JP3946985B2 - 蛍光画像撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、励起光の照射により被測定部から発生した蛍光像を生体組織に関する情報を示す画像として撮像する蛍光画像撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生体内在色素の励起光波長領域にある励起光を生体組織に照射した場合に、正常組織と病変組織では、発する蛍光強度が異なることを利用して、生体組織に所定波長領域の励起光を照射し、生体内在色素が発する蛍光を検出することにより病変組織の局在、浸潤範囲を認識する蛍光検出装置が提案されている。
【0003】
通常、励起光を照射すると、図6に実線で示すように正常組織からは強い蛍光が発せられ、病変組織からは破線で示すように正常組織から発せられる蛍光より弱い蛍光が発せられるため、蛍光強度を測定することにより、生体組織が正常であるか病変状態にあるかを判定することができる。
【0004】
さらに、励起光による蛍光を撮像素子などにより撮像し、蛍光の強度に応じた蛍光画像として表示する方法も提案されている。そして、上記技術においては、生体組織に凹凸があるため、生体組織に照射される励起光の強度は均一ではない。また、生体組織から発せられる蛍光強度は、励起光照度にほぼ比例するが、励起光照度は距離の2乗に反比例して低下する。そのため、光源から遠くにある正常組織よりも近くにある病変組織の方が、強い蛍光を受光する場合があり、励起光による蛍光の強度の情報だけでは生体組織の組織性状を正確に識別することができない。このような不具合を低減するために、異なる波長帯域(480nm付近の狭帯域と430nm近傍から730nm近傍の広帯域)から取得した2種類の蛍光強度の比率を除算により求め、その除算値に基づく演算画像を表示する方法、すなわち、生体の組織性状を反映した蛍光スペクトルの形状の違いに基づいた画像表示方法や、種々の生体組織に対して一様な吸収を受ける近赤外光を参照光として生体組織に照射し、この参照光の照射を受けた生体組織によって反射された反射光の強度を検出して、蛍光強度との比率を除算により求め、その除算値に基づく演算画像を表示する方法、すなわち、蛍光収率を反映した値を求めて画像表示する方法などが提案されている。また、異なる波長帯域の蛍光強度の除算値または蛍光強度と参照光の照射による反射光の強度の除算値に色の情報を割り当て、その色の違いにより生体組織の病変状態を画像として示す方法や、さらに、その色の違いにより生体組織の病変状態を示す色画像と参照光の照射による反射光の強度に輝度の情報を割り当てることにより得られた輝度画像とを合成することにより、生体組織の形状も画像に反映させた凹凸感のある画像を示す方法なども提案されている。
【0005】
また、上記技術において、生体組織から発生する蛍光強度は非常に弱いため、この蛍光強度に基づく蛍光画像のS/Nは非常に悪いものとなる。従って、この蛍光画像のS/Nを改善する方法として、これまでに、蛍光強度を増大させるために撮像素子で撮像される蛍光画像の強度に基づいて増倍型撮像素子のゲインをコントロールする方法が提案されている。また、検出される蛍光強度から撮像素子のビニングサイズをアクティブに変更する方法も提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、増倍型撮像素子のゲインをコントロールする方法では、蛍光強度と共にノイズ強度も増大してしまう。また、撮像素子のビニングサイズを変更する方法では、ビニングにより蛍光強度は増大するが、画素結合時に周辺画素のダークノイズも増大させてしまうため、結果として十分なS/Nを得ることができない。さらに、ビニングサイズの変更のための撮像素子のドライブ回路が複雑となる欠点もある。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みて、蛍光強度のみを増大することにより、その蛍光強度に基づく蛍光画像のS/Nを改善することができる蛍光画像撮像装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の蛍光画像撮像装置は、励起光を被測定部まで導光して照射する照射手段と、照射手段による励起光の照射により被測定部から発生する蛍光像に基づく蛍光画像を結像光学系と通して撮像素子により撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された蛍光画像に基づく画像信号を読み出す読出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、撮像手段により撮像された蛍光画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出する統計量算出手段を有し、撮像手段が、統計量に基づいて結像光学系の倍率を制御することにより蛍光像の大きさを決定する倍率制御手段を有することを特徴とするものである。
【0009】
また、読出手段により読み出された画像信号に所定の画像処理を施す画像処理手段を有し、画像処理手段は、所定の有効範囲の画像信号に画像処理を施すものとすることができる。
【0010】
また、読出手段により読み出された画像信号に基づいて観察画像を表示する表示手段を有し、表示手段は、画像処理手段により画像処理された所定の有効範囲の前記画像信号に基づいて観察画像を表示するものとすることができる。
【0011】
また、上記所定の有効範囲の画像信号に基づく観察画像が、予め定められた一定の大きさで表示されるよう表示倍率を制御する表示倍率制御手段を有するようにすることができる。
【0012】
また、読出手段は、蛍光画像の所定の有効範囲の画像信号のみを読み出すものとすることができる。
【0013】
本発明による第2の蛍光画像撮像装置は、励起光および照明光を被測定部まで導光して照射する照射手段と、照射手段による励起光の照射により被測定部から発生する蛍光像に基づく蛍光画像および照明光の照射により被測定部から反射される通常像に基づく通常画像を結像光学系を通して撮像素子により撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された蛍光画像および通常画像に基づく画像信号を読み出す読出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、撮像手段により撮像された蛍光画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出する統計量算出手段を有し、撮像手段が、統計量に基づいて結像光学系の倍率を制御することにより蛍光像および通常像の大きさを決定する倍率制御手段を有することを特徴とするものである。
【0014】
また、読出手段により読み出された画像信号に所定の画像処理を施す画像処理手段を有し、画像処理手段は、所定の有効範囲およびその所定の有効範囲に対応する通常画像の画像信号に画像処理を施すものとすることができる。
【0015】
また、読出手段により読み出された画像信号に基づいて観察画像を表示する表示手段を有し、表示手段は、画像処理手段により画像処理された蛍光画像および通常画像の所定の有効範囲の画像信号に基づいて観察画像を表示するものとすることができる。
【0016】
また、上記所定の有効範囲の画像信号に基づく観察画像が、予め定められた一定の大きさで表示されるよう表示倍率を制御する表示倍率制御手段を有するようにすることができる。
【0017】
また、読出手段は、蛍光画像および通常画像の所定の有効範囲の画像信号のみを読み出すものとすることができる。
【0018】
本発明による第3の蛍光画像撮像装置は、励起光および参照光を被測定部まで導光して照射する照射手段と、照射手段による励起光の照射により被測定部から発生する蛍光像に基づく蛍光画像および参照光の照射により被測定部から反射される反射像に基づく反射画像を結像光学系を通して撮像素子により撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された蛍光画像および反射画像に基づく画像信号を読み出す読出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、撮像手段により撮像された蛍光画像または反射画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出する統計量算出手段を有し、撮像手段が、統計量に基づいて結像光学系の倍率を制御することにより蛍光像および反射像の大きさを決定する倍率制御手段を有することを特徴とするものである。
【0019】
また、読出手段により読み出された画像信号に所定の画像処理を施す画像処理手段を有し、画像処理手段は、所定の有効範囲および所定の有効範囲に対応する反射画像の画像信号に画像処理を施すものとすることができる。
【0020】
また、読出手段により読み出された画像信号に基づいて観察画像を表示する表示手段を有し、表示手段は、画像処理手段により画像処理された蛍光画像および反射画像の所定の有効範囲の画像信号に基づいて観察画像を表示するものとすることができる。
【0021】
また、上記所定の有効範囲の画像信号に基づく観察画像が、予め定められた一定の大きさで表示されるよう表示倍率を制御する表示倍率制御手段を有するようにすることができる。
【0022】
また、読出手段は、蛍光画像および反射画像の所定の有効範囲の画像信号のみを読み出すものとすることができる。
【0023】
本発明による第4の蛍光画像撮像装置は、励起光、参照光および照明光を被測定部まで導光して照射する照射手段と、照射手段による励起光の照射により被測定部から発生する蛍光像に基づく蛍光画像、参照光の照射による被測定部から反射される反射像に基づく反射画像および照明光の照射により被測定部から反射される通常像に基づく通常画像を結像光学系を通して撮像素子により撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された蛍光画像、反射画像および通常画像に基づく画像信号を読み出す読出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、撮像手段により撮像された蛍光画像または反射画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出する統計量算出手段を有し、撮像手段が、統計量に基づいて結像光学系の倍率を制御することにより蛍光像、反射像および通常画像の大きさを決定する倍率制御手段を有することを特徴とするものである。
