JP3947259B2 - 釣竿用グリップ及びその構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣竿本体に装着される釣竿用グリップ及びその構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
釣竿の手元側には、釣竿を保持するためのグリップが設けられている。このグリップは、別途成形したものを竿本体にはめ込むタイプのものと、竿本体と一体成形されるタイプのものがある。グリップはユーザが握ったときの感覚が非常に重要であり、このため、様々な材料が用いられ、また様々な形状が施され、弾力性・フィット感をユーザに提供できるように成形されている。具体的には、ウレタンゴム、天然コルク、及び塩化ビニル等の合成樹脂製弾性体などを滑りにくい形状に成形したグリップが提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のように、所望の釣竿用グリップの弾力性・フィット感を(以下、弾性力等と略す。)合成樹脂のみでユーザに提供するには限界がある。すなわち、画一的に合成樹脂でグリップを作成すれば、弾力性等はその合成樹脂の性質にのみ依存することになる。釣竿のグリップの弾力性等の善し悪しは、その釣竿を使用するユーザの好みに左右されるものであるが、従来の釣竿では、弾性力等の調整が非常に困難であり、個々のユーザの求める弾力性等を備えた釣竿を提供することができない。
【0004】
例えば、ユーザによっては、弾力性のあるグリップを好む者もいれば、弾力性のないグリップを求める者もいる。また女性のユーザは、手の大きさが小さいため、男性が使用する場合に比べて細身の把持部を好む場合がある。
【0005】
本発明の課題は、合成樹脂等の材料に依存せずに十分な弾性力等を有する釣竿用グリップ及びその構造を提供することにある。
【0006】
本発明の別の課題は、個々のユーザが自己の好みに応じて弾力性を調整できる釣竿用グリップ及びその構造を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに別の課題は、個々のユーザが自己の好みに応じて変形し使用できる釣竿用グリップ及びその構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る釣竿用グリップは、釣竿本体に装着されるものであって、釣竿本体の外周に沿って配置され軸方向端部に鍔部を有するグリップベースと、グリップベース外周部に配置され内部に流体を充填するための空洞を有するグリップ本体と、空洞に流体を注入する流体注入手段とを備えている。
【0009】
この場合には、釣竿本体にグリップベースが装着されるとともにグリップベースにグリップ本体が装着される。そして、グリップ本体の空洞内部に充填される流体の量や種類、あるいはその圧力等を調整することにより、グリップ本体の材質のみに左右されることなく、グリップの弾力性等を所望の特性に調整できる。
【0010】
また、流体注入手段によって空洞内に流体を任意に注入してグリップの弾性力等を変化させることができ、ユーザの好みに応じてグリップの弾力性等を自在に調整できる。
【0011】
発明2に係る釣竿用グリップは、釣竿本体に装着されるものであって、釣竿本体の外周に沿って配置され軸方向端部に鍔部を有するグリップベースと、グリップベース外周部に配置され内部に流体を充填するための空洞を有するグリップ本体と、空洞に充填された流体の量を調整する流体調整手段とを備えている。
【0012】
この場合には、流体調整手段によって空洞内部の流体の量を調整できるので、個々のユーザが自己の好みに応じてグリップの弾力性を変化させることができる。また、空洞内の流体の量を調整しその体積を変化させることができ、結果として、形状を変化させることができる。
【0013】
発明3に係る釣竿用グリップは、釣竿本体に装着されるものであって、釣竿本体の外周に沿って配置され軸方向端部に鍔部を有するグリップベースと、グリップベース外周部に配置され内部に流体を充填するための空洞を有するグリップ本体と、空洞内部に設けられる流体発生手段とを備えている。
【0014】
ここで、流体発生手段としては、例えば二種類以上の化合物を混入することが考えられる。これらの化合物を空洞内に収納しておき、必要に応じて外部から押しつぶし、混ぜ合わせることによって、空洞内にガスを充填させることができる。この場合には、粉末の量を調整することによって、空洞内の圧力を調節でき、結果的に弾性力等を調整できる。
