JP3959887B2 - 近赤外分析によるプラントの運転制御方法 - Google Patents

近赤外分析によるプラントの運転制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は近赤外分析(近赤外線分光分析)によるプラントの運転制御方法、特に検量線の評価・補完を行いながらプラントの運転制御を行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化学工業の分野において、化学品の製造を制御する際、原料、溶媒、水分、中間品、製品、副生物等を近赤外分析により分析し、その測定値に基づいて製造運転の制御を行うことが提案されている。この方法では、得られる製品が一定の品質を維持するために、上記の測定値が一定の規格値からはみ出さないようにプラントの運転制御が行われる。近赤外分析では特定の領域の近赤外線スペクトルを測定し、このスペクトルに含まれる特定の波長の吸光度の組合せから、予め作成した検量線に基づいて目的とする成分値が算出され、測定値(予測値)が得られる。
【0003】
近赤外分析の測定値によるプラントの運転制御では、通常上記規格値の内側に一定幅の管理値を設け、近赤外分析により得られる測定値が管理値を外れたときにプラントの運転条件を変え、測定値が管理値に復帰するように制御装置により制御信号を出してプラントの制御を行い、これにより測定値が規格値外にはみ出さないようにしている。この場合、近赤外分析は間欠的または連続的に試料を採取して分析を行い、管理値を外れる異常値が得られた段階で条件変更等の制御アクションがとられている。
【0004】
ところで近赤外スペクトルは複数の成分情報が含まれていて試料中に含まれる他の成分、水、濃度、温度、粒度などの複数の要因が複雑に組合わされスペクトルが形成されており、これらの要因が変化すると、ピークの位置や高さが変化するため、線形重回帰分析法(Multiple Linear Regression…MLR)や部分最小二乗法(Partial Least Squares…PLS)等の統計的手法により検量線が作成されている。
【0005】
上記の検量線の作成は複数の試料について、クロマトグラフィ等の一般分析法による分析と近赤外分析の両方法の分析を行い、近赤外分析で得られるスペクトルから目的成分ごとに決められる複数のピークの吸光度のデータを選び、これらのデータと一般分析法の測定値とを用いて上記の統計的手法によるキャリブレーションを行い、検量線が作成される。この場合、成分ごとに同様の操作を行って別々の検量線が作成される。
【0006】
ところがこのようにして作成される検量線は、キャリブレーションに使用された試料の数が限られているため、またキャリブレーションの過程における説明変数や目的変数の選択等が適切でない場合があることなどにより、一般性のある式が得られているとは限らない。このため作成した検量線の評価、確認を行い、より一般性の高い検量線を作成してルーチン分析に供すことが行われる。
【0007】
それにもかかわらず、近赤外スペクトルの複雑性から、季節、環境その他の製造条件に影響を与える状況の変化に伴い、すでに作成した検量線により得た測定値が一般分析法による測定値と一致しなくなることがあり、検量線の補完が必要になる。ところが検量線の補完には相当の時間と労力を要するので、無駄な補完作業はなくし、必要なときに効率よく補完を行うことが要求される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、近赤外分析法による測定値に基づいて製造運転を制御する際、無駄な補完作業を省略し、検量線の補完が必要になった時点において効率よく検量線を補完しながらルーチン分析を行い、その測定値に基づいてプラントを制御することが可能な近赤外分析によるプラントの運転制御方法を提案することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の近赤外分析によるプラントの運転制御方法である。
(1) 試料を近赤外分析して得た測定値に基づいてプラントの運転制御を行う方法であって、
予め作成した検量線に基づいて試料を近赤外分析し、
近赤外分析法の測定値を許容値と比較し、
許容値外の測定値が得られたとき一般分析法により分析を行い、
一般分析法による測定値を許容値と比較し、
