JP3944004B2 - 燃料支持金具フィルタ検査装置および検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉の炉心入口部付近に取り付けられたフィルタを、定期検査時などの原子炉停止時に検査するための検査装置および検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、原子炉内に設置された機器には、炉水に含まれるクラッドが表面に付着する可能性がある。クラッド付着状況を確認する方法として、通常は、原子炉が停止している定期検査中に、水中カメラを炉水中に入れ、該当する部位をカメラで見て確認する方法がとられている。
【0003】
最近、冷却材中に含まれる固体の異物(デブリ)を炉心に入る前に捕捉するために、炉心入口部付近にデブリフィルタを取り付けることが検討されている(例えば、特開平7−253491号公報、特開平4−230892号公報参照)。しかし、実際の運転プラントへの適用実績がなく、経年によるクラッド付着の状況や、クラッド付着による影響を検査する方法はまだ確立されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、デブリフィルタの圧力損失(圧損)は炉心流量に大きな影響を与える重要な要因である。このため、クラッド付着による圧損の変化を定量的に計測する必要がある。また特に、デブリフィルタの穴が内部で曲がっている場合は、カメラで見ただけでは、表面のみ目視可能であるが、内部の状況は見えない。このため、捕捉したデブリによるデブリフィルタの目詰まり状況の確認ができない。
【0005】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、運転プラントの炉心入口部付近に取り付けられたフィルタについて、プラントの運転停止中に、クラッド付着による圧損の変化やデブリなどによる目詰まり状況を検査できる装置および方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的の少なくとも一部を達成するものであって、請求項1に記載の発明は、原子炉内で燃料集合体を支持し、フィルタを通して前記燃料集合体に水を導入するための燃料支持金具から、前記原子炉の運転停止時に、前記燃料集合体を水中で外したあとにその燃料支持金具に水中で取り付けられて、前記フィルタの圧力損失を検査する燃料支持金具フィルタ検査装置において、前記燃料集合体を外したあとの前記燃料支持金具に接続される管と、前記フィルタを通って前記管に入る水の流れを駆動するポンプと、前記管内の流量を測定する流量計と、前記フィルタの圧力損失を測定する圧損測定手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によれば、原子炉の運転停止時に、燃料支持金具を炉内に設置した状態で、フィルタの圧損を定量的に計測でき、クラッド付着による圧損の経年変化を検査することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の燃料支持金具フィルタ検査装置において、前記流量計はベンチュリ管を用いるものであること、を特徴とする。請求項2の発明によれば、請求項1の発明による作用・効果が得られるほか、管内の流量を容易に測定することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の燃料支持金具フィルタ検査装置において、前記圧損測定手段は、前記管内の圧力を測定する手段を含むこと、を特徴とする。請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明による作用・効果が得られるほか、フィルタの圧損測定を容易に行なうことができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、原子炉内で燃料集合体を支持して前記燃料集合体に水を導入するための燃料支持金具に取り付けられたフィルタの圧力損失を検査する燃料支持金具フィルタ検査方法において、前記原子炉の運転停止時に、水中で前記燃料支持金具から前記燃料集合体を外す取り外し工程と、前記取り外し工程の後に前記燃料支持金具に水中で燃料支持金具フィルタ圧損検査装置を取り付ける取り付け工程と、前記取り付け工程の後に、前記燃料支持金具フィルタ圧損検査装置のポンプを駆動して前記フィルタを通る水の流れを作る流動工程と、前記流動工程における前記フィルタを通る水の流量および前記フィルタでの圧力損失を測定する測定工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明によれば、原子炉の運転停止時に、燃料支持金具を炉内に設置した状態で、フィルタの圧損を定量的に計測でき、クラッドなどの付着による圧損の経年変化を検査することができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、原子炉内に配置される燃料集合体を支持し前記燃料集合体に水を導入する燃料支持金具に取付けられた複数のくの字状の流路穴を有する燃料支持金具フィルタ検査装置において前記燃料支持金具フィルタをはさんでカメラおよび照明具を向かい合って配置したことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明によれば、原子炉の運転停止時に、燃料支持金具を炉内に設置した状態で、フィルタの流路穴の状況を明るく照らしながら目視観察することができる。
