JP3950690B2 - 洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撹拌部及び回転槽をダイレクトドライブ方式で回転駆動するモータを備えて成る洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗濯機においては、周知のように、外槽内に洗い槽兼脱水バスケットとしての回転槽が回転可能に設けられていると共に、この回転槽の内底部に撹拌部である例えば撹拌体が回転可能に設けられている。そして、撹拌体及び回転槽は、モータにより回転駆動されるように構成されている。この構成の場合、洗い運転を実行するときには、回転槽を制動停止させた状態で、モータの回転を減速して撹拌体に伝達してこれを正逆回転駆動する。また、脱水運転を実行するときには、回転槽の制動を解除し、モータの回転を減速せずに回転槽及び撹拌体に伝達して両者を高速回転駆動するように構成されている。
【0003】
そして、このような回転駆動を行うために、モータから回転槽及び撹拌体までの回転力伝達経路中に、ベルト伝達機構、クラッチ機構、遊星ギアを内蔵したギア減速機構等が設けられている。しかし、上記した構成の洗濯機では、モータから回転槽及び撹拌体までの回転力伝達経路中に、ベルト伝達機構やギア減速機構等が設けられているため、洗濯機全体の重量が重くなると共に、上下方向の寸法が大きくなり、また、ギア減速機構の動作時にかなり大きな騒音が発生するという問題点があった。
【0004】
このような問題点を解消する構成として、モータにより撹拌体及び回転槽をダイレクトドライブ方式で回転駆動するように構成したものが考えられている。この構成では、回転槽を停止させた状態でモータによりダイレクトに撹拌体を正逆回転駆動する運転状態と、回転槽を回転可能にした状態でモータによりダイレクトに回転槽及び撹拌体を高速回転駆動する運転状態とを切り換えるクラッチを設けている。この構成では、回転槽及び撹拌体をモータによりダイレクトドライブする構成となるため、ベルト伝達機構やギア減速機構等を不用にすることができ、洗濯機全体の重量を軽減できると共に、上下方向の寸法を小さくし得、また、ギアの動作騒音をなくすことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の洗濯機では、モータとして高トルクを発生すると共に回転速度を低速から高速まで広範囲に可変制御することができるモータを使用する必要がある。このため、直流ブラシレスモータを使用することが考えられている。このブラシレスモータは、インバータ装置により通電駆動するモータである。この場合、ブラシレスモータには、ロータの回転位置を検知するために例えばホールICが3個配設されており、これらホールICから出力される位置センサ信号に基づいてインバータ装置により電気角で120度通電する矩形波電圧を生成し、この矩形波電圧をブラシレスモータに供給して通電駆動するように構成されている。尚、位置センサ信号をホールICによって得る構成は、最も簡単且つ安価な構成の一つである。
【0006】
上述した構成においては、矩形波電圧によりブラシレスモータを通電駆動する場合、巻線の通電相を切り換えることに伴って、即ち、転流に伴ってトルク変動が発生する。このため、上記トルク変動によりブラシレスモータに振動が発生し、運転騒音が生ずるという問題がある。特に、このように構成した洗濯機の場合、ダイレクトドライブ方式としたことにより、騒音がかなり低減しているので、上記ブラシレスモータのトルク変動に起因する騒音が目立ってしまう。また、ブラシレスモータは、洗濯機の外槽に取り付けられているので、この外槽がブラシレスモータの振動に共鳴することがあり、騒音が大きくなるおそれもある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ブラシレスモータにより撹拌部及び回転槽をダイレクトドライブ方式で回転駆動する構成としながら、運転振動及び運転騒音をより一層小さくすることができる洗濯機を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の洗濯機は、回転槽と、マグネットを有するロータ及び三相の巻線を有するステータを備え、前記回転槽をダイレクトドライブ方式で回転駆動するブラシレスモータと、複数のスイッチング素子を備え、前記巻線への通電を制御するインバータ主回路と、前記スイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成する生成手段と、前記ブラシレスモータのロータの回転位置を検知して位置センサ信号を出力するロータ位置検知手段と、前記位置センサ信号に基づいてロータの電気角を検出する電気角検出手段と、少なくとも前記ロータの電気角に対応した通電波形データ、複数の洗い運転パターン及び複数の脱水運転パターンを記憶する記憶手段とを備え、前記巻線にほぼ正弦波状の誘起電圧を発生させるように構成されているとともに、前記生成手段は、前記電気角検出手段からの電気角に対応して前記記憶手段から通電波形データを読み出すことにより前記PWM信号を生成するように構成され、そして、洗い運転時には、前記記憶手段から前記複数の洗い運転パターンのうちの所定の洗い運転パターンを選択して、その洗い運転を行い、脱水運転時には、前記記憶手段から前記複数の脱水運転パターンのうちの所定の脱水運転パターンを選択して、その脱水運転を行うように構成され、更に、前記巻線に生じる誘起電圧に対するその巻線に流れる電流の位相は、洗い運転時よりも脱水運転時の方が進んでいるように構成され、且つ、前記洗い運転時において、前記巻線に生じる誘起電圧に対してその巻線に流れる電流は、ほぼ同位相となるように構成され、且つ、前記脱水運転時において、前記巻線に生じる誘起電圧に対してその巻線に流れる電流は、進み位相となるように構成されているところに特徴を有する。
上記構成によれば、ブラシレスモータの巻線にほぼ正弦波状の誘起電圧を発生させるとともに、上記巻線にほぼ正弦波状の電流を発生させるように構成したので、ブラシレスモータにトルク変動がほとんど発生しなくなる。これにより、洗濯機の運転振動及び運転騒音を一層小さくすることができる。
また、上記構成の場合、ブラシレスモータを、アウタロータ形としても良い。
更に、前記巻線ロータの電気角を検出する電気角検出手段による電気角の分解能は、回転周期に応じて、回転周期が短いときは分解能を低く、回転周期が長いときは分解能を高くするように構成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の洗濯機の駆動方法は、回転槽と、マグネットを有するロータ及び三相の巻線を有するステータを備え前記回転槽をダイレクトドライブ方式で回転駆動するブラシレスモータと、複数のスイッチング素子を備え前記巻線への通電を制御するインバータ主回路と、前記スイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成する生成手段と、前記ブラシレスモータのロータの回転位置を検知して位置センサ信号を出力するロータ位置検知手段と、前記位置センサ信号に基づいてロータの電気角を検出する電気角検出手段と、少なくとも前記ロータの電気角に対応した通電波形データ、複数の洗い運転パターン及び複数の脱水運転パターンを記憶する記憶手段とを備え、
前記巻線にほぼ正弦波状の誘起電圧を発生させるように構成されているとともに、
前記生成手段は、前記電気角検出手段からの電気角に対応して前記記憶手段から通電波形データを読み出すことにより前記PWM信号を生成するように構成され、そして、
洗い運転時には、前記記憶手段から前記複数の洗い運転パターンのうちの所定の洗い運転パターンを選択して、その洗い運転を行い、脱水運転時には、前記記憶手段から前記複数の脱水運転パターンのうちの所定の脱水運転パターンを選択して、その脱水運転を行うように構成され、更に、
前記巻線に生じる誘起電圧に対するその巻線に流れる電流の位相は、洗い運転時よりも脱水運転時の方が進んでいるように構成された洗濯機を駆動するための洗濯機の駆動方法において、
前記巻線に生じる誘起電圧に対してその巻線に流れる電流の位相が、ほぼ同位相となるように前記巻線に電流を流して洗い運転を行う第1工程と、
前記巻線に生じる誘起電圧に対してその巻線に流れる電流が、進み位相となるように前記巻線に電流を流して脱水運転を行う第2の工程とを備えたところに特徴を有する。
この場合、前記第2工程では、前記巻線に生じる誘起電圧に対するその巻線に流れる電流の位相が、進み位相であることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を全自動洗濯機に適用した第1の実施例について図1ないし図24を参照して説明する。まず、全自動洗濯機の全体構成を示す図2において、外箱1内には、脱水される水を受ける外槽である水受槽2が弾性吊持機構3を介して弾性支持されている。この水受槽2の内部には、洗い槽及び脱水バスケットを兼用する回転槽4が回転可能に配設されている。この回転槽4の内底部には、撹拌部である例えば撹拌体5が回転可能に配設されている。
【0021】
上記回転槽4は、ほぼ円筒状をなす槽本体4aと、この槽本体4aの内側に通水用空隙を形成するために設けられた内筒4bと、槽本体4aの上端部に設けられたバランスリング4cとから構成されている。この回転槽4が回転駆動されると、内部の水は遠心力により槽本体4aの内周面に沿って上昇して槽本体4aの上部に形成された脱水孔部(図示しない)を通って水受槽2内へ放出される構成となっている。
【0022】
また、水受槽2の底部の図2中右端部には、排水口6が形成され、この排水口6には排水弁7が設けられていると共に、排水ホース8が接続されている。上記排水弁7は、後述する排水弁駆動手段としての排水弁モータ9(図1参照)により開閉駆動される弁であり、いわゆるモータ式排水弁である。上記排水弁モータ9は、例えばギアドモータから構成されている。更に、水受槽2の底部の図2中左端部には、補助排水口6aが形成されており、この補助排水口6aは図示しない連結ホースを介して排水ホース8に接続されている。上記補助排水口6aは、回転槽4が脱水回転されたときに、その上部から脱水されて水受槽2内へ放出された水を排水するためのものである。
【0023】
また、図3にも示すように、水受槽2の外底部には、機構部ベース10が取付けられている。この機構部ベース10の中央部には、軸支持筒部11が上下方向に延びるように形成されている。この軸支持筒部11の内部には、中空状の槽軸12が軸受13、13を介して回転自在に挿通支持されている。この槽軸12の内部には、撹拌軸14が軸受15、15を介して回転自在に挿通支持されている。この撹拌軸14の上下端部は、槽軸12から突出している。
【0024】
更に、機構部ベース10の軸支持筒部11の上端部は、水受槽2の底部中心部に形成された貫通口2a内にシール16を介して嵌合されている。このシール16により軸支持筒部11の上端部と水受槽2の貫通口2aとの間が水密にシールされている。更に、シール16は槽軸12の外周面と軸支持筒部11の上端部との間にも設けられており、両者間が水密にシールされている。また、槽軸12の上端部には、フランジ部12aが一体に形成されている。このフランジ部12aには、回転槽4が槽受け板17を介して連結固定されている。これにより、槽軸12に回転槽4が一体回転するように取付けられている。また、撹拌軸14の上端部には、図2にも示すように、撹拌体5が嵌合されてねじ止め固定されており、もって撹拌軸14に撹拌体5が一体回転するように取付けられている。
