JP3952277B2 - 無線通信システム、無線通信装置および方法、並びに、プログラム - Google Patents
無線通信システム、無線通信装置および方法、並びに、プログラム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信システム、移動無線通信装置および方法、固定無線通信装置および方法、並びに、プログラムに関し、特に、同一チャネル干渉に起因するシステムパフォーマンスの劣化を低減させ、かつ、周波数利用効率のよい無線通信を行うことができるようにした無線通信システム、移動無線通信装置および方法、固定無線通信装置および方法、並びに、プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
TDMA(Time Division Multiple Access)方式等により多元接続を行う無線通信システムにおいて、複数の固定無線通信装置(以下、基地局とも称する)が設置されてマルチセルオペレーションが行われる場合、各々異なる基地局と接続される複数の移動無線通信装置(以下、移動局とも称する)のそれぞれが、同一の周波数チャネル、かつ、同一のエリアで使用されると、同一チャネル干渉が発生し、そのエリアは不通話エリアとなる。
【0003】
そこで、同一の周波数チャネルが用いられるエリアを遠ざけることで、使用チャネルを制限する周波数繰り返しが一般的に利用されている。
【0004】
例えば、周波数分割数が7とされた場合の周波数繰り返しの様子が、図1に示されている。図1に示されるように、無線通信システムに割り当てられた7つの周波数チャネルA乃至Gのそれぞれが、7つのブロック(以下、セルと称する)A乃至Gのうちの対応する文字のセルに割り当てられる。
【0005】
このように、周波数繰り返しが利用されると、同一の周波数チャネルが用いられるエリア(セル)が場所的に遠ざけられる。しかしながら、無線通信システムに割り当てられた周波数資源が分割されるので、1つの基地局で使用可能な周波数チャネルは、(1/周波数分割数)に制限され、システムレベルで周波数利用効率が低くなる。従って、この観点からすると、この周波数分割数は、可能な限り小さい値とするのが好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、小さい値の周波数分割数が設定された周波数繰り返しが利用されると、同一の周波数チャネルを使用するセルの位置が、物理的に近づくことになる。
【0007】
例えば、図2に示されるように、周波数分割数が3とされた場合、隣接する基地局同士(セル同士)では、同一の周波数チャネルは使用されないが、同一の周波数チャネルを使用するセル同士の距離は、周波数分割数が7とされた場合(図1に示される場合)のそれよりは短くなる。例えば、同一の周波数チャネルAが割り当てられているセル2−1とセル2−2との距離は、同一の周波数チャネルAが割り当てられている図1のセル1−1とセル1−2との距離よりも短くなる。
【0008】
従って、TDD(Time Division Duplication)により上りリンクと下りリンクがマルチプレクスされている無線通信システムにおいて、小さい値の周波数分割数が設定された周波数繰り返しが利用されると、他の移動局からの所定の移動局に対する同一チャネル干渉が発生することが多々あるといった課題があった。
【0009】
例えば、いま、図3に示されるように、セル2−1において、移動局12−1が、通信パス21−1を介して基地局11−1と無線通信するとともに、セル2−2において、移動局12−2が、通信パス21−1と同一の周波数チャネルAを利用する通信パス21−3を介して、基地局11−2と無線通信しているものとする。この場合、移動局12−1が基地局11−1の近傍に位置し、かつ、移動局12−2が基地局11−2の近傍に位置すると、移動局12−1と移動局12−2との間で干渉が生じても、その影響は少ない。
【0010】
しかしながら、例えば、移動局12−1と移動局12−2が、それぞれセル2−1または2−2のフリンジ(境界)の近傍に移動したとき、移動局12−1は、基地局11−1からの信号の他に、移動局12−2からの信号(移動局12−2から基地局11−2宛に送信される信号)を、通信パス21−2を介して受信することがある。同様に、移動局12−2は、基地局11−2からの信号の他に、移動局12−1からの信号(移動局12−1から基地局11−1宛に送信される信号)を、通信パス21−2を介して受信することがある。
【0011】
従って、このような状態の場合(移動局12−1と移動局12−2が接近している場合)、移動局12−1が、基地局11−1からの信号を受信している最中に、移動局12−2からの信号を受信したり、または、移動局12−2が、基地局11−2からの信号を受信している最中に、移動局12−1からの信号を受信すると、同一チャネル干渉が生じ、通信回線断線などの不具合が発生するという課題があった。
【0012】
このような課題を解決するために、例えば、特開平08-033037号公報、特開平06-177821号公報、特開平12-324535号公報、または、特開平11-252624号公報等に、情報が下りリンクを介して基地局から移動局に送信される期間(以下、下りリンク期間と称する)と、情報が上りリンクを介して移動局から基地局に送信される期間(以下、上りリンク期間と称する)を複数の基地局で同期させることが提案されている(以下、このような手法を、送受信タイミング同期手法と称する)。
【0013】
しかしながら、送受信タイミング同期手法は、複数の基地局のそれぞれが連携して、送受信タイミング(上りリンク期間、および下りリンク期間)を同期させるものであるので、複数の基地局のそれぞれが連携することなく非同期で運用されるシステムには、適用することはできない。
【0014】
また、送受信タイミング同期手法は、制御用チャネルとトラヒック用チャネルが別周波数リソースとして存在し、かつ、トラヒック用周波数チャネルが多量に発生することを前提としているので、トラヒック用周波数チャネルが、制御用チャネルと同一の周波数チャネルに発生する場合、または、多数の周波数チャネルが存在しないような場合には、適用することは困難である。
【0015】
さらに、特開平08-289360号公報には、上りリンク期間と下りリンク期間が動的に変動する場合、または、多数の周波数チャネルが存在しない場合における上述した課題を解決する手法の一例が開示されている。また、特開平12-013870号公報には、2つの基地局で折衝を行い、同一周波数チャネル干渉が生じないように時間割を行う手法が開示されている。
【0016】
しかしながら、これらの2つの公報に開示されている手法も、複数の基地局のそれぞれに同期をとらせる手法であることには変わりはなく、複数の基地局のそれぞれが連携することなく非同期で運用される場合には、送受信タイミング同期手法と同様に、上述した課題を解決することができない。
【0017】
さらに、これらの手法においては、移動局と他の移動局が相互に干渉しないような場合でも、結果的にリソースが冗長に割り当てられることになり、周波数利用効率が低くなるという課題を有している。
【0018】
このように、従来の無線通信システムにおいては、複数の基地局が、非同期で運用されており、かつ、他の基地局と折衝を行わない場合、例えば、異なる通信会社が管理する複数の基地局が接近して設置されているような場合であって、トラヒック用周波数チャネルが制御用チャネルと同一の周波数チャネルに存在し、かつ多数の周波数チャネルが存在しないような場合、同一チャネル干渉に起因するシステムパフォーマンスの劣化を低減させ、かつ、周波数利用効率のよい無線通信を行うことは困難であるという課題があった。
【0019】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、同一チャネル干渉に起因するシステムパフォーマンスの劣化を低減させ、かつ、周波数利用効率のよい無線通信を行うことができるようにするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線通信システムは、上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期を利用するTDD方式により、移動無線通信装置と固定無線通信装置とが、相互に無線通信する無線通信システムにおいて、固定無線通信装置は、TDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、第1および第2の移動無線通信装置のそれぞれと相互に無線通信し、第1の移動無線通信装置が、固定無線通信装置との通信に干渉を受ける場合、固定無線通信装置は、第1の移動無線通信装置に対して、連続する複数のフレームから構成されるフレーム群に対応する第2のTDDの周期を設定し、設定した第2のTDDの周期を利用して、フレーム群を構成する複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、第1の移動無線通信装置と相互に無線通信するとともに、第1のTDDの周期を利用して、第2の移動無線通信装置と相互に無線通信することを特徴とする。
固定無線通信装置は、第2の TDD の周期を利用して、第1のフレームのうちの下りリンク期間のみで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームのうちの上りリンク期間で上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、第1の移動無線通信装置と相互に無線通信するようにすることができる。
【0021】
本発明の無線通信システムにおいては、固定無線通信装置と、複数の移動無線通信装置おそれぞれにより、上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期である TDD の周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期が利用されて、相互に無線通信されている場合、それらの移動無線通信装置のうちの1つにおいて、固定無線通信装置との通信に対して干渉が発生されると、固定無線通信装置により、連続する複数のフレームから構成されるフレーム群に対応する第2のTDDの周期が設定される。そして、設定された第2のTDDの周期で、フレーム群を構成する複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、通信に干渉を生じている移動無線通信装置と固定無線通信装置により、相互に無線通信が行われるとともに、元の第1のTDDの周期で、残りの他の移動無線通信装置と固定無線通信装置により、相互に無線通信が行われる。
【0022】
本発明の無線通信システムは、移動無線通信装置と固定無線通信装置との間で無線通信するシステムであればよく、無線通信システムを構成する移動無線通信装置および固定無線通信装置のそれぞれは、例えば、他の装置に対しては、無線通信を行えることは勿論、有線通信、または、無線通信装置と有線通信が混在した通信を行える、即ち、他の装置に対して、有線通信と無線通信の両方が行えるようなもの、または、所定の他の第1の装置への通信は有線通信で行い、第1の装置とは異なる所定の他の第2の装置への通信は無線通信装置で行なうことができるようなものであってもよい。換言すると、本発明の無線通信システムは、ある区間では無線通信を行い、他の区間では有線通信を行うようなものであってもよい。
【0023】
本発明の移動無線通信装置は、上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、TDD方式により固定無線通信装置と相互に無線通信する通信手段と、通信手段による通信が干渉を受けていることを検出する検出手段と、検出手段により通信手段による通信が干渉を受けていることが検出された場合、これから利用するTDDの周期として、連続する複数のフレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報を生成する生成手段とを備え、通信手段は、生成手段により生成された要求情報を、固定無線通信装置に送信し、送信した要求情報に基づいて、固定無線通信装置により設定された、フレーム群に対応する第2のTDDの周期を利用して、フレーム群を構成する複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、固定無線通信装置と相互に無線通信することを特徴とする。
通信手段は、第2の TDD の周期を利用して、第1のフレームのうちの下りリンク期間のみで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームのうちの上りリンク期間で上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、第1の移動無線通信装置と相互に無線通信するようにすることができる。
【0027】
第3のフレームにおいて、固定無線通信装置とは異なる他の固定無線通信装置の存在を探索する探索手段をさらに設けるようにすることができる。
【0028】
フレーム群が4つ以上のフレームで構成される場合、フレーム群のうち、所定の1つが第2のフレームとされ、第2のフレームとは異なる所定の1つが第3のフレームとされ、かつ、第2および第3のフレームを除く、残りのフレームのそれぞれは、第1のフレームとされるようにすることができる。
【0029】
フレーム群を構成する複数のフレームのそれぞれには、予め設定された所定の順番で、第1乃至第3のフレームが割り当てられるようにすることができる。
【0030】
検出手段は、下りリンク期間におけるエラーレートに基づいて、干渉を受けていることを検出するようにすることができる。
【0031】
検出手段は、通信手段により他の移動無線通信装置により送信された信号が受信された場合、干渉を受けていることを検出するようにすることができる。
【0032】
検出手段は、通信手段により固定無線通信装置とは異なる他の固定無線通信装置により送信された信号が受信された場合、干渉を受けていることを検出するようにすることができる。
【0033】
検出手段により干渉を受けていることが検出された場合、他の固定無線通信装置または他の移動無線通信装置に対して通信回線を開設する開設手段をさらに設け、通信手段は、固定無線通信装置と無線通信を継続するとともに、開設手段により開設された通信回線を利用して、他の固定無線通信装置または他の移動無線通信装置と無線通信を開始するようにすることができる。
【0034】
下りリンク期間において、干渉が発生する周期を監視する監視手段と、監視手段により監視された干渉が発生する周期に基づいて、他の移動無線通信装置により第2のTDDの周期が既に利用されているか否かを推定する推定手段とをさらに設け、生成手段は、推定手段により、他の移動無線通信装置により第2のTDDの周期が既に利用されていると推定された場合、さらに、干渉が発生するフレームを、第2または第3のフレームのうちのいずれか一方とすることを指定する指定情報を生成し、生成した指定情報を要求情報に含めるようにすることができる。
【0035】
生成手段は、通信手段が干渉を受けるタイミングが、下りリンク期間の前半部である場合、第3のフレームを指定し、通信手段が干渉を受けるタイミングが、下りリンク期間の後半部である場合、第2のフレームを指定するようにすることができる。
【0036】
検出手段により干渉を受けることが検出された場合、他の移動無線通信装置と通信手段を介して折衝を行い、その折衝の結果に基づいて、これから利用するTDDの周期として、フレーム群に対応するものを要求するかを決定する決定手段をさらに設け、生成手段は、これから利用するTDDの周期として、フレーム群に対応するものを要求すると決定された場合、要求情報を生成するようにすることができる。
【0037】
