JP3950976B2 - 3次元幾何データの無矛盾化方法及びそのシステム - Google Patents
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Description
(1)超3角形(ゼロ3角形)幾何データ処理
(2)4次元同次座標系幾何処理
(3)可変長ビットの整数演算
(1)3次元幾何図形の表面データである境界面データを、3角形面データまたは3角形の3つの頂点が同一直線上となるゼロ3角形データにより構成し処理する。特に、ゼロ3角形データ形式を用いた幾何処理により、不必要な数値桁数の増大および不必要なデータ量の増大を抑制する。
(2)3次元幾何データを構成する頂点データの座標値データ等を必要精度に応じて切り捨てを行い、数値桁数の増大に対処する。
(3)前記座標値データ等の切り捨て処理により、発生する幾何矛盾を検出し除去する。この処理は、縮退3角形面の検出除去処理、面の重なり検出除去処理および矛盾立体の検出除去処理から構成される。
(4)上記のすべての処理を、4次元同次座標系幾何処理と可変長ビット演算により無誤差演算で行う。4次元同次座標系幾何処理を用いることにより、割り算を排除し、すべての演算を無誤差で行うことができる。
例えば、1÷3のように割り算があると循環小数(無限の桁数)となり、有限の桁数(ビット長)で表現することが出来なくなり、無誤算演算が出来なくなる。これに対して、割り算が必要でない4次元同次座標系幾何処理では、扱う数値が全て有限桁数の有理数であるとすれば、その演算結果も有限桁数の有理数となる。無限桁数の循環小数等になることはない。
<4次元同次座標幾何演算>
以下、本実施形態で用いる4次元同次座標幾何演算に関して説明する。なお、特に説明なきもので、太文字のものはベクトル、行列を表すものとする。
(1)2点から線の生成
2点V0=(X0、Y0、Z0、w0)及びV1=(X1、Y1、Z1、w1)を通る直線L01は次式(数1)で与えられる。ただし、V0、V1、L01はベクトル、行列を表している。
3点V0=(X0、Y0、Z0、w0)、V1=(X1、Y1、Z1、w1)、V2=(X2、Y2、Z2、w2)を通る面F012は、次式(数3)で与えられる。ただし、V0、V1、V2、F012はベクトル、行列を表している。
2点Va=(Xa、Ya、Za、wa)およびVb=(Xb、Yb、Zb、wb)を通る直線と、面F012との交点Vは、次式(数5)で与えられる。ただし、Va、Vb、F012はベクトル、行列を表している。
2点V0=(X0、Y0、Z0、w0)とV1=(X1、Y1、Z1、w1)の一致判定は、前記2点を通る直線L01において以下(数7)となることである。ただし、V0、V1、L01はベクトル、行列を表している。
(7)2線分の向き判定
2線分L01とL23が同一直線である時には、両者の向きの判定は、次式(数10)で与えられる。ただし、L01、L23はベクトル、行列を表している。
(8)2面の向き判定
2面F012とF345が同一平面である時には、両者の向きの判定は次式(数11)で与えられる。ただし、F012、F345はベクトル、行列を表している。
<超3角形幾何データ>
本発明では、ゼロ3角形を用いた図形処理方式(超3角形幾何処理方式)を提案している。次に、本発明の特徴であるゼロ3角形幾何とそのデータ構造に関して説明する。
<システム構成>
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
(1) 縮退3角形(いびつな3角形)
(2) 面の重なり(3角形の重なり)
(3) 矛盾立体(立体の自己干渉等)
ここで、このような幾何矛盾を検出し除去する処理を「無矛盾化処理」と呼ぶことにする。この無矛盾化処理の全体フローチャートは図4に示すようになる。
頂点データの下位桁の数値の切り捨てを行うと、立体を構成する3角形面において、図5(1)〜(3)に示すように、以下の3つの「いびつな」3角形が発生する可能性がある。このようないびつな3角形を「縮退3角形」と呼ぶ。
(1) 2頂点が同一点となる3角形
(2) 3頂点が同一点となる3角形
(3) 3頂点が同一直線上となる3角形(ゼロ3角形)