一般分析法の測定値が許容値内の場合は過去の近赤外分析のデータを制御装置に入力し、使用中の検量線により過去の近赤外分析のデータに対応する予測値を求め、
過去の近赤外分析のデータに対応する予測値が許容値外の場合は近赤外分析装置の点検を行い、
過去の近赤外分析のデータに対応する予測値が許容値内の場合は検量線の補完・評価を行う
ことを特徴とする近赤外分析によるプラントの運転制御方法。
(2) 一般分析法の測定値が許容値外の場合はプラント点検を行う上記(1)記載の方法。
(3) 試料の近赤外分析により許容値外の測定値が得られたとき、近赤外分析を再度行い、再分析により許容値外の測定値が得られたときに、一般分析法による測定値を許容値と比較するようにした上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 検量線補完後、異常発生時の測定値と対比して検量線の評価、確認を行う上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 検量線補完後、過去の近赤外分析のデータを制御装置に入力して、補完後の検量線の評価・確認を行う上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 定期的に一般分析法による測定値を近赤外分析法の測定値と比較し、差が出たときに検量線の補完・評価を行う上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 定期的に一般分析法による測定値を近赤外分析法の測定値と比較し、差が出たときにデータベースから対応する製品のデータを入力し、前記差が出た製品とのパターンの比較確認を定性的に行い、製品パターンに差がない場合に検量線の有効性を確認する上記(6)記載の方法。
(8) 試料の近赤外分析により許容値内の測定値が得られたときに、測定値を管理値と比較し、測定値が管理値外の場合には反応条件を変え、測定値が管理値内に戻るようにプラント制御を行い、管理値内の場合は前記プラント制御を行わない上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の方法。
【0010】
近赤外分析は一般に波長400〜2500nm、好ましくは800〜2500nm、さらに好ましくは1000〜2000nmの近赤外線を試料に照射して透過光または反射光を検出し、その吸収スペクトルから予め作成した検量線により、試料の物性、成分等の分析を行う方法である。本発明の制御方法では試料を前処理することなく、製造工程において採取したものをそのまま試料として分析を行い、その測定値に基づいて制御を行う。制御はコンピュータ等の制御装置を用い、近赤外分析による測定値が規格値の範囲内となるように制御する。
【0011】
この方法に用いる近赤外分光分析装置は、ノイズレベルが30×10-6Abs以下、好ましくは20×10-6Abs以下、波長の再現性が±0.3nm以下、好ましくは±0.01nm以下の高精度のものが使用できる。ノイズレベルおよび波長再現性の測定方法は次の通りである。
【0012】
ノイズレベルの測定方法
測定方法が反射式であればセラミック板を、透過式であれば空気中で2回測定し、前後の吸光度を2nm毎に20組測定する。1回目の測定値と2回目の測定値の差(実効値)の標準偏差をノイズレベルとしている。
【0013】
波長再現性の測定方法
JIS K0117−1979赤外分光分析通則を用い、標準ポリスチレンフィルムを光路に入れ測定する。この時、基準の近赤外吸収波長は1143.6330nm、1684.2700nm、2166.4000nm及び2305.9300nmの各4つである。10回の標準偏差が波長再現性の値である。
【0014】
近赤外分析の測定対象となるのは、製造工程に用いられる原料、溶媒、水分、中間品、製品、副生物など、プラントの制御に用いられるすべてのものを含む。近赤外線は紫外線に比べるとエネルギーが小さいので試料成分を変化させることがない。また可視光の場合とは異なり吸収スペクトルによる分析であるため、試料の透明性その他の形態による影響を受けないので、膜厚等の調整が不要となる。
【0015】
このような試料について近赤外分析装置で分光分析を行うことにより、近赤外スペクトルを得る。このスペクトルは前述の通り複数の情報が含まれており、予め作成した検量線により、特定のピークのデータの組合せから目的とする測定成分の測定値(予測値)を算出する。この場合、同じスペクトルから複数の測定成分の測定値を得ることができる。
