JP3953322B2 - 眼球の前部水晶体嚢を可視化するためのトリパンブルーの使用 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は治療方法、組成物及び使用、特に白内障治療のような、眼球に関連する治療方法、組成物及び使用に関する。
【0002】
発明の背景
白内障はすべての人種グループの人を冒す、例外的に普遍的な状態である。白内障は視力の損失を引き起こす。本質的には、白内障は、眼球の焦点システムでの最重要構成要素である水晶体の混濁である。水晶体の混濁の程度は、水晶体全体に影響するものからほんの一部に影響するものまでいろいろである。混濁した領域は網膜への光の通過を妨害または遅延する。物体を視覚化する能力に影響を与えることとは別に、白内障は光を散乱するので、日光や明るい光から不快を生じさせる、すなわち眩光である。白内障はまた犬や猫のような動物をも冒す。
【0003】
白内障は老齢に伴っておきるのが最も普通であるが、先天的または遺伝的な奇形、または種々の疾患またはある種の薬にともなっておきることもある。白内障は視力減少(眼鏡では矯正できない)のもっとも普通の原因であるが、手術によってもっとも成功裡に治療できる疾患でもある。
【0004】
白内障の標準的な治療は水晶体の実質の除去および白内障のヒト水晶体を眼球内レンズに取り替えることである。眼球内レンズは除去された白内障水晶体のかわりに眼球に挿入され、視力を維持したり、しばしば通常の水準に視力を保持する。
【0005】
白内障治療の技術は水晶体超音波吸引手術によって進歩した。これは水晶体カプセルに近づくための非常に小さい角膜縁(corneo-limbal)切開を含み、水晶体カプセル中に切開を作って水晶体の実質(皮質と核)に近づき、灌注とともに超音波と吸引によって水晶体を除去する。カプセル(水晶体を囲む基部の膜)とその付属物、及び水晶体を毛様体からつるしている小管は、前部嚢切開以外おおむね無傷のままである。前部嚢切開は水晶体がそれから除去されその代替物が挿入される切開である。この内部眼球構造(すなわちカプセルと小管)の保存は、眼球内レンズが不可欠な構造に当たらないように(角度によってまたは虹彩で支持される眼球内レンズでおきるような)眼球内レンズを移植する機構を供給し、それによって、ブドウ膜炎、緑内障及び角膜機能不全のような慢性的な合併症をさけることができる。
【0006】
水晶体超音波吸引手術の間前部水晶体嚢は水晶体実質が除去できるような丸い開口部を形成するように破られる(連続的な曲線てきな嚢切開(curvilinear capsulorhexis))。これは伸長された時でも破裂に抵抗する丈夫な嚢のふちを生じる‐一般的には手術中の安全性を高める。嚢外手術ではいわゆる缶きり嚢切開が行われるが、嚢の不規則な端が放射状の嚢伸長破裂をおこしやすく、これはガラス体の損失又は水晶体のガラス体への損失を引き起こすことがある。これらの好ましくないできごとはしばしば最適以下の結果および合併症を引き起こす。さらに眼球内レンズの挿入後水晶体嚢繊維症が眼球内レンズの分散(結果乱視とレンズのふちが引き起こす眩光をともなう)を招くことがある。しかしこれは嚢袋内で生じる力がより対称的なので嚢切開(capsulorhexis)後にはそれほどしばしば起きない。したがって嚢切開はよい手術結果をもたらすのに重要なステップである。
【0007】
嚢、特に前部水晶体嚢、の可視化は嚢切開の手順において重大である。嚢切開は一般的には赤色反射の存在下で行われる。そうすると光は網膜で反射され赤い背景にたいして前部嚢をハイライトする。極度の白内障の患者(成人で通常白人、または非常に極度)では、赤色反射を見るのが困難か、全く存在しないので、嚢切開はむずかしい。これらのケースでは、固有の不十分性及び困難がともなう電気嚢外手術が通常行われる。嚢切開は角膜の混濁(傷のような)、またはガラス体の出血(たとえば糖尿病の患者に時々見られる)のようなガラス体の混濁がある場合もむずかしい。
【0008】
極度の白内障または前部水晶体嚢がどんな理由にせよ可視化できない状態の患者において、嚢切開の成功率を改善するために種々のアプローチがなされた。これらは次のことを含む:
1.嚢が良く見えるように、高倍率を使用する、手術室の照明を暗くし、繊維光学光源による側面からの照明を使用する。
これらの手順は不細工で、高価で特に有効ではない。
