JP3936566B2 - 小火器用弾丸およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒金属の被甲と、この被甲により被覆される弾芯とを射出成形により一体的に形成する小火器用弾丸およびその製造方法に係り、さらに詳しくは、着弾時に弾丸頭部がキノコ状化しやすく、主に狩猟に用いられるソフトポイント弾丸やホローポイント弾丸の弾芯を射出成形により被甲と一体的に形成する小火器用弾丸およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術によるソフトポイント弾丸やホローポイント弾丸の製造方法は、複数のプレス加工工程により銅合金の板素材から予備加工した被甲と、別ラインのプレス加工工程により鉛の棒素材から予備加工した弾芯とをあらかじめ用意し、これらを結合成形工程により一体的に結合して所定の形状に形成していた。
【0003】
これらのうち、一方の被甲の予備加工は、最初の抜き絞り加工工程において、銅合金の板素材から図11(a)に示す一端開口の有底円筒体102aを形成する。 次の焼鈍処理工程において、抜き絞り加工により有底円筒体102aに生じた加工硬化と内部応力とを除去した図11(b)に示す有底円筒体102bを得る。 次の3段階の絞り加工工程において3段階の縮径延伸加工をすることで、図11(c)に示すように、筒部の壁肉厚が底部側から開口部側へ漸減した有底円筒体102cを形成する。 次の定寸加工工程において、図11(d)に示すように開口端を切断して所定長Ldの被甲素材102dを形成する。
【0004】
次に他方の弾芯の予備加工は、弾芯圧成工程により棒状の鉛素材を切断して圧成し、図11(e)に示す円柱体の弾芯素材103eを形成する。 このように予備加工された被甲素材102dと弾芯素材103eとは、5段階の結合成形工程において、被甲素材102dの筒内に弾芯素材103eを結合するとともに、図11(f)に示す被甲素材102fと弾芯素材103fとを一体的に成形して所定形状の弾丸101fを形成する。 次の溝付け加工工程において、図11(g)に示す被甲102gの筒部に溝付け加工して弾丸101gを形成する。 そして、最終の定径加工工程において、図11(h)に示す被甲102の筒部外径Dhを仕上げ加工して弾丸101を形成するものである。
【0005】
また、従来の技術による鉛の弾芯は毒性が強く、水質の悪化や動物が呑み込むと鉛中毒になるなど、環境や動物に悪影響を及ぼす問題がある。 この問題点を改良したものとして、例えば、特表平7−503528号公報に開示された発明が知られている。 この発明は弾丸の素材が、細かな銅粉末、ナイロン11およびナイロン12からなる群から選択された熱可塑性樹脂の圧縮混合物である。 そして、その銅粉末が少なくとも92重量%であり、圧縮混合物の最小比重を5.7にしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術によるソフトポイント弾丸やホローポイント弾丸の製造方法においては、加工工程数が多岐にわたり多くの加工装置が必要なので製造原価が高価になるとともに、生産性が悪いという問題があった。 この他、特にソフトポイント弾丸においては、弾芯頭部が被甲の開口部から突出するので、予備加工する被甲の内容積と弾芯の体積とのバランスが崩れると不良品になりやすい問題があった。
【0007】
また、特表平7−503528号公報の発明による熱可塑性樹脂は、ナイロン11およびナイロン12で組成しているので、耐食性に優れている反面、環境中において分解されにくく、最近ではそれ自体が公害を引き起こす要因になっている。 そして、リサイクルやソースリダクション(発生源の削減)が重視されていることからも明らかなように、環境破壊をしたり資源を浪費するという問題があった。
【0008】
また、この発明の重金属は、その粒子径が11μm以下、22μm以下、44μm以下の銅粉末を混合したものであるから、重金属の総面積が増大して摩擦抵抗が増加し、混練抵抗が高くなる問題や、作業中に粉塵となって飛散しやすく、作業環境の悪化やその対策のための製造コストの増大をまねくという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ソフトポイント弾丸やホローポイント弾丸の製造方法においては、加工工程数が多岐にわたり製造原価が高くなるとともに生産性が悪いという問題、予備加工する被甲の内容積と弾芯の体積とのバランスが崩れると不良品になりやすいという問題、また、弾丸における鉛の弾芯は毒性が強く、水質の悪化や動物が呑み込むと鉛中毒になるなど、環境や動物に悪影響を及ぼすという問題などの課題を解決しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に係る発明は、円筒金属の被甲と、この被甲により被覆される弾芯とを射出成形により一体的に形成する小火器用弾丸の製造方法であって、一端開口の有底円筒体に形成した前記被甲をインサート成形用のインサートとして射出成形型内に挿入し、この被甲が射出圧力に耐えるように前記被甲の底部外面を被甲筒元型により筒部外面を型締め状態と型開き状態をとる被甲筒先型により保持した状態で、溶融した高比重樹脂の弾芯素材を前記被甲の開口部から内部に射出して、被甲と一体的に弾芯を形成するようにした小火器用弾丸の製造方法である。
【0011】
この請求項1の発明によれば、一端開口の有底円筒体に形成した被甲をインサートとして射出成形型内に挿入し、この被甲が射出圧力に耐えるように保持した状態で、溶融した高比重樹脂の弾芯素材を被甲の開口部から内部に射出して、被甲と一体的に弾芯を形成するようにしたので、鉛害のない無鉛弾丸を容易に製造できる。 また、最終形状に仕上げた被甲をインサートにすることで製造工程の短縮を図ることができるとともに、多数個取りの射出成形型を用いることにより大量生産が容易にできる。
【0012】
次の請求項2に係る発明の前記弾芯は、型締め状態で前記被甲の開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型のゲートから前記弾芯素材を射出して、前記弾芯の頭部が前記被甲の開口部から突出しないホローポイント弾丸の弾芯を形成するようにした小火器用弾丸の製造方法である。
【0013】
この請求項2の発明によれば、弾芯は被甲の開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型のゲートから弾芯素材を射出して、弾芯の頭部が被甲の開口部から突出しないホローポイント弾丸の弾芯を形成するようにしたので、被甲内に射出する弾芯素材の射出量は被甲内容積と弾芯頭成形型とによりおのずと決定され、過不足のない弾芯体積でホローポイント弾丸を製造できる。
【0014】
次の請求項3に係る発明の前記弾芯は、前記被甲の開口部外側に空洞部を形成して型締め状態で前記被甲の開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型のゲートから前記弾芯素材を射出して、前記空洞部にも前記弾芯素材を充満させて前記弾芯の頭部が前記被甲の開口部から突出するソフトポイント弾丸の弾芯を形成するようにした小火器用弾丸の製造方法である。
