JP3942864B2 - 軌道狂い計測方法及びその計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道用レールの軌道狂い計測方法及びその計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、鉄道用レールの軌道の管理は、検測車で数週間に1度測るか、もしくは人が直接測る方法が主流である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の検測車か、もしくは人が直接測る方法では、実際の運行スケジュールの合間を狙って、検測車を走らせて実測するか、人が直接測る必要があり、人件費を含めてコスト高となり、また、連続的に精度良く測ることはできない。
【0004】
更に、地震や台風到来時や、その直後においては、線路を十分に確認した後でないと検測車を走らせることができず、必要な情報を得るのに手間がかかるといった多くの問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を除去し、レールへの光ファイバーケーブルセンサーの布設により、検測車を走らせることなく、監視センターからの遠隔監視により、必要な軌道狂い情報を連続的で迅速、かつ的確に計測することができる軌道狂い計測方法及びその計測装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕軌道狂い計測方法において、鉄道用レールに沿ってこの鉄道用レールに光ファイバーケーブルセンサーを貼り付け、この光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を軌道狂い監視装置内の鉄道用レールの敷設基準情報記憶装置に記憶される鉄道用レールの敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レールの敷設位置の狂いを検出することを特徴とする。
【0007】
〔2〕上記〔1〕記載の軌道狂い計測方法において、前記光ファイバーケーブルセンサーを前記鉄道用レールの腹部の両側に交互に貼り付け、前記光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して前記軌道狂い監視装置内の鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報記憶装置に記憶される鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レールの垂直方向の位置狂いを計測することを特徴とする。
【0008】
〔3〕上記〔1〕記載の軌道狂い計測方法において、前記光ファイバーケーブルセンサーを前記鉄道用レールの2本に配置して、前記光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して前記軌道狂い監視装置内の鉄道用レールのレール間敷設基準情報記憶装置に記憶される鉄道用レールのレール間敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レールのレール間の相対的狂いを計測することを特徴とする。
【0009】
〔4〕軌道狂い計測装置において、鉄道用レールに沿って該鉄道用レールに配置される光ファイバーケーブルセンサーと、この光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による軌道狂い情報を監視する監視装置を具備し、前記監視装置は、前記鉄道用レールの敷設基準情報を記憶する鉄道用レールの敷設基準情報記憶装置を備え、前記光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して前記軌道狂い監視装置内の鉄道用レールの敷設基準情報記憶装置に記憶される鉄道用レールの敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レールの敷設位置の狂いを検出することを特徴とする。
【0010】
〔5〕軌道狂い計測装置において、鉄道用レールに沿って該鉄道用レールに配置される光ファイバーケーブルセンサーと、この光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による軌道狂い情報を監視する監視装置を具備し、前記監視装置は、前記鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報を記憶する鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報記憶装置を備え、前記鉄道用レールの腹部の両側に交互に渡すように配置された前記光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して前記軌道狂い監視装置内の鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報記憶装置に記憶される鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レールの垂直方向の位置狂いを計測する手段を具備することを特徴とする。
【0011】
〔6〕軌道狂い計測装置において、鉄道用レールに沿って該鉄道用レールに配置される光ファイバーケーブルセンサーと、この光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による軌道狂い情報を監視する監視装置を具備し、前記監視装置は、前記鉄道用レール間敷設基準情報を記憶する鉄道用レール間敷設基準情報記憶装置を備え、前記鉄道用レールの2本に交互に渡すように配置された前記光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して前記軌道狂い監視装置内の鉄道用レール間敷設基準情報記憶装置に記憶されるレール間敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レール間の相対的狂いを計測する手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
