JP3940166B2 - 創傷を治癒する組成物を含むレザーカートリッジ - Google Patents
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Description
1.発明の分野
本発明は、創傷を治癒する組成物を含む治療用レザーカートリッジを形成するための、レザーカートリッジに固定された、哺乳動物細胞に傷をつけることを防止及び低減するのに有用な治療用創傷治癒組成物及び/又はそれらの代謝物質に関する。本発明は、創傷の治癒組成物を含むレザーカートリッジを製造及び使用する方法にも関する。
本発明の治療用創傷治癒組成物の好ましい態様は、(a)ピルビン酸、ピルビン酸の薬学的に許容できる塩、それらの混合物からなる群から選択されるピルベート、(b)酸化防止剤、(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。本発明の他の側面においては、この創傷治癒組成物は酸化防止剤を含む。
2.背景の説明
創傷治癒
創傷は、構造の正規の連続性を破壊する機械的、化学的、ウイルス的、微生物的又は熱的手段のような物理的な手段によって起こる体内又は体外の傷又は障害である。このような身体的な傷は、打撲傷、つまり皮膚が破れていない創傷、切り傷、つまり切断用器具によって皮膚が破壊された創傷、及び裂傷、つまり皮膚が鈍いか又は鈍器のようなものによって破壊された創傷を含む。創傷は、事故によって又は外科手術によっても生じ得る。
創傷治癒は一連の過程から成り、それによって、負傷した組織は修復され、特定の組織は再生され、そして新しい組織が再編成される。創傷の治癒は主に3期からなる。すなわち、a)炎症期(0〜3日)、b)細胞増殖期(3〜12日)、及びc)再編成期(3日〜6か月)から成る。
炎症期の間、血小板凝集及び凝血が血漿タンパク質及び血液細胞を捕捉するマトリックスを形成して種々のタイプの細胞の流入を誘発する。組織増殖期の間、新しい結合組織又は肉芽組織及び血管が形成される。再編成期の間に、肉芽組織がコラーゲン及び弾性腺維の網状組織によって置き換えられ、瘢痕組織の形成が行われる。
創傷の結果として細胞が傷つき又は死んだとき、傷ついた細胞を回復させて、新しい細胞を死んだ細胞と交換する創傷治癒段階が望ましい。治癒過程は、細胞毒の反転、炎症の抑制、細胞生存及び増殖の刺激を必要とする。創傷は、酸化的創傷を抑制するために治癒の最初の段階で低水準の酸素を、そして繊維芽細胞によるコラーゲンの形成を促進するために治癒の後の段階で高水準の酸素を必要とする。
哺乳動物細胞は、スーパーオキシド(O2 -)、過酸化水素(H2O2)、水酸基(OH)、及び一重項酸素(1O2)のような活性酸素種に継続的に露出されている。in vivoでは、これらの活性酸素の中間物は、創傷を通って入ってきたような侵入細菌を殺すために、好気性の新陳代謝、薬品及び他の生体異物の異化作用、紫外線、及びX線照射、及び(白血球のような)食細胞のレスピラトリーバーストに応答して細胞によって発っせられる。例えば、過酸化水素は、特に圧迫されて傷ついた細胞によって大部分の生きている生物の呼吸中に生成される。これらの活性酸素種は細胞を傷つけ得る。このような損傷の重要な例は、不飽和脂質の酸化的劣化を含む脂質過酸化である。脂質過酸化は、膜構造及び膜機能に非常に有害であり、数多くの細胞病理学的な作用を生じ得る。細胞は、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、及びペルオキシダーゼのようなラジカルスカベンジャーをつくることによって脂質過酸化を防ぐ。傷を受けた細胞は、ラジカルスカベンジャーをつくる能力が低下する。過剰な過酸化水素がDNAと反応して主鎖破壊を起こし、突然変異を起こし、そして塩基を変えて放してしまう。過酸化水素は、ピリミジンと反応して5,6−二重結合を開く。この反応は、ピリミジンが相補的塩基と水素結合する能力を阻害する。Hallaenderら(1971)。このような酸化的生化学的障害は、細胞膜完全性の損失、酵素活動の低下、移送速度の変化、膜脂質含有量の変化、カリウムイオン、アミノ酸及び他の細胞物質の漏れを生じさせる。
酸化防止剤は、活性酸素種に関連する損傷を阻害することが分かっている。例えば、ピルベート及び他のαーケト酸は、過酸化水素と迅速かつ化学量論的に反応して細胞を細胞溶解作用から保護することが報告されている。O'Donnell-Tormyら,J. Exp. Med.165, pp. 500-514(1987)。
Van Scottらに付与された米国特許第3,920,835号、3,984,556号及び3,988,470号は、それぞれ、にきび、ふけ、及び掌角化症を治療する方法を示しており、これらは、αーヒドロキシ酸、αーケト酸及びそのエステル、及び3ービドロキシブチル酸からなる群から選択される2〜6の炭素原子を含有する約1%〜20%の低級脂肪族化合物を薬学的に許容できるキャリヤ中に含む局所組成物を患部に塗布することからなる。これら脂肪族化合物は、ピルビン酸及び乳酸を含む。
Yuらに付与された米国特許第4,105,783号及び米国特許第4,197,316号は、それぞれ、αーヒドロキシ酸、βーヒドロキシ酸及びαーケト酸のアミド及びアンモニウム塩からなる群から選択される約1%〜約20%の化合物を薬学的に許容できるキャリヤ中に含む局所組成物を患部に塗布することからなる乾燥皮膚を治癒する方法及び組成物を開示している。これら組成物は、ピルビン酸及び乳酸のアミド及びアンモニウム塩を含む。
Van Scottらに付与された米国特許第4,234,599号は、αーヒドロキシ酸、βーヒドロキシ酸及びαーケト酸からなる群から選択される有効量の化合物を薬学的に許容されるキャリヤ中に含む局所組成物を患部に塗布することからなる紫外線及び紫外線角化症を治療する方法を開示している。この酸性組成物は、ピルビン酸及び乳酸を含む。
Wildnauerらに付与された米国特許第4,294,852号は、Van Scottらによって開示されたα−ヒドロキシ酸、βーヒドロキシ酸及びαケト酸をC3〜C8脂肪族アルコールと一緒に含む、皮膚を治癒するための組成物を開示している。
Veechに付与された米国特許第4,663,166号は、それぞれ20:1〜1:1の比でL−ラクテートとピルベートの混合物、又はそれぞれ6:1〜0.5:1の比でD−βーヒドロキシブチレート及びアセトアセテートの混合物を含む電解溶液を開示している。
ピルビン酸ナトリウムはアセチルサリチル酸によって生じるモルモット及びねずみの、胃粘膜の炎症、潰瘍、及び出血の数を減少させると報告されている。アセチルサリチル酸の鎮痛及び解熱性は、ピルビン酸ナトリウムによって損なわれない。Puschmann, Arzneimittelforschung, 33, p.410-415及び415-416(1983)。
ピルビン酸は、一時的に麻痺した心筋において正の筋肉収縮作用を発揮することが報告されており、これは、不可逆的損創傷を生じない短期間の環状動脈閉塞の後の長期の心室機能不全である,MentzerらのAnn. Surg 209, pp. 629-633(1989)。
ピルベートは、左心室圧力及びワークパラメータの相対的安定性をもたらしそして梗塞の大きさを小さくすることが報告されている。ピルベートは心臓の自発的鼓動の再開及び正規の速度及び圧力上昇の回復を向上させる。Bungerら,J. Mol. Cell. Cardiol., 18, pp.423-438(1986)、Mochizukiら,J. Physiol. (paris), 76, pp.805-812(1980)、Regizら, Cardiovasc. res, 15, pp.652-658(1981)、Giannelliら,Ann. Thrac. Surg, 21, pp.386-396(1976)。
ピルビン酸ナトリウムは、(おそらく、シアノヒドリンの形成を通して)シアナイド中毒に対するアンタゴニストとして作用すること及び硫化ナトリウムの致命的作用に対して保護すること及び軸索のアクリルアミドの神経疾患の機能的、形態学的、及び生化学的手段の始まり及び進展を遅らせることが報告されている。Schwartzら,Toxicol., Appl. Phamacol., 50, pp.437-442(1979)、Sabriら,Brain Res., 483, pp.1-11(1989)。
異常に変形した赤血球を正常に戻すためにピルビン酸ナトリウムを使用するL1210の進んだ白血病の化学療法が報告されている。変形した赤血球は、腫瘍細胞への十分な薬剤送達を阻止した。Cohen, Cancer Chemother., Phrmacol., 5,pp.175-179(1981)。
in vivoで7,12−ジメチルベンズ(a)アンスラセンに曝露された異所気管移植片の一次培養物は、インターロイキンー2で刺激された未梢血リンパ球、及びプラズマ細胞及びハイブリドーマ、豚の胚胎、及びヒトの胚盤胞の培養物と共にピルビン酸ナトリウムを補充した富化培地でうまく維持されることが報告された。Marchokら,Cancer Res., 37, pp.1811-1821(1977)、Davis, J. Reprod. Fertil. Suppl., 33, pp.115-124(1985)、Okamotoら,No To Shinkei, 38, pp.593-598(1986)、Cohenら,J. In Vitro Fert. Embryo Trnsfer, 2, pp.59-64(1985)。
Stankoに付与された米国特許第4,158,057号,4,351,835号,4,415,576号及び4,645,764号は、それぞれ、アルコールの摂取による哺乳動物の肝臓における脂肪の蓄積を防止するため、哺乳動物の体重を制御するため、哺乳動物のタンパク質濃度を増加しながら体脂肪を抑制するため、及び生物の体脂肪の蓄積を制御するための方法を開示している。これらの方法は、ピルベート及びジヒドロキシアセトン及び場合によってはリボフラビンの治療用混合物を哺乳動物に投与することを含む。Stankoに付与された米国特許第4,548,937号は、治療的有効量のピルベート及び場合によりリボフラビンを哺乳動物に投与することを含む哺乳動物の体重増加を制御する方法を示す。Stankoに付与された米国特許第4,812,479号は、治療的有効量のジヒドロキシアセトンと場合によってはリボフラビンとピルベートを哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の体重増加を制御する方法を示している。
ピルビン酸ナトリウムを含むカルシウムオキサレート結石生成性飼料を供給されたねずみは、ピルビン酸ナトリウムが与えられない対照のねずみよりも尿結石(石)が少ないことが報告された。Ogawaら,Hinyokika Kiyo, 32, pp.1341-1347(1986)。
Houlsbyに付与された米国特許第4,521,375号は、生きた組織に接触することになる表面を殺菌する方法を開示している。この方法は、過酸化水素水で表面を殺菌した後、ピルビン酸でその表面を中和することを含む。
Taudaらに付与された米国特許第4,416,982号は、ペルオキシダーゼの存在下で、フェノール及びアニリン誘導体に過酸化水素を反応させることによって過酸化水素を分解する方法を開示している。
Lindstromらに付与された米国特許第4,696,917号は、アール塩、硫酸コンドロイチン、緩衝溶液、2−メルカプトエタノール及びピルベートを有するイーグルの最小必須培地を含む目の洗浄溶液を開示している。この洗浄溶液は、場合によってアスコルビン酸及びαートコフェロールを含にでもよい。
Lindstromらに付与された米国特許第4,725,586号は、平衡塩類溶液、硫酸コンドロイチン、緩衝溶液、2−メルカプトエタノール、重炭酸ナトリウム、又はデキストロース、ピルベート、リン酸ナトリウム緩衝系、及びシスチンを含む洗浄溶液を開示している。この洗浄溶液は、場合によりアスコルビン酸及びγートコフェロールを含んでいてもよい。
Baldwinに付与された米国特許第3887,702号は、大豆油又はひまわり油をビタミンEと組み合わせて本質的になるゆびのつめ及び足のつめを処理する組成物を開示している。
Bissettらに付与された米国特許第4,847,069号は、(a)ソルボヒドロキサム酸、(b)ステロイド系坑炎症剤及び天然坑炎症剤から選択される坑炎症剤、及び(c)局所キャリヤを含む光防護組成物を開示している。脂肪酸が皮膚軟化剤として存在してもよい。Bissettらに付与された米国特許第4,847,071号は、(a)トコフェロール又はトコフェロールエステルラジカルスケベンジャー、(b)ステロイド系坑炎症剤及び天然系坑炎症剤から選択される坑炎症剤、及び(c)局所キャリヤを含む光防護組成物を開示している。Bissettらに付与された米国特許第4,847,072号は、局所キャリヤ中に25%のソルビン酸トコフェロールを含む局所組成物を開示している。
Yamaneらに付与された米国特許第4,533,637号は、炭素源、核酸源前駆体、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、脂質親和性栄養源及び血清アルブミン、及びシクロデキシトリンを含む培地を開示している。この親脂性物質は、不飽和脂肪酸とビタミンA,D及びEのような親脂性ビタミンを含む。アスコルビン酸が存在してもよい。
Kovarらに付与された英国特許第2,196,348A号は、合成培地を示しており、この培地は、無機塩、モノサッカライド、アミノ酸、ビタミン、緩衝剤、及び場合によりピルビン酸ナトリウムを含み、場合によりそのエマルジョンに水酸化マグネシウム又は酸化マグネシウムを加える。
Yuらに付与された米国特許第4,284,630号は、水中油エマルジョンを安定化する方法であって、そのエマルジョンに水酸化マグネシウム又は酸化マグネシウムを加えることを含む方法を開示している。その油相は鶏脂を含んでもよい。
プレパレーションH(商標)は、人工的につくられた直腸潰瘍中の創傷治癒速度を高めることが報告されている。プレパレーションH(商標)の有効成分は、皮膚呼吸因子及びさめの肝油である,Subramanyamら,Digestive Disease andSciences, 29, pp.829-832(1984)。
ピルビン酸ナトリウムを細菌及び酵母系に添加すると、過酸化水素の生成を阻害し、成長を促進し、反応性酸素中間体の毒性に対してその系を保護することが報告されている。鶏脂内に含まれる不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸が膜の修復を促進させて細胞毒を減少させたのである。酸化防止剤グルタチオン及びチオグリコレートは、酸素ラジカル種によって誘発された傷を減少させた。Martin, Ph. D. thesis(1987-1989)。
Robinsonに付与された米国特許第4,615,697号は、治療剤と、水膨潤性であるが水不溶性の繊維状架橋カルボキシ機能性ポリマーを含む生体接着剤とを含む放出制御型治療剤を開示している。
Kellawayらに付与されたヨーロッパ特許出願第0410696A1は、治療剤と、砂糖、シクリトール又は低級多価アルコールのような約1〜20重量%のポリヒドロキシ化合物で架橋されたポリアクリル酸とを含む放出制御型治療組成物を開示している。
レザーカートリッジ
従来の湿式シェービング装置は、使い捨て刃のカートリッジを受けるハンドルを備えた再使用可能なメインフレームを含む。使用済みのカートリッジは、このメインフレームから外されて新しいユニットと交換される。
湿式のシェービングレザー装置を使用する人々は、皮膚を横断するレザーの摩擦的な接触、毛片及び皮膚片によるレザー部品のつまり、そり傷及び切り傷のひっかけ、前から存在する皮膚の損傷又は湿疹からの刺激、及び制御不能な出血のためにある程度の使い心地の悪さを経験する。これらの問題を解決する試みには、プレシェーブローション及びアフターシェーブローション、毛片軟化性泡剤、止血剤、平滑化クリーム及び他の医用剤の使用が含まれる。そり心地は、1又はそれ以上の補助剤の使用によりある程度まで向上することができるが、予め塗布した補助剤の有効性は、蒸発と繰り返されるシェービングトロークで低減され、後に塗布される補助剤の有効性は、後の処置によって減少する。さらに、複数のシェービング補助剤の取り扱い及び補充が不便であるのでは望ましくない。
米国特許第4,170,821号は、ブレードシート、レザーブレード、キャップ、及び一体型固体水溶性シェービング補助剤を含む使い捨てレザーカートリッジを開示している。このシェービング補助剤は、カートリッジに永久的にかつ動かないように固定されている。
本出願人は、レザーカートリッジに本発明の治療用創傷治癒組成物を固定すると、シェービングカット及び切り傷の治癒期間及び重さを低減できる治療用レザーカートリッジができることを発見した。
発明の概要
本発明は、創傷治療組成物を備えた治療用レザーカートリッジを形成するための、レザーカートリッジに固定された、哺乳動物細胞を傷つけることを防止するか又は低減するために有用な治療用創傷治癒組成物に関する。この態様の1つの側面においては、本治療用レザーカートリッジは、
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも1のレザーブレード;
(C)キャップ;及び
(D)該カートリッジに固定された創傷治癒組成物送達系を含み、該送達系中の該創傷治癒組成物は、
(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。
本発明の第2の側面においては、本治療用レザーカートリッジは、
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも1のレザーブレード;
(C)キャップ;及び
(D)該カートリッジに固定された創傷治癒組成物送達系を含み、該送達系中の該創傷治癒組成物が酸化防止剤を含む。
本発明は、治癒学的創傷治癒組成物を含むレザーカートリッジを製造及び使用する方法にも関する。さらに、この発明は、拡延された創傷治癒組成物を含むレザーカートリッジを形成するための創傷を治癒するのに有用な医薬品と組み合わさった治療用創傷治癒組成物を含むレザーカートリッジに関する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、種々の酸化防止剤にU937単核細胞を曝した後の該細胞の生存率をグラフで示したものである(実施例1〜5)。
第2図は、種々の酸化防止剤の組み合わせにU937単核細胞を曝した後の該細胞の生存率をグラフで示したものである(実施例6〜13)。
第3図は、種々の酸化防止剤の組み合わせにU937単核細胞を曝した後の該細胞によって産生される過酸化水素のレベルをグラフで示したものである(実施例14〜18)。
第4図は、種々の酸化防止剤の組み合わせにU937単核細胞を曝した後の該細胞によって産生される過酸化水素のレベルをグラフで示したものである(実施例19〜26)。
第5図は、飽和及び不飽和脂肪酸の混合物と共に及び混合物なしに、種々の酸化防止剤の組み合わせにU937単核細胞を曝した後の該細胞によって産生される過酸化水素のレベルをグラフで示したものである(実施例27〜32)。
第6図は、飽和及び不飽和脂肪酸の混合物と共に及び混合物なしに、種々の酸化防止剤に表皮ケラチノサイトを曝した後の該細胞によって産生される過酸化水素のレベルをグラフで示したものである(実施例33〜42)。
第7図は、飽和及び不飽和脂肪酸の混合物と共に及び混合物なしに、種々の酸化防止剤の組み合わせに表皮ケラチノサイトを曝した後の該細胞によって産生される過酸化水素のレベルをグラフで示したものである(実施例43〜52)。
第8図は、創傷治癒組成物の個々の成分、創傷治癒組成物の種々の組み合わせ、及び創傷治癒組成物に対して、表皮ケラチノサイトを曝した後の該細胞によって産生される過酸化水素のレベルの概略的な分析をグラフで示したものである。
第9図は、プレパレーションH(実施例A);生酵母細胞誘導体、さめ油、及びピルビン酸ナトリウム、ビタミンE及び鶏脂の混合物を含有するワセリン基剤配合物(実施例B);生酵母細胞誘導体およびさめ油を含有するワセリン基剤配合物(実施例C);及び組成物なし(実施例E,対照)での4日間の治療後の創傷ねずみの写真である。
第10図は、ワセリン基剤配合物のみでの4日間の治療後の創傷ねずみの写真である(実施例D)。
第11図は、本発明のある態様を組み込んだレザーカートリッジの図面である。明瞭化のために、二重平行線の陰影を用いて、レザーカートリッジに固定された一体型の創傷治癒組成物を含有する該カートリッジの部分を示した。
[発明の詳細な説明]
本発明は、創傷治癒組成物を有する治療用レザーカートリッジにを形成するための、レザーカートリッジに固定された、哺乳動物細胞に傷をつけるのを防止及び低減するための治療用創傷治癒組成物及び/又はそれらの代謝物質に関する。
本創傷治癒組成物送達系は、好ましくは、ポリマー送達系と予め混合された創傷治癒組成物を含む水溶性の被包剤の固体ストリップの形態にある。創傷治癒組成物は、傷ついた哺乳動物細胞の回復速度及び死んだ細胞と入れ換わる新しい細胞の増殖速度を増加することができる。本出願人は、レザーカートリッジに創傷治癒組成物を付けると、シェービングカット及び切り傷の期間と重さを低減できる治療用レザーカートリッジができることを見出した。
出願人は、哺乳動物細胞が傷つくことを防止及び低減し、かつ傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を高める治療用創傷治癒組成物を発見した。本発明の治療用創傷治癒組成物で治療された細胞は、過酸化水素生成のレベルの低下、細胞毒物質に対する抵抗の増大、増殖速度の増加、生存率の増加を示す。本治療用創傷治癒組成物を含有する細胞培養物は、対照培養物よりも増大した分化と増殖を示し、そして細胞間に付着又はしっかりした接合を急速に形成して上皮シートを形成した。本治療用創傷治癒組成物で治療した傷のある哺乳動物は、治療されない哺乳動物及び従来の治癒組成物で治療した哺乳動物よりも有意に向上した創傷閉鎖性及び治癒性を示した。本創傷治癒組成物は、単独で用いても他の医薬品と組み合わせて用いてもよい。
本発明の治療用創傷治癒組成物又はそれらの代謝物質は、エンボディメント1である。エンボディメント1にはいくつかの側面がある。第1の側面(I.A)においては、本治療用創傷治癒組成物は、(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるピルベート、(b)酸化防止剤及び、(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。第2の側面(I.B)においては、本治療用創傷治癒組成物は、(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるピルベート、(b)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるラクテート、及び(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。第3の側面(I.C)においては、本治療用創傷治癒組成物は、(a)酸化防止剤、及び(b)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が哺乳動物の細胞の細胞膜の修復及び回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。第4の側面(I.D)においては、本治療用創傷治癒組成物は、(a)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるラクテート、(b)酸化防止剤、及び(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。第5の側面(I.E)においては、治療用創傷治癒組成物は、酸化防止剤を含む。
本発明の治療用創傷治癒組成物は、創傷を治療する1又はそれ以上の追加的な医薬品と更に組み合わせて、上述した創傷治癒組成物を有するレザーカートリッジを形成させてもよい。