【0014】
また、請求項5の発明によれば、背面からの光によってフィルタの流路穴の内部を鮮明に目視観察することができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、原子炉内に配置される燃料集合体を支持し前記燃料集合体に水を導入する燃料支持金具に取付けられた複数のくの字状の流路穴を有する燃料支持金具フィルタの検査方法において、原子炉の運転停止時に水中で前記燃料支持金具から前記燃料集合体を取外す工程と、前記燃料支持金具フィルタをはさんでカメラおよび照明具を向かい合って配置する工程と、を有することを特徴とする
【0016】
請求項7の発明によれば、原子炉の運転停止時に、燃料支持金具を炉内に設置した状態で、フィルタの流路穴の状況を明るく照らしながら目視観察することができる。
【0017】
また、請求項6の発明によれば、背面からの光によってフィルタの流路穴の内部を鮮明に目視観察することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る燃料支持金具フィルタ検査装置および検査方法の実施の形態を図面を参照して説明する。ここで、共通または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は適宜省略する。
【0019】
まず、本発明に係る燃料支持金具フィルタ検査装置の第1の実施の形態を図1〜図3を参照して説明する。
図2は沸騰水型原子炉の燃料支持金具40を示す。図示のように、上部に4個の開口60があって、それぞれに燃料集合体(図示せず)が載置される。各開口60に向かって燃料支持金具40内に冷却材流路が形成されており、燃料支持金具40の入口は水平方向外側を向いて開いていて、各入口にはデブリフィルタ30が取り付けられている。燃料支持金具40の中央には水平断面が十字形の制御棒(図示せず)が鉛直方向に貫通できるように水平断面が十字形の制御棒穴61が形成されている。
【0020】
この燃料支持金具40は、図1に示すように、炉心支持板50に設けられた穴に途中まで入って支持されている。さらに、燃料支持金具40の真下に制御棒案内管52が配置されている。なお、図1には燃料支持金具40および制御棒案内管52をそれぞれ1個だけ示されているが、これらは、それぞれ複数が水平方向に格子状に配列される。
【0021】
デブリフィルタ30は、例えば図3に示す構造であって、冷却材中に不可避的に混入した異物の燃料支持金具40内部への侵入を阻止することができるものである。デブリフィルタ30の各流路穴63は例えば図3(a)に示すように千鳥格子状に配列され、各流路穴63は図3(b)に示すようにそれぞれが「く」の字状に曲がっている。なお、図3(a)ではフィルタ30の全体形状がほぼ正方形で示されているが、図1、図2などに示す燃料支持金具40の入口部におけるフィルタ30の全体形状は通常は円形である。
【0022】
図1は、本発明に係る燃料支持金具フィルタ検査装置の第1の実施の形態である圧損検査装置10を燃料支持金具40に取り付けた状態を示す。図示の状態は、原子炉が停止した定期検査のときであって、燃料支持金具40の上の4個の燃料集合体(図示せず)はすべて炉外に取り出されている。燃料集合体が載置されていた4個の開口60のうちの1個に圧損検査装置10の整流管11の下端が挿入されている。
【0023】
圧損検査装置10は、下部に鉛直方向に延びる整流管11と、整流管11の上方に連設されたベンチュリ管12および水中ポンプ13を有する。ベンチュリ管12と水中ポンプ13の間にサポート14があって、サポート14が原子炉の上部格子板52で支持されている。
【0024】
燃料支持金具40は、制御棒案内管51を介して炉心支持板50に取り付けられている。圧損検査装置10は全体が炉水中に浸かっている。また、検査は定期点検中に行なうため、炉水の流れはない。
【0025】
以上の構成で、水中ポンプ13を作動させると、炉水はデブリフィルタ30を通過して燃料支持金具40へ流れ込み、整流管11およびベンチュリ管12を通って水中ポンプ13の吐出口から排出される。整流管11に流れる流量は、ベンチュリ管12の入口圧力測定点12aと出口圧力測定点12bの差圧に基いて測定できる。これにより、所定の流量が流れるよう水中ポンプ13を制御する。
【0026】
デブリフィルタ30の入口の圧力は水頭圧で一定であり、デブリフィルタ30の出口の圧力は整流管11の入口の圧力とほぼ同一であるから、整流管11の入口部に圧力測定点10aを設けることによりデブリフィルタ30の差圧を算出できる。したがって、定期点検ごとに所定流量における圧力測定点10aの圧力を測定することにより、デブリフィルタ30の圧損増加(経年変化)を検出できる。
【0027】
