JP3962193B2 - 複数トランスポートストリーム多重化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のトランスポートストリームを多重する際に、複数のトランスポートストリームを独立性を保ったまま周期フレーム構造にパケット単位で時分割多重する複数トランスポートストリーム多重化装置に関する。
【0002】
本発明は、特に複数トランスポートストリーム伝送方式を採用するBSデジタル放送のケーブルテレビ再送信や通信分野に好適である。
【0003】
【従来の技術】
複数のトランスポートストリーム(ISO/IEC 13818−1に規定されるトランスポートストリーム、以下、TSと記述)を、独立性を保ったまま1つの伝送路で伝送するために、TSパケット(ISO/IEC 13818−1に規定されるTSパケット、またはこれに固定長のパリティバイトを追加したパケット)列に周期的なフレーム構造を持たせ、その相対的な位置(スロット)情報を利用することにより、多重、分離する方式は、BS(放送衛星)デジタル放送方式で実現されている(郵政省令平成10年第57号)。
【0004】
また、1TS伝送を想定した伝送路においても、簡易にフレーム構造を導入して、複数のTSを多重伝送、受信分離できる装置が特願平10−352248号で本出願人により提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のBSデジタル放送では、フレーム中に各TSのパケットを多重していく際に、TS毎の割当てスロット数を固定している。そのため、規定に反するTSパケット数が送られてきても、割当てスロット数を超過するパケットは破棄され、不足分はヌルパケットが送出されて、1中継器を共有する複数のTS間の独立性が保たれるという利点がある。一方、スロット数固定の場合、可変レートのTSについても最大レートでスロット数を割当てることになり、多重効率を上げるような運用はできない。
【0006】
一方、フレーム毎に各TSへの割当てスロット数を変えれば、可変レートのTSを統計多重効果により効率良く多重できる可能もある。複数のプログラムをひとつのTSに統計多重するケースでは、各入力のレート監視を行い、その合計が出力のレートを越えることのないように、エンコーダ側にフィードバックをかけるといった手法により輻輳制御を行うのが一般的であるが、複数のTSを独立性を保ったままフレームに多重するケースでは、フィードバック制御が不可能な場合もあり、その場合、輻輳時にはバッファで平滑化できない分についてはパケット廃棄が生じることになる。すなわち、あるTSのレートが増加して全TSのレートの合計が多重できるレートを越えた時に、他のTSのパケットが廃棄される可能性がある。そのため、放送などのように他のTSと独立に運用されるTSを含むフレーム化に統計多重を適用するには対策が必要である。
【0007】
フィードバックを伴わない輻輳制御の方法としては、ATM(非同期転送モード)スイッチなどにおける、重み付けフェアキューイング(WFQ)法、重み付けラウンドロビン(WRR)法、ブライオリティ(PQ)法などのバッファ処理がある。しかし、これらの手法だけでは、ある特定のストリームのパケット(または、セル)廃棄がないことを保証することはできず、またWFQ法では実装が複雑になるし、WRR法、PQ法では優先度の低いストリームについてはジッタが大きくなる可能性がある、という点もある(参考文献:「Gigabit Networking」(ギガビット・ネットワーキング); Craig Partridge著、Addison-Wesley Publishing Company 刊(訳書:ソフトバンク刊、西田竹志 監修))。
【0008】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数のトランスポートストリームを周期フレーム構造にパケット単位で時分割多重する多重化装置において、重要なトランスポートストリームが他のトランスポートストリームの影響を受けない仕組みと、可変レートのトランスポートストリームの効率の良い多重を、両立させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、衛星(BS)デジタル放送あるいは地上デジタル放送を受信して得られるトランスポートストリームであって、複数のトランスポートストリームを周期フレーム構造にパケット単位で時分割多重する多重化装置において、
各トランスポートストリームに、複数ある優先度のうちの1つを設定し、全てのトランスポートストリームに1または複数の優先度を設定する設定手段と、前記トランスポートストリームをグループ分けして各グループ毎の入力パケット数をフレーム周期で測定する測定手段と、該測定手段で測定したパケット数が別途規定したパケット数の規定値を越えたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記測定したパケット数が別途規定したパケット数の規定値を越えたと判定したグループに属するトランスポートストリームについて、その越えた分のパケットに設定された優先度あるいはそのフレーム期間中に送られた全パケットに設定された優先度を、それより低い優先度下げる処理を行い、さらにフレーム毎の各トランスポートストリームのパケット数の割当てについては優先度の高い方から必要な分のパケット数を確保する処理を行う処理手段とを有することを特徴とする。