本明細書で用いられる“傷ついた細胞”という用語は、何らかの理由で何らかの活動が停止した細胞を意味する。例えば、傷ついた細胞は、傷ついた膜又は損傷したDNA,RNA及びリボゾームを有する細胞、例えば、(a)膜が傷ついているためにその膜を通る移送が行われず、細胞内の毒素及び正常細胞の廃棄物が増加しそして細胞内の細胞修復に必要な栄養分及び他の成分が減少している細胞、(b)酸化防止剤及び酵素を生成する細胞の能力が減少するために細胞内の酸素ラジカルの濃度が増加している細胞、又は(c)正常細胞の機能が回復する前に修復又は置換されなければならない損傷のあるDNA,RNA及びリボゾームを有する細胞であり得る。ここで使用する傷ついた哺乳動物細胞の“回復”という用語は、細胞毒の反転、細胞膜の安定化、細胞の増殖速度の増加、及び/又は成長因子、ホルモン等の分泌のような細胞機能の正常化を意味する。本明細書で用いられる“細胞毒”とい用語は、細胞を傷つける毒素物質によって生じる状態を意味する。傷ついた細胞は、細胞の修復に全エネルギーを消費するため、傷ついた細胞は増殖しない。組織の修復を補助すると細胞の増殖が推進される。
本明細書中で用いられる“プロドラッグ”という用語は、薬理学的作用を示す前に生物変換される化合物を意味する。薬品に関する問題を克服するための薬物の化学修飾は、“薬物潜伏化”とも称されている。薬物潜伏化は、in vivo酵素攻撃によって親化合物を放出するであろう新規の化合物を形成する生物学的活性化合物の化学修飾である。親化合物の化学的変更は、物理化学的性質の変化が、吸収、分布及び酵素代謝に影響を与えるような変更である。薬物潜伏化の定義は、更に、親化合物の非酵素的再生を包含するように拡大されている。再生は、加水分解、解離及び、必ずしも酵素に媒介されない他の反応の結果として起こる。プロドラッグ、潜伏化薬物及び生体可逆的誘導体という用語は同じ意味に用いられる。推論すると、潜伏化とは、生物活性親分子をin vivoで再生する場合に必要とされるタイムラグ要素すなわち時間成分を意味する。プロドラッグという用語は、それが、潜伏化薬物だけでなく、受容体と結合する実際の物質に対する投与後に変換されるそれらの物質も包含するという点で一般的である。プロドラッグという用語は、薬理学的作用を示す前に生物変換される薬剤の総称である。投与された薬物が活性物質ではなくむしろ生物変換されて活性物質になる場合、“プロドラッグ”という用語は、必ずしも投与された薬物への生物変換を受ける必要はないかもしれないが、所望の薬理学的作用を示す活性物質へと生物変換されうる化合物を更に包含する。
本明細書中で用いられる“代謝生成物”という用語は、代謝によって又は代謝過程によって生産された全ての物質を意味する。本明細書中で用いられる“代謝”とは、組織及びそこにある細胞中で起こる分子又は化合物の変換に関与する種々の化学反応を意味する。
I.創傷治癒組成物
A.エンボディメント1(I.A−E)
本発明の治療用創傷治癒組成物によって処置されうる細胞は、哺乳動物細胞である。本発明者は、本治療用創傷治癒組成物を、哺乳動物表皮ケラチノサイト及び哺乳動物単球を処置するのに有用であると記載するが、本発明者は、該治療用創傷治癒組成物を用いて全ての哺乳動物細胞を防護しうる又は回復させうると考えている。ケラチノサイトは、正常な哺乳動物細胞を代表するものであって体内の最も速く増殖する細胞である。傷害及び治療に対するケラチノサイトの反応と哺乳動物細胞のそれとの間の相関は、概して、極めて高い。単球は、免疫系における白血球、及び肝臓、腎臓、心臓及び脳の臓器細胞のような特殊な哺乳動物細胞を代表するものである。哺乳動物細胞は、in vivo及びin vitroで処理することができる。
表皮ケラチノサイトは、ケラチン、つまり表皮、毛髪、爪、角質組織、及び歯のエナメル質の有機基質の主成分である硬タンパク質を合成する表皮の特殊な上皮細胞である。哺乳動物表皮ケラチノサイトは、表皮細胞の約95%を構成し、そしてメラノサイトと一緒に表皮の二重系を形成する。その様々な連続した層において、表皮ケラチノサイトは、基底細胞、有棘細胞及び顆粒細胞としても知られている。
単球は、レスピラトリーバーストを経てしかも表皮中の反応性酸素に媒介された損傷に関与している単核食細胞白血球である。白血球は、二つの主要なグループ、すなわち、細胞質中に豊富な顆粒を含む白血球である顆粒性白血球(顆粒球)と、細胞質中に独特の顆粒を含まない白血球であり且つリンパ球及び単球を包含する非顆粒性白血球(非顆粒球)とに分類されうる白血球又は小体である。食細胞は、微生物又は他の細胞及び外来粒子を消化する細胞である。単球は、大型単核白血球及びヒアリン性又は移行型白血球としても知られている。
表皮ケラチノサイト細胞及び単球細胞は、多数の酸素発生メカニズムを有し、そしてそれぞれの種類のメカニズムが機能する程度は、それぞれの細胞の種類で異なる。例えば、単球において、レスピラトリーバースト過程は表皮ケラチノサイトの場合よりも顕著である。したがって、本発明の治療用創傷治癒組成物中の成分は、治療される症状に関与した細胞の種類に応じて変化しうる。
上記のように、エンボディメント1の第1の側面(I.A)において、哺乳動物細胞、好ましくは、表皮ケラチノサイトを処置するための治療用創傷治癒組成物は、(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート、(b)酸化防止剤、及び(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。エンボディメント1の第2の側面(I.B)において、哺乳動物細胞、好ましくは、表皮ケラチノサイトを処置するための治療用創傷治癒組成物は、(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート、(b)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート、及び(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。エンボディメント1の第3の側面(I.C)において、哺乳動物細胞、好ましくは、表皮ケラチノサイトを処置するための治療用創傷治癒組成物は、(a)酸化防止剤、及び(b)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。エンボディメント1の第4の側面(I.D)において、哺乳動物細胞、好ましくは、単球を処置するための治療用創傷治癒組成物は、(a)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート、(b)酸化防止剤、及び(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。
ピルビン酸(2−オキソプロパン酸、α−ケトプロピオン酸、CH3COCOOH)又はピルベートは、タンパク質及び炭水化物代謝において、及びクエン酸回路において基本的な中間体である。クエン酸回路(トリカルボン酸回路、クレブス回路)は、呼吸組織において有機化合物を酸化することによってアデノシン三リン酸(ATP)を生じて電子を伝達系に与える酸素の還元を行う主要な反応連鎖である。アセチル補酵素A(活性アセチル)はこの過程で酸化され、その後、種々の生物学的過程で利用され、そして多数の脂肪酸及びステロールの生合成の前駆物質である。二つの主要なアセチル補酵素A源は、グルコース及び脂肪酸の代謝から誘導される。解糖は、グルコース分子それぞれが細胞質中で変換されて2分子のピルビン酸になる一連の変換から成る。次に、ピルビン酸はミトコンドリアに入ることができ、そこでそれは、アセチル補酵素Aに対する酵素及び補助因子の存在下で補酵素Aによって酸化される。次に、アセチル補酵素Aはクエン酸回路に入ることができる。
筋肉内において、(グリコーゲンから誘導される)ピルビン酸は、運動中に引き起こされることがある嫌気的代謝の際に乳酸へと還元されうる。乳酸は、休息中に再酸化されて部分的にグリコーゲンに再変換される。ピルベートは、酸化防止剤として作用して細胞中の酸素ラジカルを中和することもできそして細胞毒を逆行させる多機能オキシダーゼ系において用いられることもできる。
本発明におけるピルベートは、ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、ピルビン酸のプロドラッグ、及びそれらの混合物から成る群から選択されうる。概して、薬学的に許容できるピルビン酸の塩は、アルカリ塩及びアルカリ土類金属塩でありうる。好ましくは、ピルベートは、ピルビン酸、ピルビン酸リチウム、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガン、ピルビン酸メチル、α−ケトグルタル酸、及びそれらの混合物から成る群から選択される。より好ましくは、ピルベートは、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガン等、及びそれらの混合物から成る群から選択される。最も好ましくは、ピルベートはピルビン酸ナトリウムである。
本発明の治療用創傷治癒組成物中に存在するピルベートの量は、治療的に有効な量である。ピルベートの治療的有効量とは、本発明の組成物が哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させるのに又は傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させるのに必要なピルベートの量である。ピルベートの正確な量は、治療される症状の種類、更には組成物中の他の成分などの因子によって決まる選択の問題である。好ましい態様において、ピルベートは、治療用創傷治癒組成物中に、治療用創傷治癒組成物の約10重量%〜約50重量%、好ましくは約20重量%〜約45重量%、そしてより好ましくは約25重量%〜約40重量%の量で存在する。
L−乳酸((S)−2−ヒドロキシプロパン酸、(+)α−ヒドロキシプロピオン酸、CH3CHOHCOOH)又はラクテートは、哺乳動物の血液及び筋液中に少量で存在する。乳酸濃度は、激しい活動後に筋肉及び血液中で増加する。ラクテートは細胞フィードバックメカニズムの成分であり、そして細胞の自然のレスピラトリーバースト過程を阻害することによって酸素ラジカルの生成を抑制する。
本発明におけるラクテートは、乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、乳酸のプロドラッグ、及びそれらの混合物から成る群から選択されうる。概して、薬学的に許容できる乳酸の塩は、アルカリ塩及びアルカリ土類金属塩でありうる。好ましくは、ラクテートは、乳酸、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸亜鉛、乳酸マンガン等、及びそれらの混合物から成る群から選択される。より好ましくは、ラクテートは、乳酸、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸亜鉛、乳酸マンガン、及びそれらの混合物から成る群から選択される。最も好ましくは、ラクテートは乳酸である。
本発明の治療用創傷治癒組成物中に存在するラクテートの量は、治療的に有効な量である。ラクテートの治療的有効量とは、本発明の組成物が哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させるのに又は傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させるのに必要なラクテートの量である。摂取可能な組成物については、ラクテートの治療的有効量は、白血球のレスピラトリーバースト過程を抑制して哺乳動物細胞を保護し且つ回復させるのに必要な量である。概して、摂取可能な組成物中のラクテートの治療的有効量は、血清中で普通に見出されるラクテートの量の約5倍〜約10倍である。ラクテートの正確な量は、治療される症状の種類、更には組成物中の他の成分などの因子によって決まる選択の問題である。好ましい態様において、ラクテートは、治療用創傷治癒組成物中に、治療用創傷治癒組成物の約10重量%〜約50重量%、好ましくは約20重量%〜約45重量%、そしてより好ましくは約25重量%〜約40重量%の量で存在する。
酸化防止剤は、酸化反応を阻害するか又は酸素若しくは過酸化物によって促進された反応を抑制する物質である。酸化防止剤、特に、脂質可溶性酸化防止剤は、細胞膜中に吸収されて酸素ラジカルを中和し、それによって膜を保護することができる。本発明において有用な酸化防止剤は、ビタミンA(レチノール)の全ての形、ビタミン2(3,4−ジデヒドロレチノール)の全ての形、α−カロチン、β−カロチン、γ−カロチン、δ−カロチンなどのカロチンの全ての形、ビタミンC(D−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸)の全ての形、ビタミンE(α−トコフェロール、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−1−ベンゾピラン−6−オール)、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールなどのトコフェロールの全ての形、トコキノン、トコトリエノール、及び酢酸ビタミンE及びコハク酸ビタミンEなどの容易に加水分解されてビタミンEになるビタミンEエステル、及びリン酸ビタミンEなどの薬学的に許容できるビタミンE塩、ビタミンA、カロチン、ビタミンC及びビタミンEのプロドラッグ、ビタミンA、カロチン、ビタミンC及びビタミンEの薬学的に許容できる塩等並びにそれらの混合物から成る群から選択されうる。好ましくは、酸化防止剤は、ビタミンA、β−カロチン、ビタミンE、酢酸ビタミンE及びそれらの混合物から成る脂質可溶性酸化防止剤の群から選択される。より好ましくは、酸化防止剤は、ビタミンE又は酢酸ビタミンEである。最も好ましくは、酸化防止剤は酢酸ビタミンEである。
本発明の治療用創傷治癒組成物中に存在する酸化防止剤の量は、治療的に有効な量である。酸化防止剤の治療的有効量とは、本発明の組成物が哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させるのに又は傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させるのに必要な酸化防止剤の量である。酸化防止剤の正確な量は、治療される症状の種類、更には組成物中の他の成分などの因子によって決まる選択の問題である。好ましい態様において、酸化防止剤は、治療用創傷治癒組成物中に、治療用創傷治癒組成物の約0.1重量%〜約40重量%、好ましくは約0.2重量%〜約30重量%、そしてより好ましくは約0.5重量%〜約20重量%の量で存在する。
本発明における飽和及び不飽和脂肪酸の混合物は、哺乳動物細胞膜の修復及び新しい細胞の生産に必要な脂肪酸である。脂肪酸は、動物及び植物油脂中で見出されるカルボン酸化合物である。脂肪酸は脂質として分類され、4〜22個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を有するアルキル基の鎖から成り、そして末端のカルボキシル基、つまり−COOHにより特徴付けられる。脂肪酸は飽和であっても不飽和であってよく、そして固体、半固体又は液体であってよい。最も一般的な飽和脂肪酸は、酪酸(C4)、ラウリン酸(C12)、パルミチン酸(C16)及びステアリン酸(C18)である。不飽和脂肪酸は、通常は植物から誘導され特徴的な末端カルボキシル基を有する16〜22個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を有するアルキル鎖から成る。最も一般的な不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸(いずれもC18酸)である。
概して、本発明における哺乳動物細胞膜の修復に必要な飽和及び不飽和脂肪酸の混合物は、動物及び植物の脂肪及びワックス、本発明において有用な飽和及び不飽和脂肪酸のプロドラッグ、及びそれらの混合物から誘導されうる。例えば、治療用創傷治癒組成物中の脂肪酸は、モノ−、ジ−若しくはトリグリセリド又はフリーの脂肪酸、又はそれらの混合物の形であってよく、それらは傷ついた細胞の修復に容易に利用可能である。細胞は、細胞の生存能力に必要な化学的成分及びエネルギーを生じ、そして余分のエネルギーを脂肪の形で蓄える。脂肪は、生体の臓器間に蓄えられてエネルギーの貯蔵供給を与える脂肪組織である。好ましい動物脂肪及びワックスは、人脂及びヒト母乳中に含まれる脂肪の脂肪酸組成と同様の組成を有する。好ましい動物脂肪及びワックスは、人脂、鶏脂、牛脂(本明細書中において性別又は年令と無関係に家畜牛として定義される)、羊脂、馬脂、豚脂及び鯨脂から成る群から選択されうる。より好ましい動物脂肪及びワックスは、人脂及び鶏脂から成る群から選択されうる。最も好ましい動物脂肪は人脂である。植物ワックス(特に、ヒマワリ油)、海産油(特に、サメ肝油)、及び合成ワックス及び油などの他の脂肪及びワックスの混合物は、動物脂肪及びワックスの脂肪酸組成、好ましくは、人脂及びワックスのそれと同様の組成を有し、それらもまた用いることができる。
好ましい態様において、飽和及び不飽和脂肪酸の混合物は、人脂の組成と同様の組成を有し且つ以下の脂肪酸を含む。すなわち、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸及びガドレイン酸を含む。好ましくは、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸及びガドレイン酸は、この混合物中にそれぞれほぼ以下の重量%で存在する(炭素鎖数及び不飽和の数をそれぞれ括弧内に示す):0.2%〜0.4%(C4)、0.1%(C6)、0.3%〜0.8%(C8)、2.2%〜3.5%(C10)、0.9%〜5.5%(C12)、2.8%〜8.5%(C14)、0.1%〜0.6%(C14:1)、23.2%〜24.6%(C16)、1.8%〜3.0%(C16:1)、6.9%〜9.9%(C18)、36.0%〜36.5%(C18:1)、20%〜20.6%(C18:2)、7.5%〜7.8%(C18:3)、1.1%〜4.9%(C20)及び3.3%〜6.4%(C20:1)。
もう一つの好ましい態様において、飽和及び不飽和脂肪酸の混合物は、典型的に、以下の脂肪酸、すなわち、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸及びガドレイン酸を含む鶏脂である。好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸及びガドレイン酸は、混合物中にそれぞれほぼ以下の重量%で存在する:0.1%(C12)、0.8%(C14)、0.2%(C14:1)、0.1%(C15)、25.3%(C16)、7.2%(C16:1)、0.1%(C17)、0.1%(C17:1)、6.5%(C18)、37.7%(C18:1)、20.6%(C18:2)、0.8%(C18:3)、0.2%(C20)及び0.3%(C20:1)、全てのパーセンテージ±10%。
もう一つの好ましい態様において、飽和及び不飽和脂肪酸の混合物はレシチンを含む。レシチン(ホスファチジルコリン)は、全ての生きている生物(植物及び動物)において見出されるホスファチドであって神経組織及び脳内物質の重要な成分である。レシチンは、リン酸のコリンエステルに結合した、ステアリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸のジグリセリドの混合物である。商業製品は、主として、大豆油の製造において副産物として得られる大豆レシチンである。大豆レシチンは、パルミチン酸11.7%、ステアリン酸4.0%、パルミトレイン酸8.6%、オレイン酸9.8%、リノール酸55.0%、リノレン酸4.0%、C20〜C22酸(アラキドン酸を含む)5.5%を含む。レシチンは、以下の式によって表わすことができる。
式中、Rは、ステアリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸から成る群から選択される。
脂肪酸混合物中に存在する上記脂肪酸及びそれらのパーセンテージは、一例として示されている。脂肪酸混合物中に存在する脂肪酸の正確な種類及び脂肪酸混合物中で用いられる脂肪酸の正確な量は、最終製品で望まれる結果が得られるよう変動させることができ、このような変更は、過度の実験を必要とすることなく当業者の能力の範囲内である。
本発明の治療用創傷治癒組成物中に存在する脂肪酸の量は、治療的に有効な量である。脂肪酸の治療的有効量とは、本発明の組成物が哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させるのに又は傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させるのに必要な脂肪酸の量である。用いられる脂肪酸の正確な量は、混合物中で用いられる脂肪酸の種類及び配分、治療される症状の種類、及び組成物中の他の成分などの因子によって決められる。好ましい態様において、脂肪酸は、治療用創傷治癒組成物中に、治療用創傷治癒組成物の約10重量%〜約50重量%、好ましくは約20重量%〜約45重量%、そしてより好ましくは約25重量%〜約40重量%の量で存在する。
本発明によれば、哺乳動物細胞を処置するためのエンボディメント1(I.A−E)の治療用創傷治癒組成物は、
(I.A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;
(I.B)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;
(I.C)(a)酸化防止剤;及び
(b)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;
(I.D)(a)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;
(I.E)(a)酸化防止剤
から成る群から選択されうる。
好ましくは、哺乳動物細胞、好ましくは、表皮ケラチノサイトを処置するためのエンボディメント1(I)の創傷治癒組成物は、
(I.A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;
(I.B)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;及び
(I.C)(a)酸化防止剤;及び
(b)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物
から成る群から選択されうる。
より好ましくは、哺乳動物細胞、好ましくは、表皮ケラチノサイトを処置するためのエンボディメント1(I)の創傷治癒組成物は、
(I.A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;及び
(I.C)(a)酸化防止剤;及び
(b)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物
から成る群から選択されうる。
より好ましくは、哺乳動物細胞、好ましくは、表皮ケラチノサイトを処置するためのエンボディメント1(I)の創傷治癒組成物は、
(I.A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;及び
(I.B)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物
から成る群から選択されうる。
最も好ましくは、哺乳動物細胞、好ましくは、表皮ケラチノサイトを処置するためのエンボディメント1(I)の創傷治癒組成物は、
(I.A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。
最も好ましくは、哺乳動物細胞、好ましくは、単球を処置するためのエンボディメント1(I)の創傷治癒組成物は、
