JP3941558B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子を封止するために用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びこれを用いて封止した半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSI等の集積回路部品やダイオード等の個別半導体部品を製造するにあたっては、熱硬化性樹脂組成物を封止樹脂として用いる方法が一般的に行われている。従来、上記の集積回路部品や個別半導体部品等の半導体装置に対しては、電気特性や耐湿性の基準はそれほど厳しくはなかった。そのため封止樹脂としては、エポキシ樹脂の中でも汎用タイプのものが使用されていたが、これによって問題が生じるようなことはなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年において半導体装置がデジタル家電、通信機器部品、車載等の用途に使用されるに伴い、半導体装置自体の小型化・薄型化に拍車がかかり、従来のような特性では満足されなくなってきた。特に、環境保護の面から採用されるようになった鉛フリー半田によってリフロー加熱の温度が上昇し、半導体装置のパッケージを形成する封止樹脂に対しては、従来よりも優れた吸湿リフロー後の耐湿性が要求されるなど厳しい条件が課されるに至っている。
【0004】
その一方、耐湿性等の品質を重視するあまり、成形性が悪化して生産性が低下するという問題も発生してきている。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、吸湿リフロー後の耐湿性が高く、また成形性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂の全部又は一部として、下記の式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂のうち少なくともいずれか一方を用いると共に、硬化剤の全部又は一部として、下記の式(3)で示される硬化剤を用いて成ることを特徴とするものである。
【0007】
【化2】
Figure 0003941558
【0008】
また請求項1の発明は、離型剤を添加すると共に、離型剤として、ワックスと乳化剤とを溶融混合して微粉砕化したものを用いて成ることを特徴とするものである。
また請求項2の発明は、請求項1において、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂がエポキシ樹脂全量に対して20〜100質量%であることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、式(3)で示される硬化剤が硬化剤全量に対して10〜100質量%であることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、ワックスと乳化剤とを溶融混合して微粉砕化したものが離型剤全量に対して30〜100質量%であることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項に係る半導体装置は、請求項1乃至のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止して成ることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
本発明に係る半導体封止用エポキシ樹脂組成物(以下単に「エポキシ樹脂組成物」ともいう)は、エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とするものである。
【0015】
本発明においてエポキシ樹脂としては、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂のうち少なくともいずれか一方を用いるものである。式(1)で示されるエポキシ樹脂としては、ビフェニル型エポキシ樹脂を用いることができ、式(2)で示されるエポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を用いることができる。このようなエポキシ樹脂を用いることによって、成形後における封止樹脂の高密着化及び低吸湿化を図ることができ、吸湿リフロー後の耐湿性を向上させることができるものである。式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の全部として用いることができるほか、エポキシ樹脂の一部として用いることもできる。つまり、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用することができる。併用できるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂など各種多官能エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0016】
また、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂がエポキシ樹脂全量に対して20〜100質量%であることが好ましい。式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂の配合量をこのように設定すれば、一層確実に封止樹脂の吸湿リフロー後の耐湿性を高く得ることができるものである。しかし、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂がエポキシ樹脂全量に対して20質量%未満であると、封止樹脂の密着性が低下すると共に吸湿率が大きくなり、吸湿リフロー後の耐湿性が低下するおそれがある。なお、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂を両方用いる場合には、これらの合計量がエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上であればよい。
【0017】