決定手段は、他の移動無線通信装置が、通信手段が通信している固定無線通信装置と同一の固定無線通信装置と無線通信している場合、これから利用する TDD の周期として、フレーム群に対応するものを要求しないことを決定し、通信手段は、第1のTDDの周期を引き続き利用して、固定無線通信装置と相互に無線通信するようにすることができる。
【0039】
本発明の移動無線通信装置の無線通信方法は、上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、固定無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御する第1の通信制御ステップと、固定無線通信装置との通信が干渉を受けていることを検出する検出ステップと、検出ステップの処理により固定無線通信装置との通信が干渉を受けていることが検出された場合、これから利用するTDDの周期として、連続する複数のフレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報を生成する生成ステップと、生成ステップの処理により生成された要求情報の、固定無線通信装置への送信を制御する第2の通信制御ステップと、固定無線通信装置により、第2の通信制御ステップの処理により送信が制御された要求情報に対して設定された、フレーム群に対応する第2のTDDの周期を利用して、フレーム群を構成する複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、固定無線通信装置との間で相互に行われる無線通信を制御する第3の通信制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0041】
本発明の第1のプログラムは、上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、固定無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御する第1の通信制御ステップと、固定無線通信装置との通信が干渉を受けていることを検出する検出ステップと、検出ステップの処理により固定無線通信装置との通信が干渉を受けていることが検出された場合、これから利用するTDDの周期として、連続する複数のフレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報を生成する生成ステップと、生成ステップの処理により生成された要求情報の、固定無線通信装置への送信を制御する第2の通信制御ステップと、固定無線通信装置により、第2の通信制御ステップの処理により送信が制御された要求情報に対して設定された、フレーム群に対応する第2のTDDの周期を利用して、フレーム群を構成する複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、固定無線通信装置との間で相互に行われる無線通信を制御する第3の通信制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0042】
本発明の移動無線通信装置および方法、並びに第1のプログラムにおいては、上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期である TDD の周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期が利用されて、固定無線通信装置と無線通信されている場合、固定無線通信装置との通信に干渉が生じると、これから利用するTDDの周期として、連続する複数のフレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報が生成され、固定無線通信装置に送信される。固定無線通信装置により、その要求情報に対して設定された、フレーム群に対応する第2の TDDの周期が利用されて、フレーム群を構成する複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、固定無線通信装置と相互に無線通信が行われる。
【0043】
移動無線通信装置は、固定無線通信装置のセルに位置する場合、その固定無線通信装置と無線通信することが可能な装置であればよく、例えば、他の装置に対しては、無線通信を行えることは勿論、有線通信、または、無線通信装置と有線通信が混在した通信を行える、即ち、他の装置に対して、有線通信と無線通信の両方が行えるようなもの、または、所定の他の第1の装置への通信は有線通信で行い、第1の装置とは異なる所定の他の第2の装置への通信は無線通信装置で行なうことができるようなものであってもよい。さらに、移動無線通信装置は、携帯端末装置でもよいが、固定無線通信装置のセルの内外に移動することができ、セルの内外のいずれに位置している場合でも、その処理を行うことが可能な装置であればよい。
【0044】
本発明の固定無線通信装置は、上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、第1および第2の移動無線通信装置のそれぞれと、TDD方式により相互に無線通信する通信手段と、通信手段により、第1の移動無線通信装置から、これから利用するTDDの周期として、連続する複数のフレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報が受信された場合、第1の移動無線通信装置との通信に対して、フレーム群に対応する第2のTDDの周期を設定する設定手段とを備え、通信手段は、設定手段により設定された第2の TDDの周期を利用して、フレーム群を構成する複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、第1の移動無線通信装置と相互に無線通信するとともに、第1のTDDの周期を利用して、第2の移動無線通信装置と相互に無線通信することを特徴とする。
通信手段は、第2の TDD の周期を利用して、第1のフレームのうちの下りリンク期間のみで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームのうちの上りリンク期間で上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、第1の移動無線通信装置と相互に無線通信するようにすることができる。
【0051】
本発明の固定無線通信装置の無線通信方法は、上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、第1および第2の移動無線通信装置のそれぞれと相互に行われる無線通信を制御する第1の通信制御ステップと、第1の移動無線通信装置から、これから利用するTDDの周期として、連続する複数のフレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報が受信された場合、第1の移動無線通信装置との通信に対して、フレーム群に対応する第2のTDDの周期を設定する設定ステップと、設定ステップの処理により設定された第2のTDDの周期を利用して、フレーム群を構成する複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、第1の移動無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御するとともに、第1のTDDの周期を利用して、第2の移動無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御する第2の通信制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0053】
本発明の第2のプログラムは、上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、第1および第2の移動無線通信装置のそれぞれと相互に行われる無線通信を制御する第1の通信制御ステップと、第1の移動無線通信装置から、これから利用するTDDの周期として、連続する複数のフレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報が受信された場合、第1の移動無線通信装置との通信に対して、フレーム群に対応する第2のTDDの周期を設定する設定ステップと、設定ステップの処理により設定された第2のTDDの周期を利用して、フレーム群を構成する複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、第1の移動無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御するとともに、第1のTDDの周期を利用して、第2の移動無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御する第2の通信制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0054】
本発明の固定無線通信装置および方法、並びに、第2のプログラムにおいては、上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期である TDD の周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、第1および第2の移動無線通信装置のそれぞれと相互に無線通信が行われている場合、第1の移動無線通信装置から、これから利用するTDDの周期として、連続する複数のフレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報が受信されると、第1の移動無線通信装置との通信に対して、フレーム群に対応する第2のTDDの周期が設定され、設定された第2のTDDの周期で、フレーム群を構成する複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、第1の移動無線通信装置と相互に無線通信されるとともに、元の第1のTDDの周期で、第2の移動無線通信装置と引き続き相互に無線通信される。
【0055】
固定無線通信装置は、移動無線通信装置との間でのみ無線通信することが可能な装置であればよく、例えば、他の装置に対しては、無線通信を行えることは勿論、有線通信、または、無線通信装置と有線通信が混在した通信を行える、即ち、他の装置に対して、有線通信と無線通信の両方が行えるようなもの、または、所定の他の第1の装置への通信は有線通信で行い、第1の装置とは異なる所定の他の第2の装置への通信は無線通信装置で行なうことができるようなものであってもよい。さらに、固定無線通信装置は、所定の場所に固定設置された装置でもよいが、所定の場所に静止できる装置であればよい。
【0056】
【発明の実施の形態】
図4は、本発明の無線通信システムの構成例を表している。
【0057】
この例においては、無線通信システム31は、TDMAのTDD方式により規定される通信方式を利用するシステムであるものとする。
【0058】
無線通信システム31においては、任意の台数(この例の場合、2台)の固定無線通信装置(以下、基地局と称する)41−1,41−2が設置されている。
【0059】
この例においては、基地局41−1と基地局41−2は非同期で運用され、かつ、基地局41−1と基地局41−2間での折衝は行われないものとする。
【0060】
また、基地局41−1と基地局41−2と無線通信する移動無線通信装置(移動局)は、特に限定されないが、この例においては、例えば、携帯電話機であるものとする。
【0061】
基地局41−1は、それが無線通信することができる範囲、即ち、セル43−1内に位置する携帯電話機42−1と、上りリンク45−1または下りリンク46−1を介して無線通信する。同様に、基地局41−2は、それが無線通信することができる範囲、即ち、セル43−2内に位置する携帯電話機42−2と、上りリンク45−2または下りリンク46−2を介して無線通信する。
【0062】
具体的には、この例においては、基地局41−1と携帯電話機42−1との無線通信と、基地局41−2と携帯電話機42−2との無線通信においては、共に同一の周波数帯のチャネルが使用されており、さらに、その同一の周波数帯のチャネルのそれぞれは、一定時間毎に「上り方向に情報が伝送される時間」と「下り方向に情報が伝送される時間」に分割されているものとする。即ち、上りリンク45−1,45−2、並びに、下りリンク46−1,46−2においては、いずれも同一の周波数帯のチャネルが使用されるものとする。
【0063】
この場合、携帯電話機42−1は、所定の周期(以下、TDDの周期と称する)で、「上り方向に情報が送信される時間」のタイミングに、情報を上りリンク45−1を介して基地局41−1に送信するとともに、「下り方向に情報が送信される時間」のタイミングに、基地局41−1からの情報を下りリンク46−1を介して受信する。
【0064】
同様に、携帯電話機42−2は、携帯電話機42−1と同一のTDDの周期で、「上り方向に情報が送信される時間」のタイミングに、情報を上りリンク45−2を介して基地局41−2に送信するとともに、「下り方向に情報が送信される時間」のタイミングに、基地局41−2からの情報を下りリンク46−2を介して受信する。
【0065】
なお、このTDDの周期は、特に限定されないが、この例においては、例えば、通常使用されるTDDの周期(以下、標準のTDDの周期と称する)は、所定のフレームに対応する周期であるものとする。
【0066】
即ち、この例においては、図5に示されるように、携帯電話機42−1と基地局41−1が無線通信する場合においては、標準のTDDの周期として、フレーム54−1,54−2に対応する周期が利用され、また、携帯電話機42−2と基地局41−2が無線通信する場合においては、標準のTDDの周期として、フレーム64−1,64−2に対応する周期が利用される。
【0067】
フレーム54−i(iは、任意の整数値)には、基地局41−1が、所定の制御情報を下りリンク46−1を介して携帯電話機42−1に送信する期間として、制御チャネル期間(図中「C」と記述されている区間)51−iが、「下り方向に情報が送信される時間」として、下りリンク期間(図中「D」と記述されている区間)52−iが、「上り方向に情報が送信される時間」として、上りリンク期間(図中「U」と記述されている区間)53−iが、その順番でそれぞれ設けられている。
【0068】
同様に、フレーム64−j(jは、任意の整数値)には、基地局41−2が、所定の制御情報を下りリンク46−2を介して携帯電話機42−2に送信する期間として、制御チャネル期間(図中「C」と記述されている区間)61−jが、「下り方向に情報が送信される時間」として、下りリンク期間(図中「D」と記述されている区間)62−jが、「上り方向に情報が送信される時間」として、上りリンク期間(図中「U」と記述されている区間)63−jが、その順番でそれぞれ設けられている。
【0069】
なお、上述したように、この例においては、フレーム54−i,64−iの期間長(時間)、制御チャネル期間51−i,61−iの期間長、下りリンク期間52−i,62−iの期間長、並びに、上りリンク期間53−i,63−iの期間長のそれぞれは、同一の期間長とされる。例えば、フレーム54−i,64−iの期間長は、この例においては、2msとされる。また、下りリンク期間52−i,62−jと、上りリンク期間53−i,63−iとの期間長も同一とされる。
【0070】
即ち、フレーム54−iの期間においては、はじめの制御チャネル期間51−iに、基地局41−1から送信された制御情報が、下りリンク46−1を介して携帯電話機42−1に伝送され、次の下りリンク期間52−iに、基地局41−1から送信された情報(通信相手からの情報)が、下りリンク46−1を介して携帯電話機42−1に伝送され、最後の上りリンク期間53−iに、携帯電話機42−1から送信された情報(通信相手に送信される情報)が、上りリンク45−1を介して基地局41−1に伝送される。
【0071】
