JP3957557B2 - インバータ装置および系統連系発電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光等をエネルギー源として発電した直流電力を商用電力として出力するための変換を行うインバータ装置およびこのインバータ装置を用いた系統連系発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、太陽エネルギーを利用した太陽光発電装置が普及しつつある。この太陽光発電装置は、太陽光による発電電力を自家使用するのみでなく、余剰電力を商用電力として供給することにより、効率的な電力利用を図るようにしている。
【0003】
このような太陽光発電装置等の直流電力を発生する系統連系発電装置では、発電した直流電力をインバータ装置によって交流電力に変換し、商用電力として供給することとなる。
【0004】
この場合において、系統連系発電装置では、常に商用電力を監視し、インバータ装置から供給する交流電力と商用電力の整合を図るようにしている。
【0005】
一方、系統連系発電装置では、商用電力を監視するための各種の整定値が設定されており、この整定値に基づいて商用電力を監視し、停電や商用電力の電圧異常等が発生したときには、発電電力の出力を停止するようになっている。
【0006】
一方、太陽光発電装置では、太陽光を受光して発電するため、天候や時間に応じて発電電力が変化する。このため、太陽光発電装置では、発電電力に応じた電力を商用電力に応じた電力として出力する。
【0007】
このため、太陽光発電装置では、単相3線方式の100[V]系の2相(R相およびT相)について電圧監視用トランスをそれぞれ設け、R相およびT相の電圧をそれぞれ別個に監視していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、系統連系発電装置の設置時において、R相配線(R端子−O端子間配線)あるいはT相配線(T端子−O端子間配線)をR−T間で誤接続してしまった場合には、R−T間で接続してしまった側の電圧監視用トランスに200[V]印加されることとなり、当該電圧監視用トランスが破損してしまう可能性があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、誤接続された電圧監視装置(例えば、電圧監視用トランス)の破損を防止することが可能なインバータ装置および系統連系発電装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、系統連系発電装置に用いられるインバータ装置は、単相3線方式の商用電力ラインを構成する中性線および二つの電力線のうち、前記中性線といずれか一方の前記電力線とに一次巻線側が接続される第1の電圧検出用トランスと、前記中性線といずれか他方の前記電力線とに一次巻線側が接続される第2の電圧検出用トランスと、前記商用電力ラインに接続され、外部の発電装置から供給された直流電力を商用電力に整合させた電力に変換して前記商用電力ラインを介して出力するインバータ回路と、前記第1の電圧検出用トランスの一次巻線に接続され、前記第1の電圧検出用トランスの二次側出力を介して監視している電圧が所定の電圧を超えた場合に、当該第1の電圧検出用トランスの一次巻線を前記中性線と前記一方の電力線とへつなげる両回路を同時に遮断して前記商用電力の前記第1の電圧検出用トランスへの供給を遮断するとともに、前記第1の電圧検出用トランスを前記インバータ回路から切り離す常開接点を有する第1のリレーと、前記第2の電圧検出用トランスの一次巻線に接続され、前記第2の電圧検出用トランスの二次側出力を介して監視している電圧が所定の電圧を超えた場合に、当該第2の電圧検出用トランスの一次巻線を前記中性線と前記他方の電力線とへつなげる両回路を同時に遮断して前記商用電力の前記第2の電圧検出用トランスへの供給を遮断するとともに、前記第2の電圧検出用トランスを前記インバータ回路から切り離す常開接点を有する第2のリレーと、を備えたことを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、第1の電圧検出用トランスは、二次側出力を用いて中性線といずれか一方の電力線とに接続された一次側の電圧を監視する。
また、第2の電圧検出用トランスは、二次側出力を用いて中性線といずれか他方の電力線とに接続された一次側の電圧を監視する。