本発明において硬化剤としては、式(3)で示される硬化剤を用いるものである。式(3)で示される硬化剤としては、ビスAキシリレンノボラック樹脂を用いることができる。このような硬化剤を用いることによって、成形時における封止樹脂の流動性が高まり、成形性が良好となって生産性を向上させることができるものである。しかも式(3)で示される硬化剤は、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂と同様に、成形後においては封止樹脂の吸湿リフロー後の耐湿性を向上させることができるものである。式(3)で示される硬化剤は、硬化剤の全部として用いることができるほか、硬化剤の一部として用いることもできる。つまり、式(3)で示される硬化剤以外の硬化剤を併用することができる。併用できる硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えばフェノールノボラック型樹脂や下記の式(4)で示されるビスAジベニルベンゼン付加重合体等を挙げることができる。
【0018】
【化3】
Figure 0003941558
【0019】
また、式(3)で示される硬化剤が硬化剤全量に対して10〜100質量%であることが好ましい。式(3)で示される硬化剤の配合量をこのように設定すれば、一層確実に封止樹脂の成形性及び吸湿リフロー後の耐湿性を高く得ることができるものである。しかし、式(3)で示される硬化剤が硬化剤全量に対して10質量%未満であると、成形時における封止樹脂の粘度が十分低下せず、成形性が悪化するおそれがあると共に、封止樹脂の吸湿率が増加して吸湿リフロー後の耐湿性が低下するおそれがある。
【0020】
また、エポキシ樹脂組成物には離型剤を添加する特に本発明においては、ワックスと乳化剤とを溶融混合して微粉砕化したもの(以下「WAXMB」ともいう)を離型剤として用いる。
【0021】
WAXMBを調製するためのワックスとしては、高級脂肪酸と高級アルコール類のエステルを用いることができ、具体的にはモンタン酸エステル、モンタン酸ビスアマイド、オレイン酸アマイド等を挙げることができる。WAXMBを調製する際には2種以上のワックスを混合して使用することもできる。一方、WAXMBを調製するための乳化剤としては、界面活性剤を用いることができ、具体的には脂肪酸エステル系のもの等を挙げることができる。特に乳化剤としては、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。なお、乳化剤はWAXMB全量に対して3〜20質量%であることが好ましい。
【0022】
WAXMBを調製するにあたっては、まずワックスを120〜150℃の温度で溶融させ、次に溶融状態のワックスに乳化剤を添加して1〜2時間撹拌混合した後に、これを冷却して微粉砕化することによって行うことができる。このようにして調製したWAXMBは、ワックスが有する離型作用を保持したまま、乳化剤による分散性が付与されている。そのため、エポキシ樹脂組成物中においてWAXMBは片寄って存在することなく、均一に分散されることとなり、ワックスによる離型作用を十分に発揮させることが可能になるものである。従って、上記のようにして調製したWAXMBを用いることによって、成形品の離型性を高めることができると共に、成形用金型を頻繁にクリーニングしなくても表面に曇りが無く光沢のある成形品を多数回連続して成形することができ、連続成形性を高めて生産性を大幅に向上させることができるものである。
【0023】
ところが、離型剤としてワックスのみを用いた場合には、エポキシ樹脂組成物中においてワックスが片寄って存在するおそれがあり、また、ワックスと乳化剤とを溶融混合させることなく単にエポキシ樹脂組成物に配合した場合には、ワックス自体に確実に分散性が付与されるとは限らないので、この場合もエポキシ樹脂組成物中においてワックスが片寄って存在するおそれがある。よって、上記いずれの場合であっても離型性を高く得ることができないおそれがある。なお、WAXMBは離型剤の全部として用いることができるほか、離型剤の一部として用いることもできる。つまり、WAXMB以外の離型剤を併用することができる。併用できる離型剤としては、特に限定されるものではないが、例えばカルナバワックス、ステアリン酸、モンタン酸、カルボキシル基含有ポリオレフィン、モンタン酸エステル、モンタン酸ビスアマイド、オレイン酸アマイド等を挙げることができる。
【0024】
また、WAXMBが離型剤全量に対して30〜100質量%であることが好ましい。WAXMBの配合量をこのように設定すれば、一層確実に成形品の離型性を高めることができると共に、連続成形性を高めて生産性を向上させることができるものである。しかし、WAXMBが離型剤全量に対して30質量%未満であると、離型性向上の効果を十分に得ることができないおそれがあり、また、少数回の成形で成形品表面の光沢が損なわれるおそれがある。
【0025】
またエポキシ樹脂組成物には、硬化助剤、難燃剤、シランカップリング剤、着色剤、無機充填剤、シリコーン可撓性付与剤等を添加することができる。硬化助剤としては、リン系、イミダゾール系(2−フェニルイミダゾール等)、アミン系等のものを、難燃剤としては、ブロム化エポキシ樹脂や三酸化アンチモン等を、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を、着色剤としては、カーボン等を、無機充填剤としては、シリカ等を用いることができる。
【0026】
エポキシ樹脂組成物は、上記のエポキシ樹脂、硬化剤、さらに必要に応じてその他の成分を配合し、これをミキサーやブレンダー等で均一に混合した後に、ニーダーやロールで加熱混練することによって調製することができるものである。この混練物を必要に応じて冷却固化し、粉砕して粉状等にして使用するようにしてもよい。
【0027】
