JP3959935B2 - 流量制御装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、流量制御装置に係り、特に導水路に設けられたポンプ、弁、ゲート等の複数の流量調整機器を制御して導水路の流量制御を行う流量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水資源の有効利用を目的とする導水設備は、複数の河川や湖沼を地下導水路で接続し、これにより複数地点間の水の輸送を行う設備である。この設備では、地下導水路の途中、あるいは、河川や湖沼との間にポンプ、弁、流量調節ゲートなどの流量調節機器が接続され、これらを操作することにより所定量の水の輸送を行う。図6は、このような導水設備の構成例を示すもので、二つの河川51、52と湖沼53の間を管路、つまり、地下導水路41で接続し、この間の水の流量を二箇所のポンプ機場71、72のポンプと、分流ゲート81及び弁82の流量調節機器を用いて制御する構成となっている。即ち、立坑61〜65と、各立坑61〜65の下端部を接続する地下導水路41と、2台のポンプP1、P2を有する第1のポンプ機場71と、2台のポンプP3、P4を有する第2のポンプ機場72と、分流ゲート81と、弁82と、各河川51、52や立坑61〜65等の水位を計測する水位測定器91〜98と、ポンプ機場71、72及び分流ゲート81、弁82における流量を測定する流量測定器(図示せず)と、各ポンプ機場71、72のポンプと分流ゲート81と、弁82をネットワーク9経由で個別に制御する流量調節機器の制御装置8とを備えている。
【0003】
各ポンプ機場及び分流ゲート81と弁82等の流量調整機器は、それぞれ図示の位置に設置されている。そして第1の河川51よりポンプ機場71のポンプを介して取水された水は、地下導水路41へ供給され、その一部は立坑62、ポンプ機場72のポンプを経由して第2の河川52に輸送・放出される。また、地下導水路41の水は、立坑64と弁82を経由して、また分流ゲート81と立坑65を経由して湖沼53へ輸送される。制御装置8は、これら河川と湖沼に送水する水の最終目標流量と、これらへの送水のために河川51から取水する水の最終目標流量に一致するように各流量調整機器を制御する。また、各最終目標流量は、この導水設備の運用計画に基づき所定の時間単位で変更される。
【0004】
このような導水設備においては、ポンプの急停止や弁、ゲートの急閉鎖、あるいは、急開放などが行われると、管路内にウオーターハンマーや急激な圧力変動が発生する可能性がある。このような、圧力変動は、管路の破損や立坑からの水の逆流を引き起こし、冠水などの被害が発生する可能性がある。従って、導水設備の制御においては、運転制約、即ち、安全な運用を保証する許容値以上の圧力や水位の変動を避けるようにしなければならない。一方、図6のような導水設備は、複数の被制御量を複数の機器の操作により制御する多変数制御系を成しているが、かかる制御系で運用計画にしたがい管路の流量を変更するために、単純に個々の流量調節機器毎に管路の流量を最終目標流量に一致するように操作すると、操作の結果として生じる流量や圧力の変化が相互に影響し、予想しない変動が生じる可能性がある。
【0005】
このような圧力変動の対策として、以下のような従来技術がある。例えば、特開平11−305842号公報には、導水設備の各管路の流量を現流量から、最終目標流量に変更するための各流量調節機器に対する制御スケジュールを作成する技術が開示されている。この技術では、概ね図7に示すように、予め蓄えられた流量調節機器の操作に関する運転ルールに基づき、現流量から最終目標流量に到達するまでの、各時刻における流量調節機器に対する操作量からなる制御スケジュールの原案を作成し(ステップ300)、この制御スケジュールを実行した場合に予想される圧力や水位の変動量を流体解析シミュレーションなどにより評価し(ステップ301)、圧力や水位の変動が運転制約の範囲内でなければ、変動を抑制するために制御スケジュールの修正方法に関するメタルールを用い制御スケジュールを修正し(ステップ302)、これを運転制約を満足する制御スケジュールができるまで繰り返し(ステップ301〜303)、最後に作成された制御シーケンスを実行する(ステップ304)。