【0015】
この請求項3の発明によれば、弾芯は被甲の開口部外側に空洞部を形成して設けた弾芯頭成形型のゲートから弾芯素材を射出して、空洞部にも弾芯素材を充満させて弾芯の頭部が被甲の開口部から突出するソフトポイント弾丸の弾芯を形成するようにしたので、弾芯素材の射出量は被甲内容積と弾芯頭成形型の空洞部容積とによりおのずと決定され、過不足のない弾芯体積でソフトポイント弾丸を製造できる。 したがって、従来技術のように、予備加工する被甲の内容積と弾芯の体積とのバランスが崩れて不良品になることもない。
【0016】
次の請求項4に係る発明の前記弾芯素材は、熱可塑性のポリマー樹脂に前記弾芯の弾性を高めるためのエラストマーおよび可塑剤を添加した熱可塑性樹脂組成物と、前記弾芯の比重を調整するための粉粒状の重金属と、前記熱可塑性樹脂組成物と前記重金属との界面接着性を向上させるためのカップリング剤とで組成して高比重樹脂にした小火器用弾丸の製造方法である。
【0017】
この請求項4の発明によれば、弾芯素材の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性のポリマー樹脂に可塑剤を添加したものであるから、成形加工温度領域における流動性が向上する。 このため熱可塑性樹脂組成物を粉粒状の重金属の表面周囲にくまなく行き渡らせることができる。 さらに、重金属を粉粒状にしたことにより、所定形状の弾芯を射出成形する際に、弾芯の微小形状部分や角部などにも偏析することなく均一に分散させることができるとともに、射出成形加工が容易にできる。
【0018】
次の請求項5に係る発明の前記被甲の底部には、前記被甲の中心軸線上に1個もしくは前記被甲の中心軸線を中心にした放射状等分割の等半径位置に複数個の空気穴、または、前記被甲の底部と隣接する筒部に前記被甲の中心軸線を中心にした放射状等分割位置に複数個の空気穴を穿孔して、その空気穴から射出成形中の空気を排出し、前記弾芯を形成後の前記被甲内に空気が残留しないようにした小火器用弾丸の製造方法である。
【0019】
この請求項5の発明によれば、被甲底部の中心軸線上に1個もしくは放射状等分割の等半径位置に複数個の空気穴、または、被甲筒部の放射状等分割位置に複数個の空気穴を穿孔して、その空気穴から射出成形中の空気を排出するようにしたので、弾芯を形成後の被甲内に空気が残留せず、被甲の中心軸線上で釣り合う命中精度の高い弾芯を形成することができる。
【0020】
次いで、請求項6に係る小火器用弾丸の発明は、円筒金属の被甲と、この被甲により被覆される弾芯とを射出成形により一体的に形成した小火器用弾丸であって、一端開口で底部に空気穴を穿孔の有底円筒体に形成した前記被甲をインサート成形用のインサートとして射出成形型内に前記被甲の底部外面と筒部外面とを射出圧力に耐えるように保持した状態で、熱可塑性のポリマー樹脂に前記弾芯の弾性を高めるためのエラストマーおよび可塑剤を添加した熱可塑性樹脂組成物と、前記弾芯の比重を調整するための粉粒状の重金属と、前記熱可塑性樹脂組成物と前記重金属との界面接着性を向上させるためのカップリング剤とから組成した高比重樹脂の弾芯素材を溶融して前記被甲の開口部から内部に射出して、前記被甲内の空気を前記空気穴から排出しながら被甲と一体的に弾芯を形成したものである。
【0021】
この請求項6の発明によれば、一端開口の有底円筒体に形成した被甲をインサートとして射出成形型内に挿入し、この被甲が射出圧力に耐えるように保持した状態で、溶融した高比重樹脂の弾芯素材を被甲の開口部から内部に射出して、被甲と一体的に弾芯を形成するようにしたので、鉛害のない環境や動物にやさしい無鉛弾丸を得ることができる。また、この無鉛弾丸は、製造工程の短縮を容易に図ることができるとともに、多数個取り加工により大量生産が容易にできるので安価にできる。さらに弾芯素材の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性のポリマー樹脂に弾性を高めるためのエラストマーを添加しているので、着弾時に弾丸頭部がキノコ状に拡径するキノコ状化(マッシュルーミング)の感度を高める作用をする。また、可塑剤を添加しているので、耐食性に優れ弾丸の貯蔵中において形状の変化が起こらない特徴を有する。さらに、熱可塑性樹脂組成物と重金属との混合に際してカップリング剤を添加しているため、重金属の粒子表面を被覆して熱可塑性樹脂組成物との親和性を高め、熱可塑性樹脂組成物の分子と重金属の粒子表面との界面接着性が向上する。
【0022】
次の請求項7に係る発明の前記弾芯は、前記被甲の開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型により、前記弾芯の頭部が前記被甲の開口部から突出しないように形成したホローポイント弾丸の弾芯であるようにした小火器用弾丸である。
【0023】
この請求項7の発明によれば、弾芯は被甲の開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型により、弾芯の頭部が被甲の開口部から突出しないように形成したホローポイント弾丸の弾芯であるようにしたので、被甲内に射出する弾芯素材の射出量は被甲内容積と弾芯頭成形型とによりおのずと決定され、過不足のない弾芯体積で高品質のホローポイント弾丸を形成できる。
【0024】
次の請求項8に係る発明の前記弾芯は、前記被甲の開口部外側に空洞部を形成してその開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型により、前記空洞部にも前記弾芯素材を充満させて前記弾芯の頭部が前記被甲の開口部から突出するように形成したソフトポイント弾丸の弾芯であるようにした小火器用弾丸である。
【0025】
この請求項8の発明によれば、弾芯は被甲の開口部外側に空洞部を形成して設けた弾芯頭成形型により、空洞部にも弾芯素材を充満させて弾芯の頭部が被甲の開口部から突出するように形成したソフトポイント弾丸の弾芯であるようにしたので、弾芯素材の射出量は被甲内容積と弾芯頭成形型の空洞部容積とによりおのずと決定され、過不足のない弾芯体積で高品質のソフトポイント弾丸を形成できる。
【0028】
次の請求項に係る発明の前記熱可塑性樹脂組成物には、ポリマー樹脂を自然分解させるための生分解性添加物を添加するようにした小火器用弾丸である。
【0029】
この請求項の発明によれば、熱可塑性樹脂組成物には、ポリマー樹脂を自然分解させる生分解性添加物を添加するようにしたので、生分解性添加物は、日常の使用中はポリマー樹脂を分解せず、ポリマー樹脂が土中や水中に放置されると微生物等によって分解され、水や炭酸ガスやバイオマス(微生物群)となる。
【0030】
次の請求項10に係る発明の前記重金属は、その粉粒径が1〜3μmの小粉粒径重金属と、30〜150μmの大粉粒径重金属とを混在した重金属であるようにした小火器用弾丸である。
【0031】