(I.D)(a)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む。
この全開示を通して、本発明者は、治療用創傷治癒組成物及び抗ウイルス薬中の成分が一緒に予想外に相乗的に機能して、哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させ、傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させ、そしてウイルス力価を減少させると本発明者が考える様々な理論又はメカニズムを示唆するであろう。本発明者は本発明を説明するために様々なメカニズムを与えることができるが、本発明者は、理論によって拘束されることを望まない。これらの理論は、本発明をよりよく理解するために示唆されるが、請求の範囲の有効な範囲を制限するためのものではない。
エンボディメント1の第1の側面(I.A)において、本発明者は、ピルベートを細胞内に移送することができ、そこでそれが酸化防止剤として作用して細胞中の酸素ラジカルを中和することができると考えている。ピルベートは、細胞内でのクエン酸回路において用いられて細胞生存能力を増加させるエネルギーを与えることもできるし、また重要な生体分子の合成において前駆物質として用いられて細胞増殖を促進することもできる。更に、ピルベートは、多機能オキシダーゼ系で用いられて細胞毒性を逆行させることができる。酸化防止剤、特に、脂質可溶性酸化防止剤は、細胞膜中に吸収されて酸素ラジカルを中和し、それによって膜を保護することができる。本発明の飽和及び不飽和脂肪酸は、哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸であると共に傷ついた細胞の修復及び新しい細胞の増殖に容易に利用可能である。酸素ラジカルによって傷ついた細胞は、不飽和脂肪酸を生成して細胞膜を修復する必要がある。しかしながら、細胞による不飽和脂肪酸の生成には酸素を必要とする。したがって、傷ついた細胞は、不飽和脂肪酸を生成するのに高濃度の酸素を必要とし、同時に、細胞中の酸素濃度を減少させて酸化的傷害を減少させる必要がある。修復に必要な不飽和脂肪酸を細胞に提供することにより、不飽和脂肪酸についての細胞の要求は低減し、そして高酸素濃度についての要求もまた低減する。
細胞内のピルベート及び細胞膜中の酸化防止剤の組合わせは、予想外に相乗的に機能して、細胞中の過酸化水素生成を、どちらかの種類の成分単独の使用によって得られるよりも低い濃度まで減少させる。治療用創傷治癒組成物中の飽和及び不飽和脂肪酸の混合物の存在は、反応性酸素生成を阻害するピルベート及び酸化防止剤の能力を有意に増大させる。細胞膜を安定化させることにより、不飽和脂肪酸は、膜機能も向上させ且つ細胞中へのピルベート移送も促進させる。したがって、エンボディメント1の第1の側面(I.A)の治療用創傷治癒組成物中の三成分は、一緒に予想外に相乗的に機能して、哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させ、そして傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させる。
エンボディメント1の第2の側面(I.B)において、ラクテートは酸化防止剤の代わりに用いられる。酸化防止剤は、酸素ラジカルが既に生成された後に該ラジカルと反応し、そしてそれを中和する。一方、ラクテートは、細胞フィードバックメカニズムの成分であるのでレスピラトリーバースト過程を阻害して活性酸素種の生成を抑制する。活性酸素種を中和するピルベート及びレスピラトリーバースト過程を抑制するラクテートの組合わせは、相乗的に機能して、細胞中の過酸化水素生成を、どちらかの種類の成分単独の使用によって得られるよりも低い濃度まで減少させる。治療用創傷治癒組成物中の飽和及び不飽和脂肪酸の混合物の存在は、反応性酸素生成を阻害するピルベート及びラクテートの能力を有意に増大させる。したがって、エンボディメント1の第2の側面(I.B)の治療用創傷治癒組成物中の三成分は、一緒に相乗的に機能して、哺乳動物細胞を保護し且つ回復させる。
エンボディメント1の第3の側面(I.C)において、この態様における治療用創傷治癒組成物中の飽和及び不飽和脂肪酸の混合物の存在は、反応性酸素生成を阻害する酸化防止剤の能力を有意に増大させる。活性酸素種を中和する酸化防止剤と細胞膜を再建し且つ酸素についての細胞の要求を低減させる脂肪酸の組合わせは、相乗的に機能して、細胞中の過酸化水素生成を、どちらかの種類の成分単独の使用によって得られるよりも低い濃度まで減少させる。したがって、エンボディメント1の第3の側面(I.C)の治療用創傷治癒組成物中の成分は、一緒に相乗的に機能して、哺乳動物細胞を保護し且つ回復させる。
エンボディメント1の第4の側面(I.D)において、ラクテートは、レスピラトリーバースト過程が表皮ケラチノサイトの場合よりも単球において顕著であるので用いられる。レスピラトリーバースト過程を抑制するラクテートと活性酸素種を中和する酸化防止剤の組合わせは、相乗的に機能して、細胞中の過酸化水素生成を、どちらかの成分単独によって得られるよりも低い濃度まで減少させる。この態様における治療用創傷治癒組成物中の飽和及び不飽和脂肪酸の混合物の存在は、反応性酸素生成を阻害するラクテート及び酸化防止剤の能力を有意に増大させる。したがって、エンボディメント1の第4の側面(I.D)の治療用創傷治癒組成物中の三成分は、一緒に予想外の相乗的に機能して、哺乳動物細胞を保護し且つ回復させる。
したがって、上記態様で示した成分の組合わせは、互いに増強された様式で働いて、哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させ、そして傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させる。上記態様それぞれにおける成分の組合わせの治療的効果は、個々の治療的成分の単独の添加によって予想されるよりも極めて大きい。したがって、哺乳動物細胞を処置するための本発明者の治療用創傷治癒組成物は、細胞内の過酸化水素生成濃度を減少させ、細胞毒性薬に対する細胞耐性を増加させ、細胞増殖速度を増加させ、そして細胞生存能力を増加させる能力を有する。
B.エンボディメント1(I.A−E)の治療用創傷治癒組成物の製造法
本発明は、エンボディメント1(I.A−E)の治療用創傷治癒組成物を製造する方法に及ぶ。概して、治療用創傷治癒組成物は、該組成物の成分の混和物を生成することによって製造される。エンボディメント1の第1の側面(I.A)においては、治療用創傷治癒組成物は、(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート、(b)酸化防止剤、及び(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物の混和物を生成することによって製造される。エンボディメント1の第2の側面(I.B)においては、治療用創傷治癒組成物は、(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート、(b)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート、及び(C)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物の混和物を生成することによって製造される。エンボディメント1の第3の側面(I.C)においては、治療用創傷治癒組成物は、(a)酸化防止剤、及び(b)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物の混和物を生成することによって製造される。エンボディメント1の第4の側面(I.D)においては、治療用創傷治癒組成物は、(a)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート、(b)酸化防止剤、及び(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物の混和物を生成することによって製造される。エンボディメント1の第5の側面(I.E)においては、治療用創傷治癒組成物は、酸化防止剤を用いて製造される。
幾つかの用途においては、混和物は水などの溶媒中で生成することができ、そして必要ならば界面活性剤を加えてよい。必要ならば、溶媒のpHを約3.5〜約8.0、好ましくは、約4.5〜約7.5、そしてより好ましくは、約6.0〜約7.4の範囲に調整する。次に、混和物を滅菌濾過する。他の成分も、当業者に周知のように、所望の組成物の性状によって指示されるように治療用創傷治癒組成物中に組み入れることができる。最終的な治療用創傷治癒組成物は、薬学分野で一般的に知られている方法を用いて容易に製造される。
好ましい態様においては、本発明は、哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させ、そして傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させるための治療用創傷治癒組成物(I.A)を製造する方法であって、以下の成分、
(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が傷ついた哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物
を混和する工程を含む方法に向けられている。
C.エンボディメント1(I.A−E)の治療用創傷治癒組成物を用いる方法
本発明は、エンボディメント1(I)の治療用創傷治癒組成物をin vivo及びin vitroで用いる方法に及ぶ。概して、治療用創傷治癒組成物は、該治療用組成物を哺乳動物細胞に接触させることによって用いられる。
エンボディメント1の第1の側面(I.A)において、本発明は、哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させ、そして傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させる方法であって、(A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;(b)酸化防止剤;及び(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が傷ついた哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む治療用創傷治癒組成物を提供し、そして(B)該治療用創傷治癒組成物を哺乳動物細胞に接触させる工程を含む方法に向けられている。
エンボディメント1の第2の側面(I.B)において、本発明は、哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させ、そして傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させる方法であって、(A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;(b)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート、及び(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が傷ついた哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む治療用創傷治癒組成物を提供し、そして(B)該治療用創傷治癒組成物を哺乳動物細胞に接触させる工程を含む方法に向けられている。
エンボディメント1の第3の側面(I.C)において、本発明は、哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させ、そして傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させる方法であって、(A)(a)酸化防止剤、及び(b)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が傷ついた哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む治療用創傷治癒組成物を提供し、そして(B)該治療用創傷治癒組成物を哺乳動物細胞に接触させる工程を含む方法に向けられている。
エンボディメント1の第4の側面(I.D)において、本発明は、哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させ、そして傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させる方法であって、(A)(a)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート、(b)酸化防止剤、及び(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が傷ついた哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物を含む治療用創傷治癒組成物を提供し、そして(B)該治療用創傷治癒組成物を哺乳動物細胞に接触させる工程を含む方法に向けられている。
エンボディメント1の第5の側面(I.E)において、本発明は、哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させ、そして傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させる方法であって、(A)酸化防止剤を含む治療用創傷治癒組成物を提供し、そして(B)該治療用創傷治癒組成物を哺乳動物細胞に接触させる工程を含む方法に向けられている。
好ましい態様において、本発明は、哺乳動物の創傷を治癒させる方法であって、
(A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が傷ついた哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物
を含む治療用創傷治癒組成物(I.A)を提供し;そして
(B)該治療用創傷治癒組成物を該創傷に接触させる工程を含む方法に向けられている。
本発明のエンボディメント1(I.A−E)の創傷治癒組成物を用いて治癒させうる創傷の種類は、切断用器具によって皮膚が傷つけられている創傷である切り傷、及び鋭敏でないか又は鈍器によって皮膚が傷つけられている創傷である裂傷などの表皮損傷を引き起こす傷害に起因するものである。該治療用組成物は、角質増殖症、光老化、熱傷、皮膚移植によるドナー部位創傷、潰瘍(皮膚、褥瘡、静脈うっ血及び糖尿病性潰瘍)、乾癬、皮膚発疹及び日焼け光反応性過程などの種々の皮膚疾患を治療するのにも用いることができる。口内潰瘍及び熱傷などの傷ついた口腔組織を保護してその治癒を促進するために、局所用治療用組成物は、口内洗浄剤又はスプレーの形で口腔に用いてもよい。局所用治療用組成物は、更に、角膜潰瘍、半径方向角膜切開術、角膜移植、エピケラトファキア(epikeratophakia)及び他の外科的に生じた眼の創傷に起因するものなどの創傷を治療するのに眼科用製剤で用いることができる。局所用治療用組成物は、更に、肛門そう痒症、直腸炎、肛門裂傷及び痔などの症状を治療するのに、肛門直腸用クリーム剤及び坐剤で用いることができる。好ましい態様においては、該治療用組成物は、切り傷及び裂傷などの創傷を治療するのに用いられる。
本発明のエンボディメント1(I.A−E)の創傷治癒組成物は、局所用製品、摂取可能な製品及び組織培養培地中で用いて、哺乳動物細胞を保護し且つ傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させることができる。例えば、該治療用創傷治癒組成物は、角質増殖症、光老化及び日焼け光反応性過程などの種々の皮膚疾患の治療のように、皮膚組織を保護し且つその回復速度を増加させるのに、局所用スキンケア製品で用いることができる。皮膚に対する傷害は、様々な理由で生じうる。傷害は、しばしば、頻繁に手を洗う個体、緊張に満ちた環境条件にさらされている(日光又は化学薬品に対する過暴露)個体、又は初老の個体若しくは潜在的疾患のある個体に生じる。本発明の創傷治癒組成物をローション剤に添加すると、紫外線、化学薬品及び苛酷な乾燥の有害な作用から皮膚を保護すると考えられる皮膚に対する酸化防止源を提供する。該創傷治癒組成物は、次の指標、つまり、(a)給湿及び保護;(b)乾燥によって砕けた皮膚の治癒;(c)おむつかぶれなどの炎症を起こした皮膚の治療;(d)他の疾患(静脈性皮膚炎)による重症の乾燥皮膚の治癒;(e)乾癬及び他の高増殖性疾患の治療;(f)紫外線損傷からの皮膚の保護(酸化防止剤皮膚補充);(g)脂漏性症状の治療;及び(h)アフターシェーブローションでのシェービングによる創傷の治療に対して用いることができる。
局所用治療用創傷治癒組成物は、口内潰瘍及び熱傷などの傷ついた口内組織を保護し且つその治癒を促進するのに、口内洗浄剤又はスプレーの形で口内に用いることができる。局所用治療用創傷治癒組成物は、更に、コンタクトレンズの洗浄に用いられる過酸化水素を中和するアイケア製品などの眼科用製剤で用いることができる。局所用治療用創傷治癒組成物は、更に、肛門直腸用クリーム剤及び坐剤で用いて、肛門そう痒症、直腸炎、肛門裂傷及び痔などの症状を治療することができる。最初に、白血球が創傷部位に入ると、その細胞は酸素ラジカルを放出し、創傷部位で酸化防止剤を消耗させ、それによって治癒過程を損なわせる。創傷治癒製剤中に本発明の創傷治癒組成物を包含させることは、該部位に利用可能な酸化防止剤及び膜修復に必要な脂肪酸源を与えることにより、治癒を促進させるであろう。本創傷治癒組成物は、次の事項、つまり、(a)切り傷及びすり傷の治癒;(b)熱傷(瘢痕及び痂皮の少ない熱傷を治癒する);(c)褥瘡性潰瘍;(d)褥瘡、圧迫性潰瘍;(e)裂溝、痔;(f)免疫刺激薬との併用(欠乏症の人々を治癒するに際して刺激する);(g)外科手術後創傷;(h)包帯;(i)糖尿病性潰瘍;(j)静脈性潰瘍形成;及び(k)創傷洗浄剤との併用に対して用いることができる。
治療用創傷治癒組成物は、摂取可能な製品で用いて、びらん、胃潰瘍及び胃粘膜での出血を保護してそれらの回復速度を増加させることもできる。他の摂取可能な治療用製品には、発作薬;自己免疫疾患薬剤;関節炎薬剤;潰瘍薬剤;癌薬剤(細胞毒薬);局所心室機能を向上させ且つ正常な心拍数及び心圧機能を回復させる心臓薬剤;傷ついた組織を修復する肺薬剤;アルコール起原の脂質生成を抑制し且つ肝脂肪症を予防する肝臓薬剤;尿結石(腎臓結石)を抑制する腎臓薬剤;重金属中毒、シアナイド中毒、硫化ナトリウム中毒、他の種類の中毒に拮抗する解毒薬が含まれ;そして、それらは、組織に対する傷害を引き起こす酸素ラジカルの生成を減少させ且つ中和して、傷ついた哺乳動物細胞を保護し且つその回復速度を更に増加させる。治療用創傷治癒組成物は、摂取可能な製品で用いて、肝炎、胃炎、大腸炎、食道炎、関節炎及び膵炎などの炎症性疾患を治療することができる。
本発明の治療用創傷治癒組成物は、更に、組織培養培地及び臓器移植培地中で用いて、哺乳動物細胞に対する傷害を防止し且つ低減させ、そして傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を増加させることができる。組織培養物及び移植臓器は、傷ついた細胞によって培地中に生じた反応性酸素種に遭遇する。虚血後の再潅流傷害のために輸送及び移植中の酸化的損傷に対して特に感受性の臓器は、角膜、肝臓、心臓及び腎臓である。治療用創傷治癒組成物は、このような移植臓器に対する再潅流傷害をなくするのに有用でありうる。
具体的な態様において、本発明は、哺乳動物細胞を培地中で保存する方法であって、
(A)(I.A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;
(I.B)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるピルベート;
(b)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;
(I.C)(a)酸化防止剤;及び
(b)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;
(I.D)(a)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群から選択されるラクテート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;及び
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が傷ついた哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物
から成る群から選択される治療用創傷治癒組成物を準備し;
(B)培地中に哺乳動物細胞を準備し;そして
(C)工程(A)からの治療用創傷治癒組成物を工程(B)からの培地中の哺乳動物細胞に接触させる工程を含む方法に向けられている。
D.エンボディメント1(I.A−E)の治療用創傷治癒組成物の配合
製造したら、本発明のエンボディメント1(I.A−E)の治療用創傷治癒組成物は、将来の使用のために貯蔵しても薬学的に許容できるキャリヤと一緒に有効量で配合して、多種多様な医薬組成物を製造することができる。薬学的に許容できるキャリヤの例は、製薬器具、局所用ビヒクル(非口内及び口内用)及び摂取可能なビヒクルである。
製薬器具の例は、縫合糸、ステープル、ガーゼ、包帯、熱傷包帯剤、人工皮膚、リポソーム又はミセル製剤、マイクロカプセル、ガーゼ包帯剤を浸漬するための水性ビヒクル等及びそれらの混合物である。非口内局所用組成物は、クリーム剤、ゲル製剤、泡剤、軟膏剤及びスプレー剤、膏薬、及び薄膜剤などの非口内局所用ビヒクルを用い、それらは皮膚又は体腔に対して適用するためのものであり、口内に使用するためのものではない。口内局所用組成物は、口内洗浄剤、リンス剤、口内スプレー剤、懸濁剤及び歯科用ゲル剤などの口内用ビヒクルを用い、それらは口内に使用するためのものであるが、摂取されるためのものではない。摂取可能な組成物は、口中錠、錠剤、タフィー、ヌガー、懸濁剤、咀嚼キャンディ及びチューインガムなどの硬質及び軟質糖菓を含む、糖菓用増量剤などの摂取可能な又は部分的に接収可能なビヒクルを用いる。
本発明の一つの形態において、治療用創傷治癒組成物は、縫合糸、ステープル、ガーゼ、包帯、熱傷包帯剤、人工皮膚、リポソーム又はミセル製剤、マイクロカプセル、ガーゼ包帯剤を浸漬するための水性ビヒクル等及びそれらの混合物の形であってもよい製薬器具中に組み入れられる。場合により、緩衝剤、保存剤、張性調整剤、酸化防止剤、粘度調整用及び増量剤として用いるためのポリマー、及び賦形剤等のような種々の伝統的な成分を有効量で医薬組成物中に含むことができる。このような伝統的成分の具体的な代表例には、酢酸及びホウ酸緩衝剤;チメロサール;ソルビン酸、メチル及びプロピルパラベン、及びクロロブタノール保存剤;張性を調整するための塩化ナトリウム及び糖;及びマンニトール、ラクトース及びスクロースなどの賦形剤が含まれる。薬学分野の当業者に知られている他の慣用的な医薬品添加物も、この医薬組成物中に用いることができる。
本発明によれば、本発明の治療用創傷治癒組成物の治療的有効量を製薬器具において用いることができる。その量は、過度の実験を必要とすることなく、当業者によって容易に決定される。用いられる治療用創傷治癒組成物の正確な量は、治療用創傷治癒組成物の種類及び濃度、及び用いられる製薬器具の種類などの因子によって決められる。したがって、治療用創傷治癒組成物の量は、最終製品で望まれる結果を得るために変更することができ、このような変更は、過度の実験を必要とすることなく、当業者の能力の範囲内である。好ましい態様において、この医薬組成物は、その医薬組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量の治療用創傷治癒組成物を含むであろう。更に好ましい態様において、この医薬組成物は、その医薬組成物の約0.1重量%〜約3重量%の量の治療用創傷治癒組成物を含むであろう。最も好ましい態様において、この医薬組成物は、その医薬組成物の約0.1重量%〜約1重量%の量の治療用創傷治癒組成物を含むであろう。