この従来の技術によれば、予め制御スケジュールを立案し、この制御スケジュールが安全なものであるか否かを評価して、安全なものであると確認されてから、流量調節機器を動作させるので、導水設備全体として運転制約を違反することなく、各管路の流量を最終目標流量に変更できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明した従来技術により作成される制御スケジュールは、各流量調整機器や関連する測定機器などが全て健全に機能するという前提で作成されるものである。従って、流量調整機器を操作しても流量目標値に追従できなくなるという異常、例えば、ポンプトリップなどが発生した場合には、予め作成された制御スケジュールをそのまま実行すると、導水路内の圧力変動や水位変動の予測値が予め定られた範囲内に収まらなくまるという可能性が生じる。また、予め作成された制御スケジュールは、多変数制御系に対して作成したものであるり、異常が発生した時点での各流量調節機器に対する目標流量をそのまま維持しても、また、導水路内の圧力変動や水位変動の予測値が予め定られた範囲内に収まらない可能性がある。たとえば、予め作成された制御スケジュールが、目標流量の変更により発生が予想されるある立坑の水位の低下を抑制するために、別の流量調整機器の目標流量を予め大きく、あるいは、小さく設定した制御スケジュールが作成される。このような制御スケジュールの実行の途中の時点で機器に異常が発生し、その時点以降の制御スケジュールの実行が事実上不可能になると、水位等の変動が大きくなることが予想される。さらに、異常が発生した時点以降の制御の目標が定められないために、導水設備が安定な定常状態に収束しない可能性が生じる。
【0007】
また、従来の技術により制御スケジュールを作成するためには、導水路内の圧力変動や水位変動の詳細な予想・評価が必要である上に、作成した制御スケジュールによる圧力変動や水位変動の予測値が予め定られた範囲内であると判断されない場合には、再度、制御スケジュールを調整し評価し直すという繰り返し処理が必要となる。これらの処理は、一般的に長い計算時間を必要とするものである。従って、制御スケジュールの実行中に異常が発生した場合に、その時点を起点とする新たな制御スケジュールを作成することは実質的には困難である。
以上のように、従来の技術によれば、予め作成した制御スケジュールの実行中にスケジュールの作成において想定していない機器の異常が発生した場合に、水位等の変動が大きくなり、導水設備を定常状態に制御できない可能性があるという問題点がある。
【0008】
本発明は、予め作成した制御スケジュールを実行中に機器の異常が発生しても、速やかに水位等を安定化し、導水設備を定常状態に収束させることができる流量制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導水設備を構成する複数の管路の各々に設けられた流量調節機器を制御するための流量制御装置であって、制御対象とする流量調節機器の異常の発生を検知する異常検知手段と、少なくとも導水設備の各部水位と各管路の流量もしくは流速の計測値を含むデータを読み込み保持するシステム状態量収集・保持手段と、前記異常検知手段により機器異常が検知されたときに前記システム状態量収集・保持手段が保持するデータを参照し、導水設備の各管路において成立する水頭と流速と損失係数の間で成立する関係式を用いて導水設備が安定に収束することのできる各管路の水位を目標水位として算出する目標水位演算手段と、管路の水位を前記算出された目標水位とする流量調節機器の目標流量を算出する目標流量演算手段と、前記異常検知手段が異常の発生を検知したときに通常の制御スケジュールに基づく制御目標から前記目標流量演算手段で決定した制御目標に切替える制御目標切替え手段と、を備えたことを特徴とする流量制御装置を開示する。
【0011】
更に本発明は、導水設備を構成する複数の管路の各々に設けられた流量調節機器を制御するための流量制御装置であって、制御対象とする流量調節機器の異常の発生を検知する異常検知手段と、流量調節機器の一部を異常として他の機器のみの運転によって導水設備全体として安定に収束することのできる各管路の目標水位を異常機器の組み合わせごとに予め求めて保持する目標水位設定値記憶手段と、前記異常検知手段により機器異常を検知した時に検知した異常機器の組み合わせに対応する前記目標水位を前記目標水位設定値記憶手段から読み出す目標水位設定手段と、各管路の水位を前記算出された目標水位とする流量調節機器の目標流量を算出する目標流量演算手段と、前記異常検知手段が異常の発生を検知したときに通常の制御スケジュールに基づく制御目標から前記目標流量演算手段で決定した制御目標に切替える制御目標切替え手段と、を備えたことを特徴とする流量制御装置を開示する。