そして、上記のようにして調製したエポキシ樹脂組成物を用いて封止成形することによって、半導体装置を製造することができる。例えば、IC等の半導体素子を搭載したリードフレームをトランスファー成形用金型にセットし、トランスファー成形を行なうことによって、半導体素子をエポキシ樹脂組成物による封止樹脂で封止した半導体装置を製造することができるものである。成形時においては、式(3)で示される硬化剤によって、エポキシ樹脂組成物の流動性が高められているので、成形を速やかに行うことができる。しかも成形後においては、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂と式(3)で示される硬化剤とによって、半導体素子やリードフレームに対する密着性が高められていると共に、封止樹脂の吸湿率が低く抑えられているので、成形品である半導体装置の吸湿リフロー後の耐湿性を高く得ることができるものである。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0029】
エポキシ樹脂として、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂である住友化学工業(株)製「EOCN195XL−3」、式(2)で示されるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂である日本化薬(株)製「XD1000−2L」、式(1)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂である油化シェルエポキシ(株)製「YX−4000H」、ブロム化エポキシ樹脂である住友化学工業(株)製「ESB400T」を用いた。
【0030】
また硬化剤として、式(3)で示されるビスAキシリレンノボラック樹脂である明和化成(株)製「MEH−78BA」、フェノールノボラック型樹脂である明和化成(株)製「H−1M」、式(4)で示されるビスAジベニルベンゼン付加重合体である大日本インキ化学工業(株)製「CZ256A」を用いた。
【0031】
また離型剤(ワックス)として、モンタン酸エステルであるクラリアント製「WAX−E」、モンタン酸ビスアマイドである大日化学工業(株)製「J−900」、オレイン酸アマイドである大日化学工業(株)製「O−200」を用いた。乳化剤として、ソルビタントリステアレートである花王(株)製「レオドールSP−S30」を用いた。ここで、WAXMBは、上記「WAX−E」を45質量部、「J−900」を22.5質量部、「O−200」を22.5質量部として、これらのワックスを130℃の温度で溶融混合させ、ここに「レオドールSP−S30」を10質量部添加して2時間撹拌混合した後に、これを冷却して微粉砕化することによって調製した。
【0032】
また難燃剤として、上記ブロム化エポキシ樹脂のほか、三酸化アンチモンを、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、着色剤として、カーボンを、硬化助剤として、2−フェニルイミダゾール(2PZ)を、無機充填剤として、シリカである電気化学工業(株)製「FB−820」を用いた。
【0033】
そして、各成分を表1に示す配合量で配合し、これをブレンダーで3分間混合して均一化した後、100℃に加熱したロールで10分間混練し、冷却後、粉砕機で所定粒度に粉砕して、実施例1〜及び比較例1〜のエポキシ樹脂組成物からなる粒状の成形材料を調製した。
【0034】
このようにして調製した成形材料について、スパイラルフロー、ゲルタイム、175℃での溶融粘度を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0035】
また、上記成形材料について以下のような試験を行った。
【0036】
(線膨張係数(α1))
上記成形材料を用いて円柱状の成形品(直径5mm×長さ30mm)を成形した。成形条件は、成形温度を175±5℃、注入スピードを8秒、注入圧力を7MPa、キュアータイムを90秒、アフターキュアーを175℃で6時間とした。上記成形品の線膨張係数(α1)をキュラストメーターを用いて測定した。結果を表1に示す。
【0037】
(ショアーD)
上記成形材料を用いて円板状の成形品(直径50mm×厚み3mm)を成形した。成形条件は、線膨張係数(α1)の場合と同様である。成形後、10秒経過してから上記成形品のショアーD(熱時硬度)をショアーD硬度計を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0038】
(吸湿率)
上記成形材料を用いて円板状の成形品(直径50mm×厚み3mm)を成形した。成形条件は、線膨張係数(α1)の場合と同様である。上記成形品を85℃、湿度85%RHの雰囲気下に72時間放置した後、吸湿率を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
(プリン密着性)
図1に示すように、上記成形材料を用いて25mm角のCu板2上に、直径11.3mm、高さ10.0mmのプリン状成形品1を成形した。成形条件は、線膨張係数(α1)の場合と同様である。上記プリン状成形品1とCu板2との剪断密着強度を測定した。結果を表2に示す。
【0040】
(プリン連続離型性)
図1において25mm角のCu板2を25mm角のCrメッキ板に変更した以外は、プリン密着性の場合と同様にプリン状成形品1を成形した。そしてこのプリン状成形品1とCrメッキ板との剪断離型抵抗力を測定した。以上の操作を、成形箇所を変えずに30ショット分連続して行った。1ショット目、3ショット目、5ショット目、10ショット目における剪断離型抵抗力を表2に示す。通常、ショットを重ねて成形を繰り返し行うと、剪断離型抵抗力は小さくなっていく。つまり、この値が早くゼロになる方が離型性が良いと考えられる。
【0041】
(耐リフロー性)
上記成形材料を用いて、80ピンQFP(外形15mm×19mm×厚み2.4mm)を性能評価用パッケージとして成形した。成形条件は、成形温度を175±5℃、注入スピードを8秒、注入圧力を7MPa、キュアータイムを90秒、アフターキュアーを175℃で6時間とした。上記性能評価用パッケージを85℃、湿度85%RHの雰囲気下に168時間放置して吸湿させた後、IRリフロー(EIAJ規格)を行い、パッケージクラックの有無を観察した。表2において分母に観察したパッケージの個数を、分子にクラックが発生したパッケージの個数を示す。
【0042】
(耐湿信頼性)
上記リフロー処理したパッケージを133℃、湿度100%RHの雰囲気下に500時間放置した後、オープン不良の発生を検査した。表2において分母に検査したパッケージの個数を、分子にオープン不良が発生したパッケージの個数を示す。