【0015】
発明4に係る釣竿用グリップ構造は、釣竿本体に他の部分に比較して大径に形成されるとともに外周部に流体充填用の環状の空洞を有するグリップ部と、空洞内をシールしながらグリップ部を覆う筒状のグリップカバーとを備えている。
【0016】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図を参照しながら説明する。
【0017】
図1において、手元竿10は、竿本体11と、竿本体11の外周に配置された前グリップ12と、手元側の端部に配置された竿元グリップ13とを有している。また前グリップ12と竿元グリップ13との間には、リールを装着するためのリールシート14が設けられている。竿本体11は、例えば炭素繊維の強化繊維に樹脂を含浸させたシート状プリプレグをマンドレルに巻回して成形された筒状のものであり、先端が細いテーパ形状である。
【0018】
図2において、前グリップ12は、竿本体11の外周面に嵌め込まれた硬質のベース部20と、ベース部20の外周面に配置され内部に流体を蓄えるための空洞21を有する環状のチューブ(グリップ本体)22とを有している。
【0019】
ベース部20は、PET(Poly ethylene terephtalate)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene resin)等の樹脂を成形加工して得られた円筒状の部材であり、その軸方向の両端に鍔部20a,20bとを有している。
【0020】
チューブ22は、加硫ゴムや、ウレタンゴム等のゴム弾性体を押し出しシート状に伸ばしたものを複数枚組み合わせて成形されている。その上にナイロン等の合成繊維を均等に巻いて補強し、さらにその上にゴムシートを被せて耐久性等を向上させ、内部や外部から加圧された状況においても耐えうるものとなっている。内部の空洞21に充填する流体としては、空気、窒素、ヘリウム等の気体、ゲル状の半流動体、または水等の液体を用いることができる。
【0021】
チューブ22の竿元側の端部には、チューブ22内に流体を出し入れするための注入部材23が設けられている。この注入部材23は、軟質ゴム等の弾性体を成形加工した円筒状の部材であり、その中心線に沿って通路24を有している。そしてこの注入部材23はベース部20の鍔部20b上に設けられた切欠き部に支持されている。
【0022】
竿元グリップ13は、図3に示すように、竿本体11の竿尻にはめ込まれた蓋付き円筒部材である。前グリップ12と同様に、竿本体11の周面にはめ込まれた硬質のベース部30と、ベース部30の外周面に配置され内部に流体を蓄えるための空洞31を備えたチューブ32とを有している。またチューブ32の竿元側の端部には、空洞31内の流体を出し入れするための注入部材33が設けらている。そしてこの注入部材33の中心部には通路34が形成されている。
【0023】
注入部材23,33は、軟質ゴム等の弾性体であり通常は通路24,34をふさいでいる。このため空洞21,31内の流体が外部に排気されることはない。ユーザは、前グリップ12,13を握った場合の弾性力が適当でないと感じた場合、図4に示すような流体注入出器40を利用して、空洞21,31内の流体量を調整することができる。
【0024】
流体注入出器40は、図4に示すように、注射器状のものであり、流体を収納するシリンダ41と、シリンダ41内に挿入されシリンダ41内の流体に圧力をかけるピストン42と、シリンダ41の前方に配置された針状の注出入針43とを有している。
【0025】
この流体注入器40を用いて例えば前グリップ12の弾力性等を調整する場合を以下に説明する。
【0026】
前グリップ12が柔らかい、または細いと感じる場合には、流体注入器40のシリンダ41内に必要な流体を入れ、注出入針43を注入部材23の通路24に差し込む。前述のように注入部材23は軟質弾性体製であり、注出入針43は通路24を広げて空洞21へ至る。この状態でピストン42に圧をかけてシリンダ41内の流体を注出入針43を介して空洞21内に注入する。これにより、前グリップ12内部の圧力を高くなり、弾性力が堅くなるとともに、前グリップ12を握ったときの径が太くなる。
【0027】
一方、前グリップ12が硬い、または太いと感じる場合には、前記シリンダ41内に流体を入れることなく注出入針43を注入部材23の通路24に差し込む。そして、ピストン42を引くことによって注出入針43を介して空洞21内の流体をシリンダ41内に取り込む。これにより前グリップ21内の圧力が低くなり、前グリップ12を握ったときの感覚が柔らかく、かつ細目のグリップとなる。