2.染料、特にフルオレセイン、を使用して、嚢を染色し、染色されない、下に存在する不透明な水晶体繊維にたいしてハイライトされるようにする。このような染料は眼の中で使用するのはむずかしい、というのは染料は水晶体や角膜中に迅速に拡散し、可視化を最適にするために、手術用顕微鏡に適当なフィルターをはめなければならない。染料の潜在的毒性の問題も生じる。
3.患者自身の血で嚢がカラリングされる。
4.高周波切断装置のような専門的な切断技術の開発。これは高価な追加の器具を要し、前部水晶体嚢に、標準的な嚢切開に比べて強度が劣る丸い穴を生じることがわかっている。
これらのどの技術も広範に使用されるにいたっていない。
前部水晶体嚢をただちに可視化することを可能にする方法、組成物及び使用の明らかな手段が残る。すなわち白内障の除去と眼球内レンズとの取り替えを安全、効率的及び経済的にできるように、嚢切開を遂行することである。
【0009】
発明の要約
本発明は、白内障の除去と眼球内レンズとの取り替えの間、前部水晶体嚢を可視化するための方法、組成物及び使用にかかわる。本発明は生きた生物組織に使われる染料トリパンブルーが他の染料にともなう不利益なしに前部水晶体嚢を染色するのに直ちに使用できるという驚くべき発見にもとづいている。
【0010】
本発明の第一面によれば、白内障の除去と眼球内レンズとの取り替えの手順の間、眼の前部水晶体嚢を可視化するための組成物を製造するにあたりトリパンブルーを使用することが提供される。
【0011】
本発明の他の面によれば、前眼房(anterior chamber)に、眼にとって許容できる媒体に溶解したトリパンブルー溶液を滴下することを含むヒトの前部水晶体嚢を可視化する方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の面によれば、トリパンブルーを前部水晶体嚢に閉じ込めるために前部水晶体嚢に粘弾性のある物質を添加するのにひきつづいて、前眼房にトリパンブルーを導入することを含む前部水晶体嚢を可視化する方法が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の面によれば、異なる粘度の粘弾性物質で眼の前部水晶体嚢を満たすこと、前部水晶体嚢を染色するのに十分な時間粘弾性物質の下に約0.05%‐3% w/w トリパンブルー溶液を含むトリパンブルー溶液を導入すること、過剰なトリパンブルー溶液と粘弾性物質を前眼房から除去すること、前眼房に粘弾性物質を再導入すること及びその後capsulorhexis、水晶体除去及び眼球内レンズでの置換を行うことを含む、capsulorhexisの手順の間前部水晶体嚢を可視化する方法が提供される。
【0014】
さらに別の面では、本発明は粘弾性物質で前眼房を満たすこと、前部水晶体嚢を染色するのに十分な時間粘弾性物質の下に約0.05%‐3% w/w トリパンブルー溶液を含むトリパンブルー溶液を導入すること、過剰なトリパンブルー溶液と粘弾性物質を前眼房から除去すること、前眼房に粘弾性物質を再導入すること及びその後、嚢切開、水晶体除去及び眼球内レンズでの置換を行うことを含む、白内障の治療方法に関連している。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は特に白内障に冒された水晶体の置換において、方法、組成物及び使用においてトリパンブルーを利用する。驚くべきことに、トリパンブルーは選択的に前部水晶体嚢を染色し、これが白内障手術で使用される手術用顕微鏡の標準的な照明システムを使用するだけで検知され得るという事実によって、前部水晶体嚢の可視化を特異的に可能にするということが見出された。さらに述べれば、ルーティンケースでのように、簡単に可視化された前部嚢は嚢切開(capsulorhexis)に供され、それから水晶体抽出に進み得る。
【0016】
本発明の第一面によれば、白内障の除去と眼球内レンズとの取り替えの手順の間、眼の前部水晶体嚢を可視化するための組成物を製造するにあたりトリパンブルーを使用することが提供される。白内障の水晶体はヒトの水晶体でも、家庭内の動物のような動物の水晶体でもよい。組成物は好ましくは2部の組成物として供される。 第1部はトリパンブルー粉末を含み、第2部は眼にとって許容できる溶液を含む。そしてトリパンブルーが溶液と混合されて眼に滴下するための組成物を与える。