【0025】
尚、水受槽2の内底部における中心部と排水口6との間の部分には、図2にも示すように、排水カバー18が装着されている。この排水カバー18により、回転槽4の底部に設けられた貫通孔4dから排水口6まで連通する排水通路19が形成されている。この構成の場合、排水弁7を閉鎖した状態で回転槽4内へ給水すると、回転槽4内と上記排水通路19内に水が貯留されるようになる。そして、排水弁7を開放すると、回転槽4内の水が貫通孔4d、排水通路19、排水口6、排水弁7、排水ホース8を通って排水されるように構成されている。
【0026】
さて、水受槽2の外底部の機構部ベース10には、例えばアウタロータ形のブラシレスモータ20が設けられている。具体的には、図3に示すように、機構部ベース10に、ブラシレスモータ20のステータ21が撹拌軸14と同心状態になるように段付きねじ22により締め付け固定されている。上記ステータ21は、図4にも示すように、積層鉄心23と、上ボビン24と、下ボビン25と、巻線26(図3参照)とから構成されている。上記積層鉄心23は、図4に示すように、ほぼ円弧状をなす3個の単位鉄心23aを円環状に連結して構成されている。また、上下のボビン24、25は、プラスチックにより形成されており、積層鉄心23の各ティース部分に上下から嵌合されている。そして、嵌合されたボビン24、25の外周に、巻線26が巻装されている。上記巻線26は、図1に示すように、3相の巻線26U、26V、26Wから構成されている。
【0027】
一方、ブラシレスモータ20のロータ27は、図3に示すように、撹拌軸14の下端部にこれと一体回転するように取付けられている。上記ロータ27は、ロータハウジング28と、ロータヨーク29と、ロータマグネット30とから構成されている。ここで、ロータハウジング28は、例えばアルミダイキャストにより形成されており、中心部にボス部28aが形成されていると共に、外周部にマグネット配置部28bが形成されている。上記ボス部28a内に、撹拌軸14の下端部が嵌合固定されている。
【0028】
また、上記マグネット配置部28bは、水平部及び垂直部を有しており、垂直部の内面に上記ロータヨーク29を当接させると共に水平部に上記ロータヨーク27をねじ止めにより固定している。そして、このロータヨーク27の内面に、複数個のロータマグネット30が例えば接着により装着されている。また、図3及び図5にも示すように、ロータハウジング28の周縁部分の上面におけるステータ21の巻線26と対向する部分には、多数のリブ28cが放射状に突設されている。更に、ロータハウジング28の中央部分の上面には、複数の凸部28dが軸心の回りに放射状に突設されている。これら複数の凸部28dが係合部を構成している。
【0029】
一方、図3に示すように、機構部ハウジング10の外周部には、ロータ27のロータマグネット30の回転位置を検出するロータ位置検知手段として例えば3個のホールIC(磁気検知素子)31が取付具32を介して取付けられている(図3では、1個のホールIC31だけを示す)。上記3個のホール素子31は、図1に示すように、電気角で120度毎に配設されたホールIC31u、31v、31wである。
【0030】
さて、槽軸12の下端部には、クラッチ32が設けられている。このクラッチ32は、脱水運転時にロータ27、撹拌軸14及び槽軸12が一体回転するように連継する態様と、洗い運転時に槽軸12だけがロータ27及び撹拌軸14と一体回転しないように連継解除する態様とを切換える機能を有している。以下、このクラッチ32について具体的に説明する。まず、図6に示すように、クラッチ32は、矩形枠状をなす切換レバー33と、この切換レバー33の内部に配設されたホルダー34とから構成されている。
【0031】
上記ホルダー34は、槽軸12の下端部にこれと一体回転するように取り付けられている。具体的には、図5に示すように、槽軸12の下端部の外周面に一対の平坦面部12b、12bが形成されている。そして、ホルダ34の中央部分には、上記槽軸12の下端部が嵌合する嵌合孔34aが形成されている。この嵌合孔34aの内面には、槽軸12の平坦面12b、12bが当接する平坦面部が形成されている。また、ホルダ34の図5中左端部外面には、断面ほぼ半円形の枢支凹部34bが形成されている。上記構成の場合、ホルダ34の嵌合孔34aに槽軸12の下端部を挿入嵌合した状態で、ねじ止めすることによりホルダ34を槽軸12に固定している。更に、ホルダ34と下部の軸受13との間には、例えば波ワッシャ35が配設されている。この波ワッシャ35により下部の軸受13が上方へ与圧されている。
【0032】
一方、切換レバー33は、図5及び図6に示すように、内部にホルダ34を嵌合することにより、ホルダ34及び相軸12と一体回転するように構成されている。上記切換レバー33の基端部33a(図5中左端部)の内面側には、ホルダー34の枢支凹部34bと嵌合する断面ほぼ半円形状の枢支凸部33b(図3参照)が形成されている。この場合、枢支凸部33bと枢支凹部34bの嵌合部分を回動支点として、切換レバー33は上下方向に回動動作するように構成されている。
【0033】
また、切換レバー33とホルダ34との間には、図5及び図6に示すように、トグルばね36が設けられている。このトグルばね36のばね力により切換レバー33は、上方の回動位置に動作した状態(図1参照)に保持されるように、または、下方の回動位置に動作した状態(図7参照)に保持されるように構成されている。そして、切換レバー33の先端部33cの上下部には、凸部33d及び33eが突設されている。また、切換レバー33の先端部33cの外面には、被操作部33fが突設されている。
【0034】
一方、静止部位である機構部ベース10の中心側部分の下面には、図3及び図5に示すように、凹部37が切換レバー33の上部の凸部33dと対応するように形成されている。この構成の場合、切換レバー33が上方へ回動動作すると(図1参照、この場合は、洗い運転時)、切換レバー33の凸部33dが機構部ベース10の凹部37に嵌合する。これにより、槽軸12ひいては回転槽4が静止部位である機構部ベース10に固定される。そして、上記凹部37と凸部33dの嵌合状態では、槽軸12だけがロータ27及び撹拌軸14と一体回転しないように連継解除された態様となっている。この態様の場合、撹拌軸14及び撹拌体5は、ブラシレスモータ20によりダイレクトに回転駆動される。尚、ロータ27と撹拌軸14は、元々一体回転するように連結されている。
【0035】
これに対して、切換レバー33が下方へ回動動作すると(図7参照、この場合は、脱水運転時)、切換レバー33の下部の凸部33eがロータハウンジング28の上面の複数の凸部28d間に係合する。これにより、槽軸12とロータ27(及び撹拌軸14)とが一体回転するように連継した態様となる。この態様の場合、槽軸12、回転槽4、撹拌軸14及び撹拌体5は、ブラシレスモータ20によりダイレクトに回転駆動される。この結果、ブラシレスモータ20は、撹拌体5または撹拌体5及び回転槽4をダイレクトドライブ方式で回転駆動する構成となっている。
【0036】
また、機構部ベース10の図3中右端部には、制御レバー38が回動可能に軸支されている。この制御レバー38の先端部側は、図6に示すように、二又状に分かれており、そのうちの一方(図6中右方)の先端部に下向きの傾斜面38aが形成されていると共に、他方(図6中左方)の先端部に上向きの傾斜面38bが形成されている。この場合、排水弁7を駆動する排水弁モータ9により制御レバー38が一方向へ回動されると、制御レバー38の下向きの傾斜面38aによりクラッチ32の切換レバー33の被操作部33fが下方へ押圧されて、該切換レバー33が下方へ回動動作され、図7に示す状態となる。この図7の状態は、脱水運転に対応しており、排水弁7が開放されている。
【0037】
一方、この図7の状態で、排水弁モータ9が断電されると、排水弁7の復帰ばねのばね力により制御レバー38が反転方向へ回動され、制御レバー38の上向きの傾斜面38bにより上記切換レバー33の被操作部33fが上方へ押圧されて、該切換レバー33が上方へ回動動作され、図1に示す状態となる。この図1の状態は、洗い運転に対応しており、排水弁7が閉塞されている。
【0038】
次に、上記全自動洗濯機の電気的構成について図1を参照して説明する。この図1において、交流電源39の両端子は、一方にリアクトル40を介して全波整流回路41の入力端子に接続されている。全波整流回路41の出力端子間には、平滑コンデンサ42a、42bが接続されており、この平滑コンデンサ42a、42bと全波整流回路41とから直流電源回路43が構成されている。
【0039】
この直流電源回路43の出力端子から直流母線44a、44bが導出されており、これら直流母線44a、44b間には定電圧回路45、放電回路46、インバータ主回路47が接続されている。また、直流母線44aにおける定電圧回路45と放電回路46との間の部位には、リレー48及び図示極性のダイオード49が並列に接続されている。上記放電回路46は、放電抵抗50と例えばIGBTからなるスイッチング素子51とを直列接続して構成されている。上記スイッチング素子51の制御端子(ゲート)は、例えばフォトカプラからなる駆動回路52に接続されている。この場合、放電回路46と駆動回路52とから放電手段53が構成されている。
【0040】
また、インバータ主回路47は、3相ブリッジ接続された例えばIGBTからなるスイッチング素子54a〜54fと、これらスイッチング素子54a〜54fにそれぞれ並列接続されたフリーホイールダイオード55a〜55fとから構成されている。そして、上記インバータ主回路47の出力端子56u、56v、56wは、ブラシレスモータ20の3相の巻線26u、26v、26wに接続されている。また、インバータ主回路47の各スイッチング素子54a〜54fの制御端子(ゲート)は、例えばフォトカプラからなる駆動回路57a〜57fに接続されている。この場合、インバータ主回路47と駆動回路57a〜57f(即ち、駆動回路57)とからモータ通電手段58が構成されている。
【0041】
一方、ブラシレスモータ20の3個のホールIC31a〜31cから出力された位置センサ信号Hu、Hv、Hwは、マイクロコンピュータ59(以下、マイコン59と称す)へ与えられるように構成されている。このマイコン59は、ブラシレスモータ20を通電制御する機能並びに全自動洗濯機の運転全般を制御する機能を有しており、そのための制御プログラム及びこのプログラムの実行に必要なデータ(後述する通電波形データ等を含む)を内部に設けられたROM59aに記憶している。また、マイコン59の内部には、作業領域としてRAM59bが設けられている。この場合、マイコン59は、電気角検出手段、記憶手段、位相指令形成手段及び電圧指令形成手段としての各機能を備える構成となっている。
【0042】
また、マイコン59には、例えば16ビットカウンタからなる2個のカウンタ60、61が接続されている。第1のカウンタ60は、マイコン59からリセット信号RS1を受けて、例えば125KHzのクロック信号ck1をカウントし、カウント結果(計数値データ)であるデータDT1をマイコン59に与えるように構成されている。また、第2のカウンタ61は、マイコン59からリセット信号RS2を受けて、上記クロック信号ck1の8倍の周波数である1MHzのクロック信号ck2をカウントし、このカウント値とマイコン59から与えられるデータDT2(これについては後述する)との一致信号を信号ST2としてマイコン59に与えるように構成されている。
【0043】