【0016】
検量線(Calibration equation)はスペクトルデータと測定成分の分析値との間の数学的関係式であり、前述のように複数の試料について、クロマトグラフィ等の一般分析法による分析と近赤外分析の両方法の分析を行い、近赤外分析で得られるスペクトルから目的成分ごとに決められる複数のピークの吸光度のデータを選び、これらのデータと一般分析法の測定値とを用いて前述のMLR法やPLS法等の統計的手法により作成される。
【0017】
この場合、測定成分ごとに同様の操作を行って別々の検量線を作成することができる。このようなキャリブレーションに用いる統計的手法は測定成分、その精度等により任意に決められるが、MLR法およびPLS法が好ましい。また一般分析法としては比色分析、ガスクロマトグラフィーのような従来から用いられている測定成分の分析法が含まれる。
【0018】
本発明のプラントの運転制御方法は、目的とする製品の製造を行いながら、ルーチン分析において近赤外分析により制御に用いる測定成分を分析しながら、異常値が発生したときに効率よく検量線の補完・評価を行い、このような補完された検量線を用いて測定を行い、その測定値により運転制御を行う。本発明において制御の対象となるものは化学品、食料品など、近赤外分析により測定が可能なものの製造運転であるが、化学品、特にポリエステル、フェノール類の製造運転に適している。
【0019】
本発明において規格値とは、製品の品質上必要とされる値であり、この規格値外のものは不合格とされる。本発明において管理値とは、規格値からはみ出さないようにするために、制御を開始する値であって規格値の内側に設定されこの管理値内では制御アクションを行わず、管理値外では制御アクションを行う。本発明において許容値とは検量線が許容される値であって、この許容値外では検量線の補完を行うために、管理値の外側に設定される値であり、一般的には規格値付近の値が好ましいが、他の値でもよい。規格値の中心値(平均値)を目標値mとすると、管理値はm±σ(σは標準偏差)、許容値はm±3σに設けるのが好ましい。
【0020】
本発明では、ルーチン分析において、予め作成した検量線に基づいて試料を近赤外分析し、許容値外の測定値が得られたとき、一般分析法による分析を行って測定値を許容値と比較し、一般分析法の測定値が許容値外の場合はプラント点検を行い、装置の調整や設定の変更等を行うことができる。一般分析法の測定値が許容値内の場合は過去の近赤外分析のデータを制御装置に入力し、使用中の検量線により過去の近赤外分析のデータに対応する予測値を求め、過去の近赤外分析のデータに対応する予測値が許容値外の場合は近赤外分析装置の点検を行う。過去の近赤外分析のデータに対応する予測値が許容値内の場合は検量線の補完・評価を行う。検量線の補完は、異常のデータを検量線作成用データに加えて、前記MLR法、PLS法等の統計的手法により再度検量線を作成、評価を行う。
【0021】
上記の場合、試料の近赤外分析により許容値外の測定値が得られたときは近赤外分析を再度行い、再分析により許容値外の測定値が得られたときに、一般分析法による測定値を許容値と比較することにより突発的なデータ異常による無駄な検量線の作成を避けることができる。
【0022】
ルーチン分析において近赤外分析の測定値が許容値内のときは、その測定値を管理値と比較し、管理値外の場合は反応条件を変え、測定値が管理値内に戻るようにプラント制御を行い、管理値内の場合は前記プラント制御を行わない。
【0023】
検量線補完後、異常発生時の近赤外分析法の測定値と対比して検量線の評価、確認を行うことにより、正確な補完検量線を得ることができる。
また検量線補完後、過去の近赤外分析のデータを制御装置に入力して、補完後の検量線の評価・確認を行うことにより、不適切な補完を避けることができる。
【0024】
このようなルーチン分析による検量線の補完に加えて、定期的に一般分析法による測定値を近赤外分析法の測定値と比較し、差が出たときに検量線の補完を行うことにより、検量線が不適切となる事態を早く認識し、これに対応して検量線の補完を行い、制御を適正に行うことができる。
