JP3948534B2 - スケール防止剤およびスケール防止方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラー等の水系の循環水に添加されるスケール防止剤およびスケール防止方法に関するものであり、さらに詳しくは、上記循環水が系外に排出された処理水による環境汚染の懸念のないスケール防止剤およびスケール防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ボイラー、冷却塔、熱交換器等の装置に利用されている天然水、水道水、工業用水等の循環水には、種々の不純物、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、バリウム等の陽イオンや、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、ケイ酸イオン等の陰イオンが含まれている。さらに、循環水には、場合によっては、防食剤として亜鉛イオンやリン酸イオンが添加されていることもある。
【0003】
ところが、これらの装置内では、循環水が加熱されたり、冷却されたり、ときにはpHが変化したりして、循環水中に含まれる上記イオンが不溶性塩となって装置の内壁に沈積、付着してしばしばスケールを形成する。
【0004】
このような装置では、その水系内にスケールが形成されることにより、伝熱効率や冷却効率が低下したり、流路の抵抗が増加したりして装置の運転コストの上昇を招くという問題を生じ、また、装置が腐食するという問題も生じている。
【0005】
また、スケールの発生が問題となるものとして、海水脱塩プラントが挙げられる。海水脱塩プラントでは、特に、高濃度の塩を含有する塩気のある水が処理される多段蒸発器、および逆浸透法用の膜装置において、上記各問題が典型的に現れることがある。
【0006】
さらに、その他のスケールの発生が問題となるものとしては、原油の採取における、例えば原油採取プロセスが挙げられる。すなわち、このような原油採取プロセスでは、水が主要重量となる量で存在している塩気をおびた油状水を、原油の回収水として、地下の油層と地上との間で循環させる導管中、とりわけ二次油回収操作中において、導管内にスケールが発生することによる上記各問題が生じることがある。
【0007】
そこで、上記各問題を回避するために、循環水に対し、スケール防止剤を添加することが考えられた。このようなスケール防止剤としては、例えば特公平2−9880号公報に開示されているように、無機および有機リン酸系化合物、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、マレイン酸の単独重合体および共重合体、並びに、ポリマレイン酸またはその塩を主成分とするものが知られている。
【0008】
また、特開平3−278898号公報には、ヒドロキシアルキルスルホン酸、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩、ヒドロキシアリールスルホン酸、およびヒドロキシアリールスルホン酸塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種によりエステル化されたマレイン酸を含む重合体または共重合体を、スケール防止剤の有効成分とするものが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の各公報に記載された各スケール防止剤では、各スケール防止剤が、ボイラー等の循環水や、原油採取プロセスでの回収水に用いられた場合、循環水や回収水が環境中に排出されたり、漏出したりした際に、環境への悪影響を招来するという問題を生じている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のスケール防止剤は、以上の課題を解決するために、主鎖において、−C−O−C−O−C−の構成単位を含み、側鎖にカルボキシル基を備えた水溶性重合体であることを特徴としている。
【0011】
本発明の請求項2記載のスケール防止剤は、
下記一般式(1)にて
【0012】
【化2】
【0013】
(式中Mは、水素、1価金属、2価金属、アンモニウム基または有機アミン基の内のいずれかを示し、nは2〜4の整数、xは20〜100モル%、yは80〜0モル%である)表される水溶性重合体を含むことを特徴としている。
【0014】
上記の請求項1および2記載の構成によれば、例えばボイラー等の水系に上記構成を添加すると、上記水溶性重合体を含むことによって、上記水系における不溶性塩の生成がカルボキシル基によって抑制され、上記水系におけるスケール防止能や、不溶性塩の生成の低減に優れたスケール防止剤となっている。
【0015】
また、上記水溶性重合体が、主鎖に上記構成単位を有することによって、中性〜酸性の環境下での化学的分解性を有し、そのような分解した低分子量のものが容易に自然界の環境下にて生分解される。このことから、上記水溶性重合体は、優れた生分解性を有するものとなるので、上記構成が添加された水系を環境中に排出した際の、環境に対する水溶性重合体による悪影響を軽減することが可能となる。
