JP3962978B2 - ジェット噴流用ローブミキサ - Google Patents
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- F02K1/46—Nozzles having means for adding air to the jet or for augmenting the mixing region between the jet and the ambient air, e.g. for silencing
- F02K1/48—Corrugated nozzles
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速の内部流と低速の外部流を混合する流体混合装置(ミキサ)に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に示すように、アフタバーナを有する航空機エンジン1(ジェットエンジン)は、空気を取り入れるファン2、取り入れた空気を圧縮する圧縮機3、圧縮した空気により燃料を燃焼させる燃焼器4、燃焼器4の燃焼ガスによりファン2及び圧縮機3を駆動するタービン5、推力増大のため再燃焼させるアフタバーナ6等を備えている。
【0003】
アフタバーナ6は、三角形断面等を有し下流に循環領域Xを形成して保炎を行なうフレームホルダ(保炎器)7、燃料を噴出させるための燃料ノズル8、点火栓9等からなり、アウターダクト10の内側のライナ11内を通して排気ノズル12から噴出させ、推力を増大させるようになっている。
【0004】
また、ファン2で取り入れられた空気は、圧縮機3、燃焼器4およびタービン5を通るコア流14と、これらをバイパスするバイパス流13(ファン流)とに分岐され、ミキサ(混合器)15において合流する。なお、16はテールコーンである。
【0005】
ミキサ15は、図5に例示するように、横断面形状が波形形状の案内壁(隔壁)を有するとともに、この波形形状が下流ほど大きく成形され、この下流端で、ファン流13(実線)とコア流14(破線)が合流し、ミキサ15の下流に循環域Xを形成して効率よく混合するようになっている。かかる構造のミキサは一般にローブミキサと呼ばれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図5に例示したローブミキサは、エンジンの内部に設置される場合と外部に露出して設置される場合とがある。また、いずれの場合にも、コアエンジンの後方に離れて設置される場合もある。
【0007】
図6は一般的なローブミキサの構成を示す図であり、(A)は側面図、(B)はローブミキサの噴出口を示すA−A線における断面図である。ローブミキサは、この図に示すように、ローブミキサの出口で発生する縦渦を利用して、その内側を通過する高速の内部流とその外側に流れる低速の外部流の混合を促進させるものである。
図7は、図6(A)におけるローブミキサ下流側の流速分布を示すシミュレーション結果である。ローブミキサの形状が星型であり、その軸中心位置にローブの存在しない領域があるため、ローブミキサ出口の流れには高速のポテンシャルコア領域が存在する。また、そのまわりには、内部流と外部流が混合した混合領域が存在する。この高速ポテンシャルコア領域は高速の内部流がほとんど減速されずに通過するため、流速の8乗に比例するジェットの騒音レベルが高い問題点があった。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、高速の内部流と低速の外部流を効率良く混合させ、かつ中心部に形成されるポテンシャルコア領域を縮小してジェット騒音を低減することができるジェット噴流用ローブミキサを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、高速の内部流と低速の外部流の間を仕切る筒状隔壁と、該隔壁の下流側に設けられ横断面形状が波形形状であり該波形形状が下流ほど大きく成形されているローブ部と、該ローブ部の内側に位置し内部流を複数に分断して半径方向外方に反らす噴流転向装置とを備え、前記噴流転向装置は、ローブ部の下流側端部の内方に固定され半径方向内方に延びる複数のストラットを有し、複数のストラットは、内部流の出口且つ内方端において直接又はポールを介して相互に連結している、ことを特徴とするジェット噴流用ローブミキサ提供される。
【0010】
本発明の構成によれば、噴流転向装置がローブミキサのローブ部の内側に位置するので、ローブミキサの出口中心部の速度が減少し、ポテンシャルコア領域が減少する。また、噴流転向装置により内部流を複数に分断して半径方向外方に反らすので、ローブ部から流出して外部流と混合する内部流が増加し、ローブミキサ全体の騒音低減の効果が上がる。
【0011】
また、前記噴流転向装置は、ローブ部の内方に固定され半径方向内方に延びる複数のストラットを有し、複数のストラットは、内部流の出口且つ内方端において直接又はポールを介して相互に連結しているので、複数のストラットにより内部流を周方向に分断された複数の内部流にすることができ、かつこのストラットにより分断された各内部流を半径方向外方に反らすことができる。
【0012】
また、前記ストラットは、内部流に対する流体抵抗が小さい翼形状を有する。この構成により、流体抵抗による損失を最小限度に抑えることができる。
【0013】
前記ストラットは、内部流のスワールに対して流体抵抗が最小となる迎え角αに設定されていることが好ましい。この構成により、内部流に対する流体抵抗を最小にできる。
【0014】
また、前記ストラットは、内部流に対してスワールを付加する迎え角αに設定してもよい。この構成により、内部流にスワールを与えることが可能であり、スワールが存在することによりコア領域が半径方向に拡散し、ポテンシャルコア領域と外部流との混合を促進することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明によるジェット噴流用ローブミキサの側面図である。この図に示すように、本発明のジェット噴流用ローブミキサは、筒状隔壁22、ローブ部24及び噴流転向装置26を備える。
【0017】