この請求項10の発明によれば、重金属は小粉粒径重金属と大粉粒径重金属とを混在するようにしたので、混練抵抗が高くなること、重金属がブリッジを形成して成形機のスクリューが破損しやすくなること、熱可塑性樹脂組成物との剥離が生じやすいことなどを防止する作用をする。すなわち、小粉粒径重金属のみである場合には、重金属の総面積が増大して摩擦抵抗が増加し、混練抵抗が高くなり、また、大粉粒径重金属のみである場合には、混練中に成形機の内部でブリッジが形成されやすいので、スクリューが破損しやすくなるとともに、重金属の総面積が小さくなるので、熱可塑性樹脂組成物との剥離が生じやすいが、小粉粒径重金属と大粉粒径重金属とを混在することで、これらの問題を容易に防止できる。
【0032】
次の請求項11に係る発明の前記重金属の材質は、タングステン、タンタル、ステンレス鋼、鉄、銅もしくは錫のいずれか、またはこれらを組み合せた材質であるようにした小火器用弾丸である。
【0033】
この請求項11の発明によれば、重金属の材質は、タングステン、タンタル、ステンレス鋼、鉄、銅もしくは錫のいずれか、またはこれらを組み合せるようにしたので、弾芯の比重を適宜選択することができる。すなわち、各々の混合比率を加減することで、製造する弾丸の比重を鉛弾丸と同程度または大きくしたり小さくしたりして、目的に適合した比重特性に調整することができる。
【0034】
次の請求項12に係る発明の前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性のポリマー樹脂にエラストマーおよび可塑剤を添加した熱可塑性樹脂組成物におき替えて、エラストマーに可塑剤を添加した熱可塑性樹脂組成物であるようにした小火器用弾丸である。
【0035】
この請求項12の発明によれば、熱可塑性樹脂組成物は、エラストマーに可塑剤を添加した組成物にしたので、熱可塑性樹脂組成物にポリマー樹脂を含む弾芯よりも、弾性をさらに高めることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の小火器用弾丸およびその製造方法に係る実施の形態について、図1〜図10および表1を参照して以下のとおり説明する。 初めに、本発明に係る小火器用弾丸の構成について図1を参照して説明する。 図1(a)はソフトポイント弾丸の断面図、図1(b)はホローポイント弾丸の断面図である。
【0037】
本発明に係る小火器用弾丸は、着弾時に弾丸頭部がキノコ状化しやすく、主に狩猟に用いられるものであって、弾芯の頭部が被甲の開口部から突出しているソフトポイント弾丸と、弾芯の頭部が被甲の開口部から突出しないように形成してキノコ状化の感度をより鋭くしたホローポイント弾丸とに大別できる。 これらには、各々ライフル用とハンドガン用とがあり、用途によってさまざまな形状のものがある。 図1(a)に示すソフトポイント弾丸1はライフル用の一例であり、丹銅の板素材から一端開口の有底円筒体に形成された被甲2と、後述する射出成形型内に高比重樹脂の弾芯素材を射出して形成された弾芯3とで構成する。
【0038】
このソフトポイント弾丸1の被甲2は、円板状の被甲底部2aに略均一な壁肉厚で円筒状の被甲筒元部2bが連なり、この被甲筒元部2bの先端側には、被甲開口部2e側へ漸減した壁肉厚の被甲筒先部2dが連なり、被甲筒元部2bと被甲筒先部2dとの境には外周が窪んだ被甲溝部2cが形成されている。 また、弾芯3は、弾芯本体部3aが被甲2の筒内面に密着して筒内に充満され、この弾芯本体部3aと連なる弾芯頭部3bが、被甲開口部2eから突出して半球状に形成されている。 そして、ソフトポイント弾丸の形状やサイズは用途により決められ、弾芯頭部の突出量や形状はキノコ状化の所要度により決められる。
【0039】
図1(b)に示すホローポイント弾丸6はライフル用の一例であり、丹銅の板素材から一端開口の有底円筒体に形成された被甲7と、その被甲内に高比重樹脂の弾芯素材を射出して形成された弾芯8とで構成する。 このホローポイント弾丸6の被甲7は、図1(a)のソフトポイント弾丸1と同様に、被甲底部7a、被甲筒元部7b、被甲溝部7c、被甲筒先部7d、被甲開口部7eが各々形成されている。 また、弾芯8は、弾芯本体部8aが被甲7の筒内面に密着して筒内に充満され、その弾芯頭部8bの先端は被甲開口部7eから内側に窪み穴が形成されている。
【0040】
そして、ホローポイント弾丸の形状やサイズは用途により決められる。 すなわち、弾芯頭部の窪み穴の窪み量や形状は、着弾時に弾丸頭部がキノコ状に拡径するキノコ状化や、着弾時に弾丸頭部が著しく変形することで侵徹力を抑止するストッピング・パワーの所要度により決められる。 図示の他には例えば、弾芯頭部の先端面が本例よりもさらに被甲開口部から陥没しているものや、弾芯頭部の先端面が被甲開口部の端面と同一で窪み穴のないものなどがある。
【0041】
引き続いて、本発明に係る小火器用弾丸を製造する射出成形機の射出成形型について、ソフトポイント弾丸の実施例を示す図1〜図4および図8を参照して説明する。 なお、本例の射出成形機とその射出成形型は、通常のプラスチック成形に用いられているものと同様の構成であるので、引用した慣用語により理解できる範囲内において細部の説明は省略する。 図2は可動ダイセット10が上昇端位置にある状態を示す断面図、図3は可動ダイセット10の下降過程を示す断面図、図4は可動ダイセット10が下降端位置に達して型締めされた状態を示す断面図、図8は射出成形型の主要部を示す断面図である。
【0042】
本例の射出成形型は図2において、図示しない縦型射出成形機のノズルに連結可能かつ上下移動可能に設けられた図示上半部の可動ダイセット10と、この可動ダイセット10下方の機台盤31上に設けられ、可動ダイセット10の上下移動軸線と同一軸線の成形軸線上で対向する固定ダイセット30とから構成されている。
【0043】
可動ダイセット10の主要素は、可動側取付け板12、スプルーブッシュ13、ロケートリング14、ストリッパプレート15、可動側型板19、弾芯頭成形型21、リテーナ22,22、およびアンギュラピン23,23から構成されている。 まず、可動側取付け板12は、図2に示す上昇端位置と図4に示す下降端位置との間を図示しない上下駆動手段により上下移動する可動盤11に締着されている。 その中央部には、スプルーブッシュ13とロケートリング14とが同一軸心線上で一体的に締着されている。
【0044】
一方のスプルーブッシュ13には、その上端部に球面座13aが、溶融した高比重樹脂の弾芯素材を吐出する図示しないノズルを密着して着座可能に形成されている。 この球面座13aと連通する下方には、溶融した高比重樹脂の弾芯素材を流通させる流路としてスプルー13bが、下方側へ拡径する約3度のテーパ状に穿孔されている。 他方のロケートリング14には位置決め穴14aが、スプルーブッシュ13のスプルー13bと同一軸心で前記ノズルを半径方向に位置決め可能な内径に削成されている。 なお、以下の説明においては、スプルー13bの中心軸線上を成形軸線と表示する。
【0045】
また、可動側取付け板12の下方にはストリッパプレート15が、ガイドブッシュ15Aに挿通されたサポートピン16に案内されて上下移動可能で、かつストップボルト17により下降端位置を位置決め可能に吊着されている。 このストリッパプレート15にはテーパ穴15aが、スプルーブッシュ13のテーパ部外周と密着可能に穿孔されている。 また、ストリッパプレート15の下方には可動側型板19が、ガイドブッシュ19Aに挿通されたサポートピン16に案内されて上下移動可能で、かつプラーボルト18により下降端位置を位置決め可能に吊着されている。