【0012】
更に本発明は、前記の流量制御装置において、前記目標水位設定値記憶手段に保持する目標水位のデータを表示し、利用者の入力に応じてそのデータの編集・入力を行なうことのできる入力・編集手段を備えることを特徴とする流量制御装置を開示する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図2は導水設備の例を示しており、これは制御系を除けば図6に示した導水設備と同じもので、河川51から河川52及び湖沼53のそれぞれへ水の輸送を行う設備である。ポンプ機場71、72のポンプ、弁82、及び分流ゲート81を制御する流量制御装置1a〜1dは本発明のものであり、互いに通信回線10を経由して接続されている。また、流量制御装置1aは河川51と立坑61の水位HaとHbを水位測定器91と94から、流量制御装置1bは河川52と立坑62の水位HcとHdを水位測定器92と95から、流量制御装置1cは立坑64と湖沼53の水位HfとHgを水位測定器97と93から、流量制御装置1dは湖沼53と立坑65の水位HgとHiを水位測定器93と98からそれぞれ取り込み、更に図示を省略した各部流量を流量計から取り込み、それぞれポンプ機場71、ポンプ機場72、弁82、分流ゲート81を制御する。
【0015】
図1は、図2に示した流量制御装置1の詳細構成例を示すブロック図で、図2の制御装置1a〜1dの1つに該当する。図1において、流量制御装置1は、機器操作量演算手段11、データ通信手段12a〜12c、制御目標切替え手段13、流量システム状態量収集・記憶手段14、異常検知手段15、目標水位演算手段16、目標流量演算手段17を備えている。各手段11〜17の機能の詳細については、後ほど詳細に説明するが、この流量制御装置1は、CPU、作業用メモリー、通信用インターフェース、および、記憶装置で構成するコンピュータにより容易に実現することが可能である。即ち、各手段11〜17に対応する機能を実現するプログラムを作成し、これを記憶装置に保持する。そして、このプログラムを所定の制御周期毎に実行することにより、実際の導水設備において用いることができる。
【0016】
流量制御装置1は、データー通信手段12cを介して、前記したような水位、流量等を該当する測定機器から取り込み、また制御の対象とする流量調整機器7(ポンプ、弁、或いはゲート)の状態量を取り込んでそれら機器7を制御する。また、流量制御装置1は、導水設備4の他の流量制御装置1とも通信手段12bを介して接続され、更に導水設備4全体の運用計画に基づき各流量調整機器71、72、81、82の各時刻における流量目標値を作成する制御スケジュール作成装置2ともデータ通信手段12aを介して接続され、データの授受を行う。これらのデータ通信は、専用の通信回線10を用い、それぞれの所定の周期毎に送受信を行う。なお、このデータの授受は、一般の公衆回線、あるいは、インターネットを利用したコンピュータネットワーク回線、さらには、無線を用いた手段によっても構わない。
【0017】
制御スケジュール作成装置2は、導水設備4全体の運用計画に基づいて通常運転時の制御スケジュール、即ち各流量調整機器71、72、81、82の各時刻における流量目標値Qab(t)、Qdc(t)、Qfg(t)、Qig(t)を作成する。本実施の形態においては、この制御スケジュールは、特開平11−305842号公報に記載される導水設備の運転方法により作成するものとする。この方法によれば、前に説明した導水設備の河川52、湖沼53への計画放出量を運用計画に基づき変更する時に、各流量調整機器における現在の流量から運用計画で決定された最終目標流量に至るまでの最適な目標流量の変更パターン、つまり制御スケジュールを得ることが可能である。ここで、最適な制御スケジュールとは、ウオーターハンマーやハンチング、サージング等の過渡現象の発生を評価し、導水路内の圧力変動や水位変動の予測値が予め定られた範囲内であると判断される、各流量調整機器の操作量と時間の関係のことである。但しこのような最適な制御スケジュールを作成するためには、前述したように、導水路内の圧力変動や水位変動の詳細な予想・評価が必要である上に、作成した制御スケジュールによる圧力変動や水位変動の予測値が予め定られた範囲内であると判断されない場合には、再度、制御スケジュールを調整し評価し直すという繰り返し処理が必要となる。これらの処理は、一般的に長い計算時間を必要とするものである。しかしながら、導水設備の運用計画は、対応する制御スケジュールを実行する時点よりも十分前に作成される。従って、通常の運転時において運用計画に基づく制御スケジュール作成時間を要しても何ら問題はない。