〔7〕上記〔6〕記載の軌道狂い計測装置において、前記光ファイバーケーブルセンサーを前記鉄道用レールの2本に交互に渡す場合に、まくらぎに沿わせることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例を示す光ファイバーケーブルセンサーの配置を示す斜視図、図2はその光ファイバーケーブルセンサーの配置を示す側面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は本発明の実施例を示す軌道狂い計測装置の模式図である。
【0015】
これらの図において、1はバラスト、2はまくらぎ、3は弾性被覆材、4は軌道パッド、5A,5Bはレール、11はレール5Aの腹部に貼り付けられる直線状に配置の第1の光ファイバーケーブルセンサー、12はレール5Aの腹部の両側に交互に貼り付けられてジグザグ状に配置される第2の光ファイバーケーブルセンサー、13は2本のレール5A,5Bの腹部に交互に貼り付けられる第3の光ファイバーケーブルセンサー、14はそれらの光ファイバーケーブルセンサ11,12,13をレールに直接貼り付ける接着テープである。
【0016】
一方、21はこれらの第1乃至第3の光ファイバーケーブルセンサー11、12,13に接続され、遠隔地に配置される軌道狂い監視装置であり、この軌道狂い監視装置21は、インターフェース部22、制御プログラムが記憶されるROM23、レールの敷設基準情報記憶装置24、レールの垂直方向(高低)の敷設基準情報記憶装置25、レールの水平方向の敷設基準情報記憶装置26、2本のレール間敷設基準情報記憶装置27、レールの基準温度情報の記憶装置28、レールの温度測定値(推定値)の記憶装置29、中央処理装置(CPU)30、表示装置31を具備している。なお、ここでは、光ファイバーセンサー11は、レールの温度も計測することができるので、基準となる温度と比較して、温度によるレールの変形分は、補正を行い、光ファイバーケーブルの布設位置における変状を正確に測定することができる。
【0017】
以下、本発明の軌道狂い計測装置の動作について説明する。
【0018】
(1)まず、レール5Aの腹部に貼り付けられる直線状に配置された第1の光ファイバーケーブルセンサー11からの情報を軌道狂い監視装置21に取り込み、レールの敷設基準情報記憶装置24に記憶されているレールの敷設基準情報と比較することにより、軌道狂いを計測することができる。例えば、正確には、レールが垂直方向(高低)に変位しているのか、水平方向に変位しているのかは確定できないとしても、基準状態から変位していることを計測することができる。
【0019】
(2)次に、レール5Aの腹部の両側に交互に渡されて貼り付けられた、ジグザグ状に配置される第2の光ファイバーケーブルセンサー12からの情報を軌道狂い監視装置21に取り込み、レールの垂直方向の敷設基準情報記憶装置25に記憶されているレールの垂直方向の敷設基準情報と比較することにより、レールの垂直方向への狂いを計測することができる。つまり、第2の光ファイバーケーブルセンサー12は、レール5Aの腹部の両側に交互に貼り付けられているので、水平方向に変位した場合には、伸びる側と縮む側との情報が総和されて0となり、水平方向の変位は計測できないが、レールが垂直方向に変位した場合には、そのレールの垂直方向の変位を的確に計測することができる。
【0020】
(3)次に、2本のレール5A,5Bの腹部に、まくらぎ2に沿わせて渡され、交互に貼り付けられる第3の光ファイバーケーブルセンサー13からの情報を軌道狂い監視装置21に取り込み、2本のレール間敷設基準情報記憶装置27からの2本のレール間敷設基準情報と比較して、2本のレール間の狂いを計測することができる。
【0021】
上記したように、本発明は、光ファイバーケーブルをセンサーとする軌道狂いの計測装置であり、レールに光ファイバーケーブルを直接貼り付けることにより、レールの狂いを連続的に計測することが可能である。
【0022】
このように光ファイバーケーブルを直接レールに貼り付けるため、保守の場合にも、切断等の恐れがないという利点がある。加えて、金属や電気を使用しないため、列車信号を妨げる心配もない。
【0023】
また、センサー自身が光ファイバーケーブルであり非常に廉価であるとともに、取り替えも容易である。また、長距離にわたって連続計測できる利点もある。既設の軌道周辺の土木工事などの影響度評価や、日常の列車運行管理方法に効果が期待される。
【0024】
さらに、本発明は、軌道の形式にとらわれず、有道床やスラブなど各種対応可能である。
【0025】
なお、光ファイバーではレールの温度も計測することができるので、予め軌道狂い監視装置21のレールの基準温度情報の記憶装置28に記憶されている基準温度情報と、実際のレールの温度情報の記憶装置29に記憶されるとを比較して、温度によるレールの変形は、補正を行い、光ファイバーケーブルの布設位置における変状を正確に測定するようにすることができる。
【0026】
また、夏期など温度変化が激しい場合には、シールド用のシートと一体構造とした光ファイバーセンサーを使用することができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0028】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下に示すような効果を奏することができる。
【0029】
(A)レールへの光ファイバーケーブルセンサーの布設により、検測車を走らせることなく、監視センターからの遠隔監視により、必要な軌道狂い情報を迅速的確に計測することができる。
【0030】
(B)光ファイバーをセンサーとする軌道(レール)狂いの計測装置であり、レールに光ファイバーケーブルを直接貼り付けることにより、レールの狂いを連続的に計測することが可能である。直接レールに貼り付けるため、保守の場合にも、切断等の恐れがない。加えて、金属や電気を使用しないため、列車信号を妨げる心配もない。また、センサー自身が光ファイバーケーブルであり非常に廉価であるとともに、取り替えも容易である。また、長距離にわたって連続計測できるという利点もある。
【0031】
(C)レールが垂直方向に変位した場合には、そのレールの垂直方向の変位を的確に計測することができる。
【0032】