【0012】
これに伴い、第1、第2のリレーは、第1、第2の電圧検出用トランスの二次側出力を介して監視している電圧が所定の電圧を超えた場合に、常開接点を開状態として、該当する電圧検出用トランスの一次巻線を中性線といずれか一方の電力線とへつなげる両回路を同時に遮断して商用電力の該当する電圧検出用トランスへの供給を遮断する。さらに第1、第2のリレーは、該当する電圧検出用トランスをインバータ回路から切り離す。
【0018】
上記構成によれば、通常動作時には、直流電力発生装置は、直流電力を発生し、インバータ装置のインバータ回路は、発生された直流電力を商用電力に整合させた電力に変換して商用電力ラインを介して出力する。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、実施形態のインバータ装置を備えた空気調和システムの概要構成図である。
【0026】
空気調和システム10は、大別すると、ソーラーパネル11、室内ユニット12、室外ユニット13、リモコンユニット14、商用電源供給ユニット15、分電盤16、電力積算計17を備えている。
【0027】
ソーラーパネル11は、太陽光を吸収して電気エネルギーに変換し直流電力を発生する直流電力発生装置として機能している。
【0028】
室内ユニット12および室外ユニット13は、空気調和装置20を構成しており、リモコンユニット14から送出される操作信号(例えば赤外線を用いた信号)を室内ユニット12によって受信し、受信した操作信号に応じて各種運転モードによる空気調和運転及び停止を行うようになっている。
【0029】
商用電源供給ユニット15は、単相200Vの電灯電力を出力するようになっている。
【0030】
分電盤16は、電力積算計17を介して商用電源18に接続されており、空気調和システム10に商用電源の電力(以下、商用電力という。)を供給する。より詳細には、分電盤16には、単相3線100V/200Vの商用電力(いわゆる電灯電力)が供給されるようになっている。
【0031】
電力積算計17は、商用電力の使用量を積算する買電メータと、商用電源側に供給した電力を積算する売電メータを備えている。
【0032】
そして、空気調和装置20は、分電盤16から供給される商用電力によって運転され、空気調和装置20を含む各種装置の電力使用量が買電メータに積算される。また、商用電源供給ユニット15は、ソーラーパネル11による発電電力を商用電力として分電盤16を介して出力する所謂売電を行うようになっており、出力される電力量が売電メータに積算されるようになっている。このの場合において、分電盤16に接続されている負荷量とソーラーパネル11の発電量の差分により買電メータあるいは売電メータのいずれかのメータが積算される。より詳細には、分電盤16に接続されている負荷量がソーラーパネルの発電量未満である場合には、売電メータが積算される。一方、分電盤16に接続されている負荷量がソーラーパネルの発電量を超過している場合には、買電メータが積算される。
【0033】
この場合において、空気調和装置20と、商用電源供給ユニット15は、分電盤16に別々に接続されるとともに、分電盤16は、電力積算計17を介して商用電源18に接続されているので、夜間等において、商用電源供給ユニット15が動作を停止しているときでも、室内ユニット12および室外ユニット13は、空気調和運転が可能となっている。
【0034】
図2は、商用電源供給ユニットの概要構成図である。
【0035】
ソーラパネル11は、例えば複数のモジュールを枠にセットし、建物の屋根等の太陽光に照らされる場所に設置され、太陽光を吸収して直流電力を発生する。
【0036】
商用電源供給ユニット15は、マイクロコンピュータを備えたコントローラ20が設けられている。このコントローラ20には、内蔵した図示しないIGBT駆動回路を介してインバータ装置15が接続されている。
【0037】
インバータ装置15は、電解コンデンサ21を有し、ソーラパネル11によって発電された電力(直流電力)が昇圧回路22を介して昇圧された後、電解コンデンサ21に蓄えられるようになっている。
【0038】
昇圧回路22は、昇圧用コンデンサ22A、昇圧用リアクトル22B、スイッチングトランジスタ22Cおよび逆流防止ダイオード22Dを備えている。
【0039】