【0017】
トリパンブルーは長年医学的応用に使用されてきた、広く市販されている染料である。FDAにもインビボ及びインビトロ使用の両方について認可されている。トリパンブルーは好ましくは使用にあたって新しく製造される。これは1つの部屋には乾燥トリパンブルー(粉末形態で)を、他の部屋には眼にとって許容できる溶液を含む2つの部屋単位、たとえばゴムのストッパーのような開けられるバリヤー手段によって分離され、バリヤー手段を開けた後混合されて眼にとって許容できる組成物が製造されるような2つの部屋単位、によって簡便に行うことができる。この組成物は前眼房に導入されて、前部水晶体嚢を染色し、引き続きそれを可視化する。別の選択肢としてトリパンブルー溶液が用意されてもよい。一般的にはトリパンブルー溶液はトリパンブルーを0.05% - 3% w/w、好ましくは0.1% - 1.5% w/w、さらに好ましくは0.1% w/wの量で含む。
【0018】
通常の方法によってトリパンブルーを0.05% - 3% w/w含むような、眼にとって許容できる担体中のトリパンブルー組成物が製造され得る。このような溶液は、たとえば医学的使用のための溶液貯蔵の確立された手順にしたがって、貯蔵され得る。組成物は一般的には等張である。眼に導入するためには溶液は無菌で、緩衝されており、粒状物質があってはならない。好ましい溶液はw/w生理食塩溶液である。Prince of Whales病院の薬局を使用して発明者は患者に使用する少し前に0.1%トリパンブルー溶液を製造した。無菌状態でトリパンブルーはバランス食塩溶液(Balanced Salt Solution)に溶解され、0.22ミクロンフィルターでろ過された。豚の眼で多数の異なる濃度の染料をテストすることによって、発明者はこの0.1% w/w溶液がコストと成果の観点から好ましい濃度であると結論した。とはいえ約0.05% - 3% w/wの量のトリパンブルー溶液も使用し得る。
【0019】
「組成物」という言葉はここでは2つの意味で使用されている。最初は第1部としてトリパンブルー粉末を、第2部として眼にとって許容できる溶液を含む、2部の組成物を記述するものである。それぞれの部分は開けられるバリヤー手段によって分離されている。他の意味では「組成物」はトリパンブルー粉末を眼にとって許容できる溶液と混合して得られる、眼に滴下するための溶液を記述するのに使用される。
【0020】
本発明の他の面によれば、前眼房(anterior chamber)に、眼にとって許容できる媒体に溶解したトリパンブルー溶液を滴下することを含むヒトの前部水晶体嚢を可視化する方法が提供される。
【0021】
本発明の他の面は、トリパンブルーを前眼房に導入し、続いて粘弾性物質を前眼房に添加することからなる前部水晶体嚢の視覚化方法を提供することにある。トリパンブルーを前部水晶体嚢の視覚化に使用するには、角膜白斑の角膜縁を切開し、それを通してプローブが導入できるようにして、眼の前部カプセルにトリパンブルーを導入する。トリパンブルー溶液は通常は0.05%w/wから3%w/wのトリパンブルーからなる。角膜縁の適切な小切開を行った後、プローブを用いて粘弾性物質を前眼房に導入し、処置中に前眼房を虚脱させないようにし、水晶体嚢に近づきやすいようにする。トリパンブルー溶液をプローブを用いて粘弾性層の底部に導入し、そこで前部レンズカプセルの染色が行われる。結合しなかったトリパンブルーを除去し、ついで粘弾性物質を除去する。新しい粘弾性物質を前眼房に再導入した後、前部嚢は可視化され、嚢切開、すなわち円形の穴の形成が受けられるようになる。白内障レンズの基本的な水晶体超音波吸引術が行われ、水晶体超音波吸引術による除去の後、眼内レンズのレンズカプセル袋への挿入をおこなう。これにつづいて、粘弾性物質を吸引によって除去し、この処置に用いたプローブを目から取り出す。
【0022】
眼の解剖は充分に確立され、包括的に記載されている。例えば、Duke-
Elder S and Wybar KC.眼科学の方式、視覚系の解剖 第■巻、Henry
Kimpton,London.1961,そして引例によってここに編みこまれているBron、A.G,Tripathi R,Tripathi B. Wolff の眼と眼窩の解剖学、Lippincott-Raven,1998などである。本目的のためには眼は光線レンズへの進入を調節する虹彩によって限定された瞳孔縁を含む。虹彩拡張筋の収縮によって引き起こされる瞳孔の拡張は、瞳孔縁とレンズの上に位置する瞳孔のない部分を意味する。