そして、マイコン59は、詳しくは後述するようにして例えば8ビットの出力波形データDu、Dv、Dwを形成し、これら出力波形データDu、Dv、Dwを3個の比較器62、63、64へ与えるように構成されている。これら比較器62、63、64は、三角波発生回路65から出力された例えば8ビットの出力データPzと、上記マイコン59からの出力波形データDu、Dv、Dwとを比較し、出力波形データDu、Dv、Dwが出力データPzよりも大きいときハイレベルであり、そうでないときロウレベルである出力信号Vu、Vv、Vwを出力するように構成されている。そして、これら出力信号Vu、Vv、Vwは、選択回路66へ与えられるように構成されている。尚、上記三角波発生回路65は、デジタルな三角波からなる搬送波Pz(即ち、8ビットの出力データPz)を発生するように構成された回路である。
【0044】
更に、マイコン59は、詳しくは後述するようにして選択信号U1,U2、V1、V2、W1、W2を形成し、これら選択信号U1,U2、V1、V2、W1、W2を選択回路66へ与えるように構成されている。そして、選択回路66は、上記出力信号Vu、Vv、Vw並びに上記選択信号U1,U2、V1、V2、W1、W2に基づいて後述するようにして駆動信号Vup、Vun、Vvp、Vvn、Vwp、Vwnを生成し、これら駆動信号Vup、Vun、Vvp、Vvn、Vwp、Vwnを前記駆動回路57a〜57fへ与えるように構成されている。尚、上記選択回路66は、図8に示すように、アンド回路66aとナンド回路66bとから構成されている。上記図8では、U相についてだけ図示し、V相、W相については図示していないが、V相、W相の具体的回路構成もU相と同じである。
【0045】
この構成の場合、マイクロコンピュータ59とカウンタ60、61と比較器62、63、64と三角波発生回路65と選択回路66とから制御手段67が構成されている。そして、この制御手段67が通電信号形成手段を構成している。また、上記制御手段67とモータ通電手段58と放電手段53と直流電源回路43とからインバータ装置68が構成されている。
【0046】
一方、マイコン59は、直流母線44aの電圧値を分圧回路69を介して検知できるように構成されている。この場合、分圧回路69から出力される電圧信号は、マイコン59のA/D変換機能を有する入力端子に与えられるようになっている。また、マイコン59は、前記リレー48をリレー駆動回路70を介してオンオフ制御するように構成されている。更に、マイコン59は、前記排水弁7を開閉駆動する排水弁モータ9並びに回転槽4内へ給水する給水弁71を通電制御するように構成されている。
【0047】
また、マイコン59は、交流電源39の電圧に基づいて停電を検知する停電検出回路72からの停電検出信号、回転槽4内の水位を検知する水位センサ73からの水位検知信号、外箱1の上部に設けられた蓋74(図2参照)の開閉状態を検知する蓋スイッチ75からの開閉検知信号、操作パネルに設けられた各種の操作スイッチ76からのスイッチ信号を受けるように構成されている。
【0048】
次に、上記構成の作用(具体的には、洗い運転及び脱水運転時の制御動作)について図9ないし図24を参照して説明する。ここで、図15ないし図18は、マイコン59内に記憶された制御プログラムの制御内容を示すフローチャートである。このうち、図15のフローチャートは、洗い運転及び脱水運転のメイン処理の制御内容を示している。図16のフローチャートは、モータ駆動用のメイン処理の制御内容を示している。図17のフローチャートは、第1の割り込み処理の制御内容を示している。図18のフローチャートは、第2の割り込み処理の制御内容を示している。
【0049】
まず、洗い運転の動作について説明する。交流電源39に接続されると、最初に図15のステップM10の初期設定処理が実行される。ここでは、マイコン59はRAM59bの初期化や出力端子の初期出力等を行なう。続いて、各種の操作スイッチ76のなかの1つのスイッチである電源スイッチがオンされたか否かを判断する(ステップM20)。ここで、電源スイッチがオフされている場合は、ステップM20にて「NO」へ進み、マイコン59はリレー駆動回路70へオフ信号を出力することによりリレー48をオフする(ステップM30)。そして、ステップM20の判断処理へ戻る。
【0050】
一方、ステップM20にて電源スイッチがオンされている場合は、「YES」へ進み、マイコン59はリレー駆動回路70へオン信号を出力することによりリレー48をオン(導通状態に)する(ステップM40)。そして、洗い運転指令が出ているか否かを判断する(ステップM50)。この場合、各種の操作スイッチ76の操作結果に基づいて洗い運転指令が出ているか否かを判断する。今、洗い運転指令が出ているとすると、ステップM50にて「YES」へ進み、排水弁モータ9をオフする信号を出力する(ステップM60)。これにより、排水弁モータ9がオフされ、排水弁7が閉塞されると共に、クラッチ32の切換レバー33が上方へ回動動作されて槽軸12及び回転槽4が静止部位である機構部ベース10に係止された状態(図3参照)となる。
【0051】
続いて、ステップM70へ進み、複数の洗い運転コースの中から1つのコースが選択設定される。この場合、各種の操作スイッチ76の操作結果に基づいて1つのコースが選択設定される。そして、ステップM80へ進み、回転槽4内へ給水する処理を実行する。ここでは、給水弁71を通電駆動して開放して回転槽4内へ給水を開始し、回転槽4内の水位が上記選択されたコースに対応する水位に達したことを水位センサ73により検知すると、給水弁71を断電停止して閉塞するように構成されている。
【0052】
そして、ステップM90、M100、M110の各処理を順に実行することにより、ブラシレスモータ20に対する運転パターン(運転指令)を形成する。この場合、ROM59a内には複数の洗い運転パターンが予め記憶されており、これら複数の洗い運転パターンの中から上記選択されたコースに対応する洗い運転パターンを選択して読み出すことにより、洗い運転用の運転パターン(洗い運転パターン)を形成している。上記洗い運転パターンの一例を図10に示す。
【0053】
この図10に示すように、洗い運転パターンは、例えば2ビットのデータからなる駆動指令と、例えば8ビットのデータからなる電圧指令Vcと、例えば9ビットのデータからなる位相指令Pcとから構成されている。上記駆動指令は、ブラシレスモータ20の駆動/停止及び正転/逆転を表わすデータであり、具体的には、例えば下位1ビットが「1」のとき駆動を示し、下位1ビットが「0」のとき停止を示し、上位1ビットが「1」のとき正転を示し、上位1ビットが「0」のとき逆転を示している。また、上記電圧指令Vcは、ブラシレスモータ20への印加電圧を表わすデータである。上記位相指令Pcは、ブラシレスモータ20のロータ位相に対する電圧の位相を表わすデータである。
【0054】
そして、図10に示す洗い運転パターンは、1.5秒間の「正転駆動」、0.5秒間の「停止」、1.5秒間の「逆転駆動」、0.5秒間の「停止」から構成された1サイクル4秒間の運転パターンであり、洗い運転中は、この1サイクル4秒間の運転パターンを繰り返し実行するように構成されている。ここで、上記1サイクル4秒の運転パターンは、例えば50ms(ミリ秒)でサンプリングされた上記3つの指令データから構成されている。即ち、上記3つの指令データを1組のデータとすると、上記1サイクル4秒の運転パターンは80組のデータから構成されており、これら80組のデータが図10の洗い運転パターンとしてROM59aに記憶されている。ここで、図10の洗い運転パターンの位相指令Pcは、運転中のブラシレスモータ20の巻線26の各相に流れる電流の位相と巻線26の各相に発生する誘起電圧の位相とが同相となるように実験的に求められたデータである、これについては詳しくは後述する。
【0055】
さて、ステップM90、ステップM100、ステップM110において、ROM59aから上記洗い運転パターンを読み出すに当たっては、50ms毎に上記1組のデータ、即ち、3つの指令データを順次読み出すように構成されている。そして、この読み出した3つの指令データをそれぞれモータ駆動指令、モータ電圧指令Vc、モータ位相指令Pcとし、これにてモータ駆動指令、モータ電圧指令Vc、モータ位相指令Pcを形成する構成となっている(ステップM90、ステップM100、ステップM110)。
【0056】
続いて、洗い運転終了か否かを判断し(ステップM120)、洗い運転終了でない場合は、ステップM120にて「NO」へ進み、ステップM90へ戻って上記3つの指令データを形成する処理を繰り返し行うようになっている。一方、洗い運転終了の場合は、ステップM120にて「YES」へ進み、モータ停止指令を出して、ブラシレスモータ20を断電停止させることにより洗い運転を終了する(ステップM121)。そして、この後は、ステップM20へ戻るように構成されている。尚、洗い運転終了か否かの判断は、上記選択されたコースに対応して設定された洗い運転時間が経過したか否かを判断することにより行なわれるようになっている。
【0057】
さて、ブラシレスモータ20の実際の通電駆動は、図16のモータ駆動のメイン処理、図17の第1の割り込み処理、並びに、図18の第2の割り込み処理側で実行されるように構成されており、以下これら各処理について説明する。まず、図16のモータ駆動用のメイン処理は、例えば10ms(ミリ秒)毎に図15のメイン処理と同時(平行)に実行されるように構成されている。換言すると、図16のモータ駆動用のメイン処理は、10ms毎に実行される割り込み処理である。
【0058】
上記モータ駆動用のメイン処理においては、まずステップD10において、図15のステップM90にて形成されたモータ駆動指令に基づいてモータ始動条件が判断される。ここでは、ステップM90で形成されたモータ駆動指令が駆動の場合を「Y」とし、停止の場合を「N」として、「Y」であるか「N」であるかを判別すると共に、「Y」であるときには、前回が「Y」で今回も「Y」であった場合(以下「Y−Y」と書く)であるか、それとも前回が「N」で今回は「Y」へ変わった場合(以下「N−Y」と書く)であるかを判別する。
【0059】
今、モータ始動条件が「N」であったとすると(即ち、停止指令であったとすると)、ステップD10にて「NO」へ進み、選択信号U1、U2、V1、V2、W1、W2をすべて「L(ロウレベル)」にする(ステップD20)。これにより、選択回路66は、すべて「L」の駆動信号Vup、Vun、Vvp、Vvn、Vwp、Vwnを生成し、これら駆動信号Vup、Vun、Vvp、Vvn、Vwp、Vwnを駆動回路57a〜57fへ与えるようになる。この結果、インバータ主回路47のスイッチング素子54a〜54fがすべてオフされ、ブラシレスモータ20が断電停止される。続いて、第1の割り込み処理及び第2の割り込み処理の実行を禁止した後(ステップD21)、リターンする(モータ駆動用のメイン処理を実行完了する)。
【0060】
一方、ステップD10の判断処理において、モータ始動条件が「N−Y」であったとすると(即ち、モータ始動(起動)指令を受けた直後であったとすると)、ステップD10にて「N−Y」へ進み、始動フラグを「H(ハイレベル)」に設定する(ステップD30)。続いて、第1の割り込み処理及び第2の割り込み処理の実行を許可した後(ステップD40)、第1の割り込み処理を強制的に実行する指令を出して第1の割り込み処理を1回実行する(ステップD50)。そして、モータ始動指令を受けてから予め決められた所定時間(例えば100ms)が経過したか否かを判断する(ステップD60)。