また、インバータ装置15は、インバータ回路23を備えており、このインバータ回路23は、コントローラ20内のIGBT駆動回路から供給されるスイッチング信号に応じて、ソーラパネル11から供給される直流電力を、商用電源と同じ周波数(例えば50Hz又は60Hz)の交流電力に変換する。本実施形態におけるインバータ回路23の出力は、例えばノコギリ状波となっている。
【0040】
インバータ回路23で交流に変換された電力は、コンデンサ24及び平滑用リアクトル25、26、スイッチ27、28(解列コンダクタ)を介して分電盤16のR端子およびT端子へ供給され、分電盤16から商用電力として出力されることとなる(売電状態)。
【0041】
このとき、インバータ回路23から出力された交流電力は、コンデンサ24及び平滑用リアクトル25、26を通過することにより、ノコギリ状波から正弦波の交流電力として出力される。
【0042】
一方、コントローラ20には、T相系統電圧検出/遮断回路31及びR相系統電圧検出/遮断回路32が接続されている。
【0043】
T相系統電圧検出/遮断回路31は、リレー31Aおよび電圧検出用トランス31Bを有し、T相配線(分電盤16のT端子−O端子間配線)あるいはT相配線として接続されている配線の商用電力の電圧を電圧検出用トランス31Bにより検出して、コントローラ20側に通知するとともに、コントローラ20の制御下で、リレー31Aが商用電力ラインを構成する分電盤16からの商用電力の供給を遮断する(あるいは、分電盤16から電気的に切り離す)。
【0044】
R相系統電圧検出/遮断回路32は、リレー32Aおよび電圧検出用トランス32Bを有し、R相配線(分電盤16のR端子−O端子間配線)あるいはR相配線として接続されている配線の商用電力の電圧を電圧検出用トランス32Bにより検出して、コントローラ20側に通知するとともに、コントローラ20の制御下で、リレー32Aが商用電力ラインを構成する分電盤16からの商用電力の供給を遮断する(あるいは、分電盤16から電気的に切り離す)。
【0045】
ここで、T相系統電圧検出/遮断回路31およびR相系統電圧検出/遮断回路32周辺の動作について説明する。
【0046】
まず、空気調和システム10の設置時において、R相配線(R端子−O端子間配線)あるいはT相配線(T端子−O端子間配線)をR−T間で誤接続してしまった場合の動作を説明する。以下の説明においては、R相配線(R端子−O端子間配線)側をR−T間で接続してしまった場合を例として説明する。
【0047】
この場合には、R相配線側に接続されているR相系統電圧検出/遮断回路32の電圧監視用トランス32Bに200[V]が印加されることとなる。
【0048】
そこで、コントローラ20は、R相配線側に許容電圧(例えば、115[V])以上の電圧が印加されていることを瞬時に検出し、リレー32Aを制御して分電盤16を電圧監視用トランス32Bから電気的に切り離すことにより、分電盤16からの商用電力の電圧監視用トランス32Bへの供給を遮断する。
【0049】
この結果、電圧監視用トランス32Bの負荷が過大となることがないので、電圧監視用トランス32Bが破損してしまうことがない。
【0050】
同様に、T相配線(T端子−O端子間配線)側をR−T間で接続してしまった場合も、コントローラ20がリレー31Aを制御して分電盤16を電圧監視用トランス32Bから電気的に切り離すことにより、分電盤16からの商用電力の電圧監視用トランス31Bへの供給を遮断するので、電圧監視用トランス31Bが破損してしまうことがない。
【0051】
その後、コントローラ20は、R相配線(R端子−O端子間配線)あるいはT相配線(T端子−O端子間配線)をR−T間で誤接続されている旨を設置者に対して通知することとなる。
【0052】
次に、空気調和システム10の設置時あるいは設置後において、R相配線(R端子−O端子間配線)あるいはT相配線(T端子−O端子間配線)が正常に接続されている場合の動作を説明する。
【0053】
この場合には、R相配線側に接続されているR相系統電圧検出/遮断回路32の電圧監視用トランス32Bに100[V]が印加されることとなる。
【0054】
従って、コントローラ20は、図示しないゼロクロス検出回路、T相系統電圧検出/遮断回路31及びR相系統電圧検出/遮断回路32の出力に基づいて、分電盤16から供給される商用電力の電圧、位相を検出し、この検出結果に基づいてIGBT駆動回路を制御し、インバータ回路23の出力が商用電源と略同じ電圧で、かつ周波数及び位相が一致するようにスイッチング信号を発生させる。なお、インバータ回路23から出力される交流電力は、電圧が商用電源の電圧より僅かに高めで略一致するようにしており、これによって、インバータ回路23から商用電力として出力されるようにしている。
