JP3959427B2 - バイオマス変換式ガス発生装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、草木類や藻類などの植物燃料を原料として一酸化炭素や水素等の可燃性有用ガスを生成するバイオマス変換式のガス発生装置に関するものであり、特に植物燃料の炉内への投入経路における詰まりが防止されて、安定した操業が実現され得ると共に、安全性が改善された、新規な構造のバイオマス変換式ガス発生装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、木材加工業等で多量に発生するおが屑や削り屑,木片,間伐材等の木質系廃棄物の活用装置の一種として、バイオマスのガス化によるエネルギー利用技術の一つであるバイオマス変換式のガス発生装置が知られている。
【0003】
かかるガス発生装置は、例えば特許文献1に示されているように、竪型中空の炉体の下部に空気取入口を設けると共に、上壁を貫通して略鉛直方向に延びる投入パイプを配設して、炉体上方に設置した燃料タンクから投入パイプを通じて炉内におが屑を供給せしめつつ、炉内に堆積したおが屑の最下部で熱分解後のおが屑を酸化燃焼させて、発生する熱により上方のおが屑を乾燥・熱分解せしめることにより熱分解ガスを生成するようになっている。また、炉内に堆積したおが屑の中〜下層の領域で発生した熱分解ガスは、堆積したおが屑中を透過することで冷却・濾過された後、炉体の上部に開口するガス吸引管を通じて吸引されることにより炉外に取り出されるようになっており、その後、サイクロン等の適当な浄化装置によってダストやタールの除去が行われることにより、清浄な可燃性の有用ガスとして利用に供されることとなる。
【0004】
【特許文献1】
実開平6−84109号公報
【0005】
そこにおいて、炉体の上壁を貫通して配設された投入パイプは、燃料タンクと炉体の各内部を相互に常時接続せしめて炉内でのおが屑の消費減少分を燃料タンクから速やかに供給するようになっていると共に、かかる投入パイプの内部が、常時、おが屑で充填されて炉内で発生するガスの燃料タンク内への流出が阻止されるようになっている。また、投入パイプの径寸法は、炉内の内法寸法や、おが屑の堆積高さ等を考慮して、おが屑の酸化や熱分解反応が安定して行われて、目的とする量の有効ガスを出来るだけ安定して採取することが出来るように、適当に設定されている。
【0006】
ところが、従来構造のガス発生装置では、燃料タンクから供給されるおが屑の形状や水分量、締まり具合などの各種条件によって投入パイプ内での流動性が変動することに起因して、投入パイプ内で詰まりが発生するおそれがあった。そして、投入パイプに詰まりが発生すると、炉内におが屑が供給されなくなって炉内温度が上昇したり、炉内圧力が増大して、外部にまで危険が及ぶような状況となることも考えられる。特に、投入パイプは炉内に差し入れられていることから、外部から詰まりの有無を確認することが極めて困難であって、投入パイプを通じてごく僅かずつ炉内に送り込まれるおが屑の流量に基づいて詰まりを判断すること自体、経験を要する難しい作業なのである。
【0007】
なお、投入パイプにおける詰まりの有無を目視で確認することも考えられるが、投入パイプの上端開口部から覗き込んで目視することは危険を伴うことから、避けるべき作業であって現実的でない。
【0008】
また、仮に、投入パイプの詰まりが発見出来たとしても、かかる詰まりを解消させることは容易でない。即ち、投入パイプの詰まりを解消する方策としては、例えば、長手の棒材を投入パイプの上端開口部から突き入れて、投入パイプ内で発生している棚状の詰まりを崩すことが考えられるが、そのような作業自体、危険を伴う。しかも、投入パイプが長尺でおが屑が強く締まっている場合には、棒で上方から突っ付く程度で投入パイプ内の詰まりを完全に解消させることが難しく、棒材を挿通し得たとしても、実際には詰まりの一部に棒材が挿通せしめられる程度の孔が開いただけで、直ぐに詰まりが再発してしまうことが多く、詰まりを解消せしめる有効な方策さえも、未だ見出されてはいなかったのである。