本発明は、医薬組成物を製造する方法に及ぶ。概して、医薬組成物は、治療的有効量の治療用創傷治癒組成物を製薬器具及び最終的に所望の医薬組成物の他の成分と接触させることによって製造される。治療用創傷治癒組成物は、溶媒中のものであっても製薬器具上に吸収されていてよい。
他の成分は、通常、当業者によって周知であるように、所望の組成物の性状によって必要とされるようにその組成物中に組み入れられるであろう。最終的な医薬組成物は、薬学分野において一般的に知られている方法を用いて容易に製造される。
本発明のもう一つの態様において、治療用創傷治癒組成物は、クリーム、ゲル、泡、軟膏及びスプレー等の形であってよい非口内局所用ビヒクル中に組み入れられる。薬学分野で知られている典型的な無毒性非口内局所用ビヒクルを、本発明において用いることができる。好ましい非口内局所用ビヒクルは、水、及びエチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン等のような薬学的に許容できる水混和性有機溶媒、並びにこれらの溶媒の混合物である。水−アルコール混合物は特に好ましく、概して、約1:1〜約20:1、好ましくは、約3:1〜約20:1、そして最も好ましくは、約3:1〜約10:1の重量比で用いられる。
非口内局所用治療用創傷治癒組成物は、更に、それらの製品中で用いられる慣用的な添加剤を含むことができる。慣用的な添加剤には、湿潤剤、皮膚軟化薬、滑沢剤、安定化剤、染料及び香料が含まれる。但し、それらの添加剤は治療用創傷治癒組成物の治療的性質の妨げにならないことを条件とする。
非口内局所用治療用創傷治癒組成物において有用な適当な湿潤剤には、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン、フルクトース等及びそれらの混合物が含まれる。湿潤剤を用いた場合、局所用治療用創傷治癒組成物の約10重量%〜約20重量%の量で存在しうる。
非口内局所用治療用創傷治癒組成物において有用な着色剤は、所望の色を生じるのに有効な量で用いられる。これらの着色剤には、非口内局所用治療用創傷治癒組成物の最大約6重量%までの量で取り込まれうる顔料を包含する。好ましい顔料である二酸化チタンは、非口内局所用治療用創傷治癒組成物の最大約2重量%まで、好ましくは、約1重量%未満の量で取り込まれうる。着色剤には、食物、薬物及び化粧品用途に適した天然食用色素及び染料も含まれうる。これらの着色剤は、F.D.&C.染料及びレーキとして知られている。前述の用途に許容できる材料は、水溶性であるのが好ましい。典型的な非制限例には、F.D.&C.ブルー2号として知られているインジゴイド染料が含まれ、それは5,5−インジゴスズジスルホン酸の二ナトリウム塩である。同様に、F.D.&C.グリーン1号として知られる染料は、トリフェニルメタン染料を含みそれは4−[4−(N−エチル−p−スルホニウムベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]−[1−(N−エチル−N−p−スルホニウムベンジル)−δ−2,5−シクロヘキサジエンイミン]の一ナトリウム塩である。F.D.&C.着色剤全部の完全な詳述及びそれらの対応する化学構造は、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,5巻,857-884頁で見ることができ、その内容は本明細書中に援用される。
本発明によれば、治療的有効量の本発明の治療用創傷治癒組成物を非口内局所用ビヒクルと混合して、局所用治療用創傷治癒組成物を生成することができる。これらの量は、過度の実験を必要とすることなく、当業者によって容易に決定される。好ましい態様において、非口内局所用治療用創傷治癒組成物は、非口内局所用治療用創傷治癒組成物の約0.1重量%〜約10重量%の量の治療用創傷治癒組成物及び組成物の全量を100重量%にするのに十分な量の非口内局所用ビヒクルを含むであろう。より好ましい態様において、非口内局所用治療用創傷治癒組成物は、非口内局所用治療用創傷治癒組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量の治療用創傷治癒組成物を含むであろうし、そして最も好ましい態様において、非口内局所用治療用創傷治癒組成物は、約0.1重量%〜約2重量%の量の治療用創傷治癒組成物、及び組成物の全量を100重量%にするのに十分な量の非口内局所用ビヒクルを含むであろう。
本発明は、非口内局所用治療用創傷治癒組成物を製造する方法に及ぶ。このような方法において、非口内局所用治療用創傷治癒組成物は、治療的有効量の本発明の治療用創傷治癒組成物及び非口内局所用ビヒクルを混和することによって製造される。最終組成物は、薬学分野の当業者によって一般的に知られている標準的な方法及び装置を用いて容易に製造される。本発明によって有用な装置は、薬学分野において周知の混合装置を含み、したがって、具体的な装置の選択は当業者に明らかであろう。
本発明のもう一つの形態において、治療用創傷治癒組成物は、口内洗浄剤、リンス剤、口内スプレー剤、懸濁剤、歯科用ゲル剤等の形でありうる口内局所用ビヒクル中に組み入れられる。薬学分野において知られている典型的な無毒性口内ビヒクルを本発明において用いることができる。好ましい口内用ビヒクルは、水、エタノール及び水−エタノール混合液である。水−エタノール混合液は、概して、それぞれ約1:1〜約20:1、好ましくは、約3:1〜約20:1、そして最も好ましくは、約3:1〜約10:1の重量比で用いられる。口内用ビヒクルのpH値は、概して、約4〜約7、そして好ましくは、約5〜約6.5である。pH値が4未満の口内局所用ビヒクルは、概して、口腔に対して刺激性であり、pH値が約7より大きな口内用ビヒクルは、概して、不快な口内感触を生じる。
口内局所用治療用創傷治癒組成物は、それらの製品中で通常用いられる慣用的な添加剤を含むこともできる。慣用的な添加剤には、フッ素付与化合物、甘味剤、風味剤、着色剤、湿潤剤、緩衝剤及び乳化剤が含まれる。但し、それら添加剤が治療用創傷治癒組成物の治療的性質の妨げにならないことを条件とする。
非口内局所用治療用創傷治癒組成物において有用であると上に示された着色剤及び湿潤剤、及び用いられるこれら添加剤の量を、口内局所用治療用創傷治癒組成物に用いることができる。
フッ素付与化合物は、完全に又は僅かに水溶性であってよく、水中にフッ素イオン又はフッ素含有イオンを放出する能力及び組成物中の他の成分とそれらが反応しないことを特徴とする。典型的なフッ素付与化合物は、水溶性アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び重金属塩などの無機フッ化物塩、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化第一銅、フッ化亜鉛、フッ化第二スズ、フッ化第一スズ、フッ化バリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フルオロジルコニウム酸ナトリウム、モノフフルオロリン酸ナトリウム、モノ−及びジフルオロリン酸アルミニウム、及びフッ素化ピロリン酸カルシウムナトリウムである。フッ化ナトリウム及びフッ化第一スズ、モノフルオロリン酸ナトリウム、及びそれらの混合物などのアルカリ金属フッ化物、フッ化スズ及びモノフルオロリン酸塩が好ましい。
本口内局所用治療用創傷治癒組成物中に存在するフッ素付与化合物の量は、用いられるフッ素付与化合物の種類、フッ素化合物の溶解性、及び最終口内治療用創傷治癒組成物の性状に依る。用いられるフッ素付与化合物の量は、無毒な量でなければならない、概して、フッ素付与化合物が用いられる場合、口内局所用治療用創傷治癒組成物の最大約1重量%まで、好ましくは、約0.001重量%〜約0.1重量%、そして最も好ましくは、約0.001重量%〜約0.05重量%の量で存在するであろう。
甘味剤を用いる場合、天然及び人工甘味剤両方を含む当該技術分野において周知の甘味剤を用いることができる。用いられる甘味剤は、水溶性甘味剤、水溶性人工甘味剤、天然に存在する水溶性甘味剤から誘導された水溶性甘味剤、ジペプチド基剤甘味剤及びタンパク質基剤甘味剤、及びそれらの混合物を含めた広範囲の材料から選択されうる。特定の甘味剤に限定されることなく、代表的な種類及び例には、
(a)キシロース、リボース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(レブロース)、スクロース(砂糖)、マルトース、転化糖(スクロースから誘導されたフルクトース及びグルコースの混合物)、部分加水分解デンプン、コーンシロップ固体、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド及びグリシルリチン、及びそれらの混合物のような単糖、二糖及び多糖などの水溶性甘味剤;
(b)可溶性サッカリン塩、すなわち、サッカリンナトリウム塩又はサッカリンカルシウム塩、シクラミン酸塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム塩、アンモニウム塩又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(Acesulfame−K)、フリーの酸の型のサッカリン等のような水溶性人工甘味剤;
(c)L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(Aspartame)及び米国特許第3,492,131号で記載された物質、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物(Alitame)、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニルグリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン;L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)アラニン等のようなL−アスパラギン酸誘導甘味剤などのジペフチド基剤甘味剤;
(d)普通の砂糖(スクロース)の塩素化誘導体のような天然に存在する水溶性甘味剤から誘導された水溶性甘味剤、例えば、Sucraloseの製品名で知られているクロロデオキシスクロース又はクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体などのクロロデオキシ糖誘導体;なお、クロロデオキシスクロース及びクロロデオキシガラクトスクロース誘導体の例には、以下に限定されないが、1−クロロ−1′−デオキシスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−α−D−フルクトフラノシド又は4−クロロ−4−デオキシガラクトスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1−クロロ−1−デオキシ−β−D−フルクトフラノシド又は4,1′−ジクロロ−4,1′−ジデオキシガラクトスクロース;1′,6′−ジクロロ−1′,6′−ジデオキシスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド又は4,1′,6′−トリクロロ−4,1′,6′−トリデオキシガラクトスクロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−6−クロロ−6−デオキシ−β−D−フルクトフラノシド又は4,6,6′−トリクロロ−4,6,6′−トリデオキシガラクトスクロース;6,1′,6′−トリクロロ−6,1′,6′−トリデオキシスクロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド又は4,6,1′,6′−テトラクロロ−4,6,1′,6′−テトラデオキシガラクトスクロース;及び4,6,1′,6′−テトラクロロ−4,6,1′,6′−テトラデオキシスクロースが含まれる;及び
(e)thaumaoccous danielli(Thaumatin I及びII)などのタンパク質基剤甘味剤が含まれる。
一般的に、有効量の甘味剤を用いて、特有の口内局所用治療用創傷治癒組成物において所望される甘味のレベルを提供する。この量は、選択される甘味剤及び所望される最終口内治療用製品によって変化する。通常存在する甘味剤の量は、用いられる甘味剤に依存して、口内局所用治療用創傷治癒組成物の重量の約0.0025重量%〜約90重量%で存在する。甘味剤の各タイプに関する量の正確な範囲は、当該技術分野において公知であり、本発明の主題ではない。用いることができる風味剤(flavoring agents, flavors, flavorants)としては、例えば天然の及び人工の風味剤のような当業者に公知の風味剤が挙げられる。適当な風味剤としては、例えばペパーミントのようなミント、例えばオレンジ及びレモンのような柑橘類風味剤、人工バニラ、シナモン、種々の果実風味剤、それら単独及びそれらの混合したものなどが挙げられる。
口内局所用治療用創傷治癒組成物において用いられる風味剤の量は、通常は、最終の口内治療用創傷治癒組成物のタイプ、用いられるそれぞれの風味、及び所望される風味の強さのような要因によって決定される嗜好の問題である。したがって、風味剤の量は、最終製品において所望される結果を得るために変化させることができ、またそのような変化は、過度の実験を必要とせずに、当業者が容易に行える。風味剤を用いるときは、一般的に、口内治療用創傷治癒組成物の重量の例えば約0.05重量%〜約6重量%の量で用いられる。
非口内局所用治療用創傷組成物において有用な適当な緩衝溶液には、非口内局所用治療用創傷治癒組成物の約1重量%まで、好ましくは約0.05重量%〜約0.5重量%の量のクエン酸−クエン酸ナトリウム溶液、リン酸−リン酸ナトリウム溶液、及び酢酸−酢酸ナトリウム溶液が含まれる。
本発明によれば、治療的有効量の本発明の治療用創傷治癒組成物を口内局所用ビヒクルと混和して、局所用治療用創傷治癒組成物をつくることができる。これらの量は、過度の実験を必要とせずに、当業者によって容易に決定される。好ましい態様では、口内局所用治療用創傷治癒組成物は、治療用創傷治癒組成物を口内局所用治療用創傷治癒組成物の約0.1重量%〜約10重量%の量で含み、口内局所用ビヒクルを組成物の総量を100%とするのに十分な量で含む。より好ましい態様では、口内局所用治療用創傷治癒組成物は、治療用創傷治癒組成物を口内局所用治療用創傷治癒組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で含み、最も好ましい態様では、口内局所用治療用創傷治癒組成物は、治療用創傷治癒組成物を約0.1重量%〜約2重量%の量で含み、口内局所用ビヒクルを組成物の総量を100%とするのに十分な量で含む。
本発明は、口内局所用治療用創傷治癒組成物を調製する方法に及ぶ。そのような方法では、口内局所用治療用創傷治癒組成物は、治療的有効量の本発明の治療用創傷治癒組成物と口内局所用ビヒクルとを混和することによって調製される。最終組成物は、薬学分野の当業者には広く知られた標準的な方法及び装置を用いて容易に調製される。本発明による有用な装置は、薬学分野で周知の混合装置を含むので、特定の装置の選択は当業者には明らかであろう。
好ましい態様では、口内局所用治療用創傷治癒組成物は、まず、着色剤、風味剤、及び同じような添加剤を水中に溶かすことによって製造される。次に、治療用創傷治癒組成物をこの水溶液と混和する。次いで、最終溶液体積に達するまで、この溶液に十分な水又はエタノール、あるいは水とエタノールとの混合物を混合しながら加える。より好ましい態様では、治療用創傷治癒組成物を最終成分としてこの溶液に加える。最終の口内局所用治療用創傷治癒組成物は、薬学分野において広く知られた方法を用いて容易に調製される。
口内治療用創傷治癒組成物は、歯科用ゲル剤の形態であっても良い。本明細書で用いている“ゲル”という用語は、相当量の水を含む固体又は半固体のコロイドを意味している。ゲル中のコロイド粒子は、その内側に含まれている水を固定する合着網の中で一緒に連結されている。
本発明の歯科用ゲル組成物は、口内局所用治療用創傷治癒組成物に関して上記した慣用的な添加剤、例えば、口内洗浄剤、リンス剤、口内用スプレー剤、及び懸濁剤を含むことができ、更に、治療用創傷治癒組成物の治療的特性を妨げないという条件下で、追加の添加剤、例えば、歯磨き剤、知覚鈍麻剤などを含むこともできる。
歯科用ゲル組成物においては、口内ビヒクルは、一般的には、水を典型的には歯科用ゲル組成物の約10重量%〜約90重量%の量で含む。ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及びそれらの混合物も、歯科用ゲル組成物の約18重量%〜約30重量%の量で、湿潤剤又は結合剤としてこのビヒクル中に存在しても良い。特に好ましい口内ビヒクルは、水とポリエチレングリコールとの混合物又は水とグリセリン及びポリプロピレングリコールとの混合物を含む。
本発明の歯科用ゲルには、天然又は合成のガム又はゼラチンのようなゲル化剤(増粘剤)が含まれる。ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、グリセリン、カルボキシポリメチレン、及びゼラチンなど、及びそれらの混合物のようなゲル化剤を用いることができる。好ましいゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロースである。ゲル化剤は、歯科用ゲル組成物の約0.5重量%〜約5重量%、好ましくは約0.5重量%〜約2重量%の量で用いることができる。
本発明の歯科用ゲル組成物は、歯磨き剤を含むこともできる。透明なゲルでは、コロイドシリカ及び/又はアルカリ金属アルミノシリケート錯体の歯磨き剤が好ましい。というのは、それら材料は、歯科用ゲル剤で普通に用いられるゲル化系の屈折率に近い屈折率を有するからである。不透明なゲルでは、炭酸カルシウム又はカルシウム二水和物の歯磨き剤を用いることができる。これら歯磨き剤は、歯科用ゲル組成物の約75重量%まで、好ましくは約50重量%までの量で用いることができる。
歯科用ゲルは、クエン酸とクエン酸ナトリウムの組み合わせたもののような知覚鈍麻剤を含むこともできる。クエン酸は、歯科用ゲル組成物の約0.1重量%〜約3重量%、好ましくは約0.2重量%〜約1重量%の量で用いることができ、クエン酸ナトリウムは、約0.3重量%〜約9重量%、好ましくは約0.6重量%〜約3重量%の量で用いることができる。
本発明によれば、本発明の治療用創傷治癒組成物の治療的有効量を歯科用ゲル組成物中に混和することができる。これらの量は、過度の実験を必要とせずに、当業者によって容易に決定される。好ましい態様では、歯科用ゲル組成物は、治療用創傷治癒組成物を歯科用ゲル組成物の約0.1重量%〜約10重量%の量で含み、そして口内局所用ビヒクルを組成物の総量を100%とするのに十分な量で含む。より好ましい態様では、歯科用ゲル組成物は、治療用創傷治癒組成物を歯科用ゲル組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で含み、最も好ましい態様では、歯科用ゲル組成物は、治療用創傷治癒組成物を約0.1重量%〜約2重量%の量で含み、そして口内局所用ビヒクルを組成物の総量を100%とするのに十分な量で含む。
本発明は、治療用歯科用ゲル組成物を調製する方法に及ぶ。そのような方法では、歯科用ゲル組成物は、治療的有効量の本発明の治療用創傷治癒組成物と口内局所用ビヒクルを混和することによって調製される。最終組成物は、歯科及び薬学分野の当業者により広く知られた方法を用いて容易に調製される。本発明による有用な装置は、薬学分野において周知の混合装置を含むので、特定の装置の選択は当業者には明らかであろう。
好ましい態様では、治療用歯科用ゲル組成物は、まず、湿潤剤又は水、あるいはその双方の混合物中にゲル化剤を分散させ、次にその分散液にフッ素付与化合物、甘味剤などのような水溶性添加剤の水溶液を混和し、次に歯磨き剤を添加し、最後に風味剤及び治療用創傷治癒組成物を混和することによってつくる。次に、最終ゲル混合物をチューブに入れるか又は他の方法でパッケージに入れる。ゲル製品中の液体及び固体を調合して、加圧容器から又は折り畳めるチューブから押出せるクリーム状又はゼリー状の塊をつくる。最終治療用創傷治癒組成物は、薬学分野において広く知られている方法を用いて容易に調製される。
本発明のもう一つ別の態様では、治療用創傷治癒組成物を摂取できるビヒクル中に組み入れる。摂取できるビヒクルは、トローチ、錠剤、タフィー、ヌガー、懸濁剤、咀嚼キャンディ、チューインガムなどの形態の糖菓増量剤であっても良い。薬学的に許容できるキャリヤは、限定するものではないが、希釈剤、結合剤及び接着剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、増量剤、風味剤、甘味剤、個々の治療用糖菓剤を調製するために必要とされ得る緩衝剤及び吸着剤のような種々雑多な材料を含む多種多様な材料から調製することができる。
糖菓剤配合物の調製は、歴史的に周知であり、ここ数年あまり変わっていない。糖菓剤は“硬質”糖菓剤又は“軟質”糖菓剤のいずれかとして分類されて来た。本発明の治療用創傷治癒組成物は、本発明組成物を慣用的な硬質及び軟質の糖菓剤中に混和することによって、糖菓剤組成物中に組み入れることができる。
本明細書で用いる場合、糖菓剤材料とは、砂糖、コーンシロップ、及びシュガーレス増量剤の場合には、ソルビトール及びマンニトール及びそれらの混合物の如き糖アルコールのような多種多様な材料から選択される増量剤を含有する物質含む製品を意味している。糖菓剤材料には、トローチ、錠剤、タフィー、ヌガー、懸濁剤、咀嚼キャンディ、チューインガムなどのような典型的な物質が含まれる。増量剤は、組成物の総量を100%とするのに十分な量で存在する。一般的に、増量剤は、摂取できる治療用創傷治癒組成物の約99.98重量%まで、好ましくは約99.9重量%まで、更に好ましくは約99重量%までの量で存在するであろう。
トローチは、口の中でなめて保持することを意図された風味のある医薬品を添加した剤形である。トローチは、平坦形、丸形、八角形及び両凸形で有り得る。トローチの基剤は、一般的に二つの形態:すなわち、ハードボイルドキャンディトローチ及び圧縮錠剤トローチの形態である。
ハードボイルドキャンディトローチは、慣用的な手段によって加工及び配合することができる。一般的に、ハードボイルドキャンディトローチは、砂糖と、非晶質状態又はガラス状態に保たれた他の炭水化物増量剤との混合物から成る基剤を有する。この非晶質形態又はガラス状形態は、一般的に約0.5%〜約1.5%の水分を有する砂糖の固体シロップと考えられる。そのような材料は、通常は、最終組成物の約92重量%までのコーンシロップ、約55重量%までの砂糖、及び約0.1重量%〜約5重量%の水を含む。シロップ成分は、一般的にフルクトースを高含量で含むコーンシロップから調製されるが、他の成分を含んでいてもよい。風味剤、甘味剤、酸味料、着色剤などの更なる成分を添加しても良い。
ボイルドキャンディトローチは、ソルビトール、マニトール、及び水素化コーンシロップなどの非発酵性砂糖から調製することもできる。典型的な水素化コーンシロップは、Roquette Corporationによって製造された市販の製品であるLycasin、及びLonza, Inc. によって製造された市販の製品であるHystarである。キャンディトローチは、固体シロップ成分の約95重量%までのソルビトール、ソルビトールとマンニトールとの割合が約9.5:0.5〜約7.5:2.5の混合物、及び約55重量%までの水素化コーンシロップを含むことができる。