【0024】
また、読出手段により読み出された画像信号に所定の画像処理を施す画像処理手段を有し、画像処理手段は、所定の有効範囲および所定の有効範囲に対応する反射画像および通常画像の画像信号に画像処理を施す
ものとすることができる。
【0025】
また、読出手段により読み出された画像信号に基づいて観察画像を表示する表示手段を有し、表示手段は、画像処理手段により画像処理された蛍光画像、反射画像および通常画像の所定の有効範囲の画像信号に基づいて観察画像を表示するものとすることができる。
【0026】
また、上記所定の有効範囲の画像信号に基づく観察画像が、予め定められた一定の大きさで表示されるよう表示倍率を制御する表示倍率制御手段を有するようにすることができる。
【0027】
また、読出手段は、蛍光画像、反射画像および通常画像の所定の有効範囲の画像信号のみを読み出すものとすることができる。
【0028】
ここで、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、上記「統計量に基づいて結像光学系の倍率を制御する」とは、例えば、蛍光画像の所定の領域の画像信号の統計量が所定の閾値より小さい場合、つまり蛍光画像の画像信号の大きさが十分な大きさでないときは結像光学系により蛍光像の大きさが縮小されるよう倍率を制御し、また、統計量が所定の閾値より大きい場合、つまり蛍光画像の画像信号の大きさが大きいときは結像光学系により蛍光像の大きさが拡大されるよう倍率を制御し、また、統計量が略所望の値である場合、つまり蛍光画像の画像信号の大きさが適当な大きさのときは結像光学系により蛍光像の大きさが等倍されるよう倍率を制御することを意味する。もしくは、複数の閾値およびその閾値に応じた倍率を設定し、段階的に倍率を変更するようにしてもよい。なお、上記「蛍光像の大きさ」とは、撮像素子に結像される蛍光像の大きさを意味する。
【0029】
また、上記「画像信号に基づく統計量」とは、例えば、蛍光画像または反射画像の画像強度(画像信号そのものを意味する)や表示する際に変換されたY信号(NTSC信号のYIQのY、YCbCrのY等)などから算出される統計量を意味する。また、反射画像の画像信号に輝度情報を割り当てるような場合には、この輝度情報から統計量を算出するようにしてもよい。要は、蛍光画像または反射画像の画像信号に基づく信号や情報から算出される統計量であれば如何なるものでもよい。
【0030】
また、第2の蛍光画像撮像装置においては、蛍光像の大きさに応じて通常像の大きさも制御することができ、例えば、上記のように蛍光像が結像光学系により縮小よび等倍される場合には通常像は等倍するようにし、蛍光像が結像光学系により拡大される場合には通常像も拡大するようにすることができる。
【0031】
また、第3の蛍光画像撮像装置においては、蛍光像の大きさに応じて反射像の大きさも制御することができ、例えば、上記のように蛍光像が結像光学系により縮小される場合は反射像も縮小するようにし、蛍光像が等倍される場合は反射像も等倍するようにし、蛍光像が拡大される場合は反射像も拡大するようにすることができる。
【0032】
また、第4の蛍光画像撮像装置においては、蛍光像の大きさに応じて通常像および反射像の大きさも制御することができ、例えば、上記のように蛍光像が結像光学系により縮小される場合は通常像は等倍し反射像は縮小するようにし、蛍光像が等倍される場合は通常像および反射像も等倍するようにし、蛍光像が拡大される場合は通常像および反射像も拡大するようにすることができる。
【0033】
また、上記第1または第2の蛍光画像撮像装置において、所定の領域は、蛍光画像全体であり、統計量算出手段は、蛍光画像全体の画像信号の統計量を算出するものとすることができる。
【0034】
また、上記第3または第4の蛍光画像撮像装置において、所定の領域は、蛍光画像全体または反射画像全体であり、統計量算出手段は、蛍光画像全体または反射画像全体の画像信号の統計量を算出するものとすることができる。
【0035】
また、上記第1または第2の蛍光画像撮像装置において、所定の領域は、蛍光画像の関心領域であり、統計量算出手段は、関心領域の画像信号の統計量を算出するものとすることができる。
【0036】
また、上記第3または第4の蛍光画像撮像装置において、所定の領域は、蛍光画像または反射画像の関心領域であり、統計量算出手段は、関心領域の画像信号の統計量を算出するものとすることができる。
【0037】
ここで、上記「関心領域」とは、例えば、画像診断に際して、診断上、特に関心度の高い領域を意味する。
【0038】
また、上記「所定の有効範囲」とは、例えば、実際に観察対象物が撮像素子上に結像されている範囲であり、画像診断に際して、撮像される蛍光画像の中で画像として表示させたい範囲などを意味する。
【0039】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、統計量算出手段は、所定の領域内の所定の範囲に関心度に応じた重み付けをする演算をしてその演算された画像信号の統計量を算出するものとすることができる。
【0040】
ここで、上記「所定の領域内の所定の範囲に関心度に応じた重み付けをする演算する」とは、例えば、所定の領域内において、最も関心度の高い範囲の画像信号に1を掛け合わせ、次に関心度の高い領域の画像信号に0.5を掛け合わせ、残りの領域の画像信号に0.1を掛け合わせることにより、関心度に応じた重み付けを行うことを意味する。
【0041】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、画像信号の統計量は、最大値、最小値、平均値、最大値と標準偏差の組み合わせ、最小値と標準偏差の組み合わせおよび平均値と標準偏差の組み合わせの少なくとも1つであり、その統計量の最大値、最小値、平均値のいづれかが小さいとき前記倍率を小さくし、大きいとき前記倍率を大きくするものとすることができる。
【0042】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、読出手段は、所定の有効範囲に応じて読出周波数を制御するものとすることができる。
【0043】
ここで、上記「所定の有効範囲に応じて読出周波数を制御する」とは、例えば、CCDにより撮像された画像を読出手段により画像信号として読み出す場合には、読出手段は基準のクロック信号に基づく水平/垂直転送信号により画像信号を順次読み出していくが、所定の有効範囲が広い程、画像信号を読み出す画素数が多くなるので読出周波数は高くなる。従って、有効範囲の広さに応じて読出周波数が決まり、読出手段はその読出周波数に応じて水平/垂直転送信号により画像信号を順次読み出すことを意味する。
【0044】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、画像信号に基づく画素データが、9bit以上のbit数で示される場合、該データが上位8bit以下のbit数で示されるようビットシフトするビットシフト手段を備え、統計量算出手段は、ビットシフトされた画素データに基づいて統計量を算出するものとすることができる。
【0045】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置は、照射手段、撮像手段および読出手段の一部または全部が、生体内部に挿入される挿入部を有する内視鏡の形態とすることができる。
【0046】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置は、照射手段、撮像手段および読出手段の一部が挿入部に配設され、挿入部に配設された部分以外の照射手段、撮像手段および読出手段の一部がプロセッサ部に配設される構成であり、倍率制御手段に前記倍率を制御される結像光学系はプロセッサ部内に配設されるものとすることができる。
【0047】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置は、照射手段、撮像手段および読出手段の一部が挿入部に配設され、挿入部に配設された部分以外の照射手段、撮像手段および読出手段の一部がプロセッサ部に配設される構成であり、倍率制御手段に制御される結像光学系が挿入部内に配設されるものとすることができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明による第1の蛍光画像撮像装置によれば、統計量算出手段が撮像手段により撮像された蛍光画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出し、倍率制御手段が統計量に基づいて結像光学系の倍率を制御することにより蛍光像の大きさを決定するようにしたので、蛍光像の強度が弱い場合においても、つまり蛍光画像の画像信号の大きさが所望の値より小さい場合においても、その統計量に基づいて結像倍率系が適当な倍率に制御され蛍光像を縮小することにより蛍光像の強度のみを増大するので、蛍光画像のS/Nを改善することができる。
【0049】
本発明による第2の蛍光画像撮像装置によれば、統計量算出手段が撮像手段により撮像された蛍光画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出し、倍率制御手段が統計量に基づいて結像光学系の倍率を制御することにより蛍光像および通常像の大きさを決定するようにしたので、上記第1の蛍光画像撮像装置の効果に加え、通常像の大きさを蛍光像の大きさに応じたものとすることができる。
【0050】