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、投入パイプにおけるおが屑等の植物燃料の詰まりが防止されて、投入パイプを通じて燃料タンクから炉内に植物燃料を安定して供給することが出来、それによって、優れた安全性をもって安定して操業することが可能となるバイオマス変換式ガス発生装置を提供することにある。
【0010】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0011】
(本発明の態様1)
本発明の態様1は、略鉛直方向に延びる投入パイプを炉体の上壁を貫通して配設せしめて、該投入パイプの上端を該炉体の上方に設置した燃料タンク内に開口させる一方、該投入パイプの下端を該炉体の内部に開口させることにより、該燃料タンクに貯えた草木類や藻類などの植物燃料を該投入パイプを通じて該炉体の内部に供給するようにしたバイオマス変換式ガス発生装置において、前記投入パイプの内径寸法を軸方向で変化させて、該投入パイプの内周面を鉛直下方に向かって拡開するテーパ付き円筒形状として、前記投入パイプの上端の開口側に位置して、略鉛直方向に延びる中心軸回りで回動せしめられる送りスクリュを配設し、該送りスクリュの回動によって前記燃料タンク内の前記植物燃料を該投入パイプに送り込むようにして、更に、前記投入パイプを遮断せしめ得るパイプ遮断手段を設けると共に、前記投入パイプの上端の開口部に対して接近/離隔可能に配設されて、該開口部に重ね合わせられることにより該開口部を覆蓋して該投入パイプを遮断する蓋部材によって、前記パイプ遮断手段を構成して、前記蓋部材を、前記送りスクリュの軸方向上端部分で軸直角方向外方に広がるように装着すると共に、該送りスクリュを該蓋部材と共に軸方向下方に駆動変位せしめて、該蓋部材により前記投入パイプの上端の開口部を覆蓋せしめる蓋駆動手段を設けたことを、特徴とする。
【0012】
このような本態様に従う構造とされたバイオマス変換式ガス発生装置においては、植物燃料が投入パイプの内部を下方に向かって通過せしめられる際に植物燃料に及ぼされる摩擦等に基づく流動抵抗が、投入パイプの内周面をテーパ付き円筒形状としたことで軽減され得ることとなる。それ故、炉内に堆積された植物燃料が減少し、該植物燃料によって投入パイプの下端開口部に及ぼされる圧力が減少すると、燃料タンクから投入パイプを通じて植物燃料が炉内にスムーズ且つ速やかに補填され得ることとなり、安定した操業が実現可能となるのである。
【0013】
しかも、本態様に係るバイオマス変換式ガス発生装置においては、投入パイプにおける植物燃料の詰まりの発生そのものが効果的に防止され得ることから、投入パイプの詰まりに起因する炉内圧力の増大等の危険が未然に回避され得ると共に、投入パイプの詰まりを解消させるための危険な作業も不要となり、操業に際しての安全性が向上され得るのである。
【0014】
なお、投入パイプの内周面に付されるテーパの構造は、採用される投入パイプの材質や表面性状等の他、使用する植物燃料の種類や粒度,形状,含水量等を考慮して適当に設定されるべきであって、限定されるものでない。そこにおいて、かかるテーパは、投入パイプの軸方向で実質的に全長に亘って形成することが望ましいが、投入パイプの軸方向で部分的にテーパを付するようにしても良い。また、例えば、製材所での帯鋸の使用で発生する一般的なおが屑を採用する場合には、投入パイプの内周面におけるテーパ比を5/100以上とすることが望ましく、より好適には7.5/100以上のテーパ比とされる。テーパが小さすぎると、目的とする投入パイプの詰まり防止効果を安定して得ることが難しくなるからである。一方、投入パイプの内周面におけるテーパが大きすぎると、投入パイプを通じての植物燃料の均一な供給が難しくなるおそれがあることに加えて、炉内に堆積された植物燃料の自由表面積を充分に確保し難くなることから、テーパ比を20/100以下とすることが望ましく、より好適には10/100以下のテーパ比とされる。
【0015】
また、投入パイプの材料も特に限定されるものでないが、植物燃料の流通に際して及ぼされる外力に抗し得る強度および剛性と、炉内温度に対する耐熱性,炉内ガスに対する耐久性等を考慮して選定されることとなる。具体的には、鉄系金属で形成された管体が、コスト的にも有利に採用され得る。なお、引抜管の他、溶接管や巻込管等も採用可能であるが、投入パイプの周壁部分における気密性は充分に考慮されるべきである。