【0016】
本発明の請求項3記載のスケール防止方法は、請求項1または2記載のスケール防止剤を、水系に対し0.1〜500ppmの範囲の濃度にて添加することを特徴としている。
【0017】
上記の請求項3記載の方法によれば、上記の濃度の範囲内にて上記スケール防止剤を用いることによって、上記スケール防止剤が生分解性を有することから環境中に水系が排出された際の、上記スケール防止剤による悪影響を軽減しながら、不溶性塩の生成が抑制されることによる優れたスケール防止能、および、上記水系が用いられる装置等の洗浄などの手間を低減できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。
本発明のスケール防止剤は、主鎖において、−C−O−C−O−C−の構成単位を少なくとも1つ含み、側鎖にカルボキシル基を備えた水溶性重合体を主成分として含むものである。ただし、上記の構成単位におけるCは炭素原子を示し、Oは酸素原子を示す。
【0019】
上記水溶性重合体は、下記の一般式(1)にて
【0020】
【化3】
【0021】
(式中Mは、水素、1価金属、2価金属、アンモニウム基または有機アミン基の内の何れかを示し、nは2〜4の整数、xは20〜100モル%、yは80〜0モル%である)表されるものである。
【0022】
この水溶性重合体の製造方法としては、グリオキシル酸の低級アルキルエステルを、カルボキシル基の含有量を調整するため必要に応じて所望によりエチレンオキサイド等のエポキシ化合物と共に、トリエチルアミン、ピリジン、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等の重合触媒の存在下重合し、得られた重合体の末端を、さらに必要に応じて安定化させた後、上記重合体のカルボキシル基をケン化して水溶性重合体を得る方法を挙げることができる。
【0023】
上記のグリオキシル酸エステルとしては、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸エチル、グリオキシル酸プロピル、グリオキシル酸ブチル等を挙げることができる。共重合するエポキシ化合物としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が好ましい。エポキシ化合物を用いるのは、得られた水溶性重合体のゲル化向上、およびコストダウンを図るためである。
【0024】
また、得られた水溶性重合体における末端安定化のためには、上記エポキシ化合物の他に、エチルビニルエーテル等の重合性不飽和基を有するエーテル化合物を用いることが好ましい。
【0025】
これらグリオキシル酸エステルと、エポキシ化合物との比率は、両者の合計に対して、エポキシ化合物が0〜80モル%の量である。エポキシ化合物が80モル%の量を超えると、得られたスケール防止剤のスケール防止能が劣化することがある。
【0026】
得られた水溶性重合体の分子量としては、スケール防止性を充分に発現させるために、500〜100,000の範囲内が好ましく、さらに好ましくは1,000〜20,000の範囲内である。
【0027】
本発明のスケール防止方法は、上記のスケール防止剤が、ボイラー等の循環水や、原油採取の際の循環水に添加されて、上記循環水が循環する導管内におけるスケールの発生を防止するものであるが、その際のスケール防止剤の添加濃度としては、0.1〜500ppmが望ましく、さらに望ましくは0.5〜200ppmである。また、上記循環水のpHとしては7.5以上が好ましく、さらに好ましくは8以上である。
【0028】
また、上記スケール防止方法では、用いられたスケール防止剤は通常の環境下においても良好な生分解性を有するが、酸性環境下では水溶性重合体の化学的分解が、より早く進行するので、循環水を処理水として環境中に排出する前に、処理水のpHを7以下、より好ましくはpH1〜6の範囲内に調整し、添加されたスケール防止剤を化学的に分解することが、上記水溶性重合体の生分解性をさらに促進できるので望ましい。
【0029】
なお、このようにpHを調整した処理水は、排出に際し、そのpHを中性付近に再調整されても、添加されたスケール防止剤の生分解性に対し何ら支障を生じるものではない。
【0030】
【実施例】
本発明の各実施例について説明すれば、以下の通りである。
〔実施例1〕
本発明にかかる実施例1のスケール防止剤は、グリオキシル酸メチルの共重合体であり、主鎖において、グリオキシル酸メチルに由来する−C−O−C−O−C−の構成単位を多数含み、側鎖において、グリオキシル酸メチルに由来するカルボキシル基を備え、かつ、末端において安定化のために、エチルビニルエーテルに由来する構成単位を含む水溶性重合体である。
【0031】
この水溶性重合体について、その製造方法に基づいて説明すると、まず、攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、コンデンサー、滴下ロートを備えたガラス製反応器に対し、塩化メチレン200ml、開始剤としての水0.8g、および重合触媒としてのピリジン0.1mlを供給した。
