JP3947458B2 - 打設コンクリートの養生施工方法 - Google Patents

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幸雄 藤田
敏也 本田
忠 加藤
祥一 谷口
修 西野
三津雄 風
洋一 永井
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国土交通省北陸地方整備局長
株式会社西山産業
白山建設株式会社
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、砂防堰堤などの大規模コンクリート構造物を製作する際の施工方法の改良、更に詳しくは、人の立入りが危険で、かつ、広範囲であっても安全かつ迅速に無人で作業することができる打設コンクリートの養生施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、打設後のコンクリートは、硬化作用を十分に発揮させるために露出面を保湿する作業、即ち、養生が必要である。従来、この養生方法には、散水を行ったり、またはムシロや布、砂などを濡らしたもので覆うものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、土木工事におけるコンクリートの打込みは、一般的な建築物と違い、コンクリートを大量かつ広範囲に打設する必要があり、この際、全体的に散水するには蒸発分が多いために必要な水量も多くなってしまい、また、不可避的に作業時間もかかってしまうため、不経済かつ非効率であった。
【0004】
また、例えば、砂防堰堤などは巨大なコンクリート構造物であって、しかも、山間の急峻な傾斜地に構築されることが殆どであるため、建設に従事する作業員には、常に落石や土砂崩れなどの危険に曝されるおそれがあった。
【0005】
従って、養生作業には乾燥しないように管理することが大変困難であり、大規模な装置や大型機械が必要であったり、また、作業員の傍らで使用することもあるので、安全性および作業効率性、コスト性の観点から、作業の無人化および現場施工の迅速化が要請されていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−249168号公報 (第3−4頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の土木工事におけるコンクリート工事において、上記のような問題点があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、人の立入りが危険で、かつ、広範囲であっても安全かつ迅速に無人で作業することができる打設コンクリートの養生施工方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0009】
即ち、本発明は、広範囲に打設されたコンクリートCの露出面を養生するための施工方法であって、
始端部にはエンドウェイト2が固定されており、かつ、吸水性素材で作製されたロール状の長尺マット1をクレーンのサブフックSFによって、かつ、当該エンドウェイト2をクレーンのメインフックMFによって、両部材の相対距離を保持しながらそれぞれ吊下して前記打設コンクリートCの上空まで移送し、
エンドウェイト2を位置決めしてコンクリートC上に載置せしめた後、サブフックSFで前記ロール状長尺マット1を吊支しつつ水平移動させ、捲回された当該長尺マット1を解いて展開せしめることによって長尺マット1をコンクリートCの露出面に布設し、
同様にして、長尺マット1・1…を順次布設していくことによって露出面全体を被覆し、こうして被覆された長尺マット1・1…上に散水することによって含水せしめ、コンクリートCの露出面を湿潤せしめるという技術的手段を採用することによって打設コンクリートの養生施工方法を完成させた。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、クレーンのメインフックMFの先端に、半転振り子形フックを取外し方向に付勢支持して構成された重力半転式フックAFを配設し、エンドウェイト2を設置して負荷重が無くなると自動的にリリースできるという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、長尺マット1を管状の巻き芯11に捲回し、この巻き芯11の貫通孔11aにワイヤーWを挿通してロール状の長尺マット1を支持する一方、展開後には、当該巻き芯11を回収して長尺マット1を布設するという技術的手段を採用した。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を具体的に図示した図面に基いて更に詳細に説明すると次のとおりである。
【0013】
本発明の実施形態を図1および図2に基いて説明する。図中、符号1で指示するものは長尺マットであり、この長尺マット1は吸水性素材(本実施形態では、樹脂製スポンジ材料)を、布で被覆して分離しないように縫合して作製されており、必要に応じて、巻き芯11に捲回し、この巻き芯11には管状部材(所謂、単管パイプ)を採用する。
【0014】
また、符号2で指示するものはエンドウェイトであり、このエンドウェイト2は前記長尺マット1を拡布する際の始端部に固定されており、鋼材や木材、石材などの比較的重量な錘部材であって、本実施形態では、クレーンのフックに吊支するための掛止部材21が配設されている。
【0015】
しかして、本実施形態における養生施工方法を手順に沿って以下に具体的に説明する。
【0016】
まず、吸水性素材で作製された長尺マット1を巻き芯11に捲回してロール状に形成する一方、始端部にはエンドウェイト2を固定する(図1参照)。
【0017】
次に、こうして構成された養生マットを、クレーンによりメインフックMFでエンドウェイト2を、かつ、サブフックSFで上記長尺マット1の巻き芯11を、両部材の相対距離を保持しながらそれぞれ吊下してコンクリートCの上空まで移送する。
【0018】
そして、エンドウェイト2を位置決めしてコンクリートC上に載置せしめ、然る後、サブフックSFで巻き芯11を吊支しつつ水平移動させ、捲回された長尺マット1を解いて展開せしめることによって長尺マット1をコンクリートCの露出面に布設する。
【0019】
この際、長尺マット1が捲回される巻き芯11を管状部材にして、この巻き芯11の貫通孔11aにワイヤーWを挿通してロール状の長尺マット1を支持し、長尺マット1の展開後には、当該巻き芯11を回収して設置することにより、作業を簡略化することができる。
【0020】
また、エンドウェイト2を吊支するクレーンのメインフックMFの先端には、図3に示すような重力半転式フックAFを配設する。この重力半転式フックAFは、半転可能な振り子形を呈しており、フック部の逆端が重心となるように枢支して、取外し方向に付勢支持して構成されているので、エンドウェイト2が接地するとフック部への負荷重が無くなり、フック部が振り子式に振り上げられて半転して外れ、自動的にエンドウェイト2をリリースすることができるのである。
【0021】
そして、前記同様にして、長尺マット1・1…を順次布設していくことによって露出面全体を被覆し(図2参照)、こうして被覆された長尺マット1・1…上に散水することによって含水せしめ、コンクリートCの露出面を湿潤せしめることができるのである。
【0022】
本発明は概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、長尺マット1は吸水性素材であれば、樹脂製スポンジに限らず、他の材料を採用することができる。また、巻き芯11も管状のものに限らず棒状部材を採用しても良い。更にまた、エンドウェイト2も安定的に設置できるものであれば材質や形状を変更しても良く、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【0023】
【発明の効果】
以上、実施形態をもって説明したとおり、本発明においては、クレーンで吊支して施工箇所に確実に設置できるように構成し、長尺マットは水分を確実に吸収するので高い保水性があるので、効率的な養生作業を行うことができる。
【0024】
また、輸送時にはコンパクトに小さくまとめることができて、広範囲におよぶ施工が簡単にできるので、人の立入りが危険で、かつ、広範囲であっても安全かつ迅速に無人で作業することができることから、産業上における利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の養生マットを表わす斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の養生マットの施工状態を表わす全体斜視図である。
【図3】本発明の実施形態の重力半転式フックの構造を表わす説明図である。
【符号の説明】
1 長尺マット
11 巻き芯
11a 貫通孔
2 エンドウェイト
21 掛止部材
C コンクリート
MF メインフック
SF サブフック
AF 重力半転式フック
W ワイヤー