【0028】
なお、竿元グリップ13についても、前グリップ12と同様にして内部の流体の量を調整できる。
【0029】
この第1実施形態に係る釣竿グリップでは、前グリップ12および竿元グリップ13の内部に流体を密封し加圧した状態で蓄え、流体注入出器40により流体の量を調整して内部圧力を変化できるようにしたので、ユーザが自己の好みに応じて前グリップ12等の形状や弾力性を調整できる。
【0030】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0031】
第2実施形態に係る釣竿用グリップは、注入部材23の代わりにポンプ部50および排気栓55が設けられたことを除いて第1実施形態と同様である。
【0032】
なお、本第2実施形態では前グリップ12内の流体として空気を用いている。
【0033】
図5に示すように、ポンプ50は、前グリップ12の竿先部分(図5の左側)に配置され、チューブ22と一体成形される。ポンプ部50は内部に空間51を有しており、第1空気弁52と第2空気弁53とを有している。
【0034】
空間51は、第1空気弁52及び第1通路50aを介して外部と、第2通路50b及び第2空気弁53を介して前グリップ12内の空洞21と連通している。第1空気弁52は空間51方向に向かってのみ開き、空気は外部から空間51に向かってのみ流入する。また第2空気弁53は空洞21方向に向かってのみ開き、空気は空間51から空洞21に向かってのみ流出する。
【0035】
また、チューブ22の竿元側の外周部には、空洞21内の空気を排気するための排気栓55が設けられている。
【0036】
この実施形態において、前グリップ12内の気圧を調節する手順を説明する。
【0037】
まず、気圧を高める場合には、ポンプ部50を指で押し、空間51を圧縮する。この圧縮により、空間51に蓄えられていた空気は第2空気弁53を押して空洞21内に流出する。この際、第1空気弁52は開かず、空間51内の空気は空洞21内にのみ流出する。次にユーザがポンプ部50より指をはなすと、ポンプ50部はその弾性力により元の形状に戻る。その際に第1空気弁52が開いて外部より空間51内に空気が流入する。これらの動作を繰り返し、ユーザは前グリップ12内の圧を高める。
【0038】
一方、気圧を低くする場合は、排気栓55を開けて、空洞21内の空気を外部に排出する。
【0039】
このようにして、簡単な操作で短時間内にグリップの形状、弾性力を調整することができる。
【0040】
なお、手元グリップ13についても同様のポンプを設けて、グリップ内の圧力を調節することができる。
【0041】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0042】
図6において、前グリップ12は、竿本体11のグリップ相当部に形成された他の部分より太径のグリップ部60と、グリップ部60の外周面に配置されるグリップカバー61とから形成されている。
【0043】
グリップ部60は流体を充填するための環状の空洞62を有している。そして、この空洞62を覆うようにグリップカバー61が配置されている。グリップカバー61は熱収縮性樹脂であって、例えば、ポリエチレン製樹脂等を用いることができる。グリップ部60を形成した後にグリップカバー61をその外周面に配置し、加熱処理して収縮させグリップ部60に密着させた後、1対の固定リング63,64をかしめ、さらに接着剤を用いてグリップカバー61の両端をグリップ部60に確実に固定する。これにより、空洞62内に充填された流体は密封される。
【0044】
なお、注入部材65、通路66、及び空洞62内の流体量の調整については、第1実施形態と同様である。
【0045】
この第3の実施形態に係る釣竿グリップ構造においても、前記各実施形態と同様の効果が得られる。
【0046】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0047】
図7に示すように、前グリップ12は、竿本体11のグリップ部分に相当する部分(グリップ部)70と、グリップ部70の外周面に沿って配置されたグリップカバー71とから形成される。
【0048】