【0032】
新たに蒸留したグリオキシル酸メチル176g(2.0モル)を60分を要して前記反応器内に40℃以下の温度を保ちながら滴下した。さらに、90分間攪拌を続けた後、この反応混合物を25℃に冷却し、ジエチルアルミニウムクロライドの25%ヘキサン溶液5mlを添加した後、エチルビニルエーテル20g(0.28モル)を60分を要して前記反応器内に滴下し、さらに90分間攪拌を続けた。
【0033】
得られた安定化処理した重合体を含む反応溶液に対し、48%水酸化ナトリウム175g(2.1モル)を攪拌下滴下し、溶剤を留去しながら50〜60℃でケン化を行い、ポリグリオキシル酸のナトリウム塩を主成分とする水溶性重合体(1)を得た。この水溶性重合体(1)をゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略す)で分析したところ、重量平均分子量は5,000であった。
【0034】
〔実施例2〕
上記実施例1における、開始剤としての水を0.4gに代え、エチルビニルエーテルを14g(0.19モル)に代えた以外は、上記実施例1と同様にして重合およびケン化を行い、水溶性重合体(2)を得た。この水溶性重合体(2)をGPCで分析したところ、重量平均分子量は11,000であった。
【0035】
〔実施例3〕
本発明にかかる実施例3のスケール防止剤は、グリオキシル酸メチルとエチレンオキサイドとの共重合体であり、主鎖において、グリオキシル酸メチルおよびエチレンオキサイドに由来する−C−O−C−O−C−の構成単位を多数含み、側鎖において、グリオキシル酸メチルに由来するカルボキシル基を備えている水溶性重合体である。
【0036】
この水溶性重合体について、その製造方法に基づいて説明すると、まず、前記実施例1と同様の装置に対し、塩化メチレン200ml、重合触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体3mlを添加した。ここに、新たに蒸留したグリオキシル酸メチル52.8g(0.6モル)と、エチレンオキサイド17.6g(0.4モル)をそれぞれ240分を要して前記反応器内に15℃以下の温度を保ちながら滴下して重合させて重合体を得た。
【0037】
この重合体を、48%水酸化ナトリウム52.5g(0.63モル)でケン化を行い、重量平均分子量2,500の水溶性重合体(3)を得た。この水溶性重合体(3)を、プロトンNMRで分析したところ、上記水溶性重合体(3)は、グリオキシル酸と、エチレンオキサイドのモル比が57/43である共重合体であった。
【0038】
〔実施例4〕
上記各スケール防止剤を用いたスケール防止方法の一例について以下に説明すると、まず、容量225mlのガラスビンに対し、水を170g入れ、1.56%塩化カルシウム2水和塩水溶液10g、および各実施例のスケール防止剤の0.02%水溶液3g(得られる過飽和水溶液に対して、用いたスケール防止剤が3ppmの濃度)を混合し、さらに重炭酸ナトリウム水溶液10gおよび塩化ナトリウム7gを加え全量を200gとした。
【0039】
このようにして得られた炭酸カルシウム530ppmの過飽和水溶液(pH8〜9)を密栓して70℃で8時間の加熱処理を行った。冷却した後、沈澱物を0.1μmのメンブランフィルターでろ過し、そのろ液のカルシウム濃度をJISK0101にしたがって分析した。下式(2)により、炭酸カルシウムのスケール抑制率(%)を求め、表1にそれぞれ示した。
【0040】
スケール抑制率(%)=(C−B)/(A−B)×100 ……(2)
ただし、A:試験前の液中に溶解したカルシウム濃度(%)
B:スケール防止剤無添加のろ液中でのカルシウム濃度(%)
C:スケール防止剤添加のろ液中でのカルシウム濃度(%)
【0041】
【表1】
【0042】
また、カルシウムイオン等の水に溶解している金属イオンの存在下での水溶性重合体の沈澱のし易さを示す指標としてゲル化性についても測定した。このゲル化性の数値が小さいほど、水溶性重合体が沈澱し難く、スケール防止剤として高性能であることを示す。
【0043】
ゲル化性の測定方法について以下に説明すると、まず、以下の条件で調製したCaCl2 試験液に対し、下記の条件で各実施例のスケール防止剤を添加し、ゲル化させた後、試験液の吸光度を測定し、得られた吸光度により、このスケール防止剤のゲル化性とした。この吸光度の数値が大きいほど、ゲル化性が高いことを示す。
【0044】
また、比較例として、上記各実施例のスケール防止剤に代えて、分子量4,000のポリアクリル酸ナトリウムを、スケール防止剤として用いた以外は、同様にしてスケール抑制率およびゲル化性について測定し、それらの結果を表1に合わせて示した。
【0045】
本発明のスケール防止剤は、表1の結果から明らかなように、比較例と比べて、スケールの発生を、より一層抑制するものであると共に、ゲル化性が小さくスケール防止剤とカルシウム等の水に溶解している金属イオンとの結合による不溶性塩の発生も軽減されているので、ボイラー等の循環水や、原油採取プロセスの回収水におけるスケール発生防止のために好適に用いることができるものとなっている。