(D)2本のレール間敷設基準情報と比較して、2本のレール間の狂いを的確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す光ファイバーケーブルセンサーの配置を示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施例を示す光ファイバーケーブルセンサーの配置を示す側面図である。
【図3】 図2のA−A線断面図である。
【図4】 本発明の実施例を示す軌道狂い計測装置の模式図である。
【符号の説明】
1 バラスト
2 まくらぎ
3 弾性被覆材
4 軌道パッド
5A,5B レール
11 第1の光ファイバーケーブルセンサー
12 第2の光ファイバーケーブルセンサー
13 第3の光ファイバーケーブルセンサー
14 接着テープ
21 軌道狂い監視装置
22 インターフェース部
23 制御プログラムが記憶されるROM
24 レールの敷設基準情報記憶装置
25 レールの垂直方向(高低)の敷設基準情報記憶装置
26 レールの水平方向の敷設基準情報記憶装置
27 2本のレール間敷設基準情報記憶装置
28 レールの基準温度情報の記憶装置
29 レールの温度測定値(推定値)の記憶装置
30 中央処理装置(CPU)
31 表示装置

Claims (7)

  1. 鉄道用レールに沿って該鉄道用レールに光ファイバーケーブルセンサーを貼り付け、該光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して軌道狂い監視装置内の鉄道用レールの敷設基準情報記憶装置に記憶される鉄道用レールの敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レールの敷設位置の狂いを検出することを特徴とする軌道狂い計測方法。
  2. 請求項1記載の軌道狂い計測方法において、前記光ファイバーケーブルセンサーを前記鉄道用レールの腹部の両側に交互に貼り付け、前記光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して前記軌道狂い監視装置内の鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報記憶装置に記憶される鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レールの垂直方向の位置狂いを計測することを特徴とする軌道狂い計測方法。
  3. 請求項1記載の軌道狂い計測方法において、前記光ファイバーケーブルセンサーを前記鉄道用レールの2本に配置して、前記光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して前記軌道狂い監視装置内の鉄道用レールのレール間敷設基準情報記憶装置に記憶される鉄道用レールのレール間敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レールのレール間の相対的狂いを計測することを特徴とする軌道狂い計測方法。
  4. (a)鉄道用レールに沿って該鉄道用レールに配置される光ファイバーケーブルセンサーと、
    (b)該光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による軌道狂い情報を監視する監視装置を具備し、
    (c)前記監視装置は、前記鉄道用レールの敷設基準情報を記憶する鉄道用レールの敷設基準情報記憶装置を備え、前記光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して前記軌道狂い監視装置内の鉄道用レールの敷設基準情報記憶装置に記憶される鉄道用レールの敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レールの敷設位置の狂いを検出することを特徴とする軌道狂い計測装置。
  5. (a)鉄道用レールに沿って該鉄道用レールに配置される光ファイバーケーブルセンサーと、
    (b)該光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による軌道狂い情報を監視する監視装置を具備し、
    (c)前記監視装置は、前記鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報を記憶する鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報記憶装置を備え、前記鉄道用レールの腹部の両側に交互に渡すように配置された前記光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して前記軌道狂い監視装置内の鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報記憶装置に記憶される鉄道用レールの垂直方向の敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レールの垂直方向の位置狂いを計測する手段を具備することを特徴とする軌道狂い計測装置。
  6. (a)鉄道用レールに沿って該鉄道用レールに配置される光ファイバーケーブルセンサーと、
    (b)該光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による軌道狂い情報を監視する監視装置を具備し、
    (c)前記監視装置は、前記鉄道用レール間敷設基準情報を記憶する鉄道用レール間敷設基準情報記憶装置を備え、前記鉄道用レールの2本に交互に渡すように配置された前記光ファイバーケーブルセンサーの光路長の変化による情報を、インターフェース部を介して前記軌道狂い監視装置内の鉄道用レール間敷設基準情報記憶装置に記憶されるレール間敷設基準情報と比較して、前記鉄道用レール間の相対的狂いを計測する手段とを具備することを特徴とする軌道狂い計測装置。
  7. 請求項6記載の軌道狂い計測装置において、前記光ファイバーケーブルセンサーを前記鉄道用レールの2本に交互に渡す場合に、まくらぎに沿わせることを特徴とする軌道狂い計測装置。
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