【0046】
そして、この可動側型板19の成形軸線上には型板スプルー19aが、溶融した高比重樹脂の弾芯素材を流通させる流路としてスプルーブッシュ13のスプルー13bと連通可能に、下方側へ縮径する約3度のテーパ状に穿孔されている。この型板スプルー19aの下側には、図1(a)に示す弾芯3の弾芯頭部3bを成形する弾芯頭成形型21が止着されている。
【0047】
この弾芯頭成形型21の上部の成形軸線上には、図8に示す成形型スプルー21aが可動側型板19の型板スプルー19aと連通可能に、下方側へ縮径する約3度のテーパ状に穿孔されている。 この成形型スプルー21aの下部の成形軸線上にはキャビティ21cが、弾芯頭部3bの表面輪郭と同一形状で空洞を形成するように削成されている。 このキャビティ21cにより、図8に示す型締めされた状態において、インサートである被甲2の被甲開口部2eよりも外側を封じている。
【0048】
これらと連通する中間にはゲート21bが、溶融した高比重樹脂の弾芯素材を成形型スプルー21aからキャビティ21cへ導入する流路として、下方側へ縮径する約30度のテーパ状に穿孔されている。 また、可動側型板19の型板スプルー19aを挟む図示左右には、一対のリテーナ22,22が止着され、その各々にはアンギュラピン23,23が、後述するスライド38,38を開閉可能な傾斜角度(本例では成形軸線に対して下向きで外側に広がる約15度)で埋設されている。 リテーナ22,22の各内側には、後述する被甲筒先型39,39の斜面39b,39bと摺接しアンギュラピン23,23と略平行な斜面22a,22aが形成されている。
【0049】
次いで、固定ダイセット30の主要素は、図2に示す固定側取付け板32、スペーサブロック33、受け板34、固定側型板35、被甲筒元型37、スライド38,38、被甲筒先型39,39、およびエジェクタピン43から構成されている。 まず、固定側取付け板32は、上下移動可能な可動ダイセット10の下方で機台盤31上に締着されている。
【0050】
この固定側取付け板32の上面には、スペーサブロック33、受け板34、および固定側型板35が積層され、ボルト36により固定側取付け板32と一体的に締着されている。 これらのスペーサブロック33、受け板34、固定側型板35には、可動ダイセット10が下降する際に、プラーボルト18のボルト頭を図4に示すように挿通させる逃がし穴33a,34a,35aと、サポートピン16を挿通させる逃がし穴33b,34bとが各々穿孔されている。
【0051】
また、固定側型板35にはガイドブッシュ35Aが圧入され、このガイドブッシュ35Aは図3に示すように、下降する可動ダイセット10のサポートピン16を挿通かつ案内することで、可動ダイセット10と固定ダイセット30とを同一軸心位置に自動調心する。 スペーサブロック33の中央部には中空穴が穿孔され、この中空穴には後述するエジェクタピン43と、その保持部材が収納されている。
【0052】
また、固定側型板35の成形軸線上には、被甲筒元型37が止着され、図2に示す左右方向には、成形軸線と直交する案内角溝35bが刻設され、この案内角溝35bには、成形軸線を挟む図示左右に一対のスライド38,38が進退移動可能に嵌入されている。 一方の被甲筒元型37の成形軸線上には図8に示す保持穴37aが、被甲2をインサートとして載置可能で、かつ、被甲底部2aと被甲筒元部2bとが射出成形時の射出圧力に耐えるように穿孔されている。 他方のスライド38,38には、中央部にアンギュラピン23,23の外径よりも内径が約2mm大きい傾斜穴38a,38aが各々穿孔され、成形軸線側の先端には、一対の被甲筒先型39,39が対向するように締着されている。
【0053】
これら被甲筒先型39,39の対向する各前端面の保持面39a,39aは、図4、図8の型締めされた状態において被甲2の被甲溝部2cと被甲筒先部2dとの外周を密着可能に左右から包囲して、射出成形時の射出圧力に耐えるように保持可能な半円状凹面に形成されている。 被甲筒先型39,39の各後端部には、リテーナ22,22の斜面22a,22aと摺接可能な斜面39b,39bが形成されている。
【0054】
また、スペーサブロック33の中空穴内には、下エジェクタプレート41と上エジェクタプレート42とが固定側取付け板32上に載置され、これらの間にエジェクタピン43の張出し頭部とガイドピン44の張出し頭部とが挟持されている。 このように挟持されたエジェクタピン43は、受け板34、固定側型板35、および被甲筒元型37の成形軸線上に挿通され、ガイドピン44は、図7に示すように受け板34および固定側型板35に挿通されている。 エジェクタピン43の上端部には、図8に示す溝状のベント43aが上端面から約0.03mmの深さで刻設され(溝幅はピン径の約1/5)、被甲2内の空気を排気することができる。
【0055】
このエジェクタピン43の上端面は、下降端位置において被甲筒元型37の保持穴37aの底面と略同一面に、上昇端位置において被甲筒先型39,39の上面よりも上位置に設定されている。 そして、エジェクタピン43の上下移動は、図6に示す下降端位置において、図示しない押し上げ手段により下エジェクタプレート41を押し上げることによりガイドピン44とともに上昇し、図7に示す上エジェクタプレート42が受け板34に当接することで上昇端位置に位置決めされる。
【0056】
引き続いて、上記のように構成された射出成形型により本発明に係る小火器用弾丸を製造する手順について、図2〜図10を参照して説明する。 図5は可動ダイセットの上昇により型締め状態から型開き状態に解放される過程を示す断面図、図6は可動ダイセットが上昇端位置に達した状態を示す断面図、図7はエジェクタピンが上昇端位置に達した状態の断面図、図9はホローポイント弾丸を製造する射出成形型の主要部を示す断面図、図10は被甲空気穴の他のパターン図である。
【0057】
図2に示す射出成形前の固定ダイセット30は、被甲筒先型39,39の保持面39a,39aが、前の加工サイクルにおける射出成形後の可動ダイセット10の上昇時にアンギュラピン23,23の傾斜角度による分力により型締め状態からあらかじめ型開き状態に後退して解放されている。 この型開き状態において、図示しない被甲供給手段によりインサートである被甲2を被甲筒元型37の保持穴37aに図示のように載置する。
【0058】
次いで、図示しない上下駆動手段により可動盤11とともに可動側取付け板12を下降させる。 この可動側取付け板12の下降によりサポートピン16がガイドブッシュ35Aに挿通されて、可動ダイセット10が固定ダイセット30に対して自動調心される。 さらに可動側取付け板12を図3に示す位置まで下降させると、アンギュラピン23,23がスライド38,38の傾斜穴38a,38aに係合し、さらに可動側取付板12を下降させるとストリッパプレート15は可動側型板19に当接したあと可動側取付け板12に接する。
【0059】
このストリッパプレート15を介して可動側型板19がさらに下方に押圧されることで、アンギュラピン23,23がスライド38,38の傾斜穴38a,38a開口部から下方へ押入される。 このアンギュラピン23,23の垂直押圧力による水平分力により、スライド38,38とともに被甲筒先型39,39が成形軸線側に前進し、かつ、リテーナ22,22の斜面22a,22aの垂直押圧力による水平分力により、被甲筒先型39,39が前進端に達した図4、図8に示す型締め状態において、その保持面39a,39aは、被甲2の被甲溝部2cと被甲筒先部2dとに密着する。