ボイルドキャンディトローチは、慣用的な方法によって、火炎調理器(fire cooker)、真空調理器、及び高速常圧調理器とも呼ばれている掻き取り表面調理器(scraped-surface cookers)を含む慣用的な方法によって普通に調製することができる。
火炎調理器は、ボイルドキャンディトローチ基剤をつくる伝統的な方法を含む。この方法では、所望量の炭水化物増量剤を増量剤が溶解するまでかまの中で加熱することによって水中に溶かす。次に、追加の増量剤を加えて最終温度が145℃〜156℃に達するまで調理を継続してもよい。次に、バッチを冷却してプラスチック様塊に仕上げて、風味剤、着色剤などの添加剤を混和する。
高速常圧調理器は、熱交換器表面を用いて熱交換器表面上でキャンディの薄膜を広げることを含む。キャンディを165℃〜170℃で数分間加熱する。次に、そのキャンディを100℃〜120℃まで急速に冷却し、風味剤、着色剤などの添加剤を混和させることができるプラスチック様塊に仕上げる。
真空調理器では、炭水化物増量剤を125℃〜132℃に煮沸し、真空を適用し、余分の加熱をせずに、追加の水を沸騰させて除去する。調理が完了すると、塊は半固体となってプラスチック様コンシステンシーを有するようになる。この時点で、風味剤、着色剤、及び他の添加剤を、日常的な機械混合操作でその塊の中に混和する。
ボイルドキャンディトローチの慣用的な製造中に風味剤、着色剤及び他の添加剤を均一に混合するために必要とされる最適混合は、材料の均質な分散を得るのに要する時間によって決定される。標準的には、4〜10分の混合時間が許容可能であることを見出した。
ボイルドキャンディトローチを適当に焼いたら、それを加工できる小片へと切断又は所望の形状へと成形することができる。所望の最終製品の形状及び大きさにしたがって、様々な成形技術を用いることができる。硬質糖菓剤の組成及び調製に関する一般的な考察は、H.A.Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Volume I (1980),Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y. p.339-469において見出すことができる。なお、その開示は参照により本明細書に取りいれられるものとする。
本発明による有用な装置は、糖菓剤製造分野において周知の調理装置及び混合装置を含むので、特定の装置の選択は当業者には明らかであろう。
対照的に、圧縮錠剤糖菓剤は、粒状材料を含み、圧力下で構造体へと成形される。これらの糖菓剤は、一般的に、組成物の約95重量%までの量で砂糖を含み、結合剤及び滑剤のような典型的な錠剤賦形剤、ならびに風味剤、着色剤などを含む。
硬質糖菓剤材料に加えて、本発明のトローチは、ヌガー中に含まれているような軟質糖菓剤材料からつくることもできる。ヌガーのような軟質糖菓剤の調製としては、例えば、2つの主成分、すなわち(1)コーンシロップ、水素化デンプン水解物などのような高沸点シロップと(2)卵アルブミン、ゼラチン、大豆誘導化合物のような植物性タンパク質、牛乳タンパク質のようなシュガーレス牛乳誘導化合物、及びそれらの混合物を組み合わせるような慣用的な方法が挙げられる。フラッペは、一般的に比較的軽く、例えば密度は約0.5〜約0.7g/ccの範囲で有り得る。
軟質糖菓剤の高沸点シロップ又は“ボブシロップ(bob syrup)”は、比較的粘性であり、フラッペ成分より高い密度を有し、しばしば、水素化デンプン水解物のようなかなりの量の炭水化物増量剤を含む。慣用的には、最終ヌガー組成物は、撹拌下でフラッペに“ボブシロップ”を添加することによって調製され、基礎的ヌガー混合物をつくる。その後で、風味剤、追加の炭水化物増量剤、着色剤、保存薬、医薬品、それらの混合物などの更なる成分をやはり撹拌下で添加することができる。ヌガー糖菓剤の組成及び調製に関する一般的な考察は、B.W.Minifie, Chocolate, Cocoa and Confectionery :Science and Technology, 2ndedition, AVI Publishing Co., Inc., Westport, Conn.(1980), p.424-425において見出される。なお、その開示は参照により本明細書に取りいれられるものとする。
軟質糖菓剤を調製するための手順は公知の手順を含む。一般的に、フラッペ成分を最初に調製し、その後にシロップ成分を少なくとも約65℃で、好ましくは少なくとも約100℃の温度で撹拌下にゆっくりと添加する。成分の混合物を混合し続けて均質混合物を形成し、その後、その混合物を80℃未満の温度まで冷却する。その時点で風味剤を加えても良い。その混合物を、取り出し易くなり且つ適当な糖菓剤形状へと成形し易くなるまで更に追加の時間混合する。
摂取できる治療用創傷治癒組成物は、医薬懸濁剤の形態であっても良い。本発明の医薬懸濁剤は、医薬配合分野において長い間に確立された慣用的な方法によって調製することができる。懸濁剤は、当該技術分野で懸濁剤を処方する場合に用いられる補助材料を含むことができる。本発明の懸濁剤は、以下の物質を含むことができる:
(a)ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、安息香酸、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、トコフェロールなど、及びそれらの混合物のような保存剤。保存剤は、一般的に、該懸濁剤の約1重量%まで、好ましくは約0.05重量%〜約0.5重量%の量で存在する;
(b)懸濁剤の約1重量%まで、好ましくは約0.05重量%〜約0.5重量%の量のクエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸−リン酸ナトリウム、及び酢酸−酢酸ナトリウムのような緩衝剤;
(c)懸濁剤の約20重量%まで、好ましくは約1重量%〜約15重量%の量のセルロース様メチルセルロース、カラゲナン様アルギニン酸及びその誘導体、キサンタンガム、ゼラチン、アラビアゴム、及び微結晶性セルロースのような懸濁剤又は増量剤;
(d)懸濁剤の約0.2重量%まで、好ましくは約0.01重量%〜約0.1重量%の量のジメチルポリシロキサンのような消泡剤;
(e)甘味剤、例えば天然及び人工の甘味剤の双方を含む当該技術分野において公知の甘味剤である。例えばキシロース、リボース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(レブロース)、スクロース(砂糖)、マルトース、転化糖(スクロースから誘導されたフルクトースとグルコースとの混合物)、部分的に加水分解されたデンプン、コーンシロップ固形物、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、グリシルリチンのような単糖類、二糖類及び多糖類のような甘味剤、及び例えばソルビトール、マンニトール、マルチトール(maltitol)、水素化デンプン水解物及びそれらの混合物のような糖アルコールのような甘味剤を、懸濁剤の重量を基準として、約60重量%以下、好ましくは約20重量%〜約50重量%の量で用いることができる。例えば可溶性サッカリン塩、すなわちナトリウム又はカルシウムのサッカリン塩、シクラミン酸塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム塩、アンモニウム塩又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(Acesulfame-K)、フリーの酸の形などのような水溶性人工甘味剤を、懸濁剤の重量を基準として約0.001重量%〜約5重量%の量で用いることができる;
(f)天然及び人工の風味剤のような当該技術分野で周知の風味剤、及びペパーミント、メントールのようなミント、オレンジ及びレモンのような柑橘系風味剤、人工バニラ、シナモン、様々な果実風味剤のような風味剤を、単独及びそれらを混合して懸濁剤の約0.5重量%〜約5重量%の量で用いることができる;
(g)着色剤、例えば、懸濁剤の重量を基準として約6重量%以下の量で混和することができる顔料である。好ましい顔料、すなわち二酸化チタンを、懸濁剤の重量を基準として約2重量%以下、好ましくは約1重量%未満の量で混和することができる。着色剤は、食品、薬剤及び化粧品の用途に適する天然の食品用の着色料及び染料を含むこともできる。これらの着色剤は、F.D.& C.染料及び染色レーキとして知られている。前記の使用に許容できる材料は、好ましくは水溶性である。前記染料は、懸濁剤の重量を基準として、一般的には約0.25重量%以下、好ましくは約0.05重量%〜約0.2重量%の量で存在する;
(h)脱色剤、例えばメタ亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸などを、懸濁剤中に混和して、劣化による変色を防止することができる。一般的に、脱色剤は、懸濁剤の重量を基準として、約0.25重量%以下、好ましくは約0.05重量%〜約0.2重量%の量で用いることができる;及び
(i)可溶化剤、例えばアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどを用いて、風味剤を可溶化させることができる。一般的に、可溶化剤は、懸濁剤の重量を基準として、約10重量%以下、好ましくは約2重量%〜約5重量%の量で用いることができる
を含むことができる。
本発明の医薬懸濁剤は、以下のようにして調製することができる:すなわち、(A)増量剤を、約40℃〜約95℃、好ましくは約40℃〜約70℃に加熱した水と混合して、増量剤が水不溶性である場合は分散液をつくり、又は増量剤が水溶性である場合は溶液をつくる;
(B)甘味剤を水と混合して、溶液をつくり、;
(C)治療用創傷治癒組成物を増量剤−水混合物と混合して、均質な増量剤−治療用創傷治癒組成物をつくり;
(D)甘味剤溶液を増量剤−治療用創傷治癒組成物と組み合わせ、均質になるまで混合し;
(E)例えば着色剤、風味剤、脱色剤、可溶化剤、消泡剤、緩衝剤及び追加の水のような任意の添加剤材料を、工程(D)の混合物と混合して、懸濁剤をつくる。
本発明の摂取できる治療用創傷治癒組成物は、咀嚼できる形態であっても良い。咀嚼できる配合物において、許容できる安定性及び質、ならびに良い風味及び口あたりを達成するために、いくつもの考慮すべき事柄が重要である。これらの考慮すべき事柄としては、錠剤1錠当たりの活性物質の量、用いられる風味剤、錠剤の圧縮率の程度、及び該組成物の感覚刺激性が挙げられる。
咀嚼できる治療用キャンディは、軟質糖菓剤をつくるのに用いた手順と同様な手順によって調製される。典型的な手順では、フラッペ混合物が加えられている煮沸した砂糖−コーンシロップブレンドをつくる。ボイルド砂糖−コーンシロップブレンドは、約90:10〜約10:90の重量部の割合でブレンドされた砂糖とシロップとから調製することができる。砂糖−コーンシロップ配合物を約120℃を超える温度まで加熱して、水を除去し、溶融した塊を生成させる。フラッペは、一般的に、ゼラチン、卵アルブミン、例えばカゼインのような牛乳タンパク質、及び例えば大豆タンパク質のような植物性タンパク質などから調製し、それをゼラチン溶液に加え、周囲温度で迅速に混合して、空気混和スポンジ様塊をつくる。次に、フラッペを、その溶融キャンディ塊に対して加えて、約65℃〜約120℃の温度で、均質になるまで混合する。
次に、本発明の摂取できる治療用創傷治癒組成物を、温度を約65℃〜950℃まで低下させて、上記均質混合物に対して加えることができ、その後で、例えば風味剤及び着色剤のような追加の成分を加えることができる。その配合物を更に冷却して、所望の寸法の小片へと成形する。
糖菓剤のトローチ形態及び咀嚼できる錠剤形態に関する一般的な考察は、その開示が引例として本明細書に取りいれられているH.A.Lieberman and L.Lachman,Pharmaceutical Dosage Forms : Tablets Volume 1, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y. p.289-466において見出すことができる。
本発明にしたがって、治療的有効量の本発明の治療用創傷治癒組成物を、硬質及び軟質の糖菓剤製品中に混合しても良い。これらの量は、過度の実験を必要とせずに、当業者によって容易に決定される。好ましい態様では、摂取できる治療用創傷治癒組成物は、摂取できる治療用創傷治癒組成物の重量を基準として、治療用創傷治癒組成物を約0.1重量%〜約10重量%の量で、及び摂取できるビヒクル、すなわち薬学的に許容できるキャリヤを組成物の総量を100%とするのに十分な量で含む。更に好ましい態様では、摂取できる組成物は、摂取できる治療用創傷治癒組成物の重量を基準として、治療用創傷治癒組成物を約0.1重量%〜約5重量%の量で含み、最も好ましい態様では、摂取できる組成物は、治療用創傷治癒組成物を約0.1重量%〜約2重量%の量で、及び摂取できるビヒクルを、組成物の総量を100%とするのに十分な量で含む。
本発明は、摂取できる治療用創傷治癒組成物をつくる方法に及び。前記方法では、摂取できる治療用創傷治癒組成物は、治療的有効量の治療用創傷治癒組成物を、薬学的に許容できるキャリヤと混合することによって調製する。本発明にしたがう有用な装置は、糖菓剤分野において公知の混合及び加熱装置を含むので、特定の装置の選択は、当業者には明らかである。最終の摂取できる治療用創傷治癒組成物は、糖菓剤分野で公知の方法を用いて容易に調製される。該治療用創傷治癒組成物は、チューインガムの中に混和しても良い。本発明のこの形態では、チューインガム組成物は、ガム基剤、増量剤、本発明の治療用創傷治癒組成物、及び様々な添加剤を含む。
用いられるガム基剤は、様々な因子、例えば所望される基剤のタイプ、所望されるガムのコンシステンシー、及び最終チューインガム製品をつくるために組成物において用いられる他の成分にしたがって、大きく変わる。ガム基剤は、当該技術分野において公知の任意の水溶性ガム基剤であっても良く、チューインガム及び風船ガムに用いられるガム基剤を含む。ガム基剤における適当なポリマーの例示的例としては、天然及び合成のエラストマー及びゴムの双方が挙げられる。例えば、ガム基剤として適するこれらのポリマーとしては、限定するものではなく、植物由来の物質、例えばチクル、クラウンガム(crown gum)、ニスペロ(nispero)、ロサジンハ(rosadinha)、ジェルトン、ペリロ(perillo)、ニガーグッタ、トッヌー(tunu)、バラタ、グッタ−ペルカ、レチ−カプシ(lechi-capsi)、ソーバ(sorva)、グッタケイ(gutta kay)、それらの混合物などが挙げられる。合成エラストマー、例えばブタジエン−スチレンコポリマー、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマー、ポリエチレン、それらの混合物などが、特に有用である。
ガム基剤としては、無毒性のビニルポリマー、例えばポリビニル酢酸及びその部分加水分解物、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。用いるとき、ビニルポリマーの分子量は約2,000〜約94,000であって良い。
用いられるガム基剤の量は、様々な因子、例えば用いられる基剤のタイプ、所望されるガムのコンシステンシー、及び最終チューインガム製品をつくるために組成物において用いられる他の成分にしたがって、大きく変わる。一般的に、ガム基剤は、最終チューインガム組成物の重量を基準として、約5重量%〜約94重量%、好ましくは約15重量%〜約45重量%、更に好ましくは約15重量%〜約35重量%、及び最も好ましくは約20重量%〜約30重量%の量で存在するであろう。
ガム基剤組成物は、エラストマー基剤成分を軟化させるのを助けるために、慣用的なエラストマー溶媒を含んでいても良い。そのようなエラストマー溶媒は、例えばα−ピネン又はβ−ピネンのポリマーのようなテルピネン樹脂、又は水素化、二量体化又はポリマー化されたロジン又は変性ロジン及びガムのメチル、グリセロール、又はペンタエリトルトールエステル、又はそれらの混合物を含んでいても良い。本発明で用いる適当なエラストマー溶媒としては、例えば、部分的に水素化されたウッドロジン又はガムロジンのペンタエリトルトールエステル、ウッドロジン又はガムロジンのペンタエリトルトールエステル、ウッドロジンのグリセロールエステル、部分的に二量体化されたウッドロジン又はガムロジンのグリセロールエステル、ポリマー化されたウッドロジン又はガムロジンのグリセロールエステル、タル油ロジンのグリセロールエステル、ウッドロジン又はガムロジンのグリセロールエステル、及び部分的に水素化されたウッドロジン又はガムロジン、及びウッドロジン又はガムロジンの部分的に水素化されたメチルエステル、それらの混合物などが挙げられる。エラストマー溶媒は、ガム基剤の重量を基準として、約5重量%〜約75重量%、好ましくは約45重量%〜約70重量%の量で用いることができる。
例えばラノリン、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、グリセリルトリアセテート、グリセリルレシチン、グリセリルモノステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、アセチル化モノグリセリド、グリセリン、それらの混合物などのような可塑剤又は軟化剤のような様々な伝統的な成分を、ガム基剤中に有効量で含ませることができ、またガム基剤中に混和させて、様々な望ましいテクスチャー及びコンシステンシー特性を得ることもできる。ワックス、例えば天然及び合成のワックス、水素化植物油、例えばポリウレタンワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、微結晶質ワックスのような石油ワックス、脂肪ワックス(fatty waxes)、ソルビタンモノステアレート、獣脂、プロピレングリコール、それらの混合物などを、ガム基剤中に混和して、望ましいテクスチャー及びコンシステンシー特性を得ることもできる。これらの伝統的な追加の材料は、ガム基剤の重量を基準として、一般的に、約30重量%以下の量で、好ましくは約3重量%〜約20重量%の量で用いる。
ガム基剤は、無機補助剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、タルク、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウムなど、ならびにそれらの混合物の有効量を含んでいても良い。これらの無機補助剤は、充填剤及び組織構造剤(textural agents)として役立ち得る。これらの充填剤又は補助剤は、様々な量でガム基剤中で用いることができる。好ましくは、用いる場合、充填剤は、チューインガム基剤の重量を基準として約60重量%以下の量で存在する。
チューインガム基剤は、更に、着色剤、酸化防止剤、保存剤などの慣用的な添加剤を含むことができる。F.D.& C.染料として知られている、例えば食品、薬剤及び化粧品の用途に適する二酸化チタン及び他の染料を用いることができる。酸化防止剤、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、及びそれらの混合物を含ませることもできる。チューインガム技術に熟達した当業者には公知の他の慣用的なチューインガム添加剤を、チューインガム基剤において用いることもできる。
ガム組成物は、甘味剤、可塑剤、軟化剤、乳化剤、ワックス、充填剤、増量剤、無機補助剤、風味剤、着色剤、酸化防止剤、酸味料、増粘剤、それらの混合物などから成る群より選択される有効量の慣用的な添加剤を含むことができる。これらの添加剤のいくつかは、一つ以上の目的に役立ち得る。例えばシュガーレスガム組成物では、甘味剤、例えばソルビトール又は他の糖アルコール又はそれらの混合物は、増粘剤としても作用し得る。同様に、ガム組成物を含む砂糖では、砂糖甘味剤は、増粘剤としても作用することができる。
ガム基剤で用いるのに適当であると上で考察した可塑剤、軟化剤、無機補助剤、着色剤、ワックス及び酸化防止剤を、ガム組成物において用いても良い。用いることができる他の慣用的な添加剤の例としては、例えばメチルセルロース、アルギネート、カラギーナン、キサンサンゴム、ゼラチン、イナゴマメ(carob)、トラガカントゴム、イナゴマメのさや(locust bean)、及びカルボキシメチルセルロースのような他の軟化剤、例えばマレイン酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、及びそれらの混合物のような酸味料、及び例えば無機補助剤の範疇下で上で考察したような充填剤と組み合わせて又は単独で用いられる、例えばレシチン及びグリセリルモノステアレートのような乳化剤、増粘剤が挙げられる。用いる場合、充填剤は、ガム組成物の重量を基準として約60重量%以下の量で用いることができる。
チューインガムにおいて用いるのに適する増量剤(キャリヤ、エキステンダー)としては、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、及びそれらの混合物;ポリデキストロース;マルトデキストリン;無機物質、例えば炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、リン酸二カルシウムなどから成る群より選択される甘味剤が挙げられる。増量剤は、最終ガム組成物の重量を基準として約90重量%以下の量で、好ましくはガム組成物の重量を基準として約40重量%〜約70重量%の量で、チューインガム組成物の重量を基準として更に好ましくは約50重量%〜約65重量%の量で、最も好ましくは約55重量%〜約60重量%の量で用いることができる。
用いられる甘味剤は、水溶性甘味剤、水溶性人工甘味剤、天然に生成する水溶性甘味剤から誘導される水溶性甘味剤、ジペプチド基剤甘味剤、及びタンパク質基剤甘味剤、及びそれらの混合物を含む広範な材料から選択することができる。特定の甘味剤に限定するものではないが、代表的な範疇及び例としては:
(a)例えばキシロース、リボース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(レブロース)、スクロース(砂糖)、マルトース、転化糖(スクロースから誘導されたフルクトースとグルコースとの混合物)、部分的に加水分解されたデンプン、コーンシロップ固形物、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、グリシルリジンのような単糖類、二糖類及び多糖類のような水溶性甘味剤、及び例えばソルビトール、マンニトール、マルチトール、水素化デンプン水解物及びそれらの混合物のような糖アルコールのような水溶性甘味剤;
(b)例えば可溶性サッカリン塩、すなわちナトリウム又はカルシウムのサッカリン塩、シクラメート塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム塩、アンモニウム塩又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(Acesulfame-K)、サッカリンの遊離酸形態などのような水溶性人工甘味剤;
(c)例えばL−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(Aspartame)及び米国特許第3,492,131号で開示されている材料、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニン−アミド水和物(Alitame)、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニル−グリシン、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン;L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニンなどのようなL−アスパラギン酸誘導甘味剤のようなジペプチド基剤甘味剤;