このようなフレーム54−iの期間が繰り返されることで(iが増加することで)、基地局41−1と携帯電話機42−1は、相互に無線通信することが可能になる。
【0072】
同様に、フレーム64−jの期間においては、はじめの制御チャネル期間61−jに、基地局41−2から送信された制御情報が、下りリンク46−2を介して携帯電話機42−2に伝送され、次の下りリンク期間62−jに、基地局41−2から送信された情報が、下りリンク46−2を介して携帯電話機42−2に伝送され、最後の上りリンク期間63−jに、携帯電話機42−2から送信された情報が、上りリンク45−2を介して基地局41−2に伝送される。
【0073】
このようなフレーム64−jの期間が繰り返されることで(jが増加することで)、基地局41−2と携帯電話機42−2は、相互に無線通信することが可能になる。
【0074】
ただし、上述したように、この例においては、基地局41−1と基地局41−2は非同期で運用され、かつ、基地局41−1と基地局41−2の間での折衝は行われないので、図5に示されるように、フレーム54−iとフレーム64−jは、相互に無関係に配置され、同期はとられていない。
【0075】
図4に示されるように、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2が、十分に距離が離れた領域にそれぞれ位置すると、どちらも、相手の送信信号をそれぞれ受信しないので、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2のいずれにおいても、上述した他の携帯電話機からの干渉は発生しない。
【0076】
これに対して、図6に示されるように、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2が接近すると、携帯電話機42−1は、基地局41−1からの信号の他に、携帯電話機42−2からの信号(携帯電話機42−2から基地局41−2宛に送信される信号)を、リンク72を介して受信するとともに、携帯電話機42−2は、基地局41−2からの信号の他に、携帯電話機42−1からの信号(携帯電話機42−1から基地局41−1宛に送信される信号)を、リンク71を介して受信する。
【0077】
従って、図6に示されるような位置関係の場合、図5の携帯電話機42−1に対する下りリンク期間52−iと、携帯電話機42−2に対する上りリンク期間63−jが重なる期間(後述する図15の干渉期間232−1乃至232−6に相当する期間)においては、携帯電話機42−1は、基地局41−1からの信号を受信している最中に、携帯電話機42−2からの信号を受信することがある。
【0078】
同様に、図5の携帯電話機42−1に対する上りリンク期間53−iと、携帯電話機42−2に対する下りリンク期間62−jが重なる期間(後述する図15の干渉期間242−1乃至242−5に相当する期間)においては、携帯電話機42−2は、基地局41−2からの信号を受信している最中に、携帯電話機42−1からの信号を受信することがある。
【0079】
このような場合、上述したように、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2において、他の携帯電話機からの信号(携帯電話機42−1の場合には携帯電話機42−2からの信号、携帯電話機42−2の場合には携帯電話機42−1からの信号)に起因する同一チャネル干渉が発生し、通信回線断線などの不具合が発生する。
【0080】
そこで、本発明においては、携帯電話機42−1は、図6に示されるような場合(基地局41−1のセル43−1のフリンジ(境界)44−1に位置する(干渉を受けている)ことを検出した場合)、これから利用するTDDの周期として、標準のTDDの周期(この例では、フレーム54−iの期間長である2ms)とは異なるものを要求する要求情報を生成し、生成した要求情報を上りリンク45−1を介して基地局41−1に送信する。基地局41−1は、その要求情報を受信すると、携帯電話機42−1に対して、標準のTDDの周期とは異なる非標準のTDDの周期を設定する。そして、以後、携帯電話機42−1と基地局41−1は、その非標準のTDDの周期を利用して、相互に無線通信する。
【0081】
なお、図示はしていないが、基地局41−1は、そのセル43−1内に位置する複数の他の携帯電話機と無線通信することが可能であるが、上述したような場合、携帯電話機42−1に対してのみ非標準のTDDの周期を設定し、その他の携帯電話機に対しては、標準のTDDの周期を引き続き利用する。
【0082】
同様に、携帯電話機42−2は、基地局41−2のセル43−2のフリンジ44−2に位置することを検出した場合、これから利用するTDDの周期として、標準のTDDの周期(この例では、フレーム64−jの期間長である2ms)とは異なるものを要求する要求情報を生成し、生成した要求情報を上りリンク45−2を介して基地局41−2に送信する。基地局41−2は、その要求情報を受信すると、携帯電話機42−2に対して、標準のTDDの周期とは異なる非標準のTDDの周期を設定する。そして、以後、携帯電話機42−2と基地局41−2は、その非標準のTDDの周期を利用して、相互に無線通信する。
【0083】
なお、基地局41−2は、基地局41−1と同様に、携帯電話機42−2に対するTDDの周期のみ、非標準のTDDの周期に設定する。
【0084】
これにより、無線通信システム31においては、同一チャネル干渉が抑制されるので、その同一チャネル干渉に起因するシステムパフォーマンスの劣化が低減され、かつ、周波数利用効率のよい無線通信を行うことが可能になる。
【0085】
なお、このようなTDDの周期を可変する手法の詳細については、無線通信システム31の動作として後述する。
【0086】
次に、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2(以下、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2を個々に区別する必要がない場合には携帯電話機42と記述する。他の機器も同様とする)の構成例を、図7を参照して説明する。
【0087】
図7に示されるように、携帯電話機42は、各部を統括的に制御するようになされた主制御部81に対して、電源回路部82、操作入力制御部85、LCD(Liquid Crystal Display)制御部86、ドライブ95、送受信回路部93、および、音声コーデック91が、メインバス88を介して互いに接続されると共に、ドライブ95、送受信回路部93、および、音声コーデック91が、同期バス97を介して互いに接続されて構成されている。
【0088】
主制御部81は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等から構成される。
【0089】
即ち、主制御部81において、CPUは、ROMに記憶されているプログラム、またはRAMにロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAMにはまた、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0090】
電源回路部82は、ユーザの操作により操作キー83のうちの終話及び電源キー(図示せず)がオン状態にされると、バッテリパック(図示せず)から各部に対して電力を供給することにより携帯電話機42を動作可能な状態に起動する。
【0091】
携帯電話機42は、主制御部81の制御に基づいて、音声通話モード時にマイクロフォン89で集音した音声信号を音声コーデック91によってデジタル音声データに変換し、さらに、送受信回路部93によって送信信号に変換し、アンテナ94を介して、所定の送信電力で送信する。なお、送受信回路部93の詳細については、後述する。
【0092】
また、携帯電話機42は、音声通話モード時にアンテナ94で受信した受信信号を、送受信回路部94によって元のデジタル音声データに復元させて、さらに、音声コーデック91によってアナログ音声信号に変換した後、これを、スピーカ90を介して出力する。
【0093】
さらに、携帯電話機42は、データ通信モード時に例えば電子メールを送信する場合、操作キー83またはジョグダイヤル84の操作によって入力された電子メールのテキストデータを、操作入力制御部85を介して主制御部81に送出する。
【0094】
主制御部81は、LCD制御部86を介して液晶ディスプレイ87にテキストデータを表示させるとともに、そのテキストデータをさらに送受信回路部93によって送信信号に変換させ、アンテナ94を介して基地局へ所定の送信電力で送信させる。
【0095】
これに対して携帯電話機42は、データ通信モード時に例えば電子メールを受信する場合、アンテナ94を介して受信した受信信号を、送受信回路部93によって元のテキストデータに復元させて、LCD制御部86を介して液晶ディスプレイ87に受信電子メールとして表示させる。
【0096】
携帯電話機42はまた、受信した電子メールを、ユーザの操作に応じて、ドライブ95を介してメモリスティック(ソニー(株)の商標)等からなるリムーバブル記録媒体96に記録することも可能である。
【0097】
なお、ドライブ95には、コンピュータプログラムが記憶されたリムーバブル記録媒体96が適宜装着され、それから読み出されたそのコンピュータプログラムが、必要に応じて主制御部81にインストールされる。
【0098】
次に、図8を参照して、送受信回路部93の構成例について、詳細に説明する。
【0099】
図8に示されるように、メインバス88には、主制御部81の制御に基づいて、送受信回路部93の全体の動作を制御する送受信制御部101と、データの入出力を処理するデータ入出力処理部104が接続されている。データ入出力処理部104は、同期バス97にも接続されている。
【0100】
即ち、データ入出力処理部104は、音声通話モードの送信時には、音声コーデック91より供給されたデジタル音声データを、適切なデジタルデータ列へと変換して、送信データ処理部105に供給し、また、音声通話モードの受信時には、受信データ処理部129より供給されたデータを、元のデジタル音声データに変換して、音声コーデック91に供給する。同様に、データ入出力処理部104は、データ通信モード時の送信時には、主制御部81より供給されたテキストデータ等を、適切なデジタルデータ列へと変換し、送信データ処理部105に供給し、また、データ通信モード時の受信時には、受信データ処理部129より供給されたデータを、元のテキストデータに変換して、主制御部81に供給する。
【0101】
送受信制御部101は、送信系制御線102を介して、送信系のブロック(図8の主に右側に示される送信データ処理部105乃至RF送信部115)のそれぞれを制御し、また、受信系制御線103を介して、受信系のブロック(図8の主に左側に示されるRF受信部117乃至受信データ処理部129)のそれぞれを制御する。
【0102】
即ち、送信系制御線102には、データ入出力処理部104より供給されるデジタルデータ列と、必要に応じて送受信制御部101より供給される基地局に送信する通信制御データとを適宜マルチプレックスした後、無線区間で送信される為のフレームやスロット構造を形成する送信データ処理部105、その出力に対して、受信側での誤り訂正のための冗長度を付加するCRC(Cyclic Redundancy Check)付加部106、その出力に対して暗号化の処理を施す暗号部107、および、その出力に対して、予め設定されたアルゴリズムに従って擬似的にランダムになるようなスクランブル処理を施すスクランブラ部108が接続されている。
【0103】
送信系制御線102にはまた、スクランブラ部108の出力に対して、誤り訂正符号化の処理を施す符号化部109、その出力に対して、受信側において逆操作を行うことによりバースト誤りがランダム誤りに変換できるよう、符号化されたビット列を特定の規則に従って並べ替えるインターリーブを施すインタリーバ部110、その出力を、送信時の信号点にマッピングし、同相成分(I成分)と直交成分(Q成分)として出力する変調部111、その出力に対して、逆FFT(First Fourier Transform)を施すことによるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)変調を行う複素IFFT部112、その出力に対して、例えばサイクルプリフィックス付加によるガードタイムを設け、OFDM変調シンボルの立ち上がりと立ち下がりが滑らかになるようなウィンドウイング処理を施す時間波形整形部113、および、そのデジタル信号の出力を、アナログ信号へ変換するDA変換部114が接続されている。
【0104】
送信系制御線102にはさらにまた、DA変換部114の出力に対して、フィルタリング、I成分とQ成分によるベクトル変調、適切な送信周波数チャネルへの周波数変換、送信電力制御、および増幅等を行った後、送信信号としてアンテナ共用部116に供給するRF送信部115が接続されている。
【0105】
アンテナ共用部116に入力された送信信号は、アンテナ94から電波として送信される。この送信信号は、基地局によって受信される。このアンテナ共用部116は送信信号と受信信号を分離するためのもので、この例におけるTDD方においてはアンテナスイッチが一般に使用される。
【0106】
即ち、アンテナ共用部116は、電波としてアンテナ94により受信された受信信号(基地局からの送信信号)を、送信信号と分離し、RF受信部117に対して出力する。
【0107】
一方、受信系制御線103には、RF受信部117が接続されている。RF受信部117には、アンテナ共用部116より供給された受信信号を増幅するRF増幅部131、その出力を、周波数合成部134により作られる正弦波と混合し、DC(Direct Current)を中心周波数とするI成分とQ成分に分離する直交検波部132、および、その出力から、所望の信号の帯域だけを抽出するフィルタリング機能部133が設けられている。
【0108】
受信系制御線103にはまた、フィルタリング機能部133からのアナログ信号の出力を、デジタル信号へと変換するAD変換部118、その出力に対して、フレーム同期や周波数誤差補正等の処理を施すとともに、電源投入直後等に可能な通信相手を探索するような場合には、同期信号検出を行ったり初期同期を行う同期部119、その出力に対して、例えばサイクルプリフィックス付加によるガードタイムを除去するような時間波形整形を施す時間波形整形部120、その出力に対して、FFTを施すことによりOFDM復調を行う複素FFT部121、その出力に対して、伝送路の推定や推定結果による等化を行い、場合によっては、同期部119からの情報も入力し、伝送路推定等に使用する等化部122、および、その出力を、信号点判定を施して受信ビット推定値を生成する復調部123が接続されている。
【0109】
受信系制御線103にはさらにまた、復調部123より出力された符号化されたビット列を、特定の規則に従って並べ替えるデインターリーブを施すデインターリーバ部124、その出力に対して、送信側で施された誤り訂正符号の復号を行う復号部125、その出力に対して、送信側のスクランブラ部108で行われたスクランブルの逆変換であるデスクランブル処理を施すデスクランブラ部126、送信側の暗号部107で施された暗号を解除する暗号解除部127、その出力からCRCを外したデータと、その受信ブロックのCRCチェックの結果とを出力するCRCチェック部128、および、供給された受信ブロックのCRCチェックの結果誤りが無いと判断されていれば、供給されたCRCが外された受信データから、さらに、無線区間で送信のために施されたフレーム構造やスロット構造を外して、データ入出力処理部104に出力する受信データ処理部129が接続されている。
【0110】
なお、受信データに、基地局からの通信制御データが含まれていた場合には、受信データ処理部129は、その部分を取り出して、受信系制御線103を介して送受信制御部101に供給する。送受信制御部101は、主制御部81の制御に基づいて、供給された制御データを解釈して、その指示に従って制御を行う。