本発明による第3の蛍光画像撮像装置は、統計量算出手段が撮像手段により撮像された蛍光画像または反射画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出し、倍率制御手段が統計量に基づいて結像光学系の倍率を制御することにより蛍光像および反射像の大きさを決定するようにしたので、上記第1の蛍光画像撮像装置の効果に加え、反射像を蛍光像の大きさに応じた大きさとすることができ、蛍光画像および反射画像を利用して画像演算をする場合においても、適当な画像間演算処理を行うことができる。さらに、統計量算出手段が反射画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出した場合には、撮像手段と被測定部との距離をより反映した倍率に制御することができる。
【0051】
本発明による第4の蛍光画像撮像装置は、統計量算出手段が撮像手段により撮像された蛍光画像または反射画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出し、倍率制御手段が統計量に基づいて結像光学系の倍率を制御することにより蛍光像、反射像および通常画像の大きさを決定するようにしたので、上記第1から第3の蛍光画像撮像装置と同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、画像処理手段が、所定の領域内の所定の有効範囲の画像信号に画像処理を施すものとした場合には、画像処理時間を短縮することができる。
【0053】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、表示手段が、画像処理手段により画像処理された所定の有効範囲の画像信号に基づいて観察画像を表示するものとした場合には、特に関心度の高い範囲のみを観察画像として表示することができる。
【0054】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、所定の有効範囲の画像信号に基づく観察画像が、予め定められた一定の大きさで表示されるよう表示倍率を制御した場合には、結像光学系により縮小された画像であっても拡大表示により視認性を確保することができる。
【0055】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、読出手段が、所定の有効範囲の画像信号のみを読み出すものとした場合には、読出処理の時間を短縮することができる。
【0056】
また、上記第1または第2の蛍光画像撮像装置において、所定の領域を、蛍光画像全体とし、統計量算出手段が、蛍光画像全体の画像信号の統計量を算出するものとした場合には、蛍光画像全体を反映したより適当な統計量を算出することができる。
【0057】
また、上記第3または第4の蛍光画像撮像装置において、所定の領域を、蛍光画像全体または反射画像全体とし、統計量算出手段が、蛍光画像全体または反射画像の画像信号の統計量を算出するものとした場合には、蛍光画像全体または反射画像全体を反映したより適当な統計量を算出することができ、特に反射画像全体の画像信号の統計量を算出した場合には、撮像手段と被測定部との距離をより反映した統計量を算出することができる。
【0058】
また、上記第1または第2の蛍光画像撮像装置において、所定の領域を、蛍光画像の関心領域とし、統計量算出手段が、関心領域の画像信号の統計量を算出するものとした場合には、関心領域についてより適当な統計量を算出することができる。
【0059】
また、上記第3または第4の蛍光画像撮像装置において、所定の領域を、蛍光画像または反射画像の関心領域とし、統計量算出手段が、関心領域の画像信号の統計量を算出するものとした場合には、関心領域についてより適当な統計量を算出することができ、特に反射画像全体の画像信号の統計量を算出した場合には、撮像手段と被測定部との距離をより反映した統計量を算出することができる。
【0060】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、統計量算出手段が、所定の領域内の所定の範囲に関心度に応じた重み付けをする演算をしてその演算された画像信号の統計量を算出するものとした場合には、蛍光画像または反射画像においてより関心度の高い範囲の画像信号が統計量に反映するようにすることができる。
【0061】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、画像信号の統計量を、最大値、最小値、平均値、最大値と標準偏差の組み合わせ、最小値と標準偏差の組み合わせおよび平均値と標準偏差の組み合わせの少なくとも1つとし、その統計量の最大値、最小値、平均値のいづれかが小さいとき前記倍率を小さくし、大きいとき前記倍率を大きくするものとするものとした場合には、簡易な演算で統計量を算出することができ、その統計量を反映した倍率の制御を行うことができる。
【0062】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、読出手段が、所定の有効範囲に応じて読出周波数を制御するものとした場合には、読出周波数を必要最低限に制限することができるので、読出しにともなって発生する読出しノイズを制限することができ、蛍光画像、反射画像および通常画像のS/Nを改善することができる。
【0063】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置において、画像信号に基づく画素データが、9bit以上のbit数で示される場合、該データが上位8bit以下のbit数で示されるようビットシフトするビットシフト手段を備え、統計量算出手段は、ビットシフトされた画素データに基づいて統計量を算出するものとした場合には、8bitの汎用統計演算機を利用することができ、演算処理の高速化を図ることができる。
【0064】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置が、照射手段、撮像手段および読出手段の一部または全部が、生体内部に挿入される挿入部を有する内視鏡の形態とした場合には、蛍光内視鏡装置として有効に利用することができる。
【0065】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置が、照射手段、撮像手段および読出手段の一部が挿入部に配設され、挿入部に配設された部分以外の照射手段、撮像手段および読出手段の一部がプロセッサ部に配設される構成であり、倍率制御手段に前記倍率を制御される結像光学系はプロセッサ部内に配設されるものとした場合には、挿入部の構成が簡易にでき、また、挿入部の重量が軽くなるのでその操作性を高めることができる。
【0066】
また、上記第1から第4の蛍光画像撮像装置が、照射手段、撮像手段および読出手段の一部が挿入部に配設され、挿入部に配設された部分以外の照射手段、撮像手段および読出手段の一部がプロセッサ部に配設される構成であり、倍率制御手段に制御される結像光学系が挿入部内に配設されるものとした場合には、装置をより小型に構成することができる。
【0067】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の蛍光画像撮像装置を蛍光内視鏡に適用した実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態の蛍光内視鏡の概略構成図である。
【0068】
本実施の形態による蛍光内視鏡は、患者の病巣と疑われる部位に挿入される内視鏡挿入部100と、生体組織から得られた情報を画像信号に処理する画像信号処理部1と、画像信号処理部1で処理された信号を可視画像として表示するモニタ600とから構成される。画像信号処理部1は、通常画像用白色光Lw、自家蛍光画像用励起光Lrをそれぞれ射出する2つの光源を備えた照明ユニット110と、この励起光の照射により生体組織9から発生した自家蛍光像Zjを撮像し、デジタル値に変換して画像データとして出力する画像検出ユニット300と、画像検出ユニット300から出力された自家蛍光像の画像データに距離補正等の演算および画像処理を行って出力する画像演算ユニット400と、通常像をデジタル値に変換して画像データとし、その画像データおよび画像演算ユニット400の出力信号をビデオ信号に変換して出力する表示信号処理ユニット500と、通常画像表示状態と合成画像表示状態を切り換えるフットスイッチ2とから構成される。
【0069】
内視鏡挿入部100は、内部に先端まで延びるライトガイド101と、イメージファイバ102を備えている。ライトガイド101の先端部、即ち内視鏡挿入部100の先端部には、照明レンズ103を備えている。また、イメージファイバ102は多成分ガラスファイバであり、その先端部には励起光フィルタ104と集光レンズ105を備えている。ライトガイド101は、白色光ライトガイド101a、励起光ライトガイド101bがバンドルされ、ケーブル状に一体化されており、白色光ライトガイド101a、励起光ライトガイド101bは照明ユニット110へ接続されている。イメージファイバ102の一端は、画像検出ユニット300へ接続されている。
【0070】
照明ユニット110は、自家蛍光画像用の励起光Lrを発するGaN系半導体レーザ111およびそのGaN系半導体レーザ111に電気的に接続される半導体レーザ用電源112、通常画像用の白色光Lwを発する白色光源114 、その白色光源114に電気的に接続される白色光用電源115を備えている。
【0071】