【0061】
ここで、所定時間が経過していなければ、ステップD60にて「NO」へ進み、リターンする。一方、モータ起動指令を受けてから所定時間が経過していれば、ステップD60にて「YES」へ進み、始動フラグを「L」に設定してから(ステップD70)、リターンする。
【0062】
また、ステップD10の判断処理において、モータ始動条件が「Y−Y」であったとすると(即ち、モータ始動指令が継続しているとすると)、ステップD10にて「Y−Y」へ進み、上述したステップD60の判断処理へ移行して同じ制御を実行するように構成されている。
【0063】
次に、図17に示す第1の割り込み処理の制御内容について説明する。この第1の割り込み処理は、ホールIC31u、31v、31wから出力される位置センサ信号Hu、Hv、Hw(図19の(c)参照)のいずれかが「H」から「L」へ変化したとき、「L」から「H」へ変化したときに、並びに、図16のステップD50において強制指令されたときに、それぞれ実行される割り込み処理である。
【0064】
具体的には、図17のステップA10において、まず、ホールIC31u、31v、31wからの位置センサ信号Hu、Hv、Hwを入力し、図11に示す変換テーブルに基づいて入力した位置センサ信号Hu、Hv、Hwのモードn(n=1〜6)を決定する。続いて、第1のカウンタ60から出力されるデータDT1を入力し、これをセンサ変化周期Ts(n)として記憶する(ステップA20)。そして、リセット信号RS1を第1のカウンタ60へ与えて第1のカウンタ60をリセットする(ステップA30)。
【0065】
上記ステップA20及びA30を実行することにより、第1のカウンタ60は位置センサ信号Hu、Hv、Hwが変化する毎にリセットされると共に、第1のカウンタ60のリセット直前のカウント値(この場合、クロックck1による計数値)がセンサ変化周期Ts(n)として、モードnに対応して記憶されるようになる。
【0066】
続いて、ステップA40へ進み、ここでは、第1のカウンタ60から出力されたデータDT1をデータDT2とすると共に、このデータDT2を第2のカウンタ61へ与える。そして、ステップA50へ進み、リセット信号RS2を第2のカウンタ61へ与えて第2のカウンタ61をリセットする。
【0067】
更に、ステップA60へ進み、図12に示す電気角データテーブルに基づいて、電気角データExにより電気角カウンタECを書き換える処理、具体的には、EC=Ex(n)を実行する。この場合、電気角データEx(n)は、位置センサ信号Hu、Hv、Hwの変化点におけるブラシレスモータ20のロータ27の回転位置を電気角で示したものであり、初期設定処理により作業領域のRAM59bに図12に示すように書き込まれている。また、電気角カウンタECは、ロータ27の回転位置をU相の巻線26uに発生する誘起電圧(以下、U相誘起電圧という)を基準とした1電気周期を384分割して示すデータであり、作業領域のRAM59bに割り当てられて設けられている。
【0068】
続いて、ステップA70へ進み、ブラシレスモータ20の1電気周期の時間である回転周期Tmを計算して求める処理を実行する。ここでは、前回求めたTmをTmpとし(Tmp=Tm)、このTmpを記憶すると共に、今回のTmを次の式で算出し、この算出したTmを記憶する。
【0069】
Tm=Ts(1)+Ts(2)+Ts(3)+Ts(4)+Ts(5)+Ts(6)
そして、ステップA80へ進み、始動フラグが「H」であるか否かを判断する。ここで、モータ始動指令(スタート指令)を受けた直後であれば(即ち、モータ始動指令を受けてから所定時間が経過する前であれば)、始動フラグが「H」であるから、ステップA80にて「YES」へ進み、ブラシレスモータ20に印加する電圧の大きさを示す電圧指令Vcを読み出す処理を行う(ステップA90)。続いて、ステップA100へ進み、図13に示す矩形波データテーブルに基づいて出力波形データDu、Dv、Dwと選択信号U1、U2、V1、V2、W1、W2とを出力し、リターンする(第1の割り込み処理を実行完了する)。上記ステップA90、A100の処理は、ブラシレスモータ20の始動時に該ブラシレスモータ20を矩形波電圧で通電制御するための処理であり、詳しくは後述する。一方、ステップA80において、始動フラグが「L」であれば、「NO」へ進み、リターンする。
【0070】
次に、図18に示す第2の割り込み処理の制御内容について説明する。この第2の割り込み処理は、第2のカウンタ61のカウント値(クロックck2の計数値)と上記データDT2とが一致するたびに発生する一致信号ST2により実行される割り込み処理、即ち、上記一致が発生するたびに実行される割り込み処理である。
【0071】
具体的には、図18のステップB10において、まず、第2のカウンタ61をリセットするリセット信号RS2を出力し、第2のカウンタ61をリセットする。続いて、電気角カウンタECを定数Edだけ増加させる計算を行う(ステップB20)。ここでは、EC=EC+Edを計算する。このとき、EC≧384となれば、EC=EC−384の計算を行う。尚、定数Edは、予め記憶されている定数であり、本実施例の場合、例えば「8」としている。
【0072】
そして、ステップB30へ進み、始動フラグが「H」であるか否かを判断する。ここで、モータ起動指令(スタート指令)を受けた直後であれば(即ち、モータ起動指令を受けてから所定時間が経過する前であれば)、始動フラグが「H」であるから、ステップB30にて「YES」へ進み、リターンする(第2の割り込み処理を実行完了する)。尚、ステップB30にて「NO」へ進む場合の制御については後述する。
【0073】
以上説明したマイコン59の制御動作が、スタート信号(モータ起動指令)を受けた後、始動フラグが「H」状態であるときのモータ駆動用のプログラムの動作である。次に、この制御動作によりブラシレスモータ20が正転駆動されるときの具体的動作について、図19に示すタイムチャートを参照して説明する。
【0074】
この図19において、(a)は、ブラシレスモータ20が回転しているときに3相の巻線26u、26v、26wに発生する誘起電圧を示している。この誘起電圧は、ロータ27の回転位置(即ち、ロータ位置)を示すものである。そして、上記3相の誘起電圧のうちのU相の誘起電圧を基準とした1電気周期を384分割したデータにより電気角を表わしており、この電気角を図19(b)に示す。また、図19(c)は、ホールIC31a〜31cから出力される位置センサ信号Hu、Hv、Hwを示している。この場合、各相の誘起電圧のクロス点で位置センサ信号Hu、Hv、Hwが「H」から「L」へまたは「L」から「H」
へ変化するように、ホールIC31a〜31cが取り付けられている。
【0075】
そして、図19(d)は、第1の割り込み処理(図17)のステップA10の処理で決定されたモード(n)を示している。また、第1の割り込み処理(図17)のステップA100でマイコン59から出力される選択信号U1,U2、V1、V2、W1、W2を図19(e)に示し、更に、上記ステップA100でマイコン59から出力される出力波形データDu、Dv、DwのうちのU相の出力波形データDuを図19(f)に示す。
【0076】
ここで、制御手段67におけるU相の比較器62は、U相の出力波形データDu(具体的には、8ビットデータVc)と三角波発生回路65から出力される搬送波Pz(具体的には、8ビット出力データPz)とを比較して、信号Vuを出力する。この信号Vuは、周波数が三角波発生回路65の動作(搬送波Pz)に同期し、デューティが出力波形データDuに依存したパルス幅変調信号(以下、PWM信号と称す)となっている。また、V相の比較器63及びW相の比較器64から出力される信号Vv及びVwも、同様なPWM信号となっている。
【0077】
そして、U相について見ると、選択回路66は、信号Vuと選択信号U1、U2とに基づいて駆動信号Vup、Vunを出力する。この場合、選択回路66は、選択信号U1=「H」、選択信号U2=「L」であるとき、駆動信号Vup=信号Vu、Vun=「L」となる駆動信号Vup、Vunを出力する。これにより、駆動回路55aを介してスイッチング素子54aがPWM駆動される。
【0078】
また、選択回路66は、選択信号U1=「L」、選択信号U2=「H」であるとき、駆動信号Vup=「L」、Vun=「H」となる駆動信号Vup、Vunを出力する。これにより、駆動回路55bを介してスイッチング素子54bがオンされる。更に、選択回路66は、選択信号U1=「L」、選択信号U2=「L」であるとき、駆動信号Vup=「L」、Vun=「L」となる駆動信号Vup、Vunを出力する。これにより、スイッチング素子54a、54bが共にオフされる。
【0079】
そして、V相、W相についても、上記U相と同様にして選択回路66は、信号Vv、Vwと選択信号U3、U4、U5、U6とに基づいて駆動信号Vvp、Vvn、Vwp、Vwnを出力する。ここで、図19(h)は、選択回路66から出力される駆動信号Vup、Vun、Vvp、Vvn、Vwp、Vwnを示している。これら駆動信号Vup、Vun、Vvp、Vvn、Vwp、Vwnにより駆動回路57a〜57fを介してスイッチング素子54a〜54fがオンオフ制御される。これにより、ブラシレスモータ20は、始動時はいわゆる120度通電、即ち、矩形波電圧により通電制御されて回転駆動されるように構成されている。
【0080】
尚、図19(i)は、第1の割り込み処理(図17)のステップA30により実行される第1のカウンタ60のリセット動作(及びカウント動作)の様子を示している。この場合、第1のカウンタ60のリセット動作は、モード(n)の変化点で実行されるようになっている。そして、第1の割り込み処理(図17)もモード(n)の変化点で実行されるように構成されている。
【0081】
また、図19(j)は、第1の割り込み処理(図17)のステップA20、A40、A50により実行される第2のカウンタ61のリセット動作(及びカウント動作)の様子を示している。第2のカウンタ61は、第1のカウンタ60のクロックck1の8倍のクロックck2で動作するものであるから、図19(i)、(j)に示すように、第1のカウンタ60の1/8の周期でカウント動作を繰り返している。この場合、第1のカウンタ60及び第2のカウンタ61により、位置センサ信号の逓倍信号を発生する逓倍信号発生手段77を構成している。これにより、第2の割り込み処理(図18)は、1モード(n)の間に8回実行されるように構成されている。
【0082】
また、図19(k)は、第1の割り込み処理(図17)のステップA60及び第2の割り込み処理(図18)のステップB20により実行される電気角カウンタECのカウントアップ動作を示している。この場合、電気角カウンタECは、モード(n)の変化点で第1の割り込み処理(図17)のステップA60の実行により書き換えられると共に、第2の割り込み処理(図18)のステップB20の実行により1モード(n)の間に8回カウントアップされる。これにより、電気角カウンタECは、ロータ27の回転位置に同期して変化するデータとなっている。
【0083】
以上説明したように、起動指令を受けると、ブラシレスモータ20は矩形波電圧により回転駆動され、この矩形波通電制御は起動指令を受けてから所定時間(具体的には、100ms)の間続けられるようになっている。そして、この後、起動指令を受けてから所定時間が経過すると、モータ駆動用のメイン処理(図16)のステップD60にて「YES」へ進み、始動フラグを「L」に切り換える処理を実行する(ステップD70)。
【0084】