【0060】
さらにこの型締め状態においては、弾芯頭成形型21の下面が被甲筒先型39,39の上面に当接し、インサートである被甲2の被甲開口部2eよりも外側を封じている。 この型締め状態において、図示しない射出成形機のノズルから溶融した高比重樹脂の弾芯素材を射出することで、スプルーブッシュ13のスプルー13b、可動側型板19の型板スプルー19a、図8に示す弾芯頭成形型21の成形型スプルー21aを介してゲート21bから、キャビティ21cを経て被甲2内に弾芯素材が圧送される。
【0061】
このように圧送される弾芯素材は、図8に示す被甲空気穴2fからエジェクタピン43のベント43aを介して、被甲2内の空気を排気しながら被甲2内とキャビティ21c内とに充満する。 そして、図示しない冷却孔内の冷却水により弾芯素材を冷却することにより、被甲2と弾芯3とが一体的なソフトポイント弾丸1が形成される。 なお、エジェクタピン43のベント43aはその深さが約0.03mmであるので、被甲空気穴2fと連なるバリは生じない。 また、弾芯頭成形型21の下面と、被甲筒先型39,39の上面との局部的な隙間も約0.03mm以下であるので、パーティングライン上にバリは生じない。
【0062】
次いで、可動盤11を上昇させると図5に示すように、可動側取付け板12、ストリッパプレート15とともにスプルーブッシュ13が上昇する。 この上昇により、リテーナ22,22の斜面22a,22aの水平分力による被甲筒先型39,39への型締め力は解放される。 これらの上昇により射出された弾芯素材は、最も小径な図8に示す弾芯頭成形型21のゲート21bとキャビティ21cとの交差部で破断される。 すなわち、本発明に係るソフトポイント弾丸1と、スプルー13b、型板スプルー19a、成形型スプルー21a、およびゲート21bにより形成された部分のスプルー成形体4とに分離される。
【0063】
可動盤11をさらに上昇させると、ストリッパプレート15が可動側取付け板12から離れてストップボルト17により吊り下げられ、プラーボルト18により可動側型板19を引き上げる。 そして、アンギュラピン23,23の水平分力により被甲筒先型39,39は成形軸線側から後退して型開きし、図6に示す上昇端位置で可動盤11を位置決めする。
【0064】
次いで、図示しない押上げ手段により、下エジェクタプレート41を介してエジェクタピン43を上方へ押上げ、ソフトポイント弾丸1を被甲筒元型37から離脱させる。 さらにエジェクタピン43を押上げ、上エジェクタプレート42が受け板34に当接した図7に示す上昇端位置において、図示しない弾丸排出手段によりソフトポイント弾丸1を排出する。 また、図示しないスプルー排出手段によりスプルー成形体4を排出する。 そして、エジェクタピン43を下降させて、図2に示す下降端位置に位置決めすることで、射出成形加工の1サイクルが終える。
【0065】
なお、ホローポイント弾丸6を製造する際には、図8に示す弾芯頭成形型21を図9に示す弾芯頭成形型51におき替え、成形型スプルー51aを介してゲート51bから、キャビティ51cを経て被甲7内に弾芯素材が圧送される。 このように圧送される弾芯素材は、キャビティ51cで封じられた被甲7内に充満する。 そして、図示しない冷却孔内の冷却水により弾芯素材を冷却することにより、被甲7と弾芯8とが一体的なホローポイント弾丸6が形成される。
【0066】
また、射出成形の際に被甲2内の空気を排気する被甲空気穴は、図8に示す中心軸線上に穿孔された1個の被甲空気穴2fの他に、図10(a),(e)に示す被甲2Aの中心軸線を中心にした放射状等分割の等半径位置で被甲底部2aに穿孔された2個の被甲空気穴2gや図10(b),(f)に示す4個の被甲空気穴2h、または、図10(c),(g)に示す被甲底部2aと隣接する被甲筒元部2bの放射状等分割位置に穿孔された2個の被甲空気穴2iや図10(d),(h)に示す4個の被甲空気穴2jでも構成できる。
【0067】
引き続いて、本発明に係る小火器用弾丸の弾芯素材について説明する。 図1(a)に示すソフトポイント弾丸1の弾芯3、または図1(b)に示すホローポイント弾丸6の弾芯8を形成する弾芯素材は、熱可塑性樹脂組成物と、大/小粉粒径重金属と、カップリング剤と、後述する使用目的ごとの添加物とから組成する。 そして、この弾芯素材を溶融して、上記のように射出成形することでソフトポイント弾丸1またはホローポイント弾丸6を形成する。
【0068】
上記弾芯素材の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性のポリマー樹脂にエラストマーおよび可塑剤を添加したものであって、熱可塑性のポリマー樹脂とは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリスチレン(PS)等でこれらを混合したものでもよい。 また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリエステル樹脂でもよい。 さらに、ポリエチレンの代わりにゴルフボールの表面のコーティング等に用いるアイオノマレジンを使用してもよい。 また、ナイロン6(6PA)も使用できる。
【0069】
次のエラストマーは、室温でゴム弾性を示すものであって、天然ゴムもしくは合成ゴム、またはその組合せのいずれでも、弾芯の弾性および靱性を高めることができる。 このエラストマーは、特に弾芯素材を被甲2内に射出成形する際に、弾芯素材の弾性が低いと表層部が被甲内面になじめないので密着せず、また、靱性が低いとキノコ状化の感度が低下するので不可欠な添加物である。
【0070】
可塑剤としては、ポリマー樹脂の成形加工温度領域において、流動特性を改善して成形加工を容易にするものである。 具体的には例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)等のフタル酸エステル類の可塑剤や、エチレンビスステアロアマイド等の内部滑剤等を含むものである。 この可塑剤によって、弾芯素材を射出成形する際の流動特性を改善して成形加工を容易にする。
【0071】
また、それ以外にも、ポリエステル系可塑剤、トリクレジルホスフェート(TCP)やトリフェニルホスフェート(TPP)等のリン酸エステル類の可塑剤、エポキシ化大豆油およびメチルアセチルリシノレート(MAR)等の脂肪酸エステル等も含むものである。 その配合量は、例えばフタル酸ジオクチル(DOP)を熱可塑性樹脂組成物の総質量に対して13質量%以下の範囲にする。
【0072】
次に、弾芯素材の熱可塑性樹脂組成物に添加する生分解性添加物について説明する。 この生分解性添加物は、ポリマー樹脂を自然分解させるための添加物であって、具体的には、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、バイオポリエステル、カードラン、プルラン、バクテリアセルロース、ポリアミノ酸等の微生物で作った生分解性添加物や、でんぷん、キチン、キトサン、海産多糖類、セルロース等の天然物を利用して作った生分解性添加物や、脂肪族ポリエステル、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエーテル等の化学合成で作った生分解性添加物等が好ましい。