縮退3角形の検出とその除去処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。まず、3角形データ(実3角形データおよびゼロ3角形データ)を幾何データ記憶部02から順次取り出し、その頂点データv0、v1、v2を頂点データ記憶部16から順次読み込む(ステップ600)。その3つの頂点データv0、v1、v2に関して同一点判定処理を行う。v0=v1となる場合は(ステップ601)、辺v0v1を挟んで隣接する2つの3角形データ(図5(4)の例ではt0とt1)を消去する。これに伴い、図5(4)に示すように、消去される3角形t0、t1を取り囲む4つの周辺3角形t2、t3、t4、t5の隣接接続情報を変更する。図5(4)では、t0とt1の消去に伴い、t2とt3、およびt4とt5が隣接するようになる。また、v1を頂点に持つすべての3角形データの頂点v1をv0とする。図5(4)では、v1を頂点に持つ3角形面t3、t5、t6の頂点v1をv0に変更する。そして、頂点データv1を消去する(ステップ602)。v0=v2、v1=v2となる場合も同様の処理を行う(ステップ603〜606)。以上の処理が、(1)2頂点が同一点となる場合、および(2)3頂点が同一点となる場合の縮退3角形データの検出消去処理である。
幾何矛盾の1つとして、図8(8)に示すように、3角形面が重なり「面のしわ」となる場合がある。図8(8)では、形状の断面図を示しており、頂点A、B、C、D、Eは同一平面上にある。そして、3角形面tiとtjが重なっている。このように面が重なる時は、図8(8)に矢印として示すように、面の向きは必ず逆となる。
[c1]自己干渉立体の分離処理
自己干渉立体とは、図10(1)、(2)に示すように、同じ立体を構成する面(3角形面)どうしが交差している立体である。自己干渉立体の分離処理では、図10(3)、(4)に示すように、この交差している面(3角形面)をその交線において分割し、1つの閉じた面(立体)とする処理である。
最上位3角形とは、1つの立体(1つの閉じた境界面)において、その立体を構成する3角形の中で、Z座標値が最大となる頂点を持ち、かつ上面が存在しない3角形である。4次元同次座標系において、頂点Va=(Xa、Ya、Za、wa)のZ座標値がVb=(Xb、Yb、Zb、wb)より大きいとは以下の式(数12)が成り立つことである。
さらに、2つの3角形が、Z座標軸方向からみて、重なるかどうかの判定処理に関して説明する。4次元同次座標系(X、Y、Z、w)において、Z座標を無視した3次元同次座標系(X、Y、w)を想定する。この座標系における3角形の重なり判定処理に帰着することができる。この処理は、3角形の頂点と、方向を持った辺との位置関係判定処理(領域判定処理)に帰着する。
ある立体biの最近傍上位立体bnearとは、以下の条件を満たす立体のことである(図15参照)。すなわち、最近傍上位立体とは、ある立体(1つの閉じた境界面)に、Z座標軸正方向に最も近い立体のことである。
(1)立体biの最上位頂点Vmax=(Xmax、Ymax、Zmax、wmax)にZ座標軸 と平行に正方向に立てた半直線と交差あるいは接する立体。
(2)この交点あるいは接点をVnear=(Xnear、Ynear、Znear、wnear)とすると 、Vnearは頂点Vmax=(Xmax、Ymax、Zmax、wmax)に最近傍となる立体。 ここで、Vnearを最近傍上位点と呼ぶことにする。
(3)Z座標軸方向から見て、立体biの最上位3角形Tmaxと重なる上面Tnea rを持つ立体。
(4)上記上面Tnearが複数個ある場合は、その中で最も下面となる面を持つ立体 。ここで、下面とは、3角形t2が3角形t3の上面となる場合、逆にt3はt2に 対して下面となる(図15参照)。また、この最も下面となる面Tnearを最近傍 上位3角形と呼ぶことにする。
最近傍上位立体順に立体データbiをソーティング処理するとは、立体データ(幾何データの集合体(実3角形データまたはゼロ3角形データの集合体))biとbj(i<j)において、biの最近傍上位立体bnearがbjとなる場合は、両者のデータの順番を入れ替えることである。すなわち、ここではbiがbjよりもデータの先頭にある(i<j)ので、biとbjのデータ順を入れ替え、bjがbiよりもデータの先頭となるようにする。
面の向きによる立体の消去処理とは、ある立体の面の表裏が最近傍上位立体との関係で矛盾する場合は、この矛盾する立体データの消去を行う処理である。
07・・・3角形/ゼロ3角形データ処理部
08・・・数値データ切り捨て処理部
09・・・幾何無矛盾化処理部
10・・・縮退3角形処理部
11・・・重なり3角形処理部
12・・・矛盾立体処理部
Claims (12)
- 3次元幾何データに対して演算処理を行い、前記演算処理過程で生成及び処理された幾何データを記憶する3次元幾何データ処理システムにおいて、処理される3次元幾何データにおける幾何矛盾を検出しかつ除去する方法であって、