画像検出ユニット300には、イメージファイバ102が接続され、イメージファイバ102により伝搬された自家蛍光像、通常像を結像するコリメートレンズ301、コリメートレンズ301を透過した通常像を直角方向に全反射し、コリメートレンズ301を透過した蛍光像は破線で示す位置に移動し通過させる可動ミラー302、コリメートレンズ301を透過した自家蛍光像(750nm以下の波長の光)の光量の50%を透過し、50%を直角方向に反射するハーフミラー303、ハーフミラー303を反射した自家蛍光像を直角方向に反射する蛍光像用ミラー304、後述する倍率制御手段316により倍率が制御されハーフミラー303を透過した自家蛍光像および蛍光像用ミラー304を反射した自家蛍光像を拡大または縮小または等倍して透過する結像光学系305、結像光学系305を所定の倍率で透過した自家蛍光像を結像させる広帯域蛍光像用集光レンズ306および狭帯域蛍光像用集光レンズ307、広帯域蛍光像用集光レンズ306を透過した自家蛍光像から430nm〜730nmの波長を選択する広帯域バンドパスフィルタ308、広帯域バンドパスフィルタ308を透過した自家蛍光像を撮像する広帯域蛍光画像用高感度撮像素子310、狭帯域蛍光像用集光レンズ307により結像された自家蛍光像から430nm〜530nmの波長を取り出す狭帯域バンドパスフィルタ309、狭帯域バンドパスフィルタ309を透過した自家蛍光像を撮像する狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子311、後述する倍率制御手段316からの制御信号に基づいて広帯域蛍光画像用高感度撮像素子310および狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子311における駆動範囲を制御して該駆動範囲の画像信号を読み出す読出手段314、読出手段314からの制御信号に基づいて広帯域蛍光画像用高感度撮像素子310から出力された画像信号をデジタル値に変換して画像データとして出力するAD変換器312、読出手段314からの制御信号に基づいて狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子311から出力された画像信号をデジタル値に変換して画像データとして出力するAD変換器313、AD変換器312から出力され後述する広帯域蛍光画像用メモリ401に記憶された画像データおよびAD変換器313から出力され後述する狭帯域蛍光画像用メモリ402に記憶された画像データに基づいて統計量を算出する統計量算出手段315、統計量算出手段315から出力される統計量に基づいて結像倍率系305および後述する通常像結像光学系507の倍率を決定して結像光学系305および通常像結像光学系507の倍率がその倍率となるよう倍率制御信号を出力し、また、その倍率に基づいて広帯域蛍光画像用高感度撮像素子310、狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子311および後述する通常画像用撮像素子503における駆動範囲を決定しその駆動範囲における画像信号を読み出すよう読出手段314,508に制御信号を出力する倍率制御手段316を備えている。
【0072】
なお、統計量算出手段315は、統計量を演算する際、画像データのビット数を8ビット以下にシフトするビットシフト手段317を備えている。
【0073】
画像演算ユニット400は、AD変換器312から出力された広帯域自家蛍光画像の画像データを記憶する広帯域蛍光画像用メモリ401、AD変換器313から出力された狭帯域自家蛍光画像の画像データを記憶する狭帯域蛍光画像用メモリ402、広帯域蛍光画像用メモリ401に記憶された広帯域自家蛍光画像の画像データと狭帯域蛍光画像用メモリ402に記憶された広帯域自家蛍光画像の画像データの対応する各画素値の比率に応じた演算を行って各画素の演算値を算出し、その演算値の大きさに応じた色情報を割り当てて色画像を生成し出力する画像生成手段403を備えている。
【0074】
表示信号処理ユニット500は、可動ミラー302により反射された通常像を直角方向に反射する通常像用ミラー501、倍率制御手段316により倍率が制御され通常像用ミラー501により反射された通常像を拡大または等倍して透過する通常像結像光学系507、通常像結像光学系507により拡大または等倍された通常像を結像する通常像用集光レンズ502、通常像用集光レンズ502で結像された通常像を撮像する通常画像用撮像素子503、倍率制御手段316からの制御信号に基づいて通常画像用撮像素子503における駆動範囲を制御して該駆動範囲の画像信号を読み出す読出手段508、読出手段508からの制御信号に基づいて通常画像用撮像素子503から出力された画像信号をデジタル値に変換して画像データとして出力するAD変換器504、デジタル化された画像信号を記憶する通常画像用メモリ505、通常画像用メモリ505から出力された画像信号および画像生成手段403から出力された色画像信号をビデオ信号に変換して出力するビデオ信号処理回路506を備えている。モニタ600は、通常画像と色画像を切り換えて表示するものである。
【0075】
次に、上記実施の形態における蛍光内視鏡の作用について説明する。まず、異なる2つの波長帯域の自家蛍光画像を利用して色画像を表示する場合の作用について説明する。
【0076】
制御用コンピュータ200からの信号に基づき半導体レーザ用電源112に駆動されGaN系半導体レーザ111から励起光Lrが射出され、励起光Lrは、励起光用集光レンズ113を透過し、励起光ライトガイド101bに入射され、内視鏡挿入部100の先端部まで導光された後、照明レンズ103 から生体組織9へ照射される。励起光Lrの照射により生じる生体組織9からの自家蛍光像は、集光レンズ105により集光され、励起光カットフィルタ104を透過して、イメージファイバ102の先端に入射しイメージファイバ102を経て、コリメートレンズ301に入射する。励起光カットフィルタ104は、波長420nm以上の全蛍光を透過するロングパスフィルタである。励起光Lrの波長は410nmであるため、生体組織9で反射された励起光は、この励起光カットフィルタ104でカットされる。コリメートレンズ301を透過した自家蛍光像は、ハーフミラー303で50%の透過率で透過し、50%の反射率で反射される。ハーフミラー303を直角方向に反射した自家蛍光像は、蛍光像用ミラー304を直角方向に反射する。ハーフミラー303を透過した自家蛍光像および蛍光像用ミラー304を反射した自家蛍光像はともに結像光学系305に入射される。このとき、結像光学系305に最初に入射された自家蛍光像については、結像光学系305を等倍で透過する。結像光学系305を等倍で透過した自家蛍光像は、広帯域蛍光像用集光レンズ306により結像され、広帯域蛍光像用集光レンズ306を透過した自家蛍光像は、広帯域バンドパスフィルタ308を透過して、広帯域蛍光画像用高感度撮像素子310により撮像される。蛍光像用ミラー304により反射された自家蛍光像は、狭帯域蛍光用集光レンズ307により結像され、狭帯域バンドパスフィルタ309を透過して、狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子311により撮像される。
【0077】
広帯域蛍光画像用高感度撮像素子310と狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子311により撮像された自家蛍光像は電気信号である画像信号に変換され、読出手段314の制御信号によってそれぞれ画像信号が読み出される。そして、広帯域蛍光画像用高感度撮像素子310から出力された画像信号はAD変換器312に入力されデジタル化された後、広帯域蛍光画像用メモリ401に記憶され、狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子311から出力された画像信号はAD変換器313に入力されデジタル化された後、狭帯域蛍光画像用メモリ402に記憶される。
【0078】
ここで、最初の自家蛍光画像の撮像により広帯域蛍光画像用メモリ401および狭帯域蛍光画像用メモリ402に記憶された後、その画像データのうち関心領域の画像データが統計量算出手段315に出力される。例えば、広帯域蛍光画像用メモリ401および狭帯域蛍光画像用メモリ402に記憶された画像データの領域が図3に示す領域60とした場合にそのうち関心領域である領域61の画像データが出力される。関心領域は予め設定された領域でもよいし、所定の入力手段(図示省略)により入力された領域でもよい。さらに統計量算出手段315に出力された関心領域61の画像データはビットシフト手段317により8ビット以下にビットシフトされた後、統計量算出手段315において関心度に応じて重み付きを付ける演算が行われる。例えば、関心領域61の中で最も関心度の高い領域を領域63とするとこの画像信号に1を掛け合わせ、次に関心度の高い領域を領域63を除く領域62とするとこの画像データに0.5を掛け合わせ、さらに次に関心度の高い領域を領域62を除く領域61とするとこの画像データに0.1を掛け合わせる。そして、領域61の全ての重み付きが付けられた画像データについて平均値をとる。この平均値は倍率制御手段316に出力され倍率制御手段316はこの平均値に応じた自家蛍光画像と通常画像の倍率を決定し、この倍率になるよう結像光学系305と通常像結像光学系507に倍率制御信号を出力する。倍率制御手段316には統計量算出手段315から出力される平均値に対応した結像光学系305および通常像結像光学系507の適当な倍率が設定されているものとする。この設定されている倍率は、例えば、上記平均値の値が所望の値より小さい場合、つまり自家蛍光画像信号の大きさが十分な大きさでないときは結像光学系305により自家蛍光像の大きさが縮小される倍率であり、また、上記平均値の値が所望の値より大きい場合、つまり自家蛍光画像信号の大きさが大きいときは結像光学系305により自家蛍光像の大きさが拡大される倍率であり、また、上記平均値の値が略所望の値である場合、つまり自家蛍光画像信号の適当なときは結像光学系305により自家蛍光像の大きさが等倍される倍率である。
【0079】
そして、倍率制御手段316の倍率制御信号により適当な倍率に制御された結像光学系305を通じて次の自家蛍光画像が撮像される。さらに、倍率制御手段316から読出手段314に有効範囲に応じた駆動範囲が出力され、読出手段314はこの有効範囲に応じた駆動範囲のおける狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子311および広帯域蛍光画像用高感度撮像素子310の画像データを読み出す。この有効範囲とは画像として表示させたい領域であり、予め設定されていてもよいし所定の入力手段(図示省略)により入力されるものでもよい。また、読出手段314は、狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子311および広帯域蛍光画像用高感度撮像素子310が例えばCCDの場合は、その水平/垂直同期信号および基準クロック信号により読出しを行い、上記有効範囲に応じた駆動範囲の制御はこの水平/垂直同期信号および基準クロック周波数の変更により行われる。結像光学系305により縮小された自家蛍光画像が撮像される場合には、読出周波数を下げることになるので、これによりCCDの読出ノイズを低減することができる。