【0073】
本例では、ポリプロピレン(PP)と、でんぷんをベースとする生分解性および水溶性の生分解性添加物とを質量比で80対20の割合で混合して使用した。
そして、これらの生分解性添加物はポリマー樹脂と混合することにより、日常の使用中はポリマー樹脂を分解せず、弾丸が土中や水中に放置されると微生物等によって、その混合した弾芯の熱可塑性樹脂組成物そのものを最終的に、水、炭酸ガス、バイオマス(微生物群)等に分解することができる。
【0074】
次に、弾芯の比重を調整するための粉粒状の重金属について説明する。 この粉粒状の重金属は、比重が鉛弾丸と同程度または大きくしたり小さくしたりした弾丸を製造するために弾芯素材に混合する比重調整物質である。 本発明において重金属とは、タングステン(W;比重19.3)、タンタル(Ta;比重16.6)、銅(Cu;比重8.96)、鉄(Fe;比重7.87)、ステンレス鋼(SUS;比重7.7)、錫(Sn;比重7.3)などとする。 また、これらの合金を含む重金属のいずれか、または選択的に組み合せて弾芯素材に混合する。
【0075】
これら比重調整物質(重金属)のうち、弾芯素材を高比重領域で組成する際に、もっとも適合した金属はタングステンであって、大気中に放置されても周囲の環境に悪影響をおよぼさないうえに、鉛の比重11.3よりも大きな比重19.3を有しているので、弾芯の限られた体積内で高比重領域を組成する場合に最適である。 そして、上記の各物質またはこれらを組み合せることで、使用目的に適合した弾芯素材を選択的に組成できる。
【0076】
次に、上述した弾芯素材を用いた比重の調整について説明する。 熱可塑性樹脂組成物のポリマー樹脂をポリプロピレン(PP)またはナイロン6(6PA)とし、これらに粉粒状の重金属、エラストマーなどを混合して各々の混合比率を調整し、比重の異なる弾芯素材を製造するときの配分の一例を表1に示す。 なお、エラストマーは合成ゴムを添加した。
【0077】
【表1】
Figure 0003936566
【0078】
上記の重金属は、熱可塑性樹脂組成物との混練抵抗を低くし、かつ、射出成形機のスクリューが破損されないように、粉粒径が大きな大粉粒径重金属と、粉粒径が小さな小粉粒径重金属との二種類が混合されている。 これら二種類の重金属の粒度と配合比率の関係について、様々な態様で試験を実施して評価を行った。 そのまとめた結果を表2に示す。 なお、表2において◎印は特に良好なもの、○印は良好なもの、△印はやや不良なもの、×印は不良なものを各々示す。また、表2における小粉粒径重金属と大粉粒径重金属との配合量は、小粉粒径重金属と大粉粒径重金属との合計質量に対する各々の比率(質量%)を示す。
【0079】
【表2】
Figure 0003936566
【0080】
上記二種類の重金属の一方の小粉粒径重金属は、その粉粒径が1〜3μmの範囲のものが、重金属の総質量に対して30〜70質量%の範囲にある。 また、他方の大粉粒径重金属は、その粉粒径が30〜150μmの範囲のものが、重金属の総質量に対して30〜70質量%の範囲にある。 なお、大粉粒径重金属の粉粒径は混練抵抗を抑えるため、より好ましくは100〜150μmの範囲である。 また、大粉粒径重金属の添加質量%は、成形品のフローマークを抑えることを考慮すると、より好ましくは55〜70質量%の範囲である。
【0081】
まず、重金属のうち小粉粒径重金属の粉粒径が1μmより小さいと、弾芯を射出成形する際に小粉粒径重金属の表面積が増加し、摩擦抵抗が増大して混練抵抗が高くなる。 そして、粉粒径が小さい微粉状のため作業中に粉塵となって飛散しやすく、作業環境が悪化しその対策のために製造コストが高くなる。 重金属のうち、小粉粒径重金属の粉粒径が3μmより大きいと、押出機の内部でブリッジを形成しやすくなり、スクリューが破損しやすくなる。 したがって、小粉粒径重金属の粉粒径は、1〜3μmが望ましい。
【0082】
小粉粒径重金属が、重金属の総質量に対して30質量%未満だと、小粉粒径重金属を添加した効果が小さくなり、相対的に大粉粒径重金属の割合が増えて、成形機内部でブリッジを形成しやすくなり、押出機のスクリューが破損しやすくなる。 また、重金属の総表面積が減少して、重金属と熱可塑性樹脂組成物との間で剥離が生じ、成形品(弾芯)に割れや強度不足が生じやすくなる。 小粉粒径重金属が、重金属の総質量に対して70質量%を超えると、重金属の総表面積が大きくなりすぎて摩擦抵抗が増加することにより、弾芯を成形する際に混練抵抗が高くなる。 したがって、小粉粒径重金属は、重金属の総質量に対して30〜70質量%の範囲とする。
【0083】
次に、大粉粒径重金属の粉粒径が30μmより小さいと、粉粒径の大きな大粉粒径重金属を添加した効果が小さくなり、弾芯素材を押出しする際に混練抵抗が高くなる。 重金属のうち、大粉粒径重金属の粉粒径が150μmより大きいと、押出機の内部でブリッジを形成して押出機のスクリューが破損しやすくなる。
また、大粉粒径重金属の表面と、熱可塑性樹脂組成物との間で剥離が生じやすくなり、成形加工された弾芯に割れの発生や強度不足が発生する。
【0084】
また、粉粒径が大きいために局部的に偏析し、均質な材料を形成することができなくなり、材料としての品質が低下する。 また、大粉粒径重金属が弾芯の表面に現れると、弾芯の表面の凹凸が大きくなって、表面粗さが増し、被甲2内面への密着度が悪くなる。 したがって、大粉粒径重金属の粉粒径は、30〜150μmとする。
【0085】
大粉粒径重金属が、重金属の総質量に対して30質量%未満だと、大粉粒径重金属を添加した効果が小さくなり、相対的に小粉粒径重金属の割合が増えて押出しの際に混練抵抗が高くなる。 大粉粒径重金属が、重金属の総質量に対して70質量%を超えると、押出機の内部でブリッジを形成して押出機のスクリューが破損しやすくなる。 また、粉粒径の大きな大粉粒径重金属の表面と、熱可塑性樹脂組成物との間で剥離が生じやすくなり、成形品(弾芯)に割れの発生や強度不足が発生する。 したがって、大粉粒径重金属は、重金属の総質量に対して30〜70質量%の範囲とする。
【0086】
次に、熱可塑性樹脂組成物と重金属との界面接着性を向上させるためのカップリング剤について説明する。 このカップリング剤は、エラストマーを含む熱可塑性樹脂組成物と重金属とを混練成形する際に添加する一種の界面活性剤(表面活性剤)であって、一つの分子の中に、樹脂に対して親和性を有する基と、金属に対して親和性を有する基との両方を持っているものである。
【0087】
このため、界面接着性を向上させ熱可塑性樹脂組成物と重金属との剥離や成形品(弾芯)の割れを防止することができる。 このカップリング剤としては、チタン系カップリング剤をn−プロピルアルコールに溶かし、重金属の総質量に対して0.2〜1.0質量%の範囲にした。 なお、このチタン系カップリング剤の他に、シラン系カップリング剤やアルミニウム系カップリング剤が利用できる。
【0088】