次に、始動フラグ=「L」の場合のマイコン59の制御動作について説明する。この場合、まず、第1の割り込み処理(図17)においては、始動フラグ=「L」であるから、ステップA80にて「NO」へ進み、そのまま(ステップA90及びA100を実行しないで)リターンするようになる。
【0085】
また、第2の割り込み処理(図18)においては、始動フラグ=「L」であるから、ステップB30にて「NO」へ進み、ステップB40〜B100の処理を実行する。具体的には、まず、ステップB40において、メイン処理(図15)のステップM190で形成された位相指令Pcを読み出す。続いて、ステップB50において、上記位相指令Pcとロータ27の回転位置を示す電気角カウンタECとにより、ブラシレスモータ20に与える電圧の位相Pvを計算する。この計算は、次の式で行う。
【0086】
Pv=EC+Pc
但し、Pv≧384の場合には、Pv=Pv−384を行う。
【0087】
そして、ステップB60へ進み、ここでは、メイン処理(図15)のステップM180で形成された電圧指令Vcを読み出す。続いて、ステップB70へ進み、出力波形データDuを計算して出力する。この場合、上記計算した電圧位相Pvに対応する正弦波波形の電圧率Dsを図9に示す通電波形データから読み出し、次の式で出力波形データDuを計算する。
【0088】
Du=Ds×(Vc/256)+128
ここで、電圧率Dsのデータ値としての領域は、8ビットデータの補数表現で取り得る「−127〜127」である。そして、三角波データPzの領域である「0〜255」にシフトさせるために、「128」をオフセット値として加えている。また、電圧指令Vcのデータ値としての領域は、「0〜255」であるから、(Vc/256)を電圧率Dsに乗ずることにより、電圧指令Vcに応じた振幅が得られるようになっている。そして、このように計算されたものが出力波形データDuとして出力される。尚、図9に示す通電波形データは、1電気周期を384に分割した8ビットの電圧率データDsから構成されており、この電圧率データDsはマイコン59のROM59a内に予め記憶されている。また、通電波形データとして、本実施例の場合、正弦波波形データを記憶している。
【0089】
そして、ステップB80へ進み、出力波形データDvを計算して出力する。この場合、まず、電圧位相Pvを次の式により計算する。
【0090】
Pv=EC+Pc+256
但し、Pv≧384の場合には、Pv=Pv−384を行う。
【0091】
次いで、上記計算した電圧位相Pvに対応する正弦波波形の電圧率Dsを図9に示す通電波形データから読み出した後、次の式で出力波形データDvを計算する。
【0092】
Dv=Ds×(Vc/256)+128
続いて、ステップB90へ進み、出力波形データDwを計算して出力する。この場合も、まず、電圧位相Pvを次の式により計算する。
【0093】
Pv=EC+Pc+128
但し、Pv≧384の場合には、Pv=Pv−384を行う。
【0094】
次いで、上記計算した電圧位相Pvに対応する正弦波波形の電圧率Dsを図9に示す通電波形データから読み出した後、次の式で出力波形データDwを計算する。
【0095】
Dw=Ds×(Vc/256)+128
そして、ステップB100へ進み、すべて「H」の選択信号U1、U2、V1、V2、W1、W2を出力した後、リターンするように構成されている。以上説明したマイコン59の制御動作が、始動フラグが「L」状態であるときのモータ駆動用のプログラムの動作であり、これにより、ブラシレスモータ20が正弦波電圧で通電制御されるようになる。以下、上記制御動作によりブラシレスモータ20が正転駆動されるときの具体的動作について、図20に示すタイムチャートを参照して説明する。
【0096】
まず、図20(f)は、第2の割り込み処理(図18)のステップB50の実行により計算された電圧位相Pvを示している。この電圧位相Pvは、電気角カウンタECから第2の割り込み処理(図18)のステップB40で得られた位相指令Pcだけ進ませた電圧位相である。そして、第2の割り込み処理(図18)のステップB70の実行により出力される出力波形データDuは、図20(g)に示すようなデータとなる。
【0097】
この出力波形データDuが出力されると、制御手段67におけるU相の比較器62は、上記出力波形データDuと三角波発生回路65から出力される搬送波Pzとを比較して、信号Vuを出力する。そして、選択回路66は、上記信号Vuと選択信号U1、U2とに基づいて駆動信号Vup、Vunを出力する。この場合、選択信号U1=「H」、選択信号U2=「H」であるから、選択回路66は駆動信号Vup=信号Vu、Vun=信号Vuの反転信号となる駆動信号Vup、Vunを出力する。これら駆動信号Vup、Vunを図20(h)に示す。尚、図20には図示していないが、V相、W相についても、第2の割り込み処理(図18)のステップB80、B90の実行により出力波形データDv、Dwが出力されると共に、選択回路66から駆動信号Vvp、Vvn、Vwp、Vwnが出力されるように構成されている。
【0098】
この場合、V相の出力波形データDv、駆動信号Vvp、Vvnは、U相の出力波形データDu、駆動信号Vup、Vunよりも電気角で「128」分だけ位相が遅れている。また、W相の出力波形データDw、駆動信号Vwp、Vwnは、U相の出力波形データDu、駆動信号Vup、Vunよりも電気角で「256」分だけ位相が遅れている。
【0099】
そして、上記U相の駆動信号Vup、Vunにより駆動回路57a、57bを介してインバータ主回路47のスイッチング素子54a、54bをオンオフすることによって、インバータ主回路47のU相の出力端子から出力される電圧は、図20(i)に示すような電圧波形となる。このU相出力電圧は、正弦波波形をPWM処理した電圧(即ち、正弦波近似のPWM電圧)である。このU相出力電圧をブラシレスモータ20のU相の巻線26uに通電すると、該U相巻線26uに流れる電流は、図20(j)に示すような電流波形となる。
【0100】
このU相巻線26uに流れる巻線電流の位相は、U相の巻線26uに発生する誘起電圧(図20(a))の位相とほぼ一致している。というのは、メイン処理(図15)のステップM110において形成される位相指令Pc(図10参照)が、ブラシレスモータ20の運転中に各相の巻線26に流れる電流が各相の誘起電圧と同位相となるように予め実験により求めたデータであるからである。
【0101】
また、V相、W相についても、駆動信号Vvp、Vvn、Vwp、Vwnによりインバータ主回路47のスイッチング素子54c〜54fをオンオフすることによって、インバータ主回路47のV相、W相の出力端子から出力される電圧は、上記U相出力電圧と同様にして、正弦波波形をPWM処理した電圧となる。そして、これらV相、W相出力電圧をブラシレスモータ20のV相、W相の巻線26v、26wに通電すると、該巻線26v、26wに流れる電流の位相は、巻線26v、26wに発生する誘起電圧の位相とほぼ一致する。
【0102】
以上説明した動作は、ブラシレスモータ20を正回転方向に駆動する場合の動作であるが、逆回転方向に駆動する場合の動作もほぼ同じである。この逆回転方向に駆動する場合には、図11の位置センサ信号モードのテーブル、図12の電気角データテーブル、図13の矩形波データテーブルとして、逆回転用の各データテーブルを使用するところだけが異なる。そして、洗い運転が終了するまで(即ち、メイン処理(図15)のステップM120にて「YES」へ進むまで)、上述したブラシレスモータ20を正逆回転駆動する動作を繰り返し実行するように構成されている。
【0103】
次に、脱水運転の制御動作について説明する。脱水運転指令を受けると、メイン処理(図15)のステップM130にて「YES」へ進み、排水弁モータ9を通電駆動する(ステップM140)。これにより、排水弁7が開放されて回転槽4内の水が排水されるようになり、回転槽4内の水位を検知する水位センサ73からの検知信号に基づいて回転槽4内の排水が完了するまで排水運転が続けられる(ステップM150)。
【0104】
また、上記排水弁モータ9の通電駆動により、クラッチ32の切換レバー33が下方へ回動動作して切換レバー33の下部の凸部33eがロータハウンジング28の上面の複数の凸部28d間に係合する(図7参照)。これにより、槽軸12とロータ27(及び撹拌軸14)とが一体回転するように連継した態様となる。この態様の場合、槽軸12、回転槽4、撹拌軸14及び撹拌体5は、ブラシレスモータ20によりダイレクトに回転駆動される。
【0105】
この後、回転槽4内の排水が完了すると、ステップM160へ進み、複数の脱水運転コースの中からこれから実行する1つの脱水運転コースが選択設定される。続いて、ステップM170、M180、M190の各処理を順に実行することにより、ブラシレスモータ20に対する運転パターン(運転指令)を形成する。この場合、ROM59a内には複数の脱水運転パターンが予め記憶されており、これら複数の脱水運転パターンの中から上記ステップM160にて選択されたコースに対応する脱水運転パターンを選択して読み出すことにより、脱水運転用の運転パターン(脱水運転パターン)を形成している。この脱水運転パターンの一例を図14に示す。
【0106】
この図14に示すように、脱水運転パターンは、前述した洗い運転パターンと同様にして、2ビットのデータからなる駆動指令と、8ビットのデータからなる電圧指令Vcと、9ビットのデータからなる位相指令Pcとから構成されている。そして、図14に示す脱水運転パターンは、例えば50秒の「正転駆動」から構成された運転パターンであり、上記脱水運転においては、この50秒の運転パターンを実行するように構成されている。
【0107】
ここで、上記50秒の運転パターンは、例えば1s(秒)でサンプリングされた上記3つの指令データから構成されている。即ち、上記3つの指令データを1組のデータとすると、上記50秒の運転パターンは50組のデータから構成されており、これら50組のデータが図14の脱水運転パターンとしてROM59aに記憶されている。ここで、図14の脱水運転パターンの位相指令Pcは、運転中のブラシレスモータ20の巻線26の各相に流れる電流の位相が巻線26の各相に発生する誘起電圧の位相よりも進み位相となるように実験的に求められたデータであり、これについては詳しくは後述する。
【0108】
さて、ステップM170、ステップM180、ステップM190において、ROM59aから上記脱水運転パターンを読み出すに当たっては、1秒毎に上記1組のデータ、即ち、3つの指令データを順次読み出すようにしている。そして、この読み出した3つの指令データをそれぞれモータ駆動指令、モータ電圧指令Vc、モータ位相指令Pcとし、これにてモータ駆動指令、モータ電圧指令Vc、モータ位相指令Pcを形成する構成となっている(ステップM170、ステップM180、ステップM190)。これら各駆動指令を形成する処理は、脱水運転終了の判断処理(ステップM200)、停電の判断処理(ステップM210)、蓋スイッチの判断処理(ステップM220)のいずれかにおいて「YES」となるまで繰り返し実行されるように構成されている。
【0109】
尚、上記脱水運転におけるブラシレスモータ20の実際の通電駆動は、前述した洗い運転と同様にして、図16のモータ駆動のメイン処理、図17の第1の割り込み処理、並びに、図18の第2の割り込み処理側で実行されるように構成されている。これら各処理の制御動作は、洗い運転の場合とほぼ同様であり、説明を省略する。この場合、脱水運転の場合には、洗い運転パターン(図10)に代えて脱水運転パターン(図14)を使用するところが異なるだけである。