【0080】
読出手段314により読み出された有効範囲に応じた駆動範囲の画像データは狭帯域蛍光画像用メモリ318と広帯域蛍光画像用メモリ319に記憶される。
【0081】
そして、狭帯域蛍光画像用メモリ318に記憶された有効範囲の狭帯域自家蛍光画像と広帯域蛍光画像用メモリ319に記憶された有効範囲の広帯域自家蛍光画像は、画像生成手段403で、対応する各画像の各画素値の比率に応じた演算を行い、その演算値に色情報を割り当て、色情報をもった画像信号を生成し出力する。画像生成手段403で生成された色画像は、ビデオ信号処理回路506によってDA変換後にモニタ600に入力され、有効範囲の色画像が表示される。この色画像の色の違いにより正常組織か病変組織かの判別が可能となる。
【0082】
次に、通常画像を表示する場合の作用について説明する。まず、制御用コンピュータ200からの信号に基づき白色光源115が駆動され白色光源114から白色光Lwが射出され、白色光Lwは、白色光用集光レンズ116を経て白色光ライトガイド101aに入射され、内視鏡挿入部100の先端部まで導光された後、照明レンズ103から生体組織9へ照射される。白色光Lwの反射光は集光レンズ105によって集光され、励起光フィルタ104を透過して、イメージファイバ102の先端に入射され、イメージファイバ102を経て、コリメートレンズ301に入射する。コリメートレンズ301を透過した反射光は、可動ミラー302および通常像用ミラー501で反射し、通常像結像光学系507に入射される。このとき通常像結像光学系507は、上記倍率制御手段316から出力された倍率制御信号に応じて倍率が制御される。このときの倍率は、例えば、結像光学系305において自家蛍光像が拡大されるよう倍率が制御された場合には、通常像結像光学系507も同様の倍率に制御され通常像は拡大される。また、結像光学系305において自家蛍光像が等倍もしくは縮小されるよう倍率が制御されたときは、通常像結像光学系507は等倍に倍率を制御して通常像を透過する。通常像結像光学系507により適当な倍率に制御された通常像は通常像用集光レンズ502に入射される。通常像用集光レンズ502を透過した通常像は、通常画像用撮像素子503に結像される。ここで、通常画像用撮像素子503では上記自家蛍光画像における有効範囲に応じた画像データが読み出されるよう読出手段508により制御される。通常画像用撮像素子503から出力された有効範囲の画像データはAD変換器504へ入力され、デジタル化された後、通常画像用メモリ505に保存される。その通常画像用メモリ505により記憶された有効範囲の画像信号は、ビデオ信号処理回路506によってDA変換後にモニタ600に入力され、そのモニタ600に可視画像として表示される。なお、ビデオ信号処理回路506における信号処理は、面順次方式でもよいし、同次式でもよい。
【0083】
上記色画像表示の作用および通常画像表示の作用に関する一連の動作は、制御用コンピュータ200により制御される。また、上記色画像表示状態と通常画像表示状態の切り換えは、フットスイッチ2を押下することにより行なわれる。
【0084】
本発明による蛍光画像撮像装置を適用した蛍光内視鏡によれば、統計量算出手段315が蛍光画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出し、倍率制御手段316が統計量に基づいて結像光学系305の倍率を制御することにより蛍光像の大きさを決定するようにしたので、蛍光像の強度が弱い場合においても、つまり蛍光画像の画像信号の大きさが所望の値より小さい場合においても、その統計量に基づいて結像倍率系が適当な倍率に制御され蛍光像を縮小することにより蛍光像の強度のみを増大するので、蛍光画像のS/Nを改善することができる。
【0085】
また、画像演算ユニット400が、所定の領域内の所定の有効範囲の画像信号に画像処理を施すものとしたので、画像処理時間を短縮することができる。
【0086】
また、モニタ600が、画像演算ユニット400により画像処理された所定の有効範囲の前記画像信号に基づいて観察画像を表示するものとしたので、特に関心度の高い範囲のみを観察画像として表示することができる。また、このとき、倍率制御手段316により制御された倍率に応じてモニタ600に表示される観察画像の大きさも変更するようにすれば(例えば、倍率制御手段316により自家蛍光像を縮小した場合には観察画像も縮小する)、画素数の減少による観察画像のモザイク化を低減することができる。
【0087】
また、読出手段314が、所定の有効範囲の画像信号のみを読み出すものとしたので、読出処理の時間を短縮することができる。
【0088】
また、読出手段314が、所定の有効範囲に応じて読出周波数を制御するものとしたので、読出周波数を必要最低限に制限することができるので、読出しにともなって発生する読出しノイズを制限することができ、蛍光画像、反射画像および通常画像のS/Nを改善することができる。
【0089】
また、統計量算出手段317がビットシフト手段317により、8ビット以下にビットシフトされた画素データに基づいて統計量を算出するものとしたので、8bitの汎用統計演算機を利用することができ、演算処理の高速化を図ることができる。
【0090】
次に、本発明の第2の蛍光画像撮像装置を蛍光内視鏡に適用した実施の形態について図面を用いて説明する。図2は本実施の形態の蛍光内視鏡の概略構成図である。なお、上記第1の実施の形態を同等の要素については同じ番号とし、特に必要のない限り説明を省略する。
【0091】
本実施の形態による蛍光内視鏡は、患者の病巣と疑われる部位に挿入される内視鏡挿入部150と、生体組織から得られた情報を画像信号に処理する画像信号処理部3と、画像信号処理部3で処理された信号を可視画像として表示するモニタ600とから構成される。画像信号処理部3は、通常画像用白色光Lw、自家蛍光画像用励起光Lrおよび参照画像用参照光Lsをそれぞれ射出する3つの光源を備えた照明ユニット150と、この励起光の照射により生体組織9から発生した自家蛍光像Zjと、参照光の照射により生体組織9から発生した反射像Zsを撮像し、デジタル値に変換して画像データとして出力する画像検出ユニット350と、画像検出ユニット350から出力された自家蛍光像の画像データから距離補正等の演算を行って、その演算値に色情報を割り当て、反射像の画像データに輝度情報を割り当てて、2つの画像情報を合成して出力する画像演算ユニット450と、通常像をデジタル値に変換して画像データとし、その画像データおよび画像演算ユニット450の出力信号をビデオ信号に変換して出力する表示信号処理ユニット500と、通常画像表示状態と合成画像表示状態を切り換えるフットスイッチ2とから構成される。
【0092】
内視鏡挿入部150は、内部に先端まで延びるライトガイド151と、イメージファイバ152を備えている。ライトガイド151の先端部、即ち内視鏡挿入部150の先端部には、照明レンズ153を備えている。また、イメージファイバ152は多成分ガラスファイバであり、その先端部には励起光フィルタ154と集光レンズ155を備えている。ライトガイド151は、白色光ライトガイド151a、励起光ライトガイド151bおよび参照光ライトガイド151cがバンドルされ、ケーブル状に一体化されており、白色光ライトガイド151a、励起光ライトガイド151bおよび参照光ライトガイド151cは照明ユニット110へ接続されている。イメージファイバ152の一端は、画像検出ユニット350へ接続されている。
【0093】
照明ユニット150は、自家蛍光画像用の励起光Lrを発するGaN系半導体レーザ111およびそのGaN系半導体レーザ111に電気的に接続される半導体レーザ用電源112、通常画像用の白色光Lwを発する白色光源114 、その白色光源114に電気的に接続される白色光用電源115、反射画像用の参照光Lsを発する参照光源117およびその参照光源117に電気的に接続される参照光源用電源118を備えている。
【0094】
画像検出ユニット350には、イメージファイバ152が接続され、イメージファイバ152により伝搬された自家蛍光像、通常像および反射像を結像するコリメートレンズ351、コリメートレンズ351を透過した通常像を直角方向に全反射し、コリメートレンズ351を透過した自家蛍光像および反射像は破線で示す位置に移動し通過させる可動ミラー352、コリメートレンズ351を透過した自家蛍光像(750nm以下の波長の光)を直角方向に反射し、コリメートレンズ351を透過した反射像を透過するダイクロイックミラー353、ダイクロイックミラー353を直角方向に反射した自家蛍光像の光量の50%を透過し、50%を直角方向に反射するハーフミラー354、ハーフミラー354を透過した自家蛍光像を直角方向に反射する狭帯域蛍光像用ミラー355、後述する倍率制御手段369により倍率が制御されダイクロイックミラー353を透過した反射像、ハーフミラー354を直角方向に反射した自家蛍光像、ハーフミラー354を透過し狭帯域蛍光像用ミラー355を反射した自家蛍光像を拡大または縮小または等倍して透過する結像光学系356、結像光学系356を所定の倍率で透過した自家蛍光像および反射像を結像させる広帯域蛍光像用集光レンズ358、狭帯域蛍光像用集光レンズ359および反射像用集光レンズ357、広帯域蛍光像用集光レンズ358を透過した自家蛍光像から430nm〜730nmの波長を選択する広帯域バンドパスフィルタ360、広帯域バンドパスフィルタ360を透過した自家蛍光像を撮像する広帯域蛍光画像用高感度撮像素子363、狭帯域蛍光像用集光レンズ359により結像された自家蛍光像から430nm〜530nmの波長を取り出す狭帯域バンドパスフィルタ361、狭帯域バンドパスフィルタ361を透過した自家蛍光像を撮像する狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子364、反射像用集光レンズ357を透過した反射像を撮像する反射像用撮像素子362、後述する倍率制御手段369からの制御信号に基づいて広帯域蛍光画像用高感度撮像素子363、狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