Claims (3)

  1. 広範囲に打設されたコンクリートCの露出面を養生するための施工方法であって、
    始端部にはエンドウェイト2が固定されており、かつ、吸水性素材で作製されたロール状の長尺マット1をクレーンのサブフックSFによって、かつ、当該エンドウェイト2をクレーンのメインフックMFによって、両部材の相対距離を保持しながらそれぞれ吊下して前記打設コンクリートCの上空まで移送し、
    エンドウェイト2を位置決めしてコンクリートC上に載置せしめた後、サブフックSFで前記ロール状長尺マット1を吊支しつつ水平移動させ、捲回された当該長尺マット1を解いて展開せしめることによって長尺マット1をコンクリートCの露出面に布設し、
    同様にして、長尺マット1・1…を順次布設していくことによって露出面全体を被覆し、こうして被覆された長尺マット1・1…上に散水することによって含水せしめ、コンクリートCの露出面を湿潤せしめることを特徴とする打設コンクリートの養生施工方法。
  2. クレーンのメインフックMFの先端に、半転振り子形フックを取外し方向に付勢支持して構成された重力半転式フックAFを配設し、エンドウェイト2を設置して負荷重が無くなると自動的にリリースできることを特徴とする請求項1記載の打設コンクリートの養生施工方法。
  3. 長尺マット1を管状の巻き芯11に捲回し、この巻き芯11の貫通孔11aにワイヤーWを挿通してロール状の長尺マット1を支持する一方、展開後には、当該巻き芯11を回収して長尺マット1を布設することを特徴とする請求項1または2記載の打設コンクリートの養生施工方法。
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