【0018】
制御スケジュールの実行中に機器の異常が発生した場合には、そのまま制御スケジュールの実行を続けると前述のように大きな水位変更等の問題が発生する。このため図1の制御装置では、異常発生時に一旦導水設備の水位や圧力を定常状態に安定化させ、この後に、制御スケジュール作成装置2で再度最終的な目標流量を達成するための制御スケジュールを作成し、これを実行することにより、導水設備を安全に運用できるようにしている。
【0019】
図3は、このような機能を持つ機器制御装置1における処理のフローチャートで、この処理は、機器制御装置1において予め定める所定の制御周期毎に実行される。図3において、まずステップ200では、システム状態量収集・記憶手段14が、データ通信手段12cを介して、制御対象プラントの状態量、即ち、制御対象の流量調整機器対応の流量測定値と、制御対象流量調整機器により調整される立坑および河川、または湖沼の水位測定値と、制御対象の流量調整機器の運転状態を示すデータを読込む。例えば、図2の機器制御装置 1aの場合は、ポンプP1、P2における各吐出流量と、河川51の水位Haと立坑61の水位Hbの測定値および、ポンプP1、P2の運転状態に対応するデータを読込む。これらのデータは、何らかの原因でポンプP1、P2に予定しないポンプトリップが発生した時に、それを認識す情報を提供する。さらに、システム状態量収集・記憶手段14は、導水設備4の他の機器制御装置のシステム状態量収集・記憶手段14から、状態量のデータをデータ通信手段12bを介して読み込む。以上のデータは、システム状態量収集・記憶手段14が前記の所定制御周期毎に更新・保持する。
【0020】
次にステップ201では、異常検知手段15が、システム状態量収集・記憶手段14が保持するシステム状態量のデータに基づき機器に異常が発生していないかどうかを判定する。これは、導水設備の全ての機器について多面的に判断を行う。例えば、ポンプ機場71、あるいは72の場合は、異常のひとつであるトリップの発生の有無を前記の運転状態に対応するデータに基づき判定する。また、この時の結果、および、制御対象プラント3から収集し・保持する状態量のデータを、データ通信手段12bを介して、他の流量制御装置に対して送信する。
【0021】
次に、ステップ202で、ステップ201における判断結果を参照し、異常が発生していないと判断された場合は、異常がないと判断された場合、ステップ203で制御目標切替え手段13が制御スケジュール作成装置2が出力する流量目標データを読み込み、それを保持する。そして、ステップ207で、機器操作量演算手段11が、制御目標切替え手段13の保持する流量目標値と、制御対象プラントの流量測定機器から取り込んだ流量の実測値との偏差ΔQに基づき、流量調整機器に対する操作量を算出する。例えば流量制御装置 1aの場合は、操作量としてポンプP1、P2の回転数指令値Nrefを、PI(比例・積分)演算、即ち、次式に基づき求める。
【数1】
Figure 0003959935
但し、Kp:比例ゲイン、Ki:積分ゲインである。以上の、導水設備の機器に異常検知されない場合の制御は、制御スケジュール作成装置2が従来の方法により作成する制御スケジュールを実行することである。
【0022】
ステップ202の判断結果が機器の異常ありときは、ステップ204で目標水位演算手段17が制御対象プラントの立坑の目標水位を算出する。この立坑の目標水位は、異常発生時点において、異常となった機器以外、即ち健全な機器を用いて制御し得る範囲内に設定する。以下にこの処理について説明する。
まず、図2の地下導水路41内の流量が次のような分布で定常状態になると仮定する。
【数2】
Figure 0003959935
各管路において流速の2乗に比例して水頭の摩擦損失、弁・ゲート損失が生じることから、上記の流量分布に対応する、各立坑61〜65の水位Hb、Hd、He、Hf、Hiに対し以下の式が成り立つ。
【数3】
Figure 0003959935
ここで、Fbd、Fdf、Ffiは各管路内の摩擦損失、Vbd、Vdf、Vfiは管路内の流速、gは重力加速度(=9.8m/s^2)である。また、立坑65と湖沼53間においては以下の式が成り立つ。
【数4】
Figure 0003959935