【0016】
また、本態様においては、投入パイプにおける詰まりの発生が一層効果的に防止され得るのである。
【0017】
すなわち、本態様に従いテーパ付き円筒形状の内周面を備えた投入パイプを採用した場合に、植物燃料の性状や各種環境条件等が非常に悪い組み合わせとなって、万一詰まりが発生することを考えてみると、投入パイプにおける上端開口部が最小径とされていることや、燃料タンクから段差状に絞られていること等を原因として、詰まりの殆どは投入パイプの上端開口部に発生するものと推定される。ここにおいて、本態様では、かかる投入パイプの上端開口部に臨むように送りスクリュが配設されて、この送りスクリュの回動作動により、植物燃料が投入パイプの上端開口部に強制的に送り込まれることから、投入パイプの上端開口部における詰まりが強制的に回避乃至は解消され得るのであり、その結果、投入パイプの全長に亘って植物燃料のスムーズな流動性が極めて有利に発現され得ることとなる。
また、本態様においては、炉の操業状態に何等かの異常が認められた場合に、投入パイプを速やかに遮断し、投入パイプを通じてのガスの炉外漏出や、漏出したガスの燃焼などが危険を回避することが可能となる。なお、本態様において採用される遮断手段には、投入パイプの遮断に際して予想される圧力や熱に耐えうる材質や構造が適宜に採用され得る。
更にまた、本態様においては、投入パイプの上端開口部を、簡単な構造により良好な密閉性をもって遮断することが出来る。
また、本態様においては、定常状態下で投入パイプの上端開口部に臨むように設置される送りスクリュを採用する場合でも、かかる送りスクリュを問題とすることなく、蓋部材によって投入パイプを遮断することが可能となるのである。
【0018】
(本発明の態様2)
本発明の態様2は、本発明の前記態様1に係るバイオマス変換式ガス発生装置において、前記送りスクリュを間欠的に回動作動せしめるスクリュ制御手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、投入パイプの上端開口部における詰まりを防止乃至は解消せしめ得るに充分な押圧力を及ぼし得る程度に、送りスクリュの回転速度を設定せしめつつ、植物燃料の炉内への単位時間当たりの供給量を小さな値にまで設定することが可能となるのであり、炉の操業に際しての制御自由度が有利に確保され得る。
【0022】
(本発明の態様3)
本発明の態様3は、本発明の前記態様1又は2の態様に係るバイオマス変換式ガス発生装置において、前記炉体の内部の圧力,温度およびガス濃度の少なくとも一つを検出するセンサを設けて、かかるセンサの検出信号の値が予め設定された許容範囲を外れた場合に前記パイプ遮断手段により前記投入パイプを遮断する遮断制御手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、炉の操業状態を自動で監視させて、何等かの異常が発生した場合には、自動的に速やかに投入パイプが遮断されるのであり、安全性の更なる向上と、作業者の労力の軽減が、図られ得る。特に本態様においては、センサの検出信号の値が予め設定された許容範囲を外れた場合に、前記パイプ遮断手段により前記投入パイプを遮断すると同時に、窒素ガス及び/又は炭酸ガスを前記炉体の内部に導入するガス導入手段を設けることが望ましい。
【0023】
(本発明の態様4)
本発明の態様4は、本発明の前記態様1乃至3の何れかの態様に係るバイオマス変換式ガス発生装置において、前記燃料タンクの底壁を、前記炉体の上壁から鉛直上方に離隔せしめて、それら燃料タンクの底壁と炉体の上壁の間に空間を形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、投入パイプにおける炉体の上壁部から上方への突出量を大きく設定することが可能となり、炉体の大型化を伴うことなく投入パイプの設計自由度が向上され得る。特に、本発明においては、投入パイプの内面にテーパを付し、更に必要に応じて該投入パイプの上端開口部に送りスクリュを配設して、投入パイプの詰まりを防止せしめ得たことにより、植物燃料の詰まりという大きな問題を回避しつつ投入パイプを長尺化することが出来るのであり、それによって、投入パイプを通じてのガスの外部漏出等の問題を抑えて操業の更なる安定化が図られ得る。