【0011】
ここで、前記複数のトランスポートストリームの一部は、衛星(BS)デジタル放送あるいは地上デジタル放送を受信して得られるトランスポートストリームであって、そのトランスポートストリームの伝送多重制御(TMCC)情報を受信してそのトランスポートストリームのレートを認識し、該認識したレートに基づいて入力パケット数の前記規定値を計算する演算手段をさらに有することを特徴とする。
(作用)
本発明では、各トランスポートストリームに、ひとつ以上ある優先度のいずれかを設定し、トランスポートストリーム毎あるいはトランスポートストリームをまとめたグループ毎の入力パケット数をフレーム周期で測定し、測定したパケット数が別途規定したパケット数を越えた場合には、そのトランスポートストリームについて、越えた分のパケットあるいはそのフレーム期間中に送られた全パケットの優先度を下げる処理を行い、さらにフレーム毎の各トランスポートストリームのパケット数の割当てについては優先度の高い方から必要な分のパケット数を確保する処理を行う。
【0012】
これにより、本発明によれば、例えばケーブルテレビで複数のトランスポートストリームを多重する際に、独立性を保証しつつ、フレーム化する装置でスロット数の割り当てが変化する場合に効率的な多重ができることと、放送再送信号のような特定のトランスポートストリームを優先制御できることとを両立させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態における複数トランスポートストリーム多重化装置の構成を示す。ここでは、入力TS(トランスポートストリーム)が複数M個(Mは正の整数)、優先度が2階層の例について説明する。N個(Nは正の整数)のTSの優先度が高く、残り(M−N)個のTSの優先度は低いとする。
【0014】
優先度が高いN個のTSについては、入力パケット数の規定値(以下、最大入力パケット数という)の合計が、フレームを構成する全パケット数を越えないように設定する。優先度の低い(M−N)個のTSについては、最大入力パケット数は任意に設定できる。
【0015】
上記各TSをそれぞれバッファ1に入力する。各バッファ1の容量はフレームを構成する全パケット数分のデータ量に、ある程度のマージンを持たせたものとする。この時、バッファ1では、フレーム毎に入力パケット数を監視し、その情報を制御部2に渡す。
【0016】
制御部2では、最大入力パケット数と実際に入力されたパケット数をTS毎に比較し、実際に入力されたパケット数が最大入力パケット数を越えている場合には、そのTSについて、越えた分のパケット、あるいはそのフレーム期間中に送られた全パケットの優先度を下げる処理を行う。ここまでで、そのフレーム期間での優先度が確定し、さらに制御部2は、フレーム毎の各TSのパケット数の割当については、優先度の高い方から必要な分(すなわち、入力パケット数分)の割当て数を確保して行く処理を行う。
【0017】
多重化部3では、制御部2からのパケット割当情報に基づき、バッファ1から送られるパケットをフレームに多重していく。
【0018】
この場合、優先度が高い方のTSについては、必ず必要なスロット数が割当てられるので、それ自身の入力パケット数が最大入力パケット数以下である限り、他のTSの影響でバッファのオーバーフローが生じることはない。ここで、最大パケット数を越えた分のパケットの優先度を下げる処理は、そのパケットを破棄することにより実現することが可能である。
【0019】
以上、優先度が2つに分かれている場合について説明したが、それ以外の場合(優先度が3つ以上に分かれている場合)でも優先度が最高のTSについて、最大入力パケット数の合計がフレームを構成する全パケット数を越えないように設定しておけば、上記の説明はそのまま当てはまり、優先度が最高のTSが他のTSの影響でパケット廃棄されることはない。
(第2の実施形態)
次に、デジタル放送を受信して得られるTSなどのように、予め一定レートであることが保証されているTSを含む複数のTSを多重する場合を考える。この場合には、それら一定レートのTSをグループにまとめ、そのグループの合計入力パケット数について最大入力パケット数の規定を行う。その理由は、最大入力パケット数は整数で与えるため、TS毎に最大入力パケット数を規定するよりも繰上げが減って、最大入力パケット数の合計が小さくなる、という利点があるためである。一定レートであることが保証されないTSについては1TSで1グループとする。その際に、同じ優先度に、複数のグループがあってもよいが、最高の優先度については各グループの最大入力パケット数の合計がフレームを構成する全パケット数を越えないように設定する。
【0020】
この本発明の第2の実施形態における装置構成を、図2のブロック図を参照して説明する。BSデジタル放送をデジタル放送受信部4で受信して得られるN個の一定レートのTS(トランスポートストリーム)を高い優先度とし、それ以外の(M−N)個のTSを低い優先度とする。ここでは、N個の一定レートのTSをトランスポンダ毎に2つのグループに分けた場合を例にしている。トランスポンダ毎に分けた理由は、もし一方のトランスポンダからの送信波を受信する受信機が壊れて、一定レート以上のTSを出力した場合でも、もう一方のグループの割当てパケット数を減らすことがないようにするためである。