ここで、Hgは湖沼53の水位、Figは立坑65と湖沼53間の管路内の摩擦係数、Vigは管路内の流速である。
【0023】
(数3)(数4)右辺の流速Vとその流速を持つ管路の流量Qとは比例し、比例定数は当該管路断面積でこれは既知である。また(数4)の水位Hgは、湖沼53の水位測定機器による値に基づき決めることができる。また図2の、立坑65から湖沼53への流量Qigは、立坑64から湖沼53への流量Qfiと等しくなる。従って、(数3)(数4)の右辺は(数2)の流量Qbc、Qdf、Qfiが決まれば、これと水位Hgが与えられると、各立坑における水位の定常値Hb、Hd、Hf、Hiは(数3)(数4)から求めることができる。一方、各管路内の流量分布Qbc、Qdf、Qfiは、各流量調節機器における流量と定常状態では次式により関連付けられている。
【数5】
Figure 0003959935
但しQab、Qdcはポンプ機場71、72のそれぞれの流量、Qfgは弁82の流量である。従って、各流量調整機器の状態により(数5)右辺は決まるから、(数2)の流量Qbc、Qdf、Qfiが決定できる。例えばポンプ機場72のポンプP3、P4が等出力で、ポンプP3が停止したとすると、流量Qdcを正常時の半分として(数5)から(数2)の流量を求める。このようにして、異常の発生時点以降に各機器の流量を維持した場合の立坑61、62、64、65の水位の整定予想値が求まる。この水位の整定予想値の算出に当たっては、目標水位演算手段16が、システム状態量収集・記憶手段14に保持するプラントの状態量および各管路の摩擦係数等の定数データを参照する。なお、算出するのは対応する立坑の目標水位で、例えば、図2の機器制御装置1aは立坑61の目標水位を算出する。
【0024】
なお、本実施形態における導水設備は、各立坑の断面積が、管路つまり地下導水路41の断面積に比べ十分に大きく、また、管路分流による損失係数も十分に小さいとしている。この条件下では(数3)が成立するとしても大きな誤差は発生しない。もしも、これらの条件が成り立たない導水設備の場合は、各立坑と管路との分岐点における動水位と流速を変数とし、各分岐点において成立する水頭の釣り合いの式を用いることにより、目標水位を求めることが可能である。
【0025】
以上に詳述したステップ204の処理により、異常時における立坑の目標水位が算出されると、ステップ205では、目標流量演算手段17が水位目標値と水位測定機器から得られる水位測定値の偏差(ΔH)に基づき、制御対象に対する目標流量Qrefを算出する。流量制御装置1aの場合、この演算はPID(比例・積分・微分)演算、を用いて次式により求める。
【数6】
Figure 0003959935
但し、Kp’は比例ゲイン、Ki’は積分ゲイン、Kd’は微分ゲインである。
【0026】
次に、ステップ206では、制御目標切替え手段13が、ステップ205で求めた異常発生時の目標流量Qrefを読み込み、保持する。そして次のステップ207で機器操作量を算出し、流量調整機器に出力する。従って、図1の制御装置1を図2の流量制御装置1a〜1dの各々に用いれば、導水設備の流量調整機器に異常が発生したとき、各立坑をそのときの状態で制御可能な値へと速やかに移行させ、安定化させることができ、異常発生時におけるウォーターハンマー、ハンチング等の発生を防止できる。こうして水位が安定した後は、その安定状態を初期状態として制御スケジュール作成装置によりスケジュールを作成し、実行することはいうまでもない。
【0027】
なお、図3のフローチャートにおいては、機器の異常を検知すると毎制御周期毎にステップ204にて目標水位の演算を行うが、これは、異常検知後一度だけでも、または、予め定める回数につき一度でもかまわない。また、このステップ204にて処理する目標水位の演算においては、機器の異常による圧力波の進行や反射に伴う過渡現象などが予想できる場合には、これを予め考慮するための目標水位の補正を行うことも可能である。
【0028】
また、図2の各立坑61〜65の水位測定機器94〜98は、水面の位置をフロートあるいは超音波などにより直接測定しても、あるいは、接続するポンプ、弁、ゲートなどの流量の測定値などのデータと、その機器の反対側に接続する河川や湖沼の水位の測定値との関係から演算により間接的に求めても構わない。
【0029】