【0024】
(本発明の態様5)
本発明の態様5は、本発明の前記態様1乃至4の何れかの態様に係るバイオマス変換式ガス発生装置において、前記燃料タンクの底面を円板状として、該底面の外周部分に前記投入パイプの上端を開口位置せしめると共に、該燃料タンクの略中心軸回りに回動せしめられる攪拌羽根を、前記送りスクリュと干渉しない状態で該燃料タンク内に配設し、該攪拌羽根の回動作動によって該燃料タンク内の前記植物燃料を外周側に押し広げるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、燃料タンク内に貯留した植物燃料が、投入パイプの上端開口部に導かれて、投入パイプから炉内に安定して供給され得る。しかも、燃料タンク内に攪拌羽根を設けたことにより、投入パイプの上端開口部における棚状の詰まりが大きくなること等が防止されて、投入パイプを通じての炉内への植物燃料の供給が一層安定化する。
【0025】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0026】
先ず、図1には、本発明の一実施形態としてのガス発生装置10の全体構造が概略的に示されている。このガス発生装置10の基本構造は公知のものであるが、はじめに簡単に説明する。
【0027】
すなわち、図1中、12は、炉体であって、厚肉の大径円筒形状を有する周壁14の上部開口を上壁16で気密に覆蓋することによって構成されており、炉体12の内部に処理室18が形成されている。そして、この処理室18内に、外部から供給された植物燃料としての木質系燃料である細片状乃至は粒状のおが屑19が堆積せしめられて、酸化・分解等の処理が施されるようになっている。なお、図面では省略してあるが、周壁14は、例えば、耐火レンガ等で形成された内周壁と鉄筋コンクリート等で形成された外周壁の間に砂を充填した多層の耐火構造をもって形成される。また、処理室18に晒された周壁14の内周面は、略鉛直に延びる円筒形状の他、上方に向かって小径化するテーパが付された円筒形状であっても良い。更に、炉体12のサイズは特に限定されるものでないが、実用的なサイズでは、周壁14の外径寸法や、高さ寸法は、何れも、数メートル以上にまで及ぶ。
【0028】
また、炉体12に形成された処理室18には、下部にロストル(火格子)20が設置されていると共に、このロストル20の下方に形成されたエア供給用空間22には、炉体12の周壁14を内外に貫通して配設されたエア供給管24の内側端部が開口せしめられている。そして、このエア供給管24の外側端部が、調節弁26を介して大気中に接続されており、該調節弁26を操作することによって、適当量のエアが、外部からエア供給管24を通じて処理室18に供給されるようになっている。なお、エア供給管24は、炉体12の周上で適数本設置され得る。また、周壁14の下部には、点火処理のための点火口が閉塞可能に設けられているが、図示を省略した。
【0029】
さらに、炉体12の周壁14の上端部には、圧力放出装置28が装備されている。この圧力放出装置28は、周壁14を内外に貫通して圧力放出管30を配設せしめて、この圧力放出管30の内側端部を処理室18に開口せしめる一方、外側端部を鉛直下方に延び出させて、その先端部分を、水封容器32に貯めた水34の中に浸漬せしめて水中に開口させることによって構成されている。なお、水封容器32内の水34の水面は、図示しないレベリング手段で予め設定された水位に保持されるようになっている。また、圧力放出管30や水封容器32は、炉体12の周上で適数設置され得る。
【0030】
また、炉体12の上壁16には、ガス取出管36が貫通して配設されており、このガス取出管36の下端が処理室18に開口せしめられている一方、ガス取出管36の他端にはサイクロン38を介してガス吸引ファン40が接続されている。そして、ガス吸引ファン40の作動で生ぜしめられる負圧をガス取出管36を通じて処理室18に及ぼすことにより、おが屑19を処理して処理室18に生ぜしめられた発生ガスを、ガス取出管36から吸引し、サイクロン38でタールやダストを分離せしめて、続く清浄装置に送るようになっている。
【0031】