【0046】
一方、従来のスケール防止剤としては、例えば特公平2−9880号公報や特開平3−278898号公報に開示されている無機および有機リン酸系化合物、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、マレイン酸の単独重合体および共重合体、並びに、ポリマレイン酸またはその塩を主成分とするスケール防止剤、およびヒドロキシアルキルスルホン酸等によりエステル化されたマレイン酸を含む重合体または共重合体を含むスケール防止剤が知られている。
【0047】
ところが、そのような従来の各スケール防止剤は、生分解性が極めて小さく、そのようなスケール防止剤を含む循環水等を処理水として外部の環境に排出した場合、その環境への悪影響が生じるという問題を有している。
【0048】
そこで、本発明のスケール防止剤について、その生分解性を、下記の測定方法にしたがって測定したところ、本発明のスケール防止剤は従来より優れた生分解性を有していることが判った。
【0049】
次に、生分解性の測定方法について説明すると、まず、JIS K 3363に基づいて調製した基礎培養液に対し、本実施例1に記載のスケール防止剤が200ppm、下水処理場の活性汚泥が200ppmとなるようにそれぞれ添加し、25℃で28日間、旋回培養した。
【0050】
この間、培養液のpHが 7.0±0.3 となるようにNaOH水溶液で調整した。培養後、液中の全有機炭素量(TOC)を測定し、下式(3)により、生分解率を求め、表1に合わせて示した。また、上記公報に記載のスケール防止剤に相当する前記比較例に記載のスケール防止剤の生分解性についても、下記の測定方法にしたがって求め、その結果を表1に合わせて示した。
【0051】
生分解性率(%)=〔1−(B−C)/A〕×100 ……(3)
ただし、A:スケール防止剤が200ppmのときのTOC値(ppm)
B:培養液の遠心分離後の上澄み液のTOC値(ppm)
C:スケール防止剤を添加しなかった培養液の遠心分離後の上澄み液のTOC値(ppm)
また、本実施例1に記載のスケール防止剤を用いた処理水を、塩酸を用いて、pH2に調整し、1時間静置した後、上記の測定方法にしたがって、その生分解性を測定したところ、上記のpH無調整の処理水と比べて同様の結果が14日間で得られた。このことから、このように処理水のpHを酸性側に一時的に調整することにより、本発明のスケール防止剤の生分解性を2倍促進できることが判った。
【0052】
このように本発明のスケール防止剤は、処理水に添加されたときには、上記処理水がアルカリ性となるため、化学的に安定なものであるが、自然環境下である中性から酸性環境下においては、主鎖における−C−O−結合が容易に化学的に開列して分解し、自然環境下における微生物などによって生分解され易い低分子量のものになる。
【0053】
このことから、本発明のスケール防止剤は、上記スケール防止剤を含む循環水などを廃棄する際の処理水を外部の環境に排出しても、環境下において迅速に生分解されて、上記処理水による環境への悪影響が回避され、上記従来の問題を防止できるものとなっている。
【0054】
その上、本発明のスケール防止剤は、それを用いた処理水のpHを酸性側に一時的に調整することにより、本発明のスケール防止剤の生分解性をさらに向上させることができるものであるから、上記処理水による環境への悪影響がさらに防止できるものとなっている。
【0055】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載のスケール防止剤は、以上のように、主鎖において、−C−O−C−O−C−の構成単位を含み、側鎖にカルボキシル基を備えた水溶性重合体である構成である。
【0056】
本発明の請求項2記載のスケール防止剤は、下記一般式(1)にて
【0057】
【化4】
【0058】
(式中Mは、水素、1価金属、2価金属、アンモニウム基または有機アミン基のうちのいずれかを示し、nは2〜4の整数、xは20〜100モル%、yは80〜0モル%である)表される水溶性重合体を含む構成である。
【0059】
それゆえ、上記各構成は、例えばボイラー等の水系に添加すると、上記水溶性重合体を含むことによって、不溶性塩の生成が抑制されて上記水系におけるスケール防止能に優れると共に、生分解性を有することから、上記構成が添加された水系を環境中に排出した際の、環境に対する悪影響を軽減することができるという効果を奏する。
【0060】
本発明の請求項3記載のスケール防止方法は、以上のように、請求項1または2記載のスケール防止剤を、水系に対し0.1〜500ppmの範囲の濃度にて添加する方法である。
【0061】