【0110】
次に、脱水運転を停止する場合、即ち、回転槽4を制動して停止する場合の動作について説明する。まず、通常の脱水運転終了時の動作について述べる。この場合、脱水運転時間が脱水運転コースに応じて設定された設定時間に達すると、脱水運転の終了と判断され、ステップM200にて「YES」へ進み、通常制動の処理を実行する(ステップM230)。ここでは、マイコン59は、選択信号U1、V1、W1が「L」であると共に、選択信号U2、V2、W2が「H」である選択信号を出力する。
【0111】
これら選択信号を受けて選択回路66は、「L」の駆動信号Vup、Vvp、Vwpを出力すると共に、「H」の駆動信号Vun、Vvn、Vwnを出力する。これにより、インバータ主回路47のスイッチング素子54a、54c、54eがオフされると共に、スイッチング素子54b、54d、54fがオンされる。この結果、ブラシレスモータ20の巻線26は、スイッチング素子54b、54d、54f及びダイオード55b、55d、55fを介して短絡回路が形成されるようになり、制動トルクが発生する。この制動トルクにより、ブラシレスモータ20ひいては回転槽4の回転が停止する。この通常制動の処理は、予め決められた設定時間だけ実行されるように構成されており、この後は、ステップM20へ戻るようになっている。
【0112】
一方、脱水運転中に停電が発生した場合、または、蓋74が開放操作された場合には、回転槽4を緊急制動する処理(ステップM240〜M280)が実行されるように構成されており、以下この緊急制動処理について説明する。まず、停電検出回路72からの検出信号に基づいて停電が発生したと判断されると、ステップ210にて「YES」へ進み、ステップM240を実行する。また、蓋スイッチ75からのスイッチ信号に基づいて蓋74が開放されたと判断されると、ステップ220にて「YES」へ進み、ステップM240を実行する。
【0113】
このステップ240では、マイコン59はリレー駆動回路70にリレーオフ信号を出力することにより、リレー48をオフする。続いて、ステップM250を実行し、緊急制動用のモータ位相指令Pcを形成する。この場合、緊急制動用のモータ位相指令Pcとしては、例えば「−16」といった遅れ位相を形成する。そして、ステップM260へ進み、緊急制動用のモータ電圧指令Vc(予め決められた所定値の電圧指令)を形成する。これら緊急制動用のモータ位相指令Pc及びモータ電圧指令Vcを形成する処理は、ブラシレスモータ20の回転速度(回転数)が速度低下判定用の設定速度まで低下するまで繰り返し実行されるように構成されている。
【0114】
ここで、上記遅れ位相のモータ位相指令Pcでブラシレスモータ20を通電駆動すると、ブラシレスモータ20は回生状態、即ち、回生制動が発生する状態となる。この回生制動によりブラシレスモータ20ひいては回転槽4の回転が低下するようになる。また、ブラシレスモータ20の巻線26で発生した回生電力は、インバータ主回路47のダイオード55a〜55fを介して直流電源回路43側へ流れるようになる。そして、この回生電流は、ダイオード49を通って直流電源回路43のコンデンサ42a、42bを充電し、直流電圧を高くするようになる。この場合、停電が発生していても、上記回生電力により定電圧回路45が動作して定電圧をマイコン59に与えるようになることから、マイコン59の制御動作が継続する構成となっている。
【0115】
更に、上記構成では、マイコン59は、分圧回路69を介して直流電源回路43のコンデンサ42a、42bの充電電圧、即ち、直流電圧の大きさを例えば1ms毎に検出している。そして、マイコン59は、上記検出した直流電圧が例えば400Vを越えたときには、放電手段53の駆動回路52へオン信号を出力してスイッチング素子51をオンする。これにより、上記回生電流が放電手段53の放電抵抗50で消費されるようになるから、直流電源回路43のコンデンサ42a、42bの直流電圧の上昇が抑制される。また、マイコン59は、上記検出した直流電圧が例えば350V以下となったときには、放電手段53の駆動回路52へオフ信号を出力してスイッチング素子51をオフするように構成されている。
【0116】
上記回生制動により、ブラシレスモータ20の回転速度が速度低下判定用の設定速度まで低下すると、ステップM270にて「YES」へ進む。この場合、ブラシレスモータ20の回転速度は、第1の割り込み処理(図17)のステップA70にて得られる回転周期Tmに基づいて検出されるように構成されている。具体的には、上記回転周期Tmが速度低下判定用の設定値よりも長くなったこと(回転速度が低下したこと)が判断されると、ステップM270にて「YES」へ進む。そして、この後は、上記したステップM230と同じようにして、通常制動の処理が実行される。これにより、ブラシレスモータ20ひいては回転槽4の回転が停止する。この通常制動の処理は、予め決められた設定時間だけ実行され、この後は、ステップM20へ戻るように構成されている。
【0117】
尚、上記構成の全自動洗濯機においては、上述した洗い運転及び脱水運転を適宜組み合わせて実行することにより、設定された洗濯運転コースの洗い行程、すすぎ行程、脱水行程を実行することが可能なように構成されている。この場合、各行程において、洗い運転及び脱水運転を実行する場合、洗い運転パターン及び脱水運転パターンとして各行程及びコースに対応するパターン(各行程及びコースに最も適したパターン)をそれぞれ使用する構成となっている。
【0118】
このような構成の本実施例によれば、洗い運転時には、クラッチ32の切換レバー33が上方へ回動動作されてブラシレスモータ20のロータ27により撹拌軸14、即ち、撹拌体5がダイレクトに正逆回転駆動されるようになる。そして、脱水運転時には、クラッチ32の切換レバー33が下方へ回動動作されてブラシレスモータ20のロータ27により撹拌軸14及び槽軸12、即ち、撹拌体5及び回転槽4の双方がダイレクトに正転方向へ高速回転駆動されるようになる。これにより、いわゆるダイレクトドライブ構造となるから、ベルト伝達機構やギア減速機構を不用にすることができ、洗濯機全体の軽量化及び小形化を図ることができると共に、運転騒音を低減することができる。
【0119】
また、本実施例では、ブラシレスモータ20を通電駆動するに際して、ホールIC31からの位置センサ信号に基づいて正弦波状の通電信号を生成し、この通電信号に基づいてブラシレスモータ20を通電する構成としたので、ブラシレスモータ20のトルク変動を非常に小さくすることができ、ブラシレスモータ20の運転振動及び騒音を極めて小さくすることができる。以下、本実施例におけるブラシレスモータ20の通電制御によって、トルク変動が非常に小さくなることを具体的に説明する。
【0120】
まず、インバータ装置68のマイコン59は、ブラシレスモータ20の3個のホールIC31u、31v、31wから位置センサ信号Hu、Hv、Hwを受けることにより、1電気周期を48分解能でロータ27の位置を検出するように構成されている、そして、マイコン59は、上記検出したロータ位置に対応してROM59aに記憶された正弦波の波形データを読み出し、ロータ位置に対応した正弦波の電圧波形データを形成する。そして、この電圧波形データは、パルス幅変調されてから駆動回路57a〜57f及びインバータ主回路47を介して巻線26に供給されるように構成されている。この場合、電圧波形データのロータ位置に対する位相は、次に述べるように制御されている。
【0121】
まず、洗い運転の場合には、洗い運転パターン(図10)によりブラシレスモータ20の3相の巻線26に生ずる各誘起電圧と3相の巻線26に流れる各巻線電流とがそれぞれ同位相となるように位相指令Pcが形成される構成となっている。この通電制御により、ブラシレスモータ20には、図21(a)、(b)に示すようなトルクが発生する。図21(a)、(b)はトルク波形のシミュレーション結果を示している。この場合、ブラシレスモータ20は3相24極であり、巻線26は50mH、10Ωであり、回転数(回転速度)Nは150rpmであり、誘起電圧は40Vsinθであり、電圧指令Vcは「255」、位相指令Pcは「32」である。
【0122】
上記図21(a)において、v(u)はインバータ主回路47のU相出力電圧を示している。このU相出力電圧は、実際には、PWM処理された複雑な波形であるが、ここでは正弦波波形に近似させると共にアナログ電圧(交流電圧)として示している。また、e(u)はU相の巻線26uに発生する誘起電圧を示し、i(u)はU相の巻線26uに流れる巻線電流を示している。
【0123】
そして、図21(b)において、T(u)はU相分のトルク波形を示し、Tは3相分のトルク波形を示している。ここで、T(U)及びTはそれぞれ次式により算出されている。尚、Nは回転数である。
【0124】
T(u)=(i(u)×e(u))/(2×π×N/60)
T=(i(u)×e(u)+i(v)×e(v)+i(w)×e(w))/(2×π×N/60)
上記図21(a)によれば、誘起電圧に対して同位相で通電していること、即ち、誘起電圧と巻線電流との力率が最大であることから、ブラシレスモータ20のモータ効率が最大となっていることがわかる。また、図21(b)によれば、3相分のトルク波形Tが直線であることから、変動のないトルクが発生していること、即ち、トルク変動がほとんどないことがわかる。これにより、洗い運転時において、ブラシレスモータ20の運転振動及び運転騒音が極めて小さくなるのである。
【0125】
一方、脱水運転の場合には、脱水運転パターン(図14)によりブラシレスモータ20の3相の巻線26に生ずる各誘起電圧に対して、3相の巻線26に流れる各電流が進み位相となるように位相指令Pcが形成される構成となっている。この図22(a)、(b)もトルク波形のシミュレーション結果を示しており、図22(a)において、v(u)はインバータ主回路47のU相出力電圧を示している。このU相出力電圧は、実際には、PWM処理された複雑な波形であるが、ここでは正弦波波形に近似させると共にアナログ電圧(交流電圧)として示している。また、e(u)はU相の巻線26uに発生する誘起電圧を示し、i(u)はU相の巻線26uに流れる巻線電流を示している。
この通電制御により、ブラシレスモータ20には、図22(a)、(b)に示すようなトルクが発生する。図22におけるv(u)、e(u)、i(u)、T(u)、Tの各定義は、T(u)はU相分のトルク波形を示し、Tは3相分のトルク波形を示している。ここで、T(u)及びTはそれぞれ次式により算出されている。尚、Nは回転数である。
T(u)=(i(u)×e(u))/(2×π×N/60)
T=(i(u)×e(u)+i(v)×e(v)+i(w)×e(w))/(2×π×N/60)
この場合、ブラシレスモータ20は3相24極であり、巻線26は50mH、10Ωであり、回転数(回転速度)Nは900rpmであり、誘起電圧は240Vsinθであり、電圧指令Vcは「255」、位相指令Pcは「64」である。
【0126】
そして、上記図22(a)によれば、誘起電圧に対して進み位相で通電しており、インバータ主回路47の出力電圧v(u)よりも誘起電圧e(u)の振幅の方が大きい関係にある。上記図22(b)によれば、この関係においても、正のトルクT(u)が発生していることがわかる。進み位相としない場合には、出力電圧v(u)よりも誘起電圧e(u)の振幅が小さい範囲で誘起電圧e(u)が制限されて、この誘起電圧e(u)を発生する振幅の範囲で回転数が決まる。進み位相とすることで、出力電圧v(u)よりも誘起電圧e(u)の振幅の方が大きい関係にありながら正のトルクT(u)が発生していることは、ブラシレスモータ20の回転速度(回転数)を強制的に高くできることを示している。これについて、図23のトルク−回転数特性図に従って説明する。