【0023】
粘弾性物質の性状は本発明においては重要なことではない。好ましい技術として、瞳孔縁にはより粘性のある粘弾性付与剤(Healon GV、ファルマシア&アップジョン社)を用い、瞳孔内にはより粘性の低い粘弾性剤(Healon)を使用すると、中央の前部レンズカプセルからのトリパンブルーの漏出を最小限に抑えることができる(一例として、大量のトリパンブルーが滴下すると後部レンズカプセルを染色し、残りの処置の間視界を曇らせることとなる)。このような組成物は他の眼科の治療や外科手術に関連して広く用いられ、多くの供給業者から眼科用途として充分な等級と純度のものが商業的に市販されている。この種のものにはDuovisc Viscoelastic System(Alcon)、AMO Vitrax(Allergan)、やOcucoat(Storz)を含み、数多くの調製物がある。
本発明の別の面によれば、粘弾性物質で眼の前部水晶体嚢を満たすこと、前部水晶体嚢を染色するのに十分な時間粘弾性物質の下に約0.05%‐3% w/w トリパンブルー溶液を含むトリパンブルー溶液を導入すること、過剰なトリパンブルー溶液と粘弾性物質を前眼房から除去すること、前眼房に粘弾性物質を再導入すること及びその後capsulorhexis、水晶体除去及び眼球内レンズでの置換を行うことを含む、capsulorhexisの手順の間前部水晶体嚢を可視化する方法が提供される。
【0024】
前眼房を空気で満たすことを含むcapsulorhexisプロセスを行うことに関連して、ある種の技術が記述されている。このような技術は空気接触が角膜の内皮細胞の損傷を引き起こし、角膜腫を結果的にもたらすことがあるので、最適以下である。
【0025】
一般に瞳孔はこの発明のプロセスに先立って瞳孔拡大のための周知の薬品によって拡大される。眼を麻酔するには局所及び眼球周囲の麻酔が慣用的に使用される。2つの非常に小さい角膜のふちの切開(corneal-limbal incisions)が眼の片側になされて、本発明のプロセスを遂行するためにプローブが挿入される。この非常に小さい切開をとおして液体導入吸引プローブが、トリパンブルーに先立って粘弾性剤を添加するため及び眼に添加した溶液を除去するために、導入される。Capsulorhexis用の針と水晶体超音波吸引プローブは容易に他の切開から挿入できる。眼球内レンズは、水晶体超音波吸引プローブに使用された切開から容易に挿入できる。切開は一般的に自然に閉じ、縫合は必要ないか又は時に一針縫合する。
【0026】
さらに別の面では、本発明は粘弾性物質で前眼房を満たすこと、前部水晶体嚢を染色するのに十分な時間粘弾性物質の下に約0.05%‐3% w/w トリパンブルー溶液を含むトリパンブルー溶液を導入すること、過剰なトリパンブルー溶液と粘弾性物質を前眼房から除去すること、前眼房に粘弾性物質を再導入すること及びその後capsulorhexis、水晶体除去及び眼球内レンズでの置換を行うことを含む、白内障の治療方法に関連している。
【0027】
本発明はその種々の面でヒトと、たとえば犬と猫のような動物の白内障の水晶体に適用できる。
以下に本発明を実施例で説明するが、本発明は実施例に限られるものではない。
【0028】
実施例1
患者A
この婦人は、法律上盲目で保護(on presentation)されていた。彼女の視覚欠乏(visual deficit)の原因は、成人白内障(mature white cataract)であった。彼女の手術の嚢切開段階(capsulorhexis phase)は、白い水晶体物質に対する水晶体嚢の貧しい可視化のため難しいことは予期された。彼女は、各処方(隔てた数週に行われた)で前部水晶体嚢を染色するためにトリパンブルーが用いられたことを除けば、慣例通りの白内障手術を受けた。瞳孔縁で前眼房にHealon GVを滴下した。Healonは Healon GVのリングの中央に滴下し、従って、それほど粘性ではないHealonが前部水晶体嚢をカバーした。0.1%のトリパンブルーが、Healonの下に注入され、約30秒の間前部嚢との接触を保持した。代表的には最高0.1 mlのトリパンブルー溶液が用いられた。Capsulorhexisは慣例通りに行われ、青色に染色された前部水晶体嚢は、下部にある白内障水晶体物質に対してシャープなコントラストであった。手術の結果は素晴らしく、視力は正常なレベルに回復した。11ヶ月までフォローアップし、その処方からの副作用は現れなかった。