更にまた、炉体12の上壁16には、その中央部分を貫通して投入パイプ42が配設されている。この投入パイプ42は、円筒形状を有しており、その中心軸が鉛直方向に延びるようにして、炉体12によって実質的に固定的に支持されている。特に、かかる投入パイプ42には、下方に行くに従って次第に拡開するテーパが付されている。そして、投入パイプ42は、その上端部が炉体12の上壁16から所定高さで上方に突出せしめられている一方、その下端部が炉体12の処理室18に差し入れられており、処理室18の高さ方向中間部分に開口位置せしめられている。
【0032】
さらに、炉体12の上壁16上には、燃料タンク44が載置されて固設されている。この燃料タンク44は、図2にも平面図が示されているように、円形の底壁46と円筒形の筒壁48を有する中空円形の容器であって、上部開口には、金網等の通気性の蓋体が装着されていると共に、かかる蓋体の一部に燃料受口50が装備されている。また、燃料タンク44の上方にはホッパ52が配設されており、このホッパ52の下端に形成された吐出口が、燃料タンク44の燃料受口50上に開口せしめられている。
【0033】
そして、図示しない外部の貯蔵タンクから、おが屑が、搬送ファン54を用いたニューマチックコンベヤ等により、搬送パイプ56を通じてホッパ52に供給されるようになっている。更に、ホッパ52の吐出口を、ハンドルレバー等で開閉することで、ホッパ52に供給されたおが屑を、必要に応じて、燃料タンク44内に導き入れることが出来るようになっている。
【0034】
また、燃料タンク44内には、底壁46の上面に沿って広がるように複数本の攪拌羽根57を備えたプロペラ状の回転体58が配設されており、燃料タンク44の中心軸上に配設された回転支持軸60によって吊り下げ支持されている。そして、この回転支持軸60が電動モータ62で回動せしめられることにより、回転体58が中心軸回りに回動作動せしめられるようになっている。なお、回転体58に設けられた複数本の攪拌羽根57は、何れも、回転支持軸60から離れるに従って次第に回転方向で後方に湾曲せしめられており、それにより、回転体58の回転作動に際して、各攪拌羽根57により、燃料タンク44内のおが屑に対して、外周側に向かって押圧して送る作用が加えられるようになっている。
【0035】
さらに、燃料タンク44における底壁46には、外周縁部の近くに位置して、円形の供給口64が貫設されており、この供給口64に対して、炉体12に装備された投入パイプ42の上端開口部が装着されている。これにより、燃料タンク44内のおが屑が、投入パイプ42内に導き入れられ、重力の作用で投入パイプ42を通じて炉体12の処理室18に供給されるようになっている。
【0036】
なお、燃料タンク44は、複数本の脚部66を備えており、その底壁46が、炉体12の上壁16から空間を隔てて上方に離隔配置せしめられていることによって、投入パイプ42の上端部は、炉体12の上壁16から所定長さで上方に突出して、かかる燃料タンク44の底壁46に形成された供給口64に接続されている。また、かかる供給口64において、投入パイプ42へのおが屑の入り込みを良好とするために、投入パイプ42の上端部は、燃料タンク44の底壁46から燃料タンク44内に突出しないようにして組み付けられている。
【0037】
また、燃料タンク44内には、供給口64の開口部分に位置して、中心軸が鉛直方向に延びる状態で送りスクリュ68が配設されている。なお、送りスクリュ68としては、標準スクリュの他、リボンスクリュやカットフライトスクリュ等の各種スクリュが適宜に採用され得る。そして、かかる送りスクリュ68は、先端部分が、供給口64の中央に臨み、該供給口64に所定長さだけ入り込んだ状態で配設されている。また、送りスクリュ68の上方には、駆動モータ70が配されて燃料タンク44で支持されており、この駆動モータ70でスクリュ68が回動駆動されるようになっている。
【0038】
而して、送りスクリュ68が回転作動せしめられることにより、燃料タンク44に収容されて供給口64の近くに位置せしめられたおが屑19に対して送りスクリュ68による送り力が作用せしめられて、おが屑19が供給口64内に強制的に送り込まれるようになっている。
【0039】
なお、送りスクリュ68を駆動する駆動モータ70は、図示しないサイクルスイッチ等によって、適当な時間間隔で間欠的に作動せしめられることが望ましく、それによって、少量の送り量でも、駆動モータ70による強制的な送り力をおが屑19に対して有効に及ぼすことが出来る。