子364および反射画像用撮像素子362における駆動範囲を制御して該駆動範囲の画像信号を読み出す読出手段368、読出手段368からの制御信号に基づいて広帯域蛍光画像用高感度撮像素子363から出力された画像信号をデジタル値に変換して画像データとして出力するAD変換器366、読出手段368からの制御信号に基づいて狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子364から出力された画像信号をデジタル値に変換して画像データとして出力するAD変換器367、読出手段368からの制御信号に基づいて反射画像用撮像素子362から出力された画像信号をデジタル値に変換して画像データとして出力するAD変換器365、AD変換器366から出力され後述する広帯域蛍光画像用メモリ452に記憶された画像データおよびAD変換器367から出力され後述する狭帯域蛍光画像用メモリ453に記憶された画像データに基づいて統計量を算出する統計量算出手段370、統計量算出手段370から出力される統計量に基づいて結像倍率系356および通常像結像光学系507の倍率を決定して結像光学系356および通常像結像光学系507の倍率がその倍率となるよう倍率制御信号を出力し、また、その倍率に基づいて広帯域蛍光画像用高感度撮像素子363、狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子364、反射画像用撮像素子362、通常画像用撮像素子503における駆動範囲を決定しその駆動範囲における画像信号を読み出すよう読出手段368,508に制御信号を出力する倍率制御手段369を備えている。なお、統計量算出手段370は、画像データのビット数を8ビット以下にシフトするビットシフト手段371を備えている。
【0095】
画像演算ユニット450は、AD変換器366から出力された広帯域自家蛍光画像の画像データを記憶する広帯域蛍光画像用メモリ452、AD変換器367から出力された狭帯域自家蛍光画像の画像データを記憶する狭帯域蛍光画像用メモリ453、AD変換器365から出力された反射画像の画像データを記憶する反射画像用メモリ451、広帯域蛍光画像用メモリ452に記憶された広帯域自家蛍光画像の画像データと狭帯域蛍光画像用メモリ453に記憶された広帯域自家蛍光画像の画像データの対応する各画素値の比率に応じた演算を行って各画素の演算値を算出し、その演算値の大きさに応じた色情報を割り当てて色画像を生成して出力する蛍光画像演算手段455、反射画像用メモリ451に記憶された反射画像の画像データの大きさに応じた輝度情報を割り当てて輝度画像を生成して出力する反射画像演算手段454、蛍光画像演算手段455にて生成された色画像と反射画像演算手段454にて生成された輝度画像を合成して合成画像として出力する画像合成手段456を備えている。
【0096】
次に、上記実施の形態における蛍光内視鏡の作用について説明する。まず、異なる2つの波長帯域の自家蛍光画像を利用して合成画像を表示する場合の作用について説明する。
【0097】
制御用コンピュータ250からの信号に基づき半導体レーザ用電源112に駆動されGaN系半導体レーザ111から励起光Lrが射出され、励起光Lrは、励起光用集光レンズ113を透過し、励起光ライトガイド151bに入射され、内視鏡挿入部150の先端部まで導光された後、照明レンズ153から生体組織9へ照射される。励起光Lrの照射により生じる生体組織9からの自家蛍光像は、集光レンズ155により集光され、励起光カットフィルタ154を透過して、イメージファイバ152の先端に入射しイメージファイバ152を経て、コリメートレンズ351に入射する。励起光カットフィルタ154は、波長420nm以上の全蛍光を透過するロングパスフィルタである。励起光Lrの波長は410nmであるため、生体組織9で反射された励起光は、この励起光カットフィルタ154でカットされる。コリメートレンズ351を透過した自家蛍光像は、ダイクロイックミラー353により直角方向に反射される。ダイクロイックミラー353により反射された自家蛍光像はハーフミラー354で50%の透過率で透過し、50%の反射率で反射される。ハーフミラー354を透過した自家蛍光像は、狭帯域蛍光像用ミラー355を直角方向に反射する。ダイクロイックミラー353を透過した反射像、ハーフミラー354を反射した自家蛍光像および狭帯域蛍光像用ミラー355を反射した自家蛍光像はともに結像光学系356に入射される。このとき、結像光学系356に最初に入射された自家蛍光像については、結像光学系356を等倍で透過する。結像光学系356を等倍で透過した自家蛍光像は、広帯域蛍光像用集光レンズ358により結像され、広帯域蛍光像用集光レンズ358を透過した自家蛍光像は、広帯域バンドパスフィルタ360を透過して、広帯域蛍光画像用高感度撮像素子363により撮像される。狭帯域蛍光像用ミラー355により反射された自家蛍光像は、狭帯域蛍光用集光レンズ359により結像され、狭帯域バンドパスフィルタ361を透過して、狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子364により撮像される。
【0098】
広帯域蛍光画像用高感度撮像素子363と狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子364により撮像された自家蛍光像は電気信号である画像信号に変換され、読出手段368の制御信号によってそれぞれ画像信号が読み出される。そして、広帯域蛍光画像用高感度撮像素子363から出力された画像信号はAD変換器366に入力されデジタル化された後、広帯域蛍光画像用メモリ452に記憶され、狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子364から出力された画像信号はAD変換器367に入力されデジタル化された後、狭帯域蛍光画像用メモリ453に記憶される。
【0099】
ここで、最初の自家蛍光画像の撮像により広帯域蛍光画像用メモリ452および狭帯域蛍光画像用メモリ453に記憶された後、上記第1の実施の形態と同様にしてその画像データのうち関心領域の画像データが統計量算出手段370に出力される。そして、その画像データはビットシフト手段371により8ビット以下にビットシフトされた後、統計量演算手段370において上記第1の実施の形態と同様の平均値の演算がされた後、この平均値は倍率制御手段369に出力され倍率制御手段369はこの平均値に応じた自家蛍光画像と通常画像の倍率を決定し、この倍率になるよう結像光学系356と通常像結像光学系507に倍率制御信号を出力する。
【0100】
そして、倍率制御手段369の倍率制御信号により適当な倍率に制御された結像光学系356を通じて次の自家蛍光画像および反射像が撮像される。さらに、倍率制御手段369から読出手段368に有効範囲に応じた駆動範囲が出力され、読出手段368はこの有効範囲に応じた駆動範囲のおける狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子364、広帯域蛍光画像用高感度撮像素子363および反射画像用撮像素子365の画像データを読み出す。この有効範囲とは画像として表示させたい領域であり、予め設定されていてもよいし所定の入力手段(図示省略)により入力されるものでもよい。また、読出手段368は、狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子364および広帯域蛍光画像用高感度撮像素子363が例えばCCDの場合は、その水平/垂直同期信号および基準クロック信号により読出しを行い、上記有効範囲に応じた駆動範囲の制御はこの水平/垂直同期信号および基準クロック周波数の変更により行われる。読出手段368により読み出された有効範囲に応じた駆動範囲の画像データは狭帯域蛍光画像用メモリ453、広帯域蛍光画像用メモリ452および反射画像用メモリ451に記憶される。
【0101】
そして、狭帯域蛍光画像用メモリ453に記憶された有効範囲の狭帯域自家蛍光画像と広帯域蛍光画像用メモリ452に記憶された有効範囲の広帯域自家蛍光画像は、蛍光画像演算手段455で対応する各画像の各画素値の比率に応じた演算を行い、その演算値に色情報を割り当てられ、色情報をもった画像信号が生成され出力される。一方、反射画像用メモリ451に記憶された有効範囲の反射画像は反射画像演算手段454でその画素値の大きさに応じた輝度情報が割り当てられ、輝度情報をもった画像信号が生成され出力される。そして、蛍光画像演算手段455から出力された色画像信号と反射画像演算手段454から出力された輝度画像信号は画像合成手段456にて合成され合成画像が生成されて出力される。画像合成手段456から出力された合成画像は、ビデオ信号処理回路506によってDA変換後にモニタ600に入力され、有効範囲の合成画像が表示される。この合成画像の色の違いにより正常組織か病変組織かの判別が可能となる。
【0102】
通常画像表示の作用については上記第1の実施の形態と同様である。
【0103】
上記合成画像表示の作用および通常画像表示の作用に関する一連の動作は、制御用コンピュータ250により制御される。また、上記合成画像表示状態と通常画像表示状態の切り換えは、フットスイッチ2を押下することにより行なわれる。
【0104】
本発明による蛍光画像撮像装置を適用した上記蛍光内視鏡によれば、統計量算出手段370が蛍光画像の所定の領域の画像信号の統計量を算出し、倍率制御手段369が統計量に基づいて結像光学系356の倍率を制御することにより蛍光像および反射像の大きさを決定するようにしたので、上記第1の実施の形態の効果に加え、反射像を蛍光像の大きさに応じた大きさとすることができ、蛍光画像および反射画像を利用して画像演算をする場合においても、適当な画像間演算処理を行うことができる。
【0105】