なお、本発明に係る小火器用弾丸およびその製造方法は、上述した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてさまざまな形態に構成することができるものである。 例えば、可動ダイセットの下方で固定ダイセットを取着する機台盤は回転可能な回転盤におき替え、この回転盤に複数組の固定ダイセットを等間隔位置に取着し、複数組の固定ダイセットを可動ダイセット下方の射出成形位置と、この位置から所定角度ずつ回転した給排出位置などとに回転かつ位置決めして、製造タクトの短縮を図ることができる。
【0089】
【発明の効果】
本発明は上述のとおりであるので、以下に記載するような効果を奏する。
【0090】
請求項1の発明によれば、一端開口の有底円筒体に形成した被甲をインサートとして射出成形型内に挿入し保持した状態で、溶融した高比重樹脂の弾芯素材を被甲の開口部から内部に射出して、被甲と一体的に弾芯を形成するようにしたので、鉛害のない小火器用無鉛弾丸を容易に製造できる。 また、最終形状に仕上げた被甲をインサートにすることで製造工程数を短縮し、生産管理費用の低減を図ることができる。 さらに、多数個取りの射出成形型を用いることにより大量生産が容易にできるので、製造原価の低減を図ることができる。
【0091】
次の請求項2の発明によれば、弾芯は被甲の開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型のゲートから弾芯素材を射出して、弾芯の頭部が被甲の開口部から突出しないホローポイント弾丸の弾芯を形成するようにしたので、被甲内に射出する弾芯素材の射出量は被甲内容積と弾芯頭成形型とによりおのずと決定され、過不足のない弾芯体積で安定した品質のホローポイント弾丸を製造できる。 その結果、不良率の低下を図ることができる。
【0092】
次の請求項3の発明によれば、弾芯は被甲の開口部外側に空洞部を形成して設けた弾芯頭成形型のゲートから弾芯素材を射出して、空洞部にも弾芯素材を充満させて弾芯の頭部が被甲の開口部から突出するソフトポイント弾丸の弾芯を形成するようにしたので、弾芯素材の射出量は被甲内容積と弾芯頭成形型の空洞部容積とによりおのずと決定され、過不足のない弾芯体積で安定した品質のソフトポイント弾丸を製造できる。 その結果、不良率の低下を図ることができる。
【0093】
次の請求項4の発明によれば、弾芯素材の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性のポリマー樹脂に可塑剤を添加したものであるから、成形加工温度領域における流動性が向上する。 このため熱可塑性樹脂組成物を粉粒状の重金属の表面周囲にくまなく行き渡らせることができる。 さらに、重金属を粉粒状にしたことにより、所定形状の弾芯を射出成形する際に、弾芯の微小形状部分や角部などにも均一に偏析することなく分散させることができるとともに、射出成形加工が容易にできる。 また、カップリング剤により熱可塑性樹脂組成分と重金属との界面接着性を向上させることができる。
【0094】
次の請求項5の発明によれば、被甲底部の中心軸線上に1個もしくは放射状等分割の等半径位置に複数個の空気穴、または、被甲筒部の放射状等分割位置に複数個の空気穴を穿孔して、その空気穴から射出成形中の空気を排出するようにしたので、弾芯を形成後の被甲内に空気が残留せず、被甲の中心軸線上で釣り合う命中精度の高い弾芯を形成することができる。
【0095】
次いで、請求項6の発明によれば、一端開口の有底円筒体に形成した被甲をインサートとして射出成形型内に挿入し、この被甲が射出圧力に耐えるように保持した状態で、溶融した高比重樹脂の弾芯素材を被甲の開口部から内部に射出して、被甲と一体的に弾芯を形成するようにしたので、鉛害のない環境や動物にやさしい小火器用無鉛弾丸を得ることができる。また、この無鉛弾丸は、製造工程の短縮を容易に図ることができるとともに、多数個取り加工により大量生産が容易にできるので安価にできる。
また弾芯素材の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性のポリマー樹脂に弾性を高めるためのエラストマーを添加しているので、着弾時に弾丸頭部が拡径するキノコ状化の感度を高める効果を奏する。また、可塑剤を添加しているので、耐食性に優れ弾丸の貯蔵中において形状の変化が起こらないとともに、環境中においてナイロン11やナイロン12などよりも分解しやすい効果を奏する。さらに、熱可塑性樹脂組成物と重金属との混合に際してカップリング剤を添加しているため、重金属の粒子表面を被覆して熱可塑性樹脂組成物との親和性を高め、熱可塑性樹脂組成物の分子と重金属の粒子表面との界面接着性が向上する。
【0096】
次の請求項7の発明によれば、弾芯は被甲の開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型により、弾芯の頭部が被甲の開口部から突出しないように形成したホローポイント弾丸の弾芯であるようにしたので、被甲内に射出する弾芯素材の射出量は被甲内容積と弾芯頭成形型とによりおのずと決定され、過不足のない弾芯体積で安定した品質のホローポイント弾丸を形成できる。
【0097】
次の請求項8の発明によれば、弾芯は被甲の開口部外側に空洞部を形成して設けた弾芯頭成形型により、空洞部にも弾芯素材を充満させて弾芯の頭部が被甲の開口部から突出するように形成したソフトポイント弾丸の弾芯であるようにしたので、被甲内に射出する弾芯素材の射出量は被甲内容積と弾芯頭成形型の空洞部容積とによりおのずと決定され、過不足のない弾芯体積で安定した品質のソフトポイント弾丸を形成できる。
【0099】
次の請求項の発明によれば、熱可塑性樹脂組成物には、ポリマー樹脂を自然分解させる生分解性添加物を添加するようにしたので、生分解性添加物は、日常の使用中はポリマー樹脂を分解せず、ポリマー樹脂が土中や水中に放置されると微生物等により分解されて環境を汚染しない効果を奏する。
【0100】
次の請求項10の発明によれば、重金属は小粉粒径重金属と大粉粒径重金属とを混在するようにしたので、混練抵抗が高くなること、重金属がブリッジを形成して成形機のスクリューが破損しやすくなること、熱可塑性樹脂組成物との剥離が生じやすいことなどを防止する作用をする。すなわち、小粉粒径重金属のみである場合には、重金属の総面積が増大して摩擦抵抗が増加し、混練抵抗が高くなり、また、大粉粒径重金属のみである場合には、混練中に成形機の内部でブリッジが形成されやすいので、スクリューが破損しやすくなるとともに、重金属の総面積が小さくなるので、熱可塑性樹脂組成物との剥離が生じやすいが、小粉粒径重金属と大粉粒径重金属とを混在することで、これらの問題を容易に防止する効果を奏する。
【0101】
次の請求項11の発明によれば、重金属の材質は、タングステン、タンタル、ステンレス鋼、鉄、銅もしくは錫のいずれか、またはこれらを組み合せるようにしたので、弾芯の比重を適宜選択することができる。すなわち、各々の混合比率を加減することで、製造する弾丸の比重を鉛弾丸と同程度または大きくしたり小さくしたりして、目的に適合した比重特性に調整することができる。
【0102】