次に、本発明に係る燃料支持金具フィルタ検査装置の第2の実施の形態である目視検査装置20を図4に基き説明する。目視検査装置20は、水中カメラ21および水中照明具22を有する。
【0028】
図4に示すように、水中カメラ21は燃料支持金具40の開口60から内部に挿入し、デブリフィルタ30を内側から見られる位置に設置する。また、燃料支持金具40の外側で水中カメラ21とは反対側の位置に水中照明具22を設置し、デブリフィルタ30の各流路穴63を外側から照らす。これにより、「く」の字状に曲げられた流路穴63の内部に光が投光され、反射光によって、反対側にある水中カメラ21で目視可能となる。
【0029】
また、水中カメラ21と水中照明具22の位置を入れ替えることにより、デブリフィルタ30の両側を目視することができる(図示せず)。さらに、水中カメラ21と水中照明具22を接近させて横に同じ向きに並べてデブリフィルタ30を目視することもできる(図示せず)。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、原子炉の定期検査時などの運転停止時に燃料支持金具のフィルタの目詰まり状況などを検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料支持金具フィルタ検査装置の第1の実施の形態であるデブリフィルタ圧損検査装置を燃料支持金具に取り付けた状態を示す図であって、(a)は全体立断面図、(b)は(a)のB−B線矢視水平断面図。
【図2】沸騰水型原子炉のデブリフィルタ付き燃料支持金具を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視立断面図。
【図3】図2のデブリフィルタを取り出して示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B線矢視側断面図。
【図4】本発明に係る燃料支持金具フィルタ検査装置の第2の実施の形態である目視検査装置を燃料支持金具とともに示す模式的立面図。
【符号の説明】
10…圧損検査装置、10a…圧力測定点、11…整流管、12…ベンチュリ管、12a…ベンチュリ管入口圧力測定点、12b…ベンチュリ管出口圧力測定点、13…水中ポンプ、14…サポート、20…目視検査装置、21…水中カメラ、22…水中照明具、30…デブリフィルタ、40…燃料支持金具、50…炉心支持板、51…制御棒案内管、52…制御棒案内管、60…開口、61…制御棒穴、63…流路穴。

Claims (6)

  1. 原子炉内で燃料集合体を支持し、フィルタを通して前記燃料集合体に水を導入するための燃料支持金具から、前記原子炉の運転停止時に、前記燃料集合体を水中で外したあとにその燃料支持金具に水中で取り付けられて、前記フィルタの圧力損失を検査する燃料支持金具フィルタ検査装置において、前記燃料集合体を外したあとの前記燃料支持金具に接続される管と、前記フィルタを通って前記管に入る水の流れを駆動するポンプと、前記管内の流量を測定する流量計と、前記フィルタの圧力損失を測定する圧損測定手段と、を有することを特徴とする燃料支持金具フィルタ検査装置。
  2. 請求項1に記載の燃料支持金具フィルタ検査装置において、前記流量計はベンチュリ管を用いるものであること、を特徴とする燃料支持金具フィルタ検査装置。
  3. 請求項1または2に記載の燃料支持金具フィルタ検査装置において、前記圧損測定手段は、前記管内の圧力を測定する手段を含むこと、を特徴とする燃料支持金具フィルタ検査装置。
  4. 原子炉内で燃料集合体を支持して前記燃料集合体に水を導入するための燃料支持金具に取り付けられたフィルタの圧力損失を検査する燃料支持金具フィルタ検査方法において、前記原子炉の運転停止時に、水中で前記燃料支持金具から前記燃料集合体を外す取り外し工程と、前記取り外し工程の後に前記燃料支持金具に水中で燃料支持金具フィルタ圧損検査装置を取り付ける取り付け工程と、前記取り付け工程の後に、前記燃料支持金具フィルタ圧損検査装置のポンプを駆動して前記フィルタを通る水の流れを作る流動工程と、前記流動工程における前記フィルタを通る水の流量および前記フィルタでの圧力損失を測定する測定工程と、
    を有することを特徴とする燃料支持金具フィルタ検査方法。
  5. 原子炉内に配置される燃料集合体を支持し前記燃料集合体に水を導入する燃料支持金具に取付けられた複数のくの字状の流路穴を有する燃料支持金具フィルタ検査装置において前記燃料支持金具フィルタをはさんでカメラおよび照明具を向かい合って配置したことを特徴とする燃料支持金具フィルタ検査装置。
  6. 原子炉内に配置される燃料集合体を支持し前記燃料集合体に水を導入する燃料支持金具に取付けられた複数のくの字状の流路穴を有する燃料支持金具フィルタの検査方法において、原子炉の運転停止時に水中で前記燃料支持金具から前記燃料集合体を取外す工程と、前記燃料支持金具フィルタをはさんでカメラおよび照明具を向かい合って配置する工程と、を有することを特徴とする燃料支持金具フィルタ検査方法。
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