【0111】
例えば、いま、ARQ(Automatic Request For Repetition)方式が採用されているものとすると、受信データ処理部129は以下のように動作する。
【0112】
即ち、受信データ処理部129は、CRCチェック部127からの出力に、受信ブロックに誤りが含まれていない情報が含まれていた場合、上述したように、受信ブロックを受信データ処理部129へ供給するとともに、受信ブロックに誤りが含まれていなかった情報を、受信系制御線103を介して送受信制御部101に供給する。送受信制御部101は、この情報を取得すると、主制御部81の制御に基づいて、基地局に対してACK(Acknowledgement)信号を送信するように、送信系制御線102を介して送信データ処理部105に指示する。送信データ処理部105は、送信ACK信号を、送信データにマルチプレックス等して、CRC付加部106に供給する。CRC付加部106に供給された送信ACK信号が、上述した送信系の各暗号部107乃至RF送信部115、アンテナ共用部116、および、アンテナ94を介して、基地局に向けて送信される。
【0113】
これに対して、CRCチェック部128からの出力に、受信ブロックに誤りが含まれていた情報が含まれていた場合は、上述したような受信ブロックは、受信データ処理部129には供給されず、受信ブロックに誤りが含まれていた情報が、受信系制御線103を介して送受信制御部101に供給される。送受信制御部101は、この情報を取得すると、主制御部81の制御に基づいて、基地局に対してNAK(Negative Acknowledgement)信号を送信するように、送信系制御線102を介して送信データ処理部105に指示する。送信データ処理部105は、送信NAK信号を、送信データにマルチプレックスする等して、CRC付加部106に供給する。CRC付加部106に供給された送信NAK信号が、上述した送信系の各暗号部107乃至RF送信部115、アンテナ共用部116、および、アンテナ94を介して、基地局に向けて送信される。基地局は、このNAK信号を受信すると、NAK信号が送られてきたブロックの再送を行う。
【0114】
また、例えば、いま、ARQ等の再送が用いられていない、音声通信のようなストリーム通信が行われるものとすると、受信データ処理部129は、以下のように動作する。
【0115】
即ち、CRCチェック部128からの出力に、受信ブロックに誤りが含まれていない情報が含まれていた場合は、上述したように、受信ブロックが、受信データ処理部129に供給される。
【0116】
これに対して、CRCチェック部128からの出力に、受信ブロックに誤りが含まれていた情報が含まれていた場合は、受信データ処理部129は、その受信ブロックを破棄し、イレイジャーとして扱い、1つ前の受信ブロックを用いて補完する等の処理を行う。
【0117】
このように、送信系の送信データ処理部105乃至RF送信部115のそれぞれは、送信系制御線102を介して送受信制御部101に接続されており、送受信制御部101は、送信系制御線102を介して、送信系の送信データ処理部105乃至RF送信部115のそれぞれに対するオン・オフ制御、RF送信部115の動作制御や状態監視、送信タイミングの微調整、符号化方式や信号点マッピングの方式の変更、および、上述した再送制御等の様々な送信系の動作の制御および監視を行う。
【0118】
これに対して、受信系のRF受信部117乃至受信データ処理部129のそれぞれは、受信系制御線103を介して送受信制御部101に接続されており、送受信制御部101は、受信系制御線103を介して、受信系のRF受信部117乃至受信データ処理部129のそれぞれに対するオン・オフ制御、RF受信部117の動作制御や状態監視、受信タイミングの微調整、復号方式や信号点デマッピングの方式の変更、および、上述した再送制御等の様々な受信系の動作の制御および監視を行う。
【0119】
なお、ここでは、送受信制御部101が、主制御部81の制御に基づいて、上述した送受信系の制御を行うようになされているが、主制御部81が、直接送受信系の制御を行うようになされてもよい。
【0120】
このように、携帯電話機42は、電話としての機能だけでなく、メールの送受信などが行えるようになっている。さらに、携帯電話機42は、必要に応じて、画像データを送受信するために必要なブロックがさらに設けられ、これにより画像データの送受信も行えるようになる。ただし、これらのブロックの構成、および画像データの送受信処理については、本発明と直接関係がなく、かつ、当業者にとって理解が容易であるため、それらの説明は省略する。
【0121】
次に、固定無線通信装置(基地局)41の構成例を、図9を参照して説明する。なお、固定無線通信装置41は、携帯電話機42と無線通信する機能を有するものであれば限定されない。
【0122】
CPU141は、ROM142に記憶されているプログラム、または記憶部148からRAM143にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0123】
RAM143にはまた、CPU141が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0124】
CPU141、ROM142、およびRAM143は、バス144を介して相互に接続されている。このバス144にはまた、入出力インタフェース145も接続されている。
【0125】
入出力インタフェース145には、キーボードなどよりなる入力部146、ディスプレイなどよりなる出力部147、ハードディスクなどより構成される記憶部148、携帯電話機42と相互に無線通信するための通信処理を実行する通信部149が接続されている。
【0126】
入出力インタフェース145にはまた、必要に応じてドライブ150が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体151が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部148にインストールされる。
【0127】
次に、図10乃至図12のフローチャート、並びに、図13および図14のアローチャートを参照して、本発明が適用される無線通信システム31の動作について説明する。図10と図11は、携帯電話機42の通信処理を表している。図12は、基地局41の通信処理を表している。図13および図14は、これら携帯電話機42と基地局41の処理の関係を表している。
【0128】
以下、図10乃至14を参照して、携帯電話機42と基地局41の通信処理について、個別に説明するが、これら装置の相互の処理の関係は、図13または図14の対応するステップを参照することで、容易に理解することが可能である。
【0129】
はじめに、図10を参照して、携帯電話機42−1の通信処理について説明する。
【0130】
いま、図4に示されるような状態、即ち、携帯電話機42−1と基地局41−1が接続されており、かつ、携帯電話機42−2と基地局41−2が接続されている状態であるものとする。
【0131】
この場合、ステップS1において、図7の携帯電話機42−1の主制御部81は、バス88、送受信回路部93、およびアンテナ94、並びに、図4の上りリンク45−1、若しくは、下りリンク46−1を介して、基地局41−1と無線通信する。
【0132】
この場合の携帯電話機42−1の主制御部81が利用するTDDの周期は、上述したように、標準のTDDの周期、即ち、図5のフレーム54−iに対応する周期とされる。同様に、携帯電話機42−2が利用するTDDの周期も、上述したように、図5のフレーム64−jに対応する周期とされる。
【0133】
図4に示されるような状態の場合、上述したように、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2は、相互に十分に距離が離れた領域に位置し、相手の送信信号をそれぞれ受信できないので、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2のそれぞれにおいて、他方の携帯電話機からの干渉は発生していない。
【0134】
ステップS2において、主制御部81は、操作キー83を介してユーザから通信の終了が指示されたか否かを判定し、通信の終了が指示されたと判定した場合、その処理を終了する。
【0135】
一方、ステップS2において、主制御部81は、通信の終了が指示されていないと判定した場合、ステップS3において、セル43−1のフリンジ44−1に位置する(干渉を受けている)ことを検出したか否かを判定する。
【0136】
なお、この例においては、下りリンク期間に受信された受信信号の一部が破壊されていることを検出して(例えば、下りリンク期間におけるエラーレートが所定の閥値を超えていることを検出して)、セル43−1のフリンジ44−1に位置する(干渉を受けている)ことを検出するものとする。
【0137】
ただし、検出条件は、この例のものに限定されず、その他、例えば、後述するように、携帯電話機42−2から送信された所定の信号が、アンテナ94により受信され、送受信回路部93およびバス88を介して主制御部81に供給された場合、主制御部81は、携帯電話機42−1がセル43−1のフリンジ44−1に位置する(干渉を受けている)ことを検出するようにしてもよい。
【0138】
また、他の基地局41−2からの信号がアンテナ94により直接受信され、送受信回路部93およびバス88を介して主制御部81に供給された場合にも、主制御部81は、携帯電話機42−1がセル43−1のフリンジ44−1に位置する(干渉を受けている)ことを検出するようにしてもよい。
【0139】
ステップS3において、主制御部81は、セル43−1のフリンジ44−1に位置する(干渉を受けている)ことを検出していないと判定した場合、ステップS1に戻り、それ以降の処理を繰り返す。即ち、主制御部81は、標準のTDDの周期を利用して、基地局41−1と引き続き無線通信する。
【0140】
いま、図6に示されるように、携帯電話機42−1が、基地局41−1のセル43−1のフリンジ44−1に移動するとともに、携帯電話機42−2が、基地局41−2のセル43−2のフリンジ44−2に移動したものとすると、携帯電話機42−2により送信された信号(例えば、基地局41−2宛のデータ等)はリンク72を介して携帯電話機42−1に到達する。
【0141】
このとき、主制御部81は、その携帯電話機42−2よりリンク72を介して伝送されてきた信号を、アンテナ94、送受信回路部93、および、バス88を介して受信すると、ステップS3において、セル43−1のフリンジ44−1に位置する(干渉を受けている)ことを検出し(検出したと判定し)、ステップS4において、フリンジモードであるか否かを判定する。
【0142】
ここでは、主制御部81が、後述するステップS5の処理を実行し、上述したように、非標準のTDDの周期を利用して、基地局41−1と相互に無線通信している状態を、フリンジモードと称する。
【0143】
即ち、主制御部81が既にフリンジモードである場合、改めてフリンジモードに移行する処理は実行する必要がないので、主制御部81は、ステップS4において、既にフリンジモードであると判定した場合、ステップS5の処理は実行せずに、ステップS1に戻り、それ以降の処理を繰り返す。即ち、主制御部81は、非標準のTDDの周期を利用して、基地局41−1と引き続き無線通信する。
【0144】
一方、主制御部81は、ステップS4において、フリンジモードではないと判定した場合、ステップS5において、「フリンジモード移行処理」を実行する。
【0145】
即ち、図6に示されるような位置関係の場合、図15に示されるように、フレーム231−k(kは、任意の整数値)の下りリンク期間(図中「D」と記述されている期間)と、フレーム241−kの上りリンク期間(図中「U」と記述されている区間)が重なる期間(一方の上りリンク期間と他方の下りリンク期間が重なる期間を、以下、干渉期間と称する)232−kにおいては、主制御部81は、基地局41−1より下りリンク46−1を介して伝送されてくる信号とともに、携帯電話機42−2よりリンク72を介して伝送されてくる信号を、アンテナ94、送受信回路部93、および、バス88を介して受信する。即ち、この携帯電話機42−2からの信号は、基地局41−1からの信号に対する干渉信号となる。
【0146】
このように、携帯電話機42−1においては、干渉期間232−kに、携帯電話機42−2からの信号に起因する干渉が発生する。
【0147】
また、干渉期間242−kにおいては、主制御部81は、データ(信号)を、バス88、送受信回路部93、およびアンテナ94を介して送信している。アンテナ94より送信された信号は、上りリンク45−1を介して基地局41−1に受信されるとともに、携帯電話機42−2にもリンク71を介して受信される。このとき、携帯電話機42−2は、基地局41−2より下りリンク46−2を介して伝送された信号も受信しているので、携帯電話機42−2において、この携帯電話機42−1より送信された信号は、基地局41−2からの信号に対する干渉信号となる。即ち、携帯電話機42−2においては、干渉期間242−kに、携帯電話機42−1からの信号に起因する干渉が発生する。
【0148】
そこで、主制御部81は、ステップS5の処理において、フリンジモードに移行するための「フリンジモード移行処理」を実行し、干渉期間232−kに発生する干渉を低減させる。
【0149】
この例の「フリンジモード移行処理」の詳細は、図11に示されている。そこで、この例の「フリンジモード移行処理」を、図11を参照して説明する。
【0150】
はじめに、ステップS21において、主制御部81は、TDDの周期として、非標準の周期を要求する要求情報を生成する。具体的には、主制御部81は、TDDの周期として、所定の構成を有するフレーム群(この例では、後述する図16に示されるような、3個のフレームからなるフレーム群251−1等)に対応する周期を要求する要求情報を生成する。
【0151】
ステップS22において、主制御部81は、干渉フレームの発生周期を監視する。なお、ここでは、上述した干渉期間が発生するフレームを、干渉フレームと称する。例えば、図15においては、干渉期間232−kが発生するフレーム231−k、即ち、全てのフレームが、干渉フレームとされる。
【0152】
ステップS23において、主制御部81は、ステップS22の処理で監視した干渉フレームの周期に基づいて、干渉元(この例では、携帯電話機42−2)はフリンジモードであるか否かを判定する。
【0153】
即ち、上述したように、携帯電話機42−2が、標準のTDDの周期(図15のフレーム241−kの時間(2ms))を利用して、基地局41−2と無線通信している場合、1つのフレーム231−kの期間(2ms)毎に1回の割合で、携帯電話機42−1において、携帯電話機42−2からの信号に起因する干渉が発生する(干渉フレームは、毎フレーム発生する)。
【0154】
これに対して、後述するように、携帯電話機42−2がフリンジモードで基地局41−2と無線通信している場合(TDDの周期として、後述する図18の3つのフレームからなるフレーム群301−1等の時間(6ms)を利用している場合)、3つのフレーム291−k乃至291−k+2の期間(6ms)毎に1回の割合で、携帯電話機42−1において、干渉が発生する(干渉フレームは、3つのフレームに1つの割合で発生する)。
【0155】
従って、主制御部81は、ステップS22において、基地局41−1からの受信データの一部が破壊される(エラーレートが所定の閥値を超える)周期を監視し、1つのフレームの期間(2ms)に1回の割合で、受信データの一部が破壊されている場合、ステップS23において、干渉元の携帯電話機42−2はフリンジモードではないと判定する。
【0156】