【0043】
(連続成形性)
上記成形材料を用いて、TO−220フィン付きタイプをマルチプランジャー型プレスで成形した。成形条件は、成形温度を175±5℃、注入スピードを7秒、注入圧力を7MPa、キュアータイムを90秒とした。上記パッケージの表面を観察し、曇りが現れるまでショットを重ねて成形を繰り返し行った。パッケージの表面に曇りが現れたときのショット回数を表2に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003941558
【0045】
【表2】
Figure 0003941558
【0046】
表1及び表2にみられるように、実施例1〜のものはいずれも、吸湿率が低く、プリン密着性が高く、耐リフロー性及び耐湿信頼性が良好であることから、吸湿リフロー後の耐湿性が高いことが確認され、また、スパイラルフロー、ゲルタイム及び溶融粘度の値から、成形性にも優れていることが確認される。さらにWAXMBを添加している実施例1〜5のものはいずれも、WAXMBを添加していない比較例7のものよりも、プリン連続離型性の結果が良好であることから、連続成形性に優れていることが確認される。しかも実施例1〜5のうち、WAXMBを離型剤全量に対して30〜100質量%添加している実施例1〜4のものはいずれも、WAXMBを離型剤全量に対して30質量%未満添加している比較例7のものよりも、連続成形性評価の結果が良好であることから、連続成形性がさらに優れていることが確認される。
【0047】
これに対して、式(3)で示される硬化剤を用いていない比較例1,3〜5のものはいずれも、実施例1〜のものよりも、吸湿率が高い。しかも比較例1,4,5のものにあっては、プリン密着性及び耐リフロー性が悪く、また比較例3のものにあっては、耐湿信頼性が悪い。つまり、比較例1,3〜5のものはいずれも、吸湿リフロー後の耐湿性が悪いことが確認される。なお、比較例2及び6のものも、式(3)で示される硬化剤を用いていないが、前者のものは耐湿信頼性が悪く、また後者のものはショアーDの値が低く、成形品の表面硬さが良好ではない。
【0048】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂の全部又は一部として、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂のうち少なくともいずれか一方を用いると共に、硬化剤の全部又は一部として、式(3)で示される硬化剤を用いているので、式(3)で示される硬化剤を用いることによって、成形時においては成形性を高めることができるものであり、また、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂と式(3)で示される硬化剤とを用いることによって、成形後においては吸湿リフロー後の耐湿性を高めることができるものである。
また請求項1の発明は、離型剤を添加すると共に、離型剤として、ワックスと乳化剤とを溶融混合して微粉砕化したものを用いているので、離型性を高めることができると共に、連続成形性を高めて生産性を大幅に向上させることができるものである。
【0049】
また請求項2の発明は、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂がエポキシ樹脂全量に対して20〜100質量%であるので、吸湿リフロー後の耐湿性を確実に高めることができるものである。
【0050】
また請求項3の発明は、式(3)で示される硬化剤が硬化剤全量に対して10〜100質量%であるので、成形性を確実に高めることができるものである。
【0052】
また請求項の発明は、ワックスと乳化剤とを溶融混合して微粉砕化したものが離型剤全量に対して30〜100質量%であるので、離型性や生産性を確実に高めることができるものである。
【0053】
また請求項に係る半導体装置は、請求項1乃至のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止しているので、式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂と式(3)で示される硬化剤とによって、吸湿リフロー後の耐湿性が高められているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリン密着性及びプリン連続離型性を評価するにあたって成形したプリン状成形品を示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。

Claims (5)

  1. エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂の全部又は一部として、下記の式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂のうち少なくともいずれか一方を用い、硬化剤の全部又は一部として、下記の式(3)で示される硬化剤を用い、離型剤を添加すると共に、離型剤として、ワックスと乳化剤とを溶融混合して微粉砕化したものを用いて成ることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0003941558
  2. 式(1)(2)で示されるエポキシ樹脂がエポキシ樹脂全量に対して20〜100質量%であることを特徴とする請求項1に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 式(3)で示される硬化剤が硬化剤全量に対して10〜100質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. ワックスと乳化剤とを溶融混合して微粉砕化したものが離型剤全量に対して30〜100質量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止して成ることを特徴とする半導体装置。
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