3次元幾何図形の表面データである境界面データを、3角形面データまたは3角形の3つの頂点が同一直線上となるゼロ3角形データにより構成し処理する3角形/ゼロ3角形データ処理ステップと、
前記3角形/ゼロ3角形データ処理ステップで処理された3次元幾何データの数値を必要精度に応じて任意に切り捨てる数値データ切り捨て処理ステップと、
前記数値データ切り捨て処理ステップにより、発生する幾何矛盾を検出し除去する幾何無矛盾化処理ステップと、
を有し、
前記幾何無矛盾化処理ステップが、縮退3角形面を検出し除去する縮退3角形面の検出除去処理ステップ、重なり3角形面を検出し除去する面の重なり検出除去処理ステップ、および矛盾立体を検出し除去する矛盾立体の検出除去処理ステップを含むものであることを特徴とする3次元幾何データの無矛盾化方法。 - 縮退3角形面の検出除去処理ステップが、2頂点が同一点となるいびつな3角形、3頂点が同一点となるいびつな3角形、および3頂点が同一直線上となるいびつな3角形を検出し除去するものであることを特徴とする請求項1記載の3次元幾何データの無矛盾化方法。
- 面の重なり検出除去処理ステップが、組にした3角形面データの同一平面判定および面の向き判定の判定結果に基づき、3角形面が重なっていると判定された3角形面に対してその重なりを除去するようにした処理であることを特徴とする請求項1または2記載の3次元幾何データの無矛盾化方法。
- 矛盾立体の検出除去処理ステップが、
同じ立体を構成する面同士が交差している立体を検出し除去するものであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の3次元幾何データの無矛盾化方法。 - 矛盾立体の検出除去処理ステップが、
自己干渉立体の分離処理を行うステップ、立体の最上位3角形面の探索処理を行うステップ、立体の最近傍上位立体の探索処理を行うステップ、最近傍上位立体順に立体データのソーティングを行うステップ、面の向きによる立体の消去処理を行うステップからなることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の3次元幾何データの無矛盾化方法。 - 前記各ステップにおいて、
4次元同次座標系処理と可変長ビットの演算を用いて無誤差演算を行うことを特徴とする請求項1乃至5いすれか記載の3次元幾何データの無矛盾化方法。 - 3次元幾何データに対して演算処理を行い、前記演算処理過程で生成及び処理された幾何データを記憶する3次元幾何データ処理システムであって、
3次元幾何図形の表面データである境界面データを、3角形面データまたは3角形の3つの頂点が同一直線上となるゼロ3角形データにより構成し処理する3角形/ゼロ3角形データ処理部と、
前記3角形/ゼロ3角形データ処理部で処理された3次元幾何データの数値を必要精度に応じて任意に切り捨てる数値データ切り捨て処理部と、
前記数値データ切り捨て処理部により、発生する幾何矛盾を検出し除去する幾何無矛盾化処理部と、
を有し、
前記幾何無矛盾化処理部が、縮退3角形面を検出し除去する縮退3角形処理部、重なり3角形面を検出し除去する重なり3角形処理部、および矛盾立体を検出し除去する矛盾立体処理部を含むものであることを特徴とする3次元幾何データの無矛盾化システム。 - 縮退3角形処理部が、2頂点が同一点となるいびつな3角形、3頂点が同一点となるいびつな3角形、および3頂点が同一直線上となるいびつな3角形を検出し除去するものであることを特徴とする請求項7記載の3次元幾何データの無矛盾化システム。
- 重なり3角形処理部が、組にした3角形面データの同一平面判定および面の向き判定の判定結果に基づき、3角形面が重なっていると判定された3角形面に対してその重なりを除去する処理をすることを特徴とする請求項7または8記載の3次元幾何データの無矛盾化システム。
- 矛盾立体処理部が、
同じ立体を構成する面同士が交差している立体を検出し除去する処理を行うことを特徴とする請求項7乃至9いずれか記載の3次元幾何データの無矛盾化システム。 - 矛盾立体処理部が、
自己干渉立体の分離処理と、立体の最上位3角形面の探索処理と、立体の最近傍上位立体の探索処理と、最近傍上位立体順に立体データのソーティングを行う処理と、面の向きによる立体の消去処理とを行うように構成していることを特徴とする請求項7乃至10いずれか記載の3次元幾何データの無矛盾化システム。 - 前記各処理部において、
4次元同次座標系処理と可変長ビットの演算を用いて無誤差演算を行うことを特徴とする請求項7乃至11いすれか記載の3次元幾何データの無矛盾化システム。
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