【0021】
これらのTSを対応のバッファ1にインターフェースし、これらバッファ1は、グループ分けされたTSをグループ毎に、フレーム周期で入力パケット数を測定し、その測定した入力パケット数の情報を制御部2に渡す。
【0022】
制御部2では、実際に入力されたパケット数と最大入力パケット数とを比較して、実際に入力されたパケット数が最大入力パケット数(入力パケット数の規定値)を越えている場合には、越えた分のパケット、あるいはそのTSのパケットすべての優先度を下げる。
【0023】
ここまでで、そのフレーム期間での優先度が確定し、優先度の高い方から入力パケット数分の割当て数を確保して行き、多重化部3でパケットをフレームに多重していく。
【0024】
本発明の第1の実施形態で行った説明と同様に、本第2の実施形態の場合にも、優先度が最高のTSだけで、入力パケット数がフレームを構成する全パケット数を越えることはなく、必ず必要なスロット数が割当てられるので、優先度最高のTSについてはパケットが廃棄されることはない。
【0025】
また、一定レートのTSがBSデジタル、放送あるいは地上デジタル放送を受信して得られるTSであれば、TMCC情報(BSの場合、郵政省告示第260号別表第16号)から各TSのレートがわかるので、このレートを基に最大入力パケット数を計算することが可能である。これにより、受信したTSのレートが変わっても最大入力パケット数を自動設定できる。
(他の実施形態)
なお、本発明の目的は、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体(記憶媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し、実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。そのプログラムコードを記録し、またテーブル等の変数データを記録する記録媒体としては、例えばフロッピディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROMなどを用いことができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、入力TSの合計レートが増大して出力可能なレートを上回っても、優先度の低いトランスポートストリームから順にバッファのオーバーフローが発生することになり、最大レート規制値以下で入力された優先度最高のトランスポートストリームについては、バッファのオーバーフローが発生することはない。
【0027】
これにより、本発明によれば、優先度最高のトランスポートストリームについてはパケット廃棄の可能性の無いことを保証しつつ、可変レートのトランスポートストリームの統計多重による高効率な多重が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における複数トランスポートストリーム多重化装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における複数トランスポートストリーム多重化装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 バッファ
2 制御部
3 多重化部
4 デジタル放送受信部

Claims (2)

  1. 衛星(BS)デジタル放送あるいは地上デジタル放送を受信して得られるトランスポートストリームであって、複数のトランスポートストリームを周期フレーム構造にパケット単位で時分割多重する多重化装置において、
    各トランスポートストリームに、複数ある優先度のうちの1つを設定し、全てのトランスポートストリームに1または複数の優先度を設定する設定手段と、
    前記トランスポートストリームをグループ分けして各グループ毎の入力パケット数をフレーム周期で測定する測定手段と、
    該測定手段で測定したパケット数が別途規定したパケット数の規定値を越えたか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段が前記測定したパケット数が別途規定したパケット数の規定値を越えたと判定したグループに属するトランスポートストリームについて、その越えた分のパケットに設定された優先度あるいはそのフレーム期間中に送られた全パケットに設定された優先度を、それより低い優先度下げる処理を行い、さらにフレーム毎の各トランスポートストリームのパケット数の割当てについては優先度の高い方から必要な分のパケット数を確保する処理を行う処理手段と
    を有することを特徴とする複数トランスポートストリーム多重化装置。
  2. 前記トランスポートストリームの伝送多重制御(TMCC)情報を受信してそのトランスポートストリームのレートを認識し、該認識したレートに基づいて入力パケット数の前記規定値を計算する演算手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の複数トランスポートストリーム多重化装置。
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