JP3947315B2 - ハイブリドーマ細胞、IgGモノクローナル抗体、核酸及び検査方法 - Google Patents

ハイブリドーマ細胞、IgGモノクローナル抗体、核酸及び検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハイブリドーマ細胞、モノクローナル抗体及び核酸に関し、更に詳しくは、ミエローマ細胞とヒト血清アルブミンで免疫された脾細胞との融合によって作製され選抜されたハイブリドーマ細胞と、かかるハイブリドーマ細胞によって生産され、ヒトアルブミンと高速で反応するIgGモノクローナル抗体と、このIgGモノクローナル抗体のH鎖,L鎖の可変領域をコードする核酸、更にはこれらの可変領域における抗原との結合を決定付ける領域をコードする核酸に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病性腎症は、糖尿病の主要な合併症の一つであり、旧来は検尿法により尿蛋白陽性を以て診断されて来た。しかし、この方法によって診断される時期には既に腎不全が進行している場合が多いため、これに代わる早期診断法の構築が望まれて来た。
【0003】
近年、尿中蛋白の増加に先立ち、微量のアルブミンが尿中に認められることが明らかになり、糖尿病性腎症の早期診断マーカーとしてアルブミンが注目されている。又、早期診断の測定法としては、抗原としてのマーカー物質に特異的に結合するため微量マーカーの検出に最適な材料の一つである、抗体をセンサーとしたシステムが有利である。
【0004】
このため、抗体を用いて尿中の微量のアルブミンを検出するシステムが提案され、市販されている。例えば、ヒト血清アルブミンをマウス,ラット等の動物に免疫することにより、ヒト血清アルブミンと特異的に結合するモノクローナル抗体が得られることは公知であり、特開昭60−258128号公報にはラットでの抗体取得について開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の抗体をセンサーとしたシステムでは、この抗原抗体反応の速度が律速となっていることに問題があった。従って、センサーに使用する抗体としては抗原と高速に反応する抗体が望ましいが、現在、高速反応性と言う新しい観点に基づく抗体は取得されていない。
【0006】
又、今後、高速反応性抗体と言う観点で抗体を作製、選択するには、実用的に有効な高速反応性の定義付けが必要である。
【0007】
本発明では、高速反応性抗体と言う新規抗体の概念を示し、かつ、(従来取得されている抗体よりも有意に差のある高速反応性を示すものは一般に、本発明の高速反応性抗体として使用し得るけれども、)特に好ましい高速反応性抗体の定義として、5分間の抗原抗体反応でBIAcoreにより飽和時の80%以上の結合を達成する抗体であることを示す。
【0008】
上記特開昭60−258128号公報に係る発明では、抗原抗体反応を一晩行わせるとしているため、上記に定義する高速反応性抗体には該当しないと思われる。又、公知の通常の抗体においても抗原抗体反応は少なくとも1〜2時間程度行うものとしており、そのため、例えば自己診断が可能な程に簡便性,迅速性,定量性に優れたシステムを構築することは困難であった。
【0009】
そこで本発明は、アルブミンとの迅速な結合能を有する抗体と、その抗体の生産手段と、その抗体の遺伝情報とを提供することを、解決すべき課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、哺乳動物のミエローマ細胞とヒト血清アルブミンで免疫された哺乳動物の脾細胞との融合によって作製され、ヒトアルブミンと高速で反応するIgGモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞である。
【0011】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係るハイブリドーマ細胞によって生産され、ヒトアルブミンと高速で反応するIgGモノクローナル抗体である。
【0012】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係るハイブリドーマ細胞によって生産され、ヒトアルブミンとの抗体固定時又は抗原固定時の5分間の抗原抗体反応で、BIAcoreにより飽和時の80%以上の結合を達成できるIgGモノクローナル抗体である。
【0013】
ここに「BIAcore」とは、金薄膜に抗原又は抗体を固定し、表面プラズモン共鳴の原理を用いて抗原抗体反応を解析するバイオセンサーを言う。
【0014】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、配列表の配列番号5に示す塩基配列を有し、又は、配列表の配列番号5に示す塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすると共に第2発明又は第3発明のいずれかに係るIgGモノクローナル抗体のH鎖可変領域をコードする、核酸である。