次に、本発明に関わる流量制御装置の別の構成例を説明する。図4は、その構成を示すブロック図で、制御装置1000の構成は、図1の目標水位演算手段16が目標水位設定手段1010に置換わり、目標水位設定値記憶手段1011と表示・編集手段1012が新たに加わった以外は、図1の構成例と同一である。以下では、図4において、図1と同一の機能を有するものについては、同一の符号を用いる。また、以下の説明では図1と相違する部分を中心に説明する。
【0030】
図4において、目標水位設定値記憶手段1011は、流量調節機器の運転状態毎の、各立坑の水位設定値のデータを保持するものである。制御対象である導水設備が図2の構成の場合は、表1に示したように、全てのポンプ、即ち、ポンプP1〜P4のそれぞれが正常に運転中か否かの場合についての、各立坑61、62、63、65の制御目標とする水位設定値Hb、Hd、Hf、Hiのデータを保持する。
【表1】
Figure 0003959935
この表1において、ポンプ状態欄の○、×は、P1、P2、P3、P4の各ポンプについて、それぞれ、正常に運転中であるか、そうでないかを示している。ここで、正常に運転中でないということは、停止状態であるか、または、トリップなどの様に何らかの異常が発生した状態ということである。水位設定値欄の記号Lb1〜Lb14、Ld1〜Ld14、Lf1〜Lf14、Li1〜Li4はそれぞれ、ポンプ状態に応じた水位Hb、Hd、Hf、Hiの設定値を示している。例えば、No.1の行のデータは、ポンプP2、P3、P4が運転中でポンプP1がそうでない場合における水位の設定値が、Hb、Hd、Hf、Hiに対してそれぞれ、Lb1、Ld1、Lf1、Li1であることを示す。目標水位設定値記憶手段1011は、このような各立坑に対する水位設定値のデータを、全てのポンプの運転状態の組み合わせについて保持する。
【0031】
この目標水位設定値記憶手段1011に保持する水位設定値のデータは、予め解析などにより求めて設定しておく。これは例えば、図3で説明したフローチャートのステップ204で用いた方法を、オフラインで実行することにより求めることができる。あるいは、表1の各ポンプの運転状態に対応する定常状態における、各立坑61〜65の水位の実測値に基づき設定してもよい。
【0032】
次に、図4の表示・編集装置1012は、導水設備の保守作業を行なう保守員、あるいは、運転・監視を行なう運転員などのスタッフに対して、目標水位設定値記憶手段1011に保持するデータを表示する機能と、スタッフの入力に応じて、これらのデータを入力・編集する機能を備える。また、目標流量設定手段1010は、システム状態量収集・記憶手段14に保持する導水設備の全ポンプの運転状態のデータを読み込み、このデータに基づいて目標水位設定値記憶手段1011に保持する水位設定値のうち、制御対象の流量調節機器7の制御目標とするデータを読み込み保持する。例えば、図2における制御装置1aに本装置1000を用いたときは、目標流量設定手段1010は、水位設定値Hbの値として表1に示したLbn(n=1〜14)のデータを読込む。但しnはポンプの運転状態に応じた表1のNo.である。
【0033】
図5は、制御装置1000における処理を示すフローチャートである。この図に示した各処理ステップ200〜203、ステップ205〜207は、図3の場合と同一であり、図3の処理ステップ204が処理ステップ1204に置き換わった以外は同一の処理を実行する。処理ステップ1204では、処理ステップ202にて導水設備の流量調節機器に異常が発生したと判断された場合に、目標水位設定手段1010が、システム状態量収集・記憶手段14に保持されているポンプの運転状態のデータに基づいて目標水位設定値記憶手段1011を参照し、目標水位を設定する。
【0034】
この様に、図4の構成の流量制御装置を用いれば、ポンプの状態に応じた水位設定値を予め定め、これを保持することから、制御目標切替時における、新たな制御目標値である水位設定値を容易、かつ、短時間に設定することができる。また、ポンプの運転状態に応じた水位設定値を事前にオフラインで設定できることから、制御目標切替後の設定値として十分な検証を行った値を使用することが可能である。さらに、表示・編集手段1012を備えることにより、スタッフが目標水位設定値記憶手段1011に保持するデータを容易に確認することができると共に、導水設備における機器や管路の仕様の変更に伴う水位設定値の修正を容易に行うことができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、予め作成した制御スケジュールの作成時において考慮されていない機器の異常が発生した場合でも、即時に機器の異常を検知すると共に、使用可能な健全な機器の操作により収束させることが可能な、水位の目標値を収束計算等の繰り返し計算を必要としない単純な演算により瞬時に求めることが可能である。