【0127】
図23において、特性Aはブラシレスモータ20の通常の特性であり、この場合には、誘起電圧がインバータ主回路47の出力電圧を越えないようにブラシレスモータ20の回転数が制限されるように構成されている。これに対して、巻線電流が誘起電圧に対して進み位相となるように通電制御すると、トルクは減少するが回転数が高くなる、即ち、図23においてBで示される特性となる。そして、巻線電流を更に進み位相となるように通電制御すると、図23においてCで示される特性となる。
【0128】
ここで、洗い運転時の負荷点を図23においてXで示すと、特性Aは上記洗い負荷点Xでモータ効率を最大とする特性であり、ブラシレスモータ20はこのような特性Aを備えたモータであることがわかる。一方、脱水運転時の負荷点は図23においてYで示す領域であり、特性Aのままでは脱水負荷点Yで駆動することができない。これに対して、本実施例では、巻線電流が誘起電圧に対して進み位相となるように通電制御することにより特性Cを得るように構成し、もって、特性Aを持つブラシレスモータ20を脱水負荷点Yで駆動することを可能にしている。
【0129】
更に、上記実施例では、特性Cでブラシレスモータ20を通電駆動している場合、図22(b)に示すように、3相分のトルク波形Tが直線であることから、変動のないトルクが発生していること、即ち、トルク変動がほとんどないことがわかる。これにより、脱水運転時において、ブラシレスモータ20の運転振動及び運転騒音が極めて小さくなる。
【0130】
次に、脱水運転中に、ブラシレスモータ20(及び回転槽4)を緊急制動する場合について説明する。この場合、巻線電流が誘起電圧に対して遅れ位相となるように位相指令Pcが形成される構成となっている。この通電制御により、ブラシレスモータ20には、図24(a)、(b)に示すようなトルクが発生する。尚、この図24(a)、(b)もトルク波形のシミュレーション結果を示しており、図24におけるv(u)、e(u)、i(u)、T(u)、Tの各定義は、前記図21の場合の各定義と同じである。この場合、ブラシレスモータ20は3相24極であり、巻線26は50mH、10Ωであり、回転数(回転速度)Nは900rpmであり、誘起電圧は240Vsinθであり、電圧指令Vcは「255」、位相指令Pcは「−16」である。
【0131】
そして、上記図24(b)によれば、3相分のトルク波形Tが直線であることから、変動のないトルクが発生していること、即ち、トルク変動がほとんどないことがわかる。しかも、上記トルク波形Tが負のトルクであることから、制動トルクが発生していることがわかる。これにより、脱水運転中の緊急制動時において、ブラシレスモータ20の運転振動及び運転騒音が極めて小さくなる。
【0132】
図25ないし図30は本発明の第2の実施例を示すものである。この第2の実施例が第1の実施例と異なるところは、マイコン59の制御内容、具体的には、第1の割り込み処理及び第2の割り込み処理の制御内容が異なる。尚、第1の実施例のフローチャート(図17及び18)における同じステップには、同じステップ符号を付している。
【0133】
まず、第1の割り込み処理においては、図25のフローチャートに示すように、ステップA41、A42、A71、A150、A160が第1の実施例と異なる処理である。ここでは、説明の便宜上、ステップA71の処理から説明する。このステップA71においては、回転周期領域ZTを計算する。この回転周期領域ZTは、ステップA70にて求めた回転周期Tmを基にして、ROM59a内に記憶している図27に示す回転周期領域データテーブルに従って、次式により算出されるデータである。上記回転周期領域データテーブルは、回転周期を8分割するためのデータテーブルである。
【0134】
回転周期Tm<TmH(ZT)ならば、ZT=ZT+1
回転周期Tm>TmH(ZT)ならば、ZT=ZT−1
但し、0≦ZT≦7
そして、次回実行される第1の割り込み処理において、ステップA41を実行するときに、上記前回計算された回転周期領域ZTに基づいて逓倍率を選択する。具体的には、ROM59aに記憶されている図28の逓倍率データテーブルから、シフト回数と電気角増加データEd(このEdは、第2の割り込み処理(図26)のステップB20で使用されるデータである)を選択する。そして、選択したシフト回数だけデータDT1を減少方向にシフトさせる処理が実行されるように構成されている。以下、各データに具体的数値を当てはめて説明する。
【0135】
例えば回転周期領域ZTが「6」の場合には、図28の逓倍率データテーブルからシフト回数として「0」、並びに、電気角増加データEdとして「8」が選択される。この場合、シフト処理は実行されず、また、逓倍率は第1の実施例と同様に8倍である。
【0136】
次に、回転周期領域ZTが例えば「3」の場合には、図28のデータテーブルからシフト回数として「1」、並びに、電気角増加データEdとして「4」が選択される。この場合、データDT1を1回シフトさせる処理が実行されてデータDT1が1/2となる。これは、クロックck1の周期を2倍に変更したことと等価である。そして、ステップA50において、上記シフト処理されたデータDT1(1/2のデータDT1)が第2のカウンタ61へ与えられると、第2のカウンタ61の動作周期が第1のカウンタ60の動作周期の1/16となる。これにより、第2の割り込み処理(図26)は、1モードの間に16回実行されるようになる。即ち、逓倍率が16倍となる。また、電気角増加データEdが「4」であるから、第2の割り込み処理(図26)のステップB20の処理で、電気角カウンタECが「4」ずつ増加するようになり、この増加に対応して出力データ波形(Du、Dv、Dw)の演算が実行される。これにより、分解能がより高い出力データ波形を得ることができる。
【0137】
そして、上記したステップA41の処理の実行に続いて、ステップA42の処理を実行し、位置センサ補正処理を行う。この位置センサ補正処理においては、データDT2を図12に示す電気角データテーブルを参照して次式で計算し、この計算したデータDT2を第2のカウンタ61へ出力する。
【0138】
DT2=DT1×64/(Ex(n)−Ex(n−1))
但し、(Ex(n)−Ex(n−1))が負である場合、これに384を加えて計算を実行する。
【0139】
尚、この場合、後述するステップA160の処理において、電気角データが書き換えられるまでは、「Ex(n)−Ex(n−1)=64」であるから、「DT2=DT1」である。
【0140】
そして、この後、ステップA140において、ブラシレスモータ20の回転状態が安定状態であるか否かの判断が実行される。この場合、ステップA70において得られた2回分の回転周期Tm、Tmpの差が予め決められた所定範囲内であるか否かによって判断される。そして、回転周期Tm、Tmpの差が所定範囲内にあり、安定状態であると判断されると、ステップA140にて「YES」へ進み、次式で示される計算処理(ステップA150)を行う。
【0141】
Ex(1)=32
Ex(n)=Ex(n−1)+64×Ts(n−1)/(Tm/6)
続いて、ステップA160へ進み、上記計算結果により電気角データテーブルを書き換える。そして、これ以降は、上記書き換えた電気角データテーブルを使用してステップA42の処理が実行されるようになる。
【0142】
次に、上述した第1の割り込み処理(図25)のステップA42〜A160の制御動作、即ち、位置センサ補正処理の制御動作について図30を参照して具体的に説明する。この図30においては、V相のホールIC31vの取付け誤差により、位置センサ信号Hu、Hv、Hw(図30(b)参照)のうちの位置センサ信号Hvが遅れ方向にずれている。
【0143】
この状態で、第1の割り込み処理(図25)のステップA20が実行されることにより、変化周期Ts(n)が求められ、この変化周期Ts(n)が図30(d)に示されるようなデータになったとする。この場合、ステップA150において、電気角データEx(n)は次のように計算される。
【0144】
Ex(1)=32
Ex(2)=32+64×8000/8000=96
Ex(3)=96+64×9000/8000=168
Ex(4)=168+64×7000/8000=224
Ex(5)=224+64×8000/8000=288
Ex(6)=288+64×9000/8000=360
これら計算結果に基づいて、図12に示す電気角データテーブルが、図29に示すような電気角データテーブルに書き換えられる。
【0145】
そして、これ以降、ステップA42の処理においてデータDT2を計算する場合、例えば位置センサ信号Hvの立上がりタイミングでデータDT2を計算する場合、次式で計算して求められる。尚、ステップA41におけるシフト処理は、シフト回数が「0」であるとする。また、DT1=9000とする。
【0146】
DT2=9000×64/(168−96)=8000
この計算されたデータDT2が第2のカウンタ61に出力されるようになる。このため、第1のカウンタ60のカウント動作は図30(f)で示すようになり、第2のカウンタ61のカウント動作は図30(g)で示すようになる。
【0147】
そして、ステップA60の電気角カウンタECの書き換え処理においては、図29の電気角データテーブルが使用されるようになる。これにより、電気角カウンタECのカウント動作は、図30(h)で示すようになる。この図30(h)によれば、ロータ27の位置検出を歪みなく連続して実行できていることがわかる。即ち、上記した位置センサ補正処理によって、V相のホールIC31vの取付け誤差があって位置センサ信号Hvがずれていたとしても、そのずれを検知して位置センサ信号を補正することが可能となり、ロータの位置検出を正確に実行できていることがわかる。この場合、他の相のホールIC31の取付け誤差があった場合も同様にして位置センサ信号を補正することができる。
【0148】
次に、第2の実施例の第2の割り込み処理について図26を参照して説明する。この第2の割り込み処理(図26)において、ステップB10〜B60までは、第1の実施例の第2の割り込み処理(図18)と同じであり、説明を省略する。第2の実施例では、ステップB60の電圧指令Vcの読み出しを実行した後、ステップB61へ進み、直流電源回路43の直流電源電圧を入力する処理を実行する。ここでは、マイコン59は、直流電源回路43の直流電源電圧を分圧回路69により例えば5/512に分圧した電圧信号を入力し、この電圧信号を内蔵するA/D変換機能によりデジタル電圧データ例えば8ビットデータVsに変換して入力するように構成されている。
【0149】
そして、ステップB71に進み、計算された電圧位相Pvに対応する正弦波波形の電圧率Dsを図9に示す通電波形データから読出すと共に、出力波形データDuを次式により計算して求める。
【0150】
Du=Ds×(Vc/256)×(Vr/Vs)+128
この式において、第1の実施例における出力波形データDuを計算する式との相違点は、(Vr/Vs)をDsに乗じている点である。ここで、Vrは、基準直流電源電圧である例えば180Vに対応した8ビットデータ、具体的には、「90」である。この場合、直流電源電圧が例えば200V〜220Vの範囲で変動しているとすると、(Vr/Vs)として(90/100)〜(90/110)の範囲で変動する値が乗算されて出力波形データDuが計算される構成となっている。