【0015】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、配列表の配列番号7に示す塩基配列を有し、又は、配列表の配列番号7に示す塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすると共に第2発明又は第3発明のいずれかに係るIgGモノクローナル抗体のL鎖可変領域をコードする、核酸である。
【0016】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、配列表の配列番号9〜配列番号11のいずれかに示す塩基配列のうちの一以上の塩基配列を有し、又は、これらのいずれかの塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすると共に請求項2又は請求項3のいずれかに記載のIgGモノクローナル抗体のH鎖可変領域における抗原との結合を決定付ける領域をコードする塩基配列のうちの一以上の塩基配列を有する、核酸である。
【0017】
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための本願第7発明(請求項7に記載の発明)の構成は、配列表の配列番号12〜配列番号14のいずれかに示す塩基配列のうちの一以上の塩基配列を有し、又は、これらのいずれかの塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすると共に請求項2又は請求項3のいずれかに記載のIgGモノクローナル抗体のL鎖可変領域における抗原との結合を決定付ける領域をコードする塩基配列のうちの一以上の塩基配列を有する、核酸である。
【0018】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)
第1発明によって、アルブミンとの迅速な結合能を有するIgGモノクローナル抗体の生産手段が提供される。この生産手段がハイブリドーマであるため、成長及び増殖が速く、抗体大量生産によるコスト低下を期待できる。
【0019】
(第2発明及び第3発明の作用・効果)
第2発明及び第3発明によって、従来にない、アルブミンとの迅速な結合能を有するIgGモノクローナル抗体が提供される。従って、アルブミンを迅速に検出できる高速免疫センサーの開発が可能となり、例えば自己診断が可能な程に簡便性,迅速性,定量性に優れたシステムを構築することも可能となる。
【0020】
特に第3発明のように、IgGモノクローナル抗体がヒトアルブミンとの抗体固定時又は抗原固定時の5分間の抗原抗体反応でBIAcoreにより飽和時の80%以上の結合を達成できる抗体である場合に、上記の効果が顕著である。
【0021】
(第4発明及び第5発明の作用・効果)
第4発明及び第5発明によって、第2発明及び第3発明に係るIgGモノクローナル抗体のH鎖可変領域及びL鎖可変領域の遺伝情報が解明された。従って第4発明及び第5発明により、遺伝子工学的手段に基づく上記IgGモノクローナル抗体の提供が可能となる。又、この遺伝情報に基づき、例えば遺伝子改良により更に高速にアルブミンと結合する抗体の作製を期待できる等、遺伝情報の種々の利用が可能となる。
【0022】
(第6発明及び第7発明の作用・効果)
それぞれKabatのデータベース(Sequence of proteins of immunological interest 4th edition,1987)の超可変領域に相当する部分であると言う根拠から、第6発明に係る所定の塩基配列は第2発明及び第3発明に係るIgGモノクローナル抗体のH鎖可変領域における抗原との結合を決定付ける領域をコードしており、第7発明に係る所定の塩基配列は第2発明及び第3発明に係るIgGモノクローナル抗体のL鎖可変領域における抗原との結合を決定付ける領域をコードしている、と考えられる。
【0023】
従って、第6発明及び第7発明の核酸又はその遺伝情報を利用することにより、上記第4発明及び第5発明と同様の作用・効果を期待することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本願発明の実施の形態について説明する。
【0025】
〔ハイブリドーマ細胞及びIgGモノクローナル抗体〕
ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物のミエローマ細胞と、ヒト血清アルブミンで免疫された哺乳動物の脾細胞との融合によって作成されたものである。又、このようなハイブリドーマ細胞であっても、ヒトアルブミンと高速で反応するIgGモノクローナル抗体を生産しないものは除外される。
【0026】
このようなハイブリドーマ細胞として、従来の抗体よりも有意に高速で反応するハイブリドーマ細胞、及び、後述の表1及び/又は表2において「○」の評価を受けたハイブリドーマ細胞株が含まれ、そのうち、4F9株については、生命研条寄第6552号(FERM BP−6552)として、既に工業技術院生命工学工業技術研究所に特許寄託している。
【0027】