この場合、定期的に一般分析法による測定値を近赤外分析法の測定値と比較し、差が出たときにデータベースから対応する製品のデータを入力し、前記差が出た製品とのパターンの比較確認を定性的に行い、製品パターンに差がない場合に検量線の有効性を確認することにより、突発的な異常による検量線の作成を避けることが可能になる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、近赤外分析による測定値に異常値が出た場合に一般分析法による測定値を、管理値の外側に設定される許容値と比較してその結果により検量線を補完するようにしたので、近赤外分析法による測定値に基づいてプラントの運転制御を行う際、無駄な補完作業を省略し、検量線の補完が必要になった時点において効率よく検量線を補完しながらルーチン分析を行い、その測定値に基づいてプラントを制御することが可能である。
【0026】
またさらに定期的に一般分析法による測定値を近赤外分析法の測定値と比較し、差が出たときに検量線の補完を行うことにより、検量線が不適切となる事態を早く認識し、これに対応して検量線の補完を行い、制御を適正に行うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の発明の実施の形態を図面により説明する。
図1は実施形態の製造装置を示すフロー図、図2は制御方法を示すフロー図、図3は各値の関係を示す分布図である。
【0028】
図1において、1はプラントであって、原料2を供給して製品3を製造するように構成されている。4は制御装置、5は近赤外分析装置、6は一般分析装置である。制御装置4はプラント1からの検出信号1aを受け、制御信号4aをプラントに送って反応条件等を制御するように構成されている。近赤外分析装置5は制御装置4からの制御信号4bにより近赤外分析を行い測定信号5aを制御装置4に送るように構成されている。一般分析装置6はクロマトグラフィ等からなり、制御装置4からの制御信号4cにより分析を行い、測定信号6aを制御装置4に送るように構成されている。
【0029】
上記の装置による製造運転方法は、制御装置4の制御信号4aによりプラント1に原料2を供給して製品3を製造する。この間プラント1から検出信号1aを制御装置4に送る。一定のインターバルで制御装置4からの制御信号4bにより近赤外分析装置5がプラント1からサンプリングして近赤外分析を行い、その測定信号5aを制御装置4に送る。制御装置4では予め作成された検量線から測定値を演算し、その結果に基づいて制御信号4aをプラント1に送ってプラント1の製造条件を制御する。また制御信号4cにより一般分析装置6により分析を行い、その結果を制御装置4に送る。制御装置4ではその結果により検量線の補完を行う。
【0030】
上記の制御方法を図2により詳細に説明するが、各値の関係は図3に示されている。すなわちaは規格値であり、その中心値(平均値)を目標値mとすると、m±3σの位置に許容値bが設定され、m±σの位置に管理値cが設定されている。許容値bおよび管理値cはm±σの位置dその他の位置に設定してもよいが、許容値bは規格値aの内側、管理値cは許容値bの内側に設定する。
【0031】
図2においてまずS101において近赤外分析装置の点検を行い、S102で近赤外分析装置の診断を行う。診断は前記ノイズレベルおよび波長再現性を測定し、波長再現性が±0.3nm以内、ノイズレベルが30×10-6abs以下であれば正常と判定する。S103において診断結果を判定し、正常であればS104の標品の測定を行い、正常でなければS101に戻り装置の点検、診断を繰り返す。S104の標品の測定は、標品について近赤外分析と一般分析法による測定値を比較し、近赤外分析法の測定値が一般分析法の測定値の±3σ以内であれば合格とする。S105において合否を判定し、合格であればS106のルーチン分析およびS131の定期的に一般法と比較するステップに移る。不合格であればS101以下のステップを繰り返す。
【0032】