それゆえ、上記方法は、上記の濃度の範囲内にて上記スケール防止剤を用いることによって、上記スケール防止剤が生分解性を有することから環境中に水系が排出された際の、上記スケール防止剤による悪影響を軽減しながら、優れたスケール防止能、つまり不溶性塩の生成が抑制されて、上記水系が用いられる装置等の洗浄などの手間を低減できるという効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラー等の水系の循環水に添加されるスケール防止剤およびスケール防止方法に関するものであり、さらに詳しくは、上記循環水が系外に排出された処理水による環境汚染の懸念のないスケール防止剤およびスケール防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ボイラー、冷却塔、熱交換器等の装置に利用されている天然水、水道水、工業用水等の循環水には、種々の不純物、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、バリウム等の陽イオンや、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、ケイ酸イオン等の陰イオンが含まれている。さらに、循環水には、場合によっては、防食剤として亜鉛イオンやリン酸イオンが添加されていることもある。
【0003】
ところが、これらの装置内では、循環水が加熱されたり、冷却されたり、ときにはpHが変化したりして、循環水中に含まれる上記イオンが不溶性塩となって装置の内壁に沈積、付着してしばしばスケールを形成する。
【0004】
このような装置では、その水系内にスケールが形成されることにより、伝熱効率や冷却効率が低下したり、流路の抵抗が増加したりして装置の運転コストの上昇を招くという問題を生じ、また、装置が腐食するという問題も生じている。
【0005】
また、スケールの発生が問題となるものとして、海水脱塩プラントが挙げられる。海水脱塩プラントでは、特に、高濃度の塩を含有する塩気のある水が処理される多段蒸発器、および逆浸透法用の膜装置において、上記各問題が典型的に現れることがある。
【0006】
さらに、その他のスケールの発生が問題となるものとしては、原油の採取における、例えば原油採取プロセスが挙げられる。すなわち、このような原油採取プロセスでは、水が主要重量となる量で存在している塩気をおびた油状水を、原油の回収水として、地下の油層と地上との間で循環させる導管中、とりわけ二次油回収操作中において、導管内にスケールが発生することによる上記各問題が生じることがある。
【0007】
そこで、上記各問題を回避するために、循環水に対し、スケール防止剤を添加することが考えられた。このようなスケール防止剤としては、例えば特公平2−9880号公報に開示されているように、無機および有機リン酸系化合物、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、マレイン酸の単独重合体および共重合体、並びに、ポリマレイン酸またはその塩を主成分とするものが知られている。
【0008】
また、特開平3−278898号公報には、ヒドロキシアルキルスルホン酸、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩、ヒドロキシアリールスルホン酸、およびヒドロキシアリールスルホン酸塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種によりエステル化されたマレイン酸を含む重合体または共重合体を、スケール防止剤の有効成分とするものが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の各公報に記載された各スケール防止剤では、各スケール防止剤が、ボイラー等の循環水や、原油採取プロセスでの回収水に用いられた場合、循環水や回収水が環境中に排出されたり、漏出したりした際に、環境への悪影響を招来するという問題を生じている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のスケール防止剤は、以上の課題を解決するために、主鎖において、−C−O−C−O−C−の構成単位を含み、側鎖にカルボキシル基を備えた水溶性重合体であることを特徴としている。
【0011】
本発明の請求項2記載のスケール防止剤は、
下記一般式(1)にて
【0012】
【化2】
【0013】
(式中Mは、水素、1価金属、2価金属、アンモニウム基または有機アミン基の内のいずれかを示し、nは2〜4の整数、xは20〜100モル%、yは80〜0モル%である)表される水溶性重合体を含むことを特徴としている。
【0014】
上記の請求項1および2記載の構成によれば、例えばボイラー等の水系に上記構成を添加すると、上記水溶性重合体を含むことによって、上記水系における不溶性塩の生成がカルボキシル基によって抑制され、上記水系におけるスケール防止能や、不溶性塩の生成の低減に優れたスケール防止剤となっている。
【0015】
また、上記水溶性重合体が、主鎖に上記構成単位を有することによって、中性〜酸性の環境下での化学的分解性を有し、そのような分解した低分子量のものが容易に自然界の環境下にて生分解される。このことから、上記水溶性重合体は、優れた生分解性を有するものとなるので、上記構成が添加された水系を環境中に排出した際の、環境に対する水溶性重合体による悪影響を軽減することが可能となる。
【0016】