(d)例えばスクラーゼの製品名で知られている、普通の砂糖(スクロース)の塩素化誘導体のような天然に生成する水溶性甘味剤から誘導される水溶性甘味剤;及び
(e)例えばthaumaoccous danielli(タウマチンI及びII)のようなタンパク質基剤甘味剤
が挙げられる。
一般的に、有効量の甘味剤を用いて、増量剤及び/又は甘味剤の所望のレベルを提供する。前記の量は、選択される甘味剤によって変化する。甘味剤の量は、通常は、用いる甘味剤にしたがって、ガム組成物の重量を基準として約0.0025重量%〜約90重量%の量で存在する。各タイプの甘味剤の量の正確な範囲は、当該技術分野において公知であり、本発明の主題ではない。甘味剤の所望レベルを達成するのに通常必要な甘味剤の量は、香油から達成される風味レベルから独立している。
好ましい砂糖基剤甘味剤は、砂糖(スクロース)、コーンシロップ及びそれらの混合物である。好ましい無糖甘味剤は、糖アルコール、人口甘味剤、ジペプチド基剤甘味剤及びそれらの混合物である。好ましくは、これらの甘味剤は、嵩高さ、ならびに所望レベルの甘さを提供するのに十分な量で用いることができる。好ましい糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、及びそれらの混合物から成る群より選択される。更に好ましくは、ソルビトール、又はソルビトールとマンニトールとの混合物が用いられる。好ましくは、ソルビトールのγ形態である。好ましくは、人口甘味剤又はジペプチド基剤甘味剤は、糖アルコールを含むガム組成物に加えられる。
ガム組成物で有用な着色剤は、所望の色を生じさせるのに十分な量で用いられる。これらの着色剤としては、ガム組成物の重量を基準として約6重量%以下の量で混和することができる顔料が挙げられる。好ましい顔料、すなわち二酸化チタンは、該組成物の重量を基準として、約2重量%以下の量で、好ましくは約1重量%未満の量で混和することができる。着色剤としては、食品、薬剤、及び化粧品の用途に適する天然の食品着色剤及び染料を挙げることもできる。これらの着色剤は、F.D.& C.染料及びレーキとして公知である。上記の用途に関して許容できる材料は、好ましくは水溶性である。例示的非限定的例としては、5,5−インジゴチンジスルホン酸の二ナトリウム塩である、F.D.& C. Blue No.2として公知のインジゴイド染料が挙げられる。同様に、F.D.& C. Green No.1として公知の染料は、トリフェニルメタン染料、及び4−[4−(N−エチル−p−スルホニウムベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]−[1−(N−エチル−N−p−スルホニウムベンジル)−デルタ−2,5−シクロヘキサジエンイミン]を含む。すべてのF.D.& C.着色剤及びそれらの対応する化学構造の全反応は、引例として本明細書に取りいれられているKirk-Othmer Encyclopedia of ChemicalTechnology, 3rd Edition, in volume 5, p.857-884において見出すことができる。
ガム組成物で用いることができる適当な油及び脂肪としては、部分的に水素化された植物性又は動物性の脂肪、例えばココナッツ油、パームナッツ油、牛脂、ラードなどが挙げられる。用いる場合、これらの成分は、ガム組成物の重量を基準として、一般的には約7重量%以下、好ましくは約3.5重量%以下の量で存在する。
本発明にしたがって、治療的有効量の本発明の治療用創傷治癒組成物をチューインガム中に混合することができる。これらの量は、過度の実験を必要とせずに、当業者によって容易に決定される。好ましい態様では、最終のチューインガム組成物は、チューインガム組成物の重量を基準として、治療用創傷治癒組成物を約0.1重量%〜約10重量%及び組成物の総量を100%とするのに十分な量のチューインガム組成物を含む。更に好ましい態様では、最終のチューインガム組成物は、チューインガム組成物の重量を基準として、治療用創傷治癒組成物を約0.1重量%〜約5重量%含み、最も好ましい態様では、最終のチューインガム組成物は、治療用創傷治癒組成物を約0.1重量%〜約2重量%、及び組成物の総量を100%とするのに十分な量でチューインガム組成物を含む。
本発明は、治療用チューインガム組成物をつくる方法に及ぶ。治療用創傷治癒組成物は、当業者に公知の標準的な技術及び装置を用いて、慣用的なチューインガム組成物中に混和することができる。本発明にしたがう有用な装置は、チューインガム製造技術で公知の混合装置及び加熱装置を含むので、特定の装置の選択は、当業者には明らかである。
例えば、ガム基剤を、前記基剤の物理的及び化学的な組成に悪影響を及ぼさずに、前記基剤を軟化させるのに十分に高い温度まで加熱する。用いられる最適温度は、用いるガム基剤の組成物にしたがって変化させることができるが、前記温度は、過度の実験を必要とせずに、当業者によって容易に決定される。
ガム基剤は、前記基剤が溶融するのに十分な時間、約60℃〜約120℃の温度で、慣用的な方法で溶融される。例えば、配合物を可塑化し、ならびにガム基剤の硬さ、粘弾性及び二次成形適性を調節する例えば可塑剤、充填剤、増量剤及び/又は甘味剤のような前記基剤の残りの成分と混合して増量するちょっと前に、約30分間、これらの条件下で、ガム基剤を加熱しても良い。次に、チューインガム基剤を、他の伝統的な成分と予め配合されたかもしれない本発明の治療用創傷治癒組成物と配合する。ガム組成物の均質混合物が得られるまで、混合を続ける。その後で、ガム組成物混合物を、所望のチューインガム形状へと成形することができる。
特定の態様では、本発明は、哺乳動物細胞に対する傷を防止し且つ減少させ、損傷した哺乳動物細胞の回復速度を速めるための治療用薬学組成物に関するものであり、本発明は:
(A)(I.A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要とされる脂肪酸である混合物;
(I.B)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるピルベート;
(b)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるラクテート;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要とされる脂肪酸である混合物;
(I.C)(a)酸化防止剤;及び
(b)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要とされる脂肪酸である混合物;
(I.D)(a)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるラクテート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要とされる脂肪酸である混合物;
から成る群より選択されるエンボディメント1(I)の治療的有効量の治療用創傷治癒組成物、及び
(B)薬学的に許容できるキャリヤ
を含む。
薬学的に許容できるキャリヤは、製薬器具、局所用ビヒクル、及び摂取できるビヒクルから成る群より選択され得る。
別の特定の態様では、本発明は、哺乳動物細胞に対する傷を防止しかつ減少させ、傷ついた哺乳動物細胞の回復速度を速める治療用薬学組成物を調製する方法に関するものであり、本方法は、以下の工程:すなわち、
(A)(I.A)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要とされる脂肪酸である混合物;
(I.B)(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるピルベート;
(b)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるラクテート;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要とされる脂肪酸である混合物;
(I.C)(a)酸化防止剤;及び
(b)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要とされる脂肪酸である混合物;
(I.D)(a)乳酸、薬学的に許容できる乳酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるラクテート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要とされる脂肪酸である混合物;
から成る群より選択されるエンボディメント1(I.A-E)の治療的有効量の治療用創傷治癒組成物を提供する工程:
(B)薬学的に許容できるキャリヤを提供する工程;及び
(C)工程(A)からの治療用創傷治癒組成物と、工程(B)からの薬学的に許容できるキャリヤとを混合して、治療用薬学組成物をつくる工程
を含む。
この出願の全体を通して、様々な文献を引用した。これら文献における開示は、技術の現状をより充分に説明するために、参照により本明細書に取り入れられるものとする。
有効な請求の範囲を限定することを意図していない以下の実施例によって、本発明を更に説明する。実施例及び明細書及び請求の範囲の全体を通してすべての部及び%は、特に断りがない限り、最終組成物の重量を基準としている。
E.エンボディメント1(I.A-E)の治療用創傷治癒組成物の実施例
検討1
この検討は、様々な酸化防止剤及び酸化防止剤の組み合わせに対してU937単核細胞を曝した後に、該細胞の生存率に関する比較を示している。この検討は、様々な酸化防止剤及び酸化防止剤の組み合わせに対してU937単核細胞及び哺乳動物表皮ケラチノサイトを曝した後に、該細胞によって産生される過酸化水素のレベルに関する比較も示している。この検討の結果は、以下の図1〜4及び実施例1〜26で説明する。
哺乳動物の表皮ケラチノサイト及び単核細胞を用いて、これらの細胞における過酸化水素のレベルを低下させる様々な酸化防止剤の能力を試験した。前記細胞を、波長290〜320nmの紫外線(UV-B)に対して、又は抗炎症性化合物12−0−テトラデカノイル−フォルボール−13−アセテート(TPA)に対して曝した後、過酸化水素を測定した。ピルビン酸ナトリウムを様々な濃度で試験して、表皮細胞及び単核細胞による過酸化水素産生に関するこの酸化防止剤の濃度効果を測定した。次に、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、及びピルビン酸ナトリウムとアスコルビン酸、乳酸、及びビタミンEとの組み合わせを試験して、表皮細胞及び単核細胞による過酸化水素産生に関するこれら塩と酸化防止剤の組み合わせの効果を測定した。
哺乳動物表皮ケラチノサイトを、上皮シート(epithelial sheets)をトリプシン処理することによって単離し、表皮成長因子、ウシ下垂体抽出物、及びヒドロコルチゾンを補充した修飾基本MCDB153培地で増殖させた。細胞を、37℃で5%二酸化炭素雰囲気下の加湿されたインキュベーター中で維持した。ケラチノサイトを、1皿当たり細胞3x105個の細胞密度の60mm培養皿の中に接種し、その培養物を、紫外-B光(100mJ/cm2)の1M.E.D線量に曝すか、又はTPA100ng/mlで処理した。
U937単核細胞は、10%ウシ胎児血清を有するRPMI培地で増殖した培養細胞系である。細胞は、1皿当たり細胞1x106個を超えない接種密度において、37℃、5%二酸化炭素雰囲気下の60mm培養皿の中で保持した。
ピルビン酸ナトリウム、乳酸、アスコルビン酸、及びビタミンEを、十分な界面活性剤と共に、蒸留水中に溶かした。調製したピルビン酸ナトリウムの濃度は、1mM,10mM,50mM,100mM,及び200mMであった。調製した乳酸溶液の濃度は、1.0%,0.1%,及び0.05%であった。調製したアスコルビン酸溶液の濃度は、1.0%,0.1%,0.05%,及び0.025%であった。調製したビタミンE溶液の濃度は、1U,10U,50U,及び100Uであった。試験溶液は、1.0N水酸化ナトリウム溶液でpH7.4に調節し、次に滅菌濾過した。紫外線-B又はTPA[100ng/ml]に対して細胞を曝す前に、適当な濃度の試験溶液又は試験溶液を組み合わせを直ちに細胞に加えた。ビヒクルが培地の総体積の1%以上を構成しないように、ストックの溶液を調製した。
哺乳動物の表皮ケラチノサイト及びU937単核細胞による細胞内の過酸化水素産生を、ジクロロフルオレセインジアセテート(DCFH-DA, Molecular Probes, Eugene, Ore.)を用いて測定した。DCFH-DAは、容易に細胞中に拡散し、極性非螢光誘導体DCFHへと加水分解されて、細胞中に取り込まれる非極性非螢光化合物である。細胞内に過酸化水素が存在する場合、DCFHは酸化されて、高濃度の螢光化合物DCFとなる。故に、細胞内の螢光強度は、産生される細胞内過酸化水素のレベルに直接比例する。細胞内螢光強度は、螢光定量法によって及びフローサイトメトリーによってモニターすることができる。
哺乳動物の表皮ケラチノサイト及びU937培養単核細胞(1皿当たり1x106)を、DCFH-DA5uMと共に37℃で培養した。過酸化水素の産生を、Coulter Profile分析フローサイトメトリーを用いて測定した。線形で対数強度の緑色螢光データが収集された。各分析に関して、10,000〜20,000の量の事象が蓄積された。装置に関する光学的アラインメントは、毎日行った。正角度光散乱(forward angle light scatter)及び積分緑色螢光(integrated green fluorescence)の係数の変化は、一般的に2未満であった。各分析を3回繰り返し、螢光の量を1細胞当たりの酸化されたDCFのフェムトモル(fmol, 10-15モル)で表現した。これは、産生された細胞内過酸化水素の直接指標である。また、実施例27〜52における飽和及び不飽和の脂肪酸実施例で、螢光定量法を用いて、1細胞当たりのDCF酸化を評価した。
24時間、様々な酸化防止剤に対して細胞を曝した後のU937単核細胞の生存率を測定した。細胞の生存率は、染料沃化プロピジウムに対して細胞を曝すことによって測定した。前記染料を吸収した透過性細胞膜は、生存可能であると考えなかった。細胞の生存率は、沃化プロピジウムを排除した細胞の百分率で表した。図1は、酸化防止剤に曝していない(実施例1、対照)、ピルビン酸ナトリウム(実施例2)、アスコルビン酸(実施例3)、乳酸(実施例4)、及びビタミンE(実施例5)に曝した後のU937単核細胞の生存率を、棒グラフで記述したものである。図2は、酸化防止剤の様々な組み合わせに対して細胞を曝した後のU937単核細胞の生存率を、棒グラフで記述したものである。詳しくは、U937単核細胞の生存率を、酸化防止剤に曝していない(実施例6、対照)、アスコルビン酸と乳酸(実施例7)、アスコルビン酸とビタミンE(実施例8)、ピルビン酸ナトリウムとアスコルビン酸(実施例9)、ピルビン酸ナトリウムと乳酸(実施例10)、ピルビン酸ナトリウムとビタミンE(実施例11)、乳酸とビタミンE(実施例12)、及びピルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸及び乳酸(実施例13)に対して曝した後に、測定した。
図1から、アスコルビン酸には、0.25%ほどの低い濃度で、単核細胞に対して細胞毒があることが分かる。図2からは、アスコルビン酸の細胞毒が、ピルビン酸ナトリウム10mMを添加することによって反転したことが分かる。図1及び図2は、アスコルビン酸で処理したときの細胞の生存率15%〜20%が、ピルビン酸ナトリウムを添加すると、95%〜98%まで増加したことを示している。乳酸及びビタミンEは、アスコルビン酸の細胞毒を反転させなかった。
ピルビン酸ナトリウムを様々な濃度で試験して、表皮細胞及び単核細胞による過酸化水素産生に関する、この酸化防止剤の濃度効果を測定した。哺乳動物の表皮ケラチノサイト及び単核細胞を、次の濃度:すなわち、200mM,100mM,50mM,10mM,1mM濃度のピルビン酸ナトリウムの存在下で、(a)紫外線-Bの1M.E.D線量、及び(b)100ng/mlの12−O−テトラデカノイルフォルボール−13−アセテート(TPA)に対して曝した。
表皮細胞及び単核細胞による過酸化水素産生を減少させるのにピルビン酸ナトリウムの最適濃度は、10mMであることを発見した。50mM及び上記のピルビン酸ナトリウム濃度は、表皮ケラチノサイト及び単核細胞の双方に対して細胞毒性であった。
ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、アスコルビン酸、乳酸、及びビタミンE、及びピルビン酸ナトリウムとアスコルビン酸、乳酸、及びビタミンEとの組み合わせを試験して、表皮細胞及び単核細胞による過酸化水素産生に関する、これらの塩の効果、及び酸化防止剤の組み合わせの効果を測定した。以下の試験溶液を調製した。
(a)ピルビン酸ナトリウム[10mM];
(b)亜鉛塩[10mM];
(c)マグネシウム塩[10mM];
(d)カルシウム塩[10mM];
(e)ピルビン酸ナトリウム[10mM]及びアスコルビン酸[0.025%];
(f)ピルビン酸ナトリウム[10mM]及び乳酸[0.05%];
(g)ピルビン酸ナトリウム[10mM],乳酸[0.05%]及びアスコルビン酸[0.025%];
(h)乳酸[1.0%,0.1%及び0.05%];
(i)アスコルビン酸[1.0%,0.1%,0.05%及び0.025%];
(j)ビタミンE[1U,10U,50U及び100U];及び
(k)ビヒクル溶媒対照。
表皮細胞及び単核細胞による過酸化水素産生に関して、ピルビン酸の亜鉛、マグネシウム、及びカルシウムの塩の間に有意な差はなかった。ピルビン酸の亜鉛及びカルシウムの塩は、ケラチノサイトの分化を誘発した。便宜上、次の試験ではナトリウム塩を用いた。
表皮細胞及び単核細胞による過酸化水素産生を減少させる乳酸の最適濃度は、0.05%であることを発見した。アスコルビン酸の最適濃度は、0.025%であることを発見した。より高濃度のこれらの化合物の双方とも、細胞の両方のタイプに対して細胞毒性があることを発見した。ビタミンEの最適濃度は、50Uであることを発見した。
図3は、酸化防止剤に曝していない(実施例14、対照)、ピルビン酸ナトリウム(実施例15)、アスコルビン酸(実施例16)、乳酸(実施例17)、及びビタミンE(実施例18)に曝した後のU937単核細胞によって産生された過酸化水素のレベルを、棒グラフで記述したものである。ピルビン酸ナトリウム及びビタミンEは、単核細胞による過酸化水素産生を有意に減少させた。
図4は、酸化防止剤の様々な組み合わせに対して細胞を曝した後のU937単核細胞によって産生された過酸化水素のレベルを、棒グラフで記述したものである。詳しくは、酸化防止剤に曝していない(実施例19、対照)、アスコルビン酸と乳酸(実施例20)、アスコルビン酸とビタミンE(実施例21)、ピルビン酸ナトリウムとアスコルビン酸(実施例22)、ピルビン酸ナトリウムと乳酸(実施例23)、ピルビン酸ナトリウムとビタミンE(実施例24)、乳酸とビタミンE(実施例25)、及びピルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、及び乳酸(実施例26)に対して曝した後に、U937単核細胞によって産生された過酸化水素のレベルを測定した。乳酸(0.05%)及びビタミンE(50U)の組み合わせは、単核細胞による過酸化水素産生を有意に減少させた。
表皮ケラチノサイトにおける形態学的変化が、対照培養物及び紫外線-Bに曝した培養物において観察された。真皮に最も近い層の細胞は、基底ケラチノサイトである。これらの細胞は増殖して、細胞が分化し始める表皮の有棘層及び顆粒層の中に移動する。この分化パターンで、細胞は表皮の最上部で脱核して角質化した外被を形成する。ケラチノサイトの分化は、培地中にあるカルシウム、マグネシウム、及び他の元素のレベルによって調節される。分化を促進する培養系における細胞は、互いとの付着又はしっかりした接合を形成している表皮シート(epidermal sheet)として現れる。培地において、付着していない又は浮遊しているケラチノサイトは、細胞毒に対する応答であると考えられる。
哺乳動物表皮ケラチノサイトにおける以下の形態学的変化が、以下の対照培地に関して観察された:
10mMピルビン酸ナトリウム:細胞のしっかりした接合が形成され、細胞の増殖速度は、対照細胞の増殖速度に比べて速かった。
0.025%アスコルビン酸:細胞は、アスコルビン酸に対する細胞毒応答によって浮遊していた。
0.025%アスコルビン酸及び10mMピルビン酸ナトリウム:細胞のしっかりした接合はほとんど観察されず、細胞は、ピルビン酸ナトリウム培地における細胞と同様に見えた。
0.05%乳酸:細胞は、表皮シートとして及び平坦な顆粒細胞として劇的に変化しているように見えた。
0.05%乳酸及び10mMピルビン酸ナトリウム:細胞は、表皮シートを形成したが、乳酸培地における細胞に比べて、より小さいように見えた。
50UビタミンE:細胞は、対照培地における細胞と同じように見えた。
50UビタミンE及び10mMピルビン酸ナトリウム:細胞は、その数を増し、ピルビン酸ナトリウム培地における細胞と似ている外観が変化した。
哺乳動物表皮ケラチノサイトにおける以下の形態学的変化が、24時間、100ミリジュールの紫外線-Bに曝した対応培地に関して観察された:
10mMピルビン酸ナトリウム:対照培地における細胞に比べて、細胞は一層速く増殖した。
0.025%アスコルビン酸:紫外線-Bに曝されていない対応細胞の細胞毒応答に比べて、細胞は、より大きなアスコルビン酸に対する細胞毒応答によって、付着せずに浮遊していた。
0.05%乳酸:細胞は、表皮シートを形成し、紫外線-Bに曝されていない対照培地における細胞に比べて、一層顆粒状であった。
50UビタミンE:細胞増殖は抑制されたが、細胞は、紫外線-Bに曝されていない対照培地における細胞と同じように見えた。
50UビタミンE及び10mMピルビン酸ナトリウム:細胞は、対照培地における細胞と同様に見え、紫外線-Bに曝していない対照培地における細胞に比べて、より多く増殖した。
対照培地、及び24時間、100ミリジュールの紫外線-Bに曝した培地に関してもU937単核細胞系における形態学的変化が観察された。以下に記載した濃度の化合物及び化合物の組み合わせは、U937単核細胞によって産生される過酸化水素のレベルを著しく抑制した
50mM及び10mMピルビン酸ナトリウム;
50U及び100UビタミンE;及び
0.05%乳酸及び50UビタミンE。
エンボディメント1(I.A-E)の治療用創傷治癒組成物
検討2
この検討は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物を有する及び有しない、酸化防止剤の様々な組み合わせに対して細胞を曝した後の、U937単核細胞及び表皮ケラチノサイトによって産生される過酸化水素のレベルに関する比較を示す。この検討の結果は、以下の図5〜7及び実施例27〜52において示す。
哺乳動物の表皮ケラチノサイト及びU937単核細胞、及びピルビン酸ナトリウム、乳酸、アスコルビン酸、及びビタミンEの溶液を、上記した実施例1〜26のようにして調製した。哺乳動物の表皮ケラチノサイト及びU937単核細胞による細胞内過酸化水素産生も、上記のようにして測定した。
鶏脂0.1%を培地と混合することによって培養細胞に添加するために、鶏脂から誘導された脂肪酸の混合物を調製した。37℃の培地温度において、鶏脂は混和性であった。細胞を紫外線-B又はTPA処理に曝す前に、前記の鶏脂混合物を細胞の培養に加えた。
実施例1〜26で説明したようにして、様々な酸化防止剤、及び飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物[鶏脂0.1%,0.5%,及び1.0%]を有する及び有しない、酸化防止剤の組み合わせの存在下で、哺乳動物の表皮ケラチノサイト及び単核細胞を、(a)紫外線-Bの1M.E.D線量及び(b)12−O−テトラデカノイルフォルボール−13−アセテート100ng/mlに曝した。