上記により近赤外分析装置が正常であることを確認した状態で、S106のルーチン分析に移る。このステップでは近赤外分析装置で近赤外スペクトルを測定し、その結果を制御装置に入力し、ここで予めMLR法、PLS法等の統計的手法により作成された検量線により測定成分の測定値(予測値)を演算し、これをS107の結果として出力する。そしてS108においてその測定値がm±3σの一定幅の許容値b内かどうかを判定する。この許容値bは各製品の品質ごとに定められた検量線の許容範囲の値であり、この許容値内であればS109のように管理値cと比較し、管理値c内であればS111のようにプラント制御ノーアクション、すなわち制御アクションを行わないが、管理値c外であれば管理値c内に復帰させるためにS112のように制御アクションを行う。プラント制御アクションは原料供給量、濃度、反応温度、圧力、時間等の反応条件を変え、測定値が管理値内に戻るように制御を行う。このような制御アクションを行い、次回の測定において測定値が管理値内に入ったときは、変更された反応条件をそのまま継続し、次回の測定値が管理値外となったときはさらに制御アクションが行われる。
【0033】
S108で測定値が許容値外と判定した場合は、S115に移り近赤外分析装置により再測定を行う。これは異常値が突発的な誤動作等によるものでなく、継続的なものであることを確認し、無駄な検量線の補完作業を省略するために行う。S115の測定の結果はS116で許容値内かどうかを判定し、許容値内であればS109以下の操作に移る。
【0034】
S116で再測定結果が許容値外と判定されたときは、S117においてガスクロマトグラフィ等の一般分析法による測定が行われ、その測定値がS118で管理値内かどうか判定される。ここで管理値外と判定されたときは、異常の発生が近赤外分析法と一般分析法で二重に確認されたことになるので、S119に示すようにプラント点検を行う。これは近赤外分析および一般分析法の両方の結果とも許容値外のときはプラントを点検して調製および設定を行う必要があるためである。
【0035】
S118で許容値内と判定されたときは、S120において過去の近赤外分析のデータを入力して近赤外分析装置を正常であるかどうかを判断する。過去のデータはすでに許容値内であることが確認されたものであるから、S121で許容値外の判定が出たときは近赤外分析装置の誤動作の可能性があり、S101、S102に戻って装置の点検、診断を行い、故障部分を修理する。このような操作によって無駄な検量線補完・評価の作業が省略される。
【0036】
S121において許容値内の判定があったときは、一般法による測定値および過去のデータが許容値内であるにもかかわらず、近赤外分析の測定値が許容値外となっているから、S122において検量線の補完を行う。検量線の補完は最初に検量線を作成したときと同じ手法、例えばMLR法、PLS法等の統計的手法により検量線を作りなおす。最初の検量線作成は、複数の試料についての近赤外分析法の測定値と一般分析法の測定値を説明変数として多変量解析法により行われるが、検量線の補完は最初の検量線作成時に使用した試料の測定値に加えて、今回異常値が出た試料について近赤外分析および一般法で分析した測定値を新たに説明変数として、検量線を作成する。
【0037】
こうして新たな検量線を作成した後、S123において新検量線の評価・確認を行う。この評価、確認は通常検量線作成時に行われる操作に加えて、異常発生時に分析した測定値で検量線の補完に使用しなかった測定値を使用して、これが正当な値に算出されるかどうかをS124で判定する。ここで不合格の場合はS122に戻って再度検量線の補完を行う。S124で合格の場合は、S125において過去のデータを入力し評価、確認を行う。過去のデータはすでに管理値内と判定されているので、新検量線によっても同じ結果が出ると、S126で合格と判定され、S127で補完検量線を新検量線として供用し、以後のルーチン分析を新検量線で行う。不合格の場合はS122に戻って検量線の補完を再度行う。
【0038】
上記のようなルーチン分析において異常が発生したときに異常の対応策として検量線の補完を行うと、一般分析法による測定を常に行っていなくてもよい上、異常に対する対応を迅速に行うことができる。近赤外分析の測定値が許容値内であっても、一般分析法による測定値が許容値を外れる場合があり得るが、このような場合は許容値を適切な幅に設定することにより近赤外法の測定値も許容値外になるので、容易に異常を発見することができる。
【0039】
上記のような近赤外法の測定値が許容値内にもかかわらず、一般法の測定値が許容値を外れる事態が生じるのを防止するためには、S131以下の一般分析法との比較を定期的に行うのが好ましい。この操作はS106以下のルーチン分析と並行して行うものであり、ルーチン分析の頻度より少ない例えば1週間に1〜2回程度の頻度で一般分析を行い、S131においてその測定値を近赤外分析法の測定値と比較し、許容値以上の差があるかどうかを判定する。