本発明の請求項3記載のスケール防止方法は、請求項1または2記載のスケール防止剤を、水系に対し0.1〜500ppmの範囲の濃度にて添加することを特徴としている。
【0017】
上記の請求項3記載の方法によれば、上記の濃度の範囲内にて上記スケール防止剤を用いることによって、上記スケール防止剤が生分解性を有することから環境中に水系が排出された際の、上記スケール防止剤による悪影響を軽減しながら、不溶性塩の生成が抑制されることによる優れたスケール防止能、および、上記水系が用いられる装置等の洗浄などの手間を低減できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。
本発明のスケール防止剤は、主鎖において、−C−O−C−O−C−の構成単位を少なくとも1つ含み、側鎖にカルボキシル基を備えた水溶性重合体を主成分として含むものである。ただし、上記の構成単位におけるCは炭素原子を示し、Oは酸素原子を示す。
【0019】
上記水溶性重合体は、下記の一般式(1)にて
【0020】
【化3】
【0021】
(式中Mは、水素、1価金属、2価金属、アンモニウム基または有機アミン基の内の何れかを示し、nは2〜4の整数、xは20〜100モル%、yは80〜0モル%である)表されるものである。
【0022】
この水溶性重合体の製造方法としては、グリオキシル酸の低級アルキルエステルを、カルボキシル基の含有量を調整するため必要に応じて所望によりエチレンオキサイド等のエポキシ化合物と共に、トリエチルアミン、ピリジン、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等の重合触媒の存在下重合し、得られた重合体の末端を、さらに必要に応じて安定化させた後、上記重合体のカルボキシル基をケン化して水溶性重合体を得る方法を挙げることができる。
【0023】
上記のグリオキシル酸エステルとしては、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸エチル、グリオキシル酸プロピル、グリオキシル酸ブチル等を挙げることができる。共重合するエポキシ化合物としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が好ましい。エポキシ化合物を用いるのは、得られた水溶性重合体のゲル化向上、およびコストダウンを図るためである。
【0024】
また、得られた水溶性重合体における末端安定化のためには、上記エポキシ化合物の他に、エチルビニルエーテル等の重合性不飽和基を有するエーテル化合物を用いることが好ましい。
【0025】
これらグリオキシル酸エステルと、エポキシ化合物との比率は、両者の合計に対して、エポキシ化合物が0〜80モル%の量である。エポキシ化合物が80モル%の量を超えると、得られたスケール防止剤のスケール防止能が劣化することがある。
【0026】
得られた水溶性重合体の分子量としては、スケール防止性を充分に発現させるために、500〜100,000の範囲内が好ましく、さらに好ましくは1,000〜20,000の範囲内である。
【0027】
本発明のスケール防止方法は、上記のスケール防止剤が、ボイラー等の循環水や、原油採取の際の循環水に添加されて、上記循環水が循環する導管内におけるスケールの発生を防止するものであるが、その際のスケール防止剤の添加濃度としては、0.1〜500ppmが望ましく、さらに望ましくは0.5〜200ppmである。また、上記循環水のpHとしては7.5以上が好ましく、さらに好ましくは8以上である。
【0028】
また、上記スケール防止方法では、用いられたスケール防止剤は通常の環境下においても良好な生分解性を有するが、酸性環境下では水溶性重合体の化学的分解が、より早く進行するので、循環水を処理水として環境中に排出する前に、処理水のpHを7以下、より好ましくはpH1〜6の範囲内に調整し、添加されたスケール防止剤を化学的に分解することが、上記水溶性重合体の生分解性をさらに促進できるので望ましい。
【0029】
なお、このようにpHを調整した処理水は、排出に際し、そのpHを中性付近に再調整されても、添加されたスケール防止剤の生分解性に対し何ら支障を生じるものではない。
【0030】
【実施例】
本発明の各実施例について説明すれば、以下の通りである。
〔実施例1〕
本発明にかかる実施例1のスケール防止剤は、グリオキシル酸メチルの共重合体であり、主鎖において、グリオキシル酸メチルに由来する−C−O−C−O−C−の構成単位を多数含み、側鎖において、グリオキシル酸メチルに由来するカルボキシル基を備え、かつ、末端において安定化のために、エチルビニルエーテルに由来する構成単位を含む水溶性重合体である。
【0031】
この水溶性重合体について、その製造方法に基づいて説明すると、まず、攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、コンデンサー、滴下ロートを備えたガラス製反応器に対し、塩化メチレン200ml、開始剤としての水0.8g、および重合触媒としてのピリジン0.1mlを供給した。
【0032】