また、上記第1および第2の実施の形態では、倍率制御手段は、統計量算出手段において算出された統計量に基づいて倍率を制御するようにしたが、実際には全てのユーザーにとって診断しやすい、好みの倍率に制御することは難しい。従って、統計量算出手段を設けずに、ユーザーが適宜結像光学系の倍率を制御できるようボリュームやフットスイッチなどの外部入力手段を設けるようにしてもよい。ユーザーは観察画像の明るさやチラツキに基づいて拡大、縮小を変更し、観察画像が暗かったりチラツキが大きいときには縮小するようにスイッチ等を切り換え、観察が明るくチラツキが小さいときには拡大するようにスイッチ等を切り換えるようにすればよい。そして、画像データの読出しについては、上記第1および第2の実施の形態と同様に上記有効範囲に応じて行うようにすればよい。
【0106】
また、上記第1および第2の実施の形態では、有効範囲の画像信号に応じた画像をモニタ600により表示するようにしたが、つまり、モニタ600に表示される画像は倍率制御手段により制御された倍率に応じて拡大、縮小されるようにしたが、表示倍率制御手段を設けてモニタ600に表示される画像の大きさが常に同じになるように表示倍率を制御するようにしてもよい。このように倍率を制御することにより、倍率制御手段により縮小された場合においても拡大表示することにより視認性を確保することができる。また、表示画像は倍率制御手段により制御された倍率に応じて拡大、縮小される場合と、常に同じ大きさで表示される場合とを所定のスイッチで切り換えることができるようにしてもよい。
【0107】
また、上記第1および第2の実施の形態では、自家蛍光画像の画像データに基づいて統計量算出手段により統計量を算出するようにしたが、反射画像の画像データの基づいて統計量を算出するようにしてもよい。
【0108】
また、上記第1および第2の実施の形態では、画像データそのものから統計量を算出するようにしたが、これに限らず、表示の際に変換されたY信号(NTSC信号のYIQのY、YCbCrのY等)を用いるようにしてもよい。もしくは、反射画像の画像信号に輝度情報を割り当てるような場合には、この輝度情報から統計量を算出するようにしてもよい。
【0109】
また、上記第1および第2の実施の形態では、倍率制御手段の制御信号により読出手段が各撮像素子の駆動範囲を制御することにより有効範囲のみの画像データを読み出すようにしたが、これとは別の実施の形態として、読出手段により各撮像素子で撮像された画像データを全て読み出した後、広帯域蛍光画像用メモリ、狭帯域蛍光画像用メモリ、反射画像用メモリおよび通常画像用メモリに画像データを記憶する際に倍率制御手段からの制御信号により有効範囲の画像データのみを各メモリに記憶するよう制御してもよい。
【0110】
また、上記第1および第2の実施の形態では、結像光学系、撮像素子、AD変換器および読出手段は画像処理部に設置する構成としたが、これとは別の構成として、図4に示すように結像光学系12、撮像素子14、AD変換器15を内視鏡挿入部10内部に配置する構成としてもよい。なお、図4における実施の形態では、内視鏡挿入部10は自家蛍光像、通常像および反射像を集光する集光レンズ11、結像光学系12、自家蛍光像、通常像および反射像を撮像素子に結像する集光レンズ13、撮像素子14、AD変換器15を備えており、結像光学系12および画像演算ユニット40には倍率制御手段30から制御信号が出力され、画像演算ユニットにおける広帯域蛍光画像用メモリ、狭帯域蛍光画像用メモリ、反射画像用メモリは画像データを記憶する際に倍率制御手段30からの制御信号により有効範囲の画像データのみを各メモリに記憶するよう制御される。
【0111】
さらに、図5に示すように結像光学系52、撮像素子54、AD変換器55および読出手段56を内視鏡挿入部50の内部に配置する構成としてもよい。なお、図4における実施の形態では、内視鏡挿入部50は自家蛍光像、通常像および反射像を集光する集光レンズ51、結像光学系52、自家蛍光像、通常像および反射像を撮像素子に結像する集光レンズ53、撮像素子54、AD変換器55および読出手段56を備えており、結像光学系52および読出手段56には、倍率制御手段35から制御信号が出力される。各手段の作用については、上記第1および第2の実施の形態と同様である。
【0112】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、自家蛍光像用の撮像素子と通常画像用の撮像素子をそれぞれ設ける構成としたが、共通化してもよい。さらに、第2の実施の形態においては、反射像用の撮像素子も共通化するようにしてもよい。この場合、時系列により各画像の撮像を切り換えるようにしてもよいし、撮像素子の表面にモザイクフィルタを設置することにより自家蛍光像、通常像および反射像を分離して撮像するようにしてもよい。
【0113】
また、上記第1および第2の実施の形態における倍率制御手段は、制御用コンピュータに内蔵するようにしてもよい。
【0114】
また、上記第1および第2の実施の形態における結像光学系は、蛍光像および反射像を結像する結像光学系と通常像を結像する通常象結像光学系とを分離した構成としたが、共通とした構成としてもよい。
【0115】
なお、上記第1および第2の実施の形態では、通常像と蛍光像の対応付けを容易にするために、通常像の倍率を蛍光像に合わせるものとしたが、通常像は高い倍率の固定としておいてもよい。この場合、高い解像度の通常像を得ることができる。また、通常像の倍率は変更せず蛍光像のみ倍率を変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光画像撮像装置を適用した蛍光内視鏡の第1の実施の形態の概略構成図
【図2】本発明の蛍光画像撮像装置を適用した蛍光内視鏡の第2の実施の形態の概略構成図
【図3】重み付け演算の説明図
【図4】本発明の蛍光画像撮像装置の他の実施形態の一部概略構成図
【図5】本発明の蛍光画像撮像装置の他の実施形態の一部概略構成図
【図6】正常組織と病変組織の蛍光スペクトルの強度分布を示す説明図
【符号の説明】
1、3 画像信号処理部
9 生体組織
10、50、100、150 内視鏡挿入部
11、13、51、53 集光レンズ
12、52 結像光学系
14、54 撮像素子
15、55 AD変換器
20、56 読出手段
30、35 倍率制御手段
40、45 画像演算ユニット
101、151 ライトガイド
101a、151a 白色光ライトガイド
101b、151b 励起光ライトガイド
102、152 イメージファイバ
103、153 照明レンズ
104、154 励起光カットフィルタ
105、155 対物レンズ
110、150 照明ユニット
111 GaN系半導体レーザ
112 半導体レーザ用電源
113 励起光用集光レンズ
114 白色光源
115 白色光源用電源
116 白色光用集光レンズ
117 参照光源
118 参照光源用電源
119 参照光用集光レンズ
200、250 制御用コンピュータ
300、350 画像検出ユニット
301、351 コリメートレンズ
302、352 可動ミラー
303、354 ハーフミラー
304 蛍光像用ミラー
305、356 結像光学系
306、358 広帯域蛍光像用集光レンズ
307、359 狭帯域蛍光像用集光レンズ
308、360 広帯域バンドパスフィルタ
309、361 狭帯域バンドパスフィルタ
310、363 広帯域蛍光画像用高感度撮像素子
311、364 狭帯域蛍光画像用高感度撮像素子
312、313、365、366、367、504 AD変換器
314、368、508 読出手段
315、370 統計量算出手段
316、369 倍率制御手段
317、371 ビットシフト手段
355 狭帯域蛍光像用ミラー
357 反射像用集光レンズ
362 反射画像用撮像素子
400、450 画像演算ユニット
401、452 広帯域蛍光画像用メモリ
402、453 狭帯域蛍光画像用メモリ
403 画像生成手段
451 反射画像用メモリ
454 反射画像演算手段
455 蛍光画像用演算手段
456 画像合成手段
500 表示信号処理ユニット
501 通常像用ミラー
502 通常像用集光レンズ
503 通常画像用撮像素子
505 通常画像用メモリ
506 ビデオ信号処理手段
507 通常像用結像光学系
600 モニタ

Claims (31)

  1. 励起光を被測定部まで導光して照射する照射手段と、該照射手段による前記励起光の照射により前記被測定部から発生する蛍光像に基づく蛍光画像を結像光学系と通して撮像素子により撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された蛍光画像に基づく画像信号を読み出す読出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、
    前記撮像手段により撮像された前記蛍光画像の画像信号に基づいて、該画像信号の大小を表す代表値を算出する統計量算出手段を有し、
    前記撮像手段が、前記代表値に基づいて前記結像光学系の倍率を制御することにより前記蛍光像の大きさを決定する倍率制御手段を有するものであり、
    前記統計量算出手段が、前記蛍光画像全体の前記画像信号の代表値を算出するものであることを特徴とする蛍光画像撮像装置。
  2. 前記読出手段により読み出された前記画像信号に所定の画像処理を施す画像処理手段を有し、
    該画像処理手段が、前記蛍光画像の画像として表示させたい有効範囲の前記画像信号に前記画像処理を施すものであることを特徴とする請求項1記載の蛍光画像撮像装置。
  3. 前記読出手段により読み出された前記画像信号に基づいて観察画像を表示する表示手段を有し、
    該表示手段が、前記画像処理手段により画像処理された前記有効範囲の前記画像信号に基づいて前記観察画像を表示するものであることを特徴とする請求項2記載の蛍光画像撮像装置。
  4. 記有効範囲の画像信号に基づく観察画像が、予め定められた一定の大きさで表示されるよう表示倍率を制御する表示倍率制御手段を有することを特徴とする請求項3記載の蛍光画像撮像装置。
  5. 前記読出手段が、前記蛍光画像の前記有効範囲の前記画像信号のみを読み出すものであることを特徴とする請求項2から4いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  6. 励起光および照明光を被測定部まで導光して照射する照射手段と、該照射手段による前記励起光の照射により前記被測定部から発生する蛍光像に基づく蛍光画像および前記照明光の照射により前記被測定部から反射される通常像に基づく通常画像を結像光学系を通して撮像素子により撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された蛍光画像および通常画像に基づく画像信号を読み出す読出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、
