer diameter of 120 mm, and an inner diameter of 15 mm. A coating solution dissolved at a concentration was deposited to 120 nm using a spin coater. Next, gold was formed into a film with a film thickness of 75 nm by vacuum deposition on the coating film thus obtained. Further, a protective coating film made of an ultraviolet curable resin was provided thereon to produce an optical recording medium. When the reflectance of the optical recording medium thus obtained was measured, it was 85% in the wavelength region of 770 nm to 800 nm, and stable optical characteristics were obtained.
[0117]
Using this optical recording medium, a semiconductor laser with a wavelength of 780 nm was used, and when an EMF signal was recorded at an output of 5.7 mW at a linear velocity of 2.8 m / s (double speed), recording was possible and the error rate was It was less than 0.2%. As a result of analyzing the obtained signal, it was a level that could be reproduced by a commercially available CD player.
[0118]
The phthalocyanine compound obtained in Example 1 was measured for light resistance, associability, and thermal decomposability.
[0119]
The light resistance was evaluated by the following method.
[0120]
1 g of dye was dissolved in 20 g of methyl ethyl ketone, and a dye thin film was prepared on a glass substrate by a spin coating method to prepare a sample. This sample was set in a xenon light resistance tester (irradiation light quantity 120,000 Lux), and the decrease in absorbance over time was measured. As a result, the residual ratio of the absorbance after 100 hours was 82%, and the light resistance was excellent.
[0121]
The association property was evaluated by calculating the ratio of the absorbance of the association peak when the absorbance of the absorption spectrum of the monomer peak was 100%. As a result, the association peak ratio was 30%, and excellent results were obtained.
[0122]
Further, the thermal decomposability was evaluated by measuring with a differential thermothermal gravimetric analyzer. As a result, it was found that the degree of weight reduction after the start of decomposition was large and the sharp melt property was high.
[0123]
【The invention's effect】
As described above, the novel compound of the present invention is superior in absorption characteristics, solubility, light resistance, thermal decomposition characteristics and economic efficiency as compared with conventionally known phthalocyanine compounds, and is in the near infrared region of 650 to 900 nm. Since it has absorption, it can be used practically as a near-infrared absorbing dye. In particular, an excellent effect can be exhibited when used for a write-once type optical recording medium having compatibility and shareability for a CD, PHOTO-CD or CD-ROM player.
[0124]
According to the production method of the present invention, it is possible to introduce a substituent into the phthalocyanine skeleton regioselectively. That is, according to the production method of the present invention, it becomes possible to design a molecule of a compound having a changed near-infrared absorption wavelength region or solubility depending on the application, and at that time, it is not necessary to go through a complicated production process and industrially. It is advantageous. The fluorine atom in the novel phthalocyanine compound of the present invention rather has the effect of increasing the solubility.