新たに蒸留したグリオキシル酸メチル176g(2.0モル)を60分を要して前記反応器内に40℃以下の温度を保ちながら滴下した。さらに、90分間攪拌を続けた後、この反応混合物を25℃に冷却し、ジエチルアルミニウムクロライドの25%ヘキサン溶液5mlを添加した後、エチルビニルエーテル20g(0.28モル)を60分を要して前記反応器内に滴下し、さらに90分間攪拌を続けた。
【0033】
得られた安定化処理した重合体を含む反応溶液に対し、48%水酸化ナトリウム175g(2.1モル)を攪拌下滴下し、溶剤を留去しながら50〜60℃でケン化を行い、ポリグリオキシル酸のナトリウム塩を主成分とする水溶性重合体(1)を得た。この水溶性重合体(1)をゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略す)で分析したところ、重量平均分子量は5,000であった。
【0034】
〔実施例2〕
上記実施例1における、開始剤としての水を0.4gに代え、エチルビニルエーテルを14g(0.19モル)に代えた以外は、上記実施例1と同様にして重合およびケン化を行い、水溶性重合体(2)を得た。この水溶性重合体(2)をGPCで分析したところ、重量平均分子量は11,000であった。
【0035】
〔実施例3〕
本発明にかかる実施例3のスケール防止剤は、グリオキシル酸メチルとエチレンオキサイドとの共重合体であり、主鎖において、グリオキシル酸メチルおよびエチレンオキサイドに由来する−C−O−C−O−C−の構成単位を多数含み、側鎖において、グリオキシル酸メチルに由来するカルボキシル基を備えている水溶性重合体である。
【0036】
この水溶性重合体について、その製造方法に基づいて説明すると、まず、前記実施例1と同様の装置に対し、塩化メチレン200ml、重合触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体3mlを添加した。ここに、新たに蒸留したグリオキシル酸メチル52.8g(0.6モル)と、エチレンオキサイド17.6g(0.4モル)をそれぞれ240分を要して前記反応器内に15℃以下の温度を保ちながら滴下して重合させて重合体を得た。
【0037】
この重合体を、48%水酸化ナトリウム52.5g(0.63モル)でケン化を行い、重量平均分子量2,500の水溶性重合体(3)を得た。この水溶性重合体(3)を、プロトンNMRで分析したところ、上記水溶性重合体(3)は、グリオキシル酸と、エチレンオキサイドのモル比が57/43である共重合体であった。
【0038】
〔実施例4〕
上記各スケール防止剤を用いたスケール防止方法の一例について以下に説明すると、まず、容量225mlのガラスビンに対し、水を170g入れ、1.56%塩化カルシウム2水和塩水溶液10g、および各実施例のスケール防止剤の0.02%水溶液3g(得られる過飽和水溶液に対して、用いたスケール防止剤が3ppmの濃度)を混合し、さらに重炭酸ナトリウム水溶液10gおよび塩化ナトリウム7gを加え全量を200gとした。
【0039】
このようにして得られた炭酸カルシウム530ppmの過飽和水溶液(pH8〜9)を密栓して70℃で8時間の加熱処理を行った。冷却した後、沈澱物を0.1μmのメンブランフィルターでろ過し、そのろ液のカルシウム濃度をJISK0101にしたがって分析した。下式(2)により、炭酸カルシウムのスケール抑制率(%)を求め、表1にそれぞれ示した。
【0040】
スケール抑制率(%)=(C−B)/(A−B)×100 ……(2)
ただし、A:試験前の液中に溶解したカルシウム濃度(%)
B:スケール防止剤無添加のろ液中でのカルシウム濃度(%)
C:スケール防止剤添加のろ液中でのカルシウム濃度(%)
【0041】
【表1】
【0042】
また、カルシウムイオン等の水に溶解している金属イオンの存在下での水溶性重合体の沈澱のし易さを示す指標としてゲル化性についても測定した。このゲル化性の数値が小さいほど、水溶性重合体が沈澱し難く、スケール防止剤として高性能であることを示す。
【0043】
ゲル化性の測定方法について以下に説明すると、まず、以下の条件で調製したCaCl2 試験液に対し、下記の条件で各実施例のスケール防止剤を添加し、ゲル化させた後、試験液の吸光度を測定し、得られた吸光度により、このスケール防止剤のゲル化性とした。この吸光度の数値が大きいほど、ゲル化性が高いことを示す。
【0044】
また、比較例として、上記各実施例のスケール防止剤に代えて、分子量4,000のポリアクリル酸ナトリウムを、スケール防止剤として用いた以外は、同様にしてスケール抑制率およびゲル化性について測定し、それらの結果を表1に合わせて示した。
【0045】
本発明のスケール防止剤は、表1の結果から明らかなように、比較例と比べて、スケールの発生を、より一層抑制するものであると共に、ゲル化性が小さくスケール防止剤とカルシウム等の水に溶解している金属イオンとの結合による不溶性塩の発生も軽減されているので、ボイラー等の循環水や、原油採取プロセスの回収水におけるスケール発生防止のために好適に用いることができるものとなっている。
【0046】