グリップカバー71は、硬質ゴム製の筒状部材であり、内周面には、グリップ部70との間に流体を蓄えるための空洞72が形成されている。そして、このグリップカバー71の竿先側の端部及び竿元側の端部は、グリップ部70の外周面に接着剤により強固に接着されている。このようにして、空洞72は密封されている。
【0049】
なお、注入部材75、通路76、及び空洞72内の流体量の調整については、第1実施形態と同様である。
【0050】
この第4の実施形態に係る釣竿グリップにおいても、前記各実施形態と同様の効果を得られる。
【0051】
[他の実施形態]
(a)チューブを透過性のある弾性体により成形し、内部の流体を目視できるようにすれば、流体量の調整を容易にすることができる。加えて、内部の流体に色素等により着色した液体等を用いれば、商品イメージに合わせて様々な色彩・模様等を表現でき、質感の向上も図ることができる。
【0052】
(b)流体の種類に合わせて、流体注入出器30として電動式のポンプやエアコンプレッサー等を用いることも可能である。
【0053】
(c)前グリップ12や手元グリップ13を一旦成形した後に、これらグリップの表面に別の合成樹脂等を被覆し積層構造として、表面の手触り・滑りにくさ等を向上させることも可能である。
【0054】
(d)空洞内に、例えば炭酸カルシウムの粉末と、希塩酸とをそれぞれカプセルに納めて配置し、グリップを握りカプセルを押しつぶして物質を反応させることによって、空洞内に流体を発生させ、流体の量や圧力を調整することもできる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、グリップの内部に流体を充填するための空洞を設けたので、空洞内の流体の量等を調整してグリップの弾性力等をユーザの好みに応じて調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態が採用された手元竿の側面部分図。
【図2】 前グリップの断面側面図。
【図3】 竿尻部の側面図。
【図4】 前グリップの一部および流体注入出器の断面側面図
【図5】 本発明の第2実施形態が採用された前グリップの断面側面図。
【図6】 本発明の第3実施形態が採用された前グリップの断面側面図。
【図7】 本発明の第4実施形態が採用された前グリップの断面側面図。
【符号の説明】
11 竿本体
12 前グリップ
13 手元グリップ
20 ベース部
21,31,62,72 空洞
22,32 チューブ
40 流体注入出器
50 ポンプ部
60,70 グリップ部
61,71 グリップカバー
Claims (4)
- 釣竿本体に装着される釣竿用グリップであって、
前記釣竿本体の外周に沿って配置され、軸方向端部に鍔部を有するグリップベースと、
このグリップベース外周部に配置され、内部に流体を充填するための空洞を有するグリップ本体と、
前記空洞に流体を注入する流体注入手段と、
を備えた釣竿用グリップ。 - 釣竿本体に装着される釣竿用グリップであって、
前記釣竿本体の外周に沿って配置され、軸方向端部に鍔部を有するグリップベースと、
このグリップベース外周部に配置され、内部に流体を充填するための空洞を有するグリップ本体と、
前記空洞に充填された流体の量を調整する流体調整手段と、
を備えた釣竿用グリップ。 - 釣竿本体に装着される釣竿用グリップであって、
前記釣竿本体の外周に沿って配置され、軸方向端部に鍔部を有するグリップベースと、
このグリップベース外周部に配置され、内部に流体を充填するための空洞を有するグリップ本体と、
前記空洞内部に設けられた流体発生手段と、
を備えた釣竿用グリップ。 - 釣竿本体に他の部分に比較して大径に形成されるとともに、外周部に流体充填用の環状の空洞を有するグリップ部と、
前記空洞内をシールしながら前記グリップ部を覆う筒状のグリップカバーと、
を備えた釣竿用グリップ構造。
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JP1045997A JP3947259B2 (ja) | 1997-01-23 | 1997-01-23 | 釣竿用グリップ及びその構造 |
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1997
- 1997-01-23 JP JP1045997A patent/JP3947259B2/ja not_active Expired - Fee Related
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