IgGモノクローナル抗体について、「高速で反応する」とは、IgGモノクローナル抗体のヒトアルブミンとの抗原抗体反応の速度が、従来の抗体よりも有意に高速である(例えば、抗原抗体反応を行う時間が30分以下、より好ましくは10分以下で足りる)こと、更に好ましくは、例えばIgGモノクローナル抗体のヒトアルブミンとの抗体固定時又は抗原固定時の5分間の抗原抗体反応で、BIAcoreにより飽和時の80%以上の結合を達成できる程度であることを言う。
【0028】
細胞融合によりハイブリドーマ細胞を構成すべきミエローマ細胞と、ヒト血清アルブミンで免疫された脾細胞としては、ヒトを除く哺乳動物の細胞を用いることができるが、この種の目的に常用されるサル,ラット,マウス等の哺乳動物が好ましく、とりわけ、ミエローマ細胞の系が確立されており扱い易いと言う理由から、マウスが好ましい。
【0029】
ヒト血清アルブミンで免疫された脾細胞を取得する方法、細胞融合によりハイブリドーマ細胞を取得する方法、ハイブリドーマ細胞を培養する方法、その培地からIgGモノクローナル抗体を取得する方法等については、公知の各種の方法を任意に採用することができる。
【0030】
〔核酸〕
第4発明〜第7発明において「核酸」とは、センス/アンチセンスDNA又はRNAや、ハイブリダイゼーション用プローブ、PCR用プライマー、融合遺伝子作製時における鋳型等を含む概念である。
【0031】
第4発明に係る核酸には、少なくとも、配列表の配列番号5に示す塩基配列を有する核酸、及び、配列表の配列番号5に示す塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、前記IgGモノクローナル抗体のH鎖可変領域をコードする核酸が含まれる。
【0032】
第5発明に係る核酸には、少なくとも、配列表の配列番号7に示す塩基配列を有する核酸、及び、配列表の配列番号7に示す塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、前記IgGモノクローナル抗体のL鎖可変領域をコードする核酸が含まれる。
【0033】
第6発明に係る核酸は、第2発明又は第3発明に係るIgGモノクローナル抗体のH鎖可変領域における抗原との結合を決定付ける領域をコードする核酸であり、配列表の配列番号9〜配列番号11のいずれかに示す塩基配列、あるいはこれらにハイブリダイズする前記所定の塩基配列を有するものが含まれる。
【0034】
第7発明に係る核酸は、第2発明又は第3発明に係るIgGモノクローナル抗体のL鎖可変領域における抗原との結合を決定付ける領域をコードする核酸であり、配列表の配列番号12〜配列番号14のいずれかに示す塩基配列、あるいはこれらにハイブリダイズする前記所定の塩基配列を有するものが含まれる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0036】
免疫
ヒトアルブミン10mg/mLが15μL,ヒトIgA2.9mg/mLが52μL及びPBS(Phosphate Buffered Salts)が1.43mLからなる抗原液1.5mL中の1.4mLを、等量のフロイントアジュバントと注射器内にて混合し、エマルジョンとした。
【0037】
このエマルジョンを別の注射器に1mL取り、投与抗原量が0.2mgとなるように、雌5週齢BALB/cマウスの腹腔内に注射した。この操作を2週間毎に2回行い、ELISA法により抗体生産を確認した後、同マウスの腹腔内に抗原注射を行った。
【0038】
細胞の調製
免疫終了後のマウス脾細胞を取り出し、RPMI 1640培地10mLで細胞をほぐした後、15mL容の遠心チューブに移して放置した。そして、塊が沈んだ上清を別の遠心チューブに移し、1500rpmで5分間遠心分離した後、上清を捨て、細胞をほぐし10mLのRPMI 1640培地を加えた。
【0039】
そこから後述のミエローマ細胞の5倍相当量を取り、1500rpmで5分間遠心分離して上清を捨てた後、融合バッファー5mLを加えた。これを1500rpmで5分間遠心分離して上清を捨て、融合バッファーにて4×107細胞/mLとした。
【0040】
ミエローマ細胞については、マウス骨髄腫を取り出してRPMI 1640培地で細胞をほぐし、細胞数をカウントした後、1500rpmで5分間遠心分離して上清を捨て、融合バッファー5mLを加えた。これを1500rpmで5分間遠心分離して上清を捨て、融合バッファーにて8×106細胞/mLとした。
【0041】
ハイブリドーマの作製
上記により調製された脾細胞とミエローマ細胞とを、5:1の細胞数割合で用いて電気細胞融合法により融合させた後、いわゆるHAT培地により12日間培養した。そして培養用8穴プレートの各穴について抗ヒト血清アルブミン抗体価を測定し、活性な穴を選んで、限界希釈法によりクローニングを行った。
【0042】
クローニングの後、BIAcoreによりヒトアルブミンとの5分間の抗原抗体反応で飽和時の80%以上の結合を達成できるモノクローナル抗体を産出するハイブリドーマ細胞を次のように選択した。
【0043】
即ち、BIAcoreセンサーチップにリガントとして抗原、10mg/mLヒトアルブミンを固定し、抗体としてクローニング後のハイブリドーマ培養上清(濃度は表1参照)をフローインジェクションし、抗原と抗体との結合速度をBIAcoreによって評価した。その結果を表1に示す。又、18μg/mL抗マウスIgG抗体を固定したチップにハイブリドーマ培養上清を流し込むことによりマウスIgG抗体を固定し、抗原として100μg/mLヒトアルブミンをフローインジェクションして抗原抗体反応速度を測定した。その結果を表2に示す。なお、温度はどちらの測定系においても25°Cに制御した。