次の請求項12の発明によれば、熱可塑性樹脂組成物は、エラストマーに可塑剤を添加した組成物にしたので、熱可塑性樹脂組成物にポリマー樹脂を含む弾芯よりも、弾性をさらに高めキノコ状化の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る小火器用弾丸の説明図であって、(a)はソフトポイント弾丸の断面図、(b)はホローポイント弾丸の断面図である。
【図2】本発明に係る小火器用弾丸を製造する射出成形型の説明図であって、可動ダイセットが上昇端位置にある状態を示す断面図である。
【図3】同じく、可動ダイセットの下降過程を示す断面図である。
【図4】同じく、可動ダイセットが下降端位置に達して型締めされた状態を示す断面図である。
【図5】同じく、可動ダイセットの上昇により型締め状態から型開き状態に解放される過程を示す断面図である。
【図6】同じく、可動ダイセットが上昇端位置に達した状態を示す断面図である。
【図7】同じく、エジェクタピンが上昇端位置に達した状態を示す断面図である。
【図8】同じく、ソフトポイント弾丸を製造する射出成形型の主要部を示す断面図である。
【図9】同じく、ホローポイント弾丸を製造する射出成形型の主要部を示す断面図である。
【図10】同じく、図8に示す被甲空気穴の他のパターン図であって、(a),(e)は被甲底部に穿孔された2個の被甲空気穴、(b),(f)は被甲底部に穿孔された4個の被甲空気穴、(c),(g)は被甲筒元部に穿孔された2個の被甲空気穴、(d),(h)は被甲筒元部に穿孔された4個の被甲空気穴を示す断面図である。
【図11】従来の技術による小火器用弾丸の製造方法に係る説明図であって、(a)〜(d)は有底円筒体の被甲素材、(e)は円柱体の弾芯素材、(f)は被甲素材と弾芯素材とを結合した弾丸、(g)は溝付け加工した弾丸、(h)は筒部外径を仕上げ加工した弾丸を示す各々の断面図である。
【符号の説明】
1 ソフトポイント弾丸
2 被甲
3 弾芯
6 ホローポイント弾丸
10 可動ダイセット
13 スプルーブッシュ
14 ロケートリング
19 可動側型板
21 弾芯頭成形型
21a 成形型スプルー
21b ゲート
21c キャビティ
22 リテーナ
23 アンギュラピン
30 固定ダイセット
35 固定側型板
37 被甲筒元型
38 スライド
39 被甲筒先型
43 エジェクタピン

Claims (12)

  1. 円筒金属の被甲と、この被甲により被覆される弾芯とを射出成形により一体的に形成する小火器用弾丸の製造方法であって、一端開口の有底円筒体に形成した前記被甲をインサート成形用のインサートとして射出成形型内に挿入し、この被甲が射出圧力に耐えるように前記被甲の底部外面を被甲筒元型により筒部外面を型締め状態と型開き状態をとる被甲筒先型により保持した状態で、溶融した高比重樹脂の弾芯素材を前記被甲の開口部から内部に射出して、被甲と一体的に弾芯を形成するようにしたことを特徴とする小火器用弾丸の製造方法。
  2. 前記弾芯は、型締め状態で前記被甲の開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型のゲートから前記弾芯素材を射出して、前記弾芯の頭部が前記被甲の開口部から突出しないホローポイント弾丸の弾芯を形成するようにした請求項1に記載の小火器用弾丸の製造方法。
  3. 前記弾芯は、前記被甲の開口部外側に空洞部を形成して型締め状態で前記被甲の開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型のゲートから前記弾芯素材を射出して、前記空洞部にも前記弾芯素材を充満させて前記弾芯の頭部が前記被甲の開口部から突出するソフトポイント弾丸の弾芯を形成するようにした請求項1に記載の小火器用弾丸の製造方法。
  4. 前記弾芯素材は、熱可塑性のポリマー樹脂に前記弾芯の弾性を高めるためのエラストマーおよび可塑剤を添加した熱可塑性樹脂組成物と、前記弾芯の比重を調整するための粉粒状の重金属と、前記熱可塑性樹脂組成物と前記重金属との界面接着性を向上させるためのカップリング剤とで組成して高比重樹脂にした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の小火器用弾丸の製造方法。
  5. 前記被甲の底部には、前記被甲の中心軸線上に1個もしくは前記被甲の中心軸線を中心にした放射状等分割の等半径位置に複数個の空気穴、または、前記被甲の底部と隣接する筒部に前記被甲の中心軸線を中心にした放射状等分割位置に複数個の空気穴を穿孔して、その空気穴から射出成形中の空気を排出し、前記弾芯を形成後の前記被甲内に空気が残留しないようにした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の小火器用弾丸の製造方法。
  6. 円筒金属の被甲と、この被甲により被覆される弾芯とを射出成形により一体的に形成した小火器用弾丸であって、一端開口で底部に空気穴を穿孔の有底円筒体に形成した前記被甲をインサート成形用のインサートとして射出成形型内に前記被甲の底部外面と筒部外面とを射出圧力に耐えるように保持した状態で、熱可塑性のポリマー樹脂に前記弾芯の弾性を高めるためのエラストマーおよび可塑剤を添加した熱可塑性樹脂組成物と、前記弾芯の比重を調整するための粉粒状の重金属と、前記熱可塑性樹脂組成物と前記重金属との界面接着性を向上させるためのカップリング剤とから組成した高比重樹脂の弾芯素材を溶融して前記被甲の開口部から内部に射出し、前記被甲内の空気を前記空気穴から排出しながら被甲と一体的に弾芯を形成したことを特徴とする小火器用弾丸。
  7. 前記弾芯は、前記被甲の開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型により、前記弾芯の頭部が前記被甲の開口部から突出しないように形成したホローポイント弾丸の弾芯である請求項6に記載の小火器用弾丸。
  8. 前記弾芯は、前記被甲の開口部外側に空洞部を形成してその開口部を封じるように設けた弾芯頭成形型により、前記空洞部にも前記弾芯素材を充満させて前記弾芯の頭部が前記被甲の開口部から突出するように形成したソフトポイント弾丸の弾芯である請求項6に記載の小火器用弾丸。
  9. 前記熱可塑性樹脂組成物には、ポリマー樹脂を自然分解させるための生分解性添加物を添加するようにした請求項6乃至8のいずれか1項に記載の小火器用弾丸。
  10. 前記重金属は、その粉粒径が1〜3μmの小粉粒径重金属と、30〜150μmの大粉粒径重金属とを混在した重金属である請求項6乃至9のいずれか1項に記載の小火器用弾丸。
  11. 前記重金属の材質は、タングステン、タンタル、ステンレス鋼、鉄、銅もしくは錫のいずれか、またはこれらを組み合せた材質である請求項乃至10のいずれか1項に記載の小火器用弾丸。
  12. 前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性のポリマー樹脂にエラストマーおよび可塑剤を添加した熱可塑性樹脂組成物におき替えて、エラストマーに可塑剤を添加した熱可塑性樹脂組成物である請求項乃至11のいずれか1項に記載の小火器用弾丸。
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