【0151】
続いて、ステップB81に進み、電圧位相Pvを下記の式で計算すると共に、出力波形データDvを下記の式で計算して求める。
【0152】
Pv=EC+Pc+256
但し、Pv≧384である場合、Pv=Pv−384とする。
【0153】
Dv=Ds×(Vc/256)×(Vr/Vs)+128
そして、ステップB91に進み、同様にして電圧位相Pvを下記の式で計算すると共に、出力波形データDwを下記の式で計算して求める。
【0154】
Pv=EC+Pc+128
但し、Pv≧384である場合、Pv=Pv−384とする。
【0155】
Dw=Ds×(Vc/256)×(Vr/Vs)+128
上記したステップB61〜B91の処理の実行により、直流電源電圧が変動することがあっても、この変動に応じて出力波形データDu、Dv、Dwを計算することにより、上記変動の影響を受けない出力波形データDu、Dv、Dwを出力することができる。これにより、直流電源電圧の変動にかかわりなく、ブラシレスモータ20を正確に通電制御することが可能となる。尚、上記第2の実施例の場合、マイクロコンピュータ59が、逓倍信号発生手段、ロータ位置推定手段、回転安定判断手段、電気角データ演算手段、補正手段としての各機能を有している。
【0156】
尚、上記各実施例においては、使用者が操作パネルの各種の操作スイッチを操作することにより所望の洗濯運転コースを選択するように構成したが、これに限られるものではなく、洗濯運転の初期運転時に洗濯物の量や質等を検知する手段を備え、この検知手段による検知結果に基づいて最適な洗濯運転コースを自動的に選択するように構成しても良い。
【0157】
また、上記各実施例では、始動時にブラシレスモータ20を矩形波通電をした後、所定時間経過後に正弦波通電に切り換えるように構成したが、これに代えて、始動後、回転速度が設定回転速度(または回転周期が設定回転周期)まで上昇した時点で正弦波通電に切り換えるように構成しても良い。尚、上記所定時間や設定速度や設定回転周期の各具体値は適宜決めれば良い。
【0158】
一方、上記各実施例では、マイコン59、カウンタ60、61、比較器62、63、64、三角波発生回路65、選択回路66を別体の回路から構成したが、これに代えて、図31に示す第3の実施例のように、第1の実施例のマイコン59、カウンタ60、61、比較器62、63、64、三角波発生回路65、選択回路66をすべて内蔵するワンチップマイコン(ワンチップマイクロコンピュータ)78を設けるように構成しても良い。
【0159】
更に、上記各実施例では、ブラシレスモータ20(回転槽4)を緊急制動する場合、電圧指令Vc及び位相指令Pcを予め決めた所定値としたが、これに限られるものではなく、回転周期検出結果や経過時間に基づいて電圧指令Vc及び位相指令Pcの各値を可変させるように構成しても良い。更にまた、上記各実施例では、ROM59aに通電波形データとして正弦波波形データを記憶するように構成したが、これに限られるものではなく、ブラシレスモータ20のトルク変動を防止(小さく)できる通電波形であれば、他の波形データを記憶するように構成しても良い。
【0160】
また、上記第2の実施例において、書き換えた電気角データをEEPROM等の不揮発性メモリに記憶させるように構成し、次回の電源投入時の電気角データとして上記不揮発性メモリに記憶させておいた電気角データを使用するように構成しても良い。更に、第2の実施例において、安定回転状態の判断、電気角データの計算、電気角データの書き換えの各処理は、電源投入後の一時期だけ(あるいは洗濯運転の初期運転時だけ)実行するように構成しても良い。更にまた、安定回転状態の判断、電気角データの計算、電気角データの書き換えの各処理を洗濯機の製造工程の最終段階で実行し、各処理で求められたデータをEEPROM等の不揮発性メモリに記憶させてから、製品出荷するように構成しても良い。
【0161】
【発明の効果】
本発明は、以上の説明から明らかなように、ブラシレスモータを正弦波通電する構成としたので、トルク変動をほとんど無くすことができ、ブラシレスモータの運転振動及び運転騒音を大幅に少なくすることができ、超低振動低騒音の全自動洗濯機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す全自動洗濯機の電気的構成図
【図2】全自動洗濯機の縦断側面図
【図3】撹拌体及び回転槽の駆動機構部の縦断側面図
【図4】ブラシレスモータのステータの分解斜視図
【図5】ブラシレスモータ及びクラッチの分解斜視図
【図6】クラッチ及び制御レバーの斜視図
【図7】クラッチの異なる切換状態を示す図3相当図
【図8】選択回路の電気的構成図
【図9】通電波形データを示す図
【図10】洗い運転パターンの一例を示す図
【図11】位置センサ信号モードの判定データを示す図
【図12】電気角データテーブルを示す図
【図13】矩形波データテーブルを示す図
【図14】脱水運転パターンの一例を示す図
【図15】メイン処理のフローチャート
【図16】モータ駆動用のメイン処理のフローチャート
【図17】第1の割り込み処理のフローチャート
【図18】第2の割り込み処理のフローチャート
【図19】ブラシレスモータの始動時(矩形波通電時)のタイムチャート
【図20】ブラシレスモータの正弦波通電時のタイムチャート
【図21】洗い運転時のブラシレスモータのトルク波形を説明するための図
【図22】脱水運転時のブラシレスモータのトルク波形を説明するための図
【図23】ブラシレスモータのトルク−回転数特性を示す特性図
【図24】緊急制動時のブラシレスモータのトルク波形を説明するための図
【図25】本発明の第2の実施例を示す第1の割り込み処理のフローチャート
【図26】第2の割り込み処理のフローチャート
【図27】回転数領域を決定するためのデータテーブルを示す図
【図28】逓倍率を決定するためのデータテーブルを示す図
【図29】電気角データテーブルを示す図
【図30】タイムチャート
【図31】本発明の第3の実施例を示すマイコンの電気的構成図
【符号の説明】
1は外箱、2は水受槽(外槽)、4は回転槽、5は撹拌体、6は排水口、7は排水弁、9は排水弁モータ、12は槽軸、14は撹拌軸、20はブラシレスモータ、21はステータ、26は巻線、27はロータ、30はロータマグネット、31はホールIC(ロータ位置検知手段)、32はクラッチ、33は切換レバー、38は制御レバー、42a、42bは平滑コンデンサ、43は直流電源回路、46は放電回路、47はインバータ主回路、48はリレー、50は放電抵抗、51はスイッチング素子、53は放電手段、54a〜54fはスイッチング素子、55a〜55fはフリーホイールダイオード、57a〜57fは駆動回路、58はモータ通電手段、59はマイクロコンピュータ(電気角検出手段、記憶手段、位相指令形成手段、電圧指令形成手段)、59aはROM、59bはRAM、60は第1のカウンタ、61は第2のカウンタ、62、63、64は比較器、65は三角波発生回路、66は選択回路、67は制御手段(通電信号形成手段)、68はインバータ装置、70はリレー駆動回路、72は停電検出回路、74は蓋、78はマイクロコンピュータを示す。
Claims (5)
- 回転槽と、
マグネットを有するロータ及び三相の巻線を有するステータを備え、前記回転槽をダイレクトドライブ方式で回転駆動するブラシレスモータと、
複数のスイッチング素子を備え、前記巻線への通電を制御するインバータ主回路と、
前記スイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成する生成手段と、
前記ブラシレスモータのロータの回転位置を検知して位置センサ信号を出力するロータ位置検知手段と、
前記位置センサ信号に基づいてロータの電気角を検出する電気角検出手段と、
少なくとも前記ロータの電気角に対応した通電波形データ、複数の洗い運転パターン及び複数の脱水運転パターンを記憶する記憶手段とを備え、
前記巻線にほぼ正弦波状の誘起電圧を発生させるように構成されているとともに、
前記生成手段は、前記電気角検出手段からの電気角に対応して前記記憶手段から通電波形データを読み出すことにより前記PWM信号を生成するように構成され、そして、
洗い運転時には、前記記憶手段から前記複数の洗い運転パターンのうちの所定の洗い運転パターンを選択して、その洗い運転を行い、脱水運転時には、前記記憶手段から前記複数の脱水運転パターンのうちの所定の脱水運転パターンを選択して、その脱水運転を行うように構成され、更に、
前記巻線に生じる誘起電圧に対するその巻線に流れる電流の位相は、洗い運転時よりも脱水運転時の方が進んでいるように構成され、且つ、
前記洗い運転時において、前記巻線に生じる誘起電圧に対してその巻線に流れる電流は、ほぼ同位相となるように構成され、且つ、
前記脱水運転時において、前記巻線に生じる誘起電圧に対してその巻線に流れる電流は、進み位相となるように構成されていることを特徴とする洗濯機。 - 前記ブラシレスモータは、アウタロータ形であることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
- 前記巻線ロータの電気角を検出する電気角検出手段による電気角の分解能は、回転周期に応じて、回転周期が短いときは分解能を低く、回転周期が長いときは分解能を高くすることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
- 回転槽と、マグネットを有するロータ及び三相の巻線を有するステータを備え前記回転槽をダイレクトドライブ方式で回転駆動するブラシレスモータと、複数のスイッチング素子を備え前記巻線への通電を制御するインバータ主回路と、前記スイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成する生成手段と、前記ブラシレスモータのロータの回転位置を検知して位置センサ信号を出力するロータ位置検知手段と、前記位置センサ信号に基づいてロータの電気角を検出する電気角検出手段と、少なくとも前記ロータの電気角に対応した通電波形データ、複数の洗い運転パターン及び複数の脱水運転パターンを記憶する記憶手段とを備え、
前記巻線にほぼ正弦波状の誘起電圧を発生させるように構成されているとともに、
前記生成手段は、前記電気角検出手段からの電気角に対応して前記記憶手段から通電波形データを読み出すことにより前記PWM信号を生成するように構成され、そして、
洗い運転時には、前記記憶手段から前記複数の洗い運転パターンのうちの所定の洗い運転パターンを選択して、その洗い運転を行い、脱水運転時には、前記記憶手段から前記複数の脱水運転パターンのうちの所定の脱水運転パターンを選択して、その脱水運転を行うように構成され、更に、
前記巻線に生じる誘起電圧に対するその巻線に流れる電流の位相は、洗い運転時よりも脱水運転時の方が進んでいるように構成された洗濯機を駆動するための洗濯機の駆動方法において、
前記巻線に生じる誘起電圧に対してその巻線に流れる電流の位相が、ほぼ同位相となるように前記巻線に電流を流して洗い運転を行う第1工程と、
前記巻線に生じる誘起電圧に対してその巻線に流れる電流が、進み位相となるように前 記巻線に電流を流して脱水運転を行う第2の工程とを備えたことを特徴とする洗濯機の駆動方法。 - 前記第2工程では、前記巻線に生じる誘起電圧に対するその巻線に流れる電流の位相が、進み位相であることを特徴とする請求項4記載の洗濯機の駆動方法。
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