筒状隔壁22は、高速の内部流17と低速の外部流18の間を仕切る隔壁である。高速の内部流17は、例えばジェットエンジンの圧縮機、燃焼器およびタービンを通るコア流であり、低速の外部流18は、例えば、これらをバイパスするバイパス流である。なお、ジェット噴流を直接外気に噴射する場合には、内部流17はジェット噴流であり、外部流18は外部の空気流である。
【0018】
ローブ部24は、筒状隔壁22の下流側に連続して設けられている。このローブ部24は、横断面形状(軸線に直交する断面)が波形形状であり、その波形形状が下流側ほど波高が大きく成形されている。
【0019】
噴流転向装置26は、ローブ部24の内側に位置し、内部流17を複数に分断して半径方向外方に反らす機能を有する。
【0020】
図2は、図1のB−B線における断面図である。この図においてローブ部24は、その端面(ノズル部)の波形形状を示している。この波形形状は、この図では中心の円形ノズル部24aと放射状に延びる複数(この例では8本)の放射ノズル部24bとからなる。なお、本発明はこの形状に限定されず、周知の種々のローブ形状であってもよい。
【0021】
噴流転向装置26は、ローブ部24の内方(円形ノズル部24aの内側)に固定されている。また、この噴流転向装置26は、半径方向内方に延びる複数(この例では8本)のストラット27と、中心軸線上に位置しストラット27の内端が固定される中心ポール28とからなる。ストラット27の外端は円形ノズル部24a(ローブ部24の谷部分)に固定されている。また、中心ポール28の上流端は、流体抵抗の低い形状に形成されている。なお、この中心ポール28は不可欠ではなく、これを無くし、ストラット27の内端を相互に連結してもよく、或いは内端は開放端としてもよい。
【0022】
図3(A)は、図1の噴流転向装置26の部分拡大図であり、図3(B)はそのC−C線における断面図である。
図3(B)に示すように、ストラット27は、内部流17に対する流体抵抗が小さい翼形状を有する。また、このストラット27は、上流に位置するタービン等により発生している内部流17のスワールに対して流体抵抗が最小となる迎え角αに設定されている。すなわち、翼の角度はローブミキサノズルの入口でのスワール角度に合わせて、ストラットの翼面からの剥離を防止し、騒音の増加を回避している。
【0023】
なお、この図とは相違するが、ストラット27を、内部流17に対してスワールを付加する迎え角α'に設定し、翼形状を用いてポテンシャルコア領域にスワールを与えるようにしてもよい。かかるスワールを付加することにより、スワールによりコア領域が半径方向に拡散し、ポテンシャルコア領域と外部流との混合を促進することができる。
【0024】
上述した本発明の構成によれば、噴流転向装置26がローブミキサのローブ部24の内側に位置するので、ローブミキサの出口中心部の速度が減少し、図1に模式的に示すように、ポテンシャルコア領域19が減少する。また、噴流転向装置26により内部流を複数に分断して半径方向外方に反らすので、ローブ部24から流出して外部流18と混合する内部流17が増加し、ローブミキサ全体の騒音低減の効果が上がる。
【0025】
また、半径方向内方に延びる複数のストラット27により、内部流17を周方向に分断された複数の内部流にすることができ、かつこのストラット27により分断された各内部流を半径方向外方に反らすことができる。
【0026】
更に、ストラット27が翼形状を有し、内部流のスワールに対して流体抵抗が最小となる迎え角αに設定されているので、流体抵抗による損失を最小限度に抑えることができる。
【0027】
なお、本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更できることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】
上述したように、本発明のジェット噴流用ローブミキサは、高速の内部流と低速の外部流を効率良く混合させ、かつ中心部に形成されるポテンシャルコア領域を縮小してジェット騒音を低減することができる等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるジェット噴流用ローブミキサの側面図である。
【図2】図1のB−B線における断面図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】従来のミキサを有するジェットエンジンの構成図である。
【図5】従来のミキサの部分斜視図である。
【図6】一般的なローブミキサの構成図である。
【図7】ローブミキサ下流側の流速分布を示すシミュレーション結果である。
【符号の説明】
1 航空機エンジン(ジェットエンジン)、2 ファン、
3 圧縮機、4 燃焼器、5 タービン、6 アフタバーナ、
7 フレームホルダ、8 燃料ノズル、9 点火栓、
10 アウターダクト、11 ライナ、12 排気ノズル、
13 バイパス流(ファン流)、14 コア流、
15 ミキサ(混合器)、16 テールコーン、
17 内部流、18 外部流、19 ポテンシャルコア領域、
22 筒状隔壁、24 ローブ部、26 噴流転向装置、
27 ストラット、28 中心ポール
Claims (4)
- 高速の内部流と低速の外部流の間を仕切る筒状隔壁と、該隔壁の下流側に設けられ横断面形状が波形形状であり該波形形状が下流ほど大きく成形されているローブ部と、該ローブ部の内側に位置し内部流を複数に分断して半径方向外方に反らす噴流転向装置とを備え、
前記噴流転向装置は、ローブ部の下流側端部の内方に固定され半径方向内方に延びる複数のストラットを有し、複数のストラットは、内部流の出口且つ内方端において直接又はポールを介して相互に連結している、ことを特徴とするジェット噴流用ローブミキサ。 - 前記ストラットは、内部流に対する流体抵抗が小さい翼形状を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のジェット噴流用ローブミキサ。
- 前記ストラットは、内部流のスワールに対して流体抵抗が最小となる迎え角αに設定されている、ことを特徴とする請求項2に記載のジェット噴流用ローブミキサ。
- 前記ストラットは、内部流に対してスワールを付加する迎え角α'に設定されている、ことを特徴とする請求項2に記載のジェット噴流用ローブミキサ。
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