これに対して、主制御部81は、3つのフレームの期間(6ms)に1回の割合で、基地局41−1からの受信データの一部が破壊されている場合、ステップS23において、干渉元の携帯電話機42−2はフリンジモードであると判定する。
【0157】
例えば、いまの時点においては、上述したように、図15に示される状態であるので、主制御部81は、ステップS22の監視による、干渉フレームの発生周期は、毎フレームであると判定し、ステップS23において、干渉元の携帯電話機42−2はフリンジモードではないと判定する。そして、主制御部81は、ステップS27において、ステップS21の処理で生成した要求情報を、バス88、送受信回路部93、およびアンテナ94を介して送信する。
【0158】
アンテナ94より送信された要求情報が、上りリンク45−1を介して基地局41−1に受信されると、基地局41−1は、図16に示されるように、3つのフレーム252−m(mは、任意の整数値),253−m,254−mからなるフレーム群251−mに対応する時間(6ms)をTDDの周期として設定する(図12と図13のステップS43とS44)。
【0159】
ここでは、上述したように、主制御部81は、ステップS23の処理で、指定情報を含まない要求情報を送信したので、基地局42−1は、さらに、図16に示されるように、フレーム群251−mの中の、先頭のフレーム252−mに、情報が下り方向のみに送信される第1の期間を、次のフレーム253−mに、情報が上り方向のみに送信される第2の期間を、最後のフレーム254−mに、情報が送受信されない第3の期間を、それぞれ割り当てる。
【0160】
なお、以下、第1の期間が割り当てられたフレームを、下りリンクフレームと称する。同様に、以下、第2の期間が割り当てられたフレームを、上りリンクフレームと称し、また、第3の期間が割り当てられたフレームを、アブセントフレームと称する。
【0161】
ただし、この例においては、実際には、下りリンクフレーム252−mのうちの下りリンク期間(図16中「D」と記述されている期間)のみ、情報が下り方向に伝送され、かつ、上りリンクフレーム253−mのうちの上りリンク期間(図16中「U」と記述されている期間)のみ、情報が上り方向に伝送される。
【0162】
このようにして、基地局41−1は、下りリンクフレーム、上りリンクフレーム、および、アブセントフレームの順番(図16に示される順番)で配置されるように、各フレームのそれぞれに対して、対応する第1乃至第3の期間を割り当てる(図12と図13のステップS45とS47)。
【0163】
そして、基地局41−1は、フレーム群251−mに対応する時間(6ms)をTDDの周期として、携帯電話機42−1と、上りリンク45−1、または、下りリンク46−1を介して無線通信する(図12と図13のステップS41)。
【0164】
換言すると、主制御部81は、フリンジモードに移行し、図10のステップS1に戻り、フレーム群251−mに対応する時間(6ms)をTDDの周期として、バス88、送受信回路部93、およびアンテナ94、並びに、上りリンク45−1、若しくは、下りリンク46−1を介して、基地局41−1と無線通信する。
【0165】
即ち、図16に示されるように、下りリンクフレーム252−mの下りリンク期間において、基地局41−1は、所定のデータを、下りリンク46−1を介して携帯電話機42−1に送信してくる。このとき、主制御部81は、そのデータを、アンテナ94、送受信回路部93、および、バス88を介して受信する。
【0166】
また、上りリンクフレーム253−mの上りリンク期間において、主制御部81は、バス88、送受信回路部93、およびアンテナ94を介して、所定のデータを送信する。アンテナ94より送信されたデータは、上りリンク45−1を介して基地局41−1に受信される。
【0167】
なお、アブセントフレーム254−mにおいて、主制御部81は、データの送信を禁止するとともに、基地局41−1もデータの送信を禁止する。即ち、アブセントフレーム254−mにおいて、主制御部81と基地局41−1は、相互に無線通信しない。
【0168】
このように、主制御部81は、フリンジモードに移行すると、上りリンクフレーム253−mの下りリンク期間、およびアブセントフレーム254−mを使用しないので、これらの期間に、携帯電話機42−2からの信号による影響を受けることはない。
【0169】
従って携帯電話機42−1において、携帯電話機42−2からの信号に起因する干渉は、携帯電話機42−1が通常の状態で通信する場合(図15に示される状態の場合)、1つのフレーム(2ms)毎に1回発生したが、携帯電話機42−1がフリンジモードで通信する場合(図16に示される状態の場合)、1つのフレーム群251−mに1回、即ち、3つのフレーム(6ms)毎に1回発生する。換言すると、干渉期間255−mは、フレーム群251−mの下りリンクフレーム252−mの下りリンク期間のみに発生する。
【0170】
このように、携帯電話機42−1がフリンジモードに移行すると、携帯電話機42−1において、携帯電話機42−2からの信号に起因する干渉の発生頻度は抑制される。
【0171】
しかしながら、図16に示されるように、発生頻度は減っても、干渉期間255−mが発生することには変わりなく、また、携帯電話機42−2においても、上りリンクフレーム253−mの上りリンク期間(図16中「U」と記述されている期間)に対応する期間で、干渉期間262−mが発生する。即ち、携帯電話機42−2においても、3つのフレームの期間(6ms)に1回の割合で、携帯電話機42−1からの信号に起因する干渉が発生する。
【0172】
このように、携帯電話機42−1のみがフリンジモードで基地局41−1と無線通信しても、干渉の発生頻度は減少するが、干渉自体はなくならない。
【0173】
従って、本発明においては、さらに、一方の携帯電話機(ここでは、携帯電話機42−1)のみならず、他方の携帯電話機(ここでは、携帯電話機42−2)もフリンジモードに移行し、干渉の発生そのものをなくす(ここでは、干渉期間255−m、および、干渉期間262−mの発生をなくす)ようにする。
【0174】
次に、他方の携帯電話機42−2が既にフリンジモードに移行している場合における携帯電話機42−1の通信処理を、図10を参照して説明する。
【0175】
例えば、いま、図4に示されるような位置関係である場合、携帯電話機42−1の主制御部81は、上述したように、図10のステップS1乃至S3の処理を繰り返し、フレームに対応する時間(2ms)をTDDの周期として、基地局41−1と無線通信する。
【0176】
その後、図6に示されるように、携帯電話機42−2が先にフリンジモードに移行したものとすると、携帯電話機42−2により送信された信号(例えば、基地局41−2宛のデータ等)はリンク72を介して携帯電話機42−1に到達する。
【0177】
従って、上述したように、この携帯電話機42−2からの信号により、基地局41−1の受信信号の一部が破壊されることになる。そこで、主制御部81は、それを検出すると、ステップS3において、セル43−1のフリンジ44−1に位置する(干渉を受けている)ことを検出し(検出したと判定し)、ステップ4において、フリンジモードではないと判定し、ステップS5の「フリンジモード移行処理」を実行する。
【0178】
即ち、図11に示されるように、主制御部81は、ステップS21において、TDDの周期として、所定の構成を有するフレーム群(この例では、後述する図19に示されるような、3個のフレームからなるフレーム群311−1等)に対応する周期を要求する要求情報を生成する。
【0179】
ステップS22において、主制御部81は、干渉フレームの発生周期を監視し、ステップS23において、その監視した干渉フレームの周期に基づいて、干渉元の携帯電話機42−2はフリンジモードであるか否かを判定する。
【0180】
例えば、いま、図18に示されるように、携帯電話機42−2が、3個のフレームからなるフレーム群301−1等に対応する周期で、基地局41−2と無線通信しているものとする。即ち、上述したように、携帯電話機42−2は、既にフリンジモードに移行しているものとする。
【0181】
このとき、主制御部81は、ステップS22の監視処理で、3つのフレーム291−p(pは、任意の整数値)乃至291−p+2の期間(6ms)に1回の割合で、干渉期間292―q(qは、任意の整数値)が発生していることを検出すると(干渉フレームの発生周期は、3フレームであると判定すると)、ステップS23において、干渉元の携帯電話機42−2はフリンジモードであると判定する。
【0182】
そして、ステップS24において、主制御部81は、干渉フレームの下りリンク期間の前半で干渉しているか否かを判定する。
【0183】
図18の例では、干渉期間262−1は、干渉フレーム(図18の例では、フレーム291−2とフレーム291−5)の下りリンク期間(図18中「D」と記述されている期間)の後半で干渉しているので、このような場合、主制御部81は、ステップS24において、下りリンク期間の前半で干渉していないと判定し、ステップS26において、干渉フレームに、上りリンクフレームを割り当てることを指定する情報(以下、指定情報と称する)を生成し、ステップS21の処理で生成した要求情報に含める。
【0184】
なお、干渉フレームの下りリンク期間の後半で干渉されている場合に、干渉フレームにアブセントフレームを割り当てることを指定すると、図示はしないが、携帯電話機42−2における下りリンクフレームの制御チャネル送信区間の受信が干渉され続けることになる。従って、干渉フレームの下りリンク期間の後半で干渉されている場合、干渉フレームには、上りリンクフレームが必ず割り当てられる必要がある。
【0185】
ステップS27において、主制御部81は、ステップS26の処理で指定情報を含めた要求情報を、バス88、送受信回路部93、およびアンテナ94を介して送信する。アンテナ94より送信されたデータは、上りリンク45−1を介して基地局41−1に受信される。
【0186】
このとき、基地局41−1は、図19に示されるように、3つのフレーム312−r(rは、任意の整数値),313−r,314−rからなるフレーム群311−rに対応する時間(6ms)をTDDの周期として設定する(図12と図14のステップS43とS44)。
【0187】
さらに、要求情報に指定情報が含まれるので、基地局41−1は、その指定情報に従って、干渉フレームに、指定情報により指定された期間を割り当てる。即ち、この例においては、干渉フレームは、図18に示されるように、携帯電話機42−2の上りリンクフレーム303−rの上りリンク期間(図中「U」と記述されている期間)と、携帯電話機42−1の下りリンク期間(図中「D」と記述されている期間)が重なるフレームである。従って、図19においては、干渉フレームは、フレーム群311−rの中央のフレームに対応するので、基地局41−1は、フレーム群311−rの中で、中央のフレーム313−rに、上りリンクフレームを割り当てる(図12と図14のステップS45とS46)。
【0188】
さらに、基地局41−1は、この例においては、下りリンクフレーム、上りリンクフレーム、および、アブセントフレームの順番(携帯電話機42−2のフリンジモードにおける順番(フレーム群321−1のフレームの順番)と同じ順番)で配置されるように、各フレームのそれぞれに、対応する期間を割り当てる。即ち、基地局41−1は、フレーム群311−rの中央のフレーム313−rに、上りリンクフレームを割り当てたので、最初のフレーム312−rに下りリンクフレームを割り当て、最後のフレーム314−rにアブセントフレームを割り当てる(図12と図14のステップS47)。
【0189】
このようにして、基地局41−1は、フレーム群311−rの期間(6ms)をTDDの周期として、携帯電話機42−1と、上りリンク45−1、または、下りリンク46−1を介して無線通信する(図12と図14のステップS41)。
【0190】
換言すると、携帯電話機42−1の主制御部81は、図10のステップS5のフリンジモード移行処理を終了し(フリンジモードに移行し)、ステップS1に戻り、フレーム群311−rの期間(6ms)をTDDの周期として、バス88、送受信回路部93、およびアンテナ94、並びに、上りリンク45−1、若しくは、下りリンク46−1を介して、基地局41−1と無線通信する。
【0191】
即ち、図19に示されるように、下りリンクフレーム312−rの下りリンク期間において、基地局41−1は、データを、下りリンク46−1を介して携帯電話機42−1に送信してくる。このとき、主制御部81は、そのデータを、アンテナ94、送受信回路部93および、バス88を介して受信する。
【0192】
また、上りリンクフレーム313−rの上りリンク期間において、主制御部81は、バス88、送受信回路部93、およびアンテナ94を介してデータを送信する。アンテナ94より送信されたデータは、上りリンク45−1を介して基地局41−1に受信される。
【0193】
さらに、アブセントフレーム314−rの期間、下りリンクフレーム312−rの上りリンク期間、および、上りリンクフレーム313−rの下りリンク期間において、主制御部81は、データの送信を禁止するとともに、基地局41−2もデータの送信を禁止する。即ち、これらの期間において、携帯電話機42−2と基地局41−2は、相互に無線通信しない。
【0194】
従って、図19に示されるように、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2がともにフリンジモードに移行すると、干渉期間がそれぞれ存在しなくなる。即ち、携帯電話機42−1においては、携帯電話機42−2からの信号に起因する干渉は発生しなくなるとともに、携帯電話機42−2においては、携帯電話機42−1からの信号に起因する干渉は発生しなくなる。
【0195】
以上、携帯電話機42−1の通信処理について説明したが、携帯電話機42−2の通信処理も基本的に同様である。
【0196】
次に、図12を参照して、基地局41−1と基地局41−2の通信処理について説明する。ここでは、携帯電話機42−1,携帯電話機42−2の順にフリンジモードに移行するものとする。
【0197】
いま、図4に示されるように、携帯電話機42−1と基地局41−1が接続されており、かつ、携帯電話機42−2と基地局41−2が接続されている状態であるものとする。
【0198】
この場合、ステップS41において、基地局41−1のCPU141(図9)は、バス144、入出力インタフェース145、および通信部149、並びに、図4の上りリンク45−1、若しくは、下りリンク46−1を介して、携帯電話機42−1と無線通信する。
【0199】
同様に、基地局41−2のCPU141も、ステップS41において、バス144、入出力インタフェース145、および通信部149、並びに、上りリンク45−2、若しくは、下りリンク46−2を介して、携帯電話機42−2と無線通信する。
【0200】
このとき、上述したように、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2は、相互に十分に距離が離れた領域に位置し、相手の送信信号をそれぞれ受信できないので、他方の携帯電話機からの干渉は発生していない。
【0201】
ステップS42において、基地局41−1と基地局41−2のCPU141のそれぞれは、通信の終了が指示されたか否かを判定し、通信の終了が指示されたと判定した場合、その処理を終了する。
【0202】
一方、ステップS42において、基地局41−1のCPU141は、通信の終了が指示されていないと判定した場合、ステップS43において、携帯電話機42−1より要求情報を受信したか否かを判定する。
【0203】
同様に、ステップS42において、基地局41−2のCPU141は、通信の終了が指示されていないと判定した場合、ステップS43において、携帯電話機42−1より要求情報を受信したか否かを判定する。
【0204】
ステップS43において、基地局41−1と基地局41−2のCPU141のそれぞれは、要求情報を受信していないと判定した場合、ステップS41に戻り、それ以降の処理を繰り返す。即ち、基地局41−1のCPU141は、携帯電話機42−1と、基地局41−2のCPU141は、携帯電話機42−2と、それぞれ引き続き無線通信する。