【0055】
また、コントローラ20は、図示しない発電電流検出回路及び発電電圧検出回路の検出結果からソーラパネル11が発電状態であるか否かの判定およびソーラパネル11で発電されている電力(発電電力)および出力電力を計測する。
【0056】
以上の説明のように、本実施形態によれば、R相配線(R端子−O端子間配線)あるいはT相配線(T端子−O端子間配線)をR−T間で誤接続してしまった場合でも、電圧監視用トランス31Bあるいは電圧監視用トランス32Bに200[V]が電圧監視用トランス31B、32Bを破損するほど長時間印加されることがなく、当該電圧監視用トランス31B、32Bの破損を防止することが可能となる。
【0057】
以上の説明においては、系統連系発電装置として太陽光を用いてソーラーパネルにより発電した電力を商用電力として出力する場合について太陽光発電装置を有する空気調和システムを例として説明したが、単独で設置される太陽光発電装置に適用しても良い。また、太陽光発電装置に限らず燃料電池発電装置、ガスエンジン発電装置、熱発電装置など任意の直流発電装置を有する系統連系発電装置に適用することができる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、インバータ装置の第1、第2のリレーは、第1、第2の電圧検出用トランスの二次側出力を介して監視している電圧が所定の電圧を超えた場合に、常開接点を開状態として、該当する電圧検出用トランスだけを商用電力ラインおよびインバータ回路から切り離して、その破損を防止することができる。特に第1、第2の電圧検出用トランスが誤接続により両電力線に接続された場合でも、該当する電圧検出用トランスを商用電力ラインおよびインバータ回路から切り離して、その破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に適用した系統連系発電装置が接続されたエアコンの概略構成図である。
【図2】商用電源供給ユニット15の概要構成図である。
【符号の説明】
10 空気調和システム
11 ソーラーパネル
12 室内ユニット
13 室外ユニット
14 リモコンユニット
15 商用電源供給ユニット
16 分電盤
17 電力積算計
20 コントローラ(電圧監視部)
23 インバータ回路
31 T相系統電圧検出/遮断回路(電圧遮断部、電圧監視部)
31A リレー(電圧遮断部)
31B 電圧検出用トランス(電圧監視部)
32 R相系統電圧検出/遮断回路(電圧遮断部、電圧監視部)
32A リレー(電圧遮断部)
32B 電圧検出用トランス(電圧監視部)
Claims (1)
- 系統連系発電装置に用いられるインバータ装置において、
単相3線方式の商用電力ラインを構成する中性線および二つの電力線のうち、前記中性線といずれか一方の前記電力線とに一次巻線側が接続される第1の電圧検出用トランスと、
前記中性線といずれか他方の前記電力線とに一次巻線側が接続される第2の電圧検出用トランスと、
前記商用電力ラインに接続され、外部の発電装置から供給された直流電力を商用電力に整合させた電力に変換して前記商用電力ラインを介して出力するインバータ回路と、
前記第1の電圧検出用トランスの一次巻線に接続され、前記第1の電圧検出用トランスの二次側出力を介して監視している電圧が所定の電圧を超えた場合に、当該第1の電圧検出用トランスの一次巻線を前記中性線と前記一方の電力線とへつなげる両回路を同時に遮断して前記商用電力の前記第1の電圧検出用トランスへの供給を遮断するとともに、前記第1の電圧検出用トランスを前記インバータ回路から切り離す常開接点を有する第1のリレーと、
前記第2の電圧検出用トランスの一次巻線に接続され、前記第2の電圧検出用トランスの二次側出力を介して監視している電圧が所定の電圧を超えた場合に、当該第2の電圧検出用トランスの一次巻線を前記中性線と前記他方の電力線とへつなげる両回路を同時に遮断して前記商用電力の前記第2の電圧検出用トランスへの供給を遮断するとともに、前記第2の電圧検出用トランスを前記インバータ回路から切り離す常開接点を有する第2のリレーと、
を備えたことを特徴とするインバータ装置。
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