【0044】
【表1】
Figure 0003947315
【0045】
【表2】
Figure 0003947315
このようにして選択された、表1,表2で「○」に評価された各クローンのうち、特に好ましい評価であったのが、4F9株と名付けたものである。前記のように、4F9株はFERM BP−6552として特許寄託している。
【0046】
エピトープの決定
ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列より抗体のエピトープと予想される箇所を選択し、図1のNo.1〜No.13 に示すように、12〜25のアミノ酸残基で構成されるペプチドを13本合成した。なお、図1のNo.1〜No.13 において、各アミノ酸は略号としての1文字記号(例えば、「岩波 生物学辞典」参照)を以て表記している。
【0047】
これらのペプチドと、上記ハイブリドーマ細胞4F9株から得られたモノクローナル抗体とを混合し、反応させた後、ヒト血清アルブミンを抗原としたELISA法により抗体の定量を行った。
【0048】
その結果を図2(a)及び図2(b)に示す。図2(a)は4F9株から得られた抗体と各ペプチドとの反応の結果を示し、図2(b)はICI株から得られた抗体と各ペプチドとの反応の結果を示す。図2(a)及び図2(b)において、グラフの横軸方向にNo.1〜No.13 のペプチドの種別を示し、グラフの縦軸方向に発色度(単位Abs./405nm)を示す。又、各ペプチドについて右側のグラフが実験例であり、左側のグラフがペプチドを添加しない場合のポジティブコントロールである。
【0049】
この方法において、ペプチドが抗体のエピトープであるなら、抗体がペプチドと結合し、ELISA法における発色は減少することになる。そして、図2(a),図2(b)より明らかなようにNo.4 のペプチドにおいて発色が顕著に減少したため、本モノクローナル抗体のエピトープはNo.4のアミノ酸配列部分であると思われる。
【0050】
マウスハイブリドーマ細胞からのmRNAの抽出
培養されたハイブリドーマ細胞4F9株の細胞3.4×107個から、mRNA精製用の Quickprep mRNA Purificayion Kit( Pharmacia製)を用いて、mRNAの抽出を行った。
【0051】
細胞を抽出バッファー1.5mLに溶解しシリンジ内でホモジナイズした後、滅菌した遠心管に移して10000rpmで5分間遠心分離し、その上清液を回収した。
【0052】
一方、 Origo(dT)-Cellulose Spun Colum を軽く振とうし1350rpmで2分間遠心分離して保存液を除いたもとで、これに上記の回収した上清液をを注入し、10分間振とうした後、1350rpmで2分間遠心分離し、上清液を除去した。
【0053】
次いで、このカラムに high-saltバッファー3mLを入れ、軽く振とうした後1350rpmで2分間遠心分離し、上清液を除去すると言う操作を3回繰り返した。又、上記カラムに low-salt バッファー3mLを入れ、軽く振とうした後1350rpmで2分間遠心分離し、上清液を除去すると言う操作を2回繰り返した。
【0054】
次に、65°Cに保温した溶出バッファーをカラムに250μL入れてmRNAを溶出させ、1350rpmで2分間遠心分離した後に溶出液を回収すると言う操作を3回繰り返した。その結果69μgのmRNAをを取得した。
【0055】
cDNAの合成
上記のように取得したハイブリドーマ細胞4F9株のmRNAから、cDNA合成用の3’-Full RACE Core Set (宝酒造製)を用いて、cDNAの合成を行った。
【0056】
反応液は、10×バッファー2μL,塩化マグネシウム(25mM)4μL,dNTP(10mM)2μL,RNase 阻害剤0.5μL,Oligo-dTプライマー1μLに対して、上記4F9株のmRNA1μgと、AMV(Avian Myeloblastosis Virus)由来の逆転写酵素(5U/μL)1μLを加え、RNase freeの滅菌水により20μLとした。
【0057】
上記反応液の作製後、30°Cで10分間アニーリングし、次いで50°Cで30分間伸長反応を行い、95°C,5分間で酵素を失活させた後、5°Cで5分間氷冷した。
【0058】
PCR法による抗体遺伝子の増幅
抗体遺伝子の可変領域は、H鎖,L鎖共にN末端、C末端にそれぞれ相同性を保持していることが知られている。そこでこの相同性を基にPCRプライマーの設計を行った。
【0059】
PCRプライマーの塩基配列は、H鎖N末端が配列表の配列番号1、H鎖C末端が配列表の配列番号2、L鎖N末端が配列表の配列番号3、L鎖C末端が配列表の配列番号4に、それぞれ示す通りのものとした。
【0060】
これらのPCRプライマーを用いて、 Perkin Elmer 社製のPCR装置を利用して、PCR法によりH鎖,L鎖の遺伝子増幅を行った。