    前記撮像手段により撮像された前記蛍光画像の画像信号に基いて、該画像信号の大小を表わす代表値を算出する統計量算出手段を有し、
    前記撮像手段が、前記代表値に基づいて前記結像光学系の倍率を制御することにより前記蛍光像および前記通常像の大きさを決定する倍率制御手段を有することを特徴とする蛍光画像撮像装置。
  7. 前記読出手段により読み出された前記画像信号に所定の画像処理を施す画像処理手段を有し、
    該画像処理手段が、前記蛍光画像の画像として表示させたい有効範囲および該有効範囲に対応する前記通常画像の前記画像信号に前記画像処理を施すものであることを特徴とする請求項6記載の蛍光画像撮像装置。
  8. 前記読出手段により読み出された前記画像信号に基づいて観察画像を表示する表示手段を有し、
    該表示手段が、前記画像処理手段により画像処理された前記蛍光画像および前記通常画像の前記有効範囲の前記画像信号に基づいて前記観察画像を表示するものであることを特徴とする請求項7記載の蛍光画像撮像装置。
  9. 記有効範囲の画像信号に基づく観察画像が、予め定められた一定の大きさで表示されるよう表示倍率を制御する表示倍率制御手段を有することを特徴とする請求項8記載の蛍光画像撮像装置。
  10. 前記読出手段が、前記蛍光画像および前記通常画像の前記有効範囲の前記画像信号のみを読み出すものであることを特徴とする請求項7から9いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  11. 励起光および参照光を被測定部まで導光して照射する照射手段と、該照射手段による前記励起光の照射により前記被測定部から発生する蛍光像に基づく蛍光画像および前記参照光の照射により前記被測定部から反射される反射像に基づく反射画像を結像光学系を通して撮像素子により撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された蛍光画像および反射画像に基づく画像信号を読み出す読出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、
    前記撮像手段により撮像された前記蛍光画像または前記反射画像の画像信号に基づいて、該画像信号の大小を表す代表値を算出する統計量算出手段を有し、
    前記撮像手段が、前記代表値に基づいて前記結像光学系の倍率を制御することにより前記蛍光像および前記反射像の大きさを決定する倍率制御手段を有することを特徴とする蛍光画像撮像装置。
  12. 前記読出手段により読み出された前記画像信号に所定の画像処理を施す画像処理手段を有し、
    該画像処理手段が、前記蛍光画像の画像として表示させたい有効範囲および該有効範囲に対応する前記反射画像の前記画像信号に前記画像処理を施すものであることを特徴とする請求項11記載の蛍光画像撮像装置。
  13. 前記読出手段により読み出された前記画像信号に基づいて観察画像を表示する表示手段を有し、
    該表示手段が、前記画像処理手段により画像処理された前記蛍光画像および前記反射画像の前記有効範囲の前記画像信号に基づいて前記観察画像を表示するものであることを特徴とする請求項12記載の蛍光画像撮像装置。
  14. 記有効範囲の画像信号に基づく観察画像が、予め定められた一定の大きさで表示されるよう表示倍率を制御する表示倍率制御手段を有することを特徴とする請求項13記載の蛍光画像撮像装置。
  15. 前記読出手段が、前記蛍光画像および前記反射画像の前記有効範囲の前記画像信号のみを読み出すものであることを特徴とする請求項12から14いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  16. 励起光、参照光および照明光を被測定部まで導光して照射する照射手段と、該照射手段による前記励起光の照射により前記被測定部から発生する蛍光像に基づく蛍光画像、前記参照光の照射による前記被測定部から反射される反射像に基づく反射画像および前記照明光の照射により前記被測定部から反射される通常像に基づく通常画像を結像光学系を通して撮像素子により撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された蛍光画像、反射画像および通常画像に基づく画像信号を読み出す読出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、
    前記撮像手段により撮像された前記蛍光画像または前記反射画像の画像信号に基づいて、該画像信号の大小を表す代表値を算出する統計量算出手段を有し、
    前記撮像手段が、前記代表値に基づいて前記結像光学系の倍率を制御することにより前記蛍光像、前記反射像および前記通常画像の大きさを決定する倍率制御手段を有することを特徴とする蛍光画像撮像装置。
  17. 前記読出手段により読み出された前記画像信号に所定の画像処理を施す画像処理手段を有し、
    該画像処理手段が、前記蛍光画像の画像として表示させたい有効範囲および該有効範囲に対応する前記反射画像および前記通常画像の前記画像信号に前記画像処理を施すものであることを特徴とする請求項16記載の蛍光画像撮像装置。
  18. 前記読出手段により読み出された前記画像信号に基づいて観察画像を表示する表示手段を有し、
    該表示手段が、前記画像処理手段により画像処理された前記蛍光画像、前記反射画像および前記通常画像の前記有効範囲の前記画像信号に基づいて前記観察画像を表示するものであることを特徴とする請求項17記載の蛍光画像撮像装置。
  19. 記有効範囲の画像信号に基づく観察画像が、予め定められた一定の大きさで表示されるよう表示倍率を制御する表示倍率制御手段を有することを特徴とする請求項18記載の蛍光画像撮像装置。
  20. 前記読出手段が、前記蛍光画像、前記反射画像および前記通常画像の前記有効範囲の前記画像信号のみを読み出すものであることを特徴とする請求項17から19いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  21. 記統計量算出手段が、前記蛍光画像全体または前記反射画像全体の前記画像信号の代表値を算出するものであることを特徴とする請求項11から20いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  22. 記統計量算出手段が、前記蛍光画像の関心領域の前記画像信号の代表値を算出するものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  23. 記統計量算出手段が、前記蛍光画像または前記反射画像の関心領域の前記画像信号の代表値を算出するものであることを特徴とする請求項11から20いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  24. 前記統計量算出手段が、前記蛍光画像内の所定の範囲に関心度に応じた重み付けをする演算をして該演算された画像信号の代表値を算出するものであることを特徴とする請求項2記載の蛍光画像撮像装置。
  25. 前記統計量算出手段が、前記蛍光画像内または前記反射画像内の所定の範囲に関心度に応じた重み付けをする演算をして該演算された画像信号の代表値を算出するものであることを特徴とする請求項21または23記載の蛍光画像撮像装置。
  26. 前記画像信号の代表値が、輝度信号またはY信号に関する最大値、最小値、平均値、最大値と標準偏差の組み合わせ、最小値と標準偏差の組み合わせおよび平均値と標準偏差の組み合わせの少なくとも1つであり、該統計量の最大値、最小値、平均値のいずれかが小さいとき前記倍率を小さくし、大きいとき前記倍率を大きくすることを特徴とする請求項1から26いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  27. 前記読出手段が、前記有効範囲に応じて読出周波数を制御するものであることを特徴とする請求項5、10、15または20記載の蛍光画像撮像装置。
  28. 前記画像信号に基づく画素データが、9bit以上のbit数で示される場合、該データが上位8bit以下のbit数で示されるようビットシフトするビットシフト手段を備え、
    前記統計量算出手段が、該ビットシフトされた前記画素データに基づいて前記代表値を算出するものであることを特徴とする請求項1から27いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  29. 前記照射手段、前記撮像手段および前記読出手段の一部または全部が、生体内部に挿入される挿入部を有する内視鏡の形態であることを特徴とする請求項1から28いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  30. 前記照射手段、前記撮像手段および前記読出手段の一部が前記挿入部に配設され、前記挿入部に配設された部分以外の前記照射手段、前記撮像手段および前記読出手段の一部がプロセッサ部に配設される構成であり、前記倍率制御手段に前記倍率を制御される前記結像系が前記プロセッサ部内に配設されるものであることを特徴とする請求項1から29いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
  31. 前記照射手段、前記撮像手段および前記読出手段の一部が前記挿入部に配設され、前記挿入部に配設された部分以外の前記照射手段、前記撮像手段および前記読出手段の一部がプロセッサ部に配設される構成であり、前記倍率制御手段に制御される前記結像光学系が前記挿入部内に配設されるものであることを特徴とする請求項1から29いずれか1項記載の蛍光画像撮像装置。
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