これにより、異常の発生後直ちに、制御スケジュールによる流量制御から、導水設備を一旦安定化させるための水位制御に切替えることができる。従って、異常発生による、導水路の不安定状態を速やかに収束させることができる。なお、異常が発生した機器が復旧した場合、あるいは、バックアップの機器が存在する場合には、導水設備全体が安定化した後に、その状態を初期状態として最終的な流量目標値に各管路の流量を変更するための制御スケジュールを再度作成し、これを実行すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる流量制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】導水設備の全体の構成例図である。
【図3】図1の流量制御装置における処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明になる流量制御装置の別の構成例を示すブロック図である。
【図5】図5の流量制御装置における処理を示すフローチャートである。
【図6】従来の導水設備の運転方法における設備の構成を示す図である。
【図7】従来の導水設備の運転方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1、1a〜1d 流量制御装置
2 制御スケジュール作成装置
3 制御対象プラント
4 導水設備
11 機器操作量演算手段
12a〜12c データ通信手段
13 制御目標切替え手段
14 システム状態量収集・記憶手段
15 異常検知手段
16 目標水位演算手段
17 目標流量演算手段
41 地下導水路
51、52 河川
53 湖沼
61〜65 立坑
71、72 ポンプ機場
81 分流ゲート
82 弁
91〜98 水位測定装置
1000 流量制御装置
1010 目標水位設定手段
1011 目標水位設定値記憶手段
1012 表示・編集手段

Claims (3)

  1. 導水設備を構成する複数の管路の各々に設けられた流量調節機器を制御するための流量制御装置であって、
    制御対象とする流量調節機器の異常の発生を検知する異常検知手段と、少なくとも導水設備の各部水位と各管路の流量もしくは流速の計測値を含むデータを読み込み保持するシステム状態量収集・保持手段と、前記異常検知手段により機器異常が検知されたときに前記システム状態量収集・保持手段が保持するデータを参照し、導水設備の各管路において成立する水頭と流速と損失係数の間で成立する関係式を用いて導水設備が安定に収束することのできる各管路の水位を目標水位として算出する目標水位演算手段と、管路の水位を前記算出された目標水位とする流量調節機器の目標流量を算出する目標流量演算手段と、前記異常検知手段が異常の発生を検知したときに通常の制御スケジュールに基づく制御目標から前記目標流量演算手段で決定した制御目標に切替える制御目標切替え手段と、を備えたことを特徴とする流量制御装置。
  2. 導水設備を構成する複数の管路の各々に設けられた流量調節機器を制御するための流量制御装置であって、
    制御対象とする流量調節機器の異常の発生を検知する異常検知手段と、流量調節機器の一部を異常として他の機器のみの運転によって導水設備全体として安定に収束することのできる各管路の目標水位を異常機器の組み合わせごとに予め求めて保持する目標水位設定値記憶手段と、前記異常検知手段により機器異常を検知した時に検知した異常機器の組み合わせに対応する前記目標水位を前記目標水位設定値記憶手段から読み出す目標水位設定手段と、各管路の水位を前記算出された目標水位とする流量調節機器の目標流量を算出する目標流量演算手段と、前記異常検知手段が異常の発生を検知したときに通常の制御スケジュールに基づく制御目標から前記目標流量演算手段で決定した制御目標に切替える制御目標切替え手段と、を備えたことを特徴とする流量制御装置。
  3. 請求項2に記載の流量制御装置において、前記目標水位設定値記憶手段に保持する目標水位のデータを表示し、利用者の入力に応じてそのデータの編集・入力を行なうことのできる入力・編集手段を備えることを特徴とする流量制御装置。
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