【0040】
更にまた、送りスクリュ68には、その上端側に蓋部材としてのシール蓋72が固設されている。このシール蓋72は、送りスクリュ68の駆動中心軸から軸直角方向に広がって形成されており、燃料タンク44の底壁46に設けられた供給口64を覆蓋せしめるに充分な大きさを有している。加えて、送りスクリュ68の駆動中心軸には、エア式又は油圧式のシリンダ機構74が接続されており、このシリンダ機構74で軸方向に昇降駆動せしめられるようになっている。
【0041】
そして、正常な運転状態下では、図1に示されているように、送りスクリュ68を上側移動端に位置せしめて、上述の如く、送りスクリュ68の先端部分だけを供給口64に入り込ませた状態で、送りスクリュ68を回転駆動せしめて、燃料タンク44のおが屑を供給口64から投入パイプ42に送り込むようにされる。かかる状態下においてシール蓋72は、供給口64から上方に充分に離隔して位置せしめられる。
【0042】
一方、ガス発生装置10に何等かの異常が発生した場合には、シリンダ機構74を作動させて送りスクリュ68を下方に駆動することにより、図2に示されているように、送りスクリュ68を投入パイプ42内に差し入れて、その上端部に固着されたシール蓋72を、燃料タンク44の底壁46における供給口64の開口部分に押し付ける。これによって、かかる供給口64が、シール蓋72で略気密に覆蓋されて、投入パイプ42が遮断されるようになっている。
【0043】
なお、シール蓋72の下降作動は、シール蓋72に対するおが屑19の接触抵抗を軽減するために、送りスクリュ68を中心軸回りに回動させつつ行うことが望ましい。また、図示されているように、シール蓋72を、下方に向かって小径化する逆円錐台形状とすることも、下降時の抵抗軽減に望ましい。
【0044】
さらに、本実施形態のガス発生装置10は、操業状態の異常を検出するための監視手段76と、かかる監視手段76で異常が検出された場合には、直ちにシール蓋72を下降させて投入パイプ42を遮断する制御手段78を備えている。
【0045】
監視手段76は、処理室18の適当な部位における温度を検出する温度センサ80と、処理室18の圧力を検出する圧力センサ82と、処理室18内の反応状況を検出するO2 センサ等のガス濃度センサ84と、炉外に設置されて処理室18からのガス漏れを検出するCOセンサ等のガス漏れセンサ86を含んで構成されている。これら各センサ80,82,84,86の検出信号が、制御手段78に入力され、該制御手段78において、予め設定された許容範囲に各検出信号が入っているか否かを判断するようになっている。
【0046】
そして、何れかのセンサ80,82,84,86の検出信号が許容範囲から外れていた場合には、何等かの異常が発生したものと判断し、シール蓋72のシリンダ機構74に駆動信号を送って、シール蓋72を下降させて投入パイプ42を遮断するようになっている。
【0047】
上述の如き構造とされたガス発生装置10による、おが屑19の熱分解処理は、以下のようにして実行される。即ち、燃料タンク44に貯留されたおが屑19は、投入パイプ42を通じて落下して炉体12内の処理室18に供給される。処理室18では、投入パイプ42の下端開口を覆蓋する程の高さで均衡するまで、おが屑19が堆積せしめられ、この堆積物の最下部に着火される。そして、ガス吸引ファン40の吸引によって処理室18の下部のエア供給管24から空気が処理室18に吸い込まれてロストル20からおが屑19の堆積物内を空気が上昇すると、おが屑19は酸化燃焼して処理室18の下部炉心に赤熱部を生ずる。そして、投入パイプ42を通じておが屑19の堆積物の上方におが屑19を連続的に供給することにより、処理室18に堆積せしめられたおが屑19が、つぎつぎと酸化・還元(熱分解)されて発生炉ガス(可燃性有用ガス)とタール分を生成する。また、生成した高温の発生炉ガスとタール分は、その上昇過程で充満している比較的低温のおが屑19によって熱交換と濾過を施される。そして、処理室18の上部からガス取出管36を通じて、発生炉ガスを吸引して取り出し、サイクロン38等で除塵やタール分離を行って清浄化処理を施すことにより、目的とする有効ガスを取り出すようにする。