【0040】
S132において許容値以上の差がないと判定したときはS106以下のルーチン分析を続行する。許容値以上の差があると判定したときは、S133において製品のパターンの定性的比較、確認を行う。これはデータベースから対応する製品のデータを入力して前記差が出た製品のパターンと定期的に比較し、得られた測定値がその製品のパターンを有しているかどうかを定性的に判定し、突発的な異常データかどうかを判定する。
【0041】
S134において従来品と同等であると判定された場合は検量線が不適切になっていることを示すから、S122以下の検量線補完の操作に入る。またS134において従来品と同等でないと判定されたときはS115以下の操作に移り、一般法により再測定を行い、検量線補完・評価の必要性を検討する。
【0042】
このようにS106以下のルーチン分析による検量線の補完を行いながら、S131以下の定期的な一般法との比較を行うことにより、検量線が不適切になった事態を早急に検知して対応することができ、これにより制御の精度は高くなる。また一般法による分析は長時間を必要とするため、S131以下の操作を頻繁に行うのは困難であるが、これらの操作を組合せて行うことにより一般法による分析の頻度を少なくして効率よく検量線の補完を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の製造装置のフロー図である。
【図2】実施形態の制御方法を示すフロー図である。
【図3】各値の関係を示す分布図である。
【符号の説明】
1 プラント
2 原料
3 製品
4 制御装置
5 近赤外分析装置
6 一般分析装置

Claims (8)

  1. 試料を近赤外分析して得た測定値に基づいてプラントの運転制御を行う方法であって、
    予め作成した検量線に基づいて試料を近赤外分析し、
    近赤外分析法の測定値を許容値と比較し、
    許容値外の測定値が得られたとき一般分析法により分析を行い、
    一般分析法による測定値を許容値と比較し、
    一般分析法の測定値が許容値内の場合は過去の近赤外分析のデータを制御装置に入力し、使用中の検量線により過去の近赤外分析のデータに対応する予測値を求め、
    過去の近赤外分析のデータに対応する予測値が許容値外の場合は近赤外分析装置の点検を行い、
    過去の近赤外分析のデータに対応する予測値が許容値内の場合は検量線の補完・評価を行う
    ことを特徴とする近赤外分析によるプラントの運転制御方法。
  2. 一般分析法の測定値が許容値外の場合はプラント点検を行う請求項1記載の方法。
  3. 試料の近赤外分析により許容値外の測定値が得られたとき、近赤外分析を再度行い、再分析により許容値外の測定値が得られたときに、一般分析法による測定値を許容値と比較するようにした請求項1または2記載の方法。
  4. 検量線補完後、異常発生時の測定値と対比して検量線の評価、確認を行う請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 検量線補完後、過去の近赤外分析のデータを制御装置に入力して、補完後の検量線の評価・確認を行う請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
  6. 定期的に一般分析法による測定値を近赤外分析法の測定値と比較し、差が出たときに検量線の補完・評価を行う請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
  7. 定期的に一般分析法による測定値を近赤外分析法の測定値と比較し、差が出たときにデータベースから対応する製品のデータを入力し、前記差が出た製品とのパターンの比較確認を定性的に行い、製品パターンに差がない場合に検量線の有効性を確認する請求項6記載の方法。
  8. 試料の近赤外分析により許容値内の測定値が得られたときに、測定値を管理値と比較し、測定値が管理値外の場合には反応条件を変え、測定値が管理値内に戻るようにプラント制御を行い、管理値内の場合は前記プラント制御を行わない請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
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