【0205】
いま、図6に示されるように、携帯電話機42−1が、基地局41−1のセル43−1のフリンジ44−1に移動するとともに、携帯電話機42−2が、基地局41−2のセル43−2のフリンジ44−2に移動したものとすると、携帯電話機42−2により送信された信号(例えば、基地局41−2宛のデータ等)はリンク72を介して携帯電話機42−1に到達する。
【0206】
即ち、このとき、上述したように、図15に示されるような干渉期間(同一チャネル干渉)が、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2のそれぞれにおいて発生する。
【0207】
携帯電話機42−1は、上述したように、基地局41−1からの受信信号の一部が破壊されていることを検出すると、図10と図13のステップS3乃至S5において、セル43−1のフリンジ44−1に位置する(干渉を受けている)ことを検出し、フリンジモード移行処理を実行する。
【0208】
即ち、携帯電話機42−1は、図11のステップS21乃至S23の処理により、要求情報を生成し、検出した干渉フレームの周期に基づいて、干渉元の携帯電話機42−2は、フリンジモードであるか否かを判定する。
【0209】
例えば、いまの時点においては、図15に示される状態であるので、携帯電話機42−1は、干渉フレームは毎フレーム発生している(干渉フレームの周期は1フレームである)と判定し、これにより、携帯電話機42−2はフリンジモードではないと判定する。
【0210】
そして、携帯電話機42−1は、図11のステップS27の処理で、要求情報を、上りリンク45−1を介して基地局41−1に送信してくる。
【0211】
図12に戻り、このとき、基地局41−1のCPU141は、ステップS43において、通信部149、入出力インタフェース145、および、バス144を介して要求情報を受信し(要求情報を受信したと判定し)、ステップS44において、図16に示されるように、3つのフレーム252−s(sは、任意の整数値),253−s,254−sからなるフレーム群251−sに対応する時間(6ms)をTDDの周期として設定する。
【0212】
ステップS45において、基地局41−1のCPU141は、要求情報に指定情報が含まれるか否かを判定する。ステップS43の処理で、指定情報を含まない要求情報が受信されたので、基地局41−2のCPU141は、ステップS45において、要求情報に指定情報が含まれていないと判定し、ステップS47において、上述した第1乃至第3の期間のそれぞれが所定の順番で配置されるように、各フレームのそれぞれに、対応する期間を割り当てる。
【0213】
具体的には、この例においては、基地局41−1のCPU141は、図16のフレーム群251−sの中で、先頭のフレーム252−sに、下りリンクフレームを割り当て、中央のフレーム253−sに、上りリンクフレームを割り当て、かつ、最後のフレーム254−sに、アブセントフレームを割り当てる。
【0214】
ただし、この例においても、上述した例と同様に、実際には、下りリンクフレームのうちの下りリンク期間(図16中「D」と記述されている期間)のみ、情報が下り方向に送信され、かつ、上りリンクフレームのうちの上りリンク期間(図16中「U」と記述されている期間)のみ、情報が上り方向に送信される。
【0215】
そして、基地局41−1のCPU141は、ステップS41に戻り、フレーム群251−sに対応する時間(6ms)をTDDの周期として、携帯電話機42−1と、上りリンク45−1、または、下りリンク46−1を介して無線通信する。
【0216】
即ち、携帯電話機42−1は、フリンジモードに移行する。
【0217】
このとき、図16に示されるように、携帯電話機42−2において、3つのフレーム261−t(tは、任意の整数値),261−(t+1),261−(t+2)の期間(6ms)に1回の割合で、干渉期間262−u(uは、任意の整数値)が発生するとともに、携帯電話機42−1において、フレーム群251−s、即ち、3つのフレーム(下りリンクフレーム252−s、上りリンクフレーム253−s、および、アブセントフレーム254−s)の期間(6ms)に1回の割合で、干渉期間255−sが発生する。
【0218】
即ち、上述したように、1つの携帯電話機42−1のみがフリンジモードで基地局41−1と無線通信しても、干渉の発生頻度は減少するが、干渉期間が発生することには変わりない。
【0219】
そこで、本発明においては、上述したように、さらに、携帯電話機42−1のみならず、携帯電話機42−2もフリンジモードに移行し、干渉期間262−u、および、干渉期間255−sの存在をなくし、干渉そのものをなくすようにする。
【0220】
即ち、携帯電話機42−1がフリンジモードに移行すると、携帯電話機42−2は、上述した、干渉元がフリンジモードに移行した場合の携帯電話機42−1の通信処理と同様に、図10と図14のステップS3乃至S5の処理において、セル43−1のフリンジ44−1に位置する(干渉を受けている)ことを検出し、フリンジモード移行処理を実行する。
【0221】
即ち、携帯電話機42−2は、図11のステップS21乃至S23の処理により、要求情報を生成し、監視した干渉フレームの周期に基づいて、干渉元の携帯電話機42−1は、フリンジモードであるか否かを判定する。
【0222】
例えば、いまの時点においては、図16に示される状態であるので、携帯電話機42−2は、干渉フレーム(図16の例では、フレーム261−3,フレーム261−6)は3フレームに1回の割合で発生している(干渉フレームの周期は3フレームである)と判定し、これにより、携帯電話機42−1はフリンジモードであると判定する。
【0223】
さらに、携帯電話機42−2は、図11のステップS24の処理で、干渉フレームの下りリンク期間の前半で干渉しているか否かを判定する。
【0224】
図16の例では、干渉期間262−1は、フレーム261−3の下りリンク期間(図中「D」と記述されている期間)の前半で干渉しているので、このような場合、携帯電話機42−2は、図11のステップS24において、干渉フレームの下りリンク期間の前半で干渉していると判定する。携帯電話機42−2は、ステップS25において、干渉フレームに、アブセントフレームを割り当てることを指定する指定情報を生成し、要求情報に含める。そして、携帯電話機42−2は、ステップS27において、指定情報を含む要求情報を、上りリンク45−2を介して基地局41−2に送信する。
【0225】
図12に戻り、このとき、基地局41−2のCPU141は、ステップS43において、その指定情報を含む要求情報を、通信部149、入出力インタフェース145、およびバス144を介して受信し(受信したと判定し)、ステップS44において、図17に示されるように、3つのフレーム282−v(vは、任意の整数値),283−v,284−vからなるフレーム群281−vに対応する時間(6ms)をTDDの周期として設定する。
【0226】
ステップS45において、基地局41−2のCPU141は、要求情報に指定情報が含まれるか否かを判定し、要求情報に指定情報が含まれていないと判定した場合、ステップS46の処理を実行せずに、ステップS47に進む。
【0227】
この例においては、基地局41−2のCPU141は、いま、ステップS43の処理で、指定情報を含む要求情報を受信したので、ステップS45において、要求情報に指定情報を含むと判定し、ステップS46において、干渉フレームに、指定情報により指定された期間、即ち、アブセントフレームを割り当てる。
【0228】
具体的には、この例においては、図16に示されるように、干渉フレームは、携帯電話機42−1の上りリンクフレーム253−vの上りリンク期間(図中「U」と記述されている期間)と、携帯電話機42−2の下りリンク期間(図中「D」と記述されている期間)が重なるフレームである。従って、図17においては、干渉フレームは、フレーム群281−vの最後のフレーム284−vに対応するので、基地局41−2のCPU141は、最後のフレーム284−vに、アブセントフレームを割り当てる。
【0229】
さらに、基地局41−2のCPU141は、ステップS47において、各期間のそれぞれが所定の順番で配置されるように、各フレームのそれぞれに、対応する期間を割り当てる。
【0230】
具体的には、この例においては、基地局41−2のCPU141は、下りリンクフレーム、上りリンクフレーム、および、アブセントフレームの順番(携帯電話機42−1のフリンジモードにおける順番(図17のフレーム群271−1の順番)と同じ順番)で配置されるように、各フレームのそれぞれに、対応する期間を割り当てる。
【0231】
即ち、基地局41−2のCPU141は、ステップS46の処理で、図17のフレーム群281−vの最後のフレー284−vに、アブセントフレームを割り当てたので、最初のフレーム282−vに下りリンクフレームを割り当て、中央のフレーム283−vに上りリンクフレームを割り当てる。
【0232】
そして、基地局41−2のCPU141は、ステップS41に戻り、フレーム群281−vの期間(6ms)をTDDの周期として、携帯電話機42−2と、バス144、入出力インタフェース145、および、通信部149、並びに、上りリンク45−2、または、下りリンク46−2を介して無線通信する。
【0233】
換言すると、携帯電話機42−2は、フリンジモードに移行する。
【0234】
このとき(携帯電話機42−1と携帯電話機42−2がともにフリンジモードで無線通信するとき)、図17に示されるように、干渉期間がそれぞれ存在しなくなる。即ち、携帯電話機42−1においては、携帯電話機42−2からの信号に起因する干渉が発生しなくなるとともに、携帯電話機42−2においては、携帯電話機42−1からの信号に起因する干渉が発生しなくなる。
【0235】
このように、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2がそれぞれフリンジモードに移行することで、即ち、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2の両方のTDDの周期が変更されることで、両者間での移動局間の干渉がそれぞれ解消される。
【0236】
その結果、本発明の無線通信システム31は、同一チャネル干渉に起因するシステムパフォーマンスの劣化を低減させ、かつ、周波数利用効率のよい無線通信を行うという効果を奏することができる。特に、基地局同士が非同期で運用されており、かつ、基地局間での折衝が行われない場合、例えば、異なる通信会社が管理する複数の基地局が接近して設置されているような場合であって、トラヒック用周波数チャネルが、制御用チャネルと同一の周波数チャネルに存在し、かつ多数の周波数チャネルが存在しないようなときに、その効果が顕著に現れる。
【0237】
なお、上述した例においては、非標準のTDDの周期(フリンジモードにおけるTDDの周期)は、3つのフレームからなるフレーム群に対応する時間とされたが、3つ以上の複数のフレームからなるフレーム群とされてもよい。
【0238】
例えば、フリンジモードに移行した携帯電話機42−1においては、図20に示されるように、4つのフレーム352−1,353−1,354−1,355−1からなるフレーム群351−1に対応する時間が、フリンジモードに移行した携帯電話機42−2においては、図21に示されるように、4つのフレーム382−1,383−1,384−1,385−1からなるフレーム群381−1が、それぞれTDDの周期とされてもよい。この場合も、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2の両者がフリンジモードに移行すると、図21に示されるように、携帯電話機42−1においては、携帯電話機42−2からの信号に起因する干渉がなくなるとともに、携帯電話機42−2においては、携帯電話機42−1からの信号に起因する干渉がなくなる。
【0239】
ただし、複数のフレームからなるフレーム群がTDDの周期とされる場合、そのフレーム群は、1つの上りリンクフレームと、1つのアブセントフレームと、1つ以上の下りリンクフレームとから構成される。例えば、図21に示されるように、フレーム群371−1は、1つの上りリンクフレーム374−1、1つのアブセントフレーム375−1、並びに、2つの下りリンクフレーム372−1,373−1から構成される。同様に、フレーム群381−1は、1つの上りリンクフレーム384−1、1つのアブセントフレーム385−1、並びに、2つの下りリンクフレーム382−1,383−1から構成される。
【0240】
なお、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2がそれぞれフリンジモードに移行した場合、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2が使用しないタイムスロット(例えば、アブセントフレーム等の期間)が出現するが、基地局41−1と基地局41−2は、通常、複数の携帯電話機との間で無線通信をしていることから、これらのタイムスロットにおいては、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2のようにセルのフリンジに位置しない他の携帯電話機との間で無線通信することができる。
【0241】
例えば、図22に示されるように、いま、基地局41−1は、そのセル43−1のフリンジ44−1に位置する携帯電話機42−1、および、そのセル43−1内のフリンジ44−1以外の領域に位置する携帯電話機42−3のそれぞれと無線通信するものとする。
【0242】
この場合、携帯電話機42−1は、上述したように、フリンジモードで、基地局41−1と無線通信する。即ち、基地局41−1は、3つのフレームからなるフレーム群の期間(6ms)をTDDの周期として、そのフレーム群を構成する3つのフレームに対して、上りリンクフレーム、下りリンクフレーム、または、アブセントフレームのうちのいずれかをそれぞれ割り当てる。
【0243】
このとき、基地局41−1は、携帯電話機42−3に対しては、携帯電話機42−1の上りリンクフレームおよびアブセントフレームに対応する期間のリソースを割り当てる。
【0244】
携帯電話機42−3は、携帯電話機42−2とは通信できない領域に位置するため、携帯電話機42−3により送信された信号は、携帯電話機42−2に干渉を与えることはない。また、フリンジ44−1に位置しない携帯電話機42−3が使用できる帯域が圧迫されることもない。
【0245】
さらに、本発明の無線通信システム31において、基地局41−1と基地局41−2は、上りリンク期間と下りリンク期間の切れ目を、他の基地局との折衝をすることなく、自由に設定することができる。
【0246】
端的な例を示すと、図6に示されるように、基地局41−1のセル43−1内には携帯電話機42−1のみが存在し、かつ、基地局41−2のセル43−2内には携帯電話機42−2のみが発生する場合、基地局41−1と基地局41−2はそれぞれ、上りリンクフレームにおいては下りリンク期間に割り当てていた時間帯を削除し、上りリンクフレームを全面的に上りリンク期間として使用することができる。同様に、基地局41−1と基地局41−2はそれぞれ、下りリンクフレームを全面的に下りリンク期間として使用することができる。
【0247】
この場合、無駄になるリソースはアブセントフレームのみとなり、周波数利用効率は高くなる。また、元のフレームの構成は崩されていないので、この状態、即ち、携帯電話機42−1と携帯電話機42−2がフリンジモードで無線通信している状態で、新たな携帯電話機が、セル43−1またはセル43−2内に移動し、その新たな携帯電話機と基地局41−1または基地局41−2が無線通信する場合でも、何ら問題は発生しない。
【0248】