一方、従来のスケール防止剤としては、例えば特公平2−9880号公報や特開平3−278898号公報に開示されている無機および有機リン酸系化合物、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、マレイン酸の単独重合体および共重合体、並びに、ポリマレイン酸またはその塩を主成分とするスケール防止剤、およびヒドロキシアルキルスルホン酸等によりエステル化されたマレイン酸を含む重合体または共重合体を含むスケール防止剤が知られている。
【0047】
ところが、そのような従来の各スケール防止剤は、生分解性が極めて小さく、そのようなスケール防止剤を含む循環水等を処理水として外部の環境に排出した場合、その環境への悪影響が生じるという問題を有している。
【0048】
そこで、本発明のスケール防止剤について、その生分解性を、下記の測定方法にしたがって測定したところ、本発明のスケール防止剤は従来より優れた生分解性を有していることが判った。
【0049】
次に、生分解性の測定方法について説明すると、まず、JIS K 3363に基づいて調製した基礎培養液に対し、本実施例1に記載のスケール防止剤が200ppm、下水処理場の活性汚泥が200ppmとなるようにそれぞれ添加し、25℃で28日間、旋回培養した。
【0050】
この間、培養液のpHが 7.0±0.3 となるようにNaOH水溶液で調整した。培養後、液中の全有機炭素量(TOC)を測定し、下式(3)により、生分解率を求め、表1に合わせて示した。また、上記公報に記載のスケール防止剤に相当する前記比較例に記載のスケール防止剤の生分解性についても、下記の測定方法にしたがって求め、その結果を表1に合わせて示した。
【0051】
生分解性率(%)=〔1−(B−C)/A〕×100 ……(3)
ただし、A:スケール防止剤が200ppmのときのTOC値(ppm)
B:培養液の遠心分離後の上澄み液のTOC値(ppm)
C:スケール防止剤を添加しなかった培養液の遠心分離後の上澄み液のTOC値(ppm)
また、本実施例1に記載のスケール防止剤を用いた処理水を、塩酸を用いて、pH2に調整し、1時間静置した後、上記の測定方法にしたがって、その生分解性を測定したところ、上記のpH無調整の処理水と比べて同様の結果が14日間で得られた。このことから、このように処理水のpHを酸性側に一時的に調整することにより、本発明のスケール防止剤の生分解性を2倍促進できることが判った。
【0052】
このように本発明のスケール防止剤は、処理水に添加されたときには、上記処理水がアルカリ性となるため、化学的に安定なものであるが、自然環境下である中性から酸性環境下においては、主鎖における−C−O−結合が容易に化学的に開列して分解し、自然環境下における微生物などによって生分解され易い低分子量のものになる。
【0053】
このことから、本発明のスケール防止剤は、上記スケール防止剤を含む循環水などを廃棄する際の処理水を外部の環境に排出しても、環境下において迅速に生分解されて、上記処理水による環境への悪影響が回避され、上記従来の問題を防止できるものとなっている。
【0054】
その上、本発明のスケール防止剤は、それを用いた処理水のpHを酸性側に一時的に調整することにより、本発明のスケール防止剤の生分解性をさらに向上させることができるものであるから、上記処理水による環境への悪影響がさらに防止できるものとなっている。
【0055】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載のスケール防止剤は、以上のように、主鎖において、−C−O−C−O−C−の構成単位を含み、側鎖にカルボキシル基を備えた水溶性重合体である構成である。
【0056】
本発明の請求項2記載のスケール防止剤は、下記一般式(1)にて
【0057】
【化4】
【0058】
(式中Mは、水素、1価金属、2価金属、アンモニウム基または有機アミン基のうちのいずれかを示し、nは2〜4の整数、xは20〜100モル%、yは80〜0モル%である)表される水溶性重合体を含む構成である。
【0059】
それゆえ、上記各構成は、例えばボイラー等の水系に添加すると、上記水溶性重合体を含むことによって、不溶性塩の生成が抑制されて上記水系におけるスケール防止能に優れると共に、生分解性を有することから、上記構成が添加された水系を環境中に排出した際の、環境に対する悪影響を軽減することができるという効果を奏する。
【0060】
本発明の請求項3記載のスケール防止方法は、以上のように、請求項1または2記載のスケール防止剤を、水系に対し0.1〜500ppmの範囲の濃度にて添加する方法である。
【0061】
それゆえ、上記方法は、上記の濃度の範囲内にて上記スケール防止剤を用いることによって、上記スケール防止剤が生分解性を有することから環境中に水系が排出された際の、上記スケール防止剤による悪影響を軽減しながら、優れたスケール防止能、つまり不溶性塩の生成が抑制されて、上記水系が用いられる装置等の洗浄などの手間を低減できるという効果を奏する。
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