【0061】
反応液は、H鎖,L鎖のいずれについても、上記でcDNAを合成した反応液を鋳型として20μL,上記H鎖又はL鎖のN末端及びC末端プライマーを各100 p mol,10×PCRバッファー( Perkin Elmer 社製)を10μL,10mMのdNTPを2.5μL,DNA合成酵素 Ampli Taq( Perkin Elmer 社製)を1μL用い、これらに滅菌水を加えて100μLとした。
【0062】
PCR法の条件は、解離反応を94°Cで30秒、アニーリング反応を50°Cで30秒、伸長反応を72°Cで2分とし、これらを30サイクル行った。こうして得られたPCR反応液の電気泳動を行った処、目的の位置約350 bp にバンドを確認することができた。
【0063】
抗体遺伝子のクローニング
PCR法により増幅したH鎖,L鎖の遺伝子をそれぞれ pT7Blue-3ベクター( Novagen社製)に挿入し、クローニングした。このベクターは、EcoRV で切断することにより平滑末端を生じ、PCR産物を直接クローニングすることが可能になる。
【0064】
抗体遺伝子の塩基配列決定
クローニングした株を、PCR後目的の遺伝子が増幅されることを指標としてコロニーPCRにより選択した後、それらの株からプラスミドを抽出し、塩基配列の決定を行った。その結果、H鎖可変領域は配列表の配列番号5に示す345塩基(実際には348塩基−116アミノ酸であるが、発現ベクター導入のため1番目のアミノ酸残基は欠損)、L鎖可変領域は配列表の配列番号7に示す324塩基(108アミノ酸)で構成されていることが推定された。
【0065】
又、相同領域の配列及び分子量から、cDNAのこれらの塩基配列はIgGモノクローナル抗体のH鎖,L鎖をコードしていると判断された。
【0066】
なお、配列番号5の塩基配列における塩基番号88〜105(H1領域)、塩基番号151〜195(H2領域)、塩基番号292〜312(H3領域)、及び、配列番号7の塩基配列における塩基番号64〜99(L1領域)、塩基番号145〜165(L2領域)、塩基番号262〜288(L3領域)の各領域は、前記Kabatのデータベースの超可変領域に相当する部分であり、抗原との結合を決定付ける領域を示す。
【0067】
【配列表】
Figure 0003947315
Figure 0003947315
Figure 0003947315
Figure 0003947315
Figure 0003947315
Figure 0003947315
Figure 0003947315

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたペプチドの一覧を示す図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)はペプチドの発色度を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 配列表の配列番号6に示すアミノ酸配列を有するH鎖可変領域と、配列表の配列番号8に示すアミノ酸配列を有するL鎖可変領域とを有するポリペプチドからなることを特徴とするIgGモノクローナル抗体。
  2. 前記IgGモノクローナル抗体がヒトアルブミンと高速で反応するIgGモノクローナル抗体であって、ヒトアルブミンとの抗体固定時又は抗原固定時の5分間の抗原抗体反応で、金薄膜に抗原又は抗体を固定し表面プラズモン共鳴の原理を用いて抗原抗体反応を解析するバイオセンサーにより、飽和時の80%以上の結合を達成できるものであることを特徴とする請求項1に記載のIgGモノクローナル抗体。
  3. 前記ヒトアルブミンとの抗体固定時又は抗原固定時の5分間の抗原抗体反応で、金薄膜に抗原又は抗体を固定し表面プラズモン共鳴の原理を用いて抗原抗体反応を解析するバイオセンサーが、BIAcore(登録商標名)であることを特徴とする請求項2に記載のIgGモノクローナル抗体。
  4. 配列表の配列番号9〜配列番号11の全ての塩基配列と配列表の配列番号12〜配列番号14の全ての塩基配列とを少なくとも有し、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のIgGモノクローナル抗体をコードすることを特徴とする核酸。
  5. 哺乳動物のミエローマ細胞とヒト血清アルブミンで免疫された哺乳動物の脾細胞との融合によって作製され、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のIgGモノクローナル抗体を生産することを特徴とするハイブリドーマ細胞。
  6. 金薄膜に抗原又は抗体を固定し表面プラズモン共鳴の原理を用いて抗原抗体反応を解析するバイオセンサーを用いて尿中のヒトアルブミンを検出する検査方法であって、
    前記ヒトアルブミンに特異的に結合する抗体として、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のIgGモノクローナル抗体を用いることを特徴とする検査方法。
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