【0048】
そこにおいて、上述の如き構造とされた本実施形態のガス発生装置10においては、投入パイプ42の燃料タンク44への開口部64に送りスクリュ68が配設されており、この送りスクリュ68で連続的に若しくは間欠的に、おが屑19が投入パイプ42に送り込まれるようになっていることから、最も詰まり易い投入パイプ42の上端開口部付近における詰まりが、略完全に回避され得るのである。
【0049】
しかも、投入パイプ42は、下方に向かって次第に拡開するテーパを付した円筒形の内周面形状をもって形成されており、下方に行くに従って単位長さ当たりの容積が大きくなって圧力(即ち、締まり)が軽減されるようになっていることから、上端部で詰まりが発生しなければ、下方での詰まりが発生するようなこともない。
【0050】
従って、燃料タンク44から炉体12の処理室18に対して、おが屑19が、投入パイプ42を通じて、極めて安定してスムーズに送り込まれ得るのであり、投入パイプ42の詰まりに起因する異常発生が略完全に防止され得て、安定した操業を安全に行うことが可能となるのである。
【0051】
しかも、本実施形態のガス発生装置10においては、炉の操業状態を自動で監視すると共に、異常に対して自動で対処する監視・制御手段76,78が採用されていることから、監視労力が軽減されると共に、安全性の更なる向上が図られ得るのである。
【0052】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載および以下の実施例の記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0053】
例えば、前記実施形態では、本発明を、おが屑を燃料としたバイオマス変換式ガス発生装置に適用したものの一具体例を示したが、その他、例えば、豆腐製造に伴って発生する「おから」や、コーヒー豆カス,藁屑,乾燥海苔,藻類小片等、或いはそれらの混合物などの各種の植物燃料を利用したバイオマス変換式の各種ガス発生装置に、本発明を適用することが可能である。
【0054】
また、各種センサによる監視手段76で操業に異常が発生した場合には、シール蓋72で投入パイプ42を遮断する他、例えば警報を発したり、不活性ガスで処理室18を充満させるなど、他の安全手段を併せて講ずるようにしても良い。具体的には、例えば、開閉バルブを介して予め炉内に接続した窒素ガスや炭酸ガスのボンベから、異常が発生した場合に開閉バルブを自動的に開いて、それら不活性ガスを処理室18に導くようにするガス導入手段が好適に採用される。
【0055】
更にまた、前記実施形態における燃料タンク44の底壁46と炉体12の上壁16の間の空間には、例えば断熱材を配設することなども有効である。
【0056】
【実施例】
前記実施形態における投入パイプ(42)において、テーパ比を含む好適な形状を求めるために実験を行った。かかる実験の結果を、以下に実施例として示す。
【0057】
先ず、比較例として、下記〔表1〕に示されている如き各種寸法のストレートな円筒直管を準備した。また、実施例として、下記〔表2〕に示されている如き各種寸法のテーパ付き円筒管を準備した。なお、〔表2〕に示される各部位の寸法は、図4に図示された各部位に対応する。
【0058】
〔表1〕比較例(円筒直管)
【表1】
【0059】
〔表2〕実施例(テーパ管)
【表2】
【0060】
そして、これら3種類の比較例(直管)と2種類の実施例(テーパ管)について、それぞれ、以下の如き手法に従う「摩擦力の評価」と「流動性の評価」を、実施した。その結果を、下記〔表3〕に併せ示す。
【0061】
「摩擦力の評価方法」
投入パイプをはかりの上部に固定し、適当なおが屑を各種の締め力(詰め込み力)で充填させる。そして、はかりを用いて下向きにおが屑の押す力を測定する。その後、はかりに、パイプ内のおが屑を排出したものを載せ、おが屑質量を計測する。
【0062】
「流動性の評価方法」
図5に概略構造を示す1/2縮尺の炉モデル88を製作して用い、燃焼分に相当するおが屑98を炉モデル下部の孔90から取り出し、燃料タンク92から投入パイプ94を通して炉体96内に供給されるおが屑98の流れを観察した。
【0063】
【表3】
【0064】