【0029】
患者B
この患者は角膜損傷のため貧しい視覚であった。最終的に角膜の移植が必要であろうけれども、彼女の白内障が視覚欠乏の一因になっていると感じられた。角膜の移植材料に長い待機時間があり、角膜移植手術と同様に白内障手術を同時に行う代わりの本処方の実施行うことは(staging)はより安全であり、白内障手術はトリパンブルーの支援のもとに行われた。トリパンブルーによる染色は、capsulorhexisの遂行において支援するばかりでなく、それは、平坦な前部嚢(残留前部嚢は処置の間青色を保持する)を相対的に不透明な角膜を通して識別でき、それにより目印として行うので、残余の処置をより容易に遂行させた。患者は、安全な白内障摘出(cataract extraction)の後、視覚において顕著に改良された。
【0030】
患者C
この患者は糖尿病の視覚合併症により法律上盲目とされていた。白内障の外に、彼は網膜の疾病と硝子体出血を患っていた。彼の網膜の疾病を治療するために、まず、白内障摘出を行うことが必要であった。硝子体出血は、白内障手術の間、網膜から後ろに反射する光を覆い隠す(赤色の反射)ので、我々はこれが難しいと予想した。また、トリパンブルーは、手術の残りの間、目印を提供するばかりでなく、嚢切開(capsulorhexis)を実行することの両方を支援した。処方は平穏無事に実行され、患者はガラス質網膜(vitreo-retinal)の手術を受けた。
【0031】
すべての嚢切開(capsulorhexis)材料は、組織病理学の診査のために提出された。トリパンブルーは被膜の前部の半分を染色するけれども、水晶体に侵入せず、したがって、染色された嚢及び染色されない下部にある白内障水晶体材料の間にシャープなコントラストを与えることが確認された。
我々は、1999年6月24日現在、31のケースにトリパンブルーを使用した。最も長いフォローアップは11ヶ月であった。トリパンブルーの使用に帰されえる副作用は全く見られなかった。
【0032】
本明細書及び特許請求の範囲をとおして、文脈上特別要求されない限り、用語「なる(comprise)」、又はその変形「comprises」又は「comprising」は、提示したinteger or stepを、個別的であれ集合的であれ、全て含み、また、その他の如何なるinteger or stepを個別的であれ集合的であれ、除外するものではない。
本明細書において、いかなる先行技術の参照はなく、先行技術が共通の一般的な知識一部を成形する認知あるいは如何なる形式の示唆として取るべきでない。
Claims (3)
- 嚢切開処置のあいだ動物(ヒトを除く)の前部水晶体嚢を可視化するための、目にとって許容できる溶媒中に0.05 %(w/w)〜3 %(w/w)のトリパンブルーを含むトリパンブルー溶液の使用であって、
前眼房に空気を満たさずに、前眼房を粘弾性物質で満たし、その粘弾性物質の下に、前部水晶体嚢を染色するのに充分な時間トリパンブルー溶液を導入し、前眼房から過剰のトリパンブルーおよび粘弾性物質を除去し、粘弾性物質を前嚢に再導入し、その後、嚢切開、水晶体除去および眼球内レンズ交換を行うことを含んでなる、上記使用。 - 動物(ヒトを除く)の白内障治療のための、目にとって許容できる溶媒中に0.05 %(w/w)〜3 %(w/w)のトリパンブルーを含むトリパンブルー溶液の使用であって、
前眼房に空気を満たさずに、前眼房を粘弾性物質で満たし、その粘弾性物質の下に、前部水晶体嚢を染色するのに充分な時間トリパンブルー溶液を導入し、前眼房から過剰のトリパンブルーおよび粘弾性物質を除去し、粘弾性物質を前嚢に再導入し、その後、嚢切開、水晶体除去および眼球内レンズ交換を行うことを含んでなる、上記使用。 - 前部水晶体嚢からトリパンブルー溶液が漏れるのを最小限にするために、水晶体嚢上には粘性がより低い粘性物質を、眼の瞳孔縁には粘性のより高い粘性物質を導入することによって粘度の異なる粘弾性物質を眼に導入する、請求項1に記載の使用。
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