さらに、フリンジモードに移行した移動局は、アブセントフレームの時間帯を用いて、周辺の基地局をサーチする処理を行うことができる。フリンジモードに移行した移動局は、一般的には他のセルの近傍に位置していることが多く、このような場合には、より頻繁にセルサーチを行うことが望ましい。従って、フリンジモードに移行した移動局は、特殊な手順を必要とせずにセルサーチを行うことができる。
【0249】
また、無線通信システム31において、移動局(携帯電話機)が、セルのフリンジに位置する(干渉を受ける)ことを検出する検出方法は、上述したように限定されず、例えば、移動局は、基地局からの受信信号の一部が干渉波により破壊されたこと(エラーレートが所定の閥値以上になったこと)を検出することで、または、他の基地局と接続された他の移動局からの送信信号を検出(たとえばプリアンブル検出など)することで、フリンジに位置する(干渉を受ける)ことを検出することができる。
【0250】
さらに、移動局は、接続された基地局以外の他の基地局からの信号を受信することにより(例えば、図6の例では、携帯電話機42−1は、基地局41−2からの信号を受信することにより)、フリンジに位置する(干渉を受ける)ことを検出してもよい。
【0251】
この場合、移動局における基地局からの受信信号は、他の基地局からの送信信号により干渉をうけることになるが、チャネルコーディングのパラメータ(たとえば符号化率、変調方式、または、拡散率等)の値が対干渉特性の高い値に変更されることにより、通信が途切れることはない。
【0252】
即ち、移動局が、接続された基地局以外の他の基地局からの信号を受信することにより、フリンジモードに移行した場合、送信電力を低減させ、かつチャネルコーディングのパラメータ(たとえば符号化率、変調方式、拡散率など)の値を対干渉特性の高いものに変更してもよい。これにより、無線通信システム31は、与干渉低減に貢献し、かつ、システムパフォーマンスをさらに高く維持することが可能となる。
【0253】
また、無線通信システム31は、上述した例では、基地局間が非同期である場合に適応されたが、この場合に限定されず、適応することができる。例えば、基地局間が同期している場合であり、かつ何らかの理由によりフレーム開始タイミングがずれている場合等にも、無線通信システム31は適応することができる。この場合も、無線通信システム31は、上述した例と同様の効果を奏することができる。
【0254】
さらに、無線通信システム31において、移動局がフリンジモードに移行する処理は、上述した例では、移動局がフリンジモードへ入ることを基地局に通達し、その基地局が下りリンクフレーム、上りリンクフレーム、および、アブセントフレームを定義する処理であったが、この処理に限定されず、例えば、移動局は、干渉元の他の移動局と直接通信を行い、移動局と他の移動局の間で、下りリンクフレーム、上りリンクフレーム、および、アブセントフレームを定義し、折衝を行ってもよい。この場合、無線通信システム31は、図4、図6、および図22に示されるような、上りリンクと下りリンクが明示的に定義されているシステムには限定されず、その他、例えば、無線通信システム31は、Media Access ControlがCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)、CSMA/CA(CSMA with Collision Avoidance)等に実装されているシステムでもよい。
【0255】
このような、移動局間で相互に折衝して、それぞれのTDDの周期を変更する移動局の動作例について、図23と図24を参照して説明する。
【0256】
いま、IEEE(The Institute of Electrical and Electronic Engineers , Inc.)802.11の無線LANシステムとして規定されている通信方式により、第1の移動局と第1の基地局が、標準のTDDの周期を利用して無線通信するとともに、第2の移動局と第2の基地局も、標準のTDDの周期を利用して無線通信しているものとする。
【0257】
なお、IEEE802.11においては、上述したような上りリンク期間、下りリンク期間などは定義されておらず、フレームは、ポーリングによりアクセス制御を行うCFP(Contention Free Period)とCSMAによるアクセス制御が行われるCAP(Contention Access Period)に分割されている。なお、フレームの先頭部分では、Hiperlan2同様、基地局から制御情報がビーコンとして定期的に送信されている。この例においては、例えば、第1の移動局と第2の移動局が利用している標準のTDDの周期は、図24に示されるような、フレーム402−1に対応する時間とされ、第1の基地局と第2の基地局が利用している標準のTDDの周期は、フレーム412−1に対応する時間とされる。
【0258】
図23に示されるように、第1の移動局は、ステップS61において、第1の基地局と無線通信する。
【0259】
ステップS62において、第1の移動局は、通信の終了が指示されたか否かを判定し、通信の終了が指示されたと判定した場合、その処理を終了するが、通信の終了が指示されていないと判定した場合、ステップS63に進む。
【0260】
第1の移動局は、ステップS63において、第1の基地局のセルのフリンジに位置することを検出したと判定し、かつ、ステップS64において、フリンジモードでないと判定した場合、ステップS65に進み、それら以外の場合(ステップS63において、セルのフリンジに位置することを検出していないと判定した場合、または、ステップS64において、フリンジモードであると判定した場合)、ステップS61に戻り、その直前に利用していたTDDの周期を引き続き利用して、基地局と無線通信し、それ以降の処理を繰り返す。
【0261】
ステップS65において、第1の移動局は、干渉信号(パケット)の受信を試み、この受信信号より干渉元(第2の移動局)のアドレス(パケットの送信元のアドレス)を抽出する。
【0262】
ステップS66において、第1の移動局は、ステップS65の処理で抽出したアドレスに向けて、即ち、干渉元(第2の移動局)に対して、フリンジモードに入るネゴシエーション(折衝)を開始すべく、所定の制御信号を上述したCAPの時間帯で送信する。
【0263】
第2の移動局が、この制御信号を受信すると、第1の移動局とフリンジモードのネゴシエーションを開始する。換言すると、このとき、第1の移動局は、ステップS67において、干渉元(第2の移動局)とネゴシエーションする(折衝を行う)。
【0264】
ステップS68において、第1の移動局は、干渉元(第2の移動局)は、異なる基地局と無線通信しているか否かを判定し、異なる基地局と無線通信していないと判定した場合(第1の移動局が通信している基地局と同一の第1の基地局と無線通信していると判定した場合)、フリンジモードに移行せず、ステップS61に戻り、標準のTDDの周期を引き続き利用して、第1の基地局と無線通信する。
【0265】
この例においては、干渉元(第2の移動局)は、第2の基地局と無線通信しているので、第1の移動局は、ステップS68において、異なる基地局と無線通信していると判定し、ステップS69において、第1および第2の移動局のそれぞれが保持しているフレーム時刻情報を元に、アブセントフレームを定義する。
【0266】
そして、第1の移動局は、ステップS70において、上述したようなフリンジモード移行処理を実行し、フリンジモードに移行する。
【0267】
このとき、同時に、第2の移動局も、フリンジモード移行処理を実行し、フリンジモードに移行する。
【0268】
ただし、フリンジモードに移行する場合、第1および第2の移動局のそれぞれは、これまで通信をしていた相手(即ち、この例においては、第1の移動局に対しては、第1の基地局、第2の移動局に対しては、第2の基地局)に対して、自分がフリンジモードに入った旨を通達し(例えば、上述した要求情報に相当する情報を送信し)、CFP領域においては、下りリンクフレームのみ自局宛に信号を送信させ、かつ、アブセントフレームでは、CAP領域においても信号を送信させないことを要求する。
【0269】
その後、処理は、ステップS61に戻り、第1の移動局は、図24に示されるように、フレーム群401−1に対応する時間をTDDの周期として、基地局42−1と無線通信する。このとき、第2の移動局は、フレーム群411−1に対応する時間をTDDの周期として、基地局42−2と無線通信する。
【0270】
即ち、第1および第2の移動局のそれぞれは、TDDの周期として、2フレームごとにアクティブなフレームと、アブセントフレームとを互い違いに配置されたフレーム群を利用する。これにより、第1および第2の移動局の間で干渉しあう時間帯を大幅に削減することが可能となる。なお、TDDの周期として利用されるフレーム群の構成は、上述した、2フレームごとにアクティブなフレームと、アブセントフレームとを互い違いに配置された構成に限定されず、任意の数フレームおきにアクティブなフレームと、アブセントフレームとが配置された構成でもよい。
【0271】
なお、アクティブなフレームとして、図24の例においては、下りリンクフレーム、および、上りリンクフレームが定義されているが、CAP領域では、このダウンリンクフレームに関わらず送受信可能とされる。また、下りリンクフレームにおいても上りリンクフレームの送信は可能とされる。
【0272】
ただし、アブセントフレームとアクティブなフレームが1フレームおきに配置される場合は、図示はしないが、第1の移動局におけるCAP領域が常に第2の移動局のCFP領域により侵食されたり、第2の移動局におけるビーコンやCFP領域が常に第1の移動局のCFP領域により侵食されるおそれがあるので、注意を要する。
【0273】
無線通信システム31において、上述した例では、同一周波数チャネル上で生じる移動局間干渉を防止するようにしたのであるが、これにより、例えば、移動局が複数の基地局と同時に通信回線を設立するソフトハンドオフを実行することも可能となる。
【0274】
即ち、従来のTDD方式の無線通信システムにおいては、送信タイミングと受信タイミングが重なることが大きな問題となっていたため、非同期のTDD方式の無線通信システムにおいては、ソフトハンドオフの実行は考慮されていなかった。しかしながら、この無線通信システム31においては、上述したように、移動局は、非同期関係にある複数の基地局と同時に通信を行う場合においても、同時に送信と受信を行うことはなくなるので、無線通信システム31は、ソフトハンドオフを実行することができる。特に、無線通信システム31は、移動局が複数のRF(Radio Frequency)ユニットを備え、各々異なる周波数チャネルを有する複数の基地局の間と同時に無線通信する場合のシステムとして好適である。
【0275】
なお、上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用の携帯電話機,および、パーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0276】
この記録媒体は、携帯電話機である場合、図7に示されるように、携帯電話機とは別に、ユーザ等にプログラムを提供するために配布される、プログラムが記憶されているリムーバブル記録媒体96、例えば、上述した半導体メモリであるメモリスティック等よりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記憶されている主制御部81のROMなどで構成される。
【0277】
また、この記録媒体は、基地局としての装置である場合、図9に示されるように、基地局とは別に、その管理者等にプログラムを提供するために配布される、プログラムが記憶されているリムーバブル記録媒体151、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM,DVDを含む)、光磁気ディスク(MDを含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記憶されているROM142や、記憶部148に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0278】
なお、本明細書において、記録媒体に記憶されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0279】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置や処理部により構成される装置全体を表すものである。
【0280】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明によれば、確実に、無線通信することができる。
【0281】
また、本発明によれば、同一チャネル干渉に起因するシステムパフォーマンスの劣化を低減させ、かつ、周波数利用効率のよい無線通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】周波数分割数が7とされた場合の周波数繰り返しの構成例を示す図である。
【図2】周波数分割数が3とされた場合の周波数繰り返しの構成例を示す図である。
【図3】同一チャネル干渉を説明する従来の無線通信システムの構成例を示す図である。
【図4】本発明が適用され無線通信システムの構成例を示す図である。
【図5】図4の無線通信システムの各基地局と各携帯電話機が無線通信する場合のタイムチャートの一例である。
【図6】図4の無線通信システムの基地局に接続されている携帯電話機がセルのフリンジに位置する場合の無線通信システムの構成例を示す図である。
【図7】本発明が適用された携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の携帯電話機の送受信回路部の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明が適用された基地局としての装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】図7の携帯電話機の通信処理例を説明するフローチャートである。
【図11】図9の基地局の通信処理例を説明するフローチャートである。
【図12】図7の携帯電話機、および、図9の基地局の通信処理例の関係を示すアローチャートである。
【図13】図7の携帯電話機、および、図9の基地局の通信処理例の関係を示すアローチャートである。
【図14】図4の無線通信システムの各基地局と各携帯電話機が無線通信する場合のタイムチャートの例である。
【図15】図4の無線通信システムの各基地局と各携帯電話機が無線通信する場合のタイムチャートの例である。
【図16】図4の無線通信システムの各基地局と各携帯電話機が無線通信する場合のタイムチャートの例である。
【図17】図4の無線通信システムの各基地局と各携帯電話機が無線通信する場合のタイムチャートの例である。
【図18】図4の無線通信システムの各基地局と各携帯電話機が無線通信する場合のタイムチャートの例である。
【図19】図4の無線通信システムの各基地局と各携帯電話機が無線通信する場合のタイムチャートの例である。
【図20】図4の無線通信システムの各基地局と各携帯電話機が無線通信する場合のタイムチャートの例である。
【図21】図4の無線通信システムの各基地局と各携帯電話機が無線通信する場合のタイムチャートの例である。
【図22】図4の無線通信システムの基地局が、セルのフリンジに位置する携帯電話機と、フリンジ以外のセル内の領域に位置する携帯電話機と無線通信する場合の、本発明が適用される無線通信システムの構成例を示す図である。
【図23】本発明が適用される無線通信システムの通信処理の他の例を説明するフローチャートである。
【図24】図23の無線通信システムの通信処理により、各基地局と各携帯電話機が無線通信する場合のタイムチャートの例である。
【符号の説明】