表3からも明らかなように、先ず、摩擦力の評価の結果から、下面を押す力は直管の投入パイプに比してテーパ管の投入パイプで大きくなることを確認した。また、流動性の評価では、直管の投入パイプでは、パイプ上部での詰まりが時々発生した。この詰まり解消のために棒で上端開口から突く操作を行うと詰まりはほぼ解消できた。しかし、パイプ内のおが屑が締まっている場合には、棒を挿通した部分に小さな穴があくだけで、詰まりは解消できなかった。一方、テーパ管の投入パイプの場合、パイプのテーパ比を大きく変化させていって状態を調べたところ、管体番号:5の管体では、流動性確認で全く詰まりは発生しなかった。また、パイプ内におが屑を硬く締め付けて充填して流動性を確認した場合でも、何れのテーパ角のテーパ管においても、上端のストレート部分(l=115mmの部分)を除いて、全く詰まりは発生しなかった。このことから、バイオマス変換式ガス発生装置においてテーパ管を投入パイプに採用することの顕著な技術的意義が明確である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのガス発生装置の概略構造を示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示されたガス発生装置における燃料タンクの説明図であって、図3におけるII−II断面に相当する図である。
【図3】図1に示されたガス発生装置における別の作動状態を示す要部説明図である。
【図4】実施例において採用したテーパ管の形状を説明するための正面図である。
【図5】実施例において採用した炉モデルの全体概略構造を説明するための正面図である。
【符号の説明】
10 ガス発生装置
12 炉体
18 処理室
19 おが屑
24 エア供給管
28 圧力放出装置
36 ガス取出管
42 投入パイプ
44 燃料タンク
57 攪拌羽根
Claims (4)
- 略鉛直方向に延びる投入パイプを炉体の上壁を貫通して配設せしめて、該投入パイプの上端を該炉体の上方に設置した燃料タンク内に開口させる一方、該投入パイプの下端を該炉体の内部に開口させることにより、該燃料タンクに貯えた草木類や藻類などの植物燃料を該投入パイプを通じて該炉体の内部に供給するようにしたバイオマス変換式ガス発生装置において、
前記投入パイプの内径寸法を軸方向で変化させて、該投入パイプの内周面を鉛直下方に向かって拡開するテーパ付き円筒形状として、
前記投入パイプの上端の開口側に位置して、略鉛直方向に延びる中心軸回りで回動せしめられる送りスクリュを配設し、該送りスクリュの回動によって前記燃料タンク内の前記植物燃料を該投入パイプに送り込むようにして、更に、
前記投入パイプを遮断せしめ得るパイプ遮断手段を設けると共に、
前記投入パイプの上端の開口部に対して接近/離隔可能に配設されて、該開口部に重ね合わせられることにより該開口部を覆蓋して該投入パイプを遮断する蓋部材によって、前記パイプ遮断手段を構成して、
前記蓋部材を、前記送りスクリュの軸方向上端部分で軸直角方向外方に広がるように装着すると共に、該送りスクリュを該蓋部材と共に軸方向下方に駆動変位せしめて、該蓋部材により前記投入パイプの上端の開口部を覆蓋せしめる蓋駆動手段を設けたことを特徴とするバイオマス変換式ガス発生装置。 - 前記炉体の内部の圧力,温度およびガス濃度の少なくとも一つを検出するセンサを設けて、かかるセンサの検出信号の値が予め設定された許容範囲を外れた場合に前記パイプ遮断手段により前記投入パイプを遮断する遮断制御手段を設けた請求項1に記載のバイオマス変換式ガス発生装置。
- 前記センサの検出信号の値が予め設定された許容範囲を外れた場合に、窒素ガス及び/又は炭酸ガスを前記炉体の内部に導入するガス導入手段を設けた請求項2に記載のバイオマス変換式ガス発生装置。
- 前記燃料タンクの底面を円板状として、該底面の外周部分に前記投入パイプの上端を開口位置せしめると共に、該燃料タンクの略中心軸回りに回動せしめられる攪拌羽根を、前記送りスクリュと干渉しない状態で該燃料タンク内に配設し、該攪拌羽根の回動作動によって該燃料タンク内の前記植物燃料を外周側に押し広げるようにした請求項1乃至3の何れかに記載のバイオマス変換式ガス発生装置。
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