図5は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物を有する及び有しない、酸化防止剤の様々な組み合わせに対して細胞を曝した後のU937単核細胞によって産生された過酸化水素のレベルを、棒グラフで記述したものである。詳しくは、U937単核細胞によって産生された過酸化水素のレベルを、脂肪酸を有していない乳酸とビタミンEに対して曝した(実施例27)及び脂肪酸を有する乳酸とビタミンEに対して曝した(実施例28)、脂肪酸を有していないアスコルビン酸と乳酸に対して曝した(実施例29)及び脂肪酸を有するアスコルビン酸と乳酸に対して曝した(実施例30)、脂肪酸を有しないアスコルビン酸とビタミンEに対して曝した(実施例31)及び脂肪酸を有するアスコルビン酸とビタミンEに対して曝した(実施例32)後に、測定した。単核細胞による過酸化水素産生を減少させる、乳酸とビタミンE、アスコルビン酸と乳酸、及びアスコルビン酸とビタミンEの能力は、脂肪酸の存在下で増大した。単核細胞の過酸化水素産生を減少させるのに最も有効な組み合わせは、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物(0.5%)の存在下における、乳酸(0.05%)とビタミンE(50E)との組み合わせであった。
図6は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物を有する及び有しない、様々な酸化防止剤に対して細胞を曝した後の表皮ケラチノサイトによって産生された過酸化水素のレベルを、棒グラフで記述したものである。詳しくは、表皮ケラチノサイトによって産生された過酸化水素のレベルを、脂肪酸にも酸化防止剤にも曝さなかった(実施例33、対照)及び脂肪酸には曝したが酸化防止剤には曝さなかった(実施例34)、脂肪酸を有していないピルビン酸ナトリウムに曝した(実施例35)及び脂肪酸を有するピルビン酸ナトリウムに対して曝した(実施例36)、脂肪酸を有しないアスコルビン酸に対して曝した(実施例37)及び脂肪酸を有するアスコルビン酸に対して曝した(実施例38)、脂肪酸を有しない乳酸に対して曝した(実施例39)及び脂肪酸を有する乳酸に対して曝した(実施例40)、及び脂肪酸を有しないビタミンEに対して曝した(実施例41)及び脂肪酸を有するビタミンEに対して曝した(実施例42)後に、測定した。表皮ケラチノサイトによる過酸化水素産生を減少させる、ピルビン酸ナトリウムとビタミンEの能力は、脂肪酸の存在下で増大した。表皮ケラチノサイトの過酸化水素産生を減少させるのに最も有効な組み合わせは、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物と組み合わせたピルビン酸ナトリウム、及び飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物と組み合わせたビタミンEであった。
図7は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物を有する及び有しない、酸化防止剤の様々な組み合わせに対して細胞を曝した後に、表皮ケラチノサイトによって産生された過酸化水素のレベルを、棒グラフで記述したものである。詳しくは、表皮ケラチノサイトによって産生された過酸化水素のレベルを、脂肪酸にも酸化防止剤にも曝さなかった(実施例43、対照)及び脂肪酸には曝したが酸化防止剤には曝さなかった(実施例44)、脂肪酸を有していないピルビン酸ナトリウムとアスコルビン酸に曝した(実施例45)及び脂肪酸を有するピルビン酸ナトリウムとアスコルビン酸に対して曝した(実施例46)、脂肪酸を有しないピルビン酸ナトリウムと乳酸に対して曝した(実施例47)及び脂肪酸を有するピルビン酸ナトリウムと乳酸に対して曝した(実施例48)、脂肪酸を有しないにピルビン酸ナトリウムとビタミンEに対して曝した(実施例49)及び脂肪酸を有するピルビン酸ナトリウムとビタミンEに対して曝した(実施例50)、及び脂肪酸を有しないアスコルビン酸とビタミンEに対して曝した(実施例51)及び脂肪酸を有するアスコルビン酸とビタミンEに対して曝した(実施例52)後に、測定した。表皮ケラチノサイトによる過酸化水素産生を減少させる、酸化防止剤のすべての組み合わせの能力は、脂肪酸の存在下で増大した。有効性の程度において、表皮ケラチノサイトの過酸化水素産生を減少させるのに最も有効な組み合わせは、それぞれ飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物(0.5%)と組み合わせた、ピルビン酸ナトリウムとビタミンE、ピルビン酸ナトリウムと乳酸、及びビタミンEであった。
上記したアスコルビン酸による細胞の細胞毒の故に、ピルビン酸ナトリウムを有していないアスコルビン酸の組み合わせは、対照試験溶液と有意な差があるとは考えられなかった。
検討1及び2からのデータの総括的分析
ヒト表皮ケラチノサイトを、上皮シートをトリプシン処理することによって単離し、表皮成長因子及びウシ下垂体抽出物を補充した修飾基本MCDB153培地で増殖させた。細胞は、1皿当たり密度3x105個で、培養皿の中に接種した。紫外線-B(100mJ/cm2)又はTPA100ng/mlで処理する前に、培養物を、適当な濃度の創傷治癒成分で処理した。過酸化水素の細胞内産生を、DCFH-DA、すなわち細胞中に容易に拡散し、加水分解されて非極性誘導体になる非極性化合物を用いて、測定した。細胞内過酸化水素の存在下で、DCFHは酸化されて高度の螢光化合物DCFになる。したがって、細胞螢光強度は、産生される過酸化水素のレベルに直接比例し、フローサイトメトリーによってモニターすることができる。過酸化水素は細胞毒性であるので、低レベルの過酸化水素産生が、細胞生存率にとっては望ましい。
すべての場合において、三成分創傷治癒組成物は、予測した結果を超えており、予測外の相乗作用を明確に示した。
結果
縦列1は、異なる処理群を示している。
縦列2は、対照細胞における過酸化水素の産生(10-15/細胞)を示している。
縦列3は、創傷治癒成分で処理した後の過酸化水素の産生を示している。
縦列4は、処置した後の対照からの過酸化水素の産生における差を示している。
すべての比較は、過酸化水素を250フェムト/細胞を産生した対照に対して評価した。正の数は、対照に比べて過剰の過酸化水素を産生したことを表し、負の数は、対照よりも少ない過酸化水素産生を表している。これらの結果は、図8に掲げてある。
単一成分効果の組み合わせ
脂肪酸(−20)及びビタミンE(+150)及びピルベート(+240)
+340は予測した三成分効果である
−130は創傷治癒組成物の実際の効果である
500は予測した効果から実際の効果を引いた差である(相乗作用)
二対成分と単一成分との組み合わせ
ピルベート及び脂肪酸(+180)及びビタミンE(+150)
+330は予測した三成分効果である
−130は創傷治癒組成物の実際の効果である
460は予測した効果から実際の効果を引いた差である(相乗作用)
ビタミンE及び脂肪酸(−50)及びピルベート(+240)
+190は予測した三成分効果である
−130は創傷治癒組成物の実際の効果である
320は予測した効果から実際の効果を引いた差である(相乗作用)
ピルベート及びビタミンE(+40)及び脂肪酸(−20)
+20は予測した三成分効果である
−130は創傷治癒組成物の実際の効果である
150は予測した効果から実際の効果を引いた差である(相乗作用)
すべての場合において、三成分創傷治癒組成物は、予測した結果を超えており、予測外の相乗作用を明確に示した。
エンボディメント1(I.A-E)の治療用創傷治癒組成物の実施例
検討3
この検討は、慣用的な創傷治癒組成物に対する、本発明の治療用創傷治癒組成物の創傷治癒能力の比較を示している。この検討の結果は、実施例A〜Dに示してある。
表Aに記載した組成物を有する実施例A〜Dの創傷治癒組成物を調製した。
実施例
創傷治癒組成物Aは市販のプレパレーションHである。創傷治癒組成物Bは、生酵母細胞誘導体、サメの肝油、及びピルビン酸ナトリウムとビタミンEと鶏脂との混合物を含むペトロラタム基剤配合物であった。創傷治癒組成物Cは、生酵母細胞誘導体及びサメの肝油を含む配合物であった。創傷治癒組成物Dは、ペトロラタム基剤配合物のみであった。
創傷治癒検討を、6〜8週齢の無毛マウス(SKR-1,Charles River)を用いて行った。一群のマウスは対照として未処置であり、実施例Eとする。各群には、3日又は7日で評価するための6匹のマウスがおり、該検討では全部で60匹を評価した。マウスをエーテルで麻酔し、10号メスブレードで、中線にそって全厚3cmで縦に切開した。その切開を、1cm間隔でスチールクリップを用いて閉じた。無作為盲検試験で、上記の配合物A〜Dを、傷つけた後2時間、0日において創傷に対して塗布し、試験の7日間、24時間間隔で塗布した。該創傷を毎日検査し、試験の1日毎における閉鎖に関して0〜5を基準として評価した。評点5は、最も良く治癒した創傷を示している。
上記マウスは、頸部を脱臼させて3日及び7日目に屠殺した。切開部を含む背側の皮膚を皮下組織を付けずに切り離した。その皮膚を中性緩衝ホルマリン中に入れ、次に切片にし、ヘマトキシリン及びエオシンで染色した。その創傷を顕微鏡で検査し、代表的な組織の切片を写真に撮った。
実験のそれぞれの日における、創傷の閉鎖及び治癒速度に関する前記配合物の評点及びランクは、以下のようであった:
B(5)>>D(4)>>C(2)>/=E,対照(2)>A(1)
4日目の創傷マウスの写真を、図9及び図10に掲げてある。
図9及び図10から、生酵母細胞誘導体、サメの肝油、及びピルビン酸ナトリウムとビタミンEと鶏脂との混合物を含むペトロラタム基剤配合物である配合物Bは、他の配合物に比べて、有意により良い創傷治癒剤であったことが分かる。これらの結果は、実験のそれぞれの日(1〜7)における、創傷閉鎖及び治癒速度の主観的等級付けによって、ならびに創傷内における炎症性細胞の浸潤の程度及び創傷辺縁における上皮化の程度を測定するための組織切片の主観的組織学的検査に基づいて支持される。最終結果は、配合物Bで処置したマウスに関して、瘢痕組織が7日目には一層小さくなっていたというものであった。
配合物Dは、サメの肝油及び生酵母細胞誘導体を含むペトロラタム基剤配合物である配合物C、又はプレパレーションHである配合物Aに比べて、治癒を促進するのに有意に一層有効であると判定された。治癒を促進させる、配合物Cを超える配合物Dのすぐれた能力は、生酵母細胞誘導体が無くなり、細胞が別の栄養素源へと移る時に引き起こされる治癒過程の遅延に起因しているかもしれない。配合物Bにおけるピルビン酸ナトリウムとビタミンEと鶏脂との混合物の存在は、生酵母細胞誘導体の枯渇を、明らかに補っている。
生酵母細胞誘導体及びサメの肝油を含むペトロラタム基剤配合物である配合物Cは、創傷閉鎖の速度及び治癒の程度において、対照(処置されていない創傷)と同等であると判定された。プレパレーションHである配合物Aは、主観的な創傷治癒の等級付け及び組織切片の主観的検査の双方によって、少なくとも有効な治癒配合物であることが分かった。治癒を促進する、配合物Aを超える配合物D及び配合物Cのすぐれた能力は、経表皮的水損失を妨げ、治癒及び創傷閉鎖を促進する閉鎖創傷包帯として作用する能力によるものであり得る。治癒を促進する配合物Aの能力の悪さは、保存剤としてプレパレーションH中に存在する硝酸フェニル水銀の潜在的な細胞毒性によるものであり得る。
これらの結果から、ピルビン酸ナトリウムとビタミンEと鶏脂との混合物を含む本発明の創傷治癒組成物は、哺乳動物細胞の増殖速度及び回復速度を速めることが分かる。創傷治癒組成物は、酸化的損傷を抑制する治癒の最初の段階における低レベルの酸素と、コラーゲン形成を促進する治癒の後の段階におけるより高いレベルの酸素とを仲介する。
II.創傷治癒組成物を含むレザーカートリッジ
A.エンボディメント2(I.A-E + R)
本出願人は、使い捨てレザーカートリッジ(R)と、カートリッジに固定される創傷治癒組成物送達系とを含む治療用使い捨てレザーカートリッジ(I.A-E+R)を発見した。使い捨てレザーカートリッジは:(a)ブレードシート;(b)少なくとも一つのブレード;及び(c)キャップを含む。創傷治癒組成物送達系は、エンボディメント1(I.A-E)の創傷治癒組成物を含むことができる。好ましくは、送達系における創傷治癒組成物(I.A)は、(a)ピルベート、(b)酸化防止剤、及び(c)飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物を含む。一体型創傷治癒組成物送達系は、好ましくは、ポリマー送達系と予め混合された創傷治癒組成物を含む水溶性被包剤の固体ストリップの形態である。創傷治癒組成物は、傷ついた哺乳動物細胞の回復速度、及び死んだ細胞と入れ換わる新しい哺乳動物細胞の増殖速度を速めることができる。本出願人は、レザーカートリッジに創傷治癒組成物を付けると、シェービングカット及び切り傷の期間と重さを低減できる治療用レザーカートリッジができることを見出した。
エンボディメント2(I.A+R)の好ましい側面においては、本発明は:
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも一つのレザーブレード;
(C)キャップ;及び
(D)該カートリッジに固定された創傷治癒組成物送達系、該送達系における該創傷治癒組成物は:以下の
(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復にとって必要な脂肪酸である飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物
を含む、
を含む使い捨てレザーカートリッジに関するものである。
本発明のレザーカートリッジと創傷治癒組成物との組み合わせによって、シェービングカットの期間を短縮し、且つ損傷した哺乳動物細胞の回復速度を増加させるのに有用な治療用レザーカートリッジが提供される。数多くのシェーヒンクグカット及びそり傷と関連のある組織損傷は、細胞産生活性酸素種の生成によって引き起こされると考えられる。治療用レザーカートリッジと創傷治癒組成物との組み合わせは、前記の反応性酸素に関連した組織損傷を抑制し得る。
図11に掲げたように、レザーカートリッジ10は、本発明が、湿式シェービングの動作中に、レザーの各ストロークによって連続して皮膚に対して直接塗布し得る創傷治癒組成物送達系を提供するのに適用することができるシェービング器具の典型的なタイプである。レザーカートリッジ10は、ブレードシート上につくられた、シェービング中にレザーブレード18のカッティングエッジ16に隣接する皮膚を滑らかにするためのガードバー14を有するブレードシート12を含む。更に、ブレードシート12は、チャンネル20中にメインフレーム(図示されていない)の受容部分をスライドさせる、又はレザーメインフレームの受容部分の上にチャンネル20をスライドさせる慣習的な様式で、慣用的な再使用できるレザーメインフレーム上にカートリッジ10を装填するのに用いることができるチャンネル20も含む。レザーカートリッジ10の主支持構造を完成させ、且つシート12に対して適当な位置にブレード18を保持するのは、キャップ22である。カートリッジ10を単一ブレードタイプであるとして説明したが、この構造は、説明することのみを目的として示しており、また本明細書で詳細に説明されている本発明は、単一ブレードカートリッジに対して適用できるだけでなく、同じように、多数ブレードシェービングカートリッジに対しても適用することができることを理解すべきである。カートリッジ10の基礎成分は、溶融させ、接着させるか、又は共に接合させる。該カートリッジは、普通、接合レザーブレードカートリッジと商業的には呼ばれている。図50に示した本発明の態様では、一体型創傷治癒組成物送達系から形成されたストリップ24を、好ましくは前記送達系のために提供された凹所(recess)26の中にあるキャップ22に対して接着させる。ストリップ24は、ブレード18のエッジ16と並置し、ブレードの一つの末端に隣接しているポイントから、ブレードの反対側の末端に同様に隣接しているポイントまで延びている。ストリップ24は連続した固体ストリップ、又は点(dots)を含む不連続ストリップなどであり得る。
本発明の創傷治癒組成物送達系に加えて、レザーカートリッジは、以下に示した、一つ以上のシェービング助剤、例えば:
A.レザーと皮膚との間の摩擦力を減少させるための滑剤、例えばマイクロカプセルに入れられたシリコーン油、
B.レザー部分とシェーバー面との間の薬物を減少させる薬剤、例えば分子量100,000〜6,000,000のポリエチレンオキシド;非イオン性ポリアクリルアミド;及び/又は例えばグアールガムのような植物性材料から誘導される天然多糖類、
C.レザーブレードが頬髭の中を容易に通るように、毛片の化学的構造を改質する薬剤、例えば脱毛剤、
D.シェービング中に、頬髭及び皮膚片をレザー部分からより容易に洗浄することができる洗浄剤、例えばシリコンポリエチレンオキシドブロックコポリマー、及び例えばラウリル硫酸ナトリウムのような洗浄剤、
E.細菌を殺すための、又は皮膚の損傷及び擦過傷を修復するための医用剤、
F.皮膚を軟化させ、滑らかにし、整え、又は改善する化粧品、
G.そり傷及び切り傷から生じる出血を抑えるための血液凝固薬
を含むこともできる。
上記したように、創傷治癒組成物送達系の配置、レザーカートリッジに対するその適用場所、取り付けの様式、及び/又は組み込む手段及び方法を、広範に変化させて、特有の要求条件に合わせることができるので、図11の変異体をつくることができる。
本発明にしたがって、使い捨てレザーカートリッジは、前記カートリッジに固定された創傷治癒組成物送達系を含む。創傷治癒組成物送達系は、好ましくは、水溶性被包剤の固体ストリップの形態である。被包剤を用いて、種々の油を含む極めて様々な薬剤を制御しながら放出することができる。被包剤は、その開示が引例として本明細書に取りいれられているLea & Febigerによって出版された“The Theory & Practice of Industrial Pharmacy”, Second Edition, 1970, 1976における“Microencapsulation”, p.420-437、Union Carbide Corporationによって1977年5月に出版された“Polyox(商標),Water Soluble Resins:Forming Association Compounds”(ベージ11には、水不混和性油をマイクロカプセルに入れるためのポリエチレンオキシドの使用及びページ17には、マイクロカプセル封入用途のための可溶性フィルムをつくるためのゼラチン及びポリエチレンオキシドの使用)、及びUnion Carbide Corporationによって1972年5月に出版された“Polyox, Water Soluble Resins:Thermoplastic Processing:Calendering, Extrusion, and Injection Molding”(ポリエチレンオキシドを用いる射出成形品のための基本的方法、及びポリエチレンの圧延フィルム及び圧延シートの形成を開示している)において更に詳細に開示されている。好ましくは、水溶性被包剤はポリエチレンオキシドである。
米国特許第3,075,033号及び第3,181,973号では、ポリエチレンオキシドを不溶性熱可塑性樹脂(例えばキャップ22及びシート12をつくり得るポリスチレン)と混合し、その混合物を可塑化塊(plasticized mass)とするための方法が開示されている。次にポリエチレンオキシドを、水を適用することによって前記塊から放出させる。
本発明の水溶性被包剤で用いられる創傷治癒組成物の量は、推奨される又は許される治療的用量にしたがって変化させる得る。一般的に、存在する創傷治癒組成物の量は、所望の結果を得るのに必要とされる通常の用量である。好ましい態様では、創傷治癒組成物は、水溶性被包剤において、約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、更に好ましくは約1重量%〜約10重量%で存在する。
上記したように、創傷治癒組成物は、最初に、ポリマー送達系と予め混合することもできる。ポリマー送達系を用いて、液体の送達を調節することができる。ポリマー送達系は、高レベルの脂肪親和性材料を吸着し、その後で、前記材料を調節しながら放出することができる。適当な送達系としては、多孔質ポリマービーズ、例えば架橋されたポリメタクリレートコポリマーが挙げられる。
一つの好ましい態様では、架橋ポリメタクリレートコポリマーは、Dow Corning Corporationから市販されているポリトラップ(POLYTRAP)6603ポリマーパウダー(Polymer Powder)である。ポリトラップ6603は、高度の且つ選択的な油吸着能力及び疎水性表面特性を有する高度に架橋されたポリメタクリレートコポリマー(アクリレートコポリマー)である。ポリトラップ6603ポリマーパウダーは、さらさらした粉末特性を保持しながら、高レベルの脂肪親和性材料をすばやく吸着することができる。これらの脂肪親和性材料の吸着は、ポリマー粉末表面上における流体の表面張力によって、及び毛管作用による間質空隙の充填によって調節される物理的現象である。この吸着特性を用いて、流体の送達を調節することができ(液体を固体へと転化させる)、又は液体を表面から吸着することができる。脂肪親和性材料は、凝集物の機械的破壊、又はマトリックスの内側とポリマーを取り囲んでいる外側の環境との間の蒸気圧の差の機械的破壊によって送達される。皮膚を擦ったとき、脂肪親和性材料は、皮膚と直接接触し、脂肪親和性材料が粒子表面から取り除かれるようにメーターアウト(meter out)する。
別の好ましい態様では、架橋ポリメタクリレートコポリマーは、Dow CorningCorporationから市販されているMICROSPONGE SKIN OIL ADSORBER 5640 POWDERである。MICROSPONGE SKIN OIL ADSORBER 5640は、選択的な油及び水の吸着能力がある親水性/疎水性表面特性を有する高度に架橋されたポリメタクリレートコポリマー(アクリレートコポリマー)である。MICROSPONGE SKIN OIL ADSORBER5640は、高レベルの脂肪親和性材料を吸着することができる。
本発明のポリマー送達系で用いられる創傷治癒組成物の量は、推奨され又は許される治療的用量にしたがって変化させことができる。一般的に、存在する創傷治癒組成物の量は、所望の結果を得るのに必要とされる通常の用量である。好ましい態様では、創傷治癒組成物は、ポリマー送達系において、約20重量%〜約80重量%、好ましくは約40重量%〜約70重量%、更に好ましくは約50重量%〜約65重量%で存在する。
上記したように、創傷治癒組成物送達系は、マイクロカプセルに入れ、セメント又は結合剤と混合し、レザーカートリッジ10の適当な表面に付着させることができる。本発明のこれらの態様は、棒、ストリップ、又は粒子の形態のいずれかで、創傷治癒組成物送達系を塗布する基本的なアプローチを例示するために選択した。創傷治癒組成物送達系を、レザーカートリッジの外面に付けることができ、カートリッジ10におけるようにその中の凹所に配置することができ、一つ以上の基礎的カートリッジ部材(ガードバー、又は二枚刀カートリッジにおけるブレード間のスペーサー)の一体型部分としてつくることができ、及び/又はブレード支持カートリッジ部材の一つ以上が成形されるか又はつくられる材料中に含浸あるいは分散させることができる。好ましくは、創傷治癒組成物送達系は、永久的に且つ実質的にカートリッジに対して動かないように固定された一体型の系である。
すべての場合において、湿潤皮膚と接触するときに、又はレザーカートリッジの湿潤によって、創傷治癒組成物送達系は、前記レザーの各ストロークにより、皮膚に直接に且つ繰り返し塗布される。したがって、その意図された作用は、プレシェーブ処置又はアフターシェーブ処置の要求条件とは対照的に、シェービング動作を通じて連続して実行される。
エンボディメント2(I.E+R)の別の側面では、本発明の創傷治癒組成物は酸化防止剤(E)を含む。
このエンボディメント(I.E+R)では、本発明は:
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも一つのレザーブレード
(C)キャップ;及び
(D)該カートリッジに固定された創傷治癒組成物送達系、該送達系における創傷治癒組成物は酸化防止剤(E)を含む、
を含む使い捨てレザーカートリッジに関するものである。
この態様では、レザーカートリッジ上にある創傷治癒組成物中の酸化防止剤は、レチノール及び3,4−ジジヒドロレチノールを含むビタミンAのすべての形態、α−カロテン、β−カロテン、γーカロテン、及びδ−カロテンを含むカロテンのすべての形態、D−アスコルビン酸及びL−アスコルビン酸を含むビタミンCのすべての形態、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γートコフェロール、δ−トコフェロール、トコキノン、トコトリエールを含むビタミンEのすべての形態、ビタミンEエステル及びビタミンEスクシネートを含む容易に加水分解されてビタミンEになるビタミンEエステル、及び例えばビタミンEホスフェートのような薬学的に許容できるビタミンEの塩、ビタミンA、カロテン、ビタミンC、及びビタミンEのプロドラッグ、ビタミンA、カロテン、ビタミンC、及びビタミンEの薬学的に許容できる塩、及びそれらの混合物から成る群より選択することができる。
B.エンボディメント2の創傷治癒組成物(I.A-E+R)を含むレザーカートリッジをつくる方法
本発明は、創傷治癒組成物(I.A-E+R)を含む治療用レザーカートリッジをつくる方法に関するものである。一般的に、治療用レザーカートリッジは、エンボディメント1(I.A-E)の組成物の創傷治癒成分の混合物をつくり、該組成物を該カートリッジに付けることによってつくる。本発明の第一の側面(I.A+R)では、治療用レザーカートリッジは、(a)ピルベート、(b)酸化防止剤、及び(c)飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物を含む創傷治癒組成物の混合物をカートリッジに付けることによってつくる。エンボディメント2の第二の側面(I.B+R)では、治療用レザーカートリッジは、(a)ピルベート、(b)乳酸、及び(c)飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物を含む創傷治癒組成物の混合物をカートリッジに付けることによってつくる。エンボディメント2の第三の側面(I.C+R)では、治療用レザーカートリッジは、(a)酸化防止剤、及び(b)飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物を含む創傷治癒組成物の混合物をカートリッジに付けることによってつくる。エンボディメント2の第四の側面(I.D+R)では、治療用レザーカートリッジは、(a)乳酸、(b)酸化防止剤、及び(c)飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物を含む創傷治癒組成物の混合物をカートリッジに付けることによってつくる。エンボディメント2の第五の側面(I.E+R)では、酸化防止剤を含む創傷治癒組成物をカートリッジに付けることによってつくる。
好ましい側面では、本発明は:
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも一つのレザーブレード;
(C)キャップ;
を含むカートリッジを提供する工程、及び該カートリッジに対して創傷治癒組成物送達系を付ける工程、該送達系における該創傷治癒組成物(I.A)は:以下の
(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復にとって必要な脂肪酸である飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物
を含む、
を含む、使い捨てレザーカートリッジを製造する方法に関するものである。
C.エンボディメント2の創傷治癒組成物(I.A-E+R)を含むレザーカートリッジを用いる方法
本発明は、創傷治癒組成物を含む治療用レザーカートリッジを用いる方法に関するものである。一般的に、レザーカートリッジは、シェービングの過程中に、皮膚と該カートリッジを接触させることによって用いる。
好ましい態様では、本発明は、使い捨てレザーカートリッジを用いる方法に関するものであり、該方法は:
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも一つのレザーブレード;
(C)キャップ;及び
(D)該カートリッジに付けられた創傷治癒組成物送達系、該送達系における該創傷治癒組成物(I.A)は:以下の
(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復にとって必要な脂肪酸である飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物
を含む、
を含むカートリッジを提供する工程、及びシェービングの過程中に該カートリッジを皮膚と接触させる工程を含む。
D.エンボディメント2の増補創傷治癒組成物(I.A-E+R+M)を含むレザーカートリッジ
エンボディメント2の別の態様では、本発明の創傷治癒組成物(I.A-E+R)を含む治療用レザーカートリッジを、創傷を治療するのに有用な医薬品(M)と組み合わせて、増補創傷治癒組成物(I.A-E+R+M)を含むレザーカートリッジをつくることができる。この態様では、本発明の創傷治癒組成物を含むレザーカートリッジと、創傷を治療するのに有用な医薬品とを組み合わせることによって、哺乳動物細胞の増殖速度及び回復速度を速める増強された能力を有する創傷治癒組成物を含む増補レザーカートリッジを提供する。例えば、本発明の治療用組成物は、例えば免疫増強剤(immunostimulating agents)(ベータフェクチン(Betafectin(商標))抗ウイルス薬、抗表皮剥奪薬(antikeratolytic agents)、抗炎症薬、抗真菌薬、トレチノイン、日焼け止め剤、皮膚科学薬、局所抗ヒスタミン薬、抗菌薬(antibacterial agents)、生体接着薬(bioadhesive agents)、レスピラトリーバースト抑制薬(乳酸、アデノシン)、プロスタグランジン合成抑制薬(イブプロフェン、アスピリン、インドメタシン、メクロフェノミックアシッド(meclofenomic acid)、レチノイン酸、パディメートO、メクロメン、オキシベンゾン)、ステロイド抗炎症薬(合成類似化合物を含むコルチコステロイド)、殺菌薬(antimicrobial agents)(ネオスポリン軟膏、シルバジン)、防腐薬、麻酔薬(塩酸プラモキシン、リドカイン、ベンゾカイン)、細胞栄養剤、ひりひりする痛みを軽減する薬剤(burn relief medications)、日焼け用薬剤(sun burn medications)、ざ瘡用製剤、昆虫の咬み傷及び刺し傷用医薬品、創傷清浄剤、創傷用包帯、瘢痕軽減薬(ビタミンE)など、及びそれらの混合物のような創傷を治療するのに有用な医薬品と組み合わせて用いて、哺乳動物細胞の増殖速度及び回復速度を更に速くすることができる。好ましくは、創傷を治療するのに有用な医薬品は、免疫増強剤、抗ウイルス薬、抗表皮剥奪薬、抗炎症薬、抗真菌薬、トレチノイン、日焼け止め剤、皮膚科学薬、局所抗ヒスタミン薬、抗菌薬、生体接着薬、レスピラトリーバースト抑制薬、プロスタグランジン合成抑制薬、殺菌薬、細胞栄養剤、瘢痕軽減薬(scar reducing agents)、及びそれらの混合物から成る群より選択される。更に好ましくは、創傷を治療するのに有用な医薬品は、免疫増強剤、抗ウイルス薬、抗表皮剥奪薬、抗炎症薬、抗真菌薬、ざ瘡治療薬、日焼け止め剤、皮膚科学薬、局所抗ヒスタミン薬、抗菌薬、生体接着薬、及びそれらの混合物から成る群より選択される。
好ましい態様では、本発明は:
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも一つのレザーブレード;
(C)キャップ;及び
(D)カートリッジに固定された創傷治癒組成物送達系、該送達系における該創傷治癒組成物(I.A)は:以下の
(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復にとって必要な脂肪酸である飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物;及び
(d)創傷を治療するのに有用な医薬品
を含む、
を含む使い捨てレザーカートリッジを含む増補創傷治癒組成物(I.A+R+M)を含むレザーカートリッジに関するものである。
本発明は、増補創傷治癒組成物を含むレザーカートリッジをつくる方法に及ぶ。一般的に、増補創傷治癒組成物を含むレザーカートリッジは、レザーカートリッジに対して、創傷治癒組成物と創傷を治療するのに有用な医薬品とを付けて、増補レザーカートリッジを製造することによってつくる。
本発明は、増補創傷治癒組成物を含む治療用レザーカートリッジを用いる方法に及ぶ。一般的に、レザーカートリッジは、シェービングの過程中に、増補カートリッジを皮膚と接触させることによって用いる。好ましい態様では、本発明は、増補創傷治癒組成物を含む使い捨てレザーカートリッジを用いる方法に関するものであり、該方法は:
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも一つのレザーブレード;
(C)キャップ;及び
(D)カートリッジに付けられた創傷治癒組成物送達系、該送達系における該創傷治癒組成物(I.A)が:以下の
(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物から成る群より選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復にとって必要な脂肪酸である飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物;及び
(d)創傷を治療するのに有用な医薬品を提供すること
を含む、
を含む該カートリッジを提供する工程、及びシェービングの過程中に該カートリッジを皮膚と接触させる工程を含む。
創傷治癒組成物を含むレザーカートリッジ及び本発明の創傷治癒組成物を含む増補レザーカートリッジを用いて治癒させることができる創傷のタイプは、例えばそり傷及び切り傷のような創傷である。治療用カートリッジを用いて、損傷した組織の治癒を保護し且つ促進することができる。
E.エンボディメント2の創傷治癒組成物(I.A-E+R)を含むレザーカートリッジの実施例
検討1
この検討では、一体型創傷治癒組成物送達系を製造する方法を示す。詳しくは、この検討は、ポリマー送達系と予め混合されている創傷治癒組成物を水溶性被包剤中に取り込ませる方法を示す。
1.Rohm & Haasによって製造された湿潤剤である0.5%トリトンX−100(オクトキシノール−9)を含む水を調製する。
2.トリトンX−100を含む水18g中にピルビン酸ナトリウム6gを溶かす。
3.ポリトラップ6603ポリマーパウダー(Dow Corningによって製造された架橋ポリメタクリレートコポリマー)10gに対して、上記工程2からの溶液をゆっくり加える。溶液の添加は、ポリトラップ6603を撹拌しながら達成する。添加が完了したら、10分間混合し続けて、確実に申し分なく分散させる。
4.105℃で1時間ポリトラップ6603を乾燥させる。水分が除去されたことを確認するために重量を計る。
5.ビーカーの中で、ビタミンE(α−トコフェロールアセテート)6gとひまわり油6gを混合する。
6.工程3(上記)に記載した手順を用いて、ビタミンE/ひまわり油の混合物を、ピルビン酸ナトリウムを含む乾燥ポリトラップ6603に対して加える。添加が完了したら、更に10分間混合し続けて、ポリトラップ6603中へ前記液体を確実に取り込ませる。
7.ポリトラップ6603パウダー(ピルビン酸ナトリウム、ビタミンE及びひまわり油のそれぞれを20重量%含む)2重量%を、ポリオックス(Polyox)減摩性(lubricating)ストリップ配合物に対して加える。
典型的な配合物は:
凝集グレードポリオックス 50%
WSR−N−750グレードポリオックス 15%
二酸化チタンを10重量%含む中衝撃性ポリスチレン29.9%
創傷治癒組成物成分を含むポリトラップ6603 5%
アロエベラ粉末 0.1%
を含むことができた。
すべての成分を組み合わせて、P-K V形ブレンダーで混合する。次に、配合物を、押出成形、圧縮成形、射出成形、又は逐次射出成形することができる。材料の組み合わせの様々な範囲が数多くあり、必要なときに更に規定することができる。
エンボディメント2の創傷治癒組成物(I.A-E+R)を含むレザーカートリッジの実施例
検討2
この検討は、一体型創傷治癒組成物送達系を製造する方法を示している。詳しくは、この検討は、予めポリマー送達系と混合されている創傷治癒組成物を、水溶性被包剤中に取り込ませる方法を示している。
1.ビーカーの中で、ビタミンE(α−トコフェロールアセテート)6gとひまわり油6gを混合する。
2.ポリトラップ6603を撹拌しながら、ビタミンE/ひまわり油の混合物を、ポリトラップ660310gに対して加える。添加が完了したら、10分間混合し続けて、確実に申し分なく分散させる。
3.工程2(上記)の混合物を撹拌し続け、ピルビン酸ナトリウム6gを、前記混合物に加える。
4.ビタミンE及びひまわり油は、ピルビン酸ナトリウムで被覆されたポリトラップ6603の中に含まれる。次に、この混合物を、上記したのと同じ仕方で、ポリオックス減摩性ストリップ配合物に加えることができる。
本発明を上記のように説明して来たが、同じ事柄を数多くの方法で変化させる得ることは明らかである。そのような変異体は、本発明の精神及び範囲から逸脱しているとみなされず、すべての前記の変異は、以下の請求の範囲内に含まれることが意図されている。
Claims (38)
- 使い捨てレザーカートリッジであって、
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも1のレザーブレード;
(C)キャップ;及び
(D)該カートリッジに固定された創傷治癒組成物送達系を含み、該送達系中の該創傷治癒組成物が、
(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;及び
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物
を含み、成分(a)、(b)及び(c)が相乗的に機能して、細胞に対する傷害を防止し且つ低減させるレザーカートリッジ。 - 創傷治癒組成物中のピルベートが、ピルビン酸、ピルビン酸リチウム、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガン、ピルビン酸メチル、α−ケトグルタル酸、ピルビン酸の薬学的に許容できる塩、ピルビン酸のプロドラッグ、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- ピルベートがピルビン酸ナトリウムである、請求項2記載のレザーカートリッジ。
- 創傷治癒組成物中の酸化防止剤が、レチノール及び3,4−ジデヒドロレチノールを含む全ての型のビタミンA;α−カロチン、β−カロチン、γ−カロチン、及びδ−カロチンを含む全ての型のカロチン;D−アスコルビン酸及びL−アスコルビン酸を含む全ての型のビタミンC;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、トコキノン、トコトリエノールを含む全ての型のビタミンE;酢酸ビタミンE及びコハク酸ビタミンEを含む容易に加水分解を受けてビタミンEになるビタミンEエステル;ビタミンEリン酸塩;ビタミンA、カロチン、ビタミンC、及びビタミンEのプロドラッグ;及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- 酸化防止剤が酢酸ビタミンEである、請求項4記載のレザーカートリッジ。
- 創傷治癒組成物中の飽和及び不飽和脂肪酸の混合物が、動物及び植物の脂肪及びワックスからなる群から選択される、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- 飽和及び不飽和脂肪酸の混合物が、人脂、鶏脂、牛脂、羊脂、馬脂、豚脂、及び鯨脂からなる群から選択される、請求項6記載のレザーカートリッジ。
- 飽和及び不飽和脂肪酸の混合物が、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸を含む、請求項7記載のレザーカートリッジ。
- ピルベートが、創傷治癒組成物中に該治療組成物の10〜50重量%の量で存在する、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- 酸化防止剤が、創傷治癒組成物中に該治療組成物の0.1〜40重量%の量で存在する、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- 飽和及び不飽和脂肪酸の混合物が、創傷治癒組成物中に該治療組成物の10〜50重量%の量で存在する、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- 創傷治癒組成物送達系が、水溶性被包剤及び創傷治癒組成物を含む固体ストリップの形態にある、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- 水溶性被包剤がポリエチレンオキシドである、請求項12記載のレザーカートリッジ。
- 水溶性被包剤の固体ストリップが、ポリマー性送達系と予備混合された創傷治癒組成物を含む、請求項12記載のレザーカートリッジ。
- ポリマー性送達系が架橋したポリメタクリレートコポリマーである、請求項14記載のレザーカートリッジ。
- カートリッジが、第2レザーブレード及びそれらブレード間のスペーサーを含む、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- 水溶性被包剤の固体ストリップが、レザーブレードと並列に置かれかつカートリッジのブレードシート又はキャップ部品に固定されている、請求項12記載のレザーカートリッジ。
- 水溶性被包剤の固体ストリップが、カートリッジのブレードシート又はキャップ部品の中に少なくとも部分的に隠れている、請求項17記載のレザーカートリッジ。
- ブレードシートが、ガードバー部分を含んでおりそして創傷治癒組成物送達系が該ガードバー部分の構造内に取り込まれている、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- ガードバーが、プラスチック材料内に分散された創傷治癒組成物送達系を有する該プラスチック材料から成形されている、請求項19記載のレザーカートリッジ。
- 創傷治癒組成物送達系が、スペーサーの少なくとも一部分の中に取り込まれている、請求項16記載のレザーカートリッジ。
- ブレードが露出した平行なシェービングエッジを有し、かつ該シェービングエッジに隣接するスペーサーの少なくとも一部分が創傷治癒組成物送達系を含む、請求項16記載のレザーカートリッジ。
- ブレードシート及びキャップが、シェービングの作動中に皮膚をカートリッジに正常に接触させる隣接表面において、創傷治癒組成物送達系で含浸されている、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- ブレードシート及びキャップが、プラスチック材料内に分散された創傷治癒組成物送達系を有する該プラスチック材料から成形されている、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- 創傷治癒組成物送達系が、カートリッジに永久的にかつ実質的に動かないように固定された一体系である、請求項1記載のレザーカートリッジ。
- 創傷治癒組成物が、水溶性被包剤中に0.01〜30%の量で存在する、請求項12記載のレザーカートリッジ。
- 創傷治癒組成物が、ポリマー性送達系中に20〜80%の量で存在する、請求項14記載のレザーカートリッジ。
- 使い捨てレザーカートリッジであって、
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも1のレザーブレード;
(C)キャップ;及び
(D)該カートリッジに固定された創傷治癒組成物送達系であって、細胞に対する傷害を防止し且つ低減させるための創傷治癒組成物送達系
を含み、該送達系が、水溶性被包剤及び創傷治癒組成物を含む固体ストリップの形態にあり、該送達系中の該創傷治癒組成物が酸化防止剤を含むレザーカートリッジ。 - 創傷治癒組成物中の酸化防止剤が、レチノール及び3,4−ジデヒドロレチノールを含む全ての型のビタミンA;α−カロチン、β−カロチン、γ−カロチン、及びδ−カロチンを含む全ての型のカロチン;D−アスコルビン酸及びL−アスコルビン酸を含む全ての型のビタミンC;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、トコキノン、トコトリエノールを含む全ての型のビタミンE;酢酸ビタミンE及びコハク酸ビタミンEを含む容易に加水分解を受けてビタミンEになるビタミンEエステル;及びビタミンEリン酸塩;ビタミンA、カロチン、ビタミンC、及びビタミンEのプロドラッグ;及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項28記載のレザーカートリッジ。
- 酸化防止剤が酢酸ビタミンEである、請求項29記載のレザーカートリッジ。
- 水溶性被包剤の固体ストリップが、ポリマー性送達系と予備混合された創傷治癒組成物を含む、請求項28記載のレザーカートリッジ。
- 水溶性被包剤がポリエチレンオキシドである、請求項28記載のレザーカートリッジ。
- ポリマー性送達系が架橋したポリメタクリレートコポリマーである、請求項31記載のレザーカートリッジ。
- 創傷治癒組成物送達系が、カートリッジに永久的にかつ実質的に動かないように固定された一体系である、請求項28記載のレザーカートリッジ。
- 創傷治癒組成物が、水溶性被包剤中に0.01〜30%の量で存在する、請求項28記載のレザーカートリッジ。
- 創傷治癒組成物が、ポリマー性送達系中に20〜80%の量で存在する、請求項31記載のレザーカートリッジ。
- 使い捨てレザーカートリッジであって、
(A)ブレードシート;
(B)少なくとも1のレザーブレード;
(C)キャップ;及び
(D)該カートリッジに固定された創傷治癒組成物送達系を含み、該送達系中の該創傷治癒組成物が、
(a)ピルビン酸、薬学的に許容できるピルビン酸の塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるピルベート;
(b)酸化防止剤;
(c)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物であって、該脂肪酸が細胞膜の修復及び哺乳動物細胞の回復に必要な脂肪酸である混合物;及び
(d)創傷を治療するのに有用な医薬品
を含み、成分(a)、(b)及び(c)が相乗的に機能して、細胞に対する傷害を防止し且つ低減させるレザーカートリッジ。 - 創傷を治療するのに有用な医薬品が、免疫刺激剤、抗ウイルス剤、抗角化剤、抗炎症剤、抗真菌剤、アクネ治療剤、日焼け止め剤、皮膚剤、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、生体接着剤、レスピラトリーバースト阻害剤、プロスタグランジン合成の阻害剤、抗微生物剤、抗敗血症剤、麻酔剤、細胞栄養培地、熱傷軽減用医薬品、日焼け用医薬品、虫咬まれ及び虫刺され用医薬品、創傷洗浄剤、創傷包帯剤、瘢痕減少剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項37記載のレザーカートリッジ。
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