31 無線通信システム 41−1,41−2 基地局, 42−1,42−2 携帯電話機, 43−1,43−2 セル, 44−1,44−2 フリンジ, 45−1,45−2 上りリンク, 46−1,46−2 下りリンク,81 主制御部, 93 送受信回路部, 94 アンテナ, 141 CPU, 149 通信部, 52 下りリンク期間, 53 上りリンク期間, 54 フレーム, 62 下りリンク期間, 63 上りリンク期間,64 フレーム,232,242 干渉期間, 271 フレーム群, 272 下りリンクフレーム, 273 上りリンクフレーム, 274 アブセントフレーム
Claims (21)
- 上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期を利用するTDD方式により、移動無線通信装置と固定無線通信装置とが、相互に無線通信する無線通信システムにおいて、
前記固定無線通信装置は、前記TDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、第1および第2の移動無線通信装置のそれぞれと相互に無線通信し、
前記第1の移動無線通信装置が、前記固定無線通信装置との通信に干渉を受ける場合、前記固定無線通信装置は、前記第1の移動無線通信装置に対する前記TDDの周期として、連続する複数の前記フレームから構成されるフレーム群に対応する第2のTDDの周期を設定し、
設定した前記第2のTDDの周期を利用して、前記フレーム群を構成する前記複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、前記第1の移動無線通信装置と相互に無線通信するとともに、前記第1のTDDの周期を利用して、前記第2の移動無線通信装置と相互に無線通信する
ことを特徴とする無線通信システム。 - 前記固定無線通信装置は、前記第2の TDD の周期を利用して、前記第1のフレームのうちの前記下りリンク期間のみで下り方向に情報が伝送され、前記第2のフレームのうちの前記上りリンク期間で上り方向に情報が伝送され、前記第3のフレームで情報が伝送されないように、前記第1の移動無線通信装置と相互に無線通信する
請求項1に記載の無線通信システム。 - 上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期を利用するTDD方式により、固定無線通信装置と相互に無線通信する移動無線通信装置において、
前記TDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、前記固定無線通信装置と相互に無線通信する通信手段と、
前記通信手段による通信が干渉を受けていることを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記通信手段による通信が干渉を受けていることが検出された場合、これから利用する前記TDDの周期として、連続する複数の前記フレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報を生成する生成手段と
を備え、
前記通信手段は、前記生成手段により生成された前記要求情報を、前記固定無線通信装置に送信し、前記要求情報に基づいて、前記固定無線通信装置により設定された、前記フレーム群に対応する第2のTDDの周期を利用して、前記フレーム群を構成する前記複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、前記固定無線通信装置と相互に無線通信する
ことを特徴とする移動無線通信装置。 - 前記通信手段は、前記第2の TDD の周期を利用して、前記第1のフレームのうちの前記下りリンク期間のみで下り方向に情報が伝送され、前記第2のフレームのうちの前記上りリンク期間で上り方向に情報が伝送され、前記第3のフレームで情報が伝送されないように、前記第1の移動無線通信装置と相互に無線通信する
請求項3に記載の無線通信装置。 - 前記第3のフレームにおいて、前記固定無線通信装置とは異なる他の前記固定無線通信装置の存在を探索する探索手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の移動無線通信装置。 - 前記フレーム群が4つ以上の前記フレームで構成される場合、前記フレーム群のうち、所定の1つが前記第2のフレームとされ、前記第2のフレームとは異なる所定の1つが前記第3のフレームとされ、かつ、前記第2および前記第3のフレームを除く、残りの前記フレームのそれぞれは、前記第1のフレームとされる
ことを特徴とする請求項3に記載の移動無線通信装置。 - 前記フレーム群を構成する前記複数のフレームのそれぞれには、予め設定された所定の順番で、前記第1乃至前記第3のフレームが割り当てられる
ことを特徴とする請求項3に記載の移動無線通信装置。 - 前記検出手段は、前記下りリンク期間におけるエラーレートに基づいて、前記干渉を受けていることを検出する
ことを特徴とする請求項3に記載の移動無線通信装置。 - 前記検出手段は、前記通信手段により、他の移動無線通信装置により送信された信号が受信された場合、前記干渉を受けていることを検出する
ことを特徴とする請求項3に記載の移動無線通信装置。 - 前記検出手段は、前記通信手段により、前記固定無線通信装置とは異なる他の固定無線通信装置により送信された信号が受信された場合、前記干渉を受けていることを検出する
ことを特徴とする請求項3に記載の移動無線通信装置。 - 前記検出手段により干渉を受けていることが検出された場合、干渉元の他の固定無線通信装置または他の移動無線通信装置に対して通信回線を開設する開設手段をさらに備え、
前記通信手段は、前記固定無線通信装置と無線通信を継続するとともに、前記開設手段により開設された前記通信回線を利用して、前記他の固定無線通信装置または前記他の移動無線通信装置と無線通信を開始する
ことを特徴とする請求項3に記載の移動無線通信装置。 - 前記下りリンク期間において、前記干渉が発生する周期を監視する監視手段と、
前記監視手段により監視された前記干渉が発生する周期に基づいて、他の移動無線通信装置により前記第2のTDDの周期が既に利用されているか否かを推定する推定手段と
をさらに備え、
前記生成手段は、前記推定手段により、前記他の移動無線通信装置により前記第2のTDDの周期が既に利用されていると推定された場合、さらに、前記干渉が発生するフレームを、前記第2または前記第3のフレームのうちのいずれか一方とすることを指定する指定情報を生成し、生成した前記指定情報を前記要求情報に含める
ことを特徴とする請求項3に記載の移動無線通信装置。 - 前記生成手段は、前記通信手段が前記干渉を受けるタイミングが、前記下りリンク期間の前半部である場合、前記第3のフレームを指定し、前記通信手段が前記干渉を受けるタイミングが、前記下りリンク期間の後半部である場合、前記第2のフレームを指定する
ことを特徴とする請求項12に記載の移動無線通信装置。 - 前記検出手段により前記干渉を受けることが検出された場合、干渉元の他の移動無線通信装置と前記通信手段を介して折衝を行い、その折衝の結果に基づいて、これから利用する前記TDDの周期として、前記フレーム群に対応するものを要求するかを決定する決定手段をさらに備え、
前記生成手段は、これから利用する前記TDDの周期として、前記フレーム群に対応するものを要求すると決定された場合、前記要求情報を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の移動無線通信装置。 - 前記決定手段は、前記他の移動無線通信装置が、前記通信手段が通信している前記固定無線通信装置と同一の前記固定無線通信装置と無線通信している場合、これから利用する前記 TDD の周期として、前記フレーム群に対応するものを要求しないことを決定し、
前記通信手段は、前記第1のTDDの周期を引き続き利用して、前記固定無線通信装置と相互に無線通信する
ことを特徴とする請求項14に記載の移動無線通信装置。 - 上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期を利用するTDD方式により、固定無線通信装置と相互に無線通信する移動無線通信装置の無線通信方法において、
前記TDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、前記固定無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御する第1の通信制御ステップと、
前記固定無線通信装置との通信が干渉を受けていることを検出する検出ステップと、
前記検出ステップの処理により前記固定無線通信装置との通信が干渉を受けていることが検出された場合、これから利用する前記TDDの周期として、連続する複数の前記フレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報を生成する生成ステップと、
前記生成ステップの処理により生成された前記要求情報の、前記固定無線通信装置への送信を制御する第2の通信制御ステップと、
前記固定無線通信装置により、前記第2の通信制御ステップの処理により送信が制御された前記要求情報に対して設定された第2の TDDの周期を利用して、前記フレーム群を構成する前記複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、前記固定無線通信装置との間で相互に行われる無線通信を制御する第3の通信制御ステップと
を含むことを特徴とする無線通信方法。 - 上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期を利用するTDD方式により、固定無線通信装置と相互に無線通信する移動無線通信装置を制御するコンピュータに、
前記TDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、前記固定無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御する第1の通信制御ステップと、
前記固定無線通信装置との通信が干渉を受けていることを検出する検出ステップと、
前記検出ステップの処理により前記固定無線通信装置との通信が干渉を受けていることが検出された場合、これから利用する前記TDDの周期として、連続する複数の前記フレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報を生成する生成ステップと、
前記生成ステップの処理により生成された前記要求情報の、前記固定無線通信装置への送信を制御する第2の通信制御ステップと、
前記固定無線通信装置により、前記第2の通信制御ステップの処理により送信が制御された前記要求情報に対して設定された第2の TDDの周期を利用して、前記フレーム群を構成する前記複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、前記固定無線通信装置との間で相互に行われる無線通信を制御する第3の通信制御ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。 - 上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期を利用するTDD方式により、移動無線通信装置と相互に無線通信する固定無線通信装置において、
前記TDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、第1および第2の移動無線通信装置のそれぞれと相互に無線通信する通信手段と、
前記通信手段により、前記第1の移動無線通信装置から、これから利用する前記TDDの周期として、連続する複数の前記フレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報が受信された場合、前記第1の移動無線通信装置との通信に対して、前記フレーム群に対応する第2のTDDの周期を設定する設定手段と
を備え、
前記通信手段は、前記設定手段により設定された前記第2の TDDの周期を利用して、前記フレーム群を構成する前記複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、前記第1の移動無線通信装置と相互に無線通信するとともに、前記第1のTDDの周期を利用して、前記第2の移動無線通信装置と相互に無線通信する
ことを特徴とする固定無線通信装置。 - 前記通信手段は、前記第2の TDD の周期を利用して、前記第1のフレームのうちの前記下りリンク期間のみで下り方向に情報が伝送され、前記第2のフレームのうちの前記上りリンク期間で上り方向に情報が伝送され、前記第3のフレームで情報が伝送されないように、前記第1の移動無線通信装置と相互に無線通信する
請求項16に記載の無線通信装置。 - 上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期を利用するTDD方式により、移動無線通信装置と相互に無線通信する固定無線通信装置の無線通信方法において、
前記TDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、第1および第2の移動無線通信装置のそれぞれと相互に行われる無線通信を制御する第1の通信制御ステップと、
前記第1の移動無線通信装置から、これから利用する前記TDDの周期として、連続する複数の前記フレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報が受信された場合、前記第1の移動無線通信装置との通信に対して、前記フレーム群に対応する第2のTDDの周期を設定する設定ステップと、
前記設定ステップの処理により設定された前記前記第2のTDDの周期を利用して、前記フレーム群を構成する前記複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されないように、前記第1の移動無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御するとともに、前記第1のTDDの周期を利用して、前記第2の移動無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御する第2の通信制御ステップと
を含むことを特徴とする無線通信方法。 - 上りと下りとのうちの一方向に情報が送信される時間のタイミングの周期であるTDDの周期を利用するTDD方式により、移動無線通信装置と相互に無線通信する固定無線通信装置を制御するコンピュータに、
前記TDDの周期として、下り方向に情報が伝送される下りリンク期間、および、上り方向に情報が伝送される上りリンク期間を含む所定のフレームに対応する第1のTDDの周期を利用して、第1および第2の移動無線通信装置のそれぞれと相互に行われる無線通信を制御する第1の通信制御ステップと、
前記第1の移動無線通信装置から、これから利用するTDDの周期として、連続する複数の前記フレームから構成されるフレーム群に対応するものを要求する要求情報が受信された場合、前記第1の移動無線通信装置との通信に対して、前記フレーム群に対応する第2のTDDの周期を設定する設定ステップと、
前記設定ステップの処理により設定された前記第2のTDDの周期を利用して、前記フレーム群を構成する前記複数のフレームのうちの、第1のフレームで下り方向に情報が伝送され、第2のフレームで上り方向に情報が伝送され、第3のフレームで情報が伝送されな いように、前記第1の移動無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御するとともに、前記第1のTDDの周期を利用して、前記第2の移動無線通信装置と相互に行